(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
[第1実施形態]
[空気調和機10の概要]
図1に示すように、本実施形態の空気調和機10は、室内に設置される室内機20と屋外に設置される室外機30とが連絡配管12によって接続されて構成されている。空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、加湿運転、除湿運転、給気運転などの複数の運転モードを有しており、これらの運転モードは適宜組み合わせて実施することもできる。
【0026】
冷房運転および暖房運転では、室外機30から送られた冷媒と室内空気とを室内機20の室内熱交換器21において熱交換させて、室内空気を冷却または加熱する。また、加湿運転では、室外機30の加湿ユニット60において、外気から水分を取り込んで加湿空気を生成し、この加湿空気を室内機20に供給する。給気運転では、外気を加湿せずに室内機20に供給する。
【0027】
図2に示すように、空気調和機10は、室外機30と室内機20の間で冷媒を循環させる冷媒回路を有している。この冷媒回路は、室内機20の室内熱交換器21、室外機30の圧縮機31、四路切換弁32、室外熱交換器33、電動弁34、アキュムレータ35、液閉鎖弁36、およびガス閉鎖弁37が接続されて構成されている。また、連絡配管12の中には、室内熱交換器21と液閉鎖弁36とを接続する液冷媒配管14、および、室内熱交換器21とガス閉鎖弁37とを接続するガス冷媒配管16が収容されている。
【0028】
冷房運転時には、四路切換弁32は
図2中、実線の状態になっており、圧縮機31で圧縮された冷媒は、四路切換弁32を介して室外熱交換器33に供給される。室外熱交換器33において外気との熱交換により熱を奪われた冷媒は、電動弁34で減圧された後、液閉鎖弁36、および液冷媒配管14を順に通って室内熱交換器21に供給される。室内熱交換器21において室内空気との熱交換により温度が上昇した冷媒は、ガス冷媒配管16、ガス閉鎖弁37、四路切換弁32、アキュムレータ35とを順に通って圧縮機31に戻される。
【0029】
暖房運転時には、四路切換弁32は
図2中、点線の状態になっており、圧縮機31で圧縮された冷媒は、四路切換弁32、ガス閉鎖弁37、ガス冷媒配管16を順に通って、室内熱交換器21に供給される。室内熱交換器21において室内空気との熱交換により熱が奪われた冷媒は、液冷媒配管14、液閉鎖弁36を順に通過した後、電動弁34で減圧されて、その後、室外熱交換器33に供給される。室外熱交換器33において外気との熱交換により温度が上昇した冷媒は、アキュムレータ35を介して圧縮機31に戻される。
【0030】
図2に示すように、室内機20は、室内熱交換器21に加えて、クロスフローファンからなる室内ファン22を備えている。室内ファン22が駆動されると、室外機30の上部の吸込口23から室内空気が吸い込まれて、室内熱交換器21を通過した後、吹出口24から室内に吹き出される。
【0031】
また、室内機20は、連絡配管12内に収容された加湿ダクト18を介して、室外機30の加湿ユニット60に接続されている。加湿ダクト18の給気口25は、空気の流れ方向に関して室内熱交換器21の上流側に配置されている。加湿運転時には、室外機30から加湿ダクト18を介して加湿空気が供給された状態で、室内ファン22が駆動されることで、吹出口24から加湿空気が室内に吹き出される。
【0032】
[室外機30の構成]
室外機30は、ケーシング40と、ケーシング40の前面に取り付けられたグリル56とを有する。
図1および
図4に示すように、ケーシング40の内部は、仕切板43によって送風室41と機械室42とに仕切られており、送風室41内には、室外熱交換器33と、室外ファン39と、加湿ユニット60とが配置されており、機械室42内には、圧縮機31、四路切換弁32、電動弁34、およびアキュムレータ35が配置されている。なお、以下の説明において、室外機30を正面から見たときの左右方向、前後方向、上下方向を、それぞれ単に左右方向、前後方向、上下方向と称する。
【0033】
図3に示すように、ケーシング40は、略直方体状であって、前板46(板状部材)、後板50(
図5参照)と、右側板47、左側板51(
図4参照)、天板48、および室外機底板49で構成されている。
