(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検出手段は、前記リンク機構又は前記刃の角度を検出することで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出することを特徴とする、請求項1記載の電動はさみ。
前記電流制御手段は、前記検出手段が前記刃が前記所定の角度になったことを検出したことを契機として、前記モータに供給する電流値の上限値を30〜50%の範囲で減じた値に設定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電動はさみ。
【背景技術】
【0002】
従来、人がはさみを手で開閉して枝木の剪定等を行ってきたが、作業の省力化を図るため、モータの駆動力で刃部を開閉して、枝木等の切断対象物を切断できるようにした電動はさみが提案されている。
【0003】
本出願人は、このような電動はさみとして、特許文献1に記載の電動はさみを提案した。
【0004】
この特許文献1に記載の電動はさみは、刃形成部と伝達部を有し、軸を支点に回転可能に支持される第1の刃部と、刃形成部と伝達部を有し、軸を支点とした第1の刃部の回転動作で切断対象物をはさむ第2の刃部と、第1のリンクの一端が第1の刃部の伝達部と回転可能に連結され、第2のリンクの一端が第2の刃部の伝達部と回転可能に連結され、第1のリンクの他端と第2のリンクの他端が駆動軸により回転可能に連結されるトグルリンク機構と、駆動軸を支点に屈曲した第1のリンクと第2のリンクのなす角が開く方向に駆動軸を変位させ、第1の刃部と第2の刃部を閉じると共に、第1のリンクと第2のリンクのなす角が閉じる方向に駆動軸を変位させ、第1の刃部と第2の刃部を開く駆動部とを備えていたリンク式の電動はさみである。
【0005】
この特許文献1に記載の電動はさみによれば、枝木等の切断対象物を切断するときに大きなトルクを必要とする刃部が閉じる動作の後半で、大きな切断トルクを発生させることができるので、切断対象物の切断に要するトルクを、荷重を増加させずに得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した従来の特許文献1に記載の電動はさみでは、刃部が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生するので、刃部が閉じる動作の後半において部品に対する負荷が大きくなり、リンク軸などのリンク機構を構成する部品が破損するおそれがあった。
【0008】
こうした部品の破損は部品の強度を上げることで防止できるが、強度をあげることで重量が増し、ハンドツールである電動はさみの使い勝手が悪くなるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、部品の強度を上げることなくリンク機構の破損を防止できる電動はさみを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0011】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の電動はさみは、モータの回転力を直進運動に変換し、この直進運動によりリンク機構を作動させて刃の開閉運動をさせる電動はさみであって、前記モータに供給する電流値を制御する電流制御手段と、前記刃が所定の角度になったことを検出するための検出手段と、を備え、前記検出手段によって前記刃が所定の角度になったことが検出されたときに、前記電流制御手段が
前記モータを停止させずに前記モータに供給する電流値の上限値を
下げる処理を行うことを特徴とする。
【0013】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、前記検出手段は、前記モータの回転数をカウントすることで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出することを特徴とする。
【0015】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記検出手段は、前記リンク機構又は前記刃の角度を検出することで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出することを特徴とする。
【0017】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、前記検出手段は、前記直進運動の移動量を検出することで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出することを特徴とする。
