(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成システムの一例が示されている。画像形成システムは、一例として、画像形成装置10、印刷装置30及び端末装置40を含む。画像形成装置10、印刷装置30及び端末装置40は、ネットワーク等の通信経路Nに接続されている。なお、
図1に示す例では、1台の印刷装置30及び1台の端末装置40が通信経路Nに接続されているが、これらの台数は一例である。印刷装置30及び端末装置40の台数は2台以上であってもよい。
【0021】
画像形成装置10及び端末装置40は、他の装置にデータを送信する機能と、他の装置からデータを受信する機能とを備えている。例えば、画像形成装置10は、端末装置40から印刷データを受信し、その印刷データを印刷装置30が取り扱うがデータ(ラスターデータ)に変換する機能を備えている。印刷装置30は、例えば電子写真方式のプリンタである。印刷装置30は、例えば、トナーやインク等の色材(記録材)を用いて、ラスターデータに応じた画像を、記録紙等の記録媒体上に形成する。もちろん、印刷装置30は、電子写真方式以外の方式で画像を形成するプリンタであってもよい。なお、画像形成装置10と印刷装置30とが一体的に形成されていてもよい。
【0022】
印刷データは、印刷対象の1以上のページの画像を印刷するための描画コマンド群がページ記述言語(PDL)で記述されたデータである。ページ記述言語は、例えば、PDFやPostScript(登録商標)等の様々な言語である。以下では、ページ記述言語で記述された印刷データを「PDLデータ」と称することとする。
【0023】
印刷対象のページの画像は、画像要素である描画オブジェクトによって構成されている。描画オブジェクトは、例えばPDLの1つの描画コマンドによって描画される画像である。PDLデータは、その描画オブジェクトの位置情報、書式情報及び色情報等を含む。描画オブジェクトは、例えば、文字部分、図形部分、画像部分(写真等の連続調イメージ)、文書のフォーム部分等である。
【0024】
図2には、画像形成装置10の一例が示されている。
【0025】
通信部12は、通信経路Nに接続される通信インターフェースである。通信部12は、他の装置からデータを受信する機能と、他の装置にデータを送信する機能とを備えている。
【0026】
本実施形態では、通信部12は、印刷指示情報を端末装置40から受信する。印刷指示情報は、印刷対象のPDLデータ、及び、印刷用の画像生成条件を示す情報を含む。また、画像データの比較処理が実行される場合、印刷指示情報には、更に、比較処理用の画像生成条件を示す情報、及び、端末装置40にて生成された画像データが含まれる。比較処理については後で詳述する。以下では、端末装置40にて生成された画像データを、「比較用第1ラスターデータ」と称することとする。比較用第1ラスターデータは、比較処理用の画像生成条件に従ってPDLデータから生成された画像データである。比較用第1ラスターデータは、例えば、印刷対象の画像を構成する画素毎の情報(画素値)を含むデータであり、一例としてビットマップ形式のデータである。画像生成条件は、例えば、用紙サイズ、画質(例えば画像の解像度)、印刷の向き、印刷時のカラー、印刷範囲(印刷対象のページ)、等である。
【0027】
記憶部14は、ハードディスク等の記憶装置である。記憶部14には、印刷指示情報が記憶される。
【0028】
受付処理部16は、PDLデータと画像生成条件を示す情報とを印刷指示情報から抽出し、PDLデータと画像生成条件を示す情報とを描画処理部18に出力する(
図2中の「PDL」及び「画像生成条件」に対応する)。また、受付処理部16は、比較用第1ラスターデータを印刷指示情報から抽出し、比較用第1ラスターデータ(
図2中の「比較用第1ラスター」に対応する)を比較部20に出力する。
【0029】
描画処理部18はRIP(Raster Image Processor)である。描画処理部18は、PDLデータを、印刷装置30に適合し印刷装置30で取り扱われる画像データ(ラスターデータ)に変換する。ラスターデータは、例えば、印刷対象の画像を構成する画素毎の情報(画素値)を含むデータであり、一例としてビットマップ形式のデータである。
【0030】
実際の印刷が実行される場合、描画処理部18は、印刷用の画像生成条件に従って、PDLデータをラスターデータに変換する。以下では、印刷用の画像生成条件に従って生成されたラスターデータを、「印刷用ラスターデータ」(
