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特許5741241画像処理装置、画像処理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741241
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20150611BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20150611BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20150611BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G06F3/12 K
   G06F3/12 D
   H04N1/00 C
   B41J29/38 Z
   B41J5/30 Z
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-133902(P2011-133902)
(22)【出願日】2011年6月16日
(65)【公開番号】特開2013-3819(P2013-3819A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118108
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 洋之
(72)【発明者】
【氏名】大林 信幸
【審査官】 安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−131854(JP,A)
【文献】 特開2009−217306(JP,A)
【文献】 特開2009−223610(JP,A)
【文献】 特開2010−028242(JP,A)
【文献】 特開2011−081781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 5/30
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求した印刷要求装置から、当該識別情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する特定手段と、
前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、前記特定手段により特定された前記記憶領域に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う処理手段と
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記識別情報に関連付けて前記記憶領域を新たに生成することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記識別情報の入力に応じて、前記記憶手段に記憶された前記文書画像を印刷することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記特定手段は、既に存在する複数の記憶領域の中から前記識別情報に関連付けられた前記記憶領域を選択することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理手段は、選択された前記記憶領域に予め登録された前記処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記受信手段は、前記記憶領域を新たに生成するための第1の生成設定、及び、既に存在する複数の記憶領域の中から前記記憶領域を選択するための第2の生成設定の何れかを示す生成設定情報を更に受信し、
前記特定手段は、前記生成設定情報が前記第1の生成設定を示す場合には、既に存在する複数の記憶領域の中に前記識別情報に関連付けられた特定の記憶領域があっても、当該識別情報に関連付けて前記記憶領域を新たに生成することにより、前記記憶領域を特定し、前記生成設定情報が前記第2の生成設定を示す場合には、既に存在する複数の記憶領域の中に前記識別情報に関連付けられた特定の記憶領域があれば、当該特定の記憶領域を前記記憶領域として選択することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記特定手段により特定された前記記憶領域における記憶に不具合がある場合には、前記文書画像を前記記憶領域に記憶しないことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記受信手段は、前記記憶領域を削除するための第1の削除設定、及び、前記記憶領域を残すための第2の削除設定の何れかを示す削除設定情報を更に受信し、
前記特定手段は、前記削除設定情報が前記第1の削除設定を示す場合には、前記処理手段により前記文書画像を用いた処理が行われた後に前記記憶領域を削除し、前記削除設定情報が前記第2の削除設定を示す場合には、前記処理手段により前記文書画像を用いた処理が行われた後に前記記憶領域を削除しないことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
文書の印刷を要求する印刷要求装置と、
前記文書を画像化した文書画像を処理する画像処理装置と
を備え、
前記印刷要求装置は、
前記文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求する当該要求者の操作を検出する検出手段と、
前記検出手段による前記操作の検出に応じて、前記画像処理装置に前記識別情報を送信する送信手段と
を備え、
前記画像処理装置は、
前記印刷要求装置から前記識別情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する特定手段と、
前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、前記特定手段により特定された前記記憶領域に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う処理手段と
