特許第5741476号(P5741476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741476
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】インクジェット用紙
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/00 20060101AFI20150611BHJP
   B41M 5/50 20060101ALI20150611BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20150611BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20150611BHJP
   D21H 19/10 20060101ALI20150611BHJP
   D21H 19/20 20060101ALI20150611BHJP
   D21H 19/22 20060101ALI20150611BHJP
   D21H 21/16 20060101ALI20150611BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   B41M5/00 B
   B41J2/01 501
   D21H19/10 B
   D21H19/20 A
   D21H19/22
   D21H19/10 Z
   D21H21/16
   D21H27/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-30524(P2012-30524)
(22)【出願日】2012年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-166297(P2013-166297A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 和夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 陵
(72)【発明者】
【氏名】瀧山 吉宏
【審査官】 川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−196237(JP,A)
【文献】 特開2004−195721(JP,A)
【文献】 特開2009−154507(JP,A)
【文献】 特開2003−291500(JP,A)
【文献】 特開2008−213178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/00、5/50−5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙の両面に顔料を含有せず、硫酸アルミニウムとデンプンと表面サイズ剤を含有する表面サイズプレス処理剤が塗布されているインクジェット用紙において、該表面サイズ剤が、溶液型スチレン系重合体、あるいは、溶液型スチレン−アクリル系共重合体であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【請求項2】
前記表面サイズプレス処理剤総質量部100部に対し、硫酸アルミニウムが10〜60質量部、デンプンが40〜90重量部、表面サイズ剤が0.1〜2質量部を含有することを特徴とする請求項1項記載のインクジェット記録用紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用紙に関するものであり、特に、高速インクジェットシステムにおけるフルカラー印刷においても優れたベタ印刷部均一性とバーコード印刷適性を有するインクジェット用紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターで作製した画像情報等を用紙に表示する手段として、熱や圧力を駆動源として、ノズルより溶液状の染料インクや顔料インクを用紙上に吐出させ、インクにより画像を形成して印刷を行うインクジェット記録方式やトナーを用紙上に転写させることにより画像を形成させて印刷を行う電子写真記録方式が使用されている。また、商業印刷等の分野においては、デジタル情報を製版することなく紙などのメディアに直接印刷できるため少部数の印刷や可変情報印刷(バリアブル印刷)に最適であるインクジェット記録方式や電子写真記録方式が、オンデマンド印刷分野で導入されている。
なかでも、インクジェット方式は記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、高速記録が可能であること等の理由から近年、急速に発展をとげている。
【0003】
しかし、一般の印刷に使用される上質紙はインクの吸収性が劣るため、印字されたインクが紙表面で乾燥せずに長時間のこり、装置を汚染したり画像が汚れたりするため実用性に乏しい。
こうした問題を解決するために、サイズ度の低い用紙を用いる(例えば、特許文献1参照)ことや、適度なサイズ性を有し、炭酸カルシウム等の填料を含有した電子写真とインクジェット記録共用紙(例えば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、上記の提案にある記録媒体は、水性インクによる記録が行われるため、媒体上に形成された記録画像に水などが付着した場合、耐水性に劣り、再溶出により記録画像が損なわれるという欠点を有している。
【0004】
そこでカチオン性ポリマーや水溶性金属塩等の染料とレーキを形成する耐水化剤を印刷後に付与すること(例えば、特許文献3参照)や、樹脂型染料固着剤あるいは4級アンモニウム塩を塩基性化合物とする染料固着剤を塗布したもの(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。しかし、これらの提案に示されているジシアンジアミドホルムアルデヒド縮合物や、ポリアミン、ポリエチレンイミン等の各種カチオン性のインク定着剤よりなる染料媒染剤は、十分な耐水性が得られる量を使用すると、白紙黄変や、染料の褪色を引き起こすという欠点があった。
【0005】
これらの欠点を解決するために、特定の構造を持つ第4級アンモニウム塩(例えば、特許文献5〜7参照)や、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物を用いること(例えば、特許文献8参照)等が提案されている。また、高速インクジェットシステムの普及に伴い、高速インクジェットシステムにおけるインク乾燥性や耐水性を備える(例えば、特許文献9〜12参照)等の提案もされている。しかし、上記提案の記録シートは高速インクジェットシステムにおけるフルカラー印刷において、インクの色によっては耐水性に劣り、印刷物に水がかかったり、水に浸漬された場合の印刷部の鮮明性が不十分であるためフルカラー印刷用紙として満足できるものではなかった。
また、本発明と同様、硫酸アルミニウムを用いること(例えば、特許文献13〜14参照)が提案されているが、バーコード印刷適性が十分ではなかった。
