(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741590
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液及びこれを用いた微細構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20150611BHJP
B81C 99/00 20100101ALI20150611BHJP
【FI】
H01L21/304 641
B81C99/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-532895(P2012-532895)
(86)(22)【出願日】2011年7月14日
(86)【国際出願番号】JP2011066157
(87)【国際公開番号】WO2012032855
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年5月20日
(31)【優先権主張番号】特願2010-200782(P2010-200782)
(32)【優先日】2010年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松永 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】大戸 透
【審査官】
外山 毅
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−285508(JP,A)
【文献】
特表2008−537343(JP,A)
【文献】
特開2009−260249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B81C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリシリコンからなる微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液であって、炭素数12、および炭素数14から選ばれる少なくとも一種のアルキル基を有するピリジニウムハライドと水からなる微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
【請求項2】
炭素数12のアルキル基がドデシル基、および炭素数14のアルキル基がテトラデシル基である請求項1記載のパターン倒壊抑制用処理液。
【請求項3】
炭素数12、および炭素数14のアルキル基を有するピリジニウムハライドが、ドデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムクロリド、1−ドデシル−4−メチルピリジニウムクロリド、および1−テトラデシル−4−メチルピリジニウムクロリド、から選ばれる一つである請求項1記載のパターン倒壊抑制用処理液。
【請求項4】
ウェットエッチングまたはドライエッチングの後の洗浄工程において、炭素数12、および炭素数14から選ばれる少なくとも一種のアルキル基を有するピリジニウムハライドと水からなるパターン倒壊抑制用処理液を用いることを特徴とするポリシリコンからなる微細構造体の製造方法。
【請求項5】
微細構造体が、半導体装置又はマイクロマシンである請求項4に記載の微細構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液及びこれを用いた微細構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスや回路基板といった広い分野で用いられる微細構造を有する素子の形成・加工方法として、フォトリソグラフィー技術が用いられている。当該分野においては、要求性能の高度化に伴い、半導体デバイスなどの小型化、高集積化、あるいは高速度化が著しく進み、フォトリソグラフィーに用いられるレジストパターンは微細化、そしてアスペクト比の増加の一途をたどっている。しかし、このように微細化などが進むと、レジストパターンの倒壊が大きな問題となる。
【0003】
レジストパターンの倒壊は、レジストパターンを現像した後のウエット処理(主に現像液を洗い流すためのリンス処理)で用いる処理液を該レジストパターンから乾燥させる際に、該処理液の表面張力に起因する応力が作用することで発生することが知られている。そこで、レジストパターンの倒壊を解決するために、非イオン性界面活性剤やアルコール系溶剤可溶性化合物などを用いた低表面張力の液体により洗浄液を置換して乾燥する方法(例えば、特許文献1及び2参照)、レジストパターンの表面を疎水化する方法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
ところで、フォトリソグラフィー技術を用いて形成される金属、金属窒化物あるいは金属酸化物、シリコン酸化物、シリコンなどからなる微細構造体(レジストを除く。特に記載がない限り以下同様)においては、構造体を形成している材料自体の強度が、レジストパターン自体の強度もしくはレジストパターンと基材との接合強度より高いことから、レジストパターンに比べ、該構造体パターンの倒壊は発生しにくい。しかし、半導体装置やマイクロマシンの小型化、高集積化、あるいは高速度化がさらに進むに従い、該構造体のパターンは微細化、そしてアスペクト比の増加による該構造体のパターンの倒壊が大きな問題となってきている。
【0005】
そこで、それら微細構造体パターンの倒壊を解決するために、界面活性剤を用いて疎水性保護膜を形成する方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。しかし、界面活性剤に関して種類(非イオン性、陰イオン性、陽イオン性等)、製品名、濃度等の具体的な記載はまったくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−184648号公報
