(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、押しボタン式の電話装置やキーボードのキーでは、押しボタンの表面やキートップが光る照光スイッチが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されたキーボードスイッチ100は、
図11の(a)に示すように、スイッチ本体101と回路基板102とからなっている。
【0004】
上記スイッチ本体101は、
図12に示すように、キーキャップ110と、上筐体120と、この上筐体120の開口121から突出する円筒部材131を有し、かつ下方移動自在に設けられた押しボタン部材130と、押しボタン部材130の内部空間に配された複数のLEDからなる光源140及びコイルバネ150と、上筐体120に係止される下筐体160と、下筐体160に支持されたスイッチ部170とを備えている。
【0005】
上記スイッチ部170は、第1接点部材171と第2接点部材172とからなっている。そして、キーキャップ110の押し下げ操作により押しボタン部材130が下方移動し、その下方移動によって第1接点部材171と第2接点部材172とが接触してスイッチ部170がオン状態となる。一方、キーキャップ110の押し下げ操作の解除によりコイルバネ150によって押しボタン部材130が上方移動し、その上方移動によって第1接点部材171と第2接点部材172との接触が解除されてスイッチ部170がオフ状態となる。
【0006】
上記キーボードスイッチ100では、
図11の(b)に示すように、押しボタン部材130の内部空間に配された複数のLEDからなる光源140が、スイッチ部170のオン時に点灯され、キーキャップ110の上面111を照射するようになっている。
【0007】
また、例えば特許文献2に開示された電話装置に備えられた照光スイッチ200は、
図13に示すように、回路基板201に設けられたLED210からの光を透過する導光部221が形成されたキーパッド部材220と、キーパッド部材220を覆う押しボタン部材230とを備えている。
【0008】
上記照光スイッチ200では、LED210からの光が、導光部221を透過して押しボタン部材230の操作面231に導かれる。このため、押しボタン部材230の操作面123が照らされる。その結果、操作面231の視認性を向上させることができるものとなっている。
【0009】
尚、上記照光スイッチ200では、キーパッド部材220の下面にスイッチ電極222・223が設けられる一方、回路基板201の対向位置にも図示しない対向電極が設けられている。このため、押しボタン部材230の下方移動により、スイッチ電極222・223が回路基板201に設けられた対向電極に接触することにより、スイッチオンされるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1に開示されたキーボードスイッチ100は、
図11の(a)(b)に示すように、複数のLEDからなる光源140がスイッチ本体101に内蔵される構造であるため、出力端子数が多くなる。例えば、LEDがR(Red:赤)・G(Green:緑)・B(Brue:青)の3色を発光可能なものである場合、
図11の(a)及び
図12に示すように、出力端子141は例えば正極3本と共通の負極とを合わせて4本となる。
【0012】
加えて、キーボードスイッチ100では、スイッチ部170もスイッチ本体101に内蔵されている。このため、スイッチ本体101からは、スイッチ部170の第1接点部材171及び第2接点部材172における出力端子171a・172aが引き出されている。
【0013】
この結果、4本の出力端子141と2本の出力端子171a・172aとの合計6本がスイッチ本体101から引き出されており、これら6本の出力端子141及び出力端子171a・172aが回路基板102に穿設された孔に挿入実装されて電気接続されるようになっている。
【0014】
しかしながら、上記従来のキーボードスイッチ100において、出力端子141及び出力端子171a・172aを回路基板102の孔に挿入実装する場合、6本を同時に孔に挿入する作業は、煩雑であり、手間を要する。このため、工数の増大を招く。また、出力端子141又は出力端子171a・172aが折れることにより不良品の増加を招く。一方、この作業を容易にするためには、出力端子141及び出力端子171a・172aの端子配列に高い寸法精度が要求される。したがって、コスト増加を招くことになる。