図2中の「印刷用ラスター」に対応する)と称することとする。描画処理部18は、印刷用ラスターデータを印刷制御部26に出力する。
【0031】
比較処理が実行される場合、描画処理部18は、比較処理用の画像生成条件に従って、PDLデータをラスターデータに変換する。以下では、比較処理用の画像生成条件に従って生成されたラスターデータを、「比較用第2ラスターデータ」(
図2中の「比較用第2ラスター」に対応する)と称することとする。描画処理部18は、比較用第2ラスターデータを比較部20に出力する。
【0032】
比較部20は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとを比較し、その比較結果を示す情報を表示制御部22に出力する。比較部20は、例えばページ毎にその比較を実行する。この比較により、ユーザの意図しない印刷が実行され得る箇所及びページ、つまり、印刷不良が発生し得る箇所及びページが検出される。両データの間に差異がある場合、RIP処理に起因する印刷不良が発生するおそれがある。実際に印刷がなされると、その差異が生じている箇所(ページ)で、ユーザの意図しない印刷、つまり、印刷不良が発生するおそれがある。比較部20は、両データを比較することにより、その印刷不良を検出する。比較部20は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとの差異を検出し、差異が検出されたことを示す情報(差異検出情報)を表示制御部22に出力してもよい。また、その差異が閾値以上の場合に、比較部20は、警告情報を表示制御部22に出力してもよい。比較部20は、差異が検出されたページの番号を示す情報を表示制御部22に出力してもよい。また、比較部20は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとの差分を検出し、その差分を示す情報を表示制御部22に出力してもよい。
【0033】
表示制御部22は、各種の情報をUI部24の表示部に表示させる。例えば、表示制御部22は、印刷指示情報の一覧を表示部に表示させる。また、表示制御部22は、比較結果を示す情報を表示部に表示させる。両データの間に差異が検出された場合、表示制御部22は、差異検出情報や警告情報を表示部に表示させてもよいし、その差異が検出されたページの番号を表示部に表示させてもよい。表示制御部22は、比較部20によって検出された差分を表示部に表示させてもよい。また、表示制御部22は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとを並べて表示部に表示させてもよいし、両データを重ねて表示部に表示させてもよい。
【0034】
ユーザインターフェース部(UI部)24は、操作部と表示部とを含む。操作部は、操作パネル等の入力デバイスである。表示部は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。
【0035】
印刷制御部26は、印刷装置30による印刷動作を制御する。印刷制御部26は、印刷用ラスターデータを印刷装置30に出力し、印刷用の画像生成条件に従った印刷を印刷装置30に実行させる。
【0036】
画像形成装置10は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、画像形成装置10は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置10の各部の機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。または、画像形成装置10の各部は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源により実現されてもよい。その実現においてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。別の例として、画像形成装置10の各部は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。
【0037】
図3には、端末装置40の一例が示されている。端末装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スマートフォン又は携帯電話等の装置である。
【0038】
通信部42は、通信経路Nに接続される通信インターフェースである。通信部42は、他の装置からデータを受信する機能と、他の装置にデータを送信する機能とを備えている。本実施形態では、通信部42は、印刷指示情報を画像形成装置10に送信する。
