(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明に係る遊技機の可動演出装置の一実施形態である可動演出装置100を備える遊技機1の全体的な構成について、
図1から
図3を用いて説明する。
なお、以下の説明では、遊技機1を遊技者から見て、手前側を遊技機1の前側とし、奥側を遊技機1の後側として、前後方向を規定する。また、遊技機1を遊技者から見て、左手側を遊技機1の左側とし、右手側を遊技機1の右側として、左右方向を規定する。
【0013】
遊技機1は、
図1から
図3が示すように、主として、外枠2と、中枠3と、窓枠4と、により構成される枠体に、各種の遊技部品が取り付けられて形成される。
【0014】
外枠2は、遊技機1の外郭を成し、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。外枠2は、パチンコホール等の遊技場に設けられた台島に設置される。外枠2には、中枠3が設けられる。
【0015】
中枠3は、前後面が開口された略四角筒状に形成される枠体である。中枠3は、外枠2の前側の開口部にヒンジ等の軸支部材を介して回動可能に支持される。中枠3には、窓枠4と、下皿ユニット5と、遊技盤6と、が設けられる。
【0016】
窓枠4は、中央が開口された略平板状に形成される枠体である。窓枠4は、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。窓枠4は、中枠3の前側の開口部にヒンジ部材を介して回動可能に支持される。窓枠4の中央には、正面視で略円形状の窓枠開口部7が形成される。窓枠開口部7は、透明板19により被覆される。窓枠開口部7の下部には、発射前の遊技球が貯溜される上皿8が配設される。窓枠開口部7の左右上方には、スピーカ9がそれぞれ配設される。
【0017】
下皿ユニット5は、中枠3の下部であって窓枠4の下方に取り付けられる。下皿ユニット5の中央には、上皿8から溢れた遊技球が貯溜される下皿17が配設される。下皿ユニット5の右部であって下皿17の右方には、発射ハンドル18が配設される。発射ハンドル18は、上皿8に貯溜された遊技球を発射可能に構成される。
【0018】
遊技盤6は、遊技球が転動する領域である遊技領域25が形成される部材である。遊技盤6は、窓枠4の後方であって、正面視で中枠3の下部を除く略全面に渡って配置される。遊技盤6は、中枠3に着脱可能に取り付けられる。なお、遊技盤6の遊技領域25は、窓枠4の窓枠開口部7の後方に配置され、前方から透明板19を介して視認可能に構成される。
【0019】
次に、遊技盤6の構成について、
図3を用いてさらに詳細に説明する。
【0020】
遊技盤6は、
図3に示すように、遊技板10と、ガイドレール11と、センター役物12と、図柄表示装置13と、可変入賞装置14と、大入賞装置15と、アウト口16と、可動演出装置100等により構成される。
【0021】
遊技板10は、四隅が適宜に切り欠かれた略平板状に形成される部材である。遊技板10には、遊技盤6を構成する各種の遊技部品が取り付けられる。
【0022】
ガイドレール11は、略円弧帯状に形成される部材である。ガイドレール11は、遊技板10に、前方へ向けて立ち上がり状に取り付けられる。ガイドレール11は、正面視で略円形状を形成するように配置される。なお、遊技板10においてガイドレール11によって略円形状に形成された内側の領域が、遊技球が転動する領域である遊技領域25として構成される。
【0023】
センター役物12は、その外観により遊技板10を装飾する部材である。センター役物12は正面視で略環状であって、その中央にセンター開口部27が前後方向に貫通して形成される。センター役物12は、遊技板10を前後方向に貫通するように当該遊技板10の中央から上部に渡って形成される孔に前方から挿入され、ボルト等によって取り付けられる。
【0024】
図柄表示装置13は、前方を臨むように配設された液晶画面26に図柄や数字等の変動(図柄遊技)を表示するように構成される装置である。図柄表示装置13は、遊技板10の後方に配置される。より詳細には、図柄表示装置13の液晶画面26が、遊技板10に取り付けられたセンター役物12のセンター開口部27の後方に配置される。これによって、前方からセンター開口部27を介して液晶画面26に表示される図柄遊技を視認することができる。
【0025】