【0034】
前板46(板状部材)には、円形状の吹出口46aが形成されている。吹出口46aは、前板46の左右方向中央部より左寄りに形成されている。吹出口46aの周囲には、リング状のベルマウス52が取り付けられている。前板46の左上部には、横長の略矩形状の吸湿用開口部46b(開口)が形成されている。この吸湿用開口部46bの右側には、横長の略矩形状の放湿用開口部46cが形成されている。
【0035】
図5に示すように、後板50は、右端以外の大部分が開口しており、この開口部50aには図示しない保護金網が取り付けられている。また、左側板51には、格子状の開口部(図示省略)が形成されている。後板50と左側板51の開口部が、ケーシング40内に外気を取り込む吸込口を構成している。
【0036】
図4に示すように、仕切板43は、室外機底板49に設置されており、上下方向に延びている。仕切板43の上端の高さは、ケーシング40の側板の上端の高さよりも低い。仕切板43は、上方から見て、後板50の右端部から湾曲して前板46まで延びている。仕切板43の左側が送風室41であって、仕切板43の右側が機械室42である。
【0037】
室外熱交換器33は、上方から見て略L字状であって、ケーシング40の左側板51と後板50に沿って配置されている。室外熱交換器33は、室外機底板49に設置されており、上下方向に延びている。室外熱交換器33の上端の高さは、ケーシング40の側板の上端の高さとほぼ同じである。
【0038】
室外ファン39は、プロペラファンであって、ファンモータ38で駆動される。ファンモータ38は室外ファン39の後方に配置されて、室外ファン39の回転軸39aに連結されている。室外ファン39は、ファンモータ支持部材53に支持されている。ファンモータ支持部材53は、室外機底板49と室外熱交換器33の上端に取り付けられている。
【0039】
室外ファン39が駆動されると、後板50の吸込口50aと左側板51の吸込口(図示省略)とから外気が吸い込まれて、室外熱交換器33を通過した後、前板46の吹出口46aから吹き出される。
【0040】
グリル56は、矩形板状であって、前板46の左右方向中央部より左寄りの位置に取り付けられて、吹出口46aを覆っている。
図8に示すように、グリル56は、前板46との間に隙間を空けて配置されている。
図1に示すように、グリル56のほぼ全面には、多数の桟56dが設けられている。
図6および
図7に示すように、グリル56の下側略3/4の部分において、桟56dと桟56dの間は開口しており、グリル56の下側略3/4の部分には、格子状の開口部56aが形成されている。
【0041】
また、グリル56の上側略1/4の部分のうち、前板46の放湿用開口部46cに対向する位置には、格子状の放湿用開口部56pが形成されている(
図5参照)。放湿用開口部56pの周囲には、後方に突出するリブ56qが形成されている(
図7参照)。リブ56qの突出先端は、前板46に接している。
【0042】
また、グリル56の上側略1/4の部分のうち、放湿用開口部56p以外の部分56b(以下、非開口部56bとする)では、桟56dと桟56dの間は塞がれている。この非開口部56bは、正面視において前板46の吹出口46aの一部分と重なっている。この重なり部分を重なり部56b2とする。また、非開口部56bのうち、正面視において、吹出口46aの外周側部分と重なる部分を重なり部56b1とする。
【0043】
また、非開口部56bの下端の左右両端部には、後方に突出するリブ56sが形成されている。また、非開口部56bには、リブ56qとリブ56sとを連結するリブ56rが形成されている。リブ56rは、吹出口46aの外周側に形成されている。つまり、リブ56rは、重なり部56b1に形成されている。リブ56r、56sの突出先端は、前板46に接している。
【0044】
非開口部56bの
図7中二点鎖線で表示した領域Arに、前板46の吸湿用開口部46b(開口)は対向している。そのため、吹出口46aの上端付近から吹き出された空気流r(
図7参照)は、リブ56r、56qと非開口部56bと前板46とによって囲まれる流路に案内されて、吸湿用開口部46bからケーシング40内に流れ込む。
【0045】
[加湿ユニット60の構成]