更に、硫酸アルミニウムを含有したエマルジョン型スチレン−アクリル系共重合体を用いること(例えば、特許文献15参照)が提案されているが、ベタ印刷部均一性が十分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭52−53012号公報
【特許文献2】特開平6−8617号公報
【特許文献3】特開昭55−150396号公報
【特許文献4】特開昭60−161188号公報
【特許文献5】特開昭61−293886号公報
【特許文献6】特開昭62−238783号公報
【特許文献7】特開平1−9776号公報
【特許文献8】特公平2−35675号公報
【特許文献9】特開平9―202042号公報
【特許文献10】特開2000―265394号公報
【特許文献11】特開2003―326831号公報
【特許文献12】特開2000―247016号公報
【特許文献13】特許3832203号公報
【特許文献14】特開平11―334199号公報
【特許文献15】特開2010−196237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高速インクジェットシステムにおけるフルカラー印刷においても十分なベタ印刷部均一性を有し、優れたバーコード印刷適性と耐擦過性を有するインクジェット用紙を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、下記の構成を採用することにより、達成できることを見出し、本発明に至った。
【0009】
(1)原紙の両面に顔料を含有せず、硫酸アルミニウムとデンプンと表面サイズ剤を含有する表面サイズプレス処理剤が塗布されているインクジェット用紙において、該表面サイズ剤が、溶液型スチレン系重合体、あるいは、溶液型スチレン−アクリル系共重合体である事を特徴とするインクジェット用紙。
(2)前記表面サイズプレス処理剤総質量部100部に対し、硫酸アルミニウムが10〜60質量部、デンプンが40〜90重量部、表面サイズ剤が0.1〜2質量部を含有する事を特徴とする請求項1項記載のインクジェット用紙。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るインクジェット用紙は、高速インクジェットシステムにおけるフルカラー印刷においてもベタ印刷部画像の十分な均一性とバーコード印刷適性を有し、優れた印刷画像が得られるインクジェット用紙である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<表面処理剤>
本発明で使用される表面サイズプレス処理剤は、硫酸アルミニウムとデンプンと溶液型スチレン系重合体、あるいは、溶液型スチレン−アクリル系共重合体を表面サイズ剤として含有する。
【0012】
本発明で使用する硫酸アルミニウムの配合量は、表面サイズプレス総質量部100部に対して10〜60質量部が好ましく、より好ましくは20〜40質量部の範囲で調節される。硫酸アルミニウムが10質量部未満であると、インクジェット印刷におけるバーコード印刷適性の低下や印刷部の耐水性の低下が起こりやすくなる。60質量部を超えると、相対的に水溶性高分子の配合量が減少し、表面強度が低下するため、インクジェット印刷部にコスレ汚れが発生する。
【0013】
表面処理剤には、硫酸アルミニウムの他に、耐水化剤としてカチオン性樹脂や硫酸アルミニウム以外の金属塩を配合してもかまわない。カチオン性樹脂の例としては、(1)アルキルアミン−エピクロルヒドリン共重合物、(2)第2級アミノ基、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル重合体、(3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環アミジン類、(4)ジシアンジアミド−ホルマリン共重合体に代表されるジシアン系カチオン樹脂、(5)ジシアンジアミド−ポリエチレンアミン共重合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、(6)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、(7)ジアリルジメチルアンモニウム−SO共重合物、(8)ジアリルアミン塩−SO共重合物、(9)ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、(10)アリルアミン塩の重合物、(11)ビニルベンジルトリアリルアンモニウム塩の単独重合体又は共重合体、(12)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩共重合物、(13)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物、(14)ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウムなどのアルミニウム塩等の一般市販されているものが挙げられ、硫酸アルミニウム以外の金属塩としては、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウムが挙げられる。
【0014】
本発明で使用するデンプンは、カチオン化デンプン、生デンプン、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン等が挙げられる。これらのデンプン類は、溶液型スチレン重合体や溶液型スチレン−アクリル共重合体との相溶性が良く、サイズプレス処理剤を塗布した後、インクジェット用紙表面に溶液型スチレン重合体や溶液型スチレン−アクリル共重合体が均一に分布し、印刷面の均一性が向上するため好ましい。
【0015】
デンプンの配合量は、表面サイズプレス処理剤総質量部100部に対して40〜90質量部が好ましく、より好ましくは60〜80質量部の範囲で調節される。デンプンが40質量部未満であると、表面強度の低下が起こり、印刷部のコスレ汚れが発生しやすくなり、90質量部を超えると、インク乾燥性の低下、印刷部のムラが起こりやすくなる。
【0016】
表面サイズプレス処理剤には、デンプンの他にバインダーとしてカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース類、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等の天然水溶性高分子誘導体類、カチオン化ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を使用してもかまわない。
【0017】
本発明の表面サイズプレス処理剤には、表面サイズ剤として溶液型スチレン系重合体、または、溶液型スチレン−アクリル系共重合体を含有する。表面サイズ剤の配合量は、表面サイズプレス処理剤総質量部100部に対して0.1〜2質量部が好ましく、より好ましくは0.5〜1質量部の範囲で調節される。表面サイズ剤が0.1質量部未満であると、バーコード印刷適性の低下が起こり、2質量部を超えると、インク乾燥性の低下が起こりやすくなる。