【0015】
ここで、特許文献2に開示された照光スイッチ200では、LED210は回路基板201に設けられているので、LED210の出力端子を挿入実装する手間は省かれる。しかし、スイッチ機構が、スイッチ電極222・223が回路基板201に設けられた図示しない対向電極に接触することにより、スイッチ電極222・223がオンされる構造であるので、スイッチ電極222・223の出力端子が存在しない。
【0016】
すなわち、特許文献2に開示された照光スイッチ200は、スイッチ本体にスイッチ部が構成されて出力端子が引き出される構成ではない。このため、出力端子を回路基板201の挿入実装させる場合の手間が発生することがない。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体、及び光源の回路基板への実装作業を容易にし得る照光スイッチ及びキーボードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様における照光スイッチは、上記の課題を解決するために、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体を備え、光源から上記照光スイッチ本体の上面に向けて光が照射される照光スイッチにおいて、上記光源は、上記照光スイッチ本体とは別体に形成された回路基板に設けられていると共に、上記照光スイッチ本体における上記電気信号切替部の出力端子は、上記回路基板に形成された孔に挿入されることにより電気的接続が可能となっていることを特徴としている。
【0019】
上記の発明によれば、光源は、照光スイッチ本体とは別体に形成された回路基板に設けられている。その結果、照光スイッチ本体からは電気信号切替部からの2本の出力端子しか引き出されていない。このため、この2本の出力端子を回路基板に形成された孔に挿入することにより電気的接続することつまり挿入実装は容易である。その結果、工数の増加等を招くことはない。
【0020】
ここで、本発明では、光源の回路基板への実装と照光スイッチ本体の回路基板への実装との2工程に分けて実装が行われる。しかしながら、このように、実装を2工程に分けることによって、一度の実装工程にて光源の出力端子と照光スイッチ本体における電気信号切替部の出力端子を一度の実装工程にて行うよりも作業が容易となり、結果的に工数の削減を図ることができるものとなる。
【0021】
したがって、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体、及び光源の回路基板への実装作業を容易にし得る照光スイッチを提供することができる。
【0022】
本発明の一態様における照光スイッチでは、前記照光スイッチ本体は、押圧操作されることにより前記電気信号切替部をオン状態又はオフ状態に切り替える押しボタン部を備えていると共に、前記光源は、上記押しボタン部を通して上記照光スイッチ本体の上面に向けて光を照射するとすることができる。
【0023】
これにより、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体、及び光源の回路基板への実装作業を容易にし得る押しボタン方式の照光スイッチを提供することができる。
【0024】
本発明の一態様における照光スイッチでは、前記押しボタン部には、前記光源からの光を通す中空部が形成されているとすることができる。
【0025】
これにより、押しボタン部に中空部が形成されていることにより、回路基板に搭載された光源から中空部を通して照光スイッチ本体の上面に向けて光を容易に照射させることができる。
【0026】
本発明の一態様における照光スイッチでは、前記照光スイッチ本体には、前記光源からの光を該照光スイッチ本体の上面に導く導光部材が設けられていることが好ましい。
【0027】
すなわち、回路基板に搭載された光源から中空部を通して照光スイッチ本体の上面に向けて光を照射させた場合には、照光スイッチ本体の上面での輝度の低下が大きい。
【0028】
これに対して、回路基板に搭載された光源から導光部材を通して照光スイッチ本体の上面に向けて光を照射させた場合には、導光部材の光エネルギーの低下が小さいので、照光スイッチ本体の上面での輝度の低下は小さい。
【0029】
したがって、照光スイッチ本体の上面をより明るく照射することができる。
【0030】
