(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5740869
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
H02M3/155 K
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-186667(P2010-186667)
(22)【出願日】2010年8月23日
(65)【公開番号】特開2012-44850(P2012-44850A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 友春
(72)【発明者】
【氏名】榊原 典尚
(72)【発明者】
【氏名】可知 忠義
【審査官】
松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−056728(JP,A)
【文献】
特開平10−098872(JP,A)
【文献】
特開2000−253652(JP,A)
【文献】
特開平10−042553(JP,A)
【文献】
特開2005−237149(JP,A)
【文献】
特開2011−229222(JP,A)
【文献】
特開2008−154379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
スイッチと、前記バッテリと前記スイッチとの間に設けられるコイルと、そのコイルと負荷との間に設けられる整流用MOSFETとを備える昇圧回路と、
前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に設けられる電流遮断用スイッチと、
前記整流用MOSFETを駆動させるドライブ回路が故障したか否かを判断する異常検知手段と、
前記バッテリの電圧が一時的に低下しているとき、前記スイッチ及び整流用MOSFETを交互にオン、オフさせるとともに前記電流遮断用スイッチを常時オンさせることにより、前記負荷への出力電圧を一定に保つように制御し、一時的に低下していた前記バッテリの電圧が元の電圧に戻ると、前記スイッチを常時オフ、前記整流用MOSFET及び前記電流遮断用スイッチを常時オンさせることにより、前記バッテリから前記負荷へ電力を供給し、前記バッテリの電圧が元の電圧に戻った後、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断され前記整流用MOSFETをオンさせることができなくなり前記整流用MOSFETのボディダイオードを通じて電流が流れる場合、前記電流遮断用スイッチの動作を制御して前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断する制御手段と、
を備えることを特徴とする電源回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電源回路であって、
互いに直列接続されるとともに、前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に接続される複数の抵抗と、
前記複数の抵抗に電流を流して前記複数の抵抗の接続点に生じる電圧により、PチャネルMOSFETである前記電流遮断用スイッチをオンさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ電流を流すトランジスタと、
を備え、
前記制御手段は、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断されると、前記トランジスタをオフさせて前記複数の抵抗に流れる電流を停止させることにより、前記電流遮断用スイッチをオフさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断する
ことを特徴とする電源回路。
【請求項3】
請求項1に記載の電源回路であって、
互いに直列接続されるとともに、前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に接続される複数の抵抗と、
前記バッテリから流れる電流によりオンしているとき、前記複数の抵抗に電流を流して前記複数の抵抗の接続点に生じる電圧により、PチャネルMOSFETである前記電流遮断用スイッチをオンさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ電流を流す第1のトランジスタと、
自身がオンすると、前記バッテリから前記第1のトランジスタに流れていた電流をグランドに流して前記第1のトランジスタをオフさせて前記複数の抵抗に電流が流れないようにさせることにより、前記電流遮断用スイッチをオフさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断する第2のトランジスタと、
を備え、
前記制御手段は、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断されると、前記第2のトランジスタをオンさせる