可変入賞装置14は、所定の作動条件に応じて左右一対の可動片28が開閉作動し、始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)可能な開放状態と入球(入賞)不能な閉塞状態とに切り替え可能に構成される装置である。可変入賞装置14は、遊技領域25の左右中央部であってセンター役物12の下方に配置される。なお、可変入賞装置14は、前記開放状態において始動入賞口14aに遊技球が入球(入賞)すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0026】
大入賞装置15は、所定の大当たり抽選により大当たりが選択されると、大入賞口15aを開放して遊技球が入球(入賞)可能に構成される装置である。大入賞装置15は、遊技領域25の左右中央部であって可変入賞装置14の下方に配置される。なお、大入賞装置15は、開放した大入賞口15aに遊技球が入球すると図示せぬ賞球払出装置によって所定数の遊技球(賞球)が払い出されるように構成される。
【0027】
アウト口16は、遊技領域25を転動する遊技球が、大入賞口15aや始動入賞口14a等の各入賞口に入球(入賞)しなかった場合に、最終的に流入する開口部である。アウト口16は、遊技領域25の最下部に配置される。なお、アウト口16に流入した遊技球は、遊技機1が設置されたパチンコホール等の遊技場側に回収される。
【0028】
次に、可動演出装置100の構成について詳細に説明する。
【0029】
図3から
図15までに示す可動演出装置100は、液晶画面26に表示される図柄遊技に応じて可動し、遊技者に視覚的な印象(インパクト)を与えるためのものである。可動演出装置100は、液晶画面26の概ね上方に配置されるとともに、前後方向においてセンター役物12と液晶画面26との間、すなわちセンター役物12よりも後方であって液晶画面26よりも前方に配置される。可動演出装置100は、主として、第一ベース部材110と、第二ベース部材120と、モータ130と、回転部材140と、伝達アーム150と、第一アーム160と、位置センサ170と、第二アーム180と、可動体200と、により構成される。
【0030】
図4に示す第一ベース部材110は、後述するモータ130、第一アーム160及び位置センサ170を支持する略箱状の部材である。第一ベース部材110は、遊技盤6(
図3参照)に適宜支持される。
【0031】
また、第一ベース部材110は、第一支軸111及びガイド孔112を具備する。
【0032】
第一支軸111は、後述する第一アーム160を回動可能に支持するためのものである。第一支軸111は、第一ベース部材110の右端部近傍に設けられ、図柄表示装置13(液晶画面26)の上方に配置される(
図5参照)。当該第一支軸111は、その軸線を前後方向に向けた状態で、第一ベース部材110から後方に向かって延設される。
【0033】
ガイド孔112は、第一ベース部材110の右端部近傍であって第一支軸111の上方において、当該第一ベース部材110を前後方向に貫通するように形成される。ガイド孔112は、正面視において、第一支軸111を中心とする円弧状となるように形成される。
【0034】
図4及び
図5に示す第二ベース部材120は、後述する第二アーム180を支持する略箱状の部材である。第二ベース部材120は、第一ベース部材110の右方に配置される。第二ベース部材120は、遊技盤6(
図3参照)に適宜支持される。なお、
図5においては、説明の便宜上、第二ベース部材120の前側部分の図示を省略している。
【0035】
また、第二ベース部材120は、第二支軸121及び開口部122を具備する。
【0036】
第二支軸121は、後述する第二アーム180を回動可能に支持するためのものである。第二支軸121は、第二ベース部材120の下端部近傍に設けられ、図柄表示装置13(液晶画面26)の右側方に配置される(
図5参照)。当該第二支軸121は、その軸線を前後方向に向けた状態で、第二ベース部材120の前側面から後側面にわたって配置される。また、第二支軸121は、第一支軸111の右下方に位置することになる。
【0037】
開口部122は、第二ベース部材120の下端部近傍であって、第二支軸121の概ね左上方において、当該第二ベース部材120の内部と外部とを連通するように形成される。
【0038】
図4から
図6までに示すモータ130は、本発明に係る駆動源の実施の一形態であり、後述する第一アーム160を回動させるためのものである。
モータ130は、出力軸131(
図9参照)を後方に向けた状態で配置される。モータ130は、第一ベース部材110の前側面の上端部近傍に固定される。当該モータ130の出力軸131は、第一ベース部材110の第一支軸111の略左方に配置される。また、当該モータ130の出力軸131は当該第一ベース部材110を前後方向に貫通し、後方へと延設される。
【0039】
図5及び
