特許第5741604号(P5741604)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741604
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】回胴式遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
   A63F5/04 513C
【請求項の数】3
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2013-18993(P2013-18993)
(22)【出願日】2013年2月1日
(65)【公開番号】特開2014-147603(P2014-147603A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2013年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000204262
【氏名又は名称】タイヨーエレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】酒向 哲史
【審査官】 太田 恒明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−104233(JP,A)
【文献】 特開2014−18581(JP,A)
【文献】 特開2012−95964(JP,A)
【文献】 特開2012−40048(JP,A)
【文献】 特開2002−65954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開始操作部の操作に基づいて、複数種類の図柄が描かれた複数の回胴の回転を開始させた後、停止操作部の操作に基づいて複数の回胴の回転を停止させたときに表示される図柄組合せによって一回の遊技の結果を示す回胴式遊技機であって、
遊技の進行に係る抽選を行う抽選手段と、
前記開始操作部の操作に基づいて回転を開始した複数の回胴の回転を停止させて所定の図柄組合せを表示させる回胴演出を、一回の遊技の結果を示す前に実行する回胴演出実行手段と、
前記回胴演出で停止した複数の回胴を、前記開始操作部の操作に基づき回転を開始する前の停止状態に戻し、該停止状態から複数の回胴の回転を再開する第1復帰処理と、前記回胴演出で複数の回胴の全てが停止してから回転を再開するまでの遅延時間を複数の回胴毎に異ならせ、該遅延時間に基づいて複数の回胴の回転を個別に再開する第2復帰処理とを少なくとも記憶する復帰処理記憶手段と、
前記回胴演出が行われると、前記抽選手段による抽選結果に応じて前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する復帰処理実行手段と、
を備えることを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の回胴式遊技機において、
一回の遊技の結果を示す図柄組合せとして、通常状態よりも有利な第1特別状態の発生契機となる第1特別図柄組合せと、前記第1特別状態よりも有利な第2特別状態の発生契機となる第2特別図柄組合せとを含み、
前記抽選手段が行う前記抽選には、前記第1特別図柄組合せ及び前記第2特別図柄組合せの何れの表示を可能とするかの抽選を含み、
前記復帰処理実行手段は、前記抽選手段による抽選で前記第1特別図柄組合せ及び前記第2特別図柄組合せの何れの表示が可能とされたかに応じて、前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する
ことを特徴とする回胴式遊技機。
【請求項3】
請求項1に記載の回胴式遊技機であって、
一回の遊技の結果を示す図柄組合せとして、所定の特典が付与されることを示す役図柄組合せを含み、
前記抽選手段が行う前記抽選には、前記役図柄組合せの表示を補助する情報の報知を通常状態よりも行う特殊状態を発生させるか否かの抽選を含み、
前記復帰処理実行手段は、前記抽選手段による抽選で前記特殊状態の発生が決定されたか否かに応じて前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する
ことを特徴とする回胴式遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球や遊技メダル等を用いて遊技が行われる遊技機に関し、特に、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させる回胴式遊技機(スロットマシン)に関する。
【背景技術】
【0002】
回胴式遊技機(いわゆるスロットマシン)では、遊技メダル等の遊技媒体の投入(ベット)後にスタートレバーが操作されると、複数種類の遊技役の中から当選役を内部的に決定する抽選(内部抽選)を行うと共に、複数種類の図柄が描かれた複数の回胴の回転を開始する。続いて、各回胴に対応して設けられた停止ボタンが操作されると、回胴の回転を停止する。このとき、当選役に決定された遊技役に対応する図柄組合せが停止表示された場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典(所定数の遊技媒体など)を付与する。また、複数種類の遊技役の中には「ボーナス役」と呼ばれるものがあり、ボーナス役が成立すると、遊技者が大量の遊技媒体を獲得可能なボーナス状態が発生する。
【0003】
こうした回胴式遊技機では、遊技者の期待感を高めるために、回胴を用いた様々な演出(回胴演出)を行うものが知られている。例えば、回転中の複数の回胴を一旦停止して所定の図柄組合せ(例えば、ボーナス役に対応する図柄組合せ)を停止表示させる回胴演出が知られており、回胴演出で停止した複数の回胴は再び回転する。ただし、所定の図柄組合せが停止表示された(揃った)状態から単に複数の回胴の回転を再開したのでは、所定の図柄組合せが停止表示されなかった(回胴演出が行われなかった)場合に比べて、当選役に対応する図柄組合せを停止表示させるために遊技者が停止ボタンを操作するタイミングをはかり易くなってしまう(目押しの補助となる)ことがある。そこで、回胴演出で停止表示された所定の図柄組合せを崩す(バラバラにする)ための様々な復帰処理が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−95962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の復帰処理は、あくまで回胴演出で停止表示された図柄組合せが目押しの補助となることを防止するために行われるに過ぎず、遊技性には何ら関与していないため、回胴の回転を再開する前に復帰処理が行われることで、遊技者に間延びした印象を与えて遊技興趣が低下するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、従来技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、回胴演出で停止表示された図柄組合せを崩すための復帰処理を活用して、遊技興趣の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の回胴式遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
開始操作部の操作に基づいて、複数種類の図柄が描かれた複数の回胴の回転を開始させた後、停止操作部の操作に基づいて複数の回胴の回転を停止させたときに表示される図柄組合せによって一回の遊技の結果を示す回胴式遊技機であって、
遊技の進行に係る抽選を行う抽選手段と、
前記開始操作部の操作に基づいて回転を開始した複数の回胴の回転を停止させて所定の図柄組合せを表示させる回胴演出を、一回の遊技の結果を示す前に実行する回胴演出実行手段と、
前記回胴演出で停止した複数の回胴を、前記開始操作部の操作に基づき回転を開始する前の停止状態に戻し、該停止状態から複数の回胴の回転を再開する第1復帰処理と、前記回胴演出で複数の回胴の全てが停止してから回転を再開するまでの遅延時間を複数の回胴毎に異ならせ、該遅延時間に基づいて複数の回胴の回転を個別に再開する第2復帰処理とを少なくとも記憶する復帰処理記憶手段と、
前記回胴演出が行われると、前記抽選手段による抽選結果に応じて前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する復帰処理実行手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、遊技の進行に係る抽選とは、例えば、一回の遊技の結果を示す図柄組合せとして、通常状態に比べて大量の遊技媒体を獲得可能なボーナス状態の発生契機となるボーナス役の図柄組合せを表示可能とするか否かの抽選や、特定の遊技役の図柄組合せの表示を可能とする停止操作部の操作態様を報知する報知演出を発生させるか否かの抽選などを挙げることができる。また、本発明の回胴演出で複数の回胴の回転を停止させるタイミングとしては、例えば、開始操作部の操作に基づいて複数の回胴の回転が開始されてから所定時間が経過したときや、所定の操作部が操作されたときなどを挙げることができる。
【0009】
このような本発明の回胴式遊技機では、回胴演出で停止した複数の回胴の回転を再開するに際して、第1復帰処理または第2復帰処理を行うことにより、回転を再開した複数の回胴では、回胴演出で揃った所定の図柄組合せの関係が残っておらず、目押しの補助となることはないので、遊技の公平性を担保することができる。そして、本発明の回胴式遊技機では、第1復帰処理または第2復帰処理の何れを行うかを、遊技の進行に係る抽選の結果に応じて決定するようになっており、遊技者は、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様(第1復帰処理か、第2復帰処理か)によって抽選の結果を推測することができる。このため、遊技者にとって有利な抽選結果ではないかと期待させて復帰処理に遊技者の注目を集めることができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0010】
また、上述した本発明の回胴式遊技機では、
一回の遊技の結果を示す図柄組合せとして、通常状態よりも有利な第1特別状態の発生契機となる第1特別図柄組合せと、前記第1特別状態よりも有利な第2特別状態の発生契機となる第2特別図柄組合せとを含み、
前記抽選手段が行う前記抽選には、前記第1特別図柄組合せ及び前記第2特別図柄組合せの何れの表示を可能とするかの抽選を含み、
前記復帰処理実行手段は、前記抽選手段による抽選で前記第1特別図柄組合せ及び前記第2特別図柄組合せの何れの表示が可能とされたかに応じて、前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する
こととしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、遊技者は、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様(第1復帰処理か、第2復帰処理か)によって、第1特別図柄組合せ及び第2特別図柄組合せの何れの表示が可能とされたかを推測することができる。このため、復帰処理の態様により何れの特別状態が発生するかを遊技者に注目させる(期待させる)ことができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0012】
また、前述した本発明の回胴式遊技機では、
一回の遊技の結果を示す図柄組合せとして、所定の特典が付与されることを示す役図柄組合せを含み、
前記抽選手段が行う前記抽選には、前記役図柄組合せの表示を補助する情報の報知を通常状態よりも行う特殊状態を発生させるか否かの抽選を含み、
前記復帰処理実行手段は、前記抽選手段による抽選で前記特殊状態の発生が決定されたか否かに応じて前記第1復帰処理または前記第2復帰処理を実行する
こととしてもよい。
【0013】
このような構成によれば、遊技者は、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様(第1復帰処理か、第2復帰処理か)によって、特殊状態の発生が決定されたか否かを推測することができる。このため、遊技者にとって有利な特殊状態が発生するのではないかと期待させて復帰処理に遊技者の注目を集めることができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回胴演出で停止表示された図柄組合せを崩すための復帰処理を活用して、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例の遊技機の外観を示す正面図である。
図2】本実施例の3つの回胴の外周面に表示された図柄の配列を示す説明図である。
図3】本実施例の遊技機の電気的構成を示す説明図である。
図4】本実施例の遊技機に設定されている遊技役を、遊技役を成立させる図柄組合せ、および遊技役の成立によって付与される特典と対応付けて示した説明図である。
図5】本実施例の遊技機において主制御基板のCPUが遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。
図6】本実施例の遊技機において主制御基板のCPUが行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。
図7】通常状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
図8】ベル役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。
図9】特殊再遊技役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。
図10】スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係を示した説明図である。
図11】本実施例の遊技機で複数の遊技状態が切り換わる様子を概念的に示した説明図である。
図12】ボーナス状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
図13】RT状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
図14】本実施例の遊技状態設定処理を示すフローチャートである。
図15】第1実施例の回胴演出制御処理を示すフローチャートである。