ことを特徴とする電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電圧を一定に保って負荷に出力する電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料消費量の節減と排ガスの低減を目的として、アイドルストップ車が実用化されている。アイドルストップ車は、信号待ち等で車両の停止動作を検知するとエンジンを自動的に停止し、その後車両の発進動作を検知するとエンジンを自動的に再始動するようにした車両である。
【0003】
このような車両では、エンジン再始動時において、エンジン始動用のスタータモータに大電流が流れることから、バッテリの電圧が一時的に低下する。また、これに伴って、バッテリに接続されるスタータモータ以外の電装部品などの負荷に供給される電圧も一時的に低下する。そのため、負荷によっては、供給される電圧が動作に必要な電圧の範囲から外れてしまい、一時的に正常に動作しないおそれがある。例えば、カーナビゲーションやオーディオにおいてはリセットが行われたり、オーディオにおいては音飛びが発生したり、運転者の意図せぬ動作が行われるおそれがある。そこで、このような車両では、バッテリの電圧が一時的に低下した場合であっても負荷への必要な電圧の供給を維持することができるように、補助の電源回路を備えるようにしている。
【0004】
補助の電源回路としては、例えば、昇圧回路を備え、その昇圧回路内のスイッチング素子をオン、オフさせることによりバッテリの電圧を昇圧して負荷への出力電圧を制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、このような電源回路は、一時的に低下していたバッテリの電圧が元の電圧に戻った後の通常時、昇圧回路内の整流用のダイオードに常時電流が流れることになるため、そのダイオードでの損失による効率の低下やダイオードの温度上昇が問題となる。
【0006】
そこで、電源回路として、整流用のダイオードの代わりにMOSFETを設け、通常時には、その整流用MOSFETを常時オンさせることにより効率の低下や素子温度上昇を抑えるようにしたものがある。この電源回路では、整流用MOSFETを駆動するドライブ回路が故障して整流用MOSFETをオンさせることができなくなった場合でも、整流用MOSFETのボディダイオードを通じて電流が流れるため、負荷への電力供給を継続させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−237149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように、整流用MOSFETを駆動するドライブ回路が故障して整流用MOSFETをオンさせることができなくなった場合、整流用MOSFETのボディダイオードには常時電流が流れることになり、整流用MOSFETの温度が上昇してしまう。この場合、昇圧回路内の制御回路によりボディダイオードを流れる電流を止めることはできないため、整流用MOSFETの温度上昇を抑えることはできず、自己保護ができない。従って、その温度上昇により素子破損等の悪影響を整流用MOSFETに及ぼすおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、ドライブ回路が故障して昇圧回路内の整流用MOSFETをオンさせることができなくなった場合であっても整流用MOSFETに悪影響が及ぶことを抑えることが可能な電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電源回路は、バッテリと、スイッチと、前記バッテリと前記スイッチとの間に設けられるコイルと、そのコイルと負荷との間に設けられる整流用MOSFETとを備える昇圧回路と、前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に設けられる電流遮断用スイッチと、前記整流用MOSFETを駆動させるドライブ回路が故障したか否かを判断する異常検知手段と、前記バッテリの電圧が一時的に低下しているとき、前記スイッチ及び整流用MOSFETを交互にオン、オフさせるとともに前記電流遮断用スイッチを常時オンさせることにより、前記負荷への出力電圧を一定に保つように制御し、一時的に低下していた前記バッテリの電圧が元の電圧に戻ると、前記スイッチを常時オフ、前記整流用MOSFET及び前記電流遮断用スイッチを常時オンさせることにより、前記バッテリから前記負荷へ電力を供給し、前記バッテリの電圧が元の電圧に戻った後、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断され
前記整流用MOSFETをオンさせることができなくなり前記整流用MOSFETのボディダイオードを通じて電流が流れる場合、前記電流遮断用スイッチの動作を制御して前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断する制御手段とを備える。
【0011】
これにより、ドライブ回路が故障した場合、整流用MOSFETに電流が流れなくなるため、ドライブ回路が故障して整流用MOSFETをオンさせることができなくなった場合であっても整流用MOSFETに悪影響が及ぶことを抑えることができる。