【0039】
記憶部44は、ハードディスク等の記憶装置である。この記憶部44には、画像データが記憶される。例えば、記憶部44には、PDLデータや比較用第1ラスターデータが記憶される。また、記憶部44には、プリタドライバが記憶されている。プリンタドライバは、印刷装置30を制御する機能を有するプログラムである。
【0040】
ユーザインターフェース部(UI部)46は、操作部と表示部とを含む。操作部は、操作パネル等の入力デバイスである。表示部は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである。例えば、ユーザが操作部を利用することにより、印刷対象のPDLデータの指定、印刷用の画像生成条件の指定、及び、比較処理用の画像生成条件の指定がなされる。
【0041】
描画処理部48は、比較処理用の画像生成条件に従って、印刷対象のPDLデータからラスターデータ(比較用第1ラスターデータ)を生成する。
【0042】
また、描画処理部48は、PDLデータから生成されたラスターデータに表されている各描画オブジェクトの特徴を検出し、その検出結果に基づいて、比較用第1ラスターデータとして扱われるラスターデータを決定してもよい。例えば、PDLデータに複数のページの画像が含まれている場合、描画処理部48は、各ページのラスターデータを対象にして上記の検出を実行する。描画処理部48は、その検出結果に基づいて、複数ページのラスターデータの中から比較用第1ラスターデータを選択する。具体的には、描画処理部48は、描画オブジェクトのエッジ(輪郭)を特徴として検出する。例えば、描画処理部48は、隣接する2つの画素の画素値の差が画素閾値以上となる箇所をエッジとして検出する。描画処理部48は、そのエッジ数(エッジとなる箇所の画素数)がエッジ閾値以上となるページのラスターデータを、比較用第1ラスターデータとして選択する。例えば、文字部分は、周辺部分との境界が比較的明確であり、文字部分の画素値と周辺部分の画素値との差は画素閾値以上になりやすい。従って、比較的多くの文字が描画されているページのラスターデータにおいて、エッジ数がエッジ閾値以上になりやすく、そのページのラスターデータが比較用第1ラスターデータとして選択される。また、比較的複雑な描画オブジェクトについても、エッジ数がエッジ閾値以上となりやすい。従って、比較的複雑な描画オブジェクトが描画されているページのラスターデータが、比較用第1ラスターデータとして選択される。なお、画素閾値及びエッジ閾値は、予め決定された値であってもよいし、ユーザや作業者等によって任意の値に変更されてもよい。
【0043】
制御部50は、端末装置40の各部の動作を制御する。また、制御部50は、印刷指示情報を生成する。その印刷指示情報には、例えば、印刷対象のPDLデータと、印刷用の画像生成条件を示す情報とが含まれる。また、比較処理が実行される場合、印刷指示情報には、更に、比較処理用の画像生成条件を示す情報と、比較用第1ラスターデータとが含まれる。
【0044】
端末装置40は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、端末装置40は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、端末装置40の各部の機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。または、端末装置40の各部は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源により実現されてもよい。その実現においてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。別の例として、端末装置40の各部は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。
【0045】
