(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741906
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】温水装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20060101AFI20150611BHJP
F24H 9/00 20060101ALI20150611BHJP
F23L 17/14 20060101ALI20150611BHJP
C02F 1/66 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
F24H1/10 303Z
F24H9/00 B
F23L17/14 A
F23L17/14 P
F23L17/14 R
C02F1/66 510Q
C02F1/66 521D
C02F1/66 530B
C02F1/66 530K
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-40255(P2011-40255)
(22)【出願日】2011年2月25日
(65)【公開番号】特開2012-177505(P2012-177505A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】堂山 政人
(72)【発明者】
【氏名】亀山 修司
【審査官】
正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−240129(JP,A)
【文献】
特開2009−287814(JP,A)
【文献】
特開2002−022265(JP,A)
【文献】
特開2009−045550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
C02F 1/66
F23L 17/14
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナに燃焼用空気を供給するファンと、
伝熱管を収容したケースを有し、かつ前記バーナによって発生されて前記ケース内に流入した燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、
この熱交換器のケースと一体または別体に構成され、かつ前記熱回収がなされた燃焼ガスを機外に排出するための排気口を有する排気トップと、
前記熱回収に伴って発生した凝縮水を回収してこの凝縮水の中和処理を行なう中和装置と、
を備えている、温水装置であって、
前記中和装置は、前記凝縮水が内部に流入し、かつ中和処理を終えた凝縮水を外部に流出させる中和処理槽と、この中和処理槽の上部に設けられ、かつ前記中和処理槽における凝縮水の水位または水位の変化を検知可能な水位センサと、を備えており、
前記バーナおよび前記ファンの駆動停止時において、前記排気口内への雨水の進入を生じ、前記中和処理槽内にこの中和処理槽の中和排水処理能力を超える雨水が流入することにより、前記中和処理槽における水位が上昇したときには、その旨が前記水位センサを利用して検知されて前記ファンが駆動し、前記排気口から機外への空気の吹き出しが行なわれるように構成されていることを特徴とする、温水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温水装置であって、
前記バーナの駆動停止時において、前記ファンが前記中和処理槽における水位上昇を契機として駆動を開始したときには、その駆動時間は予め設定された時間とされる一方、この時間が経過する時点において、前記中和処理槽内の水位低下が前記水位センサを利用して検知されていないときには、その後もさらに予め設定された時間は前記ファンの駆動が継続するように構成されている、温水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置などの温水装置、さらに詳しくは、燃焼ガスから熱交換器を利用して熱回収を行なうことにより湯水加熱を行なうタイプの温水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温水装置としては、潜熱回収型のものがある。潜熱回収型の温水装置は、バーナにより発生された燃焼ガスから熱回収を行なう際に、顕熱に加えて潜熱をも回収する。燃焼ガスから潜熱を回収すると、燃焼ガス中の硫黄酸化物や窒素酸化物などの成分を含んだ強酸性の凝縮水が発生する。そこで、潜熱回収型の温水装置では、凝縮水を中和装置に送り込んで中和させてから機外に排出するように構成されているのが通例である。一方、室外に置かれた温水装置が実際に使用される場合、風雨が強いときに、熱交換器に取り付けられた排気トップの排気口から熱交換器のケース内に雨水が進入する場合がある。この雨水が凝縮水用の流路を通過して中和装置内に流入したのでは、たとえば中和装置で使用されている中和剤が消耗し、その使用寿命が短くなるといった不具合を生じる。
【0003】
このような不具合に対応する手段として、特許文献1,2に記載された手段がある。特許文献1においては、排気トップ内のうち、排気口に近い箇所に、雨水進入防止用の傾斜壁を設けている。この傾斜壁は、排気口から排気トップ内に進入した雨水が熱交換器側に向けてさらに進行することを防止するためのものであり、この傾斜壁の存在によって中和装置内に雨水が流入することが防止される。一方、特許文献2においては、熱交換器と中和装置とを繋ぐ凝縮水用の配管経路の途中に、切替え弁を介して迂回用配管を分岐接続し、バーナが駆動燃焼していないときには、前記迂回用配管への流路切り替えがなされるように構成されている。このような構成によれば、仮に、熱交換器のケース内に雨水が進入しても、この雨水は中和装置には流入しない。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地がある。