【0012】
また、本発明の電源回路は、互いに直列接続されるとともに、前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に接続される複数の抵抗と、前記複数の抵抗に電流を流して前記複数の抵抗の接続点に生じる電圧により、PチャネルMOSFETである前記電流遮断用スイッチをオンさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ電流を流すトランジスタとを備え、前記制御手段は、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断されると、前記トランジスタをオフさせて前記複数の抵抗に流れる電流を停止させることにより、前記電流遮断用スイッチをオフさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断するように構成してもよい。
【0013】
これにより、電流遮断用スイッチのオン、オフを制御するための電圧をつくる電源を新たに用意する必要がないため、コストや回路規模の増大を抑えることができる。
また、本発明の電源回路は、互いに直列接続されるとともに、前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流の経路に接続される複数の抵抗と、前記バッテリから流れる電流によりオンしているとき、前記複数の抵抗に電流を流して前記複数の抵抗の接続点に生じる電圧により、PチャネルMOSFETである前記電流遮断用スイッチをオンさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ電流を流す第1のトランジスタと、自身がオンすると、前記バッテリから前記第1のトランジスタに流れていた電流をグランドに流して前記第1のトランジスタをオフさせて前記複数の抵抗に電流が流れないようにさせることにより、前記電流遮断用スイッチをオフさせて前記バッテリから前記コイル及び前記整流用MOSFETを介して前記負荷へ流れる電流を遮断する第2のトランジスタとを備え、前記制御手段は、前記異常検知手段により前記ドライブ回路が故障したと判断されると、前記第2のトランジスタをオンさせるように構成してもよい。
【0014】
これにより、制御回路に電力が供給されていない場合でも、電流遮断用スイッチを介してバッテリから負荷へ電力を供給することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、バッテリの電圧を一定に保って負荷に出力する電源回路において、ドライブ回路が故障して昇圧回路内の整流用MOSFETをオンさせることができなくなった場合であっても整流用MOSFETに悪影響が及ぶことを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の電源回路を示す図である。
【
図2】制御回路の動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の他の実施形態の電源回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態の電源回路を示す図である。
図1に示す電源回路1は、バッテリ2と、昇圧回路3とを備える。昇圧回路3は、コンデンサ4を介してバッテリ2に接続されているとともに、コンデンサ5を介して負荷6に接続され、バッテリ2から得られる電力を負荷6に供給する。
【0018】
本実施形態の電源回路1は、例えば、アイドルストップ車のエンジン始動用のスタータモータに電力を供給するバッテリ2の電圧を、一定に保って負荷6としてのカーナビゲーションやオーディオなどの電装部品(入力電圧の一時的な低下に伴って一時的に正常動作しなくなるような電装部品)に出力するものとして使用される。
【0019】
また、昇圧回路3は、Nチャネルの昇圧用MOSFET(Metal Oxide Semiconductor FIELD Effect Transistor)7(スイッチ)と、バッテリ2と昇圧用MOSFET7との間に設けられるコイル8と、コイル8と負荷6との間に設けられるNチャネルの整流用MOSFET9と、昇圧用MOSFET7を駆動させるドライブ回路10と、整流用MOSFET9を駆動させるドライブ回路11と、整流用MOSFET9の近傍に設けられるサーミスタ12と、サーミスタ12により検出される電圧に基づいて求められる温度が所定温度以上であるときドライブ回路11が故障していると判断する検出回路13とを備えている。なお、特許請求の範囲の異常検知手段は、例えば、サーミスタ12と、検出回路13とにより構成される。
【0020】
また、電源回路1は、Pチャネルの電流遮断用MOSFET(電流遮断用スイッチ)14と、抵抗15、16と、npnバイポーラトランジスタ17(トランジスタ)と、上位ECU(Electronic Control Unit)18と、表示部19とを備えている。
【0021】
電流遮断用MOSFET14は、バッテリ2からコイル8及び整流用MOSFET9を介して負荷6へ流れる電流の経路に設けられる。すなわち、電流遮断用MOSFET14のドレイン(バッテリ2側の端子)は整流用MOSFET9のソース(負荷6側の端子)に接続され、電流遮断用MOSFET14のソース(負荷6側の端子)はコンデンサ5に接続されている。