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
コンピュータに、
文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求した印刷要求装置から、当該識別情報を受信する機能と、
受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する機能と、
受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、特定された前記記憶領域に記憶する機能と、
前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリントサーバにHTTPサーバ機能処理部を設け、WEBページを経由して、HTTPプロトコルにより親展ボックスのユーザー名、IPアドレス、DNS名を登録し、親展プリント時には、WEBページから親展ボックス名とパスコードとを入力し、親展ボックス内にロックファイルを作成し、プリントサーバの操作・表示部に、親展プリントするデータがある旨とその親展ボックス名とを表示し、パスコードを入力すると、ロックファイルを削除して親展プリントする技術は、知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−102396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、印刷指示情報を生成する役務に印刷指示情報の生成を要求した要求者ごとの記憶領域に、役務から得られた文書画像を記憶することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求した印刷要求装置から、当該識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する特定手段と、前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、前記特定手段により特定された前記記憶領域に記憶する記憶手段と、前記記憶手段により前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記特定手段は、前記識別情報に関連付けて前記記憶領域を新たに生成することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記処理手段は、前記識別情報の入力に応じて、前記記憶手段に記憶された前記文書画像を印刷することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記特定手段は、既に存在する複数の記憶領域の中から前記識別情報に関連付けられた前記記憶領域を選択することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記処理手段は、選択された前記記憶領域に予め登録された前記処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記受信手段は、前記記憶領域を新たに生成するための第1の生成設定、及び、既に存在する複数の記憶領域の中から前記記憶領域を選択するための第2の生成設定の何れかを示す生成設定情報を更に受信し、前記特定手段は、前記生成設定情報が前記第1の生成設定を示す場合には、既に存在する複数の記憶領域の中に前記識別情報に関連付けられた特定の記憶領域があっても、当該識別情報に関連付けて前記記憶領域を新たに生成することにより、前記記憶領域を特定し、前記生成設定情報が前記第2の生成設定を示す場合には、既に存在する複数の記憶領域の中に前記識別情報に関連付けられた特定の記憶領域があれば、当該特定の記憶領域を前記記憶領域として選択することにより、前記記憶領域を特定することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の画像処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記記憶手段は、前記特定手段により特定された前記記憶領域における記憶に不具合がある場合には、前記文書画像を前記記憶領域に記憶しないことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記受信手段は、前記記憶領域を削除するための第1の削除設定、及び、前記記憶領域を残すための第2の削除設定の何れかを示す削除設定情報を更に受信し、前記特定手段は、前記削除設定情報が前記第1の削除設定を示す場合には、前記処理手段により前記文書画像を用いた処理が行われた後に前記記憶領域を削除し、前記削除設定情報が前記第2の削除設定を示す場合には、前記処理手段により前記文書画像を用いた処理が行われた後に前記記憶領域を削除しないことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の画像処理装置である。
請求項9に記載の発明は、文書の印刷を要求する印刷要求装置と、前記文書を画像化した文書画像を処理する画像処理装置とを備え、前記印刷要求装置は、前記文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求する当該要求者の操作を検出する検出手段と、前記検出手段による前記操作の検出に応じて、前記画像処理装置に前記識別情報を送信する送信手段とを備え、前記画像処理装置は、前記印刷要求装置から前記識別情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する特定手段と、前記受信手段により受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、前記特定手段により特定された前記記憶領域に記憶する記憶手段と、前記記憶手段により前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う処理手段とを備えたことを特徴とする画像処理システムである。