図4には、画像生成条件を設定するための画面の一例が示されている。画面52は、端末装置40におけるUI部46の表示部の画面である。この画面52には、画像生成条件の設定項目が表示されている。ここでは、一例として、比較処理用の画像生成条件を設定するための項目が表示されている。設定項目には、用紙サイズ54、画質56(画像の解像度)、印刷の向き58、印刷時のカラー60、及び、印刷範囲62がある。用紙サイズ54として、印刷時の用紙サイズが指定される。比較処理用の画質56として、例えば、実際の印刷用の画質よりも低解像度が指定される。例えば、実際の印刷用の画質が「1200×1200dpi」の場合において、比較処理用の画質56として、「200×200dpi」が指定される。比較処理時の画質を実際の印刷時の画質よりも低解像度にすることにより、比較処理時の画質を実際の印刷時の画質と同一にする場合と比べて、比較用第1ラスターデータ及び比較用第2ラスターデータの容量が低減される。これにより、実際の印刷時の画質で比較処理を行う場合と比べて、より少ないデータ量で比較処理が行われる。また、端末装置40から画像形成装置10に送信されるデータ量が低減され、転送処理に要する時間が短縮される。例えば、低解像度の画像は、文字列の位置ずれや文字化けを検出するのに適していると想定される。なお、デフォルトの画質が予め設定されていてもよい。印刷の向き58として、縦又は横が指定される。印刷時のカラー60として、モノクロ(白黒)又はカラー(例えばフルカラー)が指定される。印刷範囲62として、比較処理の対象となるページが指定される。項目64は、PDLデータに含まれる全ページのラスターデータを比較用第1ラスターデータとして指定するための項目である。項目64が指定されると、全ページのラスターデータが比較用第1ラスターデータとして選択される。項目66は、特徴の大きいページのラスターデータを比較用第1ラスターデータとして自動的に選択するための項目である。具体的には、項目66は、エッジ数がエッジ数閾値以上となるページのラスターデータを比較用第1ラスターデータとして選択するための項目である。項目66が指定されると、エッジ数がエッジ数閾値以上となるページのラスターデータが、比較用第1ラスターデータとして自動的に選択される。項目68は、ページ番号を指定するための項目である。項目68が指定されて番号が入力されると、その番号のページのラスターデータが比較用第1ラスターデータとして選択される。この画面52において指定された条件が、比較処理用の画像生成条件として設定される。例えば、ユーザによって各条件が指定される。
図4に示す例では、用紙サイズ54として「Letter」が指定されており、画質56として「200×200dpi」が指定されており、印刷の向き58として「縦」が指定されており、印刷時のカラー60として「モノクロ」が指定されており、印刷範囲62として項目64(全ページ)が指定されている。この例は一例に過ぎず、もちろん、他の条件が指定されてもよい。また、複数の条件のうちの少なくとも1つが指定されてもよい。
【0046】
なお、印刷用の画像生成条件も、端末装置40において指定される。例えば、ユーザが、UI部46の表示部に表示されている設定画面を参照し、UI部46の操作部を利用して、印刷用の画像生成条件を指定する。この場合も、用紙サイズ、画質、印刷の向き、印刷時のカラー、印刷範囲等が指定される。また、印刷対象のPDLデータも、ユーザによって指定される。
【0047】
上記のように比較処理用の画像生成条件が指定されると、端末装置40の描画処理部48は、その画像生成条件に従って、印刷対象のPDLデータを比較用第1ラスターデータに変換する。
【0048】
印刷対象のPDLデータ及び印刷用の画像生成条件が指定されると、端末装置40の制御部50は、そのPDLデータと印刷用の画像生成条件を示す情報とを含む印刷指示情報を生成する。また、比較処理用の画像生成条件が指定されると、制御部50は、PDLデータと、印刷用の画像生成条件を示す情報と、比較処理用の画像生成条件を示す情報と、比較用第1ラスターデータとを含む印刷指示情報を生成する。そして、印刷指示情報は、端末装置40から画像形成装置10に送信される。
【0049】
図5には、印刷データのリストの一例が示されている。端末装置40から画像形成装置10に送信された印刷指示情報は、画像形成装置10の記憶部14に一旦記憶される。
図5に示されているリストは、その印刷指示情報のリストである。リストには、例えば、ジョブID、PDLデータのデータ名、受信日時、PDLデータに含まれるページ数、及び、PDLデータの形式(データフォーマット)が含まれる。もちろん、これら以外の情報がリストに含まれていてもよい。
【0050】