図4に示すように、加湿ユニット60は、ケーシング40の内部空間の上部に配置されている。加湿ユニット60は、仕切板43と、ファンモータ支持部材53の前方に延びる部分の上に配置されている。加湿ユニット60の上面の高さは、室外熱交換器33の上端の高さとほぼ同じである。
【0046】
図9に示すように、加湿ユニット60は、モータ65(
図14参照)によって回転駆動される円盤状の加湿ロータ63を備えている。加湿ロータ63は、ゼオライト等の吸放湿材で形成されている。また、加湿ロータ63は、ハニカム構造に形成されており、厚み方向に空気が通過可能である。ゼオライト等の吸放湿材は、常温の空気に接すると空気中の水分を吸湿し、加熱されると保持している水分を空気中に放湿する性質をもっている。
【0047】
加湿ロータ63の外周面63sにはギア部64が設けられている。このギア部64とモータ65の歯車が噛み合うことで、加湿ロータ63は回転駆動される。
【0048】
また、加湿ユニット60には、外気中の水分を加湿ロータ63に吸湿させるための吸湿流路61と、加湿ロータ63に保持された水分を放湿させて空気を加湿するための放湿流路62とが形成されている。吸湿流路61と放湿流路62とは互いに連通しないように仕切られている。加湿ロータ63のうち吸湿流路61の空気流が通過する領域を吸湿部63aとし、放湿流路62の空気流が通過する領域を放湿部63bとする。
【0049】
吸湿流路61は、吹出口46aから吸湿用開口部46bに流入した空気を加湿ロータ63の吸湿部63aに導くための吸湿用ダクト68(
図4参照)と、加湿ロータ63の吸湿部63aを通過した空気を室外ファン39に導くための吸湿用ガイド壁69とを有する。
【0050】
吸湿用ダクト68は、加湿ロータ63の吸湿部63aの上面を覆うように配置されている。吸湿用ダクト68は、
図4に示すように、前板46の吸湿用開口部46bに対向する位置に、吸気口68aを有する。吸気口68aは吸湿用開口部46bとほぼ同じ大きさである。吸気口68aにはフィルタ68fが取り付けられている。
【0051】
吸湿用ガイド壁69は、加湿ロータ63の吸湿部63aの下方に配置されている。吸湿用ガイド壁69は、
図13に示すように、後述する第1支持台93の内側から下方に延びる略筒状であって、その下端には排気口69aが形成されている。排気口69aの下方には、室外ファン39が配置されている。
【0052】
室外ファン39が駆動されると、
図8に示すように、吹出口46aの上端付近から吹き出された空気が、グリル56の非開口部56bと前板46との間の隙間を通過した後、前板46の吸湿用開口部46bを介して、吸気口68aから吸湿用ダクト68に吸い込まれる。その際、空気は、吸気口68aに取り付けられたフィルタ68fを通過する。
【0053】
吸湿用ダクト68に流入した空気は、
図9に示すように、加湿ロータ63の吸湿部63aを上から下に通過した後、吸湿用ガイド壁69の排気口69aから室外ファン39に送られて、吹出口46aから再び吹き出される。加湿ロータ63の吸湿部63aを空気が通過する際に、空気中に含まれる水分が加湿ロータ63に吸湿される。
【0054】
放湿流路62には、
図4に示すように、加湿ロータ63の放湿部63bを加熱するヒータ71と、ターボファンからなる加湿ファン75とが配置されている。放湿流路62は、加湿ロータ63の放湿部63bに外気を導くための放湿用第1ダクト72と、加湿ロータ63の放湿部63bを通過した空気を加湿ダクト18に導くための放湿用第2ダクト73(
図8参照)とを有する。
【0055】
ヒータ71は、加湿ロータ63の上方に配置されている。ヒータ71は、
図8に示すように、加湿ロータ63の放湿部63bの上面を覆うように配置されたヒータカバー71aと、ヒータカバー71aの内側に配置された電熱線71bとを有する。ヒータカバー71aの内側は、空気が通過可能となっている。
【0056】
放湿用第1ダクト72は、加湿ロータ63の放湿部63bの下面の一部を覆うように配置されている。放湿用第1ダクト72は、
図4に示すように、前板46の放湿用開口部46cに対向する位置に、吸気口72aを有する。吸気口72aは放湿用開口部46cとほぼ同じ大きさである。
【0057】
放湿用第2ダクト73は、加湿ロータ63の放湿部63bの下方に配置されており、放湿部63bのうち放湿用第1ダクト72で覆われていない部分を覆っている。放湿用第2ダクト73の排気口は、加湿ファン75の吸入側に接続されている。この加湿ファン75の吹出側は、加湿ダクト18に接続されている。また、放湿用第2ダクト73には、空気の逆流を防止するためのダンパ74(