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が要求者により要求されると当該要求者の識別情報に関連付けて当該印刷指示情報を生成する役務に当該識別情報を送信して当該印刷指示情報の生成を要求した印刷要求装置から、当該識別情報を受信する機能と、受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該識別情報に関連付けられた記憶領域を特定する機能と、受信された前記識別情報に関連付けて前記役務で前記印刷指示情報が生成された場合に、当該役務から取得され、当該印刷指示情報に基づいて前記文書を画像化した文書画像を、特定された前記記憶領域に記憶する機能と、前記記憶領域に記憶された前記文書画像を用いて処理を行う機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、印刷指示情報を生成する役務に印刷指示情報の生成を要求した要求者ごとの記憶領域に、役務から得られた文書画像を記憶することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、要求者ごとの記憶領域を予め生成しておく手間を軽減することができる。
請求項3の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、役務から得られた文書画像の機密性を向上することができる。
請求項4の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、既に存在する記憶領域を要求者ごとの記憶領域に流用することも容易になる。
請求項5の発明によれば、要求者ごとの記憶領域に記憶された文書画像を用いた処理を、記憶領域ごとに変えることができる。
請求項6の発明によれば、要求者ごとの記憶領域を予め生成しておく手間を軽減するか、既に存在する記憶領域を要求者ごとの記憶領域に流用することを容易にするかを選択することができる。
請求項7の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、要求者ごとの記憶領域に記憶された文書画像を用いた処理を、記憶領域における記憶に不具合がある場合には抑制することができる。
請求項8の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、要求者ごとの記憶領域の作成による記憶容量の枯渇を抑制することもできる。
請求項9の発明によれば、印刷指示情報を生成する役務に印刷指示情報の生成を要求した要求者ごとの記憶領域に、役務から得られた文書画像を記憶することができる。
請求項10の発明によれば、印刷指示情報を生成する役務に印刷指示情報の生成を要求した要求者ごとの記憶領域に、役務から得られた文書画像を記憶することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態が適用されるクラウドプリントシステムの構成例を示した図である。
図2】本発明の実施の形態における端末装置のハードウェア構成例を示した図である。
図3】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示した図である。
図4】本発明の実施の形態の概略動作の第1の例について説明するための図である。
図5】本発明の実施の形態の概略動作の第2の例について説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態における端末装置の機能構成例を示したブロック図である。
図7】本発明の実施の形態における画像形成装置の機能構成例を示したブロック図である。
図8】本発明の実施の形態における端末装置の動作例を示したフローチャートである。
図9】本発明の実施の形態における画像形成装置の動作例を示したフローチャートである。
図10】本発明の実施の形態における画像形成装置の動作例を示したフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態における画像形成装置の動作例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるクラウドプリントシステムの全体構成例を示したものである。
図示するように、このクラウドプリントシステムは、端末装置10と、画像形成装置30a,30b,30cとがネットワーク90に接続されることにより構成されている。また、ネットワーク90は、例えば、図示しないゲイトウェイサーバを介して、ネットワーク70に接続されており、ネットワーク70には、クラウドプリントサーバ50が接続されている。
尚、図では、画像形成装置30a,30b,30cを示したが、これらを区別する必要がない場合は、画像形成装置30と称する。また、図には、3つの画像形成装置30しか示していないが、4つ以上の画像形成装置30を設けてもよい。
【0009】
端末装置10は、クラウドプリントサーバ50に文書の印刷を要求し、画像形成装置30a,30b,30cのうち、紙等の記録媒体に文書を印刷して出力したい画像形成装置30にその旨を通知するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、PC(Personal Computer)、携帯端末、携帯電話等を用いるとよい。本実施の形態では、印刷要求装置の一例として、端末装置10を設けている。
【0010】
画像形成装置30は、記録媒体に画像を形成し、印刷媒体として出力する装置である。ここで、画像形成装置30としては、プリンタ機能のみを備えた装置を用いてもよいし、これに加えてスキャナ機能、ファクシミリ機能等の他の画像処理機能を備えた装置を用いてもよい。本実施の形態では、画像処理装置の一例として、画像形成装置30を設けている。
【0011】
クラウドプリントサーバ50は、端末装置10として様々なデバイスを用い、自宅、オフィス、公共の場所等に設置された画像形成装置30で文書を印刷できるようにするサービス(以下、「クラウドプリントサービス」という)を提供するサーバコンピュータである。具体的には、画像形成装置30での文書の印刷を指示する印刷指示情報の生成が端末装置10から要求されると印刷指示情報を生成して保持しておき、その画像形成装置30から印刷指示情報の存在の問い合わせがあると、全ての画像形成装置30で共通に処理可能な形式の文書画像を生成してその画像形成装置30に提供する。本実施の形態では、印刷指示情報を生成する役務の一例として、クラウドプリントサービスを用いている。
