(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超音波発生部は、前記泡面検出部によって検出される泡面の位置に基づいて、泡面の上昇速度を算出し、算出された上昇速度に応じて、超音波の強さを制御するための制御方法を切り換える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の発泡飲料泡立て装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、泡の立ち方は、一定の強さの超音波を一定時間与えた場合であっても、ビールの温度等によって異なる。一方、例えば、飲食店等で提供されるビールの温度は、各飲食店等におけるビールの管理状況等によって、ある程度のばらつきが生じることになる。そのため、特開平8−98675号公報に記載されたようなビール泡立て機においては、ビールの温度にばらつきがあると、泡の立ち方(量)が一定せず、ビールの温度によっては、ジョッキ等から泡が溢れ出してしまう等のおそれがあった。
【0007】
本発明の目的は、ビールの温度等の条件にばらつきがある場合であっても、最終的に形成される泡面の位置(高さ)を一定にすることができる発泡飲料泡立て装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発泡飲料泡立て装置は、容器に収容された発泡飲料に対して泡の形成を行う発泡飲料泡立て装置であって、前記発泡飲料に付与するための超音波を発生する超音波発生部と、前記容器内の泡面の位置を検出する泡面検出部とを備え、前記超音波発生部は、前記泡面検出部によって検出される泡面の位置に基づいて、発生する超音波の強さを制御することを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記超音波発生部は、前記泡面検出部によって検出される泡面の位置が、予め決められた目標泡面位置に一致するように、超音波の強さを制御するようにしてもよい。
【0010】
また、以上の場合において、前記泡面検出部は、前記容器の上方に配置されるようにしてもよい。更に、この場合、前記泡面検出部は、前記容器内の泡面までの距離を検出するようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記超音波発生部は、前記泡面検出部によって検出される泡面の位置に基づいて、泡面の上昇速度を算出し、算出された上昇速度に応じて、超音波の強さを制御するための制御方法を切り換えるようにしてもよい。更に、この場合、前記算出された上昇速度に応じて、超音波の強さを制御するための制御パラメータ(例えば、PIDパラメータ)を切り換えるようにしてもよい。
【0012】
また、以上の場合において、超音波伝達液(例えば、水)を収容するための超音波伝達液収容部と、前記超音波伝達液収容部に収容された超音波伝達液に、前記容器の一部が浸漬するように、前記容器を支持する容器支持部とを更に備え、前記超音波伝達液収容部は、前記超音波発生部によって発生された超音波を前記超音波伝達液に伝達する超音波伝達部を備え、前記容器支持部は、前記容器が前記超音波伝達部に当接しないように、前記容器を支持するようにしてもよい。
【0013】
この場合において、前記容器支持部は、前記容器の底面を支持するようにしてもよい。更に、前記容器支持部は、前記超音波伝達液収容部の内部に配置されているようにしてもよい。
【0014】
本発明に係る発泡飲料泡立て方法は、容器に収容された発泡飲料に対して泡の形成を行う発泡飲料泡立て方法であって、前記発泡飲料に付与するための超音波を発生し、前記容器内の泡面の位置を検出し、検出された泡面の位置に基づいて、発生する超音波の強さを制御することを特徴とする。
【0015】
この場合において、検出される泡面の位置が、予め決められた目標泡面位置に一致するように、超音波の強さを制御するようにしてもよい。
【0016】
また、以上の場合において、前記容器の上方から前記容器内の泡面の位置を検出するようにしてもよい。更に、この場合、前記容器内の泡面までの距離を検出することで、前記容器内の泡面の位置を検出するようにしてもよい。
【0017】