図2参照)が設けられている。
【0058】
加湿ファン75が駆動されると、外気が前板46の放湿用開口部46cを介して、吸気口72aから放湿用第1ダクト72に吸い込まれる。放湿用第1ダクト72に流入した空気は、加湿ロータ63の放湿部63bを下から上に通過した後、ヒータ71に流れ込み、その後、加湿ロータ63の放湿部63bを上から下に通過する。加湿ロータ63はヒータ71によって加熱されることで、放湿部63bにおいて吸湿した水分を放湿するため、空気が加湿ロータ63の放湿部63bを通過する際に、空気が加湿される。加湿ロータ63の放湿部63bを上から下に通過した空気は、放湿用第2ダクト73と、加湿ダクト18とを通過して、室内機20に供給される。
【0059】
[フィルタ68f]
フィルタ68fは、
図10に示すように、網目状のフィルタであって、吸湿用ダクト68に吸い込まれる空気に含まれる塵埃を捕集する。このフィルタ68fは、
図11に示すように、鉛直向きに配置され、その下端部が、吸湿用開口部46b(開口)近傍において、底板81の端部82に支持されている。また、その上端部が吸湿用ダクト68の端部68bに支持されている。なお、底板81とは、加湿ユニット60の各構成物品を下方から支持する部材である。このフィルタ68fは、
図4から明らかなように、室外ファン39が配置された送風室41よりも鉛直上方に配置されている。
【0060】
前板46(板状部材)は、
図12に示すように、その背面に固定された取付片46eによって、底板81の端部82前方(風上側)に配置されている。前板46は底板81との間に隙間ができないように配置されている。前板46に形成された吸湿用開口部46bの下端46blは、底板81の端部82よりも上方に位置している。また、この前板46には、前板46の前面46f(風上側端部)のうち、下端46blよりも下方において、フィルタ68fの前方(風上側)において鉛直下方に向かう壁面84が形成されている。このフィルタ68fは、前板46の前面46f近傍に配置されている。なお、フィルタ68fは、壁面84の上端84uよりも上方まで延在している。
【0061】
ここで、近傍とは、特に限定されるものではないが、フィルタ68fの前面68faから、前板46の壁面84までの距離Dが、2mm以下であることを意味する。
【0062】
このように、フィルタ68fが、前板46に形成された吸湿用開口部46b(開口)近傍において底板81の端部82に配置されるので、フィルタ68fの前面68faで捕集された塵埃の大部分は、
図11中の点線の矢印で示すように、塵埃の自重により壁面84の前方(風上側)に自然落下する。自然落下した塵埃は、送風室41に配置された室外ファン39によって吹出口46aから室外機30の外部に排出される。
【0063】
なお、フィルタ68fの前面68faで捕集された塵埃の一部は、底板81の上や壁面84の上部に落下するが、フィルタ68fの前面68faから前板46の壁面84までの距離Dが2mm以下と小さいため、問題とはならない。距離Dが2mm以下なので、加湿ロータ63に付着してヒータ71に加熱されると臭い汚れが発生するような比較的大きな塵埃は、ほとんど堆積せず、また、底板81の上や壁面84の上端84uに落下する塵埃量自体少ないためである。
【0064】
[底板81]
底板81は、
図13に示すように、加湿ロータ63が載置される加湿ロータ載置部91、加湿ファン75が固定される加湿ファン固定部101、モータ65が固定されるモータ固定部102、放湿用第1ダクト72を形成する底板103、放湿用第2ダクト73を形成する底板104などを有する。
【0065】
加湿ファン75は、加湿ファン固定部101に設けられた6つの螺子穴105に固定される。また、ヒータ71は、
図14に示すように、加湿ロータ載置部91に加湿ロータ63が固定された後に、ヒータ71の端部が3つの螺子穴106に固定されることで、加湿ロータ63の放湿部63b上方に固定される。
【0066】
加湿ロータ載置部91は、加湿ロータ63の外周面63sと対向する外壁92と、外壁92から水平方向内側に延在し、加湿ロータ63の外周部63c(
図16参照)を下方から支持する第1支持台93と、加湿ロータ63の中心に形成された孔63h(