【0019】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記電流制御手段は、前記検出手段が前記刃が前記所定の角度になったことを検出したことを契機として、前記モータに供給する電流値の上限値を30〜50%の範囲で減じた値に設定することを特徴とする。
【0021】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1〜5のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0022】
すなわち、前記所定の角度は、前記刃が開いた状態から完全に閉じるまで、あるいは
前記刃が閉じた状態から完全に開くまでの前記モータの回転数の70〜90%の範囲のいずれかの回転数まで前記モータを回転させたときの前記刃の角度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、検出手段によって刃が所定の角度になったことが検出されたことを契機として、モータに供給する電流値の上限値を変化させる電流制御手段を備えている。このため、刃部が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生する場合には、刃が所定の角度になったときにモータに供給する電流値の上限値を下げる処理を行うことで最大トルクを制限でき、部品に対する負荷が大きくなりすぎないように制御することができる。これにより、部品の強度を上げなくても、リンク機構の破損を防止することができる。
【0024】
なお、前記検出手段は、前記モータの回転数をカウントすることで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出するようにしてもよい。
【0025】
また、前記検出手段は、前記リンク機構又は前記刃の角度を検出することで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出するようにしてもよい。
【0026】
また、前記検出手段は、前記直進運動の移動量を検出することで、前記刃が前記所定の角度になったことを検出するようにしてもよい。
【0027】
また、前記電流制御手段は、前記検出手段が前記刃が前記所定の角度になったことを検出したことを契機として、前記モータに供給する電流値の上限値を30〜50%の範囲で減じた値に設定するようにしてもよい。更に望ましくは、35〜45%の範囲で減じた値に設定するようにしてもよい。
【0028】
また、前記所定の角度は、前記刃が開いた状態から完全に閉じるまでの前記モータの回転数の70〜90%の範囲のいずれかの回転数まで前記モータを回転させたときの前記刃の角度に設定するようにしてもよい。更に望ましくは、前記刃が開いた状態から完全に閉じるまでの前記モータの回転数の80〜85%の範囲のいずれかの回転数まで前記モータを回転させたときの前記刃の角度に設定するようにしてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0031】
本実施形態に係る電動はさみ10は、
図1に示すように、モータ21の回転力を直進運動に変換し、この直進運動によりリンク機構Aを作動させて刃の開閉運動をさせるものであり、その基本的構成は特開2010−172622号公報に記載の電動はさみと同様である。
【0032】
すなわち、本実施形態に係る電動はさみ10は、トリガ23が引かれたときにモータ21を回転動作させて作動するものである。詳しくは、モータ21が回転動作したときに、この回転動作がボールネジ機構Bにより直線動作に変換され、直線動作に変換されたモータ21の駆動力がリンク機構Aにより第1の可動刃11と第2の可動刃12に伝達されて刃が閉じるように形成されている。
【0033】
なお、モータ21は、回動軸が遊星ギアを用いた減速機24に連結されている。
【0034】
また、ボールネジ機構Bは、減速機24の出力軸に連結されるネジ軸25と、ネジ軸25のネジ溝に噛合するナット部26とを備えている。これにより、モータ21の駆動力によってネジ軸25が回転駆動されると、ナット部26がネジ軸25に沿って直線移動するように形成されている。すなわち、モータ21の回転動作がナット部26の直線動作に変換されるので、モータ21の回転方向に応じてナット部26の移動方向が切り替えることができる。
【0035】
第1の可動刃11と第2の可動刃12とは、
図3及び
図4に示すように、刃軸13を支点として互いに回動可能に連結されている。
【0036】