図16】通常状態用抽選テーブル及びRT状態用抽選テーブルのボーナス役に対して設定された乱数値と、回胴演出実行抽選の結果との対応関係を示した説明図である。
図17】第1実施例の遊技機で用いられる回転態様決定テーブルを概念的に示した説明図である。
図18】第1実施例の遊技機で用いられる演出用図柄組合せ決定テーブルを概念的に示した説明図である。
図19】回胴演出における回転態様および演出用図柄組合せの決定を内部抽選と同時に行う場合の抽選テーブルを例示した説明図である。
図20】第1実施例の回胴演出実行処理を示すフローチャートである。
図21】第1実施例の遊技機で用いられる回胴演出継続抽選テーブルを概念的に示した説明図である。
図22】第1実施例の回胴回転復帰処理を示すフローチャートである。
図23】第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理A実行処理を示すフローチャートである。
図24】回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Aによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。
図25】第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理B実行処理を示すフローチャートである。
図26】第1実施例の遊技機で用いられる遅延時間決定テーブルを概念的に示した説明図である。
図27】回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Bによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。
図28】第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理C実行処理を示すフローチャートである。
図29】第1実施例の遊技機で用いられる再開順序決定テーブルを概念的に示した説明図である。
図30】回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Cによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。
図31】第2実施例の回胴演出制御処理を示すフローチャートである。
図32】抽選テーブルのスイカ役に対して設定された乱数値と回胴演出実行抽選の結果との対応関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を回胴式遊技機に適用した実施例について説明する。
【0017】
A.回胴式遊技機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
図1は、本実施例の回胴式遊技機1(以下、「遊技機1」と略記)の外観を示す正面図である。図1に示すように、遊技機1には、箱状に形成された筐体3と、筐体3の前面側を覆うようにして設けられた前面扉2などが設けられている。前面扉2は、実際に遊技が行われる中段の領域(2ma,2mb)と、遊技の進行に応じて種々の演出が行われる上段の領域2uと、遊技メダルが払い出される下段の領域2dとの大きく3つの領域から構成され、更に中段の領域は、遊技の状態を表示するための遊技状態表示部2maと、遊技を行うための操作部2mbとから構成されている。
【0018】
上段の領域2uには、中央に演出表示装置10が設けられ、演出表示装置10の左右にはスピーカー14が設けられ、演出表示装置10およびスピーカー14の上方には、各種のランプ類12が設けられている。演出表示装置10は、いわゆる液晶表示装置によって構成されており、遊技の進行状況に合わせて種々の図柄を表示して演出を行うことが可能となっている。
【0019】
前面扉2の中段に設けられた遊技状態表示部2maの中央には、大きな表示窓20が設けられており、遊技機1の内部に回転可能に設けられた3つの回胴20a,20b,20cを視認可能となっている。後述するように各回胴の外周面には複数種類の図柄が描かれており、本実施例の表示窓20の大きさは、各回胴あたり図柄が3つずつ表示される大きさに設定されている。従って、3つの回胴20a,20b,20bが停止すると、表示窓20には、3行3列の合計9つの図柄が停止表示される。そして、表示窓20内には、これら9つの図柄が停止表示される位置に複数本の入賞ラインが設定されている。図1に示した例では、上段の入賞ラインL1と、中段の入賞ラインL2と、下段の入賞ラインL3と、右斜め上向きの入賞ラインL4と右斜め下向きの入賞ラインL5の合計5本の入賞ラインが設定されている。また、表示窓20の左右および下方には、遊技機1の種々の状態を表示する各種の表示パネル22が設けられている。
【0020】
前面扉2の中段下部に設けられた操作部2mbは、手前に向かって突出した形状に形成されており、その上面には、遊技メダルを投入するための投入口30や、投入ボタン34などが設けられている。図示は省略するが遊技機1の内部には、投入口30から投入された遊技メダルの通路となるメダルセレクタ106や、遊技メダルを受け入れるホッパーが設けられている。メダルセレクタ106は、遊技メダルを主に寸法に基づいて選別する機能を有しており、規格寸法に適合した遊技メダルだけがホッパー内に受け入れられる。さらにメダルセレクタ106にはメダルセンサが内蔵されており、遊技メダルが通過するとメダルセンサによって検出される。また、遊技者は、投入ボタン34を押すことにより、クレジットとして貯留されている遊技メダルを、1ゲームに要する枚数だけ投入(ベット)することができる。尚、遊技メダルの貯留とは、投入口30から遊技機1に投入された遊技メダルの枚数が規定数(1ゲームに要する遊技メダル枚数の上限)を超えた場合に、その超えた分をデータとして記憶しておくこと、あるいは、遊技メダルを実際に払い出す代わりにメダルの払出枚数をデータとして記憶しておくことをいう。
【0021】
また、操作部2mbの前面には、遊技メダルの投入後に回胴20a,20b,20cの回転を開始させるためのスタートレバー36や、3つの回胴20a,20b,20cの回転をそれぞれ停止させるための回胴停止ボタン38a,38b,38cなどが設けられている。尚、本実施例のスタートレバー36は、本発明の「開始操作部」に相当し、本実施例の回胴停止ボタン38a,38b,38cは、本発明の「停止操作部」に相当している。
【0022】
加えて、操作部2mbには、上面に精算ボタン40、および前面に返却ボタン42が設けられている。ここで、精算ボタン40とは、遊技機1の内部に貯留されている遊技メダルを外部に払い出す際に操作するボタンである。遊技メダルの投入後も、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cの回転を開始するまでの間であれば、投入済みの遊技メダルも精算ボタン40を操作することによって払い出すことが可能である。また、返却ボタン42とは、投入口30から投入された遊技メダルが遊技機1の内部で詰まった場合に、遊技メダルの詰まりを解消するために操作されるボタンである。
【0023】
前面扉2の下段の領域2dには、遊技メダルが払い出される遊技メダル払出口50や、払い出された遊技メダルを受け止める受け皿52などが設けられている。
【0024】
図2は、3つの回胴20a,20b,20cの外周面に描かれた図柄の配列を示す説明図である。各回胴には、何れも21個の図柄が外周面に描かれている。また、何れの回胴についても、描かれている図柄の種類は同じであるが、図柄の配列については回胴毎に異なる配列に設定されている。
【0025】
A−2.電気的構成 :
図3は、本実施例に係る遊技機1の電気的構成を示す説明図である。図3に示すように、遊技機1には、主制御基板200を中心として、サブ制御基板220、扉基板240、回胴基板260、電源基板280、中継基板300等がデータを通信可能に接続されて構成されている。これら各種制御基板および基板は、遊技機1の内部に搭載されている。
【0026】
主制御基板200は、遊技機1で行われる遊技全体の制御を司る基板である。この主制御基板200には、CPU201、ROM202、RAM203などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて搭載されており、扉基板240から、スタートレバー36が操作されたことを示す信号などを受け取って、後述する遊技制御処理を実行しながら、サブ制御基板220や、扉基板240、回胴基板260などに向かって制御コマンド(あるいは制御信号)を送信することにより、これら各種基板の動作を制御している。
【0027】
サブ制御基板220は、演出の制御を司る基板であり、上述した主制御基板200と同様に、CPU221や、ROM222、RAM223などがバスによって互いにデータを通信可能に接続されて構成されている。また、サブ制御基板220には、各種のランプ類12や、各種のスピーカー14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lなどが接続されている。ここで、回胴バックライト20Lとは、各回胴20a,20b,20cの内部に設けられ、回胴の表面に描かれた図柄(図2参照)を裏側から照らすライトである。サブ制御基板220は、主制御基板200から受け取った制御コマンドに基づいて、各種ランプ類12、各種スピーカー14,114、演出表示装置10、回胴バックライト20Lにそれぞれ駆動信号を送信することにより、各種の演出を行っている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴20a,20b,20cを用いて行われる演出(回胴演出)が設けられており、後述するように、この回胴演出については主制御基板200のCPU201が制御している。
【0028】
扉基板240には、メダルセレクタ106や、投入ボタン34、スタートレバー36、回胴停止ボタン38a,38b,38c、精算ボタン40、各種の表示パネル22などが接続されている。また、この扉基板240は、前述した主制御基板200とデータを通信可能に接続されている。このため、スタートレバー36や、回胴停止ボタン38a,38b,38c、投入ボタン34、精算ボタン40などを操作すると、扉基板240を介して、その信号が主制御基板200に送られるようになっている。また、メダルセレクタ106に内蔵のメダルセンサによって遊技メダルの通過を検出した信号も、扉基板240を介して主制御基板200に送られる。
【0029】
回胴基板260には、3つの回胴20a,20b,20cをそれぞれ回転させるための回胴モーター24a,24b,24cと、それぞれの回胴の回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cなどが接続されている。回胴基板260は、回胴センサ26a,26b,26cによって各回胴20a,20b,20cの回転位置を検出しながら、回胴モーター24a,24b,24cを駆動することにより、それぞれの回胴20a,20b,20cを所望の位置で停止させることが可能となっている。尚、本実施例の遊技機1では、回胴モーター24a,24b,24cとして、いわゆるステッピングモーターが使用されている。
【0030】
また、メダル払出装置118は、中継基板300を介して、主制御基板200に接続されており、主制御基板200からの制御信号に基づいて、遊技メダルを払い出す動作を行う。
【0031】
これら各種制御基板および基板で消費される電力は、電源基板280から供給されている。図3では、電源基板280から電力が供給される様子を破線の矢印で表している。図示されているように、主制御基板200およびサブ制御基板220には、電源基板280から直接電力が供給されており、各種基板(扉基板240、回胴基板260、中継基板300)には、主制御基板200を介して電力が供給されている。電源基板280には100Vの交流電圧が供給されており、この電力を規定電圧の直流電圧に変換した後、それぞれの制御基板および基板に供給している。また、電源基板280には、遊技機1の内部に設けられた電源スイッチ120sが接続されており、遊技ホールの管理者が前面扉2を開けて電源スイッチ120sを操作すると、遊技機1に電源が入る。
【0032】
B.遊技の概要 :
以下では、上記の構成を有する遊技機1において、遊技を進行するために行われる制御の内容について説明するが、その準備として、遊技機1で行われる遊技の概要を説明しておく。
【0033】
遊技を開始するにあたっては、投入口30に遊技メダルを入れて、遊技を開始するのに必要な枚数(規定数)の遊技メダルの投入(ベット)を行う。本実施例の遊技機1では、規定数が「3枚」に固定されており、遊技メダルを3枚ベットすれば、スタートレバー36の操作が有効化される。また、遊技メダルがクレジットとして予め内部に貯留(記憶)されている場合は、投入ボタン34を押すことによって3枚の遊技メダルをベットすることも可能である。
【0034】
規定数の遊技メダルを投入して、スタートレバー36を操作すると、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。図2を用いて前述したように、各回胴には複数の図柄が描かれているため、回胴が回転すると、表示窓20では、これら図柄が変動表示されることになる。また、図1を用いて前述したように、各回胴に対応して3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cが設けられている。回胴20a,20b,20cの回転中に回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が回転を停止する。そして、3つの回胴20a,20b,20cが停止すると、表示窓20に設定された入賞ライン(L1〜L5)上には、何らかの図柄組合せが得られる。このとき、入賞ライン上に揃った図柄組合せが、何れかの遊技役に対応する図柄組合せであった場合には、その遊技役が成立して、遊技役に応じた特典が遊技者に付与される。
【0035】