【0018】
溶液型スチレン系重合体、または、溶液型スチレン−アクリル系共重合体は、水分散型いわゆるエマルジョン型のものに対して、溶液型のものは溶剤を介して水中に溶解するため、サイズプレス処理剤中に溶解した状態で含有され、原紙に塗布された際に均一に塗布され、ベタ印刷部の均一性が向上する。市販品では星光PMC社製SS2702、SS2700が使用可能である。
【0019】
また、必要に応じ各種助剤、例えば、界面活性剤、pH調節剤、粘度調節剤、柔軟剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化剤、可塑剤、滑剤、防腐剤及び香料等が必要に応じて適宜配合される。
【0020】
本発明において、表面サイズプレス処理剤に含有される硫酸アルミニウムがサイズプレス処理剤総重量部100部に対し、10〜60重量部、デンプンが40〜90重量部、表面サイズ剤が0.1〜2重量部を含有することが好ましく、塗布量については、特に限定されるものではないが、両面当りの乾燥塗布量が0.5〜5.0g/mの範囲となるように、原紙の両面に塗布、乾燥するのが好ましく、1.0〜3.0g/mの範囲とするのがさらに好ましい。表面サイズプレス処理剤の塗布量が0.5g/m未満では、充分なバーコード印刷適性および耐水性が得られず、他方、5.0g/mを越えるとインク乾燥性が低下しやすくなる。
【0021】
<原紙>
本発明で用いるインクジェット用紙の原紙としては、原料パルプとして化学パルプ(NBKP、LBKP等)、機械パルプ(GP、CGP、RGP、PGW、TMP等)、脱墨古紙パルプ(DIP等)等の木材パルプを単独または任意の比率で混合して使用される。また、ホワイトカーボン、クレー、無定形シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの製紙用填料が抄紙時に添加される。また、必要に応じて、内添サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、歩留り向上剤、耐水化剤、紫外線吸収剤等の公知公用の抄紙用薬品が適宜添加され、公知公用の抄紙機にて抄紙される。原紙の抄造条件についても、特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。
本発明のインクジェット用紙に使用する原紙は、特に限定されるものではないが、一般的には、坪量が50〜200g/m程度の範囲にある原紙が、目的に応じて適宜選択して使用される。
【0022】
<表面サイズプレス処理剤の原紙への塗布>
表面サイズプレス処理剤を紙原紙へ塗布するための装置としては、特に限定されるものではないが、例えば2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどのロールコーター、トレーリング、フレキシブル、ロールアプリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどの公知公用の装置が適宜使用される。なお、表面処理剤組成物を塗布後の湿潤塗被層を乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各種方式が採用できる。
【0023】
本発明のインクジェット用紙の製造に際しては、表面サイズプレス処理剤組成物の塗被層の形成後に、各種キャレンダー装置にて平滑化処理を施しても良く、かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパクトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マットキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で鏡面処理したロールである。弾性ロールはウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが適宜使用される。なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗被紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸気加湿装置等を適宜組合せて使用することも可能である。
【0024】
本発明に係るインクジェット用紙の白色度は特に限定されないが、70%以上、好ましくは75%以上であれば、印刷面が鮮明である。
【0025】
本発明に係るインクジェット用紙の不透明度は特に限定されないが、75%以上、好ましくは80%以上であれば、印刷面の裏面に印刷面が透き通ることなく印刷後の不透明性を維持できる。
【0026】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。例中、部とあるのは質量部を、%とあるのは質量%をそれぞれ示す。尚、本発明は、これらの実施例に何等制限を受けるものではない。
【0027】
<基材の調整>
ユーカリ、オーク材を原料としてECF漂白されたLBKP100%を380mlCSFに叩解し、填料として軽質炭酸カルシウムを10.0%、内添サイズ剤としてアルケニル無水コハク酸(ナショナルスターチ社製、ファイブラン81)を0.07%、歩留向上剤(協和産業社製、パーコール182)を0.02%で、長網多筒型抄紙機によって抄紙し、坪量81.4g/mの原紙を作成した。
【0028】
実施例1
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0029】
実施例2
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、溶液型スチレン系重合体(星光PMC社、SS2702)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0030】
実施例3
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、カチオン化デンプン(王子コーンスターチ製、エースK)69.3部、溶液型スチレン系重合体(星光PMC社、SS2702)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0031】
実施例4
上記原紙上に、硫酸アルミニウム15部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)84.3部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0032】
実施例5
上記原紙上に、硫酸アルミニウム55部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)44.3部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0033】
実施例6