【0005】
すなわち、特許文献1においては、排気トップ内に雨水進入防止用の傾斜壁を設ける必要があるために、排気トップが大型化し、その構造も複雑化する不具合がある。雨水の進入防止効果を高めるには、傾斜壁の傾斜角度をかなり大きくする必要があるために、前記した不具合はより顕著となる。
【0006】
一方、特許文献2においては、雨水が中和装置内に流れ込むことを防止するための切替え弁を備えた迂回用配管を温水装置に取り付ける必要がある。したがって、その分だけ構造が複雑化し、温水装置の製造コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−284041号公報
【特許文献2】特開2009−287814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、構造の複雑化や大型化などを抑制しつつ、中和装置内に雨水が流入する不具合を適切に防止または抑制することが可能な温水装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本発明により提供される温水装置は、バーナに燃焼用空気を供給するファンと、伝熱管を収容したケースを有し、かつ前記バーナによって発生されて前記ケース内に流入した燃焼ガスから熱回収を行なう熱交換器と、この熱交換器のケースと一体または別体に構成され、かつ前記熱回収がなされた燃焼ガスを機外に排出するための排気口を有する排気トップと、前記熱回収に伴って発生した凝縮水を回収してこの凝縮水の中和処理を行なう中和装置と、を備えている、温水装置であって、
前記中和装置は、前記凝縮水が内部に流入し、かつ中和処理を終えた凝縮水を外部に流出させる中和処理槽と、この中和処理槽の上部に設けられ、かつ前記中和処理槽における凝縮水の水位または水位の変化を検知可能な水位センサと、を備えており、前記バーナおよび前記ファンの駆動停止時において、前記排気口内への雨水の進入を生じ
、前記中和処理槽内にこの中和処理槽の中和排水処理能力を超える雨水が流入することにより、前記中和処理槽における水位が上昇したときには、その旨が前記水位センサを利用して検知されて前記ファンが駆動し、前記排気口から機外への空気の吹き出しが行なわれるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、バーナおよびファンの駆動が停止している温水装置の運転待機(停止)期間中であっても、排気口内への雨水の進入が
生じて、中和処理槽内にこの中和処理槽の中和排水処理能力を超える雨水が流入し、その旨が水位センサを利用して検知された時点でファンが駆動され、排気口から機外への空気の吹き出し作用によって、雨水が排気口内に進入することが抑制される。したがって、多くの雨水が中和装置に流れ込む虞を適切に防止または抑制することができる。本発明においては、排気口内に雨水が進入することを抑制するための手段として、ファン
を用いているが、ファンはバーナに燃焼用空気を供給するためのものであって、一般の温水装置には元々具備されている。
中和装置の水位センサが、雨水進入検知手段として有効に利用されており、その構成は合理的である。前記水位センサとは別に、雨水進入検知専用のセンサを用いる必要はない。このため、本発明では、前記した特許文献1,2と比較して、装置の大型化や構造の複雑化などを防止する上で好ましいものとなる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記バーナの駆動停止時において、前記ファンが前記中和処理槽における水位上昇を契機として駆動を開始したときには、その駆動時間は予め設定された時間とされる一方、この時間が経過する時点において、前記中和処理槽内の水位低下が前記水位センサを利用して検知されていないときには、その後もさらに予め設定された時間は前記ファンの駆動が継続するように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、雨水が中和装置内に流れ込む状態が終了しているにも拘わらず、ファンがその後も長時間にわたって無駄に駆動されることを防止することができる。一方、雨水が中和装置内に流れ込む状態が終了していないときには、ファンの駆動が継続するために、雨水の進入が抑制される状態を適切に維持し、中和装置内への凝縮水の流入量を少なくする効果が得られる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形
態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る温水装置の一例を示す概略側面断面図である。
【
図2】
図1に示す温水装置の制御部の動作処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
温水装置の他の例を示す要部側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1に示す温水装置WHは、給湯装置として構成されており、バーナ1、ファン2、1次および2次の熱交換器3A,3B、排気トップ4、中和装置5、制御部6、およびこれらを囲み込んで保護する外装ケース7を備えている。