また、以上の場合において、検出された泡面の位置に基づいて、泡面の上昇速度を算出し、算出された上昇速度に応じて、超音波の強さを制御するための制御方法を切り換えるようにしてもよい。更に、この場合、算出された上昇速度に応じて、超音波の強さを制御するための制御パラメータ(例えば、PIDパラメータ)を切り換えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ビールの温度等の条件にばらつきがある場合であっても、最終的に形成される泡面の位置(高さ)を一定にすることができる発泡飲料泡立て装置及び方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、発泡飲料としてのビールの泡立てを行う装置(以下、ビール泡立て装置という)について説明する。本ビール泡立て装置は、グラス等の容器(以下、単に、グラスという)に注がれた状態のビールに対して、超音波を付与することにより、きめの細かいクリーミーな泡を形成し、当該泡によって、グラスに注がれたビールの上面にフタをすることを可能にするものである。
【0021】
また、本ビール泡立て装置は、ビールの温度にある程度(例えば、2〜8℃)のばらつきがある場合であっても、一定の泡(予め決められた所定の高さ(例えば、グラスの縁の高さ)までの泡)を形成することができるものである。
【0022】
図1及び
図2は、本発明によるビール泡立て装置の構成を説明するための図である。
図1は斜視図を示し、
図2は断面図を示す。
【0023】
図1及び
図2に示すように、本発明によるビール泡立て装置10は、本体部100と、スタンド部200とを備える。本実施形態においては、本体部100とスタンド部200とは着脱可能に構成されている。
【0024】
本体部100は、概ね円錐台状の形状を有しており、その上面の中央部に、円形の穴(凹部)が形成されている。当該円形の穴(凹部)には、
図1及び
図2に示すように、グラス20の底部が収容されることになる。更に、本体部100の上面の一端には、ビール泡立て装置10の泡立て機能を動作させるための泡立てボタン120が設けられている。
【0025】
ビール泡立て装置10においては、ビールが注がれたグラス20を本体部100に載置した上で、泡立てボタン120を押すと、グラス20の底面側から付与される超音波によって、グラス20内のビールが泡立てられることになる。
【0026】
本体部100の更なる詳細については後述する。
【0027】
スタンド部200は、グラス20内を照明するための照明部210と、グラス20内に収容されたビールの泡面を検出するための泡面検出部220とを、本体部100に載置されたグラス20の上方に配置するためのものである。
【0028】
ビール泡立て装置10においては、グラス20の上方に配置された泡面検出部220によって、泡面の位置(高さ)を検出し、検出された泡面の位置に基づいて、グラス20の底面側から付与する超音波の強さを制御する。
【0029】
スタンド部200の更なる詳細については後述する。
【0030】
次に、本体部100の詳細について説明する。
【0031】
図3〜
図5は、本体部100の構成を説明するための図である。
図3は斜視図を示し、
図4は平面図を示し、
図5は、
図4のA−A拡大断面図を示す。
【0032】
図3に示すように、本体部100は、概ね円錐台状の形状を有しており、その上面の中央部に、円形の穴(凹部)が形成されている。当該円形の穴(凹部)は、ビールが注がれたグラスを載置するための容器載置部110を構成するものであり、当該円形の穴(凹部)には、ビールが注がれたグラスの底部が収容されることになる。更に、本体部100の上面には、容器載置部110に隣接して、本体部100の泡立て機能を動作させるための泡立てボタン120が設けられている。
【0033】
図4及び
図5に示すように、本体部100は、外形を構成する主要部材として、上部カバー130と、皿部140と、底板部150とを備える。そして、
図5に示すように、上部カバー130と皿部140と底板部150とによって形成される内部空間内には、圧電素子161、基板162及びスイッチ163が収容されている。圧電素子161、基板162及びスイッチ163は、泡立てボタン120が押された際に、超音波を発生させる超音波発生部を構成する。
【0034】
