(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明のように、単段のヒートポンプを用いるだけでは、熱をくみ上げる温度差、つまり蒸発器側と凝縮器側との温度差が大きく、ヒートポンプの効率が悪い。
【0007】
また、前記特許文献2に記載の発明のように、ヒートポンプを単に上下複数段に設置しても、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献1に記載の発明と同様に、ヒートポンプ全体で見た場合のくみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
【0008】
また、前記特許文献3に記載の発明のように、ヒートポンプを左右並列に設置しても、左右のヒートポンプが同一構成で、最下段の蒸発器からだけ熱をくみ上げるのでは、前記特許文献2に記載の発明と同様に、くみ上げる温度差が大きく、ヒートポンプの効率向上に限界がある。
【0009】
さらに、熱源流体が温水や排ガスなどであり、ヒートポンプに熱(顕熱)を与えつつ自身は温度低下を伴う場合、左右同一構成で並列に設置されたヒートポンプに熱源流体を通すだけでは、下流側のヒートポンプでは熱源流体の温度が低下してしまうので、これを考慮する必要もある。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることにある。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応できる蒸気発生システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、単段または複数段の第一ヒートポンプと、この第一ヒートポンプより段数の多い第二ヒートポンプとを備え、前記第一ヒートポンプの最下段の蒸発器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とに、熱源流体が順に通され、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、前記第二ヒートポンプの最上段の凝縮器とにおいて、水を加熱して蒸気を発生させ
、前記第一ヒートポンプは、単段のヒートポンプから構成され、前記第二ヒートポンプは、二段のヒートポンプを備え、前記第一ヒートポンプの蒸発器と、前記第二ヒートポンプの下段の蒸発器とに順に通される熱源流体から熱をくみ上げ、前記第二ヒートポンプの上段の凝縮器と、前記第一ヒートポンプの凝縮器とにおいて、水を加熱して蒸気を発生させ、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、前記第二ヒートポンプの最上段の凝縮器とにおいて、水を加熱して同一圧力の蒸気を発生させ、前記第二ヒートポンプの上段の冷媒蒸発温度は、前記第一ヒートポンプの冷媒蒸発温度と同一とされ、前記第二ヒートポンプの上段の冷媒凝縮温度は、前記第一ヒートポンプの冷媒凝縮温度と同一とされ、T−S線図上において、前記第一ヒートポンプの圧縮機出口点(Th,S2)と前記第二ヒートポンプの下段の膨張弁出口点(Tl,S1)とを斜線で結んだ場合に、前記第一ヒートポンプの膨張弁出口点が前記斜線上に配置されるように、前記第二ヒートポンプが構成されることを特徴とする蒸気発生システムである。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、第一ヒートポンプの最下段の蒸発器と、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器とから熱をくみ上げて、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第二ヒートポンプの最上段の凝縮器とにおいて、蒸気を発生させることができる。この際、熱源流体は、第一ヒートポンプの最下段の蒸発器を通された後、第二ヒートポンプの最下段の蒸発器に通される。そして、第二ヒートポンプの段数を第一ヒートポンプより多くしておくことで、第一ヒートポンプにおいて熱源流体が冷やされた分を第二ヒートポンプがカバーして、第一ヒートポンプを通過後の熱源流体からも再び熱をくみ上げることができる。また、第一ヒートポンプでは、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機の電力を少なくでき、蒸気発生システムの効率を向上することができる。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、単段のヒートポンプと二段のヒートポンプとを少なくとも備え、その各最下段の蒸発器に熱源流体を順に通して、各最上段の凝縮器において蒸気を発生させることができる。
請求項1に記載の発明によれば、第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第二ヒートポンプの最上段の凝縮器とにおいて、同一圧力の蒸気を発生させることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記第二ヒートポンプは、並列に設置された複数のヒートポンプから構成され、この複数のヒートポンプは、各最下段の蒸発器に熱源流体が順に通され、この熱源流体が通される順に段数が多くなるよう構成され、各最上段の凝縮器において水を加熱して蒸気を発生させ
、前記第二ヒートポンプを構成する複数のヒートポンプは、各最下段の蒸発器に熱源流体が順に通され、この熱源流体が通される順に一段ずつ段数が多くなるよう構成され、各最上段の凝縮器において水を加熱して蒸気を発生させ、T−S線図上において、前記第一ヒートポンプの圧縮機出口点(Th,S2)と、前記第二ヒートポンプを構成する複数のヒートポンプの内で熱源流体が最後に通されるヒートポンプの最下段の膨張弁出口点(Tl,S1)とを斜線で結んだ場合に、前記第二ヒートポンプを構成する複数のヒートポンプの各最下段の膨張弁出口点が前記斜線上に配置されるように、前記第二ヒートポンプが構成されることを特徴とする
請求項1に記載の蒸気発生システムである。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、蒸気発生システム全体でみると、単段または複数段で構成される三つ以上のヒートポンプを備えることになる。そして、この複数のヒートポンプは、各最下段の蒸発器に熱源流体が順に通され、この熱源流体が通される順に段数が多くなるよう構成され、各最上段の凝縮器において水を加熱して蒸気を発生させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、熱源流体が通される順に一段ずつ段数が多くなるよう構成することで、簡易な構成で効率よく熱をくみ上げて蒸気を発生させることができる。
【0021】
請求項3に記載の発明は
、前記第二ヒートポンプは、複数段の場合、隣接する段のヒートポンプ同士が次の(a)〜(c)のいずれかの関係で接続されることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の蒸気発生システムである。
(a)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器を備え、この間接熱交換器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(b)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
(c)下段ヒートポンプの圧縮機からの冷媒と上段ヒートポンプの膨張弁からの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と上段ヒートポンプの凝縮器から膨張弁を介することなく下段ヒートポンプの膨張弁へ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器を備え、この中間冷却器が下段ヒートポンプの凝縮器であると共に上段ヒートポンプの蒸発器である。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば
、第二ヒートポンプを複数段で構成することができ、隣接する段のヒートポンプ同士を間接熱交換器または中間冷却器で接続して、蒸気発生システムを構成することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明は、次の(a)〜
(e)の内、いずれか一以上のサブ熱交換器を備え、前記第二ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第一サブ熱交換器が設置される場合にはその第一サブ熱交換器と、前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器と、第二サブ熱交換器が設置される場合にはその第二サブ熱交換器とへの水や蒸気の流通順序について、第一サブ熱交換器および/または第二サブ熱交換器が設置される場合にはこのサブ熱交換器を前記各ヒートポンプの最上段の凝縮器よりも先になるように設定され、前記第一ヒートポンプの最下段の蒸発器と、第三サブ熱交換器が設置される場合にはその第三サブ熱交換器と、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器と、第四サブ熱交換器が設置される場合にはその第四サブ熱交換器とへの熱源流体の流通順序について、前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器が後になるように設定されることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
(a)前記第二ヒートポンプの最上段の凝縮器から膨張弁への冷媒と水との第一サブ熱交換器。
(b)前記第一ヒートポンプの最上段の凝縮器から膨張弁への冷媒と水との第二サブ熱交換器。
(c)前記第一ヒートポンプの最下段の蒸発器から圧縮機への冷媒と熱源流体との第三サブ熱交換器。
(d)前記第二ヒートポンプの最下段の蒸発器から圧縮機への冷媒と熱源流体との第四サブ熱交換器。
(e)前記第二ヒートポンプが複数段の場合において隣接する段のヒートポンプの冷媒同士を間接熱交換する場合には、下段ヒートポンプの圧縮機から凝縮器への冷媒と上段ヒートポンプの蒸発器から圧縮機への冷媒との第五サブ熱交換器
。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、第一サブ熱交換器を冷媒の過冷却器としたり、第二サブ熱交換器を冷媒の過冷却器としたり、第三サブ熱交換器を冷媒の過熱器としたり、第四サブ熱交換器を冷媒の過熱器としたり、さらに第五サブ熱交換
器を適宜設置したりして、蒸気発生システムの効率を向上することができる。
【0025】
さらに、
請求項5に記載の発明は、前記熱源流体は、蒸気使用設備からのドレンとされることを特徴とする
請求項1〜4のいずれか1項に記載の蒸気発生システムである。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、蒸気使用設備からのドレンから熱回収して、蒸気を発生させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、システム全体で見た場合におけるくみ上げ温度差を低減し、それによりシステムの効率向上を図ることができる。また、熱源流体がヒートポンプに顕熱を与える場合、それに伴う温度低下にも対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の蒸気発生システムは、単段または複数段で構成されるヒートポンプを複数備える。そして、この複数のヒートポンプは、各最下段の蒸発器に熱源流体が順に通され、この熱源流体が通される順に段数が多くなる(典型的には一段ずつ段数が多くなる)よう構成され、各最上段の凝縮器において水を加熱して蒸気(典型的には同一圧力の蒸気)を発生させる。
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の蒸気発生システム1の実施例1を示す概略図である。
本実施例の蒸気発生システム1は、第一ヒートポンプ2と第二ヒートポンプ3とを並列に備える。
【0031】
第一ヒートポンプ2は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では単段のヒートポンプから構成される。具体的には、第一ヒートポンプ2は、圧縮機4、凝縮器5、膨張弁6および蒸発器7が順次環状に接続されて構成される。そして、圧縮機4は、ガス冷媒を圧縮して高温高圧にする。また、凝縮器5は、圧縮機4からのガス冷媒を凝縮液化する。さらに、膨張弁6は、凝縮器5からの液冷媒を通過させることで、冷媒の圧力と温度とを低下させる。そして、蒸発器7は、膨張弁6からの冷媒の蒸発を図る。
【0032】
従って、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7において、冷媒が外部から熱を奪って気化する一方、凝縮器5において、冷媒が外部へ放熱して凝縮することになる。これを利用して、第一ヒートポンプ2は、蒸発器7において、熱源流体から熱をくみ上げ、凝縮器5において、水を加熱して蒸気を発生させる。
【0033】
熱源流体(各ヒートポンプ2,3の熱源)は、特に問わないが、各ヒートポンプ2,3に顕熱を与えるもの、すなわち各ヒートポンプ2,3に熱を与えつつ自身は温度低下を伴う流体が好適に用いられる。たとえば、蒸気使用設備からのドレンや、ボイラなどからの排ガスが用いられる。
【0034】
なお、ヒートポンプ2の回路には、所望により、圧縮機4の出口側に油分離器を設置したり、凝縮器5の出口側に受液器を設置したり、圧縮機4の入口側にアキュムレータを設置したり、凝縮器5から膨張弁6への冷媒と蒸発器7から圧縮機4への冷媒とを混ぜることなく熱交換する液ガス熱交換器を設置したりしてもよい。このことは、第一ヒートポンプ2に限らず、第二ヒートポンプ3についても同様である。また、第一ヒートポンプ2や第二ヒートポンプ3が複数段の場合には、それを構成する各段のヒートポンプについても同様である。
【0035】
第二ヒートポンプ3は、蒸気圧縮式のヒートポンプであり、本実施例では上下二段のヒートポンプ3A,3Bから構成される。第二ヒートポンプ3を構成する上下各段のヒートポンプ3A,3Bは、基本的には前述した単段の第一ヒートポンプ2と同様の構成である。つまり、それぞれ、圧縮機8A,8B、凝縮器9A,9B、膨張弁10A,10Bおよび蒸発器11A,11Bが順次環状に接続されて構成される。
【0036】
そして、上下各段のヒートポンプ3A,3B同士は、次のようにして接続される。すなわち、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒と上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒とを受けて、両冷媒を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器12を備え、この間接熱交換器12が下段ヒートポンプ3Bの凝縮器9Bであると共に上段ヒートポンプ3Aの蒸発器11Aとされる。従って、第二ヒートポンプ3は、下段の蒸発器11Bにおいて、熱源流体から熱をくみ上げ、上段の凝縮器9Aにおいて、水を加熱して蒸気を発生させる。
【0037】
なお、典型的には、第二ヒートポンプ3の上段の膨張弁10Aから圧縮機8Aへの冷媒の圧力および温度は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒の圧力および温度と同一とされる。この場合、第二ヒートポンプ3の上段ヒートポンプ3Aと、第一ヒートポンプ2とは、同一の構成とすることができる。そして、第一ヒートポンプ2の蒸発器7と、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bとを順に通される熱源流体は、第一ヒートポンプ2において冷やされた分を第二ヒートポンプ3の下段ヒートポンプ3Bがカバーして、第二ヒートポンプ3の上段の膨張弁10Aから圧縮機8Aへの冷媒の圧力および温度を、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒の圧力および温度と同一とする。また、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aとにおいて、水を加熱して同一圧力の蒸気(許容圧力範囲内の蒸気を含む)を発生させることができる。この場合、第一ヒートポンプ2の高温側の冷媒温度をT1、低温側の冷媒温度をT1´とし、第二ヒートポンプ3の高温側の冷媒温度をT2とした場合、T1´<T2<(T1+(T1−T1´))の関係にある。
