特許第5741452号(P5741452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741452
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】車両用ナビゲーション装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20150611BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20150611BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-2378(P2012-2378)
(22)【出願日】2012年1月10日
(65)【公開番号】特開2013-142587(P2013-142587A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】502324066
【氏名又は名称】株式会社デンソーアイティーラボラトリ
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】水野 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 弘利
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 里見
(72)【発明者】
【氏名】吉津 沙耶香
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘貴
【審査官】 島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−230624(JP,A)
【文献】 特開2010−156696(JP,A)
【文献】 特開2005−190334(JP,A)
【文献】 特開2008−292498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を検出する位置検出手段と、
車両が到達して停止した地点位置を目的地候補地点として記憶するものであって、車両到達地点位置が特定の施設に付随するエリア内に属する場合には、その施設を目的地候補地点として記憶し、エリア外である場合には、車両到達地点を目的地候補地点として記憶するとともに、各目的地候補地点への車両の到達回数を記憶する記憶手段と、
少なくとも各目的地候補地点への車両の到達回数に基づき、各目的地候補地点の優先度合を決定し、その優先度合に応じた態様で、目的地を設定するための情報として、各目的地候補地点を示す情報を提示する提示手段と、を備えた車両用ナビゲーション装置であって、
特定の施設としては記憶されていない目的地候補地点を対象として、所定数以上の目的地候補地点が、所定の近接した位置関係にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、所定の近接した位置関係にあると判定された所定数以上の目的地候補地点を、共通の目的地に対応するものとしてグループ化するグループ化手段と、を有し、
前記提示手段は、各目的地候補地点への車両の到達回数として、グループ化された各候補地点への到達回数の合計値を用いることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記グループ化手段は、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したとき、そのグループを表す名称を付与し、前記提示手段は、前記目的地候補地点を示す情報として、その付与された名称を用いることを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記グループ化手段は、前記名称として、前記所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリアの地名を用いることを特徴とする請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記グループ化手段は、前記名称として、前記所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリア内に存在する施設の名称を用いることを特徴とする請求項2に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記判定手段は、車両の保管場所としての駐車位置からの距離に応じて、前記所定の近接した位置関係にあると判定する距離的な範囲を変えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が過去に到達して停止した地点を目的地候補地点として記憶しておき、その記憶した各目的地候補地点に基づいて、目的地を設定するための情報を提示する車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の停止した地点が、目的地であるのか、単に所用を済ますためだけの立寄地であるのかを判別して記憶するようにした車両用ナビゲーション装置が記載されている。この車両用ナビゲーション装置では、例えば、時期的情報(時刻、曜日、月日、季節等)が類似する等の条件で、記憶された中から類似する目的地・立ち寄り地を選択して、ユーザに提示する。あるいは、距離的に近いという条件や、訪れた回数が多いとの条件で層別して、ユーザに提示する。そして、提示された目的地・立ち寄り地により目的地が設定された場合、設定された目的地への経路案内処理を行う。ただし、この特許文献1の車両用ナビゲーション装置では、車両の停止地点そのものを、目的地もしくは立ち寄り地として記憶するだけである。
【0003】
