【実施例】
【0099】
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0100】
以下の実施例において、赤外線測定、
1H/
13C NMR測定、偏光顕微鏡観察、及び熱分析(TG−DTA及びDSC)には下記の機器を用いた。
【0101】
[測定機器]
・赤外(IR)分光光度計:堀場製作所FT−720
・
1H/
13C NMRスペクトル:Bruker DPX300S
・偏光顕微鏡/ホットステージ:OLYMPUS BX51/LINKAM LTS−350(温度コントローラ付き)
・熱分析(TG−DTA):エスアイアイ・ナノテクノロジー EXSTAR TG/DTA 6300
・熱分析(DSC):Perkin−Elmer DSC7(空冷)
【0102】
また、各実施例において、試薬は下記のものを用いた。
[試薬]
下記式で示される3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および下記式で示されるピロメリット酸二無水物(PMDA)は使用前に昇華精製を行った。N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、トルエンは蒸留によって精製した。他の試薬と溶媒は市販品を精製せずに用いた。
【0103】
【化30】
【0104】
[実施例1]
<4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(1)の合成>
4−ニトロフェノール(0.423g;3.04mmol)と炭酸カリウム(1.11g;8.02mmol)のアセトニトリル(20mL)溶液に、4−ブロモ−1−ブテン(0.827g;6.13mmol)を加え、混合物を還流し17時間反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示され4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(1)(0.571g、収率97%、淡黄色状のオイル)を得た。
【0105】
【化31】
【0106】
得られた4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(1)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0107】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2942.8(Alkyl C−H),1643.1(C=C),1592.9(Ar C−C),1508.1,1334.5(−NO
2)
【0108】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.20(d,J=9.3,ArH,2H),6.95(d,J=9.0,ArH,2H),5.96−5.82(m,vinyl proton,1H),5.23−5.12(m,vinyl proton,2H),4.11(t,J=6.6,−CH
2−,2H),2.62−2.55(m,−CH
2−,2H)
【0109】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.1,141.5,133.7,125.9,117.7,114.5,68.1,33.4
【0110】
<1,7−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2b)の合成>
上記4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(1)の溶液(4.27g;22.1mmol)に、20mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2.97g;9.98mmol)と、カルステッド触媒(0.25mL;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で21時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質をカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2b)(5g、収率75%)を得た。
得られた1,7−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2b)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0111】
【化32】
【0112】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958.3(Alkyl C−H),1592.9(Ar C−C),1515.8,1342.2(−NO
2),1261.2(Si−C)
【0113】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.3,ArH,4H),6.93(d,J=9.3,ArH,4H),4.05(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.89−1.80(m,−CH
2−,4H),1.57−1.47(m,−CH
2−,4H),0.63−0.57(m,−CH
2−,4H),0.09(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0114】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.4,141.4,126.0,114.5,68.6,32.5,19.8,18.0,1.34,0.314
【0115】
<1,7−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3c)の合成>
2.26gの上記2b(3.38mmol)と15mLの10重量%Pd/C酢酸エチル溶液(0.0209g)とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,7−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3c)(2.05g、収率99%)を得た。得られた1,7−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3c)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0116】
【化33】
【0117】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3359.4(N−H),2958.3(Alkyl C−H),1623.8(N−H),1511.9(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0118】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.74 (d,J=9.0,ArH,4H),6.63(d,J=9.0,ArH,4H),3.88(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.39(s,NH
2,2H),1.81−1.72(m,−CH
2−,4H),1.54−1.43(m,−CH
2−,4H),0.62−0.56(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0119】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.8,68.4,33.1,19.9,18.1,1.35,0.334
【0120】
<液晶性ポリイミド(6h)の合成>
0.306g(0.502mmol)の上記ジアミン(3c)を2.5mLのNMPに溶かし、ここに0.148g(0.503mmol)のBPDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の下記式で示される液晶性ポリイミド(6h)のフィルムを得た。得られた液晶性ポリイミド(6h)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0121】
【化34】
【0122】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):1770(C=O),1712(C=O),1389(C−N)
【0123】
<液晶性ポリイミド(6h)の熱分析および偏光顕微鏡観察>
昇温/降温速度10℃/分としたDSCの二回目のスキャンから、以下の吸熱ピーク(T
m)および発熱ピーク(T
c)を得た。
T
m1(結晶→液晶相転移):222℃;T
m2(液晶相→等方相転移):268℃/T
c1:254℃;T
c2:216℃;T
c3:203℃
また、240℃における液晶性ポリイミド(6h)の偏光顕微鏡観察より、液晶相に由来する光学組織が観察された。該偏光顕微鏡観察写真を