図6に示す回転部材140は、モータ130からの駆動力を伝達するものである。
回転部材140は、略円形板状の部材である。回転部材140は、その板面を前後方向に向けた状態で配置される。回転部材140の中心部は、モータ130の出力軸131に相対回転不能となるように連結される(
図9参照)。
【0040】
また、回転部材140は、回動軸141を具備する。
【0041】
図6に示す回動軸141は、回転部材140の周縁部に配置され、その軸線を前後方向に向けた状態で、回転部材140の後側面から後方に向けて延設される。
【0042】
図5及び
図6に示す伝達アーム150は、回転部材140からの駆動力を伝達するものである。
伝達アーム150は、略矩形板状の部材であり、長手方向を略左右方向に向けて配置される。伝達アーム150は、その板面を前後方向に向けて配置される。伝達アーム150の長手方向両端部には、それぞれ当該伝達アーム150を前後方向に貫通する孔が形成される。伝達アーム150に形成された2つの孔のうち一方の孔(
図5及び
図6に示す左側の孔)には、その前方から回転部材140の回動軸141が挿通される。これによって、伝達アーム150が回動軸141に回動可能となるように連結される。
【0043】
図4から
図6までに示す第一アーム160は、後述する可動体200を支持するものである。
第一アーム160は、細長い板状の部材であり、長手方向を略左右方向に向けて配置される。第一アーム160は、図柄表示装置13(液晶画面26)の上方に配置され、可動体200を略水平に支持する。第一アーム160は、その板面を前後方向に向けて配置される。第一アーム160は、正面視において可動体200と重複するのを避けるように適宜湾曲した形状に形成される。第一アーム160は、透光性を有する部材で構成される。第一アーム160の長手方向両端部には、それぞれ当該第一アーム160を前後方向に貫通する孔が形成される。第一アーム160に形成された2つの孔のうち一方の孔(
図6に示す左側の孔)には、その前方から第一ベース部材110の第一支軸111が挿通される。これによって、第一アーム160が第一支軸111に回動可能に支持される。
【0044】
また、第一アーム160は、延設部161、回動軸162及び遮蔽片163を具備する。
【0045】
図5及び
図6に示す延設部161は、第一アーム160の一端部(左端部)からさらに略左上方に向かって延設される部分である。当該延設部161は、第一アーム160と一体的に形成される。
【0046】
図5に示す回動軸162は、その軸線を前後方向に向けた状態で、延設部161の前側面の左上端部近傍から前方に向けて延設される。当該回動軸162は、伝達アーム150に形成された2つの孔のうち他方の孔(
図5及び
図6に示す右側の孔)に挿通される。これによって、伝達アーム150が回動軸162に回動可能となるように連結され、ひいては伝達アーム150が第一アーム160に回動可能となるように連結される。
【0047】
図5及び
図6に示す遮蔽片163は、第一アーム160に形成された2つの孔のうち一方の孔(
図5及び
図6に示す左側の孔)の上方に形成される、当該孔を中心とする略扇形板状の部分である。遮蔽片163は、第一アーム160と一体的に形成される。
【0048】
位置センサ170は、第一アーム160の回動位置を検出するものである。
位置センサ170は、光を発する発光部と、当該光を受光する受光部と、からなるフォトセンサで構成される。当該発光部と受光部との間に第一アーム160の遮蔽片163が進入すると、前記発光部からの光が遮られ、前記受光部において光が受光できなくなるため、第一アーム160が所定の位置にあることを検出することができる。位置センサ170は、図示せぬ制御装置に接続され、当該位置センサ170による検出結果は、可動演出装置100やその他の役物の制御等に利用することができる。
【0049】
図4から
図7までに示す第二アーム180は、後述する可動体200を支持するものである。
第二アーム180は、細長い板状の部材であり、長手方向を右下方から左上方まで略斜め方向に向けて配置される。第二アーム180は、図柄表示装置13(液晶画面26)の右側方から右上方にかけて配置され、可動体200の斜め下方から可動体200を支持する。第二アーム180は、その板面を前後方向に向けて配置される。第二アーム180は、正面視において液晶画面26と重複するのを避けるように適宜湾曲した形状に形成される。第二アーム180は、透光性を有する部材で構成される。第二アーム180の長手方向一端部(
図5から
図7までに示す右下端部)には、当該第二アーム180を前後方向に貫通する孔が形成される。当該第二アーム180の孔には、第二ベース部材120の第二支軸121が挿通される。これによって、第二アーム180が第二支軸121に回動可能に支持される。