本発明の一態様におけるキーボードは、前記記載の照光スイッチを備えていることを特徴としている。
【0031】
上記の発明によれば、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体及び光源の回路基板への実装作業を容易にし得る照光スイッチを備えたキーボードを提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、電気信号切替部を有する照光スイッチ本体、及び光源の回路基板への実装作業を容易にし得る照光スイッチ及びキーボードを提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について
図1〜
図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0035】
本実施の形態の照光スイッチとしての照光式押しボタンスイッチは、有接点式のスイッチであり、特にキーボードに組み込まれる照光スイッチに適した構成になっている。ただし、本発明においては、必ずしもキーボードに限らず、その他の例えば産業用操作パネル、業務用映像機器の操作パネル、民生機器等に組み込まれる照光式押しボタンスイッチにも適用が可能である。
【0036】
(照光式押しボタンスイッチの構成)
本実施の形態の照光スイッチとしての照光式押しボタンスイッチ10Aの構成について、
図1〜
図5に基づいて説明する。
図1は、照光式押しボタンスイッチ10Aの全体構成を、キートップを含むスイッチ本体11と回路基板12とに分解して示す斜視図である。
図2の(a)は、照光式押しボタンスイッチ10Aの全体構成を、キートップ1の内部を透視して示す斜視図である。
図2の(b)は、キートップ1の内部の構造を示す斜視図である。
図3は、照光式押しボタンスイッチ10Aの全体構成を示す分解斜視図である。
図4の(a)は、照光式押しボタンスイッチ10Aのプランジャ本体30aの全体構成を示す斜視図である。
図4の(b)は、プランジャ本体30aの底面の構成を示す斜視図である。
図5は、照光式押しボタンスイッチ10Aの全体構成を破断して示す斜視断面図である。
【0037】
本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Aは、
図1に示すように、スイッチ本体11と回路基板12とから構成されており、両者は互いに別体の部材からなっている。
【0038】
上記回路基板12には、光源40が実装されている。光源40は、例えば、R(Red:赤)・G(Green:緑)・B(Brue:青)の3色を発光可能な複数のLEDからなっている。各LEDの出力端子は、R(Red:赤)・G(Green:緑)・B(Brue:青)の各陽極端子と共通の陰極端子との4本からなっている。これら4本の出力端子は、例えば、回路基板12に形成された孔に挿入されることにより電気的接続が可能となるように挿入実装されている。尚、挿入実装においては、各出力端子は回路基板12の図示しない端子にそれぞれ電気的に接続されるが、そのとき、接続を強固にするため、半田付けされていてもよい。また、本実施の形態では、複数のLEDの出力端子は、挿入実装されているとしているが、必ずしもこれに限らず、表面実装されていてもよい。表面実装では、複数のLEDの出力端子は、回路基板12の表面の端子にそれぞれ半田付けされる。
【0039】
上記スイッチ本体11は、
図2の(a)及び
図3に示すように、カバー部材であるキートップ1と、上部ケース20と、押しボタン部としてのプランジャ部30と、電気信号切替部としての接点機構50と、下部ケース60とを備えている。
【0040】
以下、順に、上記各構成要素について説明する。
【0041】
キートップ1は、略四角形の箱状をしており、プランジャ部30全体を覆っている。尚、キートップ1の略四角形の箱状は、必ずしも正四角錐台に限らず、長方形角錐台でもよい。また、キートップ1は、必ずしも略四角形の箱状に限らず、円形又は楕円形等の箱状でもよい。
【0042】
キートップ1のキートップ上面1aは、キーボードのキー操作面つまり指で押圧する面となっている。
【0043】
上記キートップ1の材質としては、例えばPBT(Poly Butylene Terephthalate)、PC(poly carbonate)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)樹脂等の成形樹脂材料、又はPC(poly carbonate)、アクリル樹脂等の透光性材料を適用することができる。