【0038】
但し、第二ヒートポンプ3の上段の膨張弁10Aから圧縮機8Aへの冷媒の圧力および温度は、第一ヒートポンプ2の膨張弁6から圧縮機4への冷媒の圧力および温度と異ならせてもよい。また、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aとにおいて、異なる圧力または温度を出力するようにしてもよい。さらに、各ヒートポンプ2,3A,3Bの冷媒は、同一でもよいし、異ならせてもよい。なお、用いる冷媒は、特に問わないが、炭素数が4以上のハイドロフルオロカーボン(HFC)(たとえばR−365mfc)またはこれに水および/または消火液を加えたもの、アルコール(たとえばエチルアルコール、メチルアルコールまたはトリフルオロエタノール(TFE))またはこれに水および/または消火液を加えたもの、または水(たとえば純水または軟水)が好適に用いられる。
【0039】
蒸気発生システム1には、以下に述べる各種のサブ熱交換器13〜17の内、いずれか一以上のサブ熱交換器を設置してもよい。
(a)第一サブ熱交換器13は、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aから膨張弁10Aへの冷媒と水との間接熱交換器であり、冷媒の過冷却器として機能する。
(b)第二サブ熱交換器14は、第一ヒートポンプ2の凝縮器5から膨張弁6への冷媒と水との間接熱交換器であり、冷媒の過冷却器として機能する。
(c)第三サブ熱交換器15は、第一ヒートポンプ2の蒸発器7から圧縮機4への冷媒と熱源流体との間接熱交換器であり、冷媒の過熱器として機能する。
(d)第四サブ熱交換器16は、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bから圧縮機8Bへの冷媒と熱源流体との間接熱交換器であり、冷媒の過熱器として機能する。
(e)第五サブ熱交換器17は、第二ヒートポンプ3の下段の圧縮機8Bから凝縮器9Bへの冷媒と上段の蒸発器11Aから圧縮機8Aへの冷媒との間接熱交換器である。
【0040】
次に、水や蒸気の流通経路について説明する。
第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと、所望により設置される第一サブ熱交換器13と、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、所望により設置される第二サブ熱交換器14とは、適宜の順序で設置され、水が供給されて蒸気を導出するが、その流通経路については、
図2に示すいずれかが用いられる。
【0041】
図2は、所望により設置される第一サブ熱交換器13と、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと、所望により設置される第二サブ熱交換器14と、第一ヒートポンプ2の凝縮器5とへの水や蒸気の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器13,9A,14,5への流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。また、同一番号は、並列に設置することを示しているが、同一番号の熱交換器同士は互いに入れ替え可能である。なお、各ヒートポンプ2,3の凝縮器5,9Aは、図示例ではそれぞれ一つずつ設置しているが、直列または並列に複数の熱交換器から構成してもよい。
【0042】
具体例をいくつか説明すると、たとえば1行目には、1−2−1−2とある。すなわち、第一サブ熱交換器13が1、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aが2、第二サブ熱交換器14が1、第一ヒートポンプ2の凝縮器5が2である。この場合、水や蒸気は、第一サブ熱交換器13と第二サブ熱交換器14とを並列に通された後、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと第一ヒートポンプ2の凝縮器5とを並列に通される。この際、第一サブ熱交換器13を通過後に第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aを通されるものと、第二サブ熱交換器14を通過後に第一ヒートポンプ2の凝縮器5を通されるものとを並列させてもよい。さらに、前述したように、同一番号の熱交換器同士は互いに入れ替え可能であるから、順位番号が2番同士の第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと第一ヒートポンプ2の凝縮器5とを入れ替えて、第一サブ熱交換器13を通過後に第一ヒートポンプ2の凝縮器5を通されるものと、第二サブ熱交換器14を通過後に第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aを通されるものとを並列させてもよい。
【0043】
また、5行目には、1−3−2−4とある。すなわち、第一サブ熱交換器13が1、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aが3、第二サブ熱交換器14が2、第一ヒートポンプ2の凝縮器5が4である。この場合、水や蒸気は、第一サブ熱交換器13、第二サブ熱交換器14、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9A、第一ヒートポンプ2の凝縮器5を順に通される。
【0044】
さらに、10行目には、1−2−0−2とある。すなわち、第一サブ熱交換器13が1、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aが2、第二サブ熱交換器14が0、第一ヒートポンプ2の凝縮器5が2である。この場合、第二サブ熱交換器14は設置されず、水や蒸気は、第一サブ熱交換器13を通された後、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと第一ヒートポンプ2の凝縮器5とを並列に通される。
【0045】
いずれにしても、基本的には、水や蒸気の流通順序について、第一サブ熱交換器13および/または第二サブ熱交換器14が設置される場合にはこのサブ熱交換器13,14を各ヒートポンプ2,3の凝縮器5,9Aよりも先になるように設定するのが好ましい。
【0046】
ところで、第二ヒートポンプ3の上段の凝縮器9Aと、所望により設置される第一サブ熱交換器13と、第一ヒートポンプ2の凝縮器5と、所望により設置される第二サブ熱交換器14とには、前述したように適宜の順序で水および/または蒸気が通されるが、通常、これら熱交換器を順に流通しつつ水が徐々に加熱されて、最下流の熱交換器から飽和蒸気が導出される。但し、各凝縮器5,9Aそれぞれにおいて、互いに同一圧力または異なる圧力の蒸気を発生させてもよい。
【0047】
次に、熱源流体の流通経路について説明する。
第一ヒートポンプ2の蒸発器7と、所望により設置される第三サブ熱交換器15と、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bと、所望により設置される第四サブ熱交換器16とは、適宜の順序で設置され、熱源流体が通されるが、その流通経路については、
図3に示すいずれかが用いられる。
【0048】
