【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例および比較例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。また、成形品の評価は以下の方法に従った。
【0041】
(厚み)
マイクロメーターで測定した。
(計算密度(g/cm
3))
次の計算式により求めた。[目付(g/m
2)÷(厚さ(mm)]×10
4
【0042】
(耐衝撃性試験)
試験用サンプルは、成形品の中央平面部付近から約100mm×100mmの大きさに切り出したものを用いた。
ASTM3763−06に準拠した。落錘衝撃試験機:インストロン製Dynatup(登録商標)9250HV、ストライカ:φ12.7mm(先端:半球形状)、φ76mmの受け押え板を用い、ストライカがサンプルに与える衝撃エネルギーの設定値を5J、10Jに設定して実施した。
【0043】
(耐衝撃性評価)
○:ストライカが成形品を突き抜けない
△:成形品に穴開きあるが、ストライカが成形品を突き抜けない
×:ストライカが成形品を突き抜ける
【0044】
(強度)
引張試験機(インストロン万能材料試験機 5966)を用い、試験片の長さ100mm、引張速度5mm/分で実施した。
【0045】
(実施例1)
ポリエチレンスリットヤーンの延伸糸条を織成した織布としては、萩原工業(株)製土嚢袋(厚さ0.1mm、目付63.9g/m
2、織密度8.8本×8.8本/インチ)を用いた。該織布の両面を被覆するフィルムとしては、関西化学工業(株)製LLDPEフィルム(厚さ0.02mm、目付19.3g/m
2)を用いた。
上記の織布4枚とフィルム8枚とを、
図1に示す順序で重ね合せたものを、熱プレス機に供給し、表1に示す温度と圧力で10分間熱プレスした後、室温まで放冷し、成形品(No.1〜No.7)を得た。
【0046】
(比較例1)
実施例1で用いたものと同じ織布4枚とフィルム8枚とを、
図2に示す順序で積層した以外は、実施例1と同じ条件で成形品(No.8〜No.11)を得た。
【0047】
実施例及び比較例で得た成形品の耐衝撃性及び強度特性を表1に示す。また、
図3には成形時プレス圧力と成形品の衝撃試験における最大荷重エネルギーとの関係を、
図4には成形品の計算密度と衝撃試験における最大荷重エネルギーとの関係を示す。ここで、計算密度は、(成形品の重量)/(成形品の厚さ)で求められる値である。
【0048】
【表1】
【0049】
表1より、本実施例の方法で製造した成形品は、強度特性に優れるとともに、最大荷重エネルギーが大きく(すなわち、耐衝撃性良好)、外観良好であることがわかる。これに対し、比較例の方法で製造した成形品は、強度特性及び耐衝撃性の点で劣り、外観不良であった。
【0050】
表2に加工前の織布の最大荷重と伸度を測定した結果を示す。表1と表2の対比より、本実施例の方法では成形により成形品の強度低下が生じ難いことがわかる。
【0051】
【表2】
【0052】
(実施例2)
(株)ユタカメイク製の市販のポリエチレン製薄手ブルーシート大畳#BS−MK(スリット糸厚さ20μm、スリット幅4mm、織物密度6本×6本/インチ、シート厚さ70μm)を12枚重ね合せたものを、熱プレス機に供給し、プレス温度113℃×10分間、ゲージ圧50kgf/cm
2で熱プレスした後、室温まで放冷し、厚さ1.14mm、目付675g/m
2、計算密度0.592g/cm
3の成形品を得た。成形品の耐衝撃性を評価した結果を表3に示す。
【0053】
(実施例3)
(株)ナフコ製の市販のポリエチレン製ブルーシート厚手#3000(スリット糸厚さ30μm、スリット幅4mm、織物密度12本×12本/インチ、シート厚さ220μm、目付138.9g/m