【特許文献2】特開2005−309260号公報
【特許文献3】特開2006−163314号公報
【特許文献4】特開2010−114467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、半導体装置やマイクロマシンといった微細構造体(特に、ポリシリコンからなる微細構造体)の分野においては、パターンの倒壊を抑制する有効な技術は、知られていないのが実状である。
本発明は、このような状況下になされたもので、半導体装置やマイクロマシンといったポリシリコンからなる微細構造体のパターン倒壊を抑制しうる処理液及びこれを用いた微細構造体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、炭素数12、炭素数14、炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドの中から少なくとも一つを含む処理液により、その目的を達成し得ることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
【0009】
1.ポリシリコンからなる微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液であって、炭素数12、C14および炭素数16から選ばれる少なくとも一種のアルキル基を有するピリジニウムハライドと水を含む微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液。
2.炭素数12のアルキル基がドデシル基、炭素数14のアルキル基がテトラデシル基および炭素数16のアルキル基がヘキサデシル基である第1項記載のパターン倒壊抑制用処理液。
3.炭素数12、炭素数14または炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドが、ドデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、1−ドデシル−4−メチルピリジニウムクロリド、1−テトラデシル−4−メチルピリジニウムクロリド、および1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウムクロリドから選ばれる一つである第1項記載のパターン倒壊抑制用処理液。
4.炭素数12、炭素数14または炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドの含有量が10ppm〜10%である請求項1に記載のパターン倒壊抑制用処理液。
5.ウェットエッチングまたはドライエッチングの後の洗浄工程において、炭素数12、炭素数14および炭素数16から選ばれる少なくとも一種のアルキル基を有するピリジニウムハライドと水を含むパターン倒壊抑制用処理液を用いることを特徴とするポリシリコンからなる微細構造体の製造方法。
6.微細構造体が、半導体装置又はマイクロマシンである第5項に記載の微細構造体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置やマイクロマシンといった微細構造体のパターン倒壊を抑制しうる処理液及びこれを用いた微細構造体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(パターン倒壊抑制用処理液)
本発明の処理液(パターン倒壊抑制用処理液)は、ポリシリコンからなる微細構造体のパターン倒壊抑制に用いられ、炭素数12、炭素数14、炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドの中から少なくとも一つを含むものである。
ここで、「ポリシリコンからなる微細構造体」とは、処理液により処理される部分がポリシリコンからなる微細構造体をいう。
【0013】
本発明の処理液に用いられる炭素数12、炭素数14、炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドは、微細構造体のパターンに用いられる材料と吸着して、該パターンの表面を疎水化しているものと考えられる。この場合の疎水化とは、本発明の処理液にて処理された材質の表面と水との接触角が70°以上となることを示している。
【0014】
炭素数12のアルキル基としてはドデシル基、炭素数14のアルキル基としてはテトラデシル基、炭素数16のアルキル基としてはヘキサデシル基であることが好ましい。これらのような直鎖状のアルキル基を有する化合物であれば、枝分かれしたアルキル基に比べて、高密度にポリシリコン材料上に吸着させることができる。
また、実用性を考慮すると、ハライドとしては塩素であることが好ましい。
【0015】
炭素数12、炭素数14または炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドとしては、ドデシルピリジニウムクロリド、ドデシルピリジニウムブロミド、ドデシルピリジニウムヨージド、テトラデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムブロミド、テトラデシルピリジニウムヨージド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムヨージド、1‐ドデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリド、1‐ドデシル‐4‐メチルピリジニウムブロミド、1‐ドデシル‐4‐メチルピリジニウムヨージド、1‐テトラデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリド、1‐テトラデシル‐4‐メチルピリジニウムブロミド