図4は、本実施例の遊技機1に設定されている遊技役の種類を、その遊技役を成立させる図柄組合せ、および遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典と対応付けて示した説明図である。図4では、左端の欄に遊技役の種類が表示され、中央の欄には遊技役を成立させる図柄組合せが表示され、右端の欄には遊技役が成立したときに遊技者に付与される特典が表示されている。例えば、最上部に示したボーナス役と呼ばれる遊技役には、「赤セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せ、および「青セブン」と呼ばれる図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、これらの図柄組合せの何れかで揃うと、特典として、遊技者にとって有利なボーナス状態と呼ばれる遊技状態が開始される。本実施例のボーナス状態は、特典として遊技メダルが付与される後述の遊技役(増加役)が通常の遊技状態(以下、通常状態)に比べて高い確率で成立する遊技状態であり、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されるまで継続される。本実施例の遊技機1では、「赤セブン」の図柄組合せが揃って開始されたボーナス状態は「450枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、「青セブン」の図柄組合せが揃って開始されたボーナス状態は「300枚」の遊技メダルが付与されるまで継続される。そのため、ボーナス状態が開始されると、遊技者は多量の遊技メダルを獲得することができる。尚、以下では、「赤セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「赤7のボーナス役」、「青セブン」の図柄組合せが対応付けられたボーナス役を「青7のボーナス役」とも表記し、これらを特に区別しない場合は単に「ボーナス役」と表記する。
【0036】
また、再遊技役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せと、左回胴20aおよび中回胴20bが「リプレイ」の図柄であり、右回胴20cが「ベル」の図柄である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「リプレイ」−「ベル」と表記する)とが設定されている。以下では、前者の図柄組合せの再遊技役を「通常再遊技役」と表記し、後者の図柄組合せの再遊技役を「特殊再遊技役」と表記して区別する。これら再遊技役の成立(再遊技役に対応付けられた図柄組合せで揃うこと)に対する特典としては、新たな遊技メダルをベットすることなく、もう一度、遊技を行う権利が付与される。すなわち、再遊技役が成立した遊技の次の遊技では、遊技メダルがベットされたものとして、遊技を行うことが可能となる。また、詳しくは後述するが、本実施例の遊技機1では、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、リプレイタイム状態(RT状態)と呼ばれる遊技状態が開始される。RT遊技中は、通常状態に比べて非常に高い確率で通常再遊技役が成立するようになるため、遊技者は遊技メダルの消費を抑制しながら(遊技メダルあまり減らすことなく)遊技を継続することができる。
【0037】
また、ベル役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「ベル」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、ベル役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが遊技者に付与されるように設定されている。次に、スイカ役という遊技役には、3つの回胴20a,20b,20cが何れも「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せが対応付けられており、このスイカ役の成立に対する特典としては、10枚の遊技メダルが遊技者に付与されるように設定されている。さらに、チェリー役という遊技役には、左回胴20aが「チェリー」の図柄であれば、中回胴20bおよび右回胴20cの図柄はどのような図柄であっても構わない図柄組合せが設定されており、チェリー役の成立に対する特典としては、2枚の遊技メダルが付与されるように設定されている。
【0038】
また、前述したボーナス状態中に高い確率で成立する増加役という遊技役には、左回胴20aおよび右回胴20cが「リプレイ」の図柄であり、中回胴20bが「ベル」の図柄である図柄組合せ(以下では、「リプレイ」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)が設定されており、増加役の成立に対する特典としては、15枚の遊技メダルが付与されるように設定されている。
【0039】
もちろん、回胴20a,20b,20cが停止したときに、図4に示した何れかの遊技役が必ず成立するとは限らない。何れの遊技役も成立していない場合は、再び規定数の遊技メダルを投入した後、スタートレバー36を操作して回胴20a,20b,20cを回転させることによって、次の遊技を行う。
【0040】
C.遊技機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図5は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図6は、本実施例の遊技機1において主制御基板200のCPU201が行う遊技制御処理の後半部分を示すフローチャートである。この遊技制御処理は、遊技機1に電源が入れられて、更に主制御基板200や、サブ制御基板220に搭載されたROMのチェックサムなどの初期化処理が行われた後に実行される処理である。
【0041】
図5に示すように、遊技制御処理を開始すると、先ず初めに遊技状態設定処理(ステップ100。以下、ステップを「S」と略記する)を行う。遊技状態設定処理の詳細については後述するが、この処理では、大まかには次のような処理を行う。前述したように遊技状態には、通常の遊技状態(通常状態)の他にボーナス状態およびリプレイタイム状態(RT状態)が設けられており、遊技状態に応じて遊技役の成立し易さや、成立し得る遊技役の種類等が異なっている。遊技状態設定処理では、現在の遊技状態が何れであるかを検出するとともに、遊技状態の終了条件が満たされたか否かを判断し、終了条件が満たされた遊技状態を終了させて、遊技状態を切り換える処理を行う。こうして遊技状態を切り換えることで、遊技が単調になることを回避することが可能となる。
【0042】
遊技状態設定処理に続いて、投入操作確認処理を行う(S102)。投入操作確認処置では、規定数の遊技メダルが投入(ベット)されたか否かを判断して、規定数の遊技メダルが投入された場合には、スタートレバー36の操作を有効化する処理を行う。前述したように主制御基板200のCPU201は、メダルセレクタ106に内蔵されたメダルセンサの検出信号や、投入ボタン34の操作信号に基づいて、規定数の遊技メダルが投入されたか否かを判断することができる。尚、投入ボタン34を押すことによって規定数の遊技メダルを投入した場合には、遊技メダルの貯留数から規定数を減算する処理も同時に行われる。
【0043】
投入操作確認処理でスタートレバー36の操作を有効化したら、次に、精算ボタン40が操作されたか否かの確認を行う(S104)。スタートレバー36の操作が検出される前であれば、投入した遊技メダルも含めてメダルを精算することが可能となっている。そして、精算ボタン40が操作された場合には(S104:yes)、精算処理を行うことにより、データとして貯留されている遊技メダルおよび投入した遊技メダルを払い出す(S106)。遊技メダルの払い出しは、主制御基板200のCPU201からメダル払出装置118に向けて、払い出すべき遊技メダルの枚数を指示する制御信号を送信することによって行われる。こうして遊技メダルを払い出したら、遊技の開始前の状態(S100)に戻って、以降の処理を行う。
【0044】
一方、精算ボタン40が操作されていない場合は(S104:no)、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S108)。前述したように、主制御基板200のCPU201は、スタートレバー36の操作信号に基づいて、スタートレバー36が操作されたか否かを判断することができる。スタートレバー36が操作されていない場合は(S108:no)、精算ボタン40の操作の有無を確認しながら(S104)、スタートレバー36が操作されるまで待機する。そして、スタートレバー36が操作された場合は(S108:yes)、内部抽選処理を開始する(S110)。
【0045】
内部抽選処理では、図4を用いて前述した遊技役の中から成立を許容する遊技役(当選役)を、抽選によって決定する処理を行う。但し、この抽選で何れかの遊技役に当選した(成立が許容された)としても、直ちに遊技役が成立するわけではなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作することにより、当選した遊技役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えなければ遊技役を成立させることはできない。また逆に、抽選で当選した遊技役でなければ、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作したとしても、対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることはできないようになっている。そうした意味で、この抽選は、図柄組合せを揃えて遊技役を成立させるための前提条件として、内部的に行われる抽選であることから「内部抽選」と呼ばれている。また、内部抽選に当選した状態は、内部当選状態(あるいは単に、内部当選)と呼ばれている。
【0046】
この内部抽選は、抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを用いて行われており、抽選テーブルには、遊技役と内部抽選用乱数値との対応関係が設定されている。ここで、内部抽選用乱数値とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受け取った際に取得する乱数の値である。内部抽選用乱数値を2バイトデータとすれば、0〜65535の範囲の乱数値を取ることが可能である。尚、この抽選用の乱数値は、主制御基板200に搭載された専用の乱数発生回路を用いてハードウェア的に生成することもできるし、乱数発生用のプログラムを用いてソフトウェア的に生成することも可能である。
【0047】
図7は、最も一般的な遊技状態である通常状態中に用いられる抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図7(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数値の範囲が示されている。また、図7(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図示されているように、通常状態用の抽選テーブルでは、「ベル役」に対しては0〜11999の乱数値が設定されている。これは、取得した乱数値がこの範囲にあった場合には、ベル役に内部当選することを表している。
【0048】
また、「スイカ役」に対しては12000〜13999の乱数値が設定され、「チェリー役」には14000〜15999の乱数値が設定され、「赤7のボーナス役」には16000〜16499の乱数値が設定され、「青7のボーナス役」には16500〜16999の乱数値が設定されている。さらに、「特殊再遊技役」には17000〜23599の乱数値が設定され、「通常再遊技役」には23600〜32599の乱数値が設定されている。尚、32600〜65535の乱数値には、何れの遊技役も設定されておらず、従って、取得した乱数値がこの範囲にあった場合は「ハズレ」となる。
【0049】
ここで、本実施例の遊技機1では、「ベル役」がベル役A〜ベル役Cの3種類で構成されており、対応付けられている図柄組合せ(3つの回胴20a,20b,20cが「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)は共通であるものの、内部当選は個別に判定される。また同様に、「特殊再遊技役」についても特殊再遊技役A〜特殊再遊技役Cの3種類で構成されており、対応付けられている図柄組合せ(「リプレイ」−「リプレイ」−「ベル」の図柄組合せ)は共通であるものの、内部当選は個別に判定される。
【0050】
図8は、ベル役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。前述したようにベル役に対しては0〜11999の乱数値が設定されており、このうち0〜3999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Aに内部当選する。同様に、4000〜7999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Bに内部当選し、8000〜11999の範囲の乱数値を取得した場合はベル役Cに内部当選する。
【0051】
また、本実施例の遊技機1では、3種類のベル役(A〜C)に、それぞれ異なる押し順(回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作順序)が予め対応付けられており、3種類のベル役の何れかに内部当選したとしても、内部当選したベル役に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、ベル役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わないようになっている。図8には、3種類のベル役の各々に対応する押し順が合わせて示されており、ベル役Aに対しては、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cの中で左側の回胴停止ボタン(左停止ボタン)38aを最初に操作する押し順が設定されている。同様に、ベル役Bに対しては、中央の回胴停止ボタン(中停止ボタン)38bを最初に操作する押し順が設定されており、ベル役Cに対しては、右側の回胴停止ボタン(右停止ボタン)38cを最初に操作する押し順が設定されている。
【0052】
図9は、特殊再遊技役に対して設定された乱数値の詳細な割り当てを示した説明図である。特殊再遊技役に対して設定された17000〜23599の乱数値のうち、17000〜19199の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Aに内部当選し、19200〜21399の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Bに内部当選し、21400〜23599の範囲の乱数値を取得した場合は特殊再遊技役Cに内部当選する。