【0020】
バーナ1は、たとえば燃料ガスを燃焼させるガスバーナであり、缶体8内に配されている。ファン2は、缶体8の下部に取り付けられ、バーナ1に対して燃焼用空気を上向きに供給する。このファン2は、後述するように、温水装置WHの運転待機時において、排気トップ4内に雨水が進入することを防止する手段としても利用される。
【0021】
1次および2次の熱交換器3A,3Bは、伝熱管30a,30bを有しており、バーナ1により発生された燃焼ガスから熱回収を行なうことにより、伝熱管30a,30b内を通過する湯水を加熱可能である。1次熱交換器3Aは、顕熱回収用であり、伝熱管30aは、缶体8内に位置している。2次熱交換器3Bは、潜熱回収用であり、伝熱管30bを内部に収容するケース31を有している。2次熱交換器3Bは、1次熱交換器3Aの上側に設けられ、1次熱交換器3Aを上向きに通過した燃焼ガスは、ケース31の後部に設けられた給気口32からケース31内に流入し、ケース31の前部に向けて進行する。この過程において、伝熱管30bによる潜熱回収がなされる。排気トップ4は、熱回収を終えてケース31内の前部まで進行してきた燃焼ガスを外装ケース7の外部(機外)に導いて排出するための部材であり、横向き開口状の排気口40を有している。2次熱交換器3Bによる潜熱回収に伴って発生した強酸性の凝縮水は、ケース31の底部に設けられた排出口33、およびこの排出口33に接続された配管流路58を介して中和装置5に送られるようになっている。
【0022】
中和装置5は、中和剤51を内部に収容した中和処理槽50と、水位センサSaとを有している。中和剤51は、たとえば粒状の炭酸カルシウムである。中和処理槽50は、凝縮水の流入口56aおよび排出口56bを有しており、2次熱交換器3Bから配管流路58を通過してきた凝縮水は、流入口56aから中和処理槽50内に流入し、中和剤51どうしの隙間を通過した後に排出口56bに到達し、その後配管流路59を介して外装ケース7の外部に排出される。
【0023】
水位センサSaは、たとえば電圧が印加された一対の電極57を用いて構成されており、中和処理槽50の上部に取り付けられている。凝縮水の水位が一対の電極57の下端レベルLよりも上昇すると、それらの間が導通し、水位上昇を検知可能である。この水位センサSaは、本来的には、中和処理槽50内や配管流路59内の詰まりに起因して中和処理槽50内の凝縮水が異常上昇したときに、これを検知するためのものである。ただし、本実施形態において、水位センサSaは
、雨水進入検知手段
に相当している。
【0024】
水位センサSaを利用して雨水進入検知が可能であるのは、次のような論理による。す
なわち、バーナ1の駆動停止時においては、凝縮水が発生しないために、本来ならば、中和処理槽50内の水位は上昇しない筈である。ところが、排気トップ4の排気口40内に雨水が吹き込むことにより、この雨水が配管流路58を通過して中和処理槽50に流入し、かつその流入量が中和処理槽50の中和排水処理能力を超えると、中和処理槽50内の水位は上昇する。したがって、バーナ1の駆動停止時中において、水位センサSaを利用して水位上昇が検知された場合には、排気口40内への雨水の多量の進入が生じていると判断することが可能である。
【0025】
制御部6は、温水装置WHの各部の動作制御やデータ処理を実行し、バーナ1およびファン2の駆動が停止している際には、水位センサSaからの検知信号に基づき、ファン2を駆動させる制御を実行する。この制御の詳細については後述するが、ファン2が駆動されることにより、排気口40から空気が吹き出され、これが雨水進入防止効果を生じさせる。
【0026】
次に、前記した温水装置WHの作用について、
図2に示したフローチャートを参照しつつ説明する。
【0027】
まず、温水装置WHが運転待機状態にあり、バーナ1およびファン2の駆動が停止している場合において、中和処理槽50内の水位が上昇して水位センサSaがオンとなり、かつこのオン状態がたとえば数秒などの所定時間以上継続すると、制御部6はファン2の駆動を開始させる(S1:YES,S2:YES,S3:YES,S4)。先に述べたように、バーナ1およびファン2の駆動停止時において中和処理槽50内の水位が上昇する原因は、排気口40内に雨水が進入したものと考えられる。したがって、前記したように水位センサSaがオンになったことを条件として、ファン2の駆動を開始させれば、排気口40内への雨水の吹き込みが生じているときに、排気口40から空気を吹き出させることができる。この空気の吹き出しにより、排気口40内への雨水の吹き込みを抑制し得るために、中和処理槽50への雨水流入量を少なくし、雨水流入に起因する中和剤51の消耗を抑制することができる。
【0028】
ステップS3において、水位センサSaのオン状態が所定時間以上継続することを条件としたのは、たとえば温水装置WHが揺すられて、中和処理槽50内の凝縮水が波うち状態となった際であっても水位センサSaがオンになることがあるため、このような際にファン2が駆動されることを防止するためである。ファン2の駆動回転速度は、低速でよく、たとえばバーナ1の駆動時における最低速度とされる。ファン2の駆動回転速度を高速にすると、ファン2の吸気動作に起因して外装ケース7内の負圧状態が著しくなり、外装ケース7の外面に付着している水滴が前記負圧に起因して適当な隙間から外装ケース7内に進入する虞が生じる。ファン2の駆動回転速度を低速にしておけば、そのような虞をなくすことが可能である。