図3は、所望により設置される第三サブ熱交換器15と、第一ヒートポンプ2の蒸発器7と、所望により設置される第四サブ熱交換器16と、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bとへの熱源流体の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器15,7,16,11Bへの流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。また、同一番号は、並列に設置することを示しているが、同一番号の熱交換器同士は互いに入れ替え可能である。なお、各ヒートポンプ2,3Bの蒸発器7,11Bは、図示例ではそれぞれ一つずつ設置しているが、直列または並列に複数の熱交換器から構成してもよい。
【0049】
具体例をいくつか説明すると、たとえば1行目には、1−2−3−4とある。すなわち、第三サブ熱交換器15が1、第一ヒートポンプ2の蒸発器7が2、第四サブ熱交換器16が3、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bが4である。この場合、熱源流体は、第三サブ熱交換器15、第一ヒートポンプ2の蒸発器7、第四サブ熱交換器16、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bを順に通される。
【0050】
また、2行目には、1−2−1−3とある。すなわち、第三サブ熱交換器15が1、第一ヒートポンプ2の蒸発器7が2、第四サブ熱交換器16が1、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bが3である。この場合、熱源流体は、第三サブ熱交換器15と第四サブ熱交換器16とを並列に通された後、第一ヒートポンプ2の蒸発器7と、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bとを順に通される。
【0051】
さらに、4行目には、1−2−0−3とある。すなわち、第三サブ熱交換器15が1、第一ヒートポンプ2の蒸発器7が2、第四サブ熱交換器16が0、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bが3である。この場合、第四サブ熱交換器16は設置されず、熱源流体は、第三サブ熱交換器15を通された後、第一ヒートポンプ2の蒸発器7と、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bとを順に通される。
【0052】
いずれにしても、基本的には、熱源流体の流通順序について、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bが後になるように設定されるのが好ましい。言い換えれば、熱源流体は、第一ヒートポンプ2の蒸発器7を通された後、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bに通される。
【0053】
図4は、所望により設置される第五サブ熱交換器17と、第二ヒートポンプ3の下段の凝縮器9B(上段の蒸発器11A)との関係を示す図であり、第二ヒートポンプ3の下段の冷媒の流通順序を示す図である。図中の番号は、各熱交換器17,12への流通順序を示しており、番号が0とはその熱交換器を設置しないことを示している。
【0054】
具体的に説明すると、1行目には、1−2とある。すなわち、第五サブ熱交換器17が1、第二ヒートポンプ3の下段の凝縮器9Bが2である。この場合、第二ヒートポンプ3の下段の圧縮機8Bからの冷媒は、第五サブ熱交換器17に通された後、凝縮器9Bに通されて膨張弁10Bへ送られる。なお、第二ヒートポンプ3の上段の膨張弁10Aからの冷媒は、蒸発器11Aに通された後、第五サブ熱交換器17に通されて圧縮機8Aへ送られる。
【0055】
また、2行目には、0−1とある。すなわち、第五サブ熱交換器17が0、第二ヒートポンプ3の下段の凝縮器9Bが1である。この場合、第五サブ熱交換器17は設置されず、第二ヒートポンプ3の下段の圧縮機8Bからの冷媒は、凝縮器9Bを通された後、膨張弁10Bへ送られる。なお、第二ヒートポンプ3の上段の膨張弁10Aからの冷媒は、蒸発器11Aに通された後、圧縮機8Aへ送られる。
【0056】
本実施例の蒸気発生システム1は、前述したとおり、熱源流体として、たとえばドレンが用いられる。一例として、158℃のドレンが、第一ヒートポンプ2の蒸発器7に供給され125℃で排出された後、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bに供給されて80℃で排出される。第一ヒートポンプ2は、低温側(圧縮機4の入口側)の冷媒温度が120℃、高温側(圧縮機4の出口側)の冷媒温度が163℃とされ、凝縮器5では158℃の蒸気を発生させる。第二ヒートポンプ3の下段ヒートポンプ3Bは、低温側(圧縮機8Bの入口側)の冷媒温度が75℃とされ、上段ヒートポンプ3Aは、低温側(圧縮機8Aの入口側)の冷媒温度が120℃、高温側(圧縮機8Aの出口側)の冷媒温度が163℃とされ、凝縮器9Aでは158℃の蒸気を発生させる。この場合、前述したように、第一ヒートポンプ2と、第二ヒートポンプ3の上段ヒートポンプ3Aとは対応している。
【0057】
本実施例の蒸気発生システム1によれば、熱源流体は、第一ヒートポンプ2の蒸発器7を通された後、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bに通される。そして、第二ヒートポンプ3の段数を第一ヒートポンプ2より多くしておくことで、第一ヒートポンプ2において冷やされた分を第二ヒートポンプ3がカバーすることができる。また、第一ヒートポンプ2では、くみ上げる温度差を低減することができ、その分だけ圧縮機4の電力を少なくでき、蒸気発生システム1の効率を向上することができる。
【0058】
言い換えれば、蒸気発生システム1は、くみ上げるエネルギーの一部(典型的には半分)が中段からくみ上げることになるので、成績係数を増加させることができる。また、最下段からくみ上げるエネルギーを減らす(典型的には半分にする)ことができるので、低段側(第二ヒートポンプ3の下段ヒートポンプ3B)の圧縮機8Bの容量を小さくすることができる。
【0059】
図5は、本実施例の蒸気発生システム1と、従来公知の2段ヒートポンプとの成績係数を比較したグラフである。図中、実線が本実施例の蒸気発生システム1を示しており、破線が従来公知の2段のヒートポンプを示している。また、ここでは熱源流体としてドレンを用いた場合を示しており、第二ヒートポンプ3の下段の蒸発器11Bを通過後の最終的なドレン温度を横軸とし、理論上の成績係数を縦軸としている。なお、冷媒はR−365mfcであり、また、前述した条件、つまり初期温度158℃のドレンを用い158℃(5kgf/cm
2(G))の蒸気を発生させる場合について検討した。
【0060】
この図に示すように、熱源流体(ドレン)の温度に拘わらず、本実施例の蒸気発生システム1による方が、従来公知の2段のヒートポンプよりも効率が高くなる。なお、従来公知の2段ヒートポンプとは、いわば
図1において第一ヒートポンプ2の設置を省略して、第二ヒートポンプ3のみの状態と同等である。
【0061】
図6Aは、熱を与えられる流体の入口部の状態がT
hの飽和水、熱を与えられる流体の出口部の状態がT
hの飽和蒸気であり(つまり熱を与えられる流体は潜熱を与えられる)、熱を与える流体の入口部の状態がT
hの飽和水、熱を与える流体の出口部の状態がT
lの過冷却水(つまり熱を与える流体は顕熱を奪われる)の条件において、理想的に熱をくみ上げる場合(以下、理想サイクルという。)のT−S線図である。つまり、縦軸が温度、横軸がエントロピーを示している。
【0062】
この理想サイクルつまり実線で囲まれた三角形の面積が、前記条件を実現するための最小動力(理想動力)となる。そして、このときの成績係数COP=2×(T
h/(T
h−T
l))となる。
【0063】
一方、
図6Bは、従来公知の単段のヒートポンプ(逆カルノーサイクル)のT−S線図である。但し、