上部カバー130は、本体部100の上部側を構成する部材であって、上面中央部に、皿部140を外部に露出させるための孔が形成されている。また、上面外周側には、泡立てボタン120を外部に露出させるための孔が形成されている。
【0035】
皿部140は、上部カバー130の中央部に設けられた孔を介して外部に露出して、容器載置部110を構成する部材である。皿部140は、超音波を伝達可能な液体である超音波伝達液(本実施形態においては、水)を収容するためのものであり、本体部100を使用する際は、適量の超音波伝達液が皿部140に入れられることになる。また、皿部140の底面には、圧電素子161が取り付けられており、当該圧電素子161によって発生された超音波は、皿部140を介して、皿部140に収容された超音波伝達液に伝達されることになる。そのため、皿部140は、超音波伝達液を収容するのに適し、かつ、圧電素子161によって発生された超音波を超音波伝達液に伝達可能な材料(本実施形態においては、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼)によって構成される。
【0036】
また、本実施形態においては、皿部140の内部(超音波伝達液を収容する部分)に、支持部材170が取り付けられる。支持部材170は、皿部140に収容された超音波伝達液に、ビールが注がれたグラスの一部(本実施形態においては、底部)が浸漬するように、グラスを支持するもの(容器支持部)であって、グラスが皿部140の底板(超音波を超音波伝達液に伝達する部分)に当接しないように、グラスを支持するものである。支持部材170は、グラスが皿部140の底板(超音波伝達部)に当接しないようにすることによって、圧電素子161によって発生された超音波が、皿部140に収容された超音波伝達液だけを介して、グラスに伝達されるようにするものである。本実施形態においては、支持部材170は、グラスと皿部140の底板との間に位置して、グラスの底面を支持することで、グラスが皿部140の底板(超音波伝達部)に当接しないようにする。この場合、支持部材170自体は、皿部140の底板(超音波伝達部)に当接することになるので、支持部材170を介してグラスに超音波が伝達されないよう、支持部材170は、超音波伝達液と比較して、超音波を伝達しにくい材料(例えば、シリコンゴム)で構成される。なお、ここでいう「支持部材170を介してグラスに超音波が伝達されない」には、支持部材170を介して伝達される超音波による影響を実際上、無視できる場合も含まれる。皿部140及び支持部材170の更なる詳細については後述する。
【0037】
底板部150は、本体部100の底面側を構成する部材であり、上部カバー130と一体となって、本体部100の外形を構成する。底板部150には、基板162及びスイッチ163が固定される。
【0038】
なお、本体部100を使用する際は、スタンド部200と連結されることになるが、本体部100の動作に必要な電力は、スタンド部200から供給される。そのため、底板部150の中央部には、スタンド部200が備える給電用のピンが挿入される孔が形成されている。更に、底板部150の中央部には、本体部100とスタンド部200との間でやり取りされる信号用のピンが挿入される孔も形成されている。
【0039】
泡立てボタン120は、ビール泡立て装置10の泡立て機能を動作させるための操作部であって、
図5に示すように、押下部121と、当接部122とを備える。
【0040】
押下部121は、本体部100の泡立て機能を動作させる際に、利用者によって押される部分であり、十分な弾性を有する材料(例えば、シリコンゴム)によって構成される。押下部121の内側面には、当接部122が取り付けられており、押下部121が利用者によって押された際、当接部122が、底板部150に取り付けられたスイッチ163に当接することで、スイッチ163をオン(導通)状態にすることになる。
【0041】
圧電素子161は、泡立てボタン120が押された際に、超音波を発生させる超音波振動子であって、皿部140の底面中央部に固定(接着)されており、皿部140及び皿部140に収容された超音波伝達液を介して、グラスに収容されたビールに超音波を付与するものである。本実施形態においては、圧電素子161は、背の低い円柱状の形状を有している。
【0042】