地点の登録に関しては、例えば、特許文献2に、運転者が意図する地点を容易、かつ的確に登録することができるようにした地点登録システムが記載されている。この地点登録システムでは、所定の立寄条件が成立したとき、車両の半径50m以内に施設が存在するならば、その施設を登録する。一方、車両の半径50m以内に施設が存在しない場合、車両の位置を基準とする、各ジャンルごとに設定された名称付与範囲内に、そのジャンルに属する施設が存在するか否かを判断する。そして、そのような施設が存在すると、該施設について地点及び名称を登録する。なお、名称付与範囲内に該当する施設が存在しない場合には、車両位置の住所について地点登録を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−10570号公報
【特許文献2】特開2010−237181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、郊外の大型の商業施設(ショッピングモールなど)や、遊戯施設(テーマパークなど)等は、概して、専用の大きな駐車場を有する。このため、車両がその駐車場に到達して停止した場合、車両の目的地がそれらの商業施設や遊戯施設であることは、比較的容易に判断することができる。そして、それらの商業施設や遊戯施設を記憶することにより、車両が実際に目的地とした地点(施設)に関する情報を蓄積することができる。
【0006】
一方、例えば、都市部の駅や、繁華街の各種の施設などでは、駐車場が設けられていなかったり、駐車場はあっても、その収容台数が僅かであったりすることが多い。このため、都市部の駅や、繁華街の各種の施設等の利用者は、車両を近くの有料駐車場などに止めて、徒歩などで最終的な目的地に向かうことになる。そして、このような場合、車両の目的地が同じであっても、車両が常に同じ場所に駐車されるとは限らず、むしろ、駐車場の空き状況などに応じて、車両は異なる駐車場に駐車されることも多いと考えられる。
【0007】
このように車両が異なる駐車場に駐車されると、同じ目的地に向かうために利用したにも係わらず、それぞれ別個に地点登録されてしまう虞が生じる。すると、目的地を訪れた回数を正しく算出することができなくなり、車両の乗員に対し、目的地を設定するための情報として、有用な情報を提供できなくなる虞がある。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、同じ目的地に達するための車両の停止地点が、異なる地点に分散していても、それら停止地点を、共通の目的地に対するものとして記憶することが可能な車両用ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置は、
車両の位置を検出する位置検出手段と、
車両が到達して停止した地点位置を目的地候補地点として記憶するものであって、車両到達地点位置が特定の施設に付随するエリア内に属する場合には、その施設を目的地候補地点として記憶し、エリア外である場合には、車両到達地点を目的地候補地点として記憶するとともに、各目的地候補地点への車両の到達回数を記憶する記憶手段と、
少なくとも各目的地候補地点への車両の到達回数に基づき、各目的地候補地点の優先度合を決定し、その優先度合に応じた態様で、目的地を設定するための情報として、各目的地候補地点を示す情報を提示する提示手段と、を備えたものであって、
特定の施設としては記憶されていない目的地候補地点を対象として、所定数以上の目的地候補地点が、所定の近接した位置関係にあるか否かを判定する判定手段と、
判定手段により、所定の近接した位置関係にあると判定された所定数以上の目的地候補地点を、共通の目的地に対応するものとしてグループ化するグループ化手段と、を有し、
提示手段は、各目的地候補地点への車両の到達回数として、グループ化された各候補地点への到達回数の合計値を用いることを特徴とする。
【0010】
例えば、都市部の駅や、繁華街の各種の施設などを目的地として、車両を近隣の駐車場に停車させる場合、その目的地を訪れるたびに利用する駐車場が異なっていたとしても、それらの駐車場同士は、距離的に大きく離れたものとはならない可能性が高い。従って、それらの駐車場は、例えば所定の大きさのエリアに含まれる、相互の距離が所定距離以下であるなどの、所定の近接した位置関係を満たす可能性が高い。そこで、請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置では、特定の施設としては記憶されていない目的地候補地点を対象として、所定の近接した位置関係にある、所定数以上の目的地候補地点を、共通の目的地に対応するものとしてグループ化することとした。これにより、同じ目的地に達するための車両の停止地点が、異なる地点に分散していても、それら停止地点を、共通の目的地に対するものとして記憶することが可能になる。
【0011】
請求項2に記載したように、グループ化手段は、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したとき、そのグループを表す名称を付与し、提示手段は、目的地候補地点を示す情報として、その付与された名称を用いることが好ましい。これにより、ユーザは、その名称により、提示された目的地候補地点を示す情報が、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したものと認識することができる。
【0012】
その名称は、請求項3に記載したように、所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリアの地名を用いても良いし、請求項4に記載したように、所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリア内に存在する施設の名称を用いても良い。いずれの名称を用いた場合であっても、ユーザは、提示された目的地候補地点を示す情報が、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したものと認識することができる。
【0013】