【0050】
図4から
図7までに示す可動体200は、移動することにより演出を行い、遊技者に印象(インパクト)を与えるためのものである。可動体200は、第一可動部材201及び第二可動部材202を具備する。
【0051】
第一可動部材201は、薙刀を模した形状を有する部材である。第一可動部材201は、その長手方向を略左右方向に向けて配置される。第一可動部材201の左側は薙刀の刀身部分を、第一可動部材201の左右略中央から右側にかけては薙刀の柄部分を、それぞれ模した形状に形成される。
【0052】
また、第一可動部材201は、溝部201a及び回動軸201bを具備する。
【0053】
図6及び
図7に示す溝部201aは、第一可動部材201のうち柄を模した部分の後側面に形成される。より詳細には、溝部201aは、第一可動部材201の右端部から左右略中央部まで、当該第一可動部材201の長手方向と平行に形成される。
【0054】
回動軸201bは、その軸線を前後方向に向けた状態で、第一可動部材201の後側面(より詳細には、第一可動部材201の後側面であって、溝部201aよりも左方)から後方に向けて延設される。回動軸201bは、第一可動部材201の幅方向(短手方向)の中央に位置する。当該回動軸201bは、第一アーム160に形成された2つの孔のうち他方の孔(
図6に示す右側の孔)に挿通される。これによって、第一アーム160が回動軸201bに回動可能となるように連結される。すなわち、当該回動軸201bが第一アーム160と第一可動部材201との連結部となる。
【0055】
図6及び
図7に示す第二可動部材202は、略矩形板状の部材である。第二可動部材202は、その長手方向が第一可動部材201の長手方向と平行になるように配置される。第二可動部材202の幅は、第一可動部材201の溝部201aの幅と略同一となるように形成される。第二可動部材202の後側面の左端部近傍には、第二アーム180の他端部(左上端部)が固定される。すなわち、第二アーム180は、第二可動部材202に回動不能となるように連結される。当該第二アーム180と第二可動部材202とが連結される部分を、連結部202aとする。連結部202aは、第二可動部材202の幅方向(短手方向)の中央に位置する。第二可動部材202は、第一可動部材201の溝部201a内に挿入される。これによって、第二可動部材202は、第一可動部材201に対して相対的に摺動自在になる。この場合、第一可動部材201と第二可動部材202とは、正面視又は背面視において回動軸201bと連結部202aとを結ぶ直線と平行な方向に摺動可能となる。
【0056】
なお、第二可動部材202が、第一可動部材201の溝部201aから後方に脱落するのを防止するためのストッパ等を、第一可動部材201や第二可動部材202等に設けても良い。
【0057】
上述の如く可動演出装置100を構成することにより、第一アーム160を可動体200の左端部(第一端部)側に配置し、当該第一アーム160により可動体200を左端部(第一端部)側から支持すると共に、第二アーム180を可動体200の右端部(第二端部)側に配置し、当該第二アーム180により可動体200を右端部(第二端部)側から支持することができる。
【0058】
上述の如く構成された可動演出装置100において、モータ130を駆動させることで、可動体200を待機位置と作動位置との間で往復移動させることができる。以下では、この可動演出装置100の往復移動の様子について説明する。
【0059】
まず、可動体200が待機位置にある場合について説明する。
【0060】
「待機位置」とは、
図5及び
図6に示す可動体200の位置をいう。
可動体200が待機位置にある場合、回転部材140の回動軸141は最も左(モータ130の出力軸131(
図9参照)の左方)に移動している。
【0061】
この場合、当該回動軸141に連結されている伝達アーム150も最も左に移動している。これによって、当該伝達アーム150に連結されている第一アーム160の延設部161が最も左に引っ張られるため、第一アーム160は第一支軸111を中心として正面視反時計回りに回動した状態となる。この状態においては、第一アーム160の右端側は最も上昇した位置にある。
【0062】
第一アーム160の右端側が最も上昇した位置にあるため、当該第一アーム160の右端側に連結されている可動体200も最も上昇した位置にある。この場合、当該可動体200を介して第二アーム180も第二支軸121を中心として正面視時計回りに回動された状態となる。
【0063】
可動体200が待機位置にある場合、