圧電素子161は、基板162上に実装された超音波発信回路と適宜電気的に接続されており、基板162上に実装された超音波発信回路によって駆動されて、所定の周波数(例えば、100kHz)の超音波を発生させる。圧電素子161は、泡立てボタン120が押されると、超音波発信回路によって適宜駆動されて超音波を発生させ、皿部140及び皿部140に収容された超音波伝達液を介して、グラス内のビールに超音波を付与する。ビール泡立て装置10においては、圧電素子161によって発生される超音波の強さは一定ではなく、泡面検出部220によって検出される泡面の位置に基づいて制御されて、時間と共に変化していくことになる。
【0043】
基板162は、圧電素子161に超音波を発信させるための超音波発信回路が実装されている部材であって、前述したように、底板部150に固定(ねじ留め)される。更に、基板162には、ビール泡立て装置10の動作を制御するためのマイクロプロセッサ(マイクロコントローラ)が実装されている。基板162に実装されたマイクロプロセッサは、例えば、泡立てボタン120が押されてスイッチ163がオンされたことを検出すると、基板162に実装された超音波発信回路の動作を制御することによって、グラス20内に一定の泡を形成する泡立て処理を実行する。当該泡立て処理の詳細については後述する。
【0044】
スイッチ163は、ビール泡立て装置10の泡立て動作を制御するためのものであって、泡立てボタン120を介して押されると、オン状態となり、押されなくなると、オフ状態となる。前述したように、スイッチ163がオン状態になったことを基板162に実装されたマイクロプロセッサが検出すると、泡立て処理が開始される。
図5に示すように、スイッチ163は、底板部150に立設されたスイッチ固定用突起151に固定(ねじ留め)される。
【0045】
次に、皿部140の詳細について説明する。
【0046】
図6は、皿部140の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示し、同図(c)は、同図(a)のB−B断面図を示す。
【0047】
同図に示すように、皿部140は、概ね、背の低い有底円筒状の形状を有しており、その底面中央部には、圧電素子161が固定される。また、皿部140は、その外周部に、外側に張り出すフランジ部141を備えている。
図5に示すように、当該フランジ部141には、シール部材142が取り付けられる。シール部材142は、リング状の形状を有しており、同図に示すように、断面は矩形状で、内周面には、フランジ部141が嵌め込まれる溝が形成されている。シール部材142は、皿部140内に収容された超音波伝達液等が、本体部100の内部に浸入するのを防止するための密封手段であって、例えば、シリコンゴムで構成される。同図に示すように、フランジ部141に取り付けられたシール部材142が、上部カバー130の内側面に形成された突部と、上部カバー130の内側面に固定(ねじ留め)される皿部固定部材143とによって挟持されることによって、皿部140が上部カバー130に対して液密に固定されることになる。
【0048】
次に、支持部材170の詳細について説明する。
【0049】
図7は、支持部材170の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は、同図(a)のC−C断面図を示す。
【0050】
同図に示すように、支持部材170は、複数(本実施形態においては、3本)の細長い平板状の支持片171〜173から構成されており、各支持片171〜173は、一体をなすように、その一端において結合されている。更に、複数の支持片171〜173は、隣接する支持片対が成す角がすべて同一(本実施形態においては、120°)になるように配置されている。すなわち、支持部材170が皿部140内に配置された際、各支持片171〜173は、皿部140の中心部から外周部に向かって延びるように配置されることになる。支持部材170は、かかる構成を有しているので、サイズ(底面の径)が異なるグラス21,22を安定して支持することができるようになっている。
【0051】
また、同図に示すように、支持部材170は、各支持片171〜173の外側の端部に取り付け部174〜176を備えており、当該取り付け部174〜176が、上部カバー130中央部の孔の内周面に設けられた嵌め込み部に嵌り込むことで、支持部材170が固定されることになる。