図1に示す。なお、該写真の倍率は400倍である。
【0124】
[実施例2]
<1,3−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(2a)の合成>
実施例1における2bと同様の合成手順により、4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(1)と1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサンとの反応により、下記式で示される1,3−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(2a)(黄色油状液体(収率65%))を得た。
1,3−ビス(4−ニトロフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(2a)について測定を行なった結果は以下の通りである。
【0125】
【化35】
【0126】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2950.6(Alkyl C−H),1592.9(Ar C−C),1515.8,1338.4(−NO
2),1265.1(Si−C)
【0127】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.0,ArH,4H),6.93(d,J=9.3,ArH,4H),4.04(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.88−1.79(m,−CH
2−,4H),1.54−1.45(m,−CH
2−,4H),0.61−0.55(m,−CH
2−,4H),0.06(s,Si−CH
3,12H)
【0128】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.3,141.4,126.0,114.5,68.6,32.5,19.9,18.1,0.503
【0129】
<1,3−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(3a)の合成>
実施例1における(3c)と同様の合成手順により、上記(2a)を還元して、下記式で示される1,3−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(3a)(薄茶色油状液体(収率98%)を得た。得られた1,3−ビス(4−アミノフェノキシブチル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン(3a)について測定を行なった結果は以下の通りである。
【0130】
【化36】
【0131】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3355.5(N−H),2950.6(Alkyl C−H),1623.8(N−H),1511.9(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0132】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.74(d,J=9.0,ArH,4H),6.63(d,J=9.0,ArH,4H),3.87(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.40(s,NH
2,2H),1.80−1.71(m,−CH
2−,4H),1.54−1.42(m,−CH
2−,4H),0.61−0.53(m,−CH
2−,4H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0133】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.8,68.4,33.1,20.0,18.3,0.510
【0134】
<液晶性ポリイミド(6f)の合成>
実施例1における(6h)と同様にして、上記(3a)とBPDAより、ポリアミド酸を合成し、これをガラス上にキャストした後に熱イミド化することで濁った黄色の下記式で示される液晶性ポリイミド(6f)のフィルムを得た。得られた液晶性ポリイミド(6f)について、測定を行なった結果は下記の通りである。
【0135】
【化37】
【0136】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):1770(C=O),1712(C=O),1389(C−N)
【0137】
<液晶性ポリイミド(6f)の熱分析および偏光顕微鏡観察>
昇温/降温速度10℃/分としたDSCの二回目のスキャンから、以下の吸熱ピーク(T
m)および発熱ピーク(T
c)を得た。
T
m1(結晶→液晶相転移):253℃;T
m2(液晶相→液晶相転移):264℃;T
m3(液晶相→等方相転移):335℃/T
c1:325℃;T
c2:236℃
320℃における液晶性ポリイミド(6f)の偏光顕微鏡観察より、液晶相に由来する光学組織が観察された。該偏光顕微鏡観察写真を
図2に示す。なお、該写真の倍率は400倍である。
【0138】
[実施例3]
<液晶性ポリイミド(6c)の合成>
実施例2における6fと同様にして、(3c)とPMDAより、ポリアミド酸を合成し、これをガラス上にキャストした後に熱イミド化することで濁った黄色の下記式で示される液晶性ポリイミド(6c)のフィルムを得た。
【0139】
【化38】
【0140】
<液晶性ポリイミド(6c)の熱分析および偏光顕微鏡観察>
昇温/降温速度10℃/分としたDSCの二回目のスキャンから、以下の吸熱ピーク(T
m)および発熱ピーク(T
c)を得た。
T
m1(結晶→液晶相転移):236.8℃;T
m2(液晶相→等方相転移):249.6℃/T
c1:231.0℃;T
c2:213.6℃
250℃における液晶性ポリイミド(6c)の偏光顕微鏡観察より、液晶相に由来する光学組織が観察された。該偏光顕微鏡観察写真を
図3に示す。なお、該写真の倍率は400倍である。
【0141】
[参考例1]
<4−(5−ヘキセニロキシ)ニトロベンゼン(1b)の合成>
4−ニトロフェノール(2.79g;20.0mmol)と炭酸カリウム(4.15g;30.1mmol)のアセトニトリル(40mL)溶液に、6−ブロモ−1−ヘキセン(4.01g;24.6mmol)を加え、混合物を還流し12時間反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示される4−(5−ヘキセニロキシ)ニトロベンゼン(1b)(4.11g、収率93%、淡黄色状のオイル)を得た。
【0142】
【化39】
【0143】
得られた4−(5−ヘキセニロキシ)ニトロベンゼン(1b)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0144】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2942.8(Alkyl C−H),1639.2(C=C),1592.9(Ar C−C),1511.9,1342.2(−NO
2)
【0145】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.3,ArH,2H),6.94(d,J=9.3,ArH,2H),5.89−5.76(m,vinyl proton,1H),5.08−4.97(m,vinyl proton,2H),4.06(t,J=6.5,−CH
2−,2H),2.14(q,J=7.1,−CH
2−,2H),1.89−1.80(m,−CH
2−,2H),1.63−1.49(m,−CH
2−,2H)
【0146】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.3,141.4,138.3,126.0,115.1,114.5,68.8,33.4,28.5,25.3
【0147】
<1,7−ビス(4−ニトロフェノキシヘキシル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2d)の合成>
10mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(1.53g;5.42mmol)に、上記4−(5−ヘキセニロキシ)ニトロベンゼン(1b)(3.32g;15.0mmol)と、カルステッド触媒(30滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス(4−ニトロフェノキシヘキシル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2d)(3.79g、収率97%)を得た。
得られた(2d)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0148】
【化40】
【0149】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2923.6(Alkyl C−H),1592.9(Ar C−C),1515.8,1342.2(−NO