例えば、画像形成装置10においては、表示制御部22が、記憶部14に記憶されている印刷指示情報を参照し、その印刷指示情報のリストをUI部24の表示部に表示させる。そして、ユーザや作業者等がUI部24の操作部を利用することにより、リストの中から比較対象のPDLデータが指定され、比較処理の実行が指示される。比較処理の実行が指示されると、描画処理部18は、比較用第2ラスターデータを生成する。そして、比較部20は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとを比較する。表示制御部22は、その比較結果をUI部24の表示部に表示させる。また、リストの中から印刷対象のPDLデータがユーザによって指定され、印刷指示がなされると、印刷制御部26は、指定されたPDLデータから生成された印刷用ラスターデータを印刷装置30に出力し、印刷用の画像生成条件に従った印刷を印刷装置30に実行させる。
【0051】
図6には、比較対象の画像が表示された画面の一例が示されている。画面70は、画像形成装置10におけるUI部24の表示部の画面である。この画面70には、画像72,74が並べて表示されている。画像72は、端末装置40の描画処理部48にて生成された比較用第1ラスターデータに応じた画像である。画像74は、画像形成装置10の描画処理部18にて生成された比較用第2ラスターデータに応じた画像である。画像72,74は、同一の比較処理用の画像生成条件に従って生成された画像である。
【0052】
ユーザや作業者等が、画面70に表示されている画像72,74を見比べることにより、その差異が確認される。例えば、端末装置40にて生成された画像72が、ユーザの意図している画像であるとする。画像72,74を見比べることにより、ユーザの意図している画像が、画像形成装置10にて生成されたか否かが確認される。例えば、両画像の位置ずれや色合い等が比較されることが想定される。その差異が許容範囲内であるとユーザや作業者等によって判断された場合、ユーザや作業者等は、印刷を指示すればよい。印刷の指示が与えられると、描画処理部18は、印刷用の画像生成条件に従ってPDLデータを印刷用ラスターデータに変換し、印刷制御部26は、印刷用ラスターデータを印刷装置30に出力する。これにより、印刷用ラスターデータに応じた画像が、印刷装置30によって記録紙上に形成される。一方、画像72,74の差異が許容範囲内にないとユーザや作業者等によって判断された場合、ユーザや作業者等は、印刷の指示を与えなければよい。この場合、ユーザや作業者等によって画像生成条件が調整され、新たな印刷指示情報が作成されることになる。
【0053】
また、画面70には、比較処理を指示するためのボタン76が表示されている。ユーザや作業者等がUI部24の操作部を利用してボタン76を押下すると、比較部20は、画像72,74の差異を検出する。表示制御部22は、その検出結果を表示部に表示させる。
【0054】
また、ボタン76が押下されると、表示制御部22は、画像72,74を重ねて表示部に表示させてもよい。
図7には、その表示例が示されている。
図7(a)に示されている画像80、及び、
図7(b)に示されている画像82は、画像72,74の重畳結果を表す画像である。画像80は、画像72,74に差異がない場合の画像である。画像82は、画像72,74に差異がある場合の画像である。画像82においては、部分84において画像72,74の間に差異が生じている。具体的には、文字の位置ずれが生じている。ユーザや作業者等が画像82を参照することにより、差異が生じている部分84の確認がなされる。なお、文字の位置ずれの原因として、例えば、RIP処理時の量子化誤差等が想定される。もちろん、別の原因によっても位置ずれが生じ得る。
【0055】
また、比較部20は、差異が生じている部分84を検出し、表示制御部22は、その部分84のみを表示部に表示させてもよい。これによっても、ユーザや作業者等によって、差異が生じている部分84の確認がなされる。その差異が閾値以上の場合に、警告情報が表示部に表示されてもよい。
【0056】
次に、
図8に示されているフローチャートを参照して、端末装置40にて実行される処理の一例について説明する。まず、ユーザや作業者等は、端末装置40のUI部46を利用して、印刷対象のPDLデータを指定し、また、画像生成条件を指定する(S01)。例えば、端末装置40の表示部には、
図4に示されている画面52が表示され、この画面52において比較処理用の画像生成条件が指定される。また、印刷用の画像生成条件も指定される。印刷用の画像生成条件を示す情報、及び、比較処理用の画像生成条件を示す情報は、例えば、記憶部44に一旦記憶される。
【0057】
端末装置40の描画処理部48は、比較処理用の画像生成条件に従って、1ページ毎に、印刷対象のPDLデータをラスターデータに変換する(S02)。例えば、1ページ目のラスターデータが生成される。画像生成条件として自動検出が指定されている場合(S03,Yes)、つまり、