図6Bは、膨張弁出口損失、圧縮機過熱損失は無視し、熱交換性能を無限大とした場合を示している。この場合、成績係数COP=T
h/(T
h−T
l)となる。二点鎖線Aで示すように、ヒートポンプを上下二段にしても同様である。
【0064】
図6Aと
図6Bとを比較すると、
図6Bの四角形の面積から
図6Aの三角形の面積を引いた分が、理想サイクルと比べて余分な動力といえ、その分だけ成績係数は低下する。
【0065】
一方、
図7は、本実施例の蒸気発生システムのT−S線図である。この場合、成績係数COP=(4/3)×(T
h/(T
h−T
l))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の4/3倍となる。なお、T
m=(T
h+T
l)/2、S
m=(S
1+S
2)/2とした。
図6Bと比べて、右下の箇所が欠けることで、この分だけ動力を軽減して、効率を増すことができる。
【0066】
さて、
図7では、段数を二段としたが、段数を増やせば、
図8に示すように、サイクルで囲まれる面積をさらに少なくすることができ、蒸気発生システム1の効率をさらに向上することができる。段数を無限大とした場合、理論上、COP=2×(T
h/(T
h−T
l))となる。つまり、従来公知の単段のヒートポンプの効率の2倍とできる。段数を増やした蒸気発生システム1の具体的構成については、後述する。
【実施例2】
【0067】
図9は、本発明の蒸気発生システム1の実施例2を示す概略図である。本実施例2の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0068】
本実施例2では、第二ヒートポンプ3の構成において、前記実施例1と異なる。前記実施例1では、上段ヒートポンプ3Aと下段ヒートポンプ3Bとを間接熱交換器12で接続したが、本実施例2では、上段ヒートポンプ3Aと下段ヒートポンプ3Bとを中間冷却器18で接続している。
【0069】
具体的には、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒と上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換する中間冷却器18を備え、この中間冷却器18が下段ヒートポンプ3Bの凝縮器9Bであると共に上段ヒートポンプ3Aの蒸発器11Aとされる。より詳細には、中間冷却器18として中空タンク(直接熱交換器)が用いられ、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒と、上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒とを受け入れて、タンク内で直接に接触させることにより、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒の凝縮と、上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒の気化とを図る。そして、それにより得られる液冷媒を下段ヒートポンプ3Bの膨張弁10Bへ送る一方、ガス冷媒は上段ヒートポンプ3Aの圧縮機8Aへ送ればよい。
【0070】
このような構成に伴い、本実施例2では、第五サブ熱交換器17は設置されない。なお、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒は、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、上段ヒートポンプ3Aの圧縮機8Aの入口側へ供給してもよい。
また、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒は、中間冷却器18への供給に代えて、二点鎖線Aで示すように、上段ヒートポンプ3Aの圧縮機8Aの入口側へ供給した場合には、これに加えて中間冷却器18の液相部を下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bの出口側へ接続してもよい。
あるいは、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒は、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Bで示すように、上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aから中間冷却器18への冷媒流路に合流させてもよい。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【実施例3】
【0071】
図10は、本発明の蒸気発生システム1の実施例3を示す概略図である。本実施例3の蒸気発生システム1は、基本的には前記実施例1と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0072】
本実施例3では、第二ヒートポンプ3の構成において、前記実施例1と異なる。前記実施例1では、上段ヒートポンプ3Aと下段ヒートポンプ3Bとを間接熱交換器12で接続したが、本実施例3では、上段ヒートポンプ3Aと下段ヒートポンプ3Bとを中間冷却器19で接続している。
【0073】
具体的には、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒と上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒とを受けて、両冷媒を直接に接触させて熱交換すると共に、この両冷媒と上段ヒートポンプ3Aの凝縮器9Aから膨張弁10Aを介することなく下段ヒートポンプ3Bの膨張弁10Bへ供給される冷媒とを混ぜることなく熱交換する中間冷却器19を備え、この中間冷却器19が下段ヒートポンプ3Bの凝縮器9Bであると共に上段ヒートポンプ3Aの蒸発器11Aである。より詳細には、中間冷却器19として、第一領域19Aと第二領域19Bの各流体を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器が用いられ、第一領域19Aにおいて、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒と上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒とが直接に熱交換される一方、第二領域19Bに、上段ヒートポンプ3Aの凝縮器9Aから膨張弁10Aを介することなく冷媒を通して、下段ヒートポンプ3Bの膨張弁10Bへ供給すればよい。この場合、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒は、中間冷却器19において上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aからの冷媒で中間冷却を図られた後、上段ヒートポンプ3Aの圧縮機8Aにおいてさらに高圧高温のガス冷媒とされ、上段ヒートポンプ3Aの凝縮器9Aにて凝縮される。そして、その液冷媒の一部は、上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aを介して、中間冷却器19の第一領域19Aへ送られる一方、残りの液冷媒は、中間冷却器19の第二領域19Bを介して、下段ヒートポンプ3Bの膨張弁10Bで減圧され、下段ヒートポンプ3Bの蒸発器11Bにおいて気化した後、再び下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bへ戻される。
【0074】
このような構成に伴い、本実施例3では、第五サブ熱交換器17は設置されない。なお、下段ヒートポンプ3Bの圧縮機8Bからの冷媒は、中間冷却器18への供給に代えてまたはこれに加えて、二点鎖線Aで示すように、上段ヒートポンプ3Aの中間冷却器18から圧縮機8Aへの冷媒流路へ供給するか、二点鎖線Bで示すように、上段ヒートポンプ3Aの膨張弁10Aから中間冷却器18への冷媒流路に合流させてもよい。その他の構成は、前記実施例1と同様のため、説明を省略する。