2),1261.2(Si−C)
【0150】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.3,ArH,4H),6.93(d,J=9.3,ArH,4H),4.04(t,J=6.5,−CH
2−,4H),1.89−1.77(m,−CH
2−,4H),1.53−1.33(m,−CH
2−,12H),0.57−0.50(m,−CH
2−,4H),0.07(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0151】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.6,141.9,126.2,114.8,69.3,33.4,29.3,26.0,23.5,18.6,1.56,0.57
【0152】
<1,7−ビス(4−アミノフェノキシヘキシル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3d)の合成>
2.71gの上記(2d)(3.73mmol)と15mLの10重量%Pd/C酢酸エチル溶液(0.0150g)とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,7−ビス(4−アミノフェノキシヘキシル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3d)(2.47g、収率99%)を得た。得られた(3d)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0153】
【化41】
【0154】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3359.4(N−H),2923.6(Alkyl C−H),1623.8(N−H),1511.9(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0155】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.74(d,J=9.3,ArH,4H),6.63(d,J=8.7,ArH,4H),3.87(t,J=6.6,−CH
2−,4H),3.40(s,NH
2,2H),1.78−1.68(m,−CH
2−,4H),1.54−1.32(m,−CH
2−,12H),0.57−0.51(m,−CH
2−,4H),0.06(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0156】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.8,68.8,33.3,29.5,25.9,23.3,18.4,1.36,0.347
【0157】
<ポリイミド(6d)の合成>
【化42】
1.09g(1.64mmol)の1,7−ビス(4−アミノフェノキシヘキシル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3d)を8.20gのNMPに溶かし、ここに0.357g(1.64mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って、上記式であらわされるポリイミド(6d)のフィルムを得た。
得られたポリイミド(6d)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0158】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1782(C=O),1724(C=O),1400(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
42H
58N
2:C,59.54;H,6.90;N,3.31.Found:C,59.37;H,6.80;N,3.05
【0159】
[参考例2]
<4−(3−ブテロニキシ)−2−メチルニトロベンゼン(1c)の合成>
3−メチル−4−ニトロフェノール(3.05g;19.9mmol)と炭酸カリウム(4.27g;30.9mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に、4−ブロモ−1−ブテン(4.02g;29.8mmol)を加え、混合物を還流し12時間反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示される4−(3−ブテロニキシ)−2−メチルニトロベンゼン(1c)(2.61g、収率63%、淡黄色状のオイル)を得た。
【0160】
【化43】
【0161】
得られた4−(3−ブテロニキシ)−2−メチルニトロベンゼン(1c)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0162】
IR測定結果:IR(NaCl),ν(cm
−1):2935(Alkyl C−H),1643(C=C),1581(Ar C−C),1512,1338(−NO
2)
【0163】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.08(d,J=9.9,ArH,1H), 6.81−6.78(m,ArH,2H),5.95−5.82(m,vinyl proton,1H),5.22−5.11(m,vinyl proton,2H),4.08(t,J=6.9,−CH
2−,2H),2.62(s,−CH
3,3H),2.61−2.53(m,−CH
2−,2H)
【0164】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):162.5,142.2,137.2,133.8,127.7,118.1,117.7,112.3,67.9,33.5,21.8
【0165】
<1,7−ビス[4−(3−メチル−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2e)の合成>
12mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(1.44g;5.09mmol)に、上記4−(3−ブテロニキシ)−2−メチルニトロベンゼン(1c)(2.37g;11.4mmol)と、カルステッド触媒(20滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス[4−(3−メチル−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2e)(3.05g、収率86%)を得た。
得られた(2e)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0166】
【化44】
【0167】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958.3(Alkyl C−H),1581.3(Ar C−C),1511.9,1338.4(−NO
2),1257.36(Si−C)
【0168】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.07(d,J=9.3,ArH,2H),6.79−6.76(m,ArH,4H),4.02(t,J=6.5,−CH
2−,4H),2.62(s,−CH
3,6H),1.87−1.78(m,−CH
2−,4H),1.57−1.46(m,−CH
2−,4H),0.63−0.57(m,−CH
2−,4H),0.09(s,Si−CH
3,12H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0169】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):162.9,142.1,137.2,127.7,118.0,112.3,68.4,32.6,21.9,19.8,18.0,1.36,0.329
【0170】
元素分析測定結果:Anal.Calcd.For C
30H
52N
2:C,51.69;H,7.52;N,4.02.Found:C,51.52;H,7.28;N,3.83
【0171】
<1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3e)の合成>
2.62gの上記2e(3.76mmol)と10mLの10重量%Pd/C酢酸エチル溶液(0.0230g)とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3e)(2.38g、収率99%)を得た。得られた(3e)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0172】
【化45】