、1‐テトラデシル‐4‐メチルピリジニウムヨージド、1‐ヘキサデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリド、1‐ヘキサデシル‐4‐メチルピリジニウムブロミド、1‐ヘキサデシル‐4‐メチルピリジニウムヨージド等が挙げられ、特に、ドデシルピリジニウムクロリド、テトラデシルピリジニウムクロリド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、1‐ドデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリド、1‐テトラデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリドおよび1‐ヘキサデシル‐4‐メチルピリジニウムクロリドが好ましい。
【0016】
本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、水溶液として用いられるが、使用する水としては、蒸留、イオン交換処理、フィルター処理、各種吸着処理などによって、金属イオンや有機不純物、パーティクル粒子などが除去されたものが好ましく、特に純水、超純水が好ましい。
【0017】
本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、上記した炭素数12、炭素数14、炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドの中から少なくとも一つと水を含み、その他、パターン倒壊抑制用処理液に通常用いられる各種添加剤を処理液の効果を害しない範囲で含むものである。
【0018】
本発明の処理液中の炭素数12、炭素数14または炭素数16のアルキル基を有するピリジニウムハライドの含有量(複数使用する場合はそれらの合計量)は、10ppm〜10%であることが好ましい。前述化合物の含有量が上記範囲内であれば、これらの化合物の効果が十分得られるが、取り扱いやすさや経済性や泡立ちを考慮して、より低濃度の5%以下で用いることが好ましく、より好ましくは10〜2000ppmであり、さらに好ましくは10〜1000ppmである。また、これらの化合物の水に対する溶解性が十分ではなく相分離するような場合、アルコールなどの有機溶剤を加えてもよいし、酸、アルカリを加えて溶解性を補ってもよい。また相分離せず単に白濁した場合でも、その処理液の効果を害しない範囲で用いても良いし、その処理液が均一となるように撹拌を伴って使用してもよい。また、処理液の白濁を避けるために、上記と同様にアルコールなどの有機溶剤や酸、アルカリを加えてから用いてもよい。
【0019】
本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、半導体装置やマイクロマシンといった微細構造体のパターン倒壊を抑制に好適に用いられる。ここで、微細構造体のパターンとしては、ポリシリコンを用いてなるものが好ましく挙げられる。
なお、微細構造体は、TEOS(テトラエトキシオルソシラン酸化膜)やSiOC系低誘電率膜(Applied Materials社製Black Diamond2(商品名)、ASM International社製Aurora2.7やAurora2.4(商品名))などの絶縁膜種の上にパターニングされる場合や、微細構造の一部に絶縁膜種が含まれる場合がある。
【0020】
本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、従来の微細構造体はもちろんのこと、より微細化、高アスペクト比となる微細構造体に対して、優れたパターン倒壊抑制の効果を発揮することができる。ここで、アスペクト比は(パターンの高さ/パターン幅)により算出される値であり、3以上、さらには7以上という高アスペクト比を有するパターンに対して、本発明の処理液は優れたパターン倒壊抑制の効果を有する。また、本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、パターンサイズ(パターン幅)が300nm以下、150nm以下、100nm以下、さらには50nm以下であっても1:1のライン・アンド・スペースという微細なパターンや、同様にパターン間の間隔が300nm以下、150nm以下、100nm以下さらには50nm以下である円筒あるいは円柱状構造を持つ微細なパターンに対して、優れたパターン倒壊抑制の効果を有する。
【0021】
[微細構造体の製造方法]
本発明のポリシリコンからなる微細構造体の製造方法は、ウェットエッチング又はドライエッチングの後の洗浄工程において、上記した本発明のパターン倒壊抑制用処理液を用いることを特徴とするものである。より具体的には、該洗浄工程において、好ましくは微細構造体のパターンと本発明の処理液とを浸漬、スプレー吐出、噴霧などにより接触させた後、水で該処理液を置換してから乾燥させる。ここで微細構造体のパターンと本発明の処理液とを浸漬により接触させる場合、浸漬時間は10秒〜30分が好ましく、より好ましくは15秒〜20分、さらに好ましくは20秒〜15分、特に好ましくは30秒〜10分であり、温度条件は10〜80℃が好ましく、より好ましくは15〜60℃、さらに好ましくは25〜50℃、特に好ましくは25〜40℃である。また、微細構造体のパターンと本発明の処理液との接触の前に、あらかじめ水で洗浄を行ってもよい。このように、微細構造体のパターンと本発明の処理液とを接触させることにより、該パターンの表面上を疎水化することにより、該パターンの倒壊を抑制することが可能となる。
【0022】