【0029】
なお、中和処理槽50内に雨水が実際に流入している場合であっても、その流入量が少なく、中和処理槽50の中和排水処理能力を超えない場合には、中和処理槽50における水位上昇はない。この場合、水位センサSaはオンにならず(S2:NO)、ファン2は駆動されないために、排気口40からの空気吹き出しによる雨水進入防止は図られない。したがって、この温水装置WHでは、少量の雨水が中和処理槽50に流入する虞はある。ただし、中和剤51の消耗が激しくなるのは、中和処理槽50に多量の雨水が流入する場合であり、少量の雨水の流入では中和剤51の消耗も少なく、とくに問題はない。この温水装置WHでは、既述したように、中和処理槽50に雨水が多量に流入することが防止されるために、このことによって中和剤51の消耗を適切に防止することができるのである。
【0030】
制御部6は、前記したようにファン2の駆動を開始させた際には、これに伴って所定時間(たとえば、5〜10分)をタイマセットし、この時間が経過した時点で、水位センサSaが未だにオン状態にあるか否かを判断する(S5,S6:YES,S7)。中和処理槽50への雨水の流入が停止し、または雨水の流入量が減少することにより、中和処理槽50内の水位が所定レベルLよりも低下すると、水位センサSaはオン状態ではなくなる。制御部6は、この場合にはファン2の駆動を停止させる(S7:NO,S9)。このことにより、ファン2が長時間にわたって無駄に駆動されることを防止することができる。
【0031】
前記とは異なり、中和処理槽50内の水位が未だ所定レベルL以上であって、水位センサSaが未だにオン状態にある場合(S7:YES)、制御部6は、ファン2の駆動を停止させない。この場合、制御部6は、タイマリセットを行ない、先に述べたステップS6,S7を繰り返す。このようなことから、この温水装置WHでは、中和処理槽50内の水位が低下して水位センサSaがオフにならない限りは、ファン2の駆動回転が継続され、排気口40からの空気吹き出しによる雨水進入防止効果が得られる。ファン2の駆動を継続させる場合、ファン2の回転速度を所定の速度だけアップさせるように構成することも可能である。なお、
図2に示すフローチャートは、温水装置WHの運転待機時の動作処理である。同図には示されていないが、バーナ1が駆動し、温水装置WHが運転状態となったときには、その時点で前記した動作処理は中断される。
【0033】
図3に示す実施形態においては、2次熱交換器3Bにおいて発生した凝縮水を中和装置5の中和処理槽50に導くための配管経路58に、流量センサSbが設けられている
。凝縮水が発生しないバーナ1の駆動停止時において、流量センサSbによって流水検知がなされた場合には、この流水は、排気口40から2次熱交換器3Bのケース31内に進入した雨水であると考えることが可能であり、それ故に、この流量センサSbを雨水進入検知手段として用いることができる。制御部6は、バーナ1およびファン2の駆動が停止している際に、流量センサSbによって所定流量以上の流水が検知されたときには、その時点でファン2を駆動させる制御を実行するように構成されている。
【0034】
本実施形態によれば、雨水が2次熱交換器3Bのケース31内に進入する事態を生じた場合には、前記実施形態と同様に、排気口40から空気を吹き出させることができる。流量センサSbを用いた場合には、雨水の進入量が比較的少ない場合であっても、これを検知することが可能である。したがって、前記実施形態とは異なり、中和処理槽50への凝縮水の流入量が中和処理槽50の中和排水処理能力を超えない場合であっても、排気口40への雨水の進入を検知し、ファン2を駆動させることが可能である。
【0035】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0037】
本発明でいう排気トップは、熱交換器による熱回収を終えた燃焼ガスを機外に導いて排出するための手段であり、熱交換器のケースとは別体で形成されたものに限らず、熱交換器のケースと一体的に形成された構成とすることもできる。たとえば、
図1に示すように、2次熱交換器3Bのケース31と外装ケース7との距離が比較的近いような場合には、ケース31の一部を排気トップとして構成することも可能である。もちろん、排気トップは、寸法が比較的長いダクト状とされていてもよく、横向きに延びたもの、上向きに延びたものなど、その具体的な形態も限定されない。
【0038】
中和装置は、酸性の凝縮水を中和処理する機能を有していればよく、炭酸カルシウムの中和剤を用いたものに限定されない。熱交換器は、燃焼ガスが流入するケース内に伝熱管が設けられた構成であればよく、伝熱管の具体的な形態などは問わない。また、熱交換器は、顕熱回収用の1次熱交換器と潜熱回収用の2次熱交換器とに分離されているものに限らず、1つの熱交換器によって顕熱および潜熱の双方を順次回収可能な構成とすることもできる。バーナとしては、ガスバーナに代えて、たとえばオイルバーナとすることもできる。
【0039】
本発明でいう温水装置とは、湯を生成する機能を備えた装置の意であり、一般給湯用、風呂給湯用、暖房用、あるいは融雪用などの各種の給湯装置、および給湯以外に用いられる湯を生成する装置を広く含む概念である。
【符号の説明】
【0040】
WH 温水装置
Sa 水位センサ(雨水進入検知手段)
Sb 流量センサ(雨水進入検知手段)
1 バーナ
2 ファン
3A,3B 熱交換器
4 排気トップ
5 中和装置
6 制御部
30a,30b 伝熱管
40 排気口
50 中和処理槽
51 中和剤