【実施例4】
【0075】
前記各実施例では、第一ヒートポンプ2を単段で構成し、第二ヒートポンプ3を上下二段のヒートポンプ3A,3Bで構成したが、第二ヒートポンプ3の段数が第一ヒートポンプ2の段数よりも多い限り、各ヒートポンプ2,3の段数は適宜に変更可能である。なお、複数段(多段)のヒートポンプには、
図9の第二ヒートポンプ3のような一元多段のヒートポンプの他、
図1の第二ヒートポンプ3のような複数元(多元)のヒートポンプ、あるいは両者の組合せのヒートポンプが含まれる。
【0076】
図11は、第二ヒートポンプ3を三段にした例を示している。ここでは、上下に隣接するヒートポンプ同士は、前記実施例1と同様の間接熱交換器12で接続されているが、一部または全部は、前記実施例2または前記実施例3と同様の中間冷却器18,19で接続されてもよい。つまり、第一ヒートポンプ2や第二ヒートポンプ3を上下複数段にする場合、隣接する上下のヒートポンプ同士は、
図1、
図9および
図10の第二ヒートポンプ3に示されるいずれの関係で接続してもよい。
【0077】
第二ヒートポンプ3を複数段にする場合において、第一サブ熱交換器13を設置しようとするときは、第一サブ熱交換器13は最上段のヒートポンプ3Aに設置すればよい。同様に、第一ヒートポンプ2を複数段にする場合において、第二サブ熱交換器14を設置しようとするときは、第二サブ熱交換器14は最上段のヒートポンプに設置すればよい。
【0078】
また、第一ヒートポンプ2を複数段にする場合において、第三サブ熱交換器15を設置しようとするときは、第三サブ熱交換器15は最下段のヒートポンプに設置すればよい。同様に、第二ヒートポンプ3を複数段にする場合において、第四サブ熱交換器16を設置しようとするときは、第四サブ熱交換器16は最下段のヒートポンプ3Bに設置すればよい。
【0079】
さらに、第二ヒートポンプ3を複数段にする場合において、隣接する段のヒートポンプの冷媒同士を間接熱交換する場合には、下段ヒートポンプの圧縮機(8)から凝縮器(9)への冷媒と上段ヒートポンプの蒸発器(11)から圧縮機(8)への冷媒との第五サブ熱交換器17を設けてもよい。同様に、第一ヒートポンプ2を複数段にする場合において、隣接する段のヒートポンプの冷媒同士を間接熱交換する場合には、下段ヒートポンプの圧縮機(4)から凝縮器(5)への冷媒と上段ヒートポンプの蒸発器(7)から圧縮機(4)への冷媒との第六サブ熱交換器を設けてもよい。その他の構成は、前記各実施例と同様のため、説明を省略する。
【実施例5】
【0080】
前記各実施例において、第二ヒートポンプ3を、並列に設置された複数のヒートポンプ3,3,…から構成してもよい。言い換えれば、前記各実施例において、第一ヒートポンプ2や第二ヒートポンプ3に加えて、第三ヒートポンプを設けてもよい他、さらに第四ヒートポンプ、第五ヒートポンプ、…というように、全体としてn個(n≧2)のヒートポンプを並列に設置してもよい。この場合も、このn個のヒートポンプは、各最下段の蒸発器7,16に熱源流体が順に通され、この熱源流体が通される順に段数が多くなるよう(好ましくは一段ずつ多くなるよう)構成され、各最上段の凝縮器5,9Aにおいて水を加熱して蒸気を発生させればよい。
【0081】
図12Aは、第二ヒートポンプを、並列に設置された複数のヒートポンプ3,20から構成した例を示している。言い換えれば、単段の第一ヒートポンプ2、これより段数の多い第二ヒートポンプ3、これより段数の多い第三ヒートポンプ20が並列に設置されて構成される。この際、第一ヒートポンプ2、第二ヒートポンプ3、第三ヒートポンプ20は、一段ずつ段数が多くなるよう構成されるのがよい。すなわち、典型的には、図示例のように、第一ヒートポンプ2は単段のヒートポンプ、第二ヒートポンプ3は二段のヒートポンプ、第三ヒートポンプ20は三段のヒートポンプから構成される。
【0082】
一段ずつ段数を多くする理由は、次のとおりである。すなわち、
図12Bは、第一ヒートポンプ2を単段、第二ヒートポンプ3を三段にした場合のT−S線図であり、
図12Cは、第一ヒートポンプ2を単段、第二ヒートポンプ3を二段、第三ヒートポンプ20を三段とした場合のT−S線図である。
図12Bと
図12Cとを比較した場合、ハッチングを施した損失分の面積は、
図12Cの方が少なくできる。よって、蒸気発生システム1の各ヒートポンプは、一段ずつ増やすのが好ましいことになる。
【0083】
いずれのヒートポンプ2,3,20も、上下に隣接するヒートポンプ同士は、前記実施例1と同様の間接熱交換器12で接続されているが、一部または全部は、前記実施例2または前記実施例3と同様の中間冷却器18,19で接続されてもよい。つまり、各ヒートポンプを上下複数段にする場合、隣接する上下のヒートポンプ同士は、
図1、
図9および
図10の第二ヒートポンプ3に示されるいずれの関係で接続してもよい。その他の構成は、前記各実施例と同様のため、説明を省略する。
【0084】
図13は、前記実施例1の蒸気発生システム1を用いた蒸気システム21の一例を示す概略図である。ここでは、説明の便宜上、第一ヒートポンプ2の最下段の蒸発器7と、所望により設置される第三サブ熱交換器15と、第二ヒートポンプ3の最下段の蒸発器11Bと、所望により設置される第四サブ熱交換器16とを、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)ということにする。また、第二ヒートポンプ3の最上段の凝縮器9Aと、所望により設置される第一サブ熱交換器13と、第一ヒートポンプ2の最上段の凝縮器5と、所望により設置される第二サブ熱交換器14とを、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)ということにする。
【0085】
蒸気システム21は、蒸気発生システム1とボイラ22とを備える。
蒸気発生システム1は、実施例1の構成を用いているが、前述したその他の実施例の構成のものを用いてもよい。いずれにしても、蒸気発生システム1は、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)においてドレンの熱をくみ上げて、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)において水を加熱して蒸気を発生させる。そのために、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)には、蒸気使用設備23からのドレンが通される。熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)としての各蒸発器7,11Bや各サブ熱交換器15,16へのドレンの通し方は、
図3に基づき説明したとおりである。
【0086】
一方、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)には、給水ポンプ24により水が供給可能とされ、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)には所望量の水が貯留される。具体的には、純水または軟水、あるいはこれに代えてまたはこれに混ぜられて、蒸気使用設備23からのドレンが、給水ポンプ24、給水弁25、逆止弁26を介して、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)に供給される。蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)としての各凝縮器9A,5や各サブ熱交換器13,14への水や蒸気の通し方は、
図2に基づき説明したとおりである。
【0087】
ボイラ22は、典型的には燃料焚きボイラまたは電気ボイラである。燃料焚きボイラは、燃料の燃焼により水を蒸気化する装置であり、蒸気圧を所望に維持するように、燃焼の有無や量が調整される。また、電気ボイラは、電気ヒータにより水を蒸気化する装置であり、蒸気圧を所望に維持するように、電気ヒータへの給電の有無や量が調整される。ボイラ22には、給水ポンプ27と逆止弁28とを介して水が供給可能とされ、ボイラ22の缶体内の水位は所望に維持される。