【0052】
次に、スタンド部200の詳細について説明する。
【0053】
図8及び
図9は、スタンド部200の構成を説明するための図である。
図8は正面図を示し、
図9は断面図を示す。
【0054】
図8及び
図9に示すように、スタンド部200は、ベース部230と、直立部240と、張り出し部250とを備える。
【0055】
ベース部230は、ビール泡立て装置10のベースとなる部分であって、ベース部230上に本体部100が装着されることになる。ベース部230の中央部には、円柱状の突出部231が設けられており、更に、突出部231の上面からは、電力供給用及び信号送受信用の複数(本実施形態においては、5本)のピン232が突出している。前述したように、当該ピン232を介して、本体部100に電力が供給される共に、本体部100とスタンド部200との間で信号のやり取りがされることになる。
【0056】
直立部240は、ベース部230の一端から、垂直方向に延びて、張り出し部250を一定の高さに支持するためのものである。直立部240の内部には、照明部210及び泡面検出部220に電力を供給等するための配線(不図示)が通ることになる。また、直立部240の下端部付近には、電力を外部から供給するための電源ケーブル(不図示)を接続するための端子241が設けられている。
【0057】
張り出し部250は、直立部240の先端部分から、水平方向に延びて、照明部210及び泡面検出部220を、容器載置部110の上方に位置させるためのものである。
【0058】
照明部210は、容器載置部110に載置されたグラスの内部を照明して、視覚的効果を与えるものであって、発光ダイオード(LED)211と、導光用レンズ212とを備える。
【0059】
泡面検出部220は、容器載置部110に載置されたグラスの上方に配置されて、グラス20内に収容されたビールの泡面の位置(高さ)を検出するものであり、泡面までの距離を検出する赤外線距離センサと、赤外線距離センサから出力される検出距離(に対応する電圧値)をデジタルデータに変換するA/D変換器と、A/D変換器によってデジタルデータに変換された検出距離(電圧値)を本体部100に送信等する通信回路とを備える。例えば、泡面検出部220は、電力が供給されると、泡面までの距離の検出を開始し、検出された距離をデジタルデータに変換した上で、本体部100へ送信する処理を定期的に繰り返す。
【0060】
次に、以上のような構成を有するビール泡立て装置10における泡立て処理について説明する。
【0061】
図10は、ビール泡立て装置10における泡立て処理を実現するための泡面位置制御を説明するための図である。
【0062】
同図に示すように、ビール泡立て装置10は、泡面位置制御を実現するための構成要素として、泡面検出部220と、マイクロプロセッサ101と、超音波発信回路102と、圧電素子161とを備える。前述したように、マイクロプロセッサ101と超音波発信回路102とは基板162に実装されている。また、マイクロプロセッサ101、超音波発信回路102及び圧電素子161は、グラス20内のビール30に付与するための超音波を発生する超音波発生部を構成する。
【0063】
泡面検出部220は、泡面の位置(高さ)を検出するものであって、本実施形態においては、赤外線距離センサ221によって、泡31の上面の位置(高さ)を検出する。すなわち、泡31の上面に向かって、赤外線を照射して、泡31の上面までの距離dを検出することで、泡31の上面の位置(高さ)を検出する。赤外線距離センサ221によって検出された泡面までの距離dに対応する電圧値(アナログデータ)は、泡面検出部220が備えるA/D変換器222によってデジタルデータに変換されて、マイクロプロセッサ101に定期的に送られる。
【0064】
マイクロプロセッサ101は、内蔵メモリ1011に記憶されたプログラムを実行することで、泡面位置制御を行う制御部(調節部)を構成するものである。マイクロプロセッサ101は、泡面検出部220から順次送られてくる検出泡面位置(泡面までの距離データ)、及び、予め設定された目標泡面位置(例えば、グラス20の縁までの距離データ)に基づいて、検出泡面位置が目標泡面位置に一致するように、超音波発信回路102を操作するための操作量を算出し、算出された操作量に基づいて、超音波発信回路102の動作を制御することによって、圧電素子161によって発生される超音波の強さを制御する。より具体的には、泡面までの検出距離dと、予め設定された目標距離Dとの偏差eが0になるように、圧電素子161によって発生される超音波の強さを制御する。本実施形態においては、マイクロプロセッサ101は、通常のPID演算を行うことで操作量を算出する。