図4に示されている項目66が指定されている場合、処理はステップS04に移行する。ステップS04では、描画処理部48は、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)からエッジ(輪郭)を検出し、エッジ数をカウントする。そのエッジ数がエッジ閾値以上の場合(S05,Yes)、描画処理部48は、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)を、比較用第1ラスターデータとして出力する(S06)。例えば、比較用第1ラスターデータは、記憶部44に一旦記憶される。これにより、文字数が比較的多いページのラスターデータや、比較的複雑な描画オブジェクトが描画されているページのラスターデータが、比較用第1ラスターデータとして出力される。PDLデータに含まれる全ページに対して、ステップS02以降の処理が実行された場合(S07,Yes)、端末装置40での処理は終了する。一方、全ページに対する処理が完了していない場合(S07,No)、処理はステップS02に戻る。そして、次のページ(例えば2ページ目)を対象にして、ステップS02以降の処理が実行される。一方、エッジ数がエッジ閾値未満の場合(S05,No)、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)は、比較用第1ラスターデータとして出力されない。この場合、処理はステップS02に戻り、次のページを対象にして、ステップS02以降の処理が実行される。
【0058】
画像生成条件として自動検出が指定されていない場合(S03,No)、処理はステップS08に移行する。画像生成条件としてページが指定されていない場合(S08,No)、つまり、
図4に示されている項目64が指定されている場合、処理はステップS06に移行する。そして、描画処理部48は、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)を、比較用第1ラスターデータとして出力する(S06)。項目64が指定されているということは、比較処理の対象として全ページが指定されていることになる。従って、生成されたラスターデータは、比較用第1ラスターデータとして出力される。例えば、比較用第1ラスターデータは、記憶部44に一旦記憶される。
【0059】
画像生成条件としてページが指定されている場合(S08,Yes)、つまり、
図4に示されている項目68及びページが指定されている場合、処理はステップS09に移行する。そして、描画処理部48によって処理されている最中のページ(例えば1ページ目)が、指定されたページに該当する場合(S09,Yes)、描画処理部48は、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)を、比較用第1ラスターデータとして出力する(S06)。例えば、比較用第1ラスターデータは、記憶部44に一旦記憶される。一方、描画処理部48によって処理されている最中のページ(例えば1ページ目)が、指定されたページに該当しない場合(S09,No)、生成されたラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)は、比較用第1ラスターデータとして出力されない。この場合、処理はステップS02に戻り、次のページを対象にして、ステップS02以降の処理が実行される。
【0060】
印刷対象のPDLデータの全ページに対する処理が完了すると(S07,Yes)、端末装置40での処理は終了する。
【0061】
処理が終了すると、端末装置40の制御部50は、印刷対象のPDLデータと、印刷用の画像生成条件を示す情報と、比較処理用の画像生成条件を示す情報と、比較用第1ラスターデータとを含む印刷指示情報を生成する。そして、端末装置40の通信部42は、印刷指示情報を画像形成装置10に送信する。
【0062】
次に、
図9に示されているフローチャートを参照して、画像形成装置10にて実行される処理の一例について説明する。まず、画像形成装置10の通信部12は、端末装置40から送信された印刷指示情報を受信する(S10)。印刷指示情報は記憶部14に一旦記憶される。表示制御部22は、記憶部14に記憶されている印刷指示情報のリストをUI部24の表示部に表示させる。ユーザや作業者等がUI部24の操作部を利用することにより、リストの中から比較対象のPDLデータを指定し、比較処理の実行を指示すると(S11)、以降、比較処理が実行される。