【0088】
蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)からの蒸気路29と、ボイラ22からの蒸気路30とは、合流するよう構成される。この合流は、蒸気ヘッダを用いて行うこともできる。また、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)からの蒸気路29には、合流部よりも上流側に、逆止弁31が設けられる。これにより、蒸気発生システム1が停止中、ボイラ22からの蒸気が蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)へ逆流するのが防止される。
【0089】
さらに、ボイラ22からの蒸気路30には、合流部よりも上流側に、ボイラ蒸気供給弁32が設けられる。ボイラ蒸気供給弁32は、図示例では自力式の減圧弁(二次圧力調整弁)とされる。なお、ボイラ蒸気供給弁32より上流側は、下流側よりもボイラ22により高圧に維持される。
【0090】
蒸気発生システム1やボイラ22からの蒸気は、一または複数の蒸気使用設備23へ送られる。蒸気使用設備23のドレンは、第一蒸気トラップ33を介して、中空容器状のセパレータタンク34へ排出される。セパレータタンク34には、上部に第一流路35が接続され、下部に第二流路36が接続される。
【0091】
第一流路35には、セパレータタンク34の側から順に、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)と第二蒸気トラップと37が設けられる。このような構成であるから、蒸気使用設備23のドレンは、第一蒸気トラップ33により低圧下に排出された後、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後に、第二蒸気トラップ37によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出される。つまり、蒸気使用設備23のドレンは、第一蒸気トラップ33を介して排出されることにより、フラッシュ蒸気およびその凝縮水となり、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)に通されて冷却(過冷却を含む)された後、第二蒸気トラップ37から排出される。このような構成の場合、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)において冷媒に熱を与える流体は、大気圧を超える圧力で、100℃を超える温度に維持できる。なお、第二蒸気トラップ37からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ22および/または蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水タンク38へ供給してもよいし、このような給水タンク38を介さずに蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水として用いてもよい。
【0092】
一方、第二流路36には、排出弁39が設けられる。排出弁39は、図示例では自力式の減圧弁(一次圧力調整弁)とされる。このような構成であるから、蒸気使用設備23のドレンは、第一蒸気トラップ33により低圧下に排出された後、排出弁39によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出可能とされる。そして、排出弁39からの流体は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ22および/または蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水タンク38へ供給してもよいし、このような給水タンク38を介さずに蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水として用いてもよい。
【0093】
さらに、緊急時や停電時のために、第一流路35には、セパレータタンク34と熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)との間に、ノーマルクローズド型の電磁弁40を設ける一方、第二流路36には、排出弁39と並行に、ノーマルオープン型の電磁弁41を設けるのが好ましい。この場合、通常時には、第一流路35の電磁弁40は開かれた状態に維持され、第二流路36の電磁弁41は閉じられた状態に維持される。そして、緊急時や停電時には、第一流路35の電磁弁40が閉じられ、第二流路36の電磁弁41が開かれるので、蒸気使用設備23からのドレンは、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を介さずに排出される。
【0094】
蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)へは、純水もしくは軟水、蒸気使用設備23からのドレン、またはこのようなドレンと純水もしくは軟水との混合水が供給される。そのための給水系統は特に問わないが、たとえば、以下の構成とすることができる。なお、蒸気使用設備23からのドレンは、液体のみの状態の他、気液二相の状態(大気圧を超える状態のドレンをそれより低圧下に放出した場合に生じるフラッシュ蒸気とその凝縮水)であってもよい。
(A)二点鎖線Aで示すように、セパレータタンク34で分離された液体からなるドレンを、排出弁39より上流側から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。
(B)二点鎖線Bで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ37より上流側から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。なお、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)は複数の熱交換器から構成されるが、二点鎖線B´で示すように、一部の熱交換器を通過後にドレンを分岐させて、給水ポンプ24の入口側へ供給してもよい。
(C)二点鎖線Cで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ37より下流側から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。
(D)
図13下部の破線領域に示すように、第二蒸気トラップ37からのドレン、および/または、排出弁39からのドレンなどを、一旦、給水タンク38に溜め、この給水タンク38内の水を、給水ポンプ24の入口側へ供給する。給水タンク38には、蒸気使用設備23からのドレンの他、純水または軟水が適宜供給されてもよい。
(E)前記A〜Dのいずれか二以上の組合せでもよい。この場合、二以上の給水路が合流して蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)へ給水されるが、各給水路内の圧力が異なる場合には、各給水路が合流した後に給水ポンプ24を設けるのではなく、合流部より手前において各給水路に給水ポンプを設ければよい。
【0095】
蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)からの蒸気とボイラ22からの蒸気との合流蒸気の圧力を検出可能な位置には、圧力センサからなる第一センサ42が設けられる。また、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過する流体の圧力または温度を検出可能に、圧力センサまたは温度センサからなる第二センサ43が設けられる。そして、蒸気発生システム1は、第一センサ42と第二センサ43との一方または双方の検出値に基づき制御される。
【0096】