【0044】
上記キートップ1の裏面には、
図2の(a)に示すように、キートップ1とプランジャ上壁31との間に空間部分を形成するための二段円筒支持部2が形成されており、この二段円筒支持部2の下側には、後述するプランジャ上壁31に形成された圧入穴部34・34及び圧入穴部35・35に挿入するための下側円筒支持部突出部2a・2bが形成されている。
【0045】
上部ケース20は、
図3に示すように、下部ケース60に嵌合して接点機構50を被覆すると共に、プランジャ部30を上下動可能に支持する。したがって、上部ケース20は、方形の枠状となっており、後述するプランジャ本体30aのプランジャ上壁31が挿通可能な穴部21を有している。また、方形枠状の上部ケース20における互いに対向する一対の辺の外側には、下部ケース60の下部ケース壁係止部65・65にスナップフィット方式によって嵌合係止される上部ケース係止部22・22が形成されている。
【0046】
プランジャ部30は、プランジャ本体30aとコイルバネ30bとを備えている。ここでは、照光式押しボタンスイッチ10Aを押し込む方向をZ方向とする。そして、Z方向において、キートップ1側を上側とし、回路基板12側を下側とする。
【0047】
プランジャ本体30aは、
図4の(a)(b)に示すように、円筒形状のプランジャ上壁31と方形枠体形状のプランジャ下壁32とを備え、プランジャ上壁31とプランジャ下壁32との間には、プランジャ床33が設けられている。
【0048】
上記プランジャ上壁31には、圧入穴部34・34及び圧入穴部35・35が形成されている。このため、前述したように、この圧入穴部34・34及び圧入穴部35・35に、キートップ1の裏面に形成された
図2の(b)に示す下側円筒支持部突出部2a・2bが挿通されることにより、キートップ1とプランジャ部30とが一体化されて互いに支持固定されるようになっている。
【0049】
プランジャ本体30aのプランジャ床33には、
図4の(b)に示すように、プランジャ下壁32側の中央部にプランジャ下壁内円筒36が形成されている。このプランジャ下壁内円筒36は、円筒形状のプランジャ上壁31の内径よりも小さい内径を有している。この結果、プランジャ部30には、円筒形状のプランジャ上壁31及びプランジャ下壁内円筒36によって形成された空間部としてのプランジャ貫通孔37が形成されている。これにより、光源40からの光がプランジャ貫通孔37を通してキートップ上面1aに照射される。
【0050】
次に、プランジャ本体30aのプランジャ下壁32には、
図4の(a)(b)に示すように、カム部38・38が形成されている。カム部38は、プランジャ下壁32において、下側程、該プランジャ下壁32から外側に突出する断面三角形となっている。このカム部38は、後述する接点機構50の可動接点プレート51に摺動して該可動接点プレート51と固定接点プレート52との断接を行うようになっている。
【0051】
図3に示すコイルバネ30bは、前記プランジャ床33の裏面に接触して配置されている。コイルバネ30bは、キートップ1が押圧操作されてプランジャ本体30aが下側に押圧されたときに、その押圧する力とは反対方向の弾性力が働くように、下部ケース60内に収容されている。
【0052】
下部ケース60は、
図3及び
図5に示すように、四角柱の箱形状になっており、下部ケース60の略中心には円筒管61が形成されている。そして、円筒管61の軸中心には、光源40が位置するようになっている。この円筒管61の内部は中空となっている。
【0053】
また、下部ケース60には、円筒管61を取り囲むように、挿入管62が形成されている。この挿入管62は、下部ケース60の底面を貫通せず、回路基板12まで挿通しない構成になっている。これにより、前記プランジャ部30のコイルバネ30bが、円筒管61の外壁と挿入管62の内壁との間の空間内に収容されるようになっている。すなわち、下部ケース60においては、円筒管61及び挿入管62によって、中央スペースが規定されている。
【0054】
さらに、下部ケース60には、挿入管62の外壁と下部ケース60の下部ケース壁63とによって囲まれた空間が形成されており、この空間内には接点機構50が収容されるようになっている。
【0055】
また、