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.8部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.2部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0034】
実施例7
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)68.2部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)1.8部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0035】
実施例8
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で0.8g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0036】
実施例9
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で4.0g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0037】
比較例1
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、エマルジョン型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SE2220)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0038】
比較例2
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)69.3部、エマルジョン型スチレン系重合体(星光PMC社、SE2202)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0039】
比較例3
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エースA)70部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0040】
比較例4
上記原紙上に、硫酸アルミニウム30部、カチオン化ポリビニルアルコール(電気化学
製、PC5500)69部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で、塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0041】
比較例5
上記原紙上に、硫酸ナトリウム30部、酸化デンプン(王子コーンスターチ製、エース
A)69部、溶液型スチレン−アクリル系共重合体(星光PMC社、SS2700)0.7部の混合塗布液を両面で2.5g/mとなるように2ロールサイズプレス機で塗布後乾燥し、インクジェット用紙を得た。
【0042】
得られたインクジェット用紙について、以下に示す方法により評価を行い、得られた結
果を表1に示す。
【0043】
<インクジェット印刷適性/バーコード印刷適性>
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をミヤコシ製高速インクジェット プ
リンティングシステムMJP600で、「UCC/EAN128コード」を印刷した後、
インクジェット印刷されたEAN128バーコードについて、バーコード検証機「Inspector D4000」(RJS社製)を用いてバーコードを10回走査させ評価し
た。
〈評価基準〉
5:バーコードリーダーの10回の走査の内、10回読み取れる。
4:バーコードリーダーの10回の走査の内、9回読み取れる。
3:バーコードリーダーの10回の走査の内、6以上9回未満読み取れる。
2:バーコードに対して複数の走査線を通過させると読み取れるレベル。
1:読み取ることが出来ないレベル。
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0044】
<インクジェット印刷適性/インク乾燥性>
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をミヤコシ製高速インクジェット プリンティングシステムMJP600で、「UCC/EAN128コード」を印刷した後、インクジェット 印刷を行った部位について、インクの転写汚れについて、目視判定を行った。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0045】
<インクジェット印刷適性/耐水性>
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をミヤコシ製高速インクジェット プリンティングシステムMJP600で、日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/N3」を印刷した後、インクジェット 印刷後のシートを水道水中に30秒間浸積した後、自然乾燥した。その後、印刷画像の滲みの程度を目視で評価した。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0046】
<インクジェット印刷適性/耐擦過性>
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をミヤコシ製高速インクジェット プリンティングシステムMJP600で、「日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/N3」を印刷した後、インクジェット印刷部をウエスで10回擦り、印刷部コスレ汚れの程度を目視で評価した。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0047】
<インクジェット印刷適性/ベタ印刷部均一性>
各実施例および比較例で得たインクジェット用紙をミヤコシ製高速インクジェット プリンティングシステムMJP600で、日本規格協会発行の「カラーディジタル標準画像データ/N3」を印刷した後、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローベタ印刷部全ての印刷ムラの程度を目視で評価した。
〈評価基準〉
5(優)−1(劣)
なお、評価が2以下のものは、実用上問題がある。
【0048】
実施例1〜9及び比較例1〜5の、インクジェット印刷適性の評価結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
表1からわかるように、本発明のインクジェット用紙は、十分なベタ印刷部均一性とバーコード印刷適性とインク乾燥性、耐擦過性、耐水性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のインクジェット用紙は、インクジェット印刷においても優れた耐水性とバーコード印刷適性とインク乾燥性、耐擦過性、耐水性、ベタ印刷部均一性を有するものであり、実用的に優れたものである。