図3に示すように、可動体200はセンター役物12及び遊技板10の背後に配置され、遊技者からは視認することができない。
【0064】
なお、可動体200が待機位置にある場合、位置センサ170の発光部と受光部との間に第一アーム160の遮蔽片163が進入するため、当該位置センサ170は可動体200が待機位置にあることを検出することができる。
【0065】
次に、可動体200が待機位置にある状態からモータ130を駆動させた場合について説明する。
【0066】
図8及び
図9に示すように、モータ130を駆動させて回転部材140を正面視時計回りに回転させると、当該回転部材140の回動軸141は右方に(より詳細には、出力軸131を中心とする円弧上を右上方に)移動する。
【0067】
この場合、当該回動軸141に連結されている伝達アーム150も右方に移動する。これによって、当該伝達アーム150に連結されている第一アーム160の延設部161が第一支軸111を中心として正面視時計回りに回動するため、第一アーム160も第一支軸111を中心として正面視時計回りに回動し、第一アーム160の右端側は下降する。
【0068】
第一アーム160の右端側が下降すると、可動体200の第一可動部材201が所定の方向(下方)に押し下げられる(下降する)ことになる。したがって、可動体200の左側部分が先行して下降する。そして、当該可動体200(第一可動部材201及び第二可動部材202)を介して第二アーム180の左端部が左斜め下方に引き下げられ、第一アーム160の回動に追従するように、第二アーム180が第二支軸121を中心として正面視反時計回りに回動され、可動体200の右側部分が下降する。このため、可動体200は、待機位置での姿勢(初期姿勢)に対し、左端部を左下方向に向けるように傾きながら下降する。
【0069】
第一アーム160及び第二アーム180が上述の如く回動する際、第一可動部材201と第二可動部材202は適宜相対的に摺動する。これによって、第一アーム160及び第二アーム180は、滑らかに回動することができる。
【0070】
第一アーム160が回動する際、第一アーム160と可動体200(第一可動部材201)との連結部(回動軸201b)の軌跡は、待機位置において第一アーム160が可動体200を左側から略水平に支持することから、
図10及び
図11に示す円弧の軌跡Aになる。この軌跡Aは、水平方向成分が、回動軸201bを図柄表示装置13の中央から左方向に移動させる、すなわち、可動体200の左側部分(第一可動部材201)を左方向に引っ張るものとなる。また、軌跡Aは、鉛直方向成分が、回動軸201bを図柄表示装置13の上方から中央に移動させるもの、すなわち、可動体200の左側部分(第一可動部材201)を下降させるものとなる。
【0071】
一方、第二アーム180が回動する際、第二アーム180と可動体200(第二可動部材202)との連結部202aの軌跡は、待機位置において第二アーム180が可動体200を右下側から斜め上方に支持することから、円弧の軌跡Bになる。この軌跡Bは、水平方向成分が、連結部202aを図柄表示装置13の右方から中央に移動させるもの、すなわち、可動体200の右側部分(第二可動部材202)を左方向に押し出すものであり、鉛直方向成分が、連結部202aを図柄表示装置13の上方から中央に移動させるもの、すなわち、可動体200の右側部分(第二可動部材202)を下降させるものとなる。
【0072】
このように、回動軸201bの軌跡A及び連結部202aの軌跡Bは、その水平方向成分が何れも左方向に向かうものであると共に、その鉛直方向成分が何れも下方に向かうものであるため、可動体200は、図柄表示装置13(液晶画面26)の前方において、左方向に進行しながら下降していく。また、その際、第二アーム180が可動体200(第二可動部材202)に回動不能に連結されることから、両者のなす角度が一定の角度θ(
図5参照)に保持され、そのため、可動体200は、初期姿勢に対する傾き(左端部を左下方向に向けるような傾き)を増しながら下降していく。
【0073】
上述の如く可動体200(第一可動部材201)が下降すると、
図12に示すように、当該第一可動部材201はセンター役物12の背後(上方)から液晶画面26の前方(下方)に出現する。また、この際の回動軸201bの下降量は、第二アーム180と第二可動部材202との連結部分の下降量よりも大きいため(
図6及び
図9参照)、第一可動部材201の左端側(薙刀の刀身側)が右端側(薙刀の柄側)よりも大きく下降する。これによって、薙刀(第一可動部材201)が振り下ろされたような演出を行い、当該演出を遊技者に視認させることができる。また、この際、第一アーム160及び第二アーム180は透光性を有する部材で構成されているため、当該第一アーム160及び第二アーム180は遊技者から視認し難く、遊技者の注意を第一可動部材201に集中させることができる。