【0063】
受付処理部16は、指定された印刷指示情報を記憶部14から取得する。そして、受付処理部16は、PDLデータと比較処理用の画像生成条件を示す情報とを印刷指示情報から抽出して描画処理部18に出力する(S12)。また、受付処理部16は、比較用第1ラスターデータを印刷指示情報から抽出して比較部20に出力する。
【0064】
描画処理部18は、1ページ毎にRIP処理を実行する(S13)。つまり、描画処理部18は、比較処理用の画像生成条件に従って、1ページ毎に、PDLデータをラスターデータに変換する。これにより、比較用第2ラスターデータが生成される。例えば、1ページ目の比較用第2ラスターデータが生成される。
【0065】
描画処理部18によって処理されている最中のページ(例えば1ページ目)が、比較処理用の画像生成条件によって指定されているページの場合(S14,Yes)、描画処理部18は、生成された比較用第2ラスターデータ(例えば1ページ目のラスターデータ)を、記憶部14に一旦記憶させる(S15)。一方、処理中のページが、指定されているページに該当しない場合(S14,No)、処理はステップS16に移行する。この場合、生成された比較用第2ラスターデータは比較処理に使用されず、例えば削除される。指定されているページとは、比較処理の対象となっているページのことであり、例えば、
図4に示されている項目64,66,68のいずれかによって指定されたページのことである。項目64が指定されている場合、全ページが比較処理の対象として指定されている。項目66が指定されている場合、エッジ数がエッジ数閾値以上となるページが、指定されているページに該当する。項目68及びページ番号が指定されている場合、その指定された番号のページが、指定されているページに該当する。処理中のページが比較処理の対象のページに該当する場合、そのページの比較用第2ラスターデータは記憶部14に一旦記憶され、比較処理に用いられる。
【0066】
そして、PDLデータに含まれる全ページに対して、ステップS13,S14の処理が実行された場合(S16,Yes)、処理はステップS17に移行する。一方、全ページに対する処理が完了していない場合(S16,No)、処理はステップS13に戻る。そして、次のページ(例えば2ページ目)を対象にして、ステップS13,S14の処理が実行される。
【0067】
ステップS17では、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとが比較される。例えば
図6に示すように、表示制御部22は、比較用第1ラスターデータに応じた画像72と比較用第2ラスターデータに応じた画像74とを、UI部24の表示部に並べて表示させる。両データの画像は、例えばページ毎に並べて表示される。また、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、表示制御部22は、画像72,74を重ねて表示部に表示させてもよい。また、比較部20は、画像72,74の差異を検出してもよい。この場合、差異検出情報や警告情報が表示部に表示されてもよい。
【0068】
以上のように、本実施形態では、端末装置40にて生成された比較用第1ラスターデータと画像形成装置10にて生成された比較用第2ラスターデータとが、比較されて表示される。これにより、ユーザの意図しない印刷が実行され得る箇所及びページが確認される。つまり、印刷不良が発生し得る箇所及びページが確認される。
【0069】
比較処理を行わずに印刷する場合、ユーザや作業者等は、印刷指示情報のリストの中から印刷対象のデータを指定して印刷を指示すればよい。これにより、指定されたデータが印刷装置30によって印刷される。
【0070】
なお、比較対象となるページにマークを予め形成しておいてもよい。端末装置40及び画像形成装置10では、このマークに基づいて比較対象となるページを特定し、特定されたページの比較用第1ラスターデータ及び比較用第2ラスターデータを生成してもよい。
【解決手段】通信部12は、印刷指示情報を外部装置から受信する。印刷指示情報は、ページ記述言語で記述されたPDLデータと、そのPDLデータから外部装置にて生成された比較用第1ラスターデータとを含む。描画処理部18は、印刷指示情報に含まれるPDLデータから比較用第2ラスターデータを生成する。比較部20は、比較用第1ラスターデータと比較用第2ラスターデータとを比較して比較結果を出力する。表示制御部22は、比較結果をUI部24の表示部に表示させる。