【0053】
また、ベル役と同様に、3種類の特殊再遊技役(A〜C)についても、それぞれ異なる押し順が予め対応付けられており、内部当選した特殊再遊技役に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しない限り、特殊再遊技役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わないようになっている。図9に示されているように、特殊再遊技役Aに対しては、左停止ボタン38aを最初に操作する押し順が設定され、特殊再遊技役Bに対しては、中停止ボタン38bを最初に操作する押し順が設定され、特殊再遊技役Cに対しては、右停止ボタン38cを最初に操作する押し順が設定されている。
【0054】
尚、前述したように、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、RT状態が開始される。この特殊再遊技役を成立させるには、内部当選している特殊再遊技役に対応する押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しなければならず、容易なことではない。但し、本実施例の遊技機1では、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順を報知する報知演出が行われる期間(アシストタイム期間、以下、AT期間と略記)が設けられており、報知された押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すれば、特殊再遊技役を成立させることができる。こうした報知演出は、サブ制御基板220に搭載されたCPU221によって制御されるが、AT期間を発生させるか否かの抽選(AT発生抽選)は、主制御基板200のCPU201によって行われる。本実施例の遊技機1では、内部抽選でスイカ役に当選すると、同時にAT発生抽選が行われるようになっている。
【0055】
図10は、スイカ役に対して設定された乱数値とAT発生抽選の結果との対応関係を示した説明図である。図示されているように、スイカ役に対して設定された12000〜13999の乱数値のうち、12000〜12499の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選してAT期間が発生する。一方、12500〜13999の範囲の乱数値を取得した場合はAT発生抽選に当選せずAT期間が発生しない。そして、AT期間中に特殊再遊技役に内部当選すると、サブ制御基板220のCPU221が特殊再遊技役の報知演出を実行する。この報知演出は、内部当選した特殊再遊技役に対応する押し順を演出表示装置10等に表示することで行われる。
【0056】
内部抽選処理(図5のS110)では、以上のように、スタートレバー36が操作された際に取得した内部抽選用乱数値と、抽選テーブルとを参照することによって、何れの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかを判断する。そして、何れかの遊技役に内部当選したら、内部当選した遊技役に対応する内部当選フラグをONに設定する。ここで、内部当選フラグとは、内部抽選の結果を記憶しておくために用いられるフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスには、図4に示した遊技役の各々に対応する内部当選フラグが設定されている。尚、内部抽選の結果が「ハズレ」である場合には、何れの内部当選フラグもONに設定されることはない。
【0057】
内部抽選処理(S110)を終了すると、主制御基板200のCPU201は、サブ制御基板220に対して内部抽選結果伝達コマンドを送信する(S112)。内部抽選結果伝達コマンドには、先の内部抽選処理(S110)で行われた内部抽選の結果を示す情報(何れかの遊技役に内部当選したか、若しくはハズレであるかの情報や、内部当選した遊技役の種類の情報など)が含まれている。また、本実施例の遊技機1では、AT期間の発生の有無についても内部抽選結果伝達コマンドによってサブ制御基板220のCPU221に伝えられる。
【0058】
内部抽選結果伝達コマンドをサブ制御基板220に向けて送信すると(S112)、停止中の回胴20a,20b,20cの現在の停止位置を主制御基板200のRAM203に記憶した後(S114)、回胴回転始動処理を開始する(S116)。回胴回転始動処理では、所定の条件が満たされているか否かを判断して、条件が満たされている場合は、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる処理を行う。本実施例の遊技機1では、スタートレバー36が操作され、且つ、前回に回胴20a,20b,20cの回転が開始されてから所定時間(例えば、4.1秒)を経過した場合に回胴の回転を開始することとして、各回胴20a,20b,20cにそれぞれ設けられた回胴モーター24a,24b,24cに対して駆動信号を送信することにより、3つの回胴20a,20b,20cを回転させる。
【0059】
こうして3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始したら、主制御基板200のCPU201は、回胴演出制御処理を実行する(S118)。回胴演出制御処理の詳細については後述するが、本実施例の遊技機1では、回転中の回胴20a,20b,20cを所定の図柄組合せが入賞ライン上に揃うように一旦停止させる回胴演出を実行可能であり、回胴演出制御処理の中で、回胴演出を実行するか否かを決定したり、回胴演出の具体的な態様を決定して実行したり、回胴演出の終了後に回胴20a,20b,20cの回転を再開させたりするなどの処理を行っている。
【0060】
回胴演出制御処理を終了すると、主制御基板200のCPU201は、回胴20a,20b,20cの回転を停止させる処理(回胴回転停止処理)を行う(S120)。回胴回転停止処理では、3つの回胴20a,20b,20cの回転速度が所定速度で安定したことを確認した後、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作を有効化して、回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されたか否かを判断する。前述したように遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、その操作信号が主制御基板200に供給されるので、主制御基板200のCPU201は、操作信号を受け取ると、操作された回胴停止ボタンに対応する回胴が操作時に何れの回転位置にあったかを検出する。そして、その検出結果に基づいて、回胴の停止位置を、回胴停止ボタンの操作時の回転位置から図柄にして最大で4コマ分回胴が回転する範囲(回胴停止ボタンが操作されてから190msecの間に回胴が回転する範囲)以内で決定し、決定した位置で回胴を停止させる。
【0061】
ここで、回胴の停止位置を決定するに際しては、先に行われた内部抽選の結果が参照され、内部当選していない遊技役については、どのようなタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しても、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃わないように各回胴20a,20b,20cを停止させる。逆に、内部当選している遊技役については、適切なタイミングで回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように各回胴20a,20b,20cを停止させる。つまり、何れかの遊技役に内部当選している状態で、その当選役に対応する図柄を表示窓20内に狙って遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作(いわゆる目押し)すれば、当選役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃う可能性を高めることができる。
【0062】
尚、前述したように回胴20a,20b,20cは、対応する回胴停止ボタン38a,38b,38cが操作されてから図柄にして4コマ分回転する範囲以内で停止しなければならず、また、図3に示したように回胴20a,20b,20cの外周面に配置された複数種類の図柄には、配置数の多い図柄と配置数の少ない図柄とがあるので、内部当選している遊技役の種類によって目押しの難易度が異なる。すなわち、「リプレイ」の図柄や「ベル」の図柄は、ほぼ等間隔に多数配置されており、その間隔は3コマから5コマ程度となっているので、通常再遊技役、特殊再遊技役、ベル役の何れかに内部当選していれば、目押しを必要とせずに、当選役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることが可能である。これに対して、「赤7」の図柄、「青7」の図柄、「スイカ」の図柄、「チェリー」の図柄については、配置数が少なかったり、配置に偏りがあったりするので、赤7のボーナス役、青7のボーナス役、スイカ役、チェリー役の何れかに内部当選していても、目押しを正確に行わなければ、当選役に対応する図柄組合せを入賞ライン上に揃えることができず、いわゆる「取りこぼし」が発生する。
【0063】
また、前述したように3種類のベル役(A〜C)および3種類の特殊再遊技役(A〜C)については、予め回胴停止ボタン38a,38b,38cの押し順が対応付けられており(図8図9参照)、これらの遊技役に内部当選している場合は、3つの回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作する順序が考慮される。すなわち、内部当選している遊技役に対応付けられた押し順で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、当選役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うように各回胴20a,20b,20cを停止させる。一方、内部当選している遊技役に対応付けられた押し順とは異なる順序で回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すると、当選役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃わないように各回胴20a,20b,20cを停止させる。尚、本実施例の遊技機1では、ベル役に内部当選したにも拘らず、ベル役に対応する図柄組合せ(「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ)が入賞ライン上に揃わない場合には、遊技役を成立させる図柄組合せ(図4参照)の何れとも異なる「取りこぼし目」が入賞ライン上に揃うように回胴20a,20b,20cを停止させる。本実施例の「取りこぼし目」は、左回胴20aおよび中回胴20bが「ベル」の図柄であり、右回胴20cが「リプレイ」の図柄である図柄組合せ(以下では、「ベル」−「ベル」−「リプレイ」と表記する)に設定されている。
【0064】
主制御基板200のCPU201は、3つの回胴20a,20b,20cを停止させると、その停止位置に基づいて何れかの遊技役が成立したか否かを判断する(図6のS130)。ここで、「遊技役が成立する」とは、遊技役に対応する図柄組合せ(図4参照)が入賞ライン(L1〜L5)に揃って停止表示されることをいう。前述したように、内部抽選処理(S110)で何れかの遊技役に内部当選していても、回胴停止ボタン38a,38b,38cを押すタイミングや押す順序によっては、その遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃うとは限らない。そこで、主制御基板200のCPU201は、回胴の回転を停止させた後、内部抽選で当選した遊技役が成立しているか否かを判断する。
【0065】
S130の判断の結果、何れの遊技役も成立していない場合は(S130:no)、取りこぼし目確認処理を行う(S132)。本実施例の遊技機1では、前述したRT状態中に「取りこぼし目」(「ベル」−「ベル」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃うと、RT状態が終了となる。そこで、取りこぼし目確認処理では、RT状態中であるか否かを検出すると共に、「取りこぼし目」が入賞ライン上に揃っているか否かを判断し、RT状態中に「取りこぼし目」が揃っている場合は、RT状態を終了するための処理を行う。そして、取りこぼし目確認処理を終了したら、遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(図5のS100)以降の上述の処理を行う。
【0066】
尚、本実施例の遊技機1では、S130の判断において何れの遊技役も成立していなくても、ボーナス役に内部当選している場合は、その内部当選が持ち越され、次回の遊技でも、そのボーナス役に対応する内部当選フラグがONに設定された状態のままとなる。これに対して、ボーナス役以外の遊技役に内部当選している場合は、その内部当選が次回の遊技に持ちこなれることなくリセットされてしまう。
【0067】
一方、S130の判断の結果、何れかの遊技役が成立したと判断された場合は(S130:yes)、先ず初めに、ボーナス役が成立したか否かを判断する(S136)。図4を用いて前述したように、ボーナス役は、「赤セブン」、「青セブン」の何れかの図柄が入賞ライン上に揃った場合に成立する遊技役である。そして、ボーナス役が成立したと判断された場合は(S136:yes)、ボーナスフラグをONに設定するとともに、その他の遊技状態フラグをOFFに設定する(S138)。ここで、ボーナスフラグとは、遊技状態をボーナス状態に設定することを示すフラグであり、現在の遊技状態を表す「遊技状態フラグ」と呼ばれるフラグの一種である。ボーナス状態やRT状態といった特殊な遊技状態には、対応する遊技状態フラグがそれぞれ設けられており、これら遊技状態フラグの設定(ON/OFF)に応じて遊技状態を切り換えながら遊技が進行する。そして、ボーナスフラグをONに設定する場合には、その他の遊技状態フラグ(ここではRTフラグ)をOFFに設定する。すなわち、RT状態中にボーナス役が成立した場合には、RT状態を終了してボーナス状態に設定する。こうした遊技状態フラグは、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。また、主制御基板200のCPU201は、ボーナスフラグをONに設定すると、ボーナス開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S140)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ボーナス開始コマンドを受信することによって、ボーナス状態が開始されることを把握可能である。こうしてボーナスフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)にて遊技状態がボーナス状態に設定されて、以降の一連の処理が行われる。