【0173】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3363.3(N−H),2935.1(Alkyl C−H),1608.3(N−H),1504.2(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0174】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.67−6.60(m,ArH,6H),3.87(t,J=6.5,−CH
2−,4H),3.33(s,NH
2,4H),2.15(s,−CH
3,6H),1.81−1.71(m,−CH
2−,4H),1.53−1.43(m,−CH
2−,4H),0.62−0.56(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0175】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.4,138.1,124.1,117.4,116.1,113,1,68.4,33.2,20.0,18.1,17.8,1.36,0.334
【0176】
<ポリイミド(6e)の合成>
【化46】
1.23g(1.93mmol)の1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3e)を9.34gのNMPに溶かし、ここに0.420g(1.93mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行っての上記式で示されるポリイミド(6e)のフィルムを得た。得られた(6e)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0177】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1774(C=O),1720(C=O),1381(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
40H
54N
2:C,58.65;H,6.64;N,3.42.Found:C,58.38;H,6.65;N,3.06
【0178】
[参考例3]
<ポリイミド(6j)の合成>
【化47】
0.896g(1.41mmol)の1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−メチルフェノキシ)ブチル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3e)を7.41gのNMPに溶かし、ここに0.414g(1.41mmol)のBPDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行ってのポリイミド(6j)のフィルムを得た。得られた(6j)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0179】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1774(C=O),1720(C=O),1381(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
46H
58N
2:C,61.71;H,6.53;N,3.13.Found:C,61.56;H,6.49;N,2.83
【0180】
[参考例4]
<1,3−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(2a)の合成>
3mLのトルエンに溶かした1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(0.125g;0.934mmol)に、4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(0.519g;2.69mmol)と、カルステッド触媒(3滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質1,3−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(2a)(0.312g、収率65%)を得た。
【0181】
【化48】
【0182】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2950.6(Alkyl C−H),1592.9(Ar C−C),1515.8,1338.4(−NO
2),1265.1(Si−C)
【0183】
1H NMR測定結果:(300 MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.0,ArH,4H),6.93(d,J=9.3,ArH,4H),4.04(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.88−1.79(m,−CH
2−,4H),1.54−1.45(m,−CH
2−,4H),0.61−0.55(m,−CH
2−,4H),0.06(s,Si−CH
3,12H)
【0184】
13C NMR測定結果:(75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.3,141.4,126.0,114.5,68.6,32.5,19.9,18.1,0.503.Anal.Calcd.For C
24H
36N
2:C,55.36;H,6.97;N,5.38.Found:C,55.10;H,6.91;N,5.23
【0185】
<1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(3a)の合成>
1,3−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(2a)(1.35g;3.38mmol)と10mLの10重量%Pd/C(0.0393g)酢酸エチル溶液を混合物し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、無色油状物質(1.18g、収率98%)を得た。
【0186】
【化49】
【0187】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3355.5(N−H),2950.6(Alkyl C−H),1623.8(N−H),1511.9(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0188】
1H NMR測定結果:(300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.74(d,J=9.0,ArH,4H),6.63(d,J=9.0,ArH,4H),3.87(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.40(s,NH
2,4H),1.80−1.71(m,−CH
2−,4H),1.54−1.42(m,−CH
2−,4H),0.61−0.53(m,−CH
2−,4H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0189】
13C NMR測定結果:(75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.8,68.4,33.1,20.0,18.3,0.510
【0190】
<ポリイミド(6a)の合成>
【化50】
0.258g(0.561mmol)の1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを2.15gのNMPに溶かし、ここに0.122g(0.559mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色のポリイミド(6a)のフィルムを得た。
【0191】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2954(Alkyl C−H),1782(C=O),1724(C=O),1400(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
34H
38N
2:C,63.52;H,5.96;N,4.36.Found:C,63.13;H,6.00;N,4.16
【0192】
[実施例4]
<1,5−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(2c)の合成>
20mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(2.10g;10.1mmol)に、4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(5.11g;26.4mmol)と、カルステッド触媒(30滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質(5.68g、収率95%)を得た。
【化51】