請求項5に記載したように、判定手段は、車両の保管場所としての駐車位置からの距離に応じて、所定の近接した位置関係にあると判定する距離的な範囲を変えるようにしても良い。例えば、車両の保管場所としての駐車位置(自宅等)から近いエリアでは、その車両の使用者は、周辺の地理に詳しいことが多いため、異なる目的地であっても、その目的地同士の距離がそれほど離れていないといった状況が発生しやすい。このため、車両の保管場所としての駐車位置から近いエリアにおいて、所定の近接した位置関係にあると判定する距離的な範囲を相対的に狭くすることにより、それぞれの目的地ごとに、目的地候補地点をグループ化しやすい。逆に、車両の保管場所としての駐車位置から離れたエリアでは、同じ目的地に向かうことが多いと考えられるので、近接した位置関係にあると判定する距離的な範囲を相対的に広くした方が、共通の目的地に対する目的地候補をグループ化する精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態による車両用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】車両用ナビゲーション装置において、車両の目的地とすべき地点に関する情報の提供、及びその情報提供に応じて、目的地が設定された場合に経路案内処理を行う目的地情報提供処理を示すフローチャートである。
図3】目的地候補地点を外部メモリに記憶させるための目的地候補地点記憶処理を示すフローチャートである。
図4】目的地候補地点のグループ化処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態による車両用ナビゲーション装置について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態による車両用ナビゲーション装置20の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、車両用ナビゲーション装置20は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、車両が停止したときの各種の車両状態を検出する複数のセンサ11、音声コントローラ12、及びこれらに接続された制御回路としてのナビゲーションECU8を備えている。
【0017】
ナビゲーションECU8は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが設けられている。ROMには、ナビゲーションECU8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0018】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、走行距離を算出するための車速(距離)センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した内の一部で構成しても良い。
【0019】
地図データ入力器6は、ノードデータ及びリンクデータからなる道路データ、地形等を示す背景データ、地名等を表示するための文字データなどからなる、地図を描画するために必要な地図データをナビゲーションECU8に入力する装置である。この地図データ入力器6は、地図データを記憶する記憶媒体を備え、その記憶媒体としては、記憶するデータ量からCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等が一般的に用いられる。
【0020】
また、地図データは、各種の施設に関する施設データを有する。この施設データは、施設名称、施設の地図データ上の位置、その施設に付随するエリアとして、例えば専用の駐車場の位置、住所、電話番号、及びその施設のジャンル等からなる。この施設データを用いて、任意の施設を目的地に設定したり、車両が停止した停止位置に存在する施設を特定することができる。
【0021】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチとして構成され、各種入力に使用される。
【0022】
外部メモリ9は、例えばメモリカードやハードディスク等の読み書き可能な記憶媒体を有し、テキストデータや画像データ等の各データの保存のために利用される。特に、本実施形態においては、後述するように、外部メモリ9は、車両が停止した地点を目的地候補地点として記憶する。その際、車両停止地点が、特定の施設の近傍、あるいはその施設の駐車場である場合には、目的地候補地点として、その施設を記憶する。一方、車両停止地点の近傍に特定の施設がなかったり、いずれの施設の専用駐車場でもなかったりした場合には、その地点の住所など、その地点を示す情報を、目的地候補地点として記憶する。さらに、詳しくは後述するが、外部メモリ9は、特定の施設としては記憶されていない複数の目的地候補地点がグループ化された場合、そのグループのエリアや名称を記憶する。
【0023】
なお、外部メモリ9は、先述した特許文献1と同様に、目的地候補地点を記憶した場合に、時期的情報(停止時間帯、曜日、月日、季節など)や、運転者や乗車人員に関する情報、さらに、外部との通信により取得される天候情報なども併せて保存するようにしても良い。
【0024】
表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には、ナビゲーションECU8の処理により、例えば、位置検出器1から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図が表示される。
【0025】
車両が停止したときの各種の車両状態を検出する複数のセンサ11は、パーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキセンサ、アクセサリースイッチ(イグニッションスイッチ)のオン・オフ状態を検出するアクセサリースイッチセンサ、車両の各シートにおける乗員の着座の有無を検出する着座センサを含む。なお、ナビゲーションECU8は、その内部にカレンダー時計を有し、このカレンダー時計により、車両が停止したときの車両状態の1つとして、停止地点における滞在時間を測定する。また、このカレンダー時計により、目的地候補地点と関連付けて記憶される時期的情報が与えられる。