【0068】
一方、ボーナス役が成立していない場合は(S136:no)、今度は、再遊技役が成立したか否かを判断する(S142)。そして、再遊技役が成立していた場合は(S142:yes)、再遊技フラグをONに設定する(S144)。ここで、再遊技フラグとは、再遊技役が成立したことを記憶しておくためのフラグであり、前述した遊技状態フラグと同様に、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。再遊技フラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、次回の投入操作受付処理(図5のS102)では、遊技者によって遊技メダルが投入されなくてもスタートレバー36の操作が有効化される。尚、再遊技フラグは、次回の遊技でスタートレバー36の操作が有効化された際にOFFに設定される。
【0069】
再遊技フラグをONに設定したら、成立した再遊技役が「特殊再遊技役」であるか否かを判断する(S146)。前述したように再遊技役として、通常再遊技役および特殊再遊技役の2種類が設けられており、このうち、特殊再遊技役が成立していた場合は(S146:yes)、続いて、現在の遊技状態が通常状態であるか否かを判断する(S148)。前述したように、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、RT状態が開始される。そのため、現在の遊技状態が通常状態である場合は(S148:yes)、遊技状態をRT状態に設定することを示すRTフラグをONに設定する(S150)。
【0070】
また、主制御基板200のCPU201は、RTフラグをONにしたら、RT開始コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S152)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、RT開始コマンドを受信することによって、RT状態が開始されることを把握可能である。こうしてRTフラグがONに設定された状態で遊技制御処理の先頭に戻ると、遊技状態設定処理(S100)において遊技状態がRT状態に設定される。尚、RTフラグは、前述した取りこぼし目確認処理(S132)において「取りこぼし目」が入賞ライン上に揃っていると判断されると、OFFに設定される。
【0071】
これに対して、通常再遊技役が成立していた場合(S146:no)、あるいは、現在の遊技状態が既にRT状態である場合は(S148:no)、S150及びS152の処理を行うことなく、遊技制御処理の先頭に戻って、遊技状態設定処理(図5のS100)以降の上述した処理を行う。
【0072】
一方、S142の判断において、再遊技役が成立していない場合は(S142:no)、何れかの遊技役が成立したものの(S130:yes)、その遊技役は、ボーナス役、再遊技役の何れでもないことから、遊技メダルが付与される遊技役(いわゆる小役)の何れかであると判断される。そこで、成立した小役に応じて遊技メダルを付与する処理を行う(S154)。すなわち、成立した遊技役がベル役、増加役であれば15枚の遊技メダルを付与し、スイカ役であれば10枚の遊技メダルを付与し、チェリー役であれば2枚の遊技メダルを付与する処理を行う。この処理は、主制御基板200の内部で払い出すべき遊技メダルの枚数を求めた後、メダル払出装置118に対して制御信号を送信することによって行われる。また、前述したように本実施例のボーナス状態は、所定枚数の遊技メダルが付与されることで終了するように設定されていることから、S154では、ボーナス状態中に付与した遊技メダルの総数を計数する処理も行う。こうして遊技メダルを付与したら、遊技制御処理の先頭に戻り、遊技状態設定処理(図5のS100)以降の上述した処理を行う。
【0073】
C−2.遊技状態設定処理 :
遊技状態設定処理を説明するに当たって、その準備として、本実施例の遊技機1に設けられている複数の遊技状態、およびこれらの遊技状態の切り換えについてまとめて説明しておく。図11は、本実施例の遊技機1で複数の遊技状態が切り換わる様子を概念的に示した説明図である。図示されているように、本実施例の遊技機1には、通常状態、ボーナス状態、RT状態の3種類の遊技状態が設けられている。
【0074】
遊技を開始した直後の遊技状態は「通常状態」であるのが一般的である。そして、通常状態中に「赤7のボーナス役」あるいは「青7のボーナス役」が成立すると、遊技状態は遊技者にとって有利な「ボーナス状態」に切り換わる。ボーナス状態中は、前述した内部抽選処理(図5のS110)において、ボーナス状態用の抽選テーブルを参照して内部抽選が行われる。
【0075】
図12は、ボーナス状態中に用いられるボーナス状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図12(a)には、遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図12(b)には、遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると、図12のボーナス状態用抽選テーブルには、「ベル役」、「スイカ役」、「チェリー役」、「赤7のボーナス役」、「青7のボーナス役」、「通常再遊技役」、「特殊再遊技役」の何れにも乱数値が設定されておらず、その代わりに、「増加役」に対して大部分の乱数値が設定されている。そのため、ボーナス状態中は非常に高い確率で増加役に内部当選し、増加役の成立の度に15枚の遊技メダルが付与される(図4参照)。このボーナス状態は、所定枚数の遊技メダルが付与されるまで継続される設定となっており、赤7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「450枚」の遊技メダルが付与されるまで継続され、青7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「300枚」の遊技メダルが付与されるまで継続される。そして、ボーナス状態中に付与された遊技メダルの枚数が所定枚数に達すると、遊技状態は「通常状態」に戻る。
【0076】
また、本実施例の遊技機1では、通常状態中に「特殊再遊技役」が成立すると、遊技状態が「RT状態」に切り換わる。前述したように3種類の特殊再遊技役(A〜C)が設けられており、特殊再遊技役を成立させるには、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順(図9参照)に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作しなければならない。但し、スイカ役の内部当選時に行われるAT発生抽選に当選してAT期間が発生すると、内部当選した特殊再遊技役に対応付けられた押し順が報知されるため、報知に従って回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作すれば、特殊再遊技役を成立させることができる。そして、RT状態中は、RT状態用の抽選テーブルを用いて、内部抽選処理(図5のS110)が行われる。
【0077】
図13は、RT状態中に用いられるRT状態用抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図13(a)には、各遊技役に対して割り当てられた乱数の範囲が示されており、図13(b)には、各遊技役に割り当てられた乱数範囲の大まかな比率が模式的に示されている。図7に示した通常状態用抽選テーブルと比較すると明らかなように、図13のRT状態用抽選テーブルでは、「通常再遊技役」の乱数範囲が大幅に拡大されて、その分だけ「ハズレ」の乱数範囲が縮小されている。従って、RT状態中は通常状態中よりも高い確率で再遊技役(特に通常再遊技役)が成立する。尚、RT状態用抽選テーブルについても、通常状態用抽選テーブルと同様に、ベル役を構成する3種類(A〜C)の各々に乱数値が割り当てられており(図8参照)、また、特殊再遊技役を構成する3種類(A〜C)の各々に乱数値が割り当てられている(図9参照)。
【0078】
RT状態においても、ボーナス役が成立した場合には、遊技状態が「ボーナス状態」に切り換わる。また、RT状態は、「取りこぼし目」(「ベル」−「ベル」−「リプレイ」)が入賞ライン(L1〜L5)上に揃うと終了し、「通常状態」へと戻る。前述したように「取りこぼし目」は、3種類のベル役(A〜C)の何れかに内部当選したにも拘らずベル役の図柄組合せが入賞ライン上に揃わない場合に、入賞ライン上に揃う図柄組合せである。本実施例のRT状態中は、ベル役の成立を補助するために、内部当選したベル役に対応付けられた押し順(図8参照)を報知する報知演出がサブ制御基板220のCPU221の制御によって行われる。ベル役の報知演出が行われるRT状態は「ART状態」と呼ばれることがある。こうしたベル役の報知演出は、RT状態中に行われた遊技の回数が所定のART回数(例えば、50回)に達するまで行われ、ART回数に達すると、ベル役の報知演出が行われなくなるので、ベル役の成立が困難となって取りこぼし目が入賞ライン上に揃うことによりRT状態が終了する。尚、ART回数は、固定であってもよいし、RT状態の開始時にサブ制御基板220のCPU221が抽選で決定してもよい。
【0079】
図14は、本実施例の遊技状態設定処理を示すフローチャートである。遊技状態設定処理を開始すると、先ず初めに主制御基板200のCPU201は、ボーナスフラグがONに設定されているか否かを判断する(S200)。前述したようにボーナスフラグは、ボーナス状態中であることを示す遊技状態フラグであり、ボーナスフラグがONに設定されている場合は(S200:yes)、ボーナス状態の終了条件が成立したか否かを判断する(S202)。前述したようにボーナス状態は、ボーナス状態の開始後に所定枚数の遊技メダルが付与されると終了するように設定されており、赤7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「450枚」の遊技メダルが付与されると終了し、青7のボーナス役の成立で開始されたボーナス状態は「300枚」の遊技メダルが付与されると終了する。また、遊技メダルを付与する際(図6のS154)には、ボーナス状態中に付与された遊技メダルの総数を計数している。ボーナス状態中に付与された遊技メダルの総数が未だ所定枚数に達しておらず、ボーナス状態の終了条件が成立していないと判断した場合は(S202:no)、ボーナス状態を継続するためにボーナス状態用抽選テーブル(図12)を選択したら(S204)、図14の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
【0080】
一方、S202の判断において、ボーナス状態中に付与された遊技メダルの総数が所定枚数に達して、ボーナス状態の終了条件が成立したと判断した場合は(S202:yes)、ボーナス状態を終了するために、ボーナスフラグをOFFに設定する(S206)。また、主制御基板200のCPU201は、ボーナスフラグをOFFに設定すると、ボーナス終了コマンドをサブ制御基板220に向けて送信する(S208)。このため、サブ制御基板220のCPU221は、ボーナス終了コマンドを受信することによって、ボーナス状態が終了することを把握可能である。
【0081】
こうしてボーナスフラグをOFFにすると遊技状態は通常状態となる。そのため、主制御基板200のCPU201は、通常状態用抽選テーブル(図7)を選択すると(S212)、図14の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
【0082】
以上では、S200の判断でボーナスフラグがONに設定されていた場合の処理について説明したが、ボーナスフラグがONに設定されていなかった場合は(S200:no)、続いて、RTフラグがONに設定されているか否かを判断する(S214)。前述したようにRTフラグは、RT状態中であることを示す遊技状態フラグであり、RTフラグがONに設定されていない場合は(S214:no)、ボーナスフラグ及びRTフラグの何れのフラグもONに設定されていないので、現在の遊技状態は通常状態であると判断される。そこで、通常状態用抽選テーブル(図7)を選択したら(S212)、図14の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
【0083】
一方、S214の判断において、RTフラグがONに設定されている場合は(S214:yes)、RT状態用抽選テーブル(図13)を選択する(S216)。その後、図14の遊技状態設定処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。
【0084】
主制御基板200のCPU201は、遊技状態設定処理(S100)を終了して図5および図6の遊技制御処理に復帰すると、遊技メダルの投入やスタートレバー36の操作を確認して内部抽選を行った後、回胴20a,20b,20cの回転を開始させる(S102〜S116)。以下では、回転を開始した回胴20a,20b,20cを用いて行われる回胴演出を制御するための回胴演出制御処理(S118)について説明する。
【0085】
C−3.回胴演出制御処理 :
C−3−1.第1実施例 :
図15は、第1実施例の回胴演出制御処理を示すフローチャートである。回胴演出制御処理を開始すると、先ず初めに、回胴演出を実行するか否かを決定するための抽選(回胴演出実行抽選)に当選したか否かを判断する(S302)。第1実施例の遊技機1では、内部抽選でボーナス役に当選すると、同時に回胴演出実行抽選が行われるようになっている。
【0086】