【0022】
抵抗15、16は、互いに直列接続されるとともに、バッテリ2からコイル8及び整流用MOSFET9を介して負荷6へ流れる電流の経路に接続される。抵抗15、16の接続点は電流遮断用MOSFET14のゲートに接続されている。
【0023】
npnバイポーラトランジスタ17は、コレクタが抵抗16に接続され、エミッタがグランド(バッテリ2のマイナス端子)に接続される。npnバイポーラトランジスタ17がオンすると、抵抗15、16に電流が流れて抵抗15、16の接続点に電圧が生じる。そして、この電圧(電流遮断用MOSFET14のゲート−ソース間に生じるマイナスのバイアス電圧)により電流遮断用MOSFET14がオンしてバッテリ2からコイル8、整流用MOSFET9、及び電流遮断用MOSFET14を介して負荷6へ電流が流れる。
【0024】
また、昇圧回路3は、制御回路20(制御手段)と、その制御回路20に電力を供給する制御回路電源21とを備えている。なお、制御回路電源21は、上位ECU18から与えられる電力供給指示(LIN信号やCAN信号など)に基づいて、制御回路20へ電力を供給するか否かを制御する。また、制御回路20は、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。ソフトウェアによって実現される場合、制御回路20はCPUやメモリを含み、CPUがメモリに格納されている制御プログラムを読み出し実行することによって実現される。
【0025】
図2は、制御回路20の動作を示すフローチャートである。
まず、制御回路20は、ユーザによりイグニッションキー等が押された場合において、又は、アイドルストップの状態からエンジンが始動する場合において、エンジン始動用のスタータモータが駆動することで、バッテリ2の電圧(例えば、12V)が一時的に低下しているとき(昇圧モード)、昇圧用MOSFET7と整流用MOSFET9とを交互にオン、オフさせるとともに、npnバイポーラトランジスタ17を常時オンさせて電流遮断用MOSFET14を常時オンさせることにより、バッテリ2の電圧(コンデンサ4にかかる電圧)を昇圧させて負荷6にかかる電圧(コンデンサ5にかかる電圧)を一定に保つ(S1)。なお、制御回路20は、昇圧用MOSFET7と整流用MOSFET9とが同時にオンしないように、昇圧用MOSFET7と整流用MOSFET9とを交互にオン、オフさせる。
【0026】
次に、制御回路20は、一時的に低下していたバッテリ2の電圧が元の電圧に戻った後(バイパスモード)、昇圧用MOSFET7を常時オフさせるとともに、整流用MOSFET9及び電流遮断用MOSFET14を常時オンさせる(S2)。このとき、バッテリ2からコイル8、整流用MOSFET9、及び電流遮断用MOSFET14を介して負荷6へ電流が流れ、負荷6に電力が供給される。
【0027】
次に、制御回路20は、検出回路13によりドライブ回路11が故障していると判断されたか否かを確認する(S3)。
検出回路13によりドライブ回路11が故障していると判断されていると(S3がYes)、制御回路20は、ドライブ回路11が故障した旨を上位ECU18に通知する(S4)。上位ECU18は、ドライブ回路11が故障した旨が通知されると、その旨を示すメッセージを表示部19に表示させる。
【0028】
次に、制御回路20は、npnバイポーラトランジスタ17をオフさせて抵抗15、16に流れる電流を停止させることにより、電流遮断用MOSFET14をオフさせてバッテリ2からコイル8及び整流用MOSFET9を介して負荷6へ流れる電流を遮断する。これにより、整流用MOSFET9に電流が流れなくなる。
【0029】
このように、
図1に示す電源回路1では、検出回路13によりドライブ回路11が故障していると判断された場合、整流用MOSFET9に電流が流れなくなるため、ドライブ回路11が故障して整流用MOSFET9をオンさせることができなくなった場合であっても整流用MOSFET9に悪影響が及ぶことを抑えることができる。
【0030】
また、
図1に示す電源回路1では、電流遮断用MOSFET14として、PチャネルのMOSFETを使用しているため、バッテリ2から負荷6へ流れる電流を利用して抵抗15、16の接続点に生じる電圧により電流遮断用MOSFET14を駆動させることができる。そのため、電流遮断用MOSFET14を駆動させるための電源を新たに用意する必要がなく、コストや回路規模の増大を抑えることができる。
【0031】
また、
図1に示す電源回路1では、整流素子としてMOSFETを採用しているため、整流素子としてダイオードを採用する場合に比べて、効率の低下や素子温度上昇を抑えることができるため、低コスト化及び小型化を図ることができる。
【0032】
図3は、本発明の他の実施形態の電源回路を示す図である。なお、
図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
図3に示す電源回路22において、