第1の可動刃11は、刃軸13による支持位置を挟んで、先端側に刃形成部11aを備え、他端側に基部11bを備えている。
【0037】
同様に、第2の可動刃12は、刃軸13による支持位置を挟んで、先端側に刃形成部12aを備え、他端側に基部12bを備えている。
【0038】
第1の可動刃11及び第2の可動刃12は、それぞれの基部11b、12bが互いに離反する方向に力が加わることによって、それぞれの刃形成部11a、12aが互いに閉じる方向に移動し、刃形成部11a、12aによって切断作業ができるように形成されている。
【0039】
第1の可動刃11及び第2の可動刃12を作動させるためのリンク機構Aは、駆動軸18によって回転可能に連結された第1のリンク15及び第2のリンク16と、第2のリンク16に接続される第3のリンク17と、を備えている。
【0040】
第1のリンク15は、駆動軸18への接続端の逆端側が、第1の可動刃11の基部11bに接続される。第1のリンク15と第1の可動刃11の基部11bとは、第1リンク軸15aを支点に回転可能に連結される。
【0041】
第2のリンク16は、駆動軸18への接続端の逆端側が、第3のリンク17に接続される。第2のリンク16と第3のリンク17とは、第2リンク軸16aを支点に回転可能に連結される。
【0042】
第3のリンク17は、第2のリンク16への接続端の逆端側において、第2の可動刃12の基部12bに接続される。第3のリンク17と第2の可動刃12の基部12bとは、ピン17aを支点に回動可能となっている。
【0043】
このリンク機構Aは、ボールネジ機構Bによってナット部26が直進運動を行うと、
図3及び
図4に示すように、ナット部26に接続された駆動軸18が刃軸13に対して接近又は離反する方向に摺動し、この摺動運動によって作動する。
【0044】
具体的には、このリンク機構Aは、駆動軸18が刃軸13に対して接近する方向に摺動すると、第1のリンク15、第2のリンク16、及び、第3のリンク17が開き方向に移動するように作動する。これにより、第1の可動刃11及び第2の可動刃12の基部11b、12bが互いに離反する方向に変位するとともに、それぞれの刃形成部11a、12aが互いに閉じる方向に回動し、切断動作を行う。
【0045】
また、このリンク機構Aは、駆動軸18が刃軸13に対して離反する方向に摺動すると、第1のリンク15、第2のリンク16、及び、第3のリンク17が閉じ方向に移動するように作動する。これにより、第1の可動刃11及び第2の可動刃12の基部11b、12bが互いに接近する方向に変位するとともに、それぞれの刃形成部11a、12aが互いに開く方向に回動し、刃が開いた状態に戻す動作を行う。
【0046】
このような電動はさみ10の動作は、電動はさみ10に内蔵された制御装置100(
図2参照)によって制御される。
【0047】
この制御装置100は、トリガ23が引かれてトリガスイッチ22がONとなった場合には、トリガスイッチ22からの出力信号を受信してモータ21を正回転させ、
図3(a)に示す刃が開いた状態から
図4(b)に示す刃が閉じた状態までの範囲において、刃を閉じる方向に作動させる。
【0048】
一方、この制御装置100は、トリガ23が離されてトリガスイッチ22がOFFとなった場合には、トリガスイッチ22からの出力信号を受信してモータ21を逆回転させ、
図4(b)に示す刃が閉じた状態となるまで刃を作動させる。
【0049】
制御装置100は、モータ21の回転数をカウントする検出手段120を備えている。この検出手段120は、例えばモータ21の回転に応じて出力されるパルス信号をカウントすることによりモータ21の回転数をカウントする回転検出器(エンコーダ)を備えて構成される。
【0050】
検出手段120は、モータ21の回転数をカウントすることにより、第1の可動刃11及び第2の可動刃12が互いにどの程度の角度まで閉じているかを検出する。
【0051】
具体的には、
図3(a)に示すように、刃が開いた状態(初期状態)でトリガスイッチ22がONとなってモータ21が正回転したときに、検出手段120はモータ21の回転数のカウントを開始する。そして、
図4(b)に示すように、モータ21の回転数が85となったときに刃が閉じた状態であることを検出する。検出手段120によって刃が閉じた状態であることが検出されると、制御装置100は、仮にトリガスイッチ22がONのままであってもそれ以上はモータ21を駆動させないように停止する。
【0052】
反対に、刃が閉じた状態または刃が閉じる途中の状態からトリガスイッチ22がOFFとなってモータ21が逆回転したときにも、検出手段120はモータ21の回転数のカウントを開始する。そして、所定の回転数が検出されたときに、刃が開いた状態であることを検出する。具体的には、モータ21が正回転したときのモータ21の回転数と同じ回転数分の逆回転をすれば