【0193】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2954.4(Alkyl C−H),1592.9(Ar C−C),1515.8,1338.4(−NO
2),1261.2(Si−C)
【0194】
1H NMR測定結果:(300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.19(d,J=9.3,ArH,4H),6.93(d,J=9.0,ArH,4H),4.04(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.89−1.80(m,−CH
2−,4H),1.57−1.46(m,−CH
2−,4H),0.62−0.57(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.03(s,Si−CH
3,6H)
【0195】
13C NMR測定結果:(75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.4,141.4,126.0,114.5,68.6,32.5,19.8,18.0,1.42,0.315.Anal.Calcd.For C
26H
42N
2:C,52.49;H,7.12;N,4.71.Found:C,52.88;H,6.95;N,4.71
【0196】
<1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(3b)の合成>
1,5−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(2.79g;4.69mmol)(2c)と15mLの10重量%Pd/C(0.0262g)酢酸エチル溶液を混合物し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、無色油状物質の、下記式で表わされる1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(3b)(2.48g、収率99%)を得た。
【化52】
【0197】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3359.4(N−H),2954.4(Alkyl C−H),1623.8(N−H),1511.9(Ar C−C),1238.1(Si−C)
【0198】
1H NMR測定結果:(300 MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.74(d,J=8.7,ArH, 4H),6.63(d,J=9.0,ArH,4H),3.87(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.39(s,NH
2,4H),1.81−1.71(m,−CH
2−,4H),1.54−1.43(m,−CH
2−,4H),0.61−0.55(m,−CH
2−,4H),0.07(s,Si−CH
3,12H),0.02(s,Si−CH
3,6H)
【0199】
13C NMR測定結果:(75 MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.7,68.4,33.1,19.9,18.1,1.45,0.344
【0200】
<液晶性ポリイミド(6b)の合成>
【化53】
0.899g(1.68mmol)の1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(3b)を7.15gのNMPに溶かし、ここに0.366g(1.68mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6b)のフィルムを得た。
【0201】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1782(C=O),1724(C=O),1400(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
36H
44N
2:C,60.30;H,6.19;N,3.91.Found:C,60.11;H,6.14;N,3.75
【0202】
[実施例5]
【化54】
1.09g(2.04mmol)の1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン(3b)を9.54gのNMPに溶かし、ここに0.599g(2.04mmol)のBPDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6g)のフィルムを得た。
【0203】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2954(Alkyl C−H),1770(C=O),1716(C=O),1389(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
40H
42N
2:C,66.82;H,5.89;N,3.90.Found:C,66.58;H,5.96;N,3.74
【0204】
[実施例6]
【化55】
【0205】
0.994g(1.49mmol)の1,7−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ヘキシル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3d)を9.54gのNMPに溶かし、ここに0.439g(1.49mmol)のBPDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6i)のフィルムを得た。
【0206】
IR測定結果:(Si wafer),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1770(C=O),1712(C=O),1389(C−N),1254(Si−C).Anal.Calcd.For C
48H
62N
2:C,62.44;H,6.77;N,3.03.Found:C,62.01;H,6.65;N,2.77
【0207】
[結果]
上記実施例1〜6、及び参考例1〜4で得たポリイミドの反応経路を下記化学反応式に示す。
【化56】
【0208】
実施例1〜6、及び参考例1〜4で得たポリイミドの相転移点を下記表1に示す。
【表1】
【0209】
[実施例7]
<4−(3−ブテニロキシ)−3−フルオロニトロベンゼン(1d)の合成>
2−フルオロ−4−ニトロフェノール(2.36g;15.1mmol)と炭酸カリウム(2.77g;20.1mmol)のアセトニトリル(40mL)溶液に、4−ブロモ−1−ブテン(2.81g;20.4mmol)を加え、混合物を還流し16時間反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示される4−(3−ブテニロキシ)−3−フルオロニトロベンゼン(1d)、(2.57g、収率81%、淡黄色状のオイル)を得た。
【0210】
【化57】
【0211】
得られた4−(3−ブテニロキシ)−3−フルオロニトロベンゼン(1d)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0212】
IR測定結果:IR (NaCl),ν(cm
−1):2935(Alkyl C−H),1643(C=C),1581(Ar C−C),1512,1338(−NO
2)
【0213】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.06−8.01(m,ArH,1H),7.96(dd,J=11.0,2.4,ArH,1H),7.02(t,J=8.7,ArH,1H),5.96−5.94(m,vinyl proton,1H),5.23−5.22(m,vinyl proton,2H),4.18(t,J=6.6,−CH
2−,2H),2.66−2.59(m,−CH
2−,2H)
【0214】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):153.0(d,J=5.0),151.3(d,J=234.2),140.9(d,J=10.1),133.3,121.0(d,J=3.5),118.1,113.1(d,J=2.4),112.4(d,J=22.8),69.1,33.3
【0215】
<1,7−ビス[4−(2−フルオロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2f)の合成>
10mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(1.15g;3.87mmol)に、上記4−(3−ブテニロキシ)−3−フルオロニトロベンゼン(1d)(2.12g;10.0mmol)と、カルステッド触媒(10滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス[4−(2−フルオロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2f)(2.46g、収率90%)を得た。