【0012】
ネットワーク70は、端末装置10とクラウドプリントサーバ50との間の情報通信や、画像形成装置30とクラウドプリントサーバ50との間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネットである。
ネットワーク90は、端末装置10と画像形成装置30との間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、LAN(Local Area Network)である。
【0013】
次に、端末装置10のハードウェア構成について説明する。
図2は、端末装置10のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、端末装置10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)11と、記憶手段であるメインメモリ12及びHDD(Hard Disk Drive)13とを備える。ここで、CPU11は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、後述する各機能を実現する。また、メインメモリ12は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD13は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、端末装置10は、外部との通信を行うための通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)14と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構15と、キーボードやマウス等の入力デバイス16とを備える。
【0014】
図3は、画像形成装置30のハードウェア構成例を示した図である。
図示するように、画像形成装置30は、CPU31と、RAM(Random Access Memory)32と、ROM(Read Only Memory)33と、HDD34と、操作パネル35と、画像読取部36と、画像形成部37と、通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)38とを備える。
【0015】
CPU31は、ROM33等に記憶された各種プログラムをRAM32にロードして実行することにより、後述する各機能を実現する。
RAM32は、CPU31の作業用メモリ等として用いられるメモリである。
ROM33は、CPU31が実行する各種プログラム等を記憶するメモリである。
HDD34は、画像読取部36が読み取った画像データや画像形成部37における画像形成にて用いる画像データ等を記憶する例えば磁気ディスク装置である。
操作パネル35は、各種情報の表示やユーザからの操作入力の受付を行う例えばタッチパネルである。
【0016】
画像読取部36は、紙等の記録媒体に記録された画像を読み取る。ここで、画像読取部36は、例えばスキャナであり、光源から原稿に照射した光に対する反射光をレンズで縮小してCCD(Charge Coupled Devices)で受光するCCD方式や、LED光源から原稿に順に照射した光に対する反射光をCIS(Contact Image Sensor)で受光するCIS方式のものを用いるとよい。
【0017】
画像形成部37は、記録媒体に画像を形成する。ここで、画像形成部37は、例えばプリンタであり、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式や、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式のものを用いるとよい。
通信I/F38は、ネットワークを介して他の装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0018】
ところで、一般に、画像形成装置30には、端末装置10から文書の印刷が指示された時点では、文書を印刷せずに「親展ボックス」と呼ばれる格納領域に格納しておき、操作パネル35からパスワード等が入力されると文書を印刷する「親展プリント機能」(「セキュリティプリント機能」、「機密印刷機能」と呼ばれることもある)が備わっている。
しかしながら、図1のクラウドプリントシステムのように、クラウドプリントサーバ50側で印刷データを生成する場合は、画像形成装置30で文書は「親展ボックス」のような格納領域に格納されることなく無造作に印刷出力されてしまう。その結果、見られたくない情報であっても、他人に見られてしまう可能性が出て来る。
【0019】
そこで、本実施の形態では、クラウドプリントサーバ50側で印刷データを生成する場合、クラウドプリントサービスで使用されるアカウント情報に紐付けられた親展ボックスに印刷データを格納するようにする。
【0020】
まず、本実施の形態の概略動作について説明する。
図4は、本実施の形態の概略動作の第1の例について示した図である。この第1の例は、文書を格納する必要が生じたときに親展ボックスを開設し、文書の使用が終わったら親展ボックスを消去する例である。
まず、ユーザは、クラウドプリントサービスにログインし、画像形成装置30のリストから、印刷に使用したい画像形成装置30を選択して文書の印刷を要求する(1A)。
ユーザが文書の印刷を要求すると、端末装置10は、クラウドプリントサービスにログインするためのアカウント情報(アカウント及びパスワード)を画像形成装置30に通知し、画像形成装置30はこのアカウント情報を記憶しておく(1B)。
次に、画像形成装置30は、クラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の存在を問い合わせ、印刷指示情報が存在すれば、印刷指示情報のアカウント情報と1Bで記憶したアカウント情報とを照合して、一致する場合は、アカウント情報に紐付けて親展ボックスを開設する(1C)。尚、このとき、クラウドプリントサーバ50は、印刷指示情報がPDF(Portable Document Format)形式以外の文書の印刷を指示するものであれば、印刷指示情報に基づく画像をPDF形式に変換しておく。