【0074】
次に、さらにモータ130を駆動させ、回転部材140の回動軸141が最も右に移動した場合について説明する。
【0075】
図8及び
図9に示す状態からさらにモータ130を駆動させると、
図13及び
図14に示すように回転部材140の回動軸141が最も右(モータ130の出力軸131の右方)に移動する。
【0076】
この場合、当該回動軸141に連結されている伝達アーム150も最も右に移動する。これによって、当該伝達アーム150に連結されている第一アーム160の延設部161が最も右に押し出されるため、第一アーム160は第一支軸111を中心として正面視時計回りに回動した状態となる。この状態においては、第一アーム160の右端側は最も下降した位置にある。
【0077】
ここで、
図8及び
図9に示す状態から
図13及び
図14に示す状態まで第一アーム160が回動する際、当該第一アーム160の右端部(第一可動部材201の回動軸201b)が描く円弧の軌跡A(
図10及び
図11参照)の接線方向と、第一可動部材201と第二可動部材202との相対的な摺動方向と、が略一致する。従って、第一アーム160が回動することによって第一可動部材201が第二可動部材202に対して相対的に下方に摺動(相対変位)するが、第二アーム180はほとんど回動しない。
【0078】
したがって、薙刀(第一可動部材201)が突かれたような演出(
図12の状態から
図15の状態に変化する演出)を行い、当該演出を遊技者に視認させることができる。
【0079】
なお、
図13及び
図14に示す可動体200の位置を、「作動位置」とする。
【0080】
第二ベース部材120の開口部122の下端の位置を、第二アーム180が最下位置(正面視で最も反時計回り方向に回動した位置)に達した際に当該第二アーム180と当接するような位置となるように形成することで、第一可動部材201の動きにつられて第二可動部材202及び第二アーム180が正面視反時計回りに回動するのを防止することができ、可動体200の待機位置から作動位置までの移動を滑らかに行うことができる。
【0081】
次に、可動体200が作動位置にある状態からさらにモータ130を駆動させた場合について説明する。
【0082】
図16及び
図17に示すように、可動体200が作動位置にある状態からさらにモータ130を駆動させて回転部材140を正面視時計回りに回転させると、当該回転部材140の回動軸141は左方に(より詳細には、出力軸131を中心とする円弧状を左下方に)移動する。
【0083】
この場合、当該回動軸141に連結されている伝達アーム150も左方に移動する。これによって、当該伝達アーム150に連結されている第一アーム160の延設部161が第一支軸111を中心として正面視反時計回りに回動するため、第一アーム160も第一支軸111を中心として正面視反時計回りに回動し、第一アーム160の右端側は上昇する。
【0084】
ここで、
図13及び
図14に示す状態から
図16及び
図17に示す状態まで第一アーム160が回動する際、当該第一アーム160の右端部(第一可動部材201の回動軸201b)が描く円の軌跡の接線方向と、第一可動部材201と第二可動部材202との相対的な摺動方向と、が略一致する。従って、第一アーム160が回動することによって第一可動部材201が第二可動部材202に対して相対的に上方に摺動(相対変位)するが、第二アーム180はほとんど回動しない。
【0085】
したがって、薙刀(第一可動部材201)が引き戻されたような演出(
図15の状態から
図12の状態に戻る演出)を行い、当該演出を遊技者に視認させることができる。
【0086】
この状態からさらにモータ130を駆動させることで、第一アーム160の右端部が上昇し、可動体200が所定の方向(上方)に押し上げられ、再び可動体200を待機位置(
図3、
図5及び
図6参照)に戻すことができる。
【0087】