【0065】
なお、例えば、ビールの温度が2℃の場合と8℃の場合とでは、泡の立ち方が大きく異なるので、本実施形態においては、PIDパラメータを複数組(より具体的には、2組)用意して、泡の立ち具合によって、PIDパラメータを切り換えるようにしている。PIDパラメータの切換処理については後述する。
【0066】
超音波発信回路102は、圧電素子161を駆動して、超音波を発信させるためのものであって、マイクロプロセッサ101の制御により、圧電素子161に発生させる超音波の強さを変化させることができるように構成されている。
【0067】
圧電素子161は、超音波発信回路102によって駆動されて超音波を発生させ、グラス20内のビール30に超音波を付与する。圧電素子161によって発生される超音波の強さは、泡面検出部220によって検出される泡面の位置に基づいて制御されて、時間と共に変化していく。
【0068】
図11は、マイクロプロセッサ101によって実行される泡立て処理の流れを説明するためのフローチャートである。同図に示す処理は、マイクロプロセッサ101が泡立てボタン120が押されたことを検出すると実行されるものである。
【0069】
同図に示すように、まず、マイクロプロセッサ101は、超音波発信回路102を動作させ、圧電素子161を、予め決められた強さ(例えば、最大の強さ)の超音波を発生するように駆動する(S1)。
【0070】
次に、泡面上昇速度算出処理を行う(S2)。すなわち、泡面検出部220から送られている泡面位置情報に基づいて、泡面の上昇速度を算出する。例えば、マイクロプロセッサ101は、泡面検出部220から順次送られている2つの時刻t
1,t
2の泡面位置情報d
1,d
2に基づいて、泡面の上昇速度(絶対値)v=|d
2−d
1|/(t
2−t
1)を算出する。
【0071】
次に、算出された泡面上昇速度が、予め決められた値(V)以上であるか否かが判別される(S3)。判別の結果、算出された泡面上昇速度が、予め決められた値(V)以上であった場合は(S3:Yes)、泡の立ちやすい条件下にあるビール(例えば、相対的に高温のビール)であると判断して、泡の立ちやすい場合用として予め用意されているPIDパラメータ(高速用PIDパラメータ)を、制御に使用するPIDパラメータとして設定する(S4)。一方、算出された泡面上昇速度が、予め決められた値(V)未満であった場合は(S3:No)、泡の立ちにくい条件下にあるビール(例えば、相対的に低温のビール)であると判断して、泡の立ちにくい場合用として予め用意されているPIDパラメータ(低速用PIDパラメータ)を、制御に使用するPIDパラメータとして設定する(S5)。
【0072】
次に、設定されたPIDパラメータを使ったPID制御が行われる(S6)。すなわち、設定されたPIDパラメータを使ったPID演算が行われて、操作量が算出され、算出された操作量に基づいて、超音波発信回路102の動作を制御することによって、算出された操作量に対応する強さの超音波を、圧電素子161に発生させる。そして、このようなPID制御を継続することによって、泡面の高さが目標位置に達すると、泡立て処理を終了する。
【0073】
以上のような処理を行うことにより、グラス内においては、予め設定された高さまで泡が形成されることになる。
【0074】
次に、以上のような構成を有するビール泡立て装置10の使用方法について説明する。
【0075】
利用者は、まず、本体部100の容器載置部110(皿部140)に適量の水(超音波伝達液)を注入する。水は、皿部140内に配置された支持部材170の支持片171〜173が、完全に水の中に沈む程度の量を注入する。
【0076】