2)を4枚重ね合せたものを、熱プレス機に供給し、プレス温度113℃×10分間、ゲージ圧50kgf/cm
2で熱プレスした後、室温まで放冷し、厚さ1.43mm、目付722g/m
2、計算密度0.505g/cm
3の成形品を得た。成形品の耐衝撃性を評価した結果を表3に示す。
【0054】
(実施例4)
(株)ナフコ製の市販のポリエチレン製ブルーシート厚手#3000を6枚重ね合せたものを、熱プレス機に供給し、プレス温度113℃×10分間、ゲージ圧50kgf/cm
2で熱プレスした後、室温まで放冷し、厚さ2.00mm、目付918g/m
2、計算密度0.459g/cm
3の成形品を得た。成形品の耐衝撃性を評価した結果を表3に示す。
【0055】
(比較例2)
厚さ1.00mm、重量983g/m
2、計算密度0.983g/cm
3のポリエチレン板を用いた。
【0056】
(比較例3)
市販スーツケースから切り出した、厚さ1.15mm、重量1135g/m
2、計算密度0.987g/cm
3のポリエチレン試験片を用いた。
【0057】
(比較例4)
萩原工業(株)製土嚢袋(スリット糸厚さ約30μm、スリット幅5mm、シート厚さ約0.1mm、目付63.9g/m
2、織密度8.8本×8.8本/インチ)から切り出したポリエチレン製織布を用いた。
【0058】
実施例2〜4および比較例2〜4で得た成形品もしくは試験片の耐衝撃性評価結果を表3にまとめて示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3の結果から本発明により得られる成形品は、軽量で、しかも、耐衝撃性に優れるものであった(
図5参照)。
【0061】
これに対し、比較例の成形品は、耐衝撃性に劣るものであった(
図6参照)。
【0062】
以下の実施例及び比較例では、真空成形法による成形品の製造及び評価を行った。
各種真空成形方法中のストレート法とプラグアシスト法にて評価した。
(参考)
1.ストレート法
メス型(凹形の型)を使用する最も単純な方法と言われ、型の上に加熱したシートをあて、その間を真空に引いて、型に沿わせて成形する方法で、成形品の偏肉が大きくなり、底のコーナー部が最も薄くなる。
2.ドレープ法
凸形の型を使用し、型で突き上げてから真空で引いて型に吸い付けて成形する方法で、深絞りが可能であり、肉厚はストレート法に比べ均一となる。
3.エアースリップ法
加熱シートを圧縮空気で半球状にふくらませ、その中に雄型を入れ、真空で引く成形方法で、均一な肉厚の成形品が可能となる。
4.リバースドロー法
エアースリップ法での雄型に代えて雌型を使用する成形方法で、雌型の反対方向にふくらませることにより、シートを均一に予張し、より均一な肉厚の成形方法が可能となる。
5.プラグアシスト法(補助プラグ法)
雌型を使用して深絞り成形を行う方法で、雌型の上にクランプされた加熱シートを、プラグで雌型にある程度押し込んだ後に真空で引いて成形する。
6.プラグアシストリバースドロー法(圧空真空成形法)
プラグアシスト法と、リバースドロー法を組み合わせた成形方法で、シートの下から空気でブローし、半球状にした後にプラグで雌型にある程度押し込み、真空で引いて成形する方法で、成形面積の大きい厚肉シートの深絞り成形が可能となる。
【0063】
(成形品の形状付与性)
成形品の剥離及び皺発生の有無を目視判定し、剥離及び皺が無い場合:○、剥離は無いが皺が有る場合:△、剥離及び皺が有る場合:×、と評価した。
【0064】
(成形品の堅さ)
成形品が形状保持性を目視判定し、形状保持できる堅さの場合:○、形状保持し難い堅さの場合:△、形状保持できない堅さの場合:×、と評価した。
【0065】
(比較例5)
萩原工業(株)製の、ポリプロピレンスリットヤーンの延伸糸条を織成した織布に、低融点PP樹脂を50μラミネートした、ラミネート織布(厚さ0.5mm、目付242g/m