図16は、通常状態用抽選テーブルおよびRT状態用抽選テーブルのボーナス役に対して設定された乱数値と、回胴演出実行抽選の結果との対応関係を示した説明図である。図示されているように、赤7のボーナス役に対して設定された16000〜16499の乱数値のうち、16000〜16449の乱数値を取得した場合は回胴演出実行抽選に当選して回胴演出を実行する。これに対して、16450〜16499の乱数値を取得した場合は回胴演出実行抽選に当選せず回胴演出を実行しない。また、青7のボーナス役に対して設定された16500〜16999の乱数値のうち、16500〜16949の乱数値を取得した場合は回胴演出実行抽選に当選して回胴演出を実行する。これに対して、16950〜16999の乱数値を取得した場合は回胴演出実行抽選に当選せず回胴演出を実行しない。つまり、赤7または青7のボーナス役に内部当選した場合には、回胴演出実行抽選の当選確率が「90%」となっている。尚、ボーナス役以外の各遊技役に対応する乱数値についても同様に、回胴演出実行抽選の結果(当選または非当選)を設定しておいてもよく、例えば、チェリー役に内部当選した場合の回胴演出実行抽選の当選確率を「10%」としてもよい。また、回胴演出実行抽選は、内部抽選とは別の抽選として行ってもよい。
【0087】
そして、回胴演出実行抽選に当選していない場合は(S302:no)、回胴演出を行うことなく、図15の回胴演出制御処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。一方、回胴演出実行抽選に当選した場合は(S302:yes)、回胴演出実行フラグをONに設定する(S304)。回胴演出実行フラグとは、回胴演出を実行すること示すフラグであり、主制御基板200に搭載されたRAM203の所定アドレスに設定されている。
【0088】
回胴演出実行フラグをONに設定すると、回転態様決定処理を実行する(S306)。この処理では、回胴演出として回胴20a,20b,20cを一旦停止させるまでの回転態様を決定する。回転態様の決定は、回転態様決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、回転態様決定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0089】
図17は、第1実施例の遊技機1で用いられる回転態様決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように回転態様決定テーブルには、回転態様決定用乱数値と回胴の回転態様との対応関係が設定されている。ここで、回転態様決定用乱数値とは、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受信した際に取得する乱数値である。また、第1実施例の遊技機1では、逆回転(通常の回転方向とは逆方向の回転)、高速回転(通常の回転速度よりも速い回転)、低速回転(通常の回転速度よりも遅い回転)の3種類の回転態様が設けられている。図17に例示した回転態様決定テーブルでは、「0〜99」の回転態様決定用乱数値のうち、「0〜39」には逆回転が設定され、「40〜69」には高速回転が設定され、「70〜99」には低速回転が設定されている。S306の回転態様決定処理では、図17の回転態様決定テーブルを参照し、取得した回転態様決定用乱数値に対応付けられている態様を、回胴演出での回胴20a,20b,20cの回転態様に決定する。尚、図17の括弧内の数値は、その回転態様に決定される確率を示している。
【0090】
こうして回転態様を決定したら、続いて、演出用図柄組合せ決定処理を実行する(S308)。前述したように回胴演出では、回転中の回胴20a,20b,20cを一旦停止させて入賞ライン上に図柄組合せを揃えるようになっており、S308の処理では、入賞ライン上に揃える図柄組合せ(演出用図柄組合せ)を決定する。演出用図柄組合せの決定は、演出用図柄組合せ決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、演出用図柄組合せ決定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0091】
図18は、第1実施例の遊技機1で用いられる演出用図柄組合せ決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、演出用図柄組合せ決定テーブルには、演出用図柄組合せ決定用乱数値と演出用図柄組合せとの対応関係が設定されている。ここで、演出用図柄組合せ決定用乱数値とは、前述した回転態様決定用乱数値と同様に、主制御基板200のCPU201がスタートレバー36の操作信号を受信した際に取得する乱数である。また、第1実施例の遊技機1では、演出用図柄組合せとして、「赤7」の図柄で揃った図柄組合せ、「青7」の図柄で揃った図柄組合せ、「ベル」の図柄で揃った図柄組合せ、「スイカ」の図柄で揃った図柄組合せ、「チェリー」の図柄で揃った図柄組合せ、「リプレイ」の図柄で揃った図柄組合せ、「バー」の図柄で揃った図柄組合せの7種類が設けられている。これらの図柄組合せは、「バー」の図柄組合せを除いて、図4に示した遊技役を成立させる図柄組合せである。図18に例示した演出用図柄組合せ決定テーブルでは、「0〜99」の演出用図柄組合せ決定用乱数値に対して、7種類の演出用図柄組合せの何れかが対応付けられている。S308の演出用図柄組合せ決定処理では、図18の演出用図柄組合せ決定テーブルを参照し、取得した演出用図柄組合せ決定用乱数値に対応付けられている図柄組合せを、演出用図柄組合せに決定する。尚、図18の括弧内の数値は、その演出用図柄組合せに決定される確率を示している。
【0092】
尚、第1実施例の遊技機1では、回胴演出における回転態様および演出用図柄組合せの決定を、内部抽選とは独立して行うこととしているが、内部抽選と同時に行うこととしてもよい。図19は、回胴演出における回転態様および演出用図柄組合せの決定を内部抽選と同時に行う場合の抽選テーブルを例示した説明図である。図示した例では、赤7のボーナス役に内部当選すると共に、回胴演出実行抽選に当選する16000〜16449の乱数値のうち、16000〜16149の乱数値には逆回転が設定され、16150〜16299の乱数値には高速回転が設定され、16300〜16449の乱数値には低速回転が設定されている。また、逆回転に設定された16000〜16149の乱数値に対して、7種類の演出用図柄組合せの何れかが対応付けられている。同様に、高速回転に設定された16150〜16299の乱数値に対して、7種類の演出用図柄組合せの何れかが対応付けられ、低速回転に設定された16300〜16449の乱数値に対して、7種類の演出用図柄組合せの何れかが対応付けられている。このような抽選テーブルを参照すれば、例えば、16150〜16164の乱数値を取得して赤7のボーナス役に内部当選すると、回胴演出実行抽選に当選し、回胴演出での回転態様が高速回転に決定され、更に演出用図柄組合せが「赤7」の図柄組合せに決定される。このようにすることで、回胴演出における回転態様および演出用図柄組合せの決定を内部抽選と独立して行う場合に比べて、遊技制御の負担を軽減することができる。
【0093】
以上のようにして回胴演出における回転態様及び演出用図柄組合せを決定したら、以下に示す回胴演出実行処理を開始する(S310)。
【0094】
図20は、第1実施例の回胴演出実行処理を示すフローチャートである。尚、主制御基板200のCPU201が回胴演出実行処理を行うことで回胴演出が実行されることから、第1実施例の主制御基板200に搭載されたCPU201は、本発明の「回胴演出実行手段」に相当している。図示されているように回胴演出実行処理では、先ず初めに、回胴演出における回胴20a,20b,20cの停止条件が成立したか否かを判断する(S320)。第1実施例の回胴演出では、所定時間(例えば、30秒)が経過したら、回胴20a,20b,20cの停止条件が成立したものとしており、この所定時間が経過するまでは回胴20a,20b,20cが先に決定された回転態様(S306)で回転する。尚、回胴20a,20b,20cの回転態様に応じて、停止するまでの時間を異ならせてもよい。また、回胴演出における回胴20a,20b,20cの停止条件は所定時間の経過に限られるものではなく、例えば、遊技者によって所定の操作部(回胴停止ボタン38a,38b,38cなど)が操作されたら、停止条件が成立したものとしてもよい。
【0095】
回胴20a,20b,20cの停止条件が成立していない場合は(S320:no)、停止条件が成立するまで待機する。一方、回胴20a,20b,20cの停止条件が成立した場合は(S320:yes)、先に決定された演出用図柄組合せ(S308)が入賞ライン上に揃う位置で回胴20a,20b,20cを停止させる(S322)。前述したように、回胴20a,20b,20cの回転位置を検出するための回胴センサ26a,26b,26cが設けられており、主制御基板200のCPU201は、回胴センサ26a,26b,26cからの検出信号に基づいて、表示窓20内に表示される図柄を把握することができる。S322では、演出用図柄組合せを構成する図柄が入賞ライン上に表示されるように回胴の停止位置を決定し、その決定した位置で回胴を停止させる。このとき、3つの回胴20a,20b,20cは、一斉に停止させてもよいし、順番に停止させてもよい。また、遊技者による回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作に基づいて回胴20a,20b,20cを停止させる場合には、操作順序に従って回胴停止ボタンに対応する回胴を停止させることとしてもよい。
【0096】
尚、前述したようにS308で決定される演出用図柄組合せ(図18)として、図4に示した遊技役を成立させる図柄組合せが設定されており、S322の処理で回胴20a,20b,20cを停止させると、遊技役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に揃っていることがある。もちろん、S322における回胴20a,20b,20cの停止は演出(回胴演出)として行うものであり、たとえ遊技役を成立させる図柄組合せが入賞ライン上に揃っても、遊技役が実際に成立するわけではなく、特典が付与されることもない。
【0097】
こうして回胴20a,20b,20cを停止させたら、スタートレバー36が操作されたか否かを判断する(S324)。スタートレバー36が操作されていない場合は(S324:no)、続いて、所定時間(例えば、10秒)が経過したか否かを判断し(S326)、所定時間が経過していない場合は(S326:no)、S324の処理に戻ってスタートレバー36が操作されたか否かを確認しながら、所定時間が経過するまで待機する。そして、スタートレバー36が操作されることなく所定時間が経過した場合は(S326:yes)、回胴演出実行フラグをOFFに設定する(S328)。その後、図20の回胴演出実行処理を終了して、図15に示した回胴演出制御処理に復帰する。
【0098】
一方、所定時間が経過する前にスタートレバー36が操作された場合は(S324:yes)、回胴演出を継続するか否かを決定するための抽選(回胴演出継続抽選)を実行する(S330)。この回胴演出継続抽選は、回胴演出継続抽選テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、回胴演出継続抽選テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0099】
図21は、第1実施例の遊技機1で用いられる回胴演出継続抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、回胴演出継続抽選テーブルには、回胴演出継続抽選用乱数値と回胴演出継続抽選の結果との対応関係が設定されている。ここで、回胴演出継続抽選用乱数値とは、S324でスタートレバー36の操作信号を受信した際に主制御基板200のCPU201が取得する乱数値である。図21に例示した回胴演出継続抽選テーブルでは、「0〜99」の回胴演出継続抽選用乱数値のうち、「0〜29」に対して「当選(回胴演出を継続)」の抽選結果が設定され、「30〜99」に対して「非当選(回胴演出を継続せず)」の抽選結果が設定されている。つまり、回胴演出継続抽選の当選確率は「30%」となっている。尚、回胴演出継続抽選テーブルは、1種類に限られるものではなく、当選確率が異なる複数の回胴演出継続抽選テーブルを設けておいてもよい。その場合には、遊技状態に応じて参照する回胴演出継続抽選テーブルを切り換えてもよく、例えば、RT状態中は、通常状態中に参照する回胴演出継続抽選テーブルよりも当選確率の高い回胴演出継続抽選テーブルを参照することとしてもよい。
【0100】
S328の回胴演出継続抽選では、図21の回胴演出継続抽選テーブルを参照し、取得した回胴演出継続抽選用乱数値が「当選」に対応する値であれば、回胴演出の継続を可能とし、取得した回胴演出継続抽選用乱数の値が「非当選」に対応する値であれば、回胴演出の継続を不能とする。
【0101】
こうして回胴演出継続抽選を行ったら、回胴演出継続抽選に当選したか否かを判断し(S332)、回胴演出継続抽選に当選した場合は(S332:yes)、回胴20a,20b,20cの回転を再開する(S334)。一方、回胴演出継続抽選に当選していない場合は(S332:no)、回胴20a,20b,20cの回転を再開することなく、回胴演出実行フラグをOFFに設定する(S328)。その後、図20の回胴演出実行処理を終了して、図15に示した回胴演出制御処理に復帰する。尚、第1実施例の遊技機1では、回胴演出継続抽選を行って回胴演出の継続の有無を決定しているが、必ずしも回胴演出継続抽選を行わなければならないわけではなく、回胴演出としての回胴20a,20b,20cの停止が所定回数行われるまで回胴演出を継続可能として、所定回数に達した時点で回胴演出実行フラグをOFFに設定してもよい。また、回胴演出としての回胴20a,20b,20cの停止を1回だけ行う構成として、S322で回胴20a,20b,20cを停止した時点で回胴演出実行フラグをOFFに設定してもよい。
【0102】
図15の回胴演出制御処理では、回胴演出実行処理(S310)から復帰すると、回胴演出実行フラグがONに設定されているか否かを判断する(S312)。回胴演出実行フラグがONに設定されている場合は(S312:yes)、回胴演出継続抽選(図20のS330)に当選して回胴演出が継続されたものと判断されるので、S306の処理に戻って回胴演出での回転態様や演出用図柄組合せを決定した後に再び回胴演出実行処理を行う(S306〜S310)。
【0103】
これに対して、回胴演出実行フラグがONに設定されていない場合は(S312:no)、回胴演出が継続されなかったものと判断されるので、以下に示す回胴20a,20b,20cの回転を復帰させる処理(回胴回転復帰処理)を開始する(S314)。
【0104】
