(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740752
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】伸縮式引出しガイド
(51)【国際特許分類】
A47B 88/04 20060101AFI20150611BHJP
A47B 88/08 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
A47B88/04 A
A47B88/08
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-501202(P2011-501202)
(86)(22)【出願日】2009年3月24日
(65)【公表番号】特表2011-515169(P2011-515169A)
(43)【公表日】2011年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2009053450
(87)【国際公開番号】WO2009118316
(87)【国際公開日】20091001
【審査請求日】2011年10月26日
(31)【優先権主張番号】202008004100.7
(32)【優先日】2008年3月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥシン, ダルコ
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−130362(JP,A)
【文献】
米国特許第05310255(US,A)
【文献】
米国特許第05890784(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの締結具(13、14、28、29、30、31)によって家具本体に直接または間接に固定される固定案内レール(12)を有する、前記家具本体において伸長可能かつ後退可能な引出し部用の伸縮式引出しガイド(10)であって、
前記固定案内レール(12)と前記締結具(13、14、28、29、30、31)の各々との間の接続が、孔(18、19)に係合して隣接する端縁領域と重なり合う少なくとも1つの屈曲形ウェブ(16、17)と、開口内に挿入される固定用ウェブ(26)とから形成され、
前記屈曲形ウェブ(16、17)の各々が、前記固定案内レール(12)へのノッチを形成することによって作られており、
前記屈曲形ウェブ(16、17)の各々が、前記引出しガイドの取り付け位置に対して、前記固定案内レール(12)の下脚からの成形によって作られており、
前記固定用ウェブ(26)の各々が、前記締結具(13、14、28、29、30、31)に設けられた2つの打抜き領域(20、21)間に設けられた領域の変形によって形成されており、前記固定案内レール(12)の開口に係合することを特徴とする伸縮式引出しガイド。
【請求項2】
前記屈曲形ウェブ(16、17)の各々の自由脚が、前記孔(18、19)に隣接する締結具(13、14、28、29、30、31)の領域と重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項3】
前記締結具(13、14、28、29、30、31)と前記固定案内レール(12)との接続が少なくとも2つの間隔を開けた屈曲形ウェブ(16、17)によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項4】
前記屈曲形ウェブ(16、17)の各自由脚の端部領域が、挿入用斜面を形成するように傾斜されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項5】
前記固定用ウェブ(26)が、前記固定案内レール(12)の縦方向中心軸線を横切って延びていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項6】
前記締結具が、締結用アングル(13、14、30、31)の形で実施されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項7】
前記伸縮式引出しガイド(10)用の締結具が、保持板(23)の形で実施され、前記保持板(23)の端縁領域が、家具本体の側壁に固定されることを特徴とする請求項1に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項8】
前記保持板(23)が、端縁領域に、前記引出しガイド(10)の前記固定案内レール(12)の前記屈曲形ウェブ(16、17)が係合する前記孔(18、19、27)を有していることを特徴とする請求項7に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項9】