【0026】
音声コントローラ12は、音声認識装置14と接続されており、マイク15から入力された音声信号が音声認識装置14によって認識され、その認識情報を取得することにより、音声信号に対応する操作信号をナビゲーションECU8へ出力する。また、音声コントローラ12は、ナビゲーションECU8によって指示された合成音声や注意喚起音をスピーカ13に出力する。例えば、スピーカ13から出力される音声によって、今回の車両の目的地として最も確からしいと推定された目的地をユーザに提示したり、車両が進むべき方向を案内したりする。
【0027】
次に、車両用ナビゲーション装置20において、車両の目的地とすべき地点に関する情報の提供、及びその情報提供に応じて、目的地が設定された場合に経路案内処理を行う目的地情報提供処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
図2において、まず、ステップS10では、ユーザである車両の乗員により、目的地候補地点の報知が指示されたか否かを判定する。すなわち、ユーザが、車両の走行を開始させる際に、今回の目的地をナビゲーション装置20に設定すべく、記憶された目的地候補地点の報知を指示する操作を行ったか否かを判定する。ステップS10において「Yes」との判定がなされた場合、ステップS20の処理に進み、「No」との判定がなされた場合、図2のフローチャートに示す処理を終了する。
【0029】
ステップS20では、少なくとも各目的地候補地点への到達回数に基づいて、報知に関する優先順位を定め、その順位に従って、目的地候補地点を報知する。具体的には、順位が最上位の目的地候補地点から順番に、表示装置10及びスピーカ13を用いて画像表示や音声にて報知したり、順位に応じて並べられた複数の目的地候補地点を、表示装置10に表示したりする。なお、目的地候補地点の優先順位を定めるときに、到達回数に加えて、時期的情報、天候情報、及び運転者や乗車人員に関する情報などを加味しても良い。
【0030】
ステップS30では、ユーザにより、報知された目的地候補地点を目的地として設定するための操作がなされたか否かを判定する。ステップS30にて「No」と判定された場合には、他の目的地設定モード(施設名、住所、電話番号など)が指示されるなどして、目的地候補地点の報知指示が取り消されるまで、目的地候補地点の報知を継続するために、ステップS10の処理に戻る。なお、所定回数報知しても目的地が設定されない場合には、それ以上の報知を行わないように、図2に示す処理を終了しても良い。一方、ステップS30にて「Yes」と判定された場合には、ステップS40の処理に進む。
【0031】
ステップS40では、車両の現在地点から設定された目的地に到達する経路を、道路データに基づいて設定する。そして、ステップS50では、その設定された案内経路に基づいて、経路案内を行う。この経路案内は、公知のように、表示装置10に表示される道路地図において案内経路を強調して表示するとともに、右左折等が必要な交差点においては、その右左折の方向を音声にて案内する。
【0032】
上述した目的地情報提供処理を実行することにより、記憶された目的地候補地点の中から、ユーザが目的地とする可能性が高い地点をユーザに提示することが可能となるので、ユーザが目的地を設定する手間を軽減することができる。
【0033】
次に、目的地候補地点を外部メモリ9に記憶させるための目的地候補地点記憶処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0034】
まず、ステップS110では、例えば車速センサ4によって検出される速度が所定速度以下となったか否かに基づいて、車両が停止したか否かを判定する。この判定処理において、車両が停止したと判定されると、ステップS120の処理に進む。
【0035】
ステップS120では、パーキングブレーキがオンされたか否かを判定する。ステップS120において、パーキングブレーキはオンされないと判定されると、図3のフローチャートに示す処理を終了する。一方、ステップS120にてパーキングブレーキがオンされたと判定されると、ステップS130に進む。ステップS130では、アクセサリースイッチがオンからオフとなったか否かが判定される。この判定処理において「No」と判定されると、図3のフローチャートに示す処理を終了する。
【0036】
ステップS130にて「Yes」と判定されると、ステップS140に進み、その停止地点に車両が滞在した滞在時間が基準時間以上であるか否かが判定される。このとき、滞在時間が基準時間以上であると判定された場合には、車両の停止地点は目的地である可能性が高いので、ステップS150以降の処理に進む。一方、滞在時間は基準時間未満であると判定された場合には、単に一時的に停車したものと考えられるため、図3のフローチャートに示す処理を終了する。
【0037】
すなわち、本実施形態では、車両の停止(速度=0)、パーキングブレーキオン、アクセサリースイッチオフ、さらに滞在時間が所定時間以上との条件で、車両の停止地点を、目的地候補地点と判定している。しかしながら、目的地候補地点の判定については、上記条件の少なくとも1つが成立したときに行なっても良いし、上記条件を任意に組み合わせて行なっても良い。さらに、例えば、トランスミッションのギヤ位置がパーキングであるとの条件など、他の条件を加えても良い。
【0038】