図22は、第1実施例の回胴回転復帰処理を示すフローチャートである。図示されているように回胴回転復帰処理では、先ず初めに、赤7のボーナス役に内部当選しているか否かを判断する(S350)。第1実施例の遊技機1では、3種類の復帰処理(A〜C)が設けられており、内部抽選で当選した遊技役(当選役)の種類に応じて、実行する復帰処理が異なっている。そして、赤7のボーナス役に内部当選している場合は(S350:yes)、復帰処理Aを実行するための処理(復帰処理A実行処理)を行う(S352)。
【0105】
一方、赤7のボーナス役に内部当選していない場合は(S350:no)、続いて、青7のボーナス役に内部当選しているか否かを判断し(S354)、青7のボーナス役に内部当選している場合は(S354:yes)、復帰処理Bを実行するための処理(復帰処理B実行処理)を行う(S356)。
【0106】
これに対して、青7のボーナス役に内部当選していない場合は(S354:no)、ボーナス役以外の遊技役に内部当選していると判断して、復帰処理Cを実行するための処理(復帰処理C実行処理)を行う(S358)。こうして当選役の種類に応じて、復帰処理A実行処理、復帰処理B実行処理、復帰処理C実行処理の何れかを行うと、図22の回胴回転復帰処理を終了して、図15の回胴演出制御処理に復帰する。そして、回胴演出制御処理に復帰すると、そのまま図5および図6の遊技制御処理に復帰して、前述した回胴回転停止処理(S120)以降の処理を行う。尚、第1実施例の復帰処理Aは、本発明の「第1復帰処理」に相当しており、第1実施例の復帰処理Bおよび復帰処理Cは、本発明の「第2復帰処理」に相当している。これら復帰処理A〜Cが記憶されている第1実施例の主制御基板200のROM202は、本発明の「復帰処理記憶手段」に相当している。また、復帰処理A〜Cを実行する第1実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「復帰処理実行手段」に相当している。
【0107】
図23は、第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理A実行処理を示すフローチャートである。復帰処理A実行処理では、先ず初めに、回胴演出の実行前に記憶した回胴20a,20b,20cの停止位置を読み出す(S370)。前述した遊技制御処理(図5および図6)では、回胴回転始動処理(S116)を開始する前の回胴20a,20b,20cの停止位置を主制御基板200のRAM203に記憶するようになっており(S114)、S370の処理では、RAM203に記憶されている停止位置を読み出す。
【0108】
続いて、回胴20a,20b,20cを回転させて、S370の処理で読み出した停止位置に合わせて停止させる(S372)。このため、回胴20a,20b,20の停止位置は、回胴回転始動処理(S116)の開始前の状態に戻ったことになる。尚、停止位置を合わせる際の回胴20a,20b,20cの回転は、順回転(通常の回転方向と同方向の回転)であってもよいし、逆回転(通常の回転方向とは逆方向の回転)であってもよい。こうしてRAM203から読み出した停止位置に合わせて回胴20a,20b,20cを停止させると、回胴回転始動処理(S116)と同様に、3つの回胴20a,20b,20cの回転を開始させる(S374)。その後、図23の復帰処理A実行処理を終了して、図22に示した回胴回転復帰処理に復帰する。
【0109】
図24は、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Aによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。図24には、前回の遊技で回胴20a,20b,20cが停止してから、回胴演出の終了後に回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作が有効化されるまでの回胴20a,20b,20cの状態(停止あるいは回転)が示されている。図示した例では、前回の遊技で通常再遊技役が成立したものとして、通常再遊技役に対応する図柄組合せ(「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃った状態で回胴20a,20b,20cが停止している。
【0110】
スタートレバー36の操作によって内部抽選が行われ、この例では「赤7のボーナス役」に内部当選したものとする。続いて、回胴20a,20b,20cの停止位置が記憶された後、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始する。そして、回胴演出実行抽選に当選することによって回胴演出が実行可能となり、回胴演出での回転態様および演出用図柄組合せが決定されて、例えば、回転態様が「高速回転」に決定されると共に、演出用図柄組合せが「赤7」の図柄組合せ(「赤7」−「赤7」−「赤7」)に決定されたとする。このため、所定時間(例えば、30秒)が経過するまでは回胴20a,20b,20cが高速回転し、所定時間が経過すると、「赤7」の図柄組合せが入賞ライン上に揃う位置で回胴20a,20b,20cが停止する。このように回転中の回胴20a,20b,20cが一旦停止して入賞ライン上に所定の図柄組合せが揃う回胴演出を実行することにより、揃った図柄組合せに遊技者の注目を集めることができる。特に、ボーナス役に対応する図柄組合せが揃った場合には、遊技者にとって有利なボーナス状態の発生に対する期待を高めることも可能であるため、遊技興趣の向上を図ることができる。
【0111】
こうして回胴演出を行ったら、停止した回胴20a,20b,20cの回転を再開させる必要がある。このとき、図24の例では、回胴演出で入賞ライン上に揃った「赤7」の図柄組合せが、内部当選している「赤7のボーナス役」を成立させる図柄組合せと一致しており、そのまま3つの回胴20a,20b,20cが回転を始めたのでは、「赤7」の図柄組合せの関係を保って回転することになるので、「赤7」の図柄を入賞ライン上に狙って遊技者が回胴停止ボタン38a,38b,38cを操作するタイミングをはかり易くなって、目押しを補助してしまうことになる。その結果、回胴演出が行われた場合と回胴演出が行われなかった場合とでボーナス役の成立(ボーナス状態の開始)の可能性が変化することになり、遊技の公平性が失われてしまう。
【0112】
そこで、図24に示した例では、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cの回転を再開するに際して、復帰処理Aを行う。復帰処理Aでは、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cを再び回転させ、回胴演出の実行前(スタートレバー36の操作による回胴20a,20b,20cの回転開始前)に記憶された停止位置に合わせた状態で停止させるようになっている。そのため、通常再遊技役に対応する図柄組合せ(「リプレイ」−「リプレイ」−「リプレイ」)が入賞ライン上に揃った状態で回胴20a,20b,20cが停止する。その後、3つの回胴20a,20b,20cが回転を開始して、定速回転(所定速度で安定した回転)になると、回胴停止ボタン38a,30b,38cの操作が有効化される。
【0113】
このように復帰処理Aでは、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cを回胴演出の実行前の停止位置に戻してから回転を再開するので、回胴演出を行ったのに、回胴演出を行わなかった場合と3つの回胴20a,20b,20cの回転位置の関係が何ら変わることなく、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作が有効化される。従って、回胴演出にてどのような図柄組合せを入賞ライン上に揃えて回胴20a,20b,20cを停止させようとも、目押しの補助となることはなく、遊技の公平性を担保することができる。
【0114】
図25は、第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理B実行処理を示すフローチャートである。復帰処理B実行処理では、先ず初めに、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cの回転を再開するまでの遅延時間を、回胴毎に決定する(S380)。遅延時間の決定は、遅延時間決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、遅延時間決定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0115】
図26は、第1実施例の遊技機1で用いられる遅延時間決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように、遅延時間決定テーブルには、遅延時間決定用乱数値と遅延時間との対応関係が設定されている。ここで、遅延時間決定用乱数値とは、主制御基板200のCPU201が復帰処理B実行処理を開始する際に取得する乱数値であり、回胴毎に異なる乱数値を取得するようになっている。また、第1実施例の遊技機1では、回胴20a,20b,20cの回転速度が1分間に80回転する速度に設定されており、1回転に要する時間である750msecを最大値として50msec刻みで15種類の遅延時間が設定されている。図26に例示した遅延時間決定テーブルでは、「0〜149」の遅延時間決定用乱数値に対して、15種類の遅延時間の何れかが対応付けられている。S380の処理では、図26の遅延時間決定テーブルを参照して、回胴毎に取得した遅延時間決定用乱数値に対応付けられている時間を、その回胴の遅延時間に決定する。
【0116】
こうして回胴毎に遅延時間を決定すると、その決定した遅延時間に従って回胴毎に回転を開始する(S382)。すなわち、回胴演出で回胴20a,20b,20cの全てが停止してからの時間を計時しておき、遅延時間が経過した回胴から順に回転を開始する。その後、図25の復帰処理B実行処理を終了して、図22に示した回胴回転復帰処理に復帰する。
【0117】
図27は、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Bによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。図27に示した例では、図24の例と同様に回胴演出が行われて回胴20a,20b,20cが停止している。尚、図27には、左回胴20aの状態(停止あるいは回転)が一点鎖線で示されており、中回胴20bの状態が実線で示されており、右回胴20cの状態が二点鎖線で示されている。復帰処理Bでは、回胴20a,20b,20cの回転を再開するまでの遅延時間が、回胴毎に決定される。図示した例では、左回胴20aの遅延時間taが最も長く、次に右回胴20cの遅延時間tcが長く、中回胴20bの遅延時間tbが最も短くなっている。そのため、回胴演出で回胴20a,20b,20cの全てが停止してから先ず遅延時間tbが経過すると中回胴20bが回転を開始し、次に遅延時間tcが経過すると右回胴20cが回転を開始し、最後に遅延時間taが経過すると左回胴20aが回転を開始する。そして、3つの回胴20a,20b,20cが定速回転になると、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作が有効化される。
【0118】
このように復帰処理Bでは、回胴毎に異なる遅延時間に従って3つの回胴20a,20b,20cの回転を個別に再開するようになっており、この遅延時間は、回胴の1回転に要する時間(750msec)を超えない範囲で抽選によって決定される。このため、回転を再開した3つの回胴20a,20b,20cでは、もはや回胴演出で揃った図柄組合せ(「赤7」の図柄組合せ)の関係が崩れており(バラバラになっており)、目押しの補助となることはない。従って、回胴演出でどのような図柄組合せを揃えたとしても遊技の公平性を担保することができる。
【0119】
図28は、第1実施例の回胴回転復帰処理の中で行われる復帰処理C実行処理を示すフローチャートである。復帰処理C実行処理では、先ず初めに、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cの回転を再開する順序を決定する(S390)。再開順序の決定は、再開順序決定テーブルと呼ばれる専用のテーブルを参照して行われる。尚、再開順序決定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
【0120】
図29は、第1実施例の遊技機1で用いられる再開順序決定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されるように、再開順序決定テーブルには、再開順序決定用乱数値と再開順序との対応関係が設定されている。ここで、再開順序決定用乱数値とは、主制御基板200のCPU201が復帰処理C実行処理を開始する際に取得する乱数値である。図29に例示した再開順序決定テーブルでは、「0〜149」の再開順序決定用乱数値に対して、3つの回胴20a,20b,20cの回転を再開する6通りの順序の何れかが対応付けられている。S390の処理では、図29の再開順序決定テーブルを参照して、取得した再開順序決定用乱数値に対応付けられている順序を、再開順序に決定する。
【0121】
こうして再開順序を決定すると、その決定した再開順序に従って回胴毎に回転を開始する(S392)。復帰処理Cでは、3つの回胴20a,20b,20cの回転を再開する間隔時間(例えば、250msec)が予め設定されており、回胴演出で回胴20a,20b,20cの全てが停止してから間隔時間が経過する毎に再開順序に従って1つずつ回胴の回転を開始する。尚、間隔時間は、回胴の1回転に要する時間(750msec)よりも短い時間に設定されている。
【0122】
図30は、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cが、復帰処理Cによって回転を再開する様子を示したタイムチャートである。図30に示した例では、図24の例と同様に回胴演出が行われて回胴20a,20b,20cが停止している。尚、図30には、左回胴20aの状態(停止あるいは回転)が一点鎖線で示されており、中回胴20bの状態が実線で示されており、右回胴20cの状態が二点鎖線で示されている。復帰処理Cでは、回胴20a,20b,20cの回転を再開する順序が決定される。図示した例では、最初に左回胴20a、次に中回胴20b、最後に右回胴20cの再開順序に決定されている。そのため、回胴演出で回胴20a,20b,20cの全てが停止してから間隔時間tfが経過すると先ず左回胴20aが回転を開始する。また、左回胴20aの回転開始から間隔時間tfが経過すると中回胴20bが回転を開始し、更に中回胴20bの回転開始から間隔時間tfが経過すると右回胴20cが回転を開始する。そして、3つの回胴20a,20b,20cが定速回転になると、回胴停止ボタン38a,38b,38cの操作が有効化される。