前記保持板(23)の端縁領域のそれぞれが、家具本体の側壁に取り付けまたは形成された少なくとも1つの保持用ウェブに固定されることを特徴とする請求項7または8に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項10】
前記保持板(23)の端縁領域が、2つの間隔を開けた前記保持用ウェブによって形成されたスロット内に形状嵌合式および/または摩擦係合式に固定されることを特徴とする請求項9に記載の伸縮式引出しガイド。
【請求項11】
保持板(23)の形で実施された前記締結具と前記引出しガイド(10)の前記固定案内レール(12)との間の接続が、請求項1〜5のいずれか一項に従って実施されることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の伸縮式引出しガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの締結具によって家具本体に固定される固定案内レールを有し、家具本体において伸長可能かつ後退可能な引出し部用の伸縮式引出しガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
伸縮式引出しガイドは多数の実施形態で知られている。1つの単純な実施形態は、引出し部に固定され、引出し部の伸長及び後退時に固定案内レールによって案内される引出しレールをさらに備えている。しかしながら、引出し部が家具本体からほぼ完全に引き出されるように、案内レールに対して可動で案内レールに案内される、いわゆる中間レールを有する引出しガイドも知られている。
【0003】
家具本体は、収納棚である場合もあるが、皿洗い機、冷蔵庫などの家庭用電化製品のハウジングであってもよい。家具本体の種類に応じて、引出し部は、例えば、引出し、かご、または同様のトレイの形で設計される。
【0004】
引出しガイドにおいて、案内レールおよび引出しレール、場合によっては中間レールも鋼からなる。現時点までに知られている引出しガイドでは、締結具と案内レールとの間の接続は、溶接アングルによって形成されている。この解決策は、それ自体公知ではあるが、表面被覆された構成部品が、例えば、ラッカー塗りであったり、粉末被覆であったり、亜鉛めっきが施されていたりする場合には、使用できないという不利益がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、冒頭に詳細に記載したタイプの伸縮式引出しガイドを、溶接接合具を不要にして、表面被覆がすでに施された形材やレールも使用できるように設計するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、案内レールと各締結具との間の接続が、孔に係合して隣接する端縁領域と重なり合う少なくとも1つの屈曲形ウェブと、開口内に挿入される固定用ウェブとから形成されることで達成される。
【0007】
各屈曲形ウェブによって、孔に隣接する領域が挿入されるポケットが形成されている。案内レールが引出し部の引出し方向への変位に対して固定されるように、固定用ウェブも開口の形状に成形または押込み形成されている。引出しガイドのレールの表面被覆と締結具の表面被覆が異なっていてもよいというさらなる利点も見られる。
【0008】
第1の実施形態では、各屈曲形ウェブが、案内レールに設けられたノッチを形成することによって作られている。このノッチとその形成とは、適切な工具を用いることで、1つの作業工程で行うことができる。屑が発生しないというさらなる利点も見られる。案内レールは鋼からなるので、冷間成形が可能である。
【0009】
各屈曲形ウェブが、引出しガイドの取り付け位置に対して、案内レールの下脚からさらに形成される。案内レールの下脚は、引出しの形状の引出し部の場合には、床の面内に位置するか、床と平行で少し離れている。
【0010】
別の実施形態では、各屈曲形ウェブの自由脚が孔に隣接する案内レールの領域と重なり合う。
【0011】
さらに、各締結具が少なくとも2つの間隔を開けた屈曲形ウェブによって案内レールに接続されている。案内レールは、通常、2つの間隔を開けた締結具を介して接続され、その接続は4つの屈曲形ウェブによって全体的に行われる。
【0012】
締結具を屈曲形ウェブによって画定されたポケットに挿入しやすくするため、屈曲形ウェブの各自由脚の端部領域が、挿入用斜面を形成するように傾斜されている。
【0013】