図1に示す電源回路1と異なる点は、制御回路電源21から制御回路20に電力が供給されていない場合でも、電流遮断用MOSFET14をオンさせてバッテリ2から負荷6へ電力が供給されるようにしている点である。
【0033】
すなわち、
図3に示す電源回路22において、npnバイポーラトランジスタ17は、バッテリ2の電圧が一時的に低下しているとき(昇圧モード)や一時的に低下していたバッテリ2の電圧が元の電圧に戻った後(バイパスモード)、バッテリ2から抵抗23、24を介して流れる電流により常時オンしている。このとき、抵抗15、16には電流が流れ、抵抗15、16の接続点に生じる電圧により電流遮断用MOSFET14がオンしてバッテリ2からコイル8、整流用MOSFET9、及び電流遮断用MOSFET14を介して負荷6へ電流が流れる。
【0034】
なお、バッテリ2からnpnバイポーラトランジスタ17へ流れる電流が小さくなるように、抵抗23、24の抵抗値の和を例えば100kΩ以上の大きな値に設定する。
また、電源回路22は、コレクタが抵抗23、24の接続点に接続されるとともに、エミッタがグランドに接続され、制御回路20から抵抗25を介して流れる電流によりオン、オフするnpnバイポーラトランジスタ26を備えている。なお、npnバイポーラトランジスタ17のベース−エミッタに設けられる抵抗27やnpnバイポーラトランジスタ26のベース−エミッタ間に設けられる抵抗28の抵抗値も、それらに流れる電流が小さくなるように、例えば100kΩ以上の大きな値に設定する。
【0035】
そして、
図3に示す電源回路22における制御回路20は、検出回路13によりドライブ回路11が故障したと判断されると、その旨を上位ECU18に通知するとともに、npnバイポーラトランジスタ26をオンさせる。すると、バッテリ2からnpnバイポーラトランジスタ17へ流れていた電流がグランドに流れてnpnバイポーラトランジスタ17がオフして抵抗15、16に電流が流れなくなる。これにより、電流遮断用MOSFET14がオフしてバッテリ2からコイル8及び整流用MOSFET9を介して負荷6へ流れる電流が遮断される。
【0036】
これにより、
図1に示す電源回路1と同様に、検出回路13によりドライブ回路11が故障していると判断された場合、整流用MOSFET9に電流が流れなくなるため、ドライブ回路11が故障して整流用MOSFET9をオンさせることができなくなった場合であっても整流用MOSFET9に悪影響が及ぶことを抑えることができる。
【0037】
また、
図3に示す電源回路22では、制御回路電源21から制御回路20へ電力が供給されていないときも、バッテリ2からの電流によりnpnバイポーラトランジスタ17が常時オンしている。そのため、制御回路20へ電力が供給されていない場合でも、電流遮断用MOSFET14が常時オンするため、バッテリ2から負荷6へ電力を供給することができる。これにより、例えば、制御回路20へ電力が供給されない場合でも、負荷6に備えられるメモリに情報を保持させ続けることができる。
【0038】
なお、
図1に示す電源回路1や
図3に示す電源回路22では、制御回路20を昇圧回路3に備える構成であるが、制御回路20を昇圧回路3の外部に備えるように構成してもよい。
【0039】
また、
図1に示す電源回路1や
図3に示す電源回路22における検出回路13は、一時的に低下していたバッテリ2の電圧が元の電圧に戻った後、整流用MOSFET9を駆動させるための駆動信号がドライブ回路11から出力されなくなったことを検出したとき、ドライブ回路11が故障していると判断するように構成してもよい。このように構成する場合、サーミスタ12を省略してもよい。
【0040】
また、
図1に示す電源回路1や
図3に示す電源回路22において、複数の昇圧回路3を互いに並列接続されるように構成してもよい。このように構成する場合、各昇圧回路3に対して電流遮断用MOSFET14やnpnバイポーラトランジスタ17などをそれぞれ設ける。
【0041】
また、
図1に示す電源回路1や
図3に示す電源回路22において、電流遮断用MOSFET14やnpnバイポーラトランジスタ17などが電源回路1や電源回路22の出力段に設けられる構成であるが、それらが電源回路1や電源回路22の入力段に設けられてもよい。このように構成する場合、電流遮断用MOSFET14の誤動作を防止するために、バッテリ2の電圧変動が少ない電源回路に適用することが望ましい。
【0042】
また、
図1に示す電源回路1や
図3に示す電源回路22において、電流遮断用MOSFET14として、PチャネルのMOSFETを採用しているが、NチャネルのMOSFETやpnpバイポーラトランジスタを採用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 電源回路
2 バッテリ
3 昇圧回路
4、5 コンデンサ
6 負荷
7 昇圧用MOSFET
8 コイル
9 整流用MOSFET
10、11 ドライブ回路
12 サーミスタ
13 検出回路
14 電流遮断用MOSFET
15、16 抵抗
17 npnバイポーラトランジスタ
18 上位ECU
19 表示部
20 制御回路
21 制御回路電源
22 電源回路
23〜25 抵抗
26 npnバイポーラトランジスタ
27、28 抵抗