【0123】
このように復帰処理Cでは、抽選で決定された再開順序に従って3つの回胴20a,20b,20cの回転を個別に再開するようになっており、回転を再開する間隔時間は、回胴の1回転に要する時間(750msec)よりも短くなっている。このため、回転を再開した3つの回胴20a,20b,20cでは、もはや回胴演出で揃った図柄組合せ(「赤7」の図柄組合せ)の関係が崩れており(バラバラになっており)、目押しの補助となることはない。従って、回胴演出でどのような図柄組合せを揃えたとしても遊技の公平性を担保することができる。
【0124】
以上に説明したように、第1実施例の遊技機1では、回胴演出で停止した回胴20a,20b,20cの回転を再開するに際して、復帰処理A〜Cの何れかを行うようになっている。これにより、回転を再開した3つの回胴20a,20b,20cでは、回胴演出で揃った図柄組合せの関係が残っておらず、目押しの補助となることはないで、遊技の公平性を担保することができる。
【0125】
そして、第1実施例の遊技機1では、復帰処理A〜Cのうち何れを実行するかを、内部当選しているボーナス役の種類(赤7のボーナス役、青7のボーナス役)に応じて決定するようになっており、遊技者は、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様(赤7のボーナス役に対応する復帰処理Aか、青7のボーナス役に対応する復帰処理Bか)によって、内部当選しているボーナス役の種類を推測することができる。このため、遊技者にとって有利な赤7のボーナス役に内部当選しているのではないかと期待させて復帰処理に遊技者の注目を集めることができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0126】
C−3−2.第2実施例 :
上述した第1実施例では、内部抽選でボーナス役に内部当選すると高い確率で回胴演出が行われ、内部当選しているボーナス役の種類に応じて回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様を異ならせる構成となっていた。しかし、AT発生抽選が行われるスイカ役の内部当選時に回胴演出の実行を可能として、AT発生抽選の結果に応じて回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様を異ならせる構成としてもよい。以下では、このような構成の第2実施例について説明する。尚、第2実施例の説明にあたっては、上述した第1実施例と同様の構成部分については、第1実施例と同様の符号を付して詳細な説明を省略することとし、第1実施例とは異なる構成部分を中心に説明する。
【0127】
図31は、第2実施例の回胴演出制御処理を示すフローチャートである。図示されているように第2実施例の回胴演出制御処理では、先ず初めに、スイカ役に内部当選しているか否かを判断する(S400)。第2実施例では、AT発生抽選が行われるスイカ役の内部当選時に回胴演出の実行が可能となっており、スイカ役に内部当選していない場合は(S400:no)、そのまま図31の回胴演出制御処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。一方、スイカ役に内部当選している場合は(S400:yes)、回胴演出実行抽選に当選したか否かを判断する(S402)。第2実施例の遊技機1では、スイカ役に内部当選すると、同時に回胴演出実行抽選が行われるようになっている。
【0128】
図32は、抽選テーブルのスイカ役に対して設定された乱数値と回胴演出実行抽選の結果との対応関係を示した説明図である。図10を用いて前述したように、スイカ役に対して設定された12000〜13999の乱数値のうち、12000〜12499の範囲の乱数値には、AT発生抽選に「当選」の結果が設定されており、12500〜13999の範囲の乱数値には、AT発生抽選に「非当選」の結果が設定されている。そして、AT発生抽選に「当選」の12000〜12499の乱数値のうち、12000〜12299の範囲の乱数値には、回胴演出実行抽選に「当選」の結果が設定されているのに対して、12300〜12499の範囲の乱数値には、回胴演出実行抽選に「非当選」の結果が設定されている。また、AT発生抽選に「非当選」の12500〜13999の乱数値のうち、12500〜13399の範囲の乱数値には、回胴演出実行抽選に「当選」の結果が設定されているのに対して、13400〜13999の範囲の乱数値には、回胴演出実行抽選に「非当選」に結果が設定されている。
【0129】
S402の処理では、スイカ役に内部当選する乱数値のうち、回胴演出実行抽選に「当選」の結果に対応する乱数値であるか否かを判断し、回胴演出実行抽選に「非当選」の結果に対応する乱数値である場合は(S402:no)、回胴演出を行うことなく、図31の回胴演出制御処理を終了して、図5および図6に示した遊技制御処理に復帰する。一方、回胴演出実行抽選に「当選」の結果に対応する乱数値である場合は(S402:yes)、乱数値に対応付けられた回転態様で回胴20a,20b,20cを回転させる(S404)。尚、第2実施例の遊技機1では、回胴演出実行抽選を内部抽選と同時に行うこととしているが、内部抽選とは独立して行うこととしてもよい。
【0130】
図32に示すように、AT発生抽選に「当選」であり、且つ、回胴演出実行抽選に「当選」である12000〜12299の乱数値のうち、12000〜12099の乱数値には逆回転が設定され、12100〜12199の乱数値には高速回転が設定され、12200〜12299の乱数値には低速回転が設定されている。また、AT発生抽選に「非当選」であり、且つ、回胴演出実行抽選に「当選」である12500〜13399の乱数値のうち、12500〜12599の乱数値には逆回転が設定され、12800〜13099の乱数値には高速回転が設定され、13100〜13399の乱数値には低速回転が設定されている。S404の処理では、回胴演出実行抽選に「当選」の結果に対応する乱数値のうち、何れの回転態様に対応付けられた乱数値を取得したかに応じて、回胴演出での回胴20a,20b,20cの回転態様を決定し、その態様で回胴20a,20b,20cを回転させる。尚、第2実施例の遊技機1では、回転態様の決定を内部抽選と同時に行うこととしているが、内部抽選とは独立して行うこととしてもよい。
【0131】
続いて、回胴20a,20b,20cの停止条件が成立したか否かを判断する(S406)。第2実施例の遊技機1では、前述した第1実施例と同様に、所定時間(例えば、30秒)が経過したら、停止条件が成立したものとしているが、遊技者によって所定の操作部(回胴停止ボタン38a,38b,38cなど)が操作されたら、停止条件が成立したものとしてもよい。回胴20a,20b,20cの停止条件が成立していない場合は(S406:no)、停止条件が成立するまで待機する。そして、回胴20a,20b,20cの停止条件が成立した場合は(S406:yes)、演出用図柄組合せ(例えば、「赤7」の図柄組合せ)が入賞ライン上に揃う位置で回胴20a,20b,20cを停止させる(S408)。尚、第2実施例の遊技機1では、予め設定された演出用図柄組合せを入賞ライン上に揃えることとしているが、前述した第1実施例と同様に、演出用図柄組合せを抽選で決定してもよい。
【0132】
こうして回胴演出として回胴20a,20b,20cを停止させると、以下のように回胴20a,20b,20cの回転を復帰させるための処理を行う。先ず、スイカ役に内部当選した乱数値が、復帰処理Aに対応付けられた乱数値であるか否かを判断する(S410)。図32に示すように、AT発生抽選に「当選」であり、且つ、回胴演出実行抽選に「当選」である12000〜12299の乱数値には、復帰処理Aが対応付けられている。一方、AT発生抽選に「非当選」であり、且つ、回胴演出実行抽選に「当選」である12500〜13399の乱数値には、復帰処理Bまたは復帰処理Cが対応付けられている。そして、復帰処理Aに対応付けられた乱数値である場合は(S410:yes)、図23の復帰処理A実行処理を行う(S412)。
【0133】
これに対して、復帰処理Aに対応付けられた乱数値ではない場合は(S410:no)、復帰処理Bに対応付けられた乱数値であるか否かを判断し(S414)、復帰処理Bに対応付けられた乱数値である場合は(S414:yes)、図25の復帰処理B実行処理を行う(S416)。一方、復帰処理Bに対応付けられた乱数値でない場合は(S414:no)、復帰処理Cに対応付けられた乱数値であると判断して、図28の復帰処理C実行処理を行う(S418)。こうして復帰処理A実行処理、復帰処理B実行処理、復帰処理C実行処理の何れかを行うと、図31の回胴演出制御処理を終了して、図5および図6の遊技制御処理に復帰し、回胴回転停止処理(S120)以降の処理を行う。
【0134】
以上に説明したように、第2実施例の遊技機1では、回胴演出の終了後に復帰処理A〜Cの何れを行うかが、AT発生抽選の結果(AT期間を発生させるか否か)に応じて決定されるようになっており、AT発生抽選に「当選」であれば復帰処理Aが行われるのに対して、AT発生抽選に「非当選」であれば復帰処理Bまたは復帰処理Cが行われる。そして、AT発生抽選に当選してAT期間が発生すると、特殊再遊技役の報知演出が行われて、通常状態において特殊再遊技役が成立すると、RT状態(ART状態)が開始される。このように、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様によって、遊技者は、AT期間が発生するか否か、延いてはRT状態が開始されるか否かを推測することができる。このため、遊技者にとって有利なRT状態が開始されるのではないかと期待させて復帰処理に遊技者の注目を集めることができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
【0135】
以上、本発明について実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0136】
例えば、前述した第2実施例では、RT状態(ART状態)においてスイカ役に内部当選すると、AT発生抽選に代えて、ART回数の上乗せを可能とするか否かの抽選(ART上乗せ抽選)を主制御基板200のCPU201が行うこととしてもよい。そして、ART上乗せ抽選に当選すると、サブ制御基板220のCPU221が上乗せする回数(上乗せ回数)を決定して、ART回数に加算することとしてもよい。この場合は、回胴演出の終了後に復帰処理A〜Cの何れを実行するかを、上乗せ抽選の結果に応じて決定してもよく、例えば、ART上乗せ抽選に「当選」であれば復帰処理Aを行うのに対して、ART上乗せ抽選に「非当選」であれば復帰処理Bまたは復帰処理Cを行うこととしてもよい。このようにすれば、回胴演出の終了後に行われる復帰処理の態様によって、遊技者は、ART回数が上乗せ(加算)されるか否かを推測することができる。このため、遊技者にとって有利なRT状態(ART状態)が延長されるのではないかと期待させて復帰処理に遊技者の注目を集めることができ、その結果、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。また、サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200のCPU201が復帰処理を行うタイミングに合わせて、演出表示装置10等に上乗せ回数を表示することとしてもよく、こうすることで、ART回数が加算されることを遊技者に強く印象付けて、遊技興趣の更なる向上を図ることができる。
【0137】
また、前述した実施例では、特殊再遊技役あるいはベル役の報知演出として、内部当選している遊技役に対応付けられた押し順を報知するようになっていた。しかし、報知の対象は、内部当選している遊技役の成立を補助する情報であればよく、押し順に限定されるものではない。例えば、ベル役Aに対応する「赤ベル」の図柄、ベル役Bに対応する「青ベル」の図柄、ベル役Cに対応する「黄ベル」の図柄を設けておくこととして、内部当選したベル役に対応する色を報知することとしてもよい。また、「赤ベル」に対応するベル役A、「青ベル」に対応するベル役B、「黄ベル」に対応するベル役Cに内部当選した場合、停止操作部の操作タイミングに基づいて各ベル役の図柄を表示可能とすることとしてもよい。
【0138】
また、前述した第1実施例および第2実施例では、回胴演出中に予め設定された演出用図柄組合せを入賞ライン上に揃える例を挙げたが、これに限定されるものではない。具体的には、回胴演出において、予め設定された演出用図柄組合せを、入賞ライン上以外の場所(表示窓20内、または表示窓20外)に揃えることとしてもよい。
【0139】
また、前述した第2実施例では、スイカ役に内部当選した場合に、回胴演出実行抽選およびAT発生抽選を行うことを例示したが、これに限定されるものではない。具体的には、スイカ役以外の役またはどの役でもないはずれが内部抽選の結果として決定された場合に、回胴演出実行抽選およびAT発生抽選を行うこととしてもよい。更に、2種類の遊技役(例えば、チェリー役とスイカ役)の何れかに内部当選すると、回胴演出実行抽選およびAT発生抽選を行うこととして、一方に(例えば、チェリー役)内部当選した場合の方が、他方に(例えば、スイカ役)内部当選した場合に比べて、回胴演出実行抽選およびAT発生抽選に当選し易くなることとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明は、遊技ホールで用いられる回胴式遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0141】
1…遊技機、 20a,20b,20c…回胴、
36…スタートレバー(開始操作部)、
38a,38b,38c…回胴停止ボタン(停止操作部)、
200…主制御基板、
201…CPU(抽選手段、回胴演出実行手段、復帰処理実行手段)、
202…ROM(復帰処理記憶手段)、
203…RAM。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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