図9参照)に挿入される軸部94aを有し、加湿ロータ63の中心部を下方から支持する第2支持台94と、上記した吸湿用ガイド壁69などを有する。なお、加湿ロータ63の外周部63cとは、
図16に示すように、ギア部64を含む部分である。
【0067】
外壁92及び第1支持台93は、
図15に示すように、放湿用第1ダクト72及び放湿用第2ダクト73が加湿ロータ載置部91側と加湿ファン固定部101側で連通するように、一部が切欠かれている。この外壁92及び第1支持台93は、平面視においてC字型をしている。第1支持台93は、ギア部64の下面64b(
図16参照)に当接する支持部95と、支持部95の周方向外側に配置され、ギア部64の下面64bとは当接しない非支持部96とを有する。
【0068】
支持部95(95a〜95c)は、
図15に示すように、周方向に離れた位置(90°間隔毎)に3箇所配置されている。支持部95aは、第1支持台93のうち加湿ロータ63の回転方向R1に対して最上流側であって最上流側端部93aの近くに配置されている。支持部95cは、第1支持台93の最下流側に配置されている。支持部95bは、支持部95aと支持部95cの間に配置される。なお、モータ65は、支持部95cよりも下流側であって、第1支持台93の最下流側端部93bの近くに配置されている。
【0069】
非支持部96(96a〜96d)は、周方向に隣り合う2つの支持部95の間に配置されている。非支持部96aは、周方向に隣り合う支持部95aと支持部95cとの間であって、より正確には、支持部95aよりも上流側に配置されている。非支持部96dは、支持部95aと支持部95cとの間であって、より正確には、支持部95cよりも下流側に配置されている。また、非支持部96bは、支持部95aと支持部95bとの間に配置され、非支持部96cは、支持部95bと支持部95cとの間に配置されている。
【0070】
非支持部96は、
図16に示すように、その上面96uが、支持部95の上面95uに比べて低い。そのため、支持部95だけがギア部64の下面64bと当接し、非支持部96はこの下面64bと当接しないようになっている。なお、非支持部96は、吸湿用ダクト68に流入した空気が、加湿ロータ63を通過せずに、ギア部64と外壁92との間からバイパスすることを防止する役割を果たしている。非支持部96は、
図15に示すように、周方向の長さが支持部95に比べて十分に長い。
【0071】
この非支持部96には、加湿ロータ63の外周部63cに対向し、送風室41に開口する2つの開口97が形成されている。開口97aは、非支持部96aのうち、支持部95aの回転方向上流側端部95au近くに形成される。開口97bは、非支持部96cのうち、支持部95cの回転方向上流側端部95cu近くに形成される。即ち、開口97bは、加湿ロータ63の回転方向R1に対して下流側であって、かつモータ65の上流側近傍に配置されている。
【0072】
この2つの開口97によって、第1支持台93上に落下し、加湿ロータ63の回転に伴って加湿ロータ63の回転方向下流側に運ばれる塵埃は、
図16中の矢印で示すように、送風室41側に落下する。その結果、吸気口68aから吸湿用ダクト68に吸い込まれる空気流に含まれる塵埃が、第1支持台93上に堆積して、ギア部64、さらには、モータ65の歯車に入り込んで、加湿ロータ63の回転が妨害されることを抑制できる。なお、開口97aは、加湿ロータ63が正常に設置されているかを検査する検査窓を兼ねている。
【0073】
また、第1支持台93に堆積した塵埃が、加湿ロータ63の回転によって発生する空気流により回転方向下流側に流されて、放湿用第2ダクト73を形成する底板104上に落下して堆積し、底板104上に堆積した塵埃が、加湿ファン75によって発生した空気流によって、室内機20側に運ばれることを抑制できる。
【0074】
[本実施形態の室外機30の特徴]
本実施形態の室外機30には、以下の特徴がある。
【0075】
この室外機30では、底板81がフィルタ68fの下端部を支持し、前板46がその前面46f(風上側端部)において下方に向かう壁面84を有し、フィルタ68fが、前板46の前面46d(風上側端部)近傍に配置されているので、フィルタ68f上に捕集された塵埃が、壁面84よりも風上側(前方)に落下する。したがって、フィルタ68f上に捕集された塵埃が底板81上に堆積することを抑制できる。