得られた(2f)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0216】
【化58】
【0217】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1605(Ar C−C),1524,1346(−NO
2),1257(Si−C)
【0218】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.05−8.01(m,J=9.9,ArH,2H),7.96(dd,J=10.5,2.4,ArH,2H),7.01(t,J=7.8,ArH,2H),4.13(t,J=6.6,−CH
2−,4H),1.94−1.84(m,−CH
2−,4H),1.61−1.48(m,−CH
2−,4H),0.63−0.58(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0219】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):153.2(d,J=17.9),151.4(d,J=257.1),140.7(d,J=6.8),121.0(d,J=4.0),112.9(d,J=2.1),112.4(d,J=23.0),69.6,32.4,19.7,18.0,1.30,0.291
【0220】
<1,7−ビス[4−(4−アミノ−2−フルオロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3f)の合成>
2.18gの上記(2f)(3.09mmol)と10mLの10重量%Pd/C(0.0233g)酢酸エチル溶液とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,7−ビス[4−(4−アミノ−2−フルオロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3f)(1.98g、収率99%)を得た。得られた(3f)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0221】
【化59】
【0222】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3375(N−H),2958(Alkyl C−H),1639(N−H),1589(Ar C−C),1257(Si−C)
【0223】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.79(t,J=9.0,ArH,2H),6.44(dd,J=12.6,2.4,ArH,2H),6.37−6.33(m,ArH,2H),3.94(t,J=6.6,−CH
2−,4H),3.49(s,NH
2,4H),1.83−1.73(m,−CH
2−,4H),1.55−1.44(m,−CH
2−,4H),0.62−0.56(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0224】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):153.9(d,J=244.2),141.3(d,J=9.3),139.6(d,J=11.3),118.0(d,J=2.6),110.5(d,J=3.2),104.2(d,J=21.8),70.8,33.1,19.8,18.1,1.31,0.284
【0225】
<液晶性ポリイミド(6k)の合成>
【化60】
1.083g(1.68mmol)の(3f)を8.19gのNMPに溶かし、ここに0.366g(1.68mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6k)のフィルムを得た。
【0226】
[実施例8]
<4−(3−ブテニロキシ)−2−フルオロニトロベンゼン(1g)の合成>
3−フルオロ−4−ニトロフェノール(1.57g;10.0mmol)と炭酸カリウム(2.09g;15.1mmol)のアセトニトリル(25mL)溶液に、4−ブロモ−1−ブテン(2.21g;16.0mmol)を加え、混合物を還流し終夜反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたカラムクロマトグラフィー(溶媒、ヘキサン:塩化メチレン=6:4)により精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示される4−(3−ブテニロキシ)−2−フルオロニトロベンゼン(1g)(1.71g、収率81%、淡黄色状のオイル)を得た。
【0227】
【化61】
【0228】
得られた4−(3−ブテニロキシ)−2−フルオロニトロベンゼン(1g)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0229】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2947(Alkyl C−H),1643(C=C),1612(Ar C−C),1520,1346(−NO
2)
【0230】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.11−8.05(m,ArH,1H),6.77−6.70(m,ArH,2H),5.93−5.80(m,vinyl proton,1H),5.22−5.12(m,vinyl proton,2H),4.09(t,J=6.9,−CH
2−,2H),2.61−2.54(m,−CH
2−,2H)
【0231】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.8(d,J=10.8),157.6(d,J=263.4),133.4,128.0(d,J=1.9),118.0,110.9(d,J=4.0),103.9,103.6,68.6,33.3
【0232】
<1,7−ビス[4−(3−フルオロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2g)の合成>
8mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(0.705g;2.49mmol)に、上記4−(3−ブテニロキシ)−2−フルオロニトロベンゼン(1g)(1.55g;7.34mmol)と、カルステッド触媒(10滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス[4−(3−フルオロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2g)(1.66g、収率95%)を得た。
得られた(2g)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0233】
【化62】
【0234】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1612(Ar C−C),1520,1346(−NO
2),1257(Si−C)
【0235】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.10−8.04(m,ArH,2H),6.76−6.68(m,ArH,4H),4.03(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.89−1.79(m,−CH
2−,4H),1.56−1.46(m,−CH
2−,4H),0.62−0.57(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0236】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):165.1(d,J=10.4),157.6(d,J=262.9),128.0(d,J=2.4),110.9(d,J=3.0),103.8,103.4,69.1,32.4,19.8,17.9,1.34,0.304
【0237】
<1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3g)の合成>
1.66gの上記(2g)(2.35mmol)と10mLの10重量%Pd/C(0.0275g)酢酸エチル溶液とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,7−ビス[4−(4−アミノ−3−フルオロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3g)(1.51g、収率99%)を得た。得られた(3g)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0238】
【化63】