図3に示すように、下部ケース壁63が形成する矩形形状の一対の対向辺の各中央部には、上側へ突出した遊嵌案内部64・64が形成されている。これら2つの遊嵌案内部64・64は、プランジャ部30におけるプランジャ下壁32の外側に形成された突出ライン部39・39をZ方向にスライド自在に遊嵌させる。これにより、プランジャ部30がZ方向に移動自在となっている。したがって、遊嵌案内部64・64は、照光式押しボタンスイッチ10Aを押圧操作するときに、プランジャ本体30aを下側へ案内する案内部として機能する。
【0056】
また、矩形形状の下部ケース壁63における対向する一対の辺の外側には、下部ケース壁係止部65・65が設けられている。これら下部ケース壁係止部65・65は、上部ケース20に形成された前記上部ケース係止部22・22と互いにスナップフィット方式によって嵌合係止されるようになっている。これにより、上部ケース20と下部ケース60とが容易に一体化されるようになっている。
【0057】
また、下部ケース60の底面には、
図1に示すように、位置決めピン66・66が回路基板12に向けて突出するように設けられている。この位置決めピン66・66は、回路基板12に設けられた位置決めピン用貫通孔12a・12aに挿入されるようになっており、これによって、スイッチ本体11を回路基板12に支持固定されるものとなっている。この位置決めピン66・66は、スイッチ本体11が回路基板12に対して容易に水平移動及び回転移動しないようにするための強度を有して支持固定するものであり、丈夫な一対の円柱部材にて形成されている。ただし、必ずしも円柱部材に限らず、多角柱部材等でもよい。また、多角柱部材の場合であって平板部材等の回転が規制できる形状であれば、必ずしも一対に限らず、1箇所としてもよい。
【0058】
この結果、位置決めピン用貫通孔12a・12aもある程度の大きさを有しており、位置決めピン66・66を容易に挿入し得るものとなっている。
【0059】
尚、本実施の形態では、上述したように、下部ケース60の底面に位置決めピン66・66が設けられている。しかし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、位置決めピン66・66が設けられていなくてもよい。
【0060】
次に、接点機構50の構成について、
図6に基づいて詳述する。
図6は、照光式押しボタンスイッチ10Aにおけるプランジャ本体30aのカム部38と接点機構50との関係を示す斜視図である。
【0061】
接点機構50は、
図6に示すように、可動接点プレート51と固定接点プレート52とからなっている。
【0062】
上記可動接点プレート51及び固定接点プレート52は、導電材から構成されており、下側にそれぞれ出力端子51a・52aを有している。これら出力端子51a・52aは、回路基板12に形成された端子用貫通孔12b・12bに挿入されて半田付けされることにより、回路基板12の図示しない端子に電気的に接続されるようになっている。したがって、出力端子51a・52aは、回路基板12の端子用貫通孔12b・12bに挿入実装される。尚、本発明では、出力端子51a・52aが回路基板12に形成された端子用貫通孔12b・12bに挿入されることにより、回路基板12の図示しない端子に電気的に接続されれば足り、半田付けの有無は問わない。
【0063】
上記可動接点プレート51は、弾性変形する板バネからなっている。本実施の形態では、キートップ上面1aを押圧操作する前の状態においては、カム部38の下側が可動接点プレート51に当接することによって、可動接点プレート51は固定接点プレート52とは離れた状態となっている。
【0064】
この状態から、キートップ1のキートップ上面1aを押圧操作すると、プランジャ本体30aが押し下げられる。このとき、カム部38によって、板バネにてなる可動接点プレート51がカム部38を摺動する。これによって、該可動接点プレート51が固定接点プレート52に接触し、接点機構50がオン状態となる。
【0065】
このオン状態から、キートップ上面1aの押圧を解除すると、プランジャ本体30aがコイルバネ30bによって上昇する。このとき、カム部38の下部の突出部が可動接点プレート51を押圧して該可動接点プレート51を固定接点プレート52に接触する側とは反対側に付勢して変位させる。これにより、可動接点プレート51と固定接点プレート52との接触が解除され、接点機構50がオフ状態となる。
【0066】
(照光式押しボタンスイッチの実装作業を容易にするための構成)