そして、画像形成装置30は、PDF形式に変換された文書を引き上げ、1Cで開設した親展ボックスに文書を格納する(1D)。
親展ボックスに文書が格納されると、文書が格納された旨の電子メールがユーザに通知される(1E)。
これにより、ユーザは、画像形成装置30まで移動し、アカウント情報を入力することにより文書を印刷する(1F)。
文書が印刷されると、画像形成装置30は、親展ボックスを消去する(1G)。
【0021】
図5は、本実施の形態の概略動作の第2の例について示した図である。この第2の例は、文書を格納する必要が生じたときに親展ボックスを開設するのではなく既存の親展ボックスを利用する例である。
まず、ユーザは、クラウドプリントサービスにログインするためのアカウント情報に紐付けて親展ボックスを開設する(2A)。
また、ユーザは、開設した親展ボックスに対し、親展ボックスに文書が格納されたときに実行する処理を記述した指示書を予め登録しておく(2B)。指示書としては、例えば、親展ボックスに格納された文書をファクシミリ送信又はiFAX送信する処理等、如何なる処理を記述したものを登録してもよいが、この例では、親展ボックスに格納された文書を電子メールで転送する処理を記述した指示書を登録している。
その後、ユーザは、クラウドプリントサービスにログインし、画像形成装置30のリストから、印刷に使用したい画像形成装置30を選択して文書の印刷を要求する(2C)。
ユーザが文書の印刷を要求すると、端末装置10は、クラウドプリントサービスにログインするためのアカウント情報(アカウント及びパスワード)を画像形成装置30に通知し、画像形成装置30はこのアカウント情報を記憶しておく(2D)。
次に、画像形成装置30は、クラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の存在を問い合わせ、印刷指示情報が存在すれば、印刷指示情報のアカウント情報と2Dで記憶したアカウント情報とを照合して、一致する場合は、このアカウント情報に紐付けられた親展ボックスを検索し、既に存在していれば、新たに親展ボックスを開設しない。尚、このとき、クラウドプリントサーバ50は、印刷指示情報がPDF形式以外の文書の印刷を指示するものであれば、印刷指示情報に基づく画像をPDF形式に変換しておく。画像形成装置30は、PDF形式に変換された文書を引き上げ、2Aで開設した親展ボックスに文書を格納する(2E)。
親展ボックスに文書が格納されると、文書が格納された旨の電子メールがユーザに通知される(2F)。
また、格納された文書に対して、指示書に記述された処理を実行する(2G)。この例では、格納された文書が電子メールによりユーザに転送される。
【0022】
次に、本実施の形態の詳細な構成及び動作について説明する。尚、ここでは、図4の例及び図5の例を包含しつつ、このクラウドプリントシステムの利便性を向上するための更なる工夫を追加したものについて説明する。
【0023】
まず、本実施の形態のクラウドプリントシステムでは端末装置10及び画像形成装置30が中心となって動作することから、端末装置10及び画像形成装置30の構成について説明する。
図6は、端末装置10の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、端末装置10は、印刷要求検出部21と、印刷通知送信部22とを備えている。
【0024】
印刷要求検出部21は、要求者の一例としてのユーザがクラウドプリントサービスにログインして文書の印刷要求を行うと、この印刷要求を検出する。このとき、印刷要求検出部21は、クラウドプリントサービスにログインする際に用いられた識別情報の一例としてのアカウント情報(アカウント及びパスワード)及び印刷要求を行う際に選択された画像形成装置30の識別子を取得する。本実施の形態では、要求者の操作を検出する検出手段の一例として、印刷要求検出部21を設けている。
【0025】
印刷通知送信部22は、印刷要求検出部21が印刷要求を検出すると、このとき取得された識別子を有する画像形成装置30に、このとき取得されたアカウント情報と、各種設定情報とを含み、文書の印刷要求が行われたことを通知する印刷通知情報を、通信I/F14を介して送信する。ここで、各種設定情報には、親展ボックスを新規に開設する第1の生成設定の一例としての新規開設設定及び既存の親展ボックスを利用する第2の生成設定の一例としての既存利用設定の何れかを示す生成設定情報の一例としての開設設定情報、新規に開設した親展ボックスを使用後に消去する第1の削除設定の一例としての消去設定及び新規に開設した親展ボックスを使用後も残しておく第2の削除設定の一例としての非消去設定の何れかを示す削除設定情報の一例としての消去設定情報、親展ボックスに文書を格納できない場合に文書を受信しないでおく受信拒否設定及び親展ボックスに文書を格納できない場合に文書を受信して強制的に印刷する強制印刷設定の何れかを示す受信設定情報等がある。本実施の形態では、要求者の識別情報を送信する送信手段の一例として、印刷通知送信部22を設けている。
【0026】
図7は、画像形成装置30の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、画像形成装置30は、印刷通知受信部41と、印刷通知記憶部42と、問い合わせ部43と、アカウント情報照合部44と、親展ボックス管理部45と、文書取得部46と、文書処理部47と、電子メール送信部48とを備えている。
【0027】
印刷通知受信部41は、端末装置10の印刷通知送信部22により送信された印刷通知情報を通信I/F38を介して受信する。本実施の形態では、識別情報を受信する受信手段の一例として、印刷通知受信部41を設けている。
印刷通知記憶部42は、印刷通知受信部41が受信した印刷通知情報を記憶する。
【0028】
問い合わせ部43は、クラウドプリントサーバ50に、印刷指示情報が存在しているかどうかを通信I/F38を介して問い合わせる。また、この問い合わせに対する応答を通信I/F38を介して受信すると、この応答に基づいて、クラウドプリントサーバ50に印刷指示情報が存在しているかどうかを判定する。