たとえば、第一センサ42の検出圧力に基づき、各最上段のヒートポンプの圧縮機(第一ヒートポンプ2の圧縮機4、第二ヒートポンプ3の上段の圧縮機8A)を制御すると共に、それより下段の各ヒートポンプの圧縮機(第二ヒートポンプ3の下段の圧縮機8B)は、その段の凝縮器9Bまたは一つ上段の蒸発器11Aの冷媒の圧力に基づき制御すればよい。
【0097】
あるいは、第二センサ43の検出圧力または検出温度に基づき、各最下段のヒートポンプの圧縮機(第一ヒートポンプ2の圧縮機4、第二ヒートポンプ3の下段の圧縮機8B)を制御すると共に、それより上段の各ヒートポンプの圧縮機(第二ヒートポンプ3の上段の圧縮機8A)は、その段の蒸発器11Aまたは一つ下段の凝縮器9Bの冷媒の圧力または温度に基づき制御すればよい。
【0098】
図14は、
図13の蒸気システム21の変形例を示す概略図である。
図14の蒸気システム21も、基本的には
図13と同様である。そこで、以下においては、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0099】
本変形例では、蒸気使用設備23のドレンは、一旦、ドレン貯留部としてのバッファタンク44に溜められる。そして、バッファタンク44のドレンは、第一流路35により熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)へ供給可能とされると共に、第三流路45により熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を介することなく排出可能とされる。
【0100】
具体的には、バッファタンク44には、下部に第一流路35が接続され、それより上部に第三流路45が接続される。第一流路35には、バッファタンク44の側から順に、導入弁46、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)および第二蒸気トラップ37が設けられる。導入弁46は、本変形例では自力式の減圧弁(二次圧力調整弁)とされる。
【0101】
このような構成であるから、蒸気使用設備23のドレンは、導入弁46により低圧下に排出された後、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後に、第二蒸気トラップ37によりさらに低圧下(典型的には大気圧下)に排出される。そして、第二蒸気トラップ37からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ22および/または蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水タンク38へ供給してもよいし、このような給水タンク38を介さずに蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水として用いてもよい。
【0102】
一方、第三流路45には、第三蒸気トラップ47が設けられる。バッファタンク44に対して第三流路45は第一流路35よりも上方に接続されているので、バッファタンク44からオーバーフローするドレンが第三流路45から排出される。そして、その排水は、第三蒸気トラップ47を介して排出される。そして、第三蒸気トラップ47からの排水は、そのまま捨ててもよいし、ボイラ22および/または蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水タンク38へ供給してもよいし、このような給水タンク38を介さずに蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)への給水として用いてもよい。
【0103】
さらに、緊急時や停電時のために、第一流路35には、導入弁46とバッファタンク44との間に、ノーマルクローズド型の電磁弁40を設けるのが好ましい。この場合、通常時には、第一流路35の電磁弁40は開かれた状態に維持される。そして、緊急時や停電時には、第一流路35の電磁弁40が閉じられるので、蒸気使用設備23のドレンは、第三流路45により熱くみ上げ用熱交換器(13,9A,14,5)を介さずに排出される。
【0104】
本変形例の場合も、蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)へは、純水もしくは軟水、蒸気使用設備23からのドレン、またはこのようなドレンと純水もしくは軟水との混合水が供給される。そのための給水系統は特に問わないが、たとえば、
図13の場合と同様に、以下の構成とすることができる。
(A)二点鎖線Aで示すように、バッファタンク44からのドレンを、導入弁46より上流側(電磁弁40を設ける場合は、それより上流側または下流側のいずれでもよい。)から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。
(B)二点鎖線Bで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ37より上流側から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。なお、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)は複数の熱交換器から構成されるが、二点鎖線B´で示すように、一部の熱交換器を通過後にドレンを分岐させて、給水ポンプ24の入口側へ供給してもよい。
(C)二点鎖線Cで示すように、熱くみ上げ用熱交換器(7,15,11B,16)を通過後のドレンを、第二蒸気トラップ37より下流側から、給水ポンプ24の入口側へ供給する。
(D)
図14下部の破線領域に示すように、第二蒸気トラップ37からのドレン、および/または、第三蒸気トラップ47からのドレンなどを、一旦、給水タンク38に溜め、この給水タンク38内の水を、給水ポンプ24の入口側へ供給する。給水タンク38には、蒸気使用設備23からのドレンの他、純水または軟水が適宜供給されてもよい。なお、給水タンク38は、
図13の場合もであるが、上方へ開口せず大気圧を超える圧力でドレンを貯留可能としてもよい。
(E)前記A〜Dのいずれか二以上の組合せでもよい。この場合、二以上の給水路が合流して蒸気発生用熱交換器(9A,13,5,14)へ給水されるが、各給水路内の圧力が異なる場合には、各給水路が合流した後に給水ポンプ24を設けるのではなく、合流部より手前において各給水路に給水ポンプを設ければよい。
【0105】
本発明の蒸気発生システム1は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、蒸気発生システム1の適用例として、
図13および
図14に示す蒸気システム21を用いたが、これ以外のシステムにも適用可能なことは言うまでもない。また、蒸気発生システム1の熱源として、蒸気使用設備23からのドレンを用いた例を説明したが、ドレンに限らず、たとえば、ボイラなどからの排ガス、その排ガスの冷却水として用いた水、工場などから排出される排温水、圧縮機の冷却水として用いた水、エンジン(圧縮機などの駆動装置)のオイルクーラにおいて冷却水として用いた水、エンジンのジャケットの冷却水として用いた水などを用いてもよい。
【0106】
さらに、蒸気発生システム1は、熱源流体の温度を下げながら、その熱で蒸気を発生させる場合に限らない。たとえば、蒸気使用設備23からの排蒸気を熱源流体として用いてもよい。その場合、たとえば
図1において、第一ヒートポンプ2の第三サブ熱交換器15および蒸発器7には排蒸気が通され、この蒸発器7を通過後に蒸気トラップ、オリフィスまたは減圧弁により減圧され、第二ヒートポンプ3の第四サブ熱交換器16および最下段の蒸発器11Bに通されてもよい。排蒸気の流路には、第二ヒートポンプ3の最下段の蒸発器11Bの出口側にも蒸気トラップなどを設けてもよいし、設けなくてもよい。つまり、第二ヒートポンプ3の最下段の蒸発器11Bを通過する蒸気は、大気圧を超える状態としてもよいし、大気圧としてもよい。なお、第三サブ熱交換器15および第四サブ熱交換器16の一方または双方は省略可能であることは言うまでもない。