本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Aは、電気信号切替部としての接点機構50を有する照光スイッチ本体としてのスイッチ本体11を備え、光源40からスイッチ本体11の上面に向けて光が照射される。
【0067】
ところで、この種の照光式押しボタンスイッチ10Aにおいては、従来、光源40と接点機構50との両方がスイッチ本体11に設けられていた。このため、光源40からの出力端子と接点機構50からの出力端子51a・52aとの少なくとも4本がスイッチ本体11から引き出されているので、これら4本の出力端子を回路基板12に形成された孔に挿入して電気的接続していた。このため、その作業が煩雑であるので、工数の増加等を招いていた。
【0068】
そこで、本実施の形態においては、光源40は、スイッチ本体11とは別体に形成された回路基板12に設けられている構成としている。この結果、スイッチ本体11からの出力端子としては、接点機構50からの2本の出力端子51a・52aしか引き出されていない。このため、この2本の出力端子51a・52aを回路基板12に形成された孔としての端子用貫通孔12b・12bに挿入して電気的接続すること、つまり挿入実装は容易である。その結果、工数の増加等を招くことはない。尚、スイッチ本体11からは、位置決めピン66・66も引き出されている。しかし、この位置決めピン66・66は出力端子51a・52aに比べて太く形成されているので、位置決めピン66・66を位置決めピン用貫通孔12a・12aに挿入する手間は極めて小さい。
【0069】
ここで、本実施の形態では、光源40は、スイッチ本体11とは別体に形成された回路基板12に設けられている。この光源40の回路基板12への実装は、スイッチ本体11の回路基板12への実装の前に行われる。
【0070】
この結果、本実施の形態では、光源40の回路基板12への実装とスイッチ本体11の回路基板12への実装との2工程に分けて実装が行われる。しかしながら、このように、実装を2工程に分けることによって、一度の実装工程にて光源40の出力端子と、スイッチ本体11における接点機構50の出力端子51a・52aを一度の実装工程にて行うよりも作業が容易となり、結果的に工数の削減を図ることができるものとなる。
【0071】
したがって、接点機構50を有するスイッチ本体11、及び光源40の回路基板12への実装作業を容易にし得る照光式押しボタンスイッチ10Aを提供することができる。
【0072】
(照光式押しボタンスイッチの組立て方法)
ここで、上記構成を有する照光式押しボタンスイッチ10Aの組立て方法の一例について説明する。
【0073】
まず、
図1に示すように、回路基板12の光源40を実装する。光源40の回路基板12への実装は、挿入実装又は表面実装のいずれでもよい、
一方、スイッチ本体11の組み立ては、
図3に示すように、まず、下部ケース60の挿入管62にコイルバネ30bを挿入する。
【0074】
次に、コイルバネ30bの上側から、プランジャ本体30aのプランジャ下壁32に形成された突出ライン部39・39を下部ケース壁63の遊嵌案内部64・64に挿入することにより、プランジャ本体30aを下部ケース60に装着する。
【0075】
このとき、可動接点プレート51は、カム部38に当接することにより、外側へ変位するように付勢される。このため、可動接点プレート51は、固定接点プレート52から離れた状態となっている。
【0076】
次いで、上部ケース20の上部ケース係止部22・22を下部ケース60の下部ケース壁係止部65・65に挿入することにより、上部ケース20を下部ケース60にスナップフィット方式にて装着する。
【0077】
さらに、キートップ1の下側円筒支持部突出部2a・2a及び下側円筒支持部突出部2b・2bをプランジャ部30の圧入穴部34・34及び圧入穴部35・35に圧入して該キートップ1を装着する。これによって、スイッチ本体11が完成する。
【0078】
次いで、
図1に示すように、スイッチ本体11を、位置決めピン66・66及び接点機構50の出力端子51a・52aが、回路基板12の位置決めピン用貫通孔12a・12a及び端子用貫通孔12b・12bの直上に位置するように配置する。その後、位置決めピン66・66及び接点機構50の出力端子51a・52aを、回路基板12の位置決めピン用貫通孔12a・12a及び端子用貫通孔12b・12bに挿入する。
【0079】
これにより、スイッチ本体11から突出する部材は、位置決めピン66・66及び出力端子51a・52aの4本であるので、容易に挿入することができる。