案内レールを引出し部の引出し方向に対して固定させるため、固定用ウェブが案内レールの縦方向中心軸線を横切って延びている。この固定用ウェブは、好ましい実施形態では、開口に係合する。固定用ウェブは、案内レールに設けられた開口に係合することが好ましい。各固定用ウェブは、この実施形態では、締結具の脚の2つの打抜き領域間に残存するウェブを変形させることによって形成される。
【0014】
好ましい実施形態では、締結具は、締結用アングルの形で実施される。案内レールと関連する脚が、案内レールに既述のようにして接続され、他方の脚が、家具本体の対向面に押し当たる。家具本体への接続は、例えば、ねじによって行うことができる。家具本体が金属からなる場合には、リベットなど、適切な接合具が使用されてもよい。これら締結用アングルは、接触脚がレール系に側方で隣接するか、下向きにされるようにして案内レールに接続されてもよい。
【0015】
別の実施形態では、案内レールと各締結具との上述の接続が、例えば、家具本体が冷蔵庫の一部である場合に、家具本体から外側へ移動可能な引出し部を受け入れるように使用可能であることももたらされる。冷蔵庫の本体は、不変のままであるべきである。従って、別の実施形態では、伸縮式引出しガイド用の締結具が、保持板の形で実施され、保持板の端縁領域が、家具本体の正反対に対向する壁に固定される。
【0016】
この実施形態では、例えば、冷蔵庫内で、冷蔵空間をさらに仕切るために設けられた中間床、あるいは床自体が、引出しガイドを床上に固定するために使用されることが可能である。
【0017】
この実施形態では、好ましい実施形態において、保持板が、その端縁領域に、案内レールの屈曲形ウェブが係合する孔を有する。この実施形態では、家具本体の側壁に対して垂直な締結用アングルの脚の代わりに、保持板の端縁領域が用いられる。
【0018】
保持板の端縁領域を固定するため、保持板の端縁領域のそれぞれが、家具本体の側壁に固定された少なくとも1つの保持用ウェブに固定されると有利である。これらの接続は、保持板が家具本体の内側に形状嵌合式および/または摩擦係合式に固定されるように設計される必要がある。
【0019】
しかしながら、冷蔵庫の冷蔵空間を画定する側壁には、通常、互いに対向する側面に、中間床の端縁領域が挿入可能な2つの間隔を開けた保持用ウェブが設けられている。したがって、別の設計では、保持板の端縁領域が、2つの間隔を開けた保持用ウェブによって形成されたスロット内に形状嵌合式および/または摩擦係合式に固定される。このことは、例えば、保持板の対応する厚みによって達成可能である。保持板の端縁領域と案内レールの2つの下脚との接続は、屈曲形締結具を用いる接続と同じか、またはほぼ同じである。
【0020】
本発明を添付の図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、締結具が取り付けられた本発明に係る伸縮式引出しガイドを斜視で示す。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に係る引出しガイドを、屈曲形ウェブ、部分的に伸長された引出しレールおよび中間レールに向かって斜視で示す。
【
図6】
図6は、引出しガイドの保持板の端縁領域上への締結を正面視で示す。
【
図7】
図7は、保持板の表面に向かって見た、
図6に対応する斜視図を示す。
【
図8】
図8は、引出しガイドが締結された保持板を底面視で示す。
【
図9】
図9は、別の実施形態において締結具を有する引出しガイドの図を示す。
【
図10】
図10は、別の実施形態において締結具を有する引出しガイドの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す引出しガイド10は、伸長可能な引出しレール11と、中間レール22と、締結用アングル13、14の形の2つの締結具によって家具本体(図示せず)に固定される案内レール12とを備えている。例えば、引出し(図示せず)が引出しレール11上に固定される。この目的のため、引出しレール11には、引出し方向に、保持用アングル15と、フロントストッパ25とが設けられている。
図1は、さらに終端位置ダンパ24も示している。案内レール12と屈曲形ウェブ16、17との接続は、後により詳細に説明する。
【0023】
図2および
図3に係る実施形態は、特定の量だけ伸長可能な引出し伸長用中間レール22を有する引出しガイドを示す。
図2は、案内レール12の下脚に4つの屈曲形ウェブ16、17が設けられていることを示している。これら屈曲形ウェブ16、17は、ノッチによって形成されており、ノッチによって区切られた材料領域が屈曲形ウェブに形成されている。締結具13、14の関連する脚には、孔18、19が設けられており、この孔内を屈曲形ウェブ16、17が案内され得る。案内レール12を引出し方向に移動させた後、これら屈曲形ウェブは、隣接する端縁領域と重なり合い、脱落防止のアンダーカットを形成する。この実施形態は、特に