ステップS150では、施設データを参照して、車両の停止地点が、特定の施設の近傍(例えば数10m以内)であったり、あるいは特定の施設の専用駐車場であったりするかを判定する。この判定処理において「Yes」と判定されると、ステップS160に進んで、該当する施設を、目的地候補地点として記憶する。既に、同じ施設が記憶されている場合には、その施設に関する到達回数に1を加算して更新する。一方、「No」と判定された場合には、ステップS170に進み、車両が停止した地点の住所を、目的地候補地点として記憶する。この場合も、施設の場合と同様に、同じ住所が記憶されている場合には、その住所に関する到達回数を更新する。
【0039】
以上のような目的地候補地点記憶処理により、車両が目的地とした可能性が高い地点を、目的地候補地点として記憶することができる。
【0040】
次に、目的地候補地点のグループ化処理について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
まず、ステップS210では、外部メモリ9に記憶された目的地候補地点の中で、特定の施設としては記憶されていない目的地候補地点があるか否かを判定する。この判定処理において「No」と判定された場合には、図4のフローチャートに示す処理を終了する。一方、「Yes」と判定された場合には、ステップS220の処理に進む。
【0042】
ステップS220では、特定の施設としては記憶されていない目的地候補地点を対象として、所定数以上の目的地候補地点が、所定の近接した位置関係にあるか否かを判定する。この場合、所定の近接した位置関係に有るか否かは、具体的には、所定数以上の目的地候補地点が、例えば所定の大きさのエリア(半径数キロのエリアや、1辺が数キロの矩形状のエリアなど)に含まれる、或いは所定数の目的地候補地点同士の相互の距離が所定距離以下であるなどの条件を満たすか否かにより判定される。ステップS220において「No」と判定された場合には、図4のフローチャートに示す処理を終了する。一方、「Yes」と判定された場合には、ステップS230の処理に進む。
【0043】
ステップS230では、所定の近接した位置関係を持つ、所定数以上の目的地候補地点をグループ化する。例えば、都市部の駅や、繁華街の各種の施設などを目的地として、車両を近隣の駐車場に停車させる場合、その目的地を訪れるたびに利用する駐車場が異なっていたとしても、それらの駐車場同士は、距離的に大きく離れたものとはならない可能性が高い。ステップS230の処理では、このような距離的に近接した複数の目的地候補地点が、共通の目的地に対応するものとしてグループ化される。
【0044】
この複数の目的地候補地点のグループ化においては、対象となる目的地候補地点の各々に、そのグループを表す名称を付与する。これにより、ユーザは、その名称により、報知された目的地候補地点を示す情報が、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したものと認識することができる。
【0045】
その名称は、所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリアの地名が用いても良いし、所定数以上の目的地候補地点によってカバーされるエリア内に存在する代表的な施設の名称を用いても良い。いずれの名称を用いた場合であっても、ユーザは、報知された名称が、所定数以上の目的地候補地点をグループ化したものと認識することができる。
【0046】
また、複数の目的地候補地点のグループ化により、そのグループに属する各目的地候補地点の到達回数は積算され、グループとして纏められた到達回数が算出される。従って、各目的地への到達回数を適切なものとすることができるので、その到達回数に基づいて、ユーザに目的地候補地点を報知する場合に、有用な情報を提供することが可能となる。
【0047】
なお、このように複数の目的地候補地点がグループ化された場合、そのグループ化のためのエリアが決定され、そのエリアに関する情報が外部メモリ9に記憶される。そして、そのエリアに属する地点に車両が停止された場合には、その地点の住所のみではなく、グループ名が記憶されるとともに、グループとしての到達回数の更新処理が実行される。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0049】
例えば、上述した実施形態において、所定数以上の目的地候補地点をグループ化する際のエリアの大きさを常に一定とするのではなく、種々の条件で変化させても良い。例えば、有料駐車場の数やその分布度合などを考慮し、有料駐車場は広く分布しているにも係わらず、目的地候補地点が密集している箇所が、ある程度離れて存在する場合には、グループ化のためのエリアの大きさを変えて、それらを別のグループとしてグループ化するようにしても良い。さらに、特定の施設として記憶されている目的地候補地点が近くにある場合にも、その目的地候補地点を含まないように、エリアの大きさを設定しても良い。
【0050】
さらに、車両の保管場所としての駐車位置(自宅等)からの距離に応じて、所定数以上の目的地候補地点をグループ化する際のエリアの大きさ、すなわち、それらの目的地候補地点が近接した位置関係にあると判定する距離的な範囲を変えるようにしても良い。例えば、自宅等から近いエリアでは、その車両の使用者は、周辺の地理に詳しいことが多いため、異なる目的地であっても、その目的地同士の距離がそれほど離れていないといった状況が発生しやすい。このため、自宅等から近いエリアにおいては、グループ化のためのエリアの大きさを相対的に狭くすることにより、それぞれの目的地ごとに、目的地候補地点をグループ化しやすい。逆に、自宅等から離れたエリアでは、繰り返し車両の使用者が訪れる場合、同じ目的地に向かうことが多いと考えられる。そのため、グループ化のためのエリアの大きさを相対的に広くした方が、共通の目的地に対する目的地候補をグループ化する精度を高めることができる。なお、車両の保管場所は、ユーザによる自宅位置の登録情報や、車両が最も頻繁に駐車される位置から定めることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 位置検出器
6 地図データ入力器
7 操作スイッチ群
8 ECU
9 外部メモリ
10 表示装置
11 センサ
図1
図2
図3
図4