【0080】
この結果、組み立てにおける工数の削減を図ることができる。
【0081】
このように、本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Aは、接点機構50を有するスイッチ本体11を備え、光源40からスイッチ本体11の上面であるキートップ上面1aに向けて光が照射される。そして、光源40は、スイッチ本体11とは別体に形成された回路基板12に設けられている。また、スイッチ本体11における接点機構50の出力端子51a・52aは、回路基板12に形成された端子用貫通孔12b・12b孔に挿入されることにより電気的接続が可能となっている。
【0082】
本実施の形態においては、光源40は、スイッチ本体11とは別体に形成された回路基板12に設けられている。その結果、出力端子としては、スイッチ本体11からは接点機構50からの2本の出力端子51a・52aしか引き出されていない。このため、この2本の出力端子51a・52aを回路基板12に形成された端子用貫通孔12b・12bに挿入することにより電気的接続することつまり挿入実装は容易である。その結果、工数の増加等を招くことはない。
【0083】
ここで、本実施の形態では、光源40の回路基板12への実装とスイッチ本体11の回路基板12への実装との2工程に分けて実装が行われる。しかしながら、このように、実装を2工程に分けることによって、一度の実装工程にて光源40の出力端子とスイッチ本体11における接点機構50の出力端子51a・52aを一度の実装工程にて行うよりも作業が容易となり、結果的に工数の削減を図ることができるものとなる。
【0084】
したがって、接点機構50を有するスイッチ本体11、及び光源40の回路基板12への実装作業を容易にし得る照光式押しボタンスイッチ10Aを提供することができる。
【0085】
また、本実施の形態における照光式押しボタンスイッチ10Aでは、スイッチ本体11は、押圧操作されることにより接点機構50をオン状態又はオフ状態に切り替える押しボタン部としてのプランジャ部30を備えている。また、光源40は、プランジャ部30を通してスイッチ本体11の上面であるキートップ上面1aに向けて光を照射する。
【0086】
これにより、接点機構50を有するスイッチ本体11、及び光源40の回路基板12の実装作業を容易にし得る押しボタン方式の照光式押しボタンスイッチ10Aを提供することができる。
【0087】
さらに、本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Aでは、プランジャ部30には、光源40からの光を通す中空部としてのプランジャ貫通孔37が形成されている。
【0088】
これにより、回路基板12に搭載された光源40からプランジャ貫通孔37を通してスイッチ本体11の上面であるキートップ上面1aに向けて光を容易に照射させることができる。
【0089】
また、本実施の形態におけるキーボードは、本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Aを備えている。これにより、接点機構50を有するスイッチ本体11及び光源40の回路基板12への実装作業を容易にし得る照光式押しボタンスイッチ10Aを備えたキーボードを提供することができる。
【0090】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について
図7〜
図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0091】
本実施の形態の照光スイッチとしての照光式押しボタンスイッチ10Bは、前記実施の形態1の照光式押しボタンスイッチ10Aの構成に加えて、導光部材としての導光棒41が設けられている点が異なっている。
【0092】
本実施の形態の照光スイッチとしての照光式押しボタンスイッチ10Bの構成について、
図7及び
図8に基づいて説明する。
図7は、本実施の形態における照光式押しボタンスイッチ10Bの全体構成を破断して示す断面斜視図である。
図8は上記照光式押しボタンスイッチ10Bの全体構成を示す分解斜視図である。
【0093】
本実施の形態の照光スイッチとしての照光式押しボタンスイッチ10Bは、
図7及び
図8に示すように、押しボタン部としてのプランジャ部30の内部には、導光部材としての導光棒41が設けられている。これにより、光源40からの光が導光棒41を通してキートップ上面1aに照射されるようになっている。