【0076】
また、この室外機30では、フィルタ68fが、室外ファン39が配置された送風室41より鉛直上方に配置されるので、落下した塵埃を室外ファン39によって室外機30の外部に排出することができる。
【0077】
また、この室外機30では、底板81と、底板81の端部82の前方(風上側)に配置され、かつ吸湿用開口部46b(開口)を有する前板46(板状部材)とで支持部材が形成されており、フィルタ68fが、吸湿用開口部46b近傍において底板81の端部82に支持されるので、フィルタ68f上に捕集された塵埃が前板46及び底板81上に堆積することを抑制できる。
【0078】
また、この室外機30では、底板81との間に隙間ができないように前板46(板状部材)が配置されるので、フィルタ68f上で捕集された塵埃が、底板81と前板46との間に落ちることがない。そのため、塵埃が、底板81と前板46との間からベルマウス52上に落下して、塵埃が室外ファン39によって外部に排出されず、ベルマウス52上に堆積したり、ベルマウス52に沿って室外機底板49上に落下・堆積することを抑制できる。
【0079】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る室外機について説明する。第2実施形態に係る室外機は、
図17に示すように、壁面84の上端84uよりも上方において、フィルタ168fの前面168faが、上方に向かって前方に傾斜している点で、第1実施形態に係る室外機と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、
図17において、第1実施形態に係る室内機と同じ構成を有するものについては、同じ符号を付すこととする。
【0080】
ここで、フィルタ168fの傾斜角αは、特に限定されるものではないが、傾斜角が大きいと、フィルタ168fより前方にスペースを要するため、傾斜角αは、例えば5°以上45°以下が好ましい。
【0081】
[本実施形態の室外機の特徴]
本実施形態の室外機には、以下の特徴がある。
【0082】
この室外機では、壁面84の上端84uより上方において、フィルタ168fの前面168fa(風上側の面)が上方に向かって前方(風上側)に傾斜しているので、フィルタ168f上に捕集された塵埃が、壁面84よりも風上側に落下しやすい。したがって、フィルタ168f上に捕集された塵埃が底板81上に堆積することを抑制できる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成は、上記実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0084】
[変形例]
第1又は第2実施形態では、ケーシング40の前板46(板状部材)と、加湿ユニット60の底板81とによって支持部材が構成されているが、支持部材は、必ずしも前板46と底板81とで構成される必要はない。
【0085】
また、第1又は第2実施形態では、前板46に形成された吸湿用開口部46bの下端46blが、底板81の端部82よりも上方に位置しているが、吸湿用開口部46bの下端46blと底板81の端部82とが略同じ高さであってもよいし、吸湿用開口部46bの下端46blが底板81の端部82よりも下方に位置していてもよい。
【0086】
また、第1又は第2実施形態では、支持部材(前板46)に鉛直下方に向かう壁面84が形成されているが、支持部材に形成された壁面84は、下方に向かっていれば前方側又は後方側に傾斜していてもよい。
【0087】
また、第1又は第2実施形態では、フィルタ68fが、室外ファンが配置された送風室41の鉛直上方に配置されているが、送風室41の上方に配置されていてもよい(例えば、機械室42の鉛直上方)。また、必ずしも送風室41の上方に配置されている必要はない。
【0088】
また、第1又は第2実施形態の室外機では、室外ファン39が駆動されて、吹出口46aの上端付近から吹き出された空気が、グリル56の非開口部56bと前板46との間の隙間を通過させることにより、室外ファン39によって発生する空気流が加湿ロータに供給されているが、室外ファン39によって発生する空気流が加湿ロータ63に供給されるのであれば、その供給の仕方は特に限定されるものではない。