【0239】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3371(N−H),2958(Alkyl C−H),1639(N−H),1593(Ar C−C),1238(Si−C)
【0240】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.70(t,J=8.4,ArH,2H),6.61(dd,J=12.5,2.4,ArH,2H),6.55−6.51(m,ArH,2H),3.86(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.41(s,NH
2,4H),1.81−1.72(m,−CH
2−,4H),1.54−1.43(m,−CH
2−,4H),0.62−0.56(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0241】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5(d,J=9.3),152.1(d,J=237.6),127.6(d,J=13.6),117.7(d,J=5.0),110.7(d,J=3.5),103.1(d,J=21.6),68.5,32.9,19.9,18.1,1.35,0.332
【0242】
<液晶性ポリイミド(6l)の合成>
【化64】
1.083g(1.68mmol)の(3g)を8.19gのNMPに溶かし、ここに0.366g(1.68mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6l)のフィルムを得た。
【0243】
[実施例9]
<4−(3−ブテニロキシ)−3−クロロニトロベンゼン(1h)の合成>
2−クロロ−4−ニトロフェノール(2.60g;15.0mmol)と炭酸カリウム(2.74g;19.8mmol)のアセトニトリル(40mL)溶液に、4−ブロモ−1−ブテン(2.81g;20.4mmol)を加え、混合物を還流し終夜反応させた。反応終了後、溶液をセライトでろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残留物を、塩化メチレンを用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、流出液を濃縮することにより下記式で示される化合物4−(3−ブテニロキシ)−3−クロロニトロベンゼン(1h)(2.32g、収率68%、淡黄色状の固体、融点39−40℃)を得た。
【0244】
【化65】
【0245】
得られた4−(3−ブテニロキシ)−3−クロロニトロベンゼン(1h)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0246】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1643(C=C),1585(Ar C−C),1512,1342(−NO
2)
【0247】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.28(d,J=2.7,ArH,1H),8.14(dd,J=9.0,2.7,ArH,1H),6.97(d,J=9.3,ArH,1H),5.99−5.85(m,vinyl proton,1H),5.25−5.14(m,vinyl proton,2H),4.18(t,J=6.6,−CH
2−,2H),2.68−2.61(m,−CH
2−,2H)
【0248】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):159.6,141.1,133.3,126.0,124.0,123.5,118.0,111.8,69.2,33.2
【0249】
<1,7−ビス[4−(2−クロロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2h)の合成>
7mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(0.544g;1.92mmol)に、上記4−(3−ブテニロキシ)−3−クロロニトロベンゼン(1h)(1.37g;6.02mmol)と、カルステッド触媒(10滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,7−ビス[4−(2−クロロ−4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(2h)(1.24g、収率87%)を得た。
得られた(2h)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0250】
【化66】
【0251】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1585(Ar C−C),1516,1342(−NO
2),1257(Si−C)
【0252】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.26(d,J=3.0,ArH,2H),8.12(dd,J=9.3,3.0,ArH,2H),6.96(d,J=9.0,ArH,2H),4.13(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.95−1.86(m,−CH
2−,4H),1.62−1.52(m,−CH
2−,4H),0.64−0.59(m,−CH
2−,4H),0.09(s,Si−CH
3,12H),0.04(s,Si−CH
3,12H)
【0253】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):159.9,141.1,126.1,124.1,123.5,111.8,69.7,32.3,19.8,17.9,1.33,0.275
【0254】
<1,7−ビス[4−(4−アミノ−2−クロロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3h)の合成>
0.936gの上記(2h)(1.38mmol)と10mLの10重量%Pd/C(0.0469g)酢酸エチル溶液とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される褐色油状物質として1,7−ビス[4−(4−アミノ−2−クロロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(3h)(0.860g、収率99%)を得た。得られた(3h)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0255】
【化67】
【0256】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1624(N−H),1500(Ar C−C),1257(Si−C)
【0257】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):6.76(d,J=8.1,ArH,2H),6.74(d,J=2.4,ArH,2H),3.93(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.65(s,NH
2,4H),1.85−1.76(m,−CH
2−,4H),1.58−1.47(m,−CH
2−,12H),0.63−0.57(m,−CH
2−,4H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0258】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):150.0,140.6,124.3,117.5,116.2,114.6,70.2,33.0,19.8,18.1,1.36,0.333
【0259】
<液晶性ポリイミド(6m)の合成>
【化68】
1.139g(1.68mmol)の上記(3h)を8.53gのNMPに溶かし、ここに0.366g(1.68mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色の液晶性ポリイミド(6m)のフィルムを得た。
【0260】
[実施例10]
実施例7で用いたPMDAをBPDAに変更した以外は、実施例7と同様にして、下記式で表わされるポリイミド(6n)のフィルムを得た。
【化69】
【0261】
[実施例11]
実施例9で用いたPMDAをBPDAに変更した以外は、実施例9と同様にして、下記式で表わされる液晶性ポリイミド(6o)のフィルムを得た。
【化70】
【0262】
実施例7〜11で得た液晶性ポリイミドの相転移点を下記表2に示す。なお、表2中のAr、R
1、及びR
2については、下記化学式中のAr、R
1、及びR
2に対応する。
【化71】
【表2】
【0263】
[参考例5]
<1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(1A)の合成>
【化72】