2、糸幅約2.5mm、織密度15本×15本/インチ)を用いた。ラミネート織布の引張強度は1,955N/50mm,伸度24.3%,355Nであった。
上記のラミネート織布1枚を、ストレート真空法による真空成形機にて、上側のセラミックヒータの温度:120℃、下側のセラミックヒータ温度:100℃で、真空度:0.8〜0.9atm、プレス圧:5〜7kg/cm
2で、10秒間熱成形した後、室温空気にて冷却し、成形品を得た。その結果を表4に示す。
【0066】
(比較例6)
比較例5で用いたラミネート織布シート2枚を、
図7に示す順序で重ね合せたものを、加熱温度160℃、1.2m/min、プレス圧7ton、クリアランス0mmにて貼り合せ、板状シート(引張強度4,148N/50mm、伸度24.5%、引裂強度449N)を得た。得られた板状シートを、比較例5と同様の条件下で熱成形した。その結果を表4に示す。
【0067】
(比較例7)
比較例5で用いたラミネート織布シートを、プラグアシスト法による真空成形機にて、比較例5に準じて熱成形した。その結果を表4に示す。
【0068】
(実施例5)
比較例5で用いたラミネート織布2枚を、
図7に示す順序で重ねたものを、加熱温度160℃、1.2m/min、プレス時の線圧力350kg/cm
2、クリアランス0mmにて貼り合せ、板状シートを得た。得られた板状シートを、プラグアシスト法による真空成形機にて、上側のセラミックヒータの温度:120℃、下側のセラミックヒータ温度:100℃で、真空度:0.8〜0.9atm、プレス圧:5〜7kg/cm
2で、10秒間熱成形した後、室温空気にて冷却し、成形品を得た。その結果を表4に示す。
【0069】
(実施例6)
実施例5で得られた板状シートのPPラミネート側に、PP樹脂を約1mmラミネート貼り付けたシートを作製した。
得られた板状シートを、上側のセラミックヒータ温度:120℃、下側のセラミックヒータ温度:100℃とし、プラグアシスト法による真空成形機にて、真空度:0.8〜0.9atm、プレス圧:5〜7kg/cm
2で、10秒間熱成形した後、室温空気にて冷却し、成形品を得た。その結果を表4に示す。
【0070】
(実施例7)
実施例5で得られた板状シートの織布側に、PP樹脂を約1mmラミネート貼り付けたシートを作製した。
得られた板状シートを、上側のセラミックヒータ温度:120℃、下側のセラミックヒータ温度:100℃とし、プラグアシスト法による真空成形機にて、真空度:0.8〜0.9atm、プレス圧:5〜7kg/cm
2で、10秒間熱成形した後、室温空気にて冷却し、成形品を得た。その結果を表4に示す。
【0071】
(比較例8)
板状シートの真空成形時において、プラグを用いなかった以外は、実施例6と同様の条件で真空成形して成形品を得た。その結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】
(比較例9)
比較例7で得た板状シート2枚を重ね合せ、4ヶ所の端をテープ止めして真空成形機に投入し、実施例6と同様の条件で真空成形した。その結果、形状付与性、堅さともに不充分なものであった。
【0074】
(比較例10)
比較例5で用いた織布とフィルムを、各4層を交互に重ね合せ、4ヶ所の端をテープ止めして真空成形機に投入し、実施例6と同様の条件で真空成形した。その結果、最上面のフィルムが溶融したが、最内層のシートには破れが発生した。このことより、非接着状態で真空成型機に投入した場合は、材料間で熱伝導し難いため、材料を一体化できないことが分った。
【0075】
(比較例11)
実施例6で作製した板状シートにOPPフィルム(厚さ30μm)を重ね合せ、4ヶ所の端をテープ止めして真空成形機に投入し、実施例6と同様の条件で真空成形した。その結果、OPPフィルムを貼り合せることができなかった。