アカウント情報照合部44は、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれるアカウント情報と、問い合わせ部43による問い合わせによって得られた印刷指示情報に含まれるアカウント情報とを照合し、これらのアカウント情報が一致するかどうかを判定する。
【0029】
親展ボックス管理部45は、親展ボックスの管理を行う。具体的には、印刷通知情報が印刷通知記憶部42に記憶された際には、印刷通知情報に含まれるアカウント情報に紐付けられた親展ボックスが文書を格納可能かどうか判定し、文書を格納可能でないと判定すると、その旨を端末装置10に通知し、端末装置10からの応答に従って、文書を受信しないでおく受信拒否設定又は文書を受信して強制的に印刷する強制印刷設定を示す受信設定情報を、印刷通知情報に含めて印刷通知記憶部42に記憶する。また、問い合わせ部43が印刷指示情報の存在を問い合わせてアカウント情報照合部44がアカウント情報の一致を判定した際には、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる開設設定情報を参照し、開設設定情報が新規に親展ボックスを開設する新規開設設定を示していれば、新規に親展ボックスを開設し、開設設定情報が既存の親展ボックスを利用する既存利用設定を示していれば、既存の親展ボックスの中からアカウント情報に紐付けられた親展ボックスを特定してその親展ボックスが文書を格納可能かどうか判定する。更に、文書処理部47が親展ボックスに格納された文書を処理した際には、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる消去設定情報を参照し、消去設定情報が文書の処理後に親展ボックスを消去する消去設定を示していれば、親展ボックスを消去する。本実施の形態では、記憶領域の一例として、親展ボックスを用いており、記憶領域を特定する特定手段の一例として、親展ボックス管理部45を設けている。
【0030】
文書取得部46は、クラウドプリントサーバ50からPDF形式の文書(以下、「PDF文書」という)を取得し、新規に開設した親展ボックス、又は、既存の親展ボックスに文書を格納可能であればその親展ボックスに、取得したPDF文書を格納する。本実施の形態では、文書画像の一例として、PDF文書を用いており、文書画像を記憶領域に記憶する記憶手段の一例として、文書取得部46を設けている。
【0031】
文書処理部47は、親展ボックスに指示書が登録されているかどうかを判定し、指示書が登録されていれば、親展ボックスに格納されたPDF文書を、この登録された指示書に従って処理し、指示書が登録されていなければ、親展ボックスに格納されたPDF文書を、操作パネル35からのユーザの指示に従って処理する。本実施の形態では、文書画像を用いて処理を行う処理手段の一例として、文書処理部47を設けている。
電子メール送信部48は、親展ボックスにPDF文書が格納されると、端末装置10にその旨の電子メールを送信する。
【0032】
次に、端末装置10及び画像形成装置30の動作について説明する。
図8は、端末装置10の動作例を示したフローチャートである。
動作を開始すると、端末装置10では、まず、印刷要求検出部21が、クラウドプリントサービスにログインするユーザ操作に応じて、ユーザのアカウント情報(アカウント及びパスワード)を取得する(ステップ201)。ここで、アカウント情報は、クラウドプリントサービスにログインするためにユーザが入力した情報から取得してもよいし、この処理を実行するプログラムにユーザが予め設定した情報から取得してもよいし、HDD13の決められた領域にユーザが予め記憶しておいた情報から取得してもよい。
【0033】
また、印刷要求検出部21は、クラウドプリントサービスで文書を印刷したい画像形成装置30を選択するユーザ操作に応じて、この選択された画像形成装置30の識別子を取得する(ステップ202)。
【0034】
そして、クラウドプリントサービスでの文書の印刷を要求するユーザ操作に応じて、制御は印刷通知送信部22に移り、印刷通知送信部22が、開設設定情報及び消去設定情報を取得する(ステップ203)。ここで、これらの設定情報は、印刷通知情報を送信する際にユーザが入力した情報から取得してもよいし、この処理を実行するプログラムにユーザが予め設定した情報から取得してもよいし、HDD13の決められた領域にユーザが予め記憶しておいた情報から取得してもよい。
【0035】
その後、印刷通知送信部22は、ステップ201で取得したアカウント情報と、ステップ203で取得した開設設定情報及び消去設定情報とを含む印刷通知情報を、ステップ202で取得した識別子の画像形成装置30に対して送信する(ステップ204)。
【0036】
図9図11は、画像形成装置30の動作例を示したフローチャートである。
このうち、図9は、端末装置10が画像形成装置30に印刷通知情報を送信したときの画像形成装置30の動作例を示す。
動作を開始すると、画像形成装置30では、まず、印刷通知受信部41が、アカウント情報と開設設定情報と消去設定情報とを含む印刷通知情報を受信し(ステップ401)、印刷通知記憶部42に記憶する(ステップ402)。
【0037】
すると、親展ボックス管理部45は、ステップ402で印刷通知記憶部42に記憶されたアカウント情報に紐付けられた親展ボックスがあるかどうかを判定する(ステップ403)。アカウント情報に紐付けられた親展ボックスがないと判定されれば、処理を終了する。一方、アカウント情報に紐付けられた親展ボックスがあると判定されれば、親展ボックス管理部45は、その親展ボックスが文書を格納可能であるかどうかを判定する(ステップ404)。
【0038】
その結果、親展ボックスが文書を格納可能であると判定されれば、処理を終了する。
一方、親展ボックスが文書を格納可能でないと判定されれば、親展ボックス管理部45は、端末装置10にその旨を通知する(ステップ405)。ここで、親展ボックスが文書を格納可能でない場合としては、親展ボックスの空き容量が少なくなっている場合が代表例であるが、親展ボックスにおける記憶に何らかの不具合があって文書を格納できなくなっている場合も含めてもよい。
【0039】