上記のスキームの通り、下記文献に従って、1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(1A)を合成した(6.42g、収率50%)。
文献:Journal of Applied Polymer ScienceVol. 108, 1901-1907 (2008).(収率82%)
【0264】
<1,11−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(2A)の合成>
5mLのトルエンに溶かした1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(1A)(0.647g;1.50mmol)に、上記4−(3−ブテニロキシ)ニトロベンゼン(0.709g;3.67mmol)と、カルステッド触媒(10滴;プラチナジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスの2%キシレン溶液)を加えた。反応溶液を窒素下で24時間加熱還流したのち、減圧下でトルエンを除去した。得られた物質を塩化メチレン:ヘキサン(4:6 体積比)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、下記式で示される薄黄色油状物質である1,11−ビス[4−(4−ニトロフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(2A)(1.18g、収率96%)を得た。
得られた(2A)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0265】
【化73】
【0266】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):2958(Alkyl C−H),1593 (Ar C−C),1516,1342(−NO
2),1261(Si−C)
【0267】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):8.18(d,J=9.6,ArH,4H),6.93(d,J=9.3,ArH,4H),4.05(t,J=6.3,−CH
2−,4H),1.89−1.80(m,−CH
2−,4H),1.57−1.47(m,−CH
2−,4H),0.63−0.57(m,−CH
2−,4H),0.09(s,Si−CH
3,12H),0.06(s,Si−CH
3,12H),0.05(s,Si−CH
3,12H)
【0268】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):164.4,141.4,126.0,114.5,68.6,32.6,19.8,18.0,1.33,1.25,0.314
【0269】
<1,11−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(3A)の合成>
1.02gの上記(2A)(1.25mmol)と10mLの10重量%Pd/C(0.0203g)酢酸エチル溶液とを混合し、室温下、水素雰囲気で2日間撹拌した。溶液をセライト濾過した後に濃縮し、下記式で示される無色油状物質として1,11−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ブチル]−1,1,3,3,5,5,7,7,9,9,11,11−ドデカメチルヘキサシロキサン(3A)(0.943g、収率99%)を得た。得られた(3A)について、測定を行なった結果は以下の通りである。
【0270】
【化74】
【0271】
IR測定結果:(NaCl),ν(cm
−1):3363 (N−H),2958(Alkyl C−H),1624(N−H),1512(Ar C−C),1257(Si−C)
【0272】
1H NMR測定結果:(測定条件 300MHz,CDCl3,δ,ppm,25℃):6.74(d,J=9.0,ArH,4H),6.63(d,J=8.7,ArH,4H),3.88(t,J=6.3,−CH
2−,4H),3.41(s,NH
2,4H),1.82−1.73(m,−CH
2−,4H),1.55−1.44(m,−CH
2−,12H),0.63−0.57(m,−CH
2−,4H),0.09(s,Si−CH
3,12H),0.08(s,Si−CH
3,12H),0.06(s,Si−CH
3,12H)
【0273】
13C NMR測定結果:(測定条件 75MHz,CDCl
3,δ,ppm,25℃):152.5,139.9,116.5,115.8,68.4,33.1,19.9,18.1,1.33,1.23,0.314
【0274】
1.272g(1.68mmol)の上記(3A)を9.28gのNMPに溶かし、ここに0.366g(1.68mmol)のPMDAを加え、この溶液を室温で12時間撹拌した。得られたポリアミド酸を窒素下でガラス板上にキャストし、ホットプレートで段階的に加熱(熱イミド化)し、最終的には200℃にて加熱を行って濁った黄色のポリイミド(6A)のフィルムを得た。
【化75】
【0275】
[参考例6]
参考例5で用いたPMDAをBPDAに変更した以外は、参考例6と同様にして、下記式で表わされるポリイミド(6B)のフィルムを得た。
【化76】
【0276】
[評価]
上記実施例7〜11、参考例5及び6で得られたポリイミドについて、液晶性を確認したところ、実施例7〜11で得られた液晶性ポリイミド(6k)、(6l)、(6m)、(6n)、及び(6o)については、液晶性を示すことが確認された。一方、(6A)及び(6B)については、液晶性を示さないことが確認された。これは、スペーサー基の屈曲性が高すぎる(スペーサー基が長すぎる)ために、メソゲン基が配向しなかったものと考えられる。
【0277】
[熱伝導率の評価]
下記の方法により、液晶性ポリイミドフィルムの熱伝導率の評価、及び液晶性ポリイミドと窒化アルミニウムとのコンポジットとした際の熱伝導率の評価を行なった。熱伝導率の評価は、アイフェイズ社のアイフェイズモバイル1uを用いて、周期加熱法にて試料の熱拡散率を評価し、ここに試料の比重と比熱を乗じて、熱伝導率を求めた。
【0278】
・液晶性ポリイミドフィルムの熱伝導率測定
離型PETフィルム上に、実施例1の液晶性ポリイミド(6h)の合成の欄に記載のポリアミド酸を塗布し、このサンプルを大気中、加熱オーブンで100℃で60分、次いで150℃で60分加熱した後に減圧下さらに30分保持後、室温まで放冷して離型PET上にポリイミドフィルム(ポリイミド(6h)(膜厚107μm))を得た。離型PETからフィルムを剥がして得た自立膜の厚み方向の熱伝導率を評価したところ、0.21W/m・Kであった。このフィルムを離型処理したスライドガラスに載せ、ホットプレート上で280℃に昇温して等方相とし10分間保持した。その後、240℃に降温し、30分保持して液晶相を発現させた後に室温まで放冷し、離型ガラス上にポリイミド(6h)の液晶化フィルムを得た。離型ガラスから剥がした自立膜の厚み方向の熱伝導率を評価したところ、0.24W/m・Kと液晶化前に比べて熱伝導率の改善が確認された。
【0279】
・窒化アルミニウム/ポリイミドコンポジットの熱伝導率測定
MEK(2−ブタノン)4.95g中に、分散剤としてBYK−111(ビックケミー社製)を0.05gを加え均一に混合した。さらに5.0gの窒化アルミニウム(AlN;トクヤマHグレード)を加え、超音波を照射することで均一なAlN/MEK分散液(50重量%)を得た。乳鉢に15重量%の、実施例1の液晶性ポリイミド(6h)の合成の欄に記載のポリアミド酸溶液0.372g(溶媒NMP)を加え、ここに50重量%AlN分散液0.278gとMEK0.08gを加えて均一になるまで乳鉢中で混合した。このペーストを離型PETフィルム上にスピンコートし薄膜を得た(スピンコート条件:800rpm×5秒 + 2500rpm×15秒)。この離型PET上のサンプルを80℃で10分間プリベイクし、ポリアミド酸/AlNのコンポジットフィルムを得た。このフィルムを大気中、加熱オーブンで100℃で30分、次いで150℃で30分加熱した後に減圧下でさらに30分保持後、室温まで放冷して離型PET上にポリイミド/AlNのコンポジットフィルムを得た。離型PETからサンプルフィルムを剥がして自立膜を得た。TG−DTA測定より、コンポジットフィルム中のAlNの重量分率は76.5重量%であった。このサンプルフィルムの熱伝導率を評価したところ1.5W/m・Kであった。
【0280】
このフィルムを二枚の離型処理したスライドガラスに挟み、熱プレス機にて約1MPaの圧力をかけ、280℃まで昇温し、10分間保持した。その後、240℃に降温し、30分保持して液晶相を発現させた後に室温まで放冷し、離型ガラス間に液晶性ポリイミド/AlNコンポジットフィルムを得た。このコンポジットフィルムの熱伝導率を評価したところ、2.9W/m・Kと液晶化処理前に比べて顕著な向上が見られた。一方、温度処理条件を280℃で10分+30分加熱の後に放冷した場合(液晶相を発現させない温度処理条件)、その熱伝導率は2.0W/m・Kであった。液晶の発現によるコンポジットの熱伝導率の発現が確認された。