【0094】
すなわち、実施の形態1の照光式押しボタンスイッチ10Aでは、プランジャ本体30aの内部の中央部は、中空部としてのプランジャ貫通孔37が形成されていた。本実施の形態では、このプランジャ貫通孔37に導光部材としての導光棒41が設けられている。
【0095】
この導光棒41は、例えば円柱状のアクリル樹脂等の透明部材からなっている。このため、光源40から発せられて導光棒41の端面に入射した光は、導光棒41の側面の内表面にて全反射しながら該導光棒41の内部を導光される。このため、導光棒41は、光透過率が高く、光源40から出射された光はあまり減衰しない。この結果、光源40から出射された光をキートップ上面1aに効率よく照射することができる。したがって、操作面の照光輝度を高めることができる。
【0096】
ここで、本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10Bでは、導光棒41は、下部ケース60の円筒管61からプランジャ部30のプランジャ下壁32までの高さを有して設けられている。そして、導光棒41は、導光棒41の周辺に形成された係止部41aが円筒管61の上端に載るようにして支持固定されている。したがって、前述したキートップ上面1aが押圧操作されてプランジャ部30が下方移動しても、導光棒41は移動しない状態となっている。
【0097】
尚、上述の照光式押しボタンスイッチ10Bでは、スイッチ本体11の内部において、導光棒41は、下部ケース60の円筒管61からプランジャ部30のプランジャ下壁32までの高さを有して設けられていた。しかしながら、必ずしもこれに限らず、例えば、
図9及び
図10に示すように、プランジャ部30に取り付けた導光棒42を有する照光式押しボタンスイッチ10Cとすることが可能である。
【0098】
すなわち、照光式押しボタンスイッチ10Cでは、導光棒42は下部の円柱部42aと上部の拡大部42bとからなっている。上記下部の円柱部42aは、プランジャ部30のプランジャ下壁32のプランジャ貫通孔37に設けられており、上部の拡大部42bはプランジャ部30におけるプランジャ上壁31のプランジャ貫通孔37に設けられている。
【0099】
この結果、導光棒42における円柱部42aの下端面と光源40との間には空間が形成されていることになる。そして、上部の拡大部42bがプランジャ床33に係止されることによって、上下移動可能なプランジャ部30と一体に上下移動するようになっている。
【0100】
この結果、照光式押しボタンスイッチ10Cでは、導光棒42における上部の拡大部42bの径を下部ケース60の円筒管61の径よりも大きくすることができる。したがって、プランジャ部30のプランジャ上壁31からの出射領域を広くすることができるので、前述のキートップ上面1aに対して広範囲に光を照射できるものとなる。
【0101】
このように、本実施の形態の照光式押しボタンスイッチ10B・10Cでは、照光スイッチ本体としてのスイッチ本体11には、光源40からの光をスイッチ本体11の上面に導く導光棒41・42が設けられている。
【0102】
すなわち、回路基板12に搭載された光源40から中空部としてのプランジャ貫通孔37を通してスイッチ本体11の上面に向けて光を照射させた場合には、スイッチ本体11の上面での輝度の低下が大きい。
【0103】
これに対して、回路基板12に搭載された光源40から導光棒41・42を通してスイッチ本体11の上面に向けて光を照射させた場合には、導光棒41・42の光エネルギーの低下が小さいので、スイッチ本体11の上面での輝度の低下は小さい。
【0104】
したがって、スイッチ本体11の上面をより明るく照射することができる。
【0105】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、本実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【解決手段】照光式押しボタンスイッチ10Aは、接点機構を有するスイッチ本体11を備え、光源40からスイッチ本体11の上面に向けて光が照射される。光源40は、スイッチ本体11とは別体に形成された回路基板12に設けられている。スイッチ本体11における接点機構の出力端子51a・52aは、回路基板12に形成された端子用貫通孔12b・12bに挿入されることにより電気的接続が可能となっている。