この通知に対して、端末装置10では、印刷通知送信部22が応答を行い、画像形成装置30では、親展ボックス管理部45が、文書を受信しないでおくことを指示する応答であるか、文書を受信するが親展ボックスに格納できないのでそのまま強制的に印刷することを指示する応答であるかを判定する(ステップ406)。そして、文書を受信しないでおくことを指示する応答であると判定されれば、親展ボックス管理部45は、ステップ402で印刷通知記憶部42に記憶した印刷通知情報におけるアカウント情報に対応付けて、文書を受信しないでおく受信拒否設定を示す受信設定情報を記憶する(ステップ407)。また、強制的に印刷することを指示する応答であると判定されれば、親展ボックス管理部45は、ステップ402で印刷通知記憶部42に記憶した印刷通知情報におけるアカウント情報に対応付けて、文書を受信して強制的に印刷する強制印刷設定を示す受信設定情報を記憶する(ステップ408)。
【0040】
また、図10は、クラウドプリントサーバ50に印刷指示情報の存在を問い合わせたときの画像形成装置30の動作例を示す。尚、この動作は、予め定められた時間間隔で実行されるものとする。
動作を開始すると、画像形成装置30では、まず、問い合わせ部43が、クラウドプリントサーバ50に対して、画像形成装置30での文書の印刷を指示する印刷指示情報が何れかの端末装置10からの要求に応じて生成されているかどうかを問い合わせるための問い合わせ情報を送信する(ステップ421)。
【0041】
この問い合わせ情報に対してクラウドプリントサーバ50から応答があると、問い合わせ部43は、応答内容が、画像形成装置30に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50で生成されていることを示すものであるかどうかを判定する(ステップ422)。
【0042】
ここで、応答内容が、画像形成装置30に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50で生成されていることを示すものでないと判定されれば、処理は終了する。
一方、応答内容が、画像形成装置30に対する印刷指示情報がクラウドプリントサーバ50で生成されていることを示すものであると判定されれば、アカウント情報照合部44が、印刷指示情報に含まれるアカウント情報と、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれるアカウント情報とを照合する(ステップ423)。そして、何れかの印刷指示情報に含まれるアカウント情報が、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれるアカウント情報と一致するかどうかを判定する(ステップ424)。
【0043】
ここで、これらのアカウント情報が一致しないと判定されれば、処理は終了する。
一方、これらのアカウント情報が一致すると判定されれば、親展ボックス管理部45が、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる開設設定情報を参照し、開設設定情報が新規に親展ボックスを開設する新規開設設定を示しているか既存の親展ボックスを利用する既存利用設定を示しているかを判定する(ステップ425)。
【0044】
その結果、開設設定情報が新規開設設定を示していると判定されれば、親展ボックス管理部45は、新規に親展ボックスを開設(生成)する(ステップ426)。すると、文書取得部46は、クラウドプリントサーバ50からPDF文書を取得(受信)し(ステップ427)、このPDF文書を親展ボックスに格納する(ステップ428)。また、このようにPDF文書が親展ボックスに格納されると、電子メール送信部48は、その旨の電子メールを、印刷を要求したユーザのメールアドレスに送信する(ステップ429)。尚、このメールアドレスは、端末装置10が送信する印刷通知情報にアカウント情報に対応付けて含めておくことにより電子メール送信部48が把握できるようにしてもよいし、例えばHDD34に予めアカウント情報に対応付けて記憶しておくことにより電子メール送信部48が把握できるようにしてもよい。
【0045】
一方、開設設定情報が既存利用設定を示していると判定されれば、親展ボックス管理部45は、ステップ423で用いたアカウント情報に紐付けられた親展ボックスが存在するかどうかを判定する(ステップ430)。アカウント情報に紐付けられた親展ボックスが存在しないと判定されれば、既存の親展ボックスを利用する設定であるものの、利用できる親展ボックスがないので、ステップ426へ進む。また、アカウント情報に紐付けられた親展ボックスが存在すると判定されれば、その親展ボックスを、利用する親展ボックスとして特定する(ステップ431)。
【0046】
但し、アカウント情報に紐付けられた親展ボックスが存在したとしても、空き容量が少ない等の理由でこの親展ボックスに文書を格納可能でないこともある。そこで、親展ボックス管理部45は、ステップ431で特定された親展ボックスが文書を格納可能かどうか判定する(ステップ432)。文書を格納可能と判定されれば、クラウドプリントサーバ50からPDF文書を取得してもよいので、ステップ427へ進む。文書を格納可能でないと判定されれば、文書処理部47は、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる受信設定情報を参照し、受信設定情報がPDF文書を受信しないでおく受信拒否設定を示しているかPDF文書を受信して強制的に印刷する強制印刷設定を示しているかを判定する(ステップ433)。受信設定情報が受信拒否設定を示していると判定されれば、処理は終了するが、受信設定情報が強制印刷設定を示していると判定されれば、文書処理部47は、クラウドプリントサーバ50からPDF文書を取得(受信)し(ステップ434)、画像形成部37にこのPDF文書の印刷を指示する(ステップ435)。これにより、画像形成部37がPDF文書の画像を記録媒体に形成する。
【0047】
更に、図11は、親展ボックスにPDF文書が格納された後の画像形成装置30の動作例を示す。
動作を開始すると、画像形成装置30では、まず、文書処理部47が、親展ボックスに指示書が登録されているかどうかを判定する(ステップ441)。