本発明のパターン倒壊抑制用処理液は、微細構造体の製造工程において、ウェットエッチング又はドライエッチングの工程を有し、その後にウエット処理(エッチングまたは洗浄、それらの洗浄液を洗い流すためのリンス)してから、乾燥する工程を有していれば、微細構造体の種類を問わずに、広く適用することができる。例えば、(i)DRAM型の半導体装置の製造における、導電膜周辺の絶縁膜などをウェットエッチングした後(例えば特開2000−196038号公報及び特開2004−288710号公報参照)、(ii)短冊状のフィンを有するトランジスタを備えた半導体装置の製造における、ゲート電極の加工時のドライエッチングもしくはウェットエッチングの後に生成した汚染物を除去するための洗浄工程の後(例えば特開2007−335892号公報参照)、(iii)マイクロマシン(微小電気機械装置)のキャビティ形成において、導電性膜の貫通孔を解して絶縁膜からなる犠牲層を除去してキャビティを形成する際の、エッチング時に生成した汚染物を除去するための洗浄工程の後(例えば特開2009−122031号公報参照)などといった、半導体装置やマイクロマシンの製造工程におけるエッチング工程の後に、本発明の処理液は好適に用いることができる。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0024】
《処理液の調製》
表1に示される配合組成(質量%)に従い、微細構造体のパターン倒壊抑制用処理液を調合した。
【0025】
【表1】
*1:各化合物が有するアルキル基の炭素数
【0026】
実施例1〜12
図1(a)に示すように、シリコン基板104上に窒化珪素103(厚さ:100nm)及び酸化珪素102(厚さ:1200nm)を成膜した後、フォトレジスト101を形成した後、該フォトレジスト101を露光、現像することにより、
図1(b)に示す筒状(煙突状)開口部105(φ125nm、円と円との距離:50nm)を形成し、該フォトレジスト101をマスクとしてドライエッチングにより酸化珪素102に
図1(c)に示す円筒状の孔106を、窒化珪素103の層までエッチングして形成した。次いで、フォトレジスト101をアッシングにより除去し、
図1(d)に示す酸化珪素102に窒化珪素103の層に達する円筒状孔106が開孔された構造体を得た。得られた構造体の円筒状孔106に、ポリシリコン107を充填・堆積し(
図1(e))、化学的機械研磨(ケミカルメカニカルポリッシング;CMP)により、酸化珪素102上の余分なポリシリコン107を除去し、
図1(f)に示す酸化珪素102中にポリシリコンの円筒108が埋め込まれた構造体を得た。得られた構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去した後、純水、処理液1〜12、及び純水の順で接液処理し、乾燥を行い、
図1(g)に示す構造体を得た。
【0027】
得られた構造体は、ポリシリコンの筒状(煙突状)のパターン(φ125nm,高さ:1200nm(アスペクト比:9.6),円筒と円筒との間の距離:50nm)を有する微細構造であり、70%以上の該パターンは倒壊することがなかった。
ここで、パターンの倒壊は、「FE−SEM S−5500(型番)」:日立ハイテクノロジーズ社製を用いて観察し、倒壊抑制率は、パターン全本数中の倒壊しなかったパターンの割合を算出して求めた数値であり、該倒壊抑制率が50%以上であれば合格と判断した。各例において使用したパターン倒壊抑制用処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0028】
比較例1
実施例1において、
図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去した後、純水のみで処理した以外は、実施例1と同様にして図−1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、図−1(h)に示されるような倒壊をおこしていた(倒壊抑制率は50%未満となる。)。比較例1において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0029】
比較例2〜17
実施例1において、
図1(f)に示される構造体の酸化珪素102をフッ酸により溶解除去し純水で処理した後、処理液1の代わりに表2に示す比較液2〜17で処理する以外は、実施例1と同様にして
図1(g)に示す構造体を得た。得られた構造体のパターンの50%以上は、
図1(h)に示されるような倒壊をおこしていた。各例2〜17において使用した処理液、処理方法及び倒壊抑制率の結果を表3に示す。
【0030】
【表2】
*1:「フロラードFC−93(商品名、3M社製)比重1.1(25℃)、pH7(0.1%水溶液)、引火点(開放式)38℃」;0.01%水溶液
*2:「サーフロンS−111(商品名、AGCセイミケミカル(株)製)、比重1.0(20℃)、引火点(タグ密閉式)18℃」;0.01%水溶液
*3:「サーフィノール420(商品名、日信化学工業株式会社製)、エチレンオキサイド含有量20%」;0.01%水溶液
*4:「サーフィノール104(商品名、日信化学工業株式会社製)」;0.01%水溶液
*5:「エパン420(商品名、第一工業製薬株式会社製)、疎水基(ポリオキシプロピレン)平均分子量1200、ポリオキシエチレン含有率20%」;0.01%水
*6〜*13;0.01%水溶液
【0031】
【表3】
*1,倒壊抑制率=(倒壊しなかった円筒数/全円筒数)×100[%]
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の処理液は、半導体装置やマイクロマシン(MEMS)といった微細構造体の製造におけるパターン倒壊の抑制に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
101.フォトレジスト
102.酸化珪素
103.窒化珪素
104.シリコン基板
105.円状開口部
106.円筒状孔
107.ポリシリコン
108.ポリシリコンの円筒