図3(a)に示す刃が開いた状態(初期状態)となるため、検出手段120が逆回転の回転数をカウントすることで、刃が開いた状態であることを検出する。検出手段120によって刃が開いた状態であることが検出されると、制御装置100は、モータ21の駆動を停止する。
【0053】
また、制御装置100は、モータ21に供給する電流値を制御する電流制御手段110を備えている。この電流制御手段110は、具体的には、電動はさみ10の内部に配置されたバッテリなどの電源(図示せず)とモータ21との間に設けられた電流制限回路である。この電流制御手段110は、2段階の電流制限ができるように形成されており、検出手段120からの制御信号に基づいて、モータ21に供給する電流値の上限値を変化させることができるようになっている。
【0054】
ここで、
図7は、従来の電動はさみに係るピン17aに対する荷重の推移を示すグラフである。この
図7が示すように、モータ21に供給する電流値の上限値を変化させない場合においては、刃が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生することに起因して、刃が閉じる動作の後半において部品に対する負荷が大きくなっていることが分かる。
【0055】
すなわち、本実施形態に係るリンク機構Aは、刃が閉じていくに従って、駆動軸18の移動距離ごとの刃の移動角度(「刃の移動角度」÷「駆動軸18の移動距離」で求められる値)が小さくなっており、刃が閉じていくに従って切断トルクが大きくなっていくので、部品にかかる負荷も大きくなっていく。
【0056】
このため、本実施形態においては、刃が所定の角度になった、すなわち所定の角度まで閉じたときには、電流値の上限値を小さくすることで最大トルクを小さくし、部品にかかる負荷を所定のレベルに留めるようにしている。
【0057】
具体的には、部品が耐えうる負荷の上限値を考慮して、
図4(a)に示すモータ21の回転数が67.4回転の状態(刃の角度が5.6度まで閉じた状態)となったことを契機として電流値の上限値を50Aから30Aへと変化させるようにしている。すなわち、本実施形態においては、
図3(a)に示す刃が開いた状態から、
図4(a)に示すモータ21の回転数が67.4回転の状態までの間は、モータ21に供給する電流値の上限値を50Aに設定している。そして、
図4(a)に示すモータ21の回転数が67.4回転の状態から、
図4(b)に示す刃が閉じた状態までの間は、モータ21に供給する電流値の上限値を30Aに設定している。
【0058】
この電流値の上限値の変更制御は以下のように実行される。
【0059】
図3(a)に示す刃が開いた状態においては、初期状態であるので、電流制御手段110は電流値の上限値を50Aに設定する。その後、モータ21が駆動してモータ21の回転数が67.4回転となると、これを検出手段120が検出する。これにより刃が所定の角度まで閉じたことが検出され、検出手段120が電流制御手段110に制御信号を出力する。これにより、電流制御手段110は、電流制限回路の切り替えを行い、電流値の上限値を30Aに設定する。
【0060】
図5は、本実施形態に係るモータ21への供給電流値の推移の例を示すグラフである。このグラフが示すように、モータ21が67.4回転するまでは電流の上限値が50Aであり、60回転を超えたあたりから最大の50Aの電流が流れていることが分かる。このまま50Aの電流が流れ続けると、同じ電流値でもモータ21の回転数に比例してリンク機構Aのトルクが上昇することから、ピン17aに対する荷重もモータ21の回転数に比例して上昇することになる。
【0061】
しかし、モータ21の回転数が67.4となると電流の上限値が30Aに設定されるため、ピン17aに対する荷重の上限値も下方に修正され、モータ21の回転数が上がっても過剰にトルクが上昇せず、ピン17aに対する荷重が適正に保たれる。
【0062】
図6は、本実施形態に係るピン17aにかかる荷重の推移を示すグラフである。このグラフが示すように、モータ21の回転数が67.4となるまでは回転数に比例してピン17aにかかる荷重が上昇している。しかし、モータ21の回転数が67.4となると電流の上限値が30Aに設定されるため、ピン17aにかかる荷重が小さくなる。その後回転数に比例してピン17aにかかる荷重が上昇するものの、一定の範囲に収まり、過剰な負荷がかかることはない。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、検出手段120によって刃が所定の角度まで閉じたことが検出されたことを契機として、モータ21に供給する電流値の上限値を変化させる電流制御手段110を備えている。このため、刃部が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生する場合でも、刃が所定の角度まで閉じたときにモータ21に供給する電流値の上限値を下げる処理を行うことで最大トルクを制限でき、部品に対する負荷が大きくなりすぎないように制御することができる。これにより、部品の強度を上げなくても、リンク機構Aの破損を防止することができる。