容器載置部110(皿部140)への水の注入が完了したら、次に、利用者は、ビールを注ぐためのグラスに、適量(例えば、小瓶1本分)のビールを注ぎ、ビールが注がれたグラスを容器載置部110(皿部140)に載置する。なお、先に空のグラスを容器載置部110に載置した上で、適量のビールを注ぐようにしてもよい。容器載置部110(皿部140)に載置されたグラスは、その底部が皿部140に収容された水に浸かった状態で、支持部材170に支持されることになる。この時、グラスは、皿部140の底板(超音波伝達部)に当接しない状態で、支持されることになる。
【0077】
適量のビールが注がれたグラスの容器載置部110(皿部140)への載置が完了したら、次に、利用者は、泡立てボタン120を押す。
【0078】
泡立てボタン120が押されたことを、基板162上に実装されたマイクロプロセッサ101が検出すると、前述した泡立て処理が開始される。すなわち、
図11に示した泡立て処理が実行される。前述したように、当該泡立て処理においては、マイクロプロセッサ101は、泡面検出部220によって検出される泡面の位置(高さ)に基づいて、基板162上に実装された超音波発信回路102を制御することによって、圧電素子161によって発生される超音波の強さを適宜制御する。
【0079】
圧電素子161によって発生された超音波は、皿部140、及び、皿部140に収容された水を介して、グラス内に収容されたビールに対して付与される。その結果、グラス内に、きめの細かいクリーミーな泡が形成され、形成された泡は、ビールの上面に向かって上昇していく。この際、グラスは、皿部140の底板(超音波伝達部)に当接していないので、圧電素子161によって発生された超音波は、皿部140の超音波伝達部から直接、グラスに伝達されることはなく、すべて、超音波伝達液である水を介して、グラスに伝達されることになる。その結果、グラスを皿部140の底板上に直接載置した場合に生じる、皿部140の底板上面とグラスの底面との接触状態が、グラスの個体差や、グラスを載置する位置等によって、一定しないことによる影響を排除することが可能となり、グラスを皿部140の底板上に直接載置した場合に比較して、泡の立ち方を安定させることが可能となり、泡の立ち具合を制御するのが容易になる。
【0080】
グラス内において形成されたきめの細かいクリーミーな泡が、ビールの上面に向かって上昇する結果、グラスに注がれたビールの上面に、きめの細かいクリーミーな泡によるフタがされることになる。
【0081】
そして、泡面の位置(高さ)が予め決められた所定の位置(例えば、グラスの縁の高さ)に達すると、基板162上に実装されたマイクロプロセッサ101は、泡立て処理を終了する。その結果、グラス内においては、予め決められた位置(高さ)まで泡が形成され、グラスに注がれたビールの上面に、適量の泡が形成されることになる。
【0082】
以上説明したように、本発明によるビール泡立て装置10によれば、泡面検出部220によって泡面の位置を検出し、検出された泡面の位置に基づいて、超音波の強さを制御しているので、泡の立ち方に影響する条件(例えば、ビールの温度)にばらつきがあった場合であっても、グラス等から溢れ出すこと等なく、一定の高さまで泡を形成することが可能となる。
【0083】
更に、上述した実施形態においては、最初に、泡面の上昇速度を算出し、算出された上昇速度に応じて、制御方法(より具体的には、制御に利用するPIDパラメータ)を切り換えるようにしているので、泡の立ち方に影響する条件のばらつきが大きい場合(例えば、ビール温度のばらつきが2〜8℃である場合や、ガスボリュームの違いにより泡の立ち方が大きく異なることとなる複数種のビールについて利用される場合)であっても、グラス等から溢れ出すこと等なく、一定の高さまで泡を形成することが可能となる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態においては、皿部140内に、支持部材170を設けるようにしていたが、支持部材170を設けることなく、グラスを皿部140に直接載置するようにすることも考えられる。
【0085】
更に、上述した実施形態においては、複数組のPIDパラメータを用意して、算出された泡面上昇速度に応じて、PIDパラメータを切り換えるようにしていたが、対象となる条件のばらつきの程度によっては、一組のPIDパラメータだけを用意するようにすることも考えられる。
【0086】
また、上述した実施形態においては、泡面の位置を検出するために、赤外線距離センサを使用していたが、他のセンサ(例えば、超音波距離センサ)を使用することも考えられる。