以上の如く、本実施形態に係る遊技機1の可動演出装置100は、可動体200と、可動体200の左端部(第一端部)側に配置され、一端部が回動自在に軸支された第一アーム160と、可動体200の前記第一端部と反対側に位置する右端部(第二端部)側に配置され、一端部が回動自在に軸支された第二アーム180と、第一アーム160を回動させるモータ130(駆動源)とを備え、可動体200を第一アーム160により前記第一端部側から支持すると共に第二アーム180により前記第二端部側から支持し、モータ130により第一アーム160を回動させることにより可動体200を作動させる遊技機1の可動演出装置100において、可動体200は相互に摺動自在な第一可動部材201及び第二可動部材202を有し、第一アーム160の他端部を第一可動部材201に回動自在に連結し、第二アーム180の他端部を第二可動部材202に回動不能に連結し、第一可動部材201と第二可動部材202とは、第一アーム160及び第一可動部材201の連結部(回動軸201b)と第二アーム180及び第二可動部材202の連結部202aとを結ぶ直線と平行な方向に摺動可能であり、モータ130によって第一アーム160を第一回動方向(正面視時計回り)に回動させると共に、当該第一アーム160の動きを可動体200を介して第二アーム180に伝達して当該第二アーム180を前記第一回動方向と反対の第二回動方向(正面視反時計回り)に回動させることで、可動体200を漸傾させながら移動させ、第一可動部材201と第二可動部材202との摺動方向が第一アーム160及び第一可動部材201の連結部(回動軸201b)が描く円弧の軌跡Aの接線方向と略平行になった場合において、さらにモータ130によって第一アーム160を前記第一回動方向に回動させることで、第一可動部材201を第二可動部材202から離間する方向に相対的に摺動させることを特徴とするものである。
【0088】
このように構成することにより、モータ130によって第一アーム160を回動させると、第一アーム160の動きが可動体200を介して第二アーム180に伝達され、第二アーム180が回動する。第一アーム160及び第二アーム180が回動すると、可動体200は第一端部側を下方に傾けながら下降し、また、第一アーム160と第一可動部材201との連結部(回動軸201b)が描く円弧の軌跡Aの接線方向と、第一可動部材201と第二可動部材202との摺動方向が略平行になったときに、第一可動部材201が第二可動部材202から離間する方向に相対的に摺動する。このため、可動体200(特に、当該可動体200の第一端部側)を振り下ろす動きと、第一端部側へ突き出す動きとを組み合わせた挙動を演出することができ、可動体200の挙動の興趣性を向上させることができ、ひいては遊技者に新鮮な印象を与えることができる。
また、第二アーム180は、可動体200を介して第一アーム160の動きを伝達することで回動させるものであり、第一可動部材201及び第二可動部材202は、第一アーム160の動きに伴って摺動させるものである。すなわち、単一の駆動源によって複数の動き(可動体200の下方への移動及び第一可動部材201の摺動)を実現することができ、駆動源の増加を伴わずに新たな可動演出を実現することが可能になる。
また、可動体200に異なる方向への複数の動作(振り下ろされる動作及び振り上げられる動作、並びに前方に突く動作)を行わせることで、液晶画面26の前方のスペースを大きく利用して演出を行うことができ、遊技者により強い印象を与えることができる。
【0089】
なお、可動体200(第一可動部材201)は薙刀を模した形状(棒状)としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、その他の物を模した形状であっても良く、またその他の形状(例えば、矩形状や円形状等、又はこれらを組み合わせた形状)であっても良い。
また、第一アーム160及び第二アーム180の形状は本実施形態に限るものではなく、例えば
図18に示すような形状であっても良い。
また、第二アーム180は可動体200を斜め下方から支持するものとしたが、
図18に示すように、下方から支持するものであっても良い。
【0090】
また、可動演出装置100は、可動体200を液晶画面26の上方から下方に移動させ、液晶画面26の前方に出現させるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、液晶画面26の下方から上方に移動させ、液晶画面26の前方に出現させる構成や、液晶画面26の左右から液晶画面26の前方に出現させる構成としても良い。
【0091】
また、モータ130の駆動力を第一アーム160に伝達させるための機構(回転部材140及び伝達アーム150による機構)は本実施形態に限るものではない。例えば、モータ130の出力軸を第一アーム160に直接連結して、当該モータ130の駆動力により直接第一アーム160を回動させる構成としても良い。
【0092】
また、駆動源としてモータ130を用いるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、第一アーム160を回動させる駆動力を発生することができるもの(例えば、エアシリンダ等)であれば良い。