【0064】
なお、上記した実施形態においては、刃部が閉じる動作の後半で大きな切断トルクが発生する電動はさみについて説明したが、これに限らない。
【0065】
例えば、刃部が閉じる動作の前半で大きな切断トルクが発生する電動はさみであれば、刃が所定の角度まで閉じたときにモータ21に供給する電流値の上限値を上げる処理を行うようにすればよい。このように構成することにより、刃部が閉じる動作の前半は部品に対する負荷が大きくなりすぎないように制御するとともに、刃部が閉じる動作の後半は大きなトルクを得られるようにしてもよい。
【0066】
また、刃部が閉じる動作の間で一定した切断トルクが発生する電動はさみに適用してもよい。例えば、刃が所定の角度まで閉じたときにモータ21に供給する電流値の上限値を上げる処理を行うようにすれば、刃部が閉じる動作の後半で大きなトルクを得ることができる。
【0067】
また、上記した実施形態においては、検出手段120をモータ21の回転数をカウントする回転検出器(エンコーダ)で構成したが、これに限らない。
【0068】
例えば、検出手段120を、リンク機構A、第1の可動刃11、又は、第2の可動刃12のいずれかの角度を検出する手段(角度センサなど)で構成してもよい。このような検出手段120を使用した場合でも、リンク機構A、第1の可動刃11、又は、第2の可動刃12のいずれかの角度を検出することで、刃が所定の角度(例えば
図4(a)の状態)になったことを検出することができる。
【0069】
また、検出手段120を、ボールネジ機構Bのナット部26や駆動軸18などの直進運動の移動量を検出する手段(ホールICなど)で構成してもよい。このような検出手段120を使用した場合でも、ボールネジ機構Bのナット部26や駆動軸18などの直進運動の移動量を検出することで、刃が所定の角度(例えば
図4(a)の状態)になったことを検出することができる。
【0070】
また、上記した実施形態においては、モータ21への供給電流値の上限値を50Aから30Aへと減じたが、これに限らない。ただし、上限値を下げ過ぎるとトルクが小さくなりすぎてはさみによる切断ができない可能性があるため、必要トルクを考慮して最適な値を設定する必要がある。例えば、刃が所定の角度になったことを契機として、モータ21に供給する電流値の上限値を30〜50%の範囲で減じた値に設定するようにしてもよい。更に望ましくは、35〜45%の範囲で減じた値に設定するようにしてもよい。
【0071】
また、上記した実施形態においては、刃が開いた状態から完全に閉じるまでのモータ21の回転数が80回転である電動はさみにおいて、モータ21の回転数が67.4となったときに供給電流値の上限値を変化させることとした(刃が開いた状態から完全に閉じるまでのモータ21の回転数の約78%の回転数までモータ21を回転させたときに供給電流値の上限値を変化させることとした)が、これに限らない。ただし、タイミングが早すぎるとトルクが小さくなりすぎてはさみによる切断ができない可能性があるため、必要トルクを考慮して最適なタイミングを設定する必要がある。例えば、刃が開いた状態から完全に閉じるまでのモータ21の回転数の70〜90%の範囲のいずれかの回転数までモータ21を回転させたときに供給電流値の上限値を変化させるようにしてもよい。更に望ましくは、刃が開いた状態から完全に閉じるまでのモータ21の回転数の80〜85%の範囲のいずれかの回転数までモータ21を回転させたときに供給電流値の上限値を変化させるようにしてもよい。
【0072】
また、上記した実施形態においては、刃が開いた状態から所定の角度まで閉じたことを検出する例について説明したが、刃が閉じた状態から所定の角度まで開いたことを検出するようにしてもよい。例えば、枝木等の切断時に完全に切断できず刃が枝木に食い込んで停止してしまった場合、刃を開く(戻す)のにトルクが発生し、リンク機構Aに負荷がかかる。このような場合、検出手段120によって刃が所定の角度まで開いたことが検出されたときに、電流制御手段110がモータ21に供給する電流値の上限値を変化させるようにすれば、リンク機構Aにかかる負荷を制限でき、リンク機構Aの破損を防止できる。