その結果、親展ボックスに指示書が登録されていると判定されれば、文書処理部47は、親展ボックスに格納されたPDF文書に対して、指示書に記述された処理を実行する(ステップ442)。
一方、親展ボックスに指示書が登録されていないと判定されれば、文書処理部47は、操作パネル35からユーザの指示が入力されたかどうかを判定する(ステップ443)。ユーザの指示が入力されたと判定されなければ、ステップ443を繰り返すが、ユーザの指示が入力されたと判定されれば、文書処理部47は、親展ボックスに格納されたPDF文書に対して、入力された指示に基づく処理を実行する(ステップ444)。
【0048】
そして、ステップ442で指示書に記述された処理を実行した後、又は、ステップ444で入力された指示に基づく処理を実行した後、親展ボックス管理部45は、親展ボックスに格納されたPDF文書、及び、印刷通知記憶部42に記憶されたそのPDF文書に対応する印刷通知情報(アカウント情報、各種設定情報)を削除する(ステップ445)。
【0049】
その後、親展ボックス管理部45は、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる開設設定情報を参照し、開設設定情報が新規に親展ボックスを開設する新規開設設定を示しているか既存の親展ボックスを利用する既存利用設定を示しているかを判定する(ステップ446)。開設設定情報が新規開設設定を示していると判定されれば、その親展ボックスは使用後に消去することがあるので、親展ボックス管理部45は、印刷通知記憶部42に記憶された印刷通知情報に含まれる消去設定情報を参照し、消去設定情報が親展ボックスを消去する消去設定を示しているか親展ボックスを残しておく非消去設定を示しているかどうかを判定する(ステップ447)。消去設定情報が消去設定を示していると判定されれば、親展ボックス管理部45は、親展ボックスを消去する(ステップ448)。
【0050】
一方、ステップ446で開設設定情報が既存利用設定を示していると判定された場合、及び、ステップ447で消去設定情報が非消去設定を示していると判定された場合は、処理を終了する。
【0051】
尚、図11では、親展ボックスに格納された文書に対する処理の指示がない場合について考慮しなかったが、予め定めた期間が経過しても文書に対する処理の指示がない場合は、まず、クラウドプリントサービスでの文書の印刷を要求したユーザにその旨を通知し、その後、更に予め定められた期間が経過しても文書に対する指示がなければ、文書を消去するとよい。また、このとき、消去設定情報が消去設定を示していれば、親展ボックスも消去するとよい。
【0052】
また、図11において、ステップ442で実行する処理は指示書に記述された処理であり、ステップ444で実行する処理はユーザにより指示された処理であり、処理の種類によっては、必ずしも文書の内容を他人に見られないようにする処理であるとは限らない。例えば、ステップ442で実行する処理が、親展ボックスに格納された文書を印刷する処理である場合は、文書の内容を他人に見られる可能性がある。また、ステップ444で実行する処理が、親展ボックスに格納された文書を別の場所の画像形成装置にファクシミリ送信する処理である場合も、文書の内容を他人に見られる可能性がある。従って、上記で「親展ボックス」と称していた記憶領域は、単にユーザごとに設けられた記憶領域として捉えてもよい。
【0053】
ところで、既に述べた通り、図6図11に示した本実施の形態の詳細な構成及び動作は、図4の例及び図5の例を包含しつつ、このクラウドプリントシステムの利便性を向上するための更なる工夫を追加したものである。
そこで、図4の例及び図5の例を実現する場合の図6図11の変更点について述べる。
図4の例を実現する場合、図8については、ステップ203を実行しないように変更し、ステップ204で開設設定情報及び消去設定情報を送信しないように変更する。図9については、ステップ401で開設設定情報及び消去設定情報を受信しないように変更し、ステップ402で開設設定情報及び消去設定情報を記憶しないように変更し、ステップ403〜408を実行しないように変更する。図10については、ステップ425及びステップ430〜435を実行せず、ステップ424で「Yes」であれば無条件にステップ426〜429を実行するように変更する。図11については、ステップ441,442を実行せず、動作を開始すると無条件にステップ443,444を実行するように変更し、ステップ445で各種設定情報は元々存在しないので削除する処理は行わないように変更し、ステップ446,447を実行せず、ステップ445の実行後は無条件にステップ448を実行するように変更する。そして、これに合わせて、図6及び図7に示した各装置の機能も変更する。
【0054】
図5の例を実現する場合、図8については、ステップ203を実行しないように変更し、ステップ204で開設設定情報及び消去設定情報を送信しないように変更する。図9については、ステップ401で開設設定情報及び消去設定情報を受信しないように変更し、ステップ402で開設設定情報及び消去設定情報を記憶しないように変更し、ステップ403〜408を実行しないように変更する。図10については、ステップ425を実行せず、ステップ424で「Yes」であれば無条件にステップ430を実行するように変更し、ステップ432〜435を実行せず、ステップ431の実行後は無条件にステップ427を実行するように変更する。図11については、ステップ441,443,444を実行せず、動作を開始すると無条件にステップ442を実行するように変更し、ステップ445で各種設定情報は元々存在しないので削除する処理は行わないように変更し、ステップ446〜448を実行しないように変更する。そして、これに合わせて、図6及び図7に示した各装置の機能も変更する。
【0055】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
10…端末装置、21…印刷要求検出部、22…印刷通知送信部、30…画像形成装置、41…印刷通知受信部、42…印刷通知記憶部、43…問い合わせ部、44…アカウント情報照合部、45…親展ボックス管理部、46…文書取得部、47…文書処理部、48…電子メール送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11