図4において認識できる。さらに、この図からは、締結用アングル13、14の各脚の一端部領域に2つの別の打抜き領域20、21が設けられ、固定用ウェブ26によって互いに切り離されていることも分かる。引出しガイド10の製造過程で、この固定用ウェブ26は、変形され、案内レール12の開口(図示せず)に係合する。これによって、案内レール12の長手方向の固定がもたらされる。
【0024】
実施形態から分かるように、締結用アングル13、14の形の締結具は、案内レール12に対して形状嵌合かつ摩擦係合式に接続されている。引出し伸長用中間レールは、参照符号22によって特定され、超過の伸長を可能にする。
【0025】
図5も、屈曲形ウェブ16、17が孔18、19を貫通して、その自由脚の自由端部領域が折れ曲がって挿入用斜面を形成していることを示している。屈曲形ウェブ16、17の自由端部領域は、孔18、19によって形成された端縁領域の下方に係合する。
【0026】
図6〜
図8は、2つの伸縮式引出しガイド10が、締結用アングル13、14に対するのと同様にして保持板23の端縁領域に対して固定された実施形態を示す。
図6は、互いに対向する2つの案内レール12の脚から形成された屈曲形ウェブ16、17が保持板23の下方に係合していることを示している。引出しガイド10は、
図1〜
図5に係る実施形態に相当する。
【0027】
図6は、保持板23の側方端縁領域が家具本体の保持用ウェブに(詳細には図示しない方法で)固定され得るように、引出しガイド10が保持板23の長手方向外縁から少し離れていることを示している。
図7は、特に、各引出しガイド10が引出しレール11と、案内レール12と、引出し伸長用中間レール22とを備えていることを示している。
図6は、各引出しガイド10に、公知の終端位置ダンパ24(詳細には説明せず)が設けられていることも示している。
【0028】
図8は、保持板23の端縁領域のそれぞれに、互いに少し離れて配置され、既述のようにして屈曲形ウェブ16、17が係合する4つの孔18、19が設けられていることを示している。
【0029】
保持板23の端縁領域は、詳細には図示しない方法で、例えば、冷蔵空間を画定する家具本体の側壁に取り付けまたは形成されたスロットに挿入される。引出し部、好ましくは引出しは、詳細には図示しない方法で引出しレール11を介して引出しガイド10に固定され得る。
【0030】
図9は、伸縮式引出しガイド10が、締結用アングル13、14に対するのと同様にして締結具28、29に対して固定された実施形態を示す。
【0031】
互いに対向する2つの案内レール12の脚から形成された屈曲形ウェブ16、17は、締結具28、29の下方に係合する。引出しガイド10は、
図1〜
図5に係る実施形態に相当する。締結具28、29は、特に冷蔵庫本体内での引出しガイド10の床への取り付けに特に適している。
【0032】
図10は、伸縮式引出しガイド10が、締結用アングル13、14に対するのと同様にして締結用アングル30、31に対して固定された実施形態を示す。
【0033】
互いに対向する2つの案内レール12の脚から形成された屈曲形ウェブ16、17は、締結用アングル30、31の下方に係合する。引出しガイド10は、
図1〜
図5に係る実施形態に相当する。締結用アングル30、31は、特に冷蔵庫本体内での引出しガイド10の側壁への取り付けに特に適している。
【0034】
本発明は、例示の実施形態に限定されない。案内レール12の脚のノッチの変形によって形成される屈曲形ウェブ16、17が案内レール12上に配置されていることが重要である。各締結具13、14には、2つの孔18、19、27が設けられていることが好ましい。さらに、締結具13、14に、変形によって案内レール12の開口の形状に形成された固定用ウェブ26によって互いに切り離された2つの別の打抜き領域20、21が設けられていることが重要である。これによって、引出しガイド10の引出し方向に対する固定が達成される。
【0035】
しかしながら、引出しガイド10は、本発明に従う締結解決策を実現するために引出し伸長用中間レール22を有している必要はない。
【符号の説明】
【0036】
10 引出しガイド
11 引出しレール
12 案内レール
13 締結用アングル
14 締結用アングル
15 保持用アングル
16 屈曲形ウェブ
17 屈曲形ウェブ
18 孔
19 孔
20 打抜き領域
21 打抜き領域
22 中間レール
23 保持板
24 終端位置ダンパ
25 フロントストッパ
26 固定用ウェブ
27 孔
28 締結具
29 締結具
30 締結用アングル
31 締結用アングル