(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多数のミラーからなるミラー群を夫々に所定角度に設置する光源装置の製造方法であって、 前記多数のミラーを所定角度で載置させる載置面を有し且つ、前記多数のミラーを吸着固定する吸着手段を有する治具を準備する準備工程と、 前記治具の所定位置に前記多数のミラーを載置して前記吸着手段により吸着固定する吸着工程と、 前記多数のミラーを前記治具の前記吸着手段により吸着させた状態で前記各ミラーを隣り合うミラー縁部とミラー背面とで接着固定して接着部を形成する接着工程と、 前記接着部により相互に接続されて一体とされたミラー群を、平板状のミラー基板に載置する載置工程と、 前記ミラー群と平板状のミラー基板との間の間隙に充填剤を注入して前記ミラー群と前記ミラー基板とを接着固定し一体とする固定工程と、 前記ミラー基板を、光源群を保持する光源保持体の反射ミラー群保持体に取り付けるミラー取付け工程と、を含むことを特徴とする光源装置の製造方法。
前記ミラー基板の両端部の一方に穴部が設けられ、他方には位置調整手段としての長穴が設けられており、 前記光源保持体の両端部の一方には突起部が設けられ、他方には螺子穴が設けられており、 前記ミラー取付け工程は、 前記穴部を前記突起部に係止させる工程と、 次いで、前記位置調整手段と前記螺子穴とに螺子を通す工程と、 次いで、前記位置調整手段を回動させるように前記ミラー基板を動かして当該ミラー基板の位置調整を行なう工程と、 次いで、前記螺子を締めることで前記ミラー基板と前記光源保持体とを固定する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置の製造方法。
前記ミラー群は、前記光源群から射出される光線束の光軸上に複数のミラーが階段状で平行に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置の製造方法。
前記ミラー群は、前記光源群における光源の列数と同数の短冊状のミラーであって、各ミラーは、夫々同一の傾きをなして配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の光源装置の製造方法。
前記ミラー群は、前記光源群における光源の数と同数のミラーから構成されており、各ミラーは、夫々同一の傾きをなして配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置の製造方法。
前記光源装置は、さらに、前記ミラー群を保持するミラー群保持体を備え、 前記ミラー基板の両端部には、一方で前記ミラー群保持体を係止させる穴を備え、他方で前記ミラー群保持体の取り付け位置を調整可能としながら前記ミラー群保持体を係止させる位置調整手段である長穴を備えることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
光源装置と、 表示素子と、 前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、 前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、 前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、 前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも何れか1つの光源装置が請求項7または請求項8に記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。
図1は、プロジェクタ10の外観斜視図である。なお、本実施形態において、プロジェクタ10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とはプロジェクタ10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0014】
そして、プロジェクタ10は、
図1に示すように、略直方体形状であって、プロジェクタ筐体の前方の側板とされる正面パネル12の側方に投影口を覆うレンズカバー19を有するとともに、この正面パネル12には複数の吸気孔18を設けている。さらに、図示しないがリモートコントローラからの制御信号を受信するIR受信部を備えている。
【0015】
また、筐体の上面パネル11にはキー/インジケータ部37が設けられ、このキー/インジケータ部37には、電源スイッチキーや電源のオン又はオフを報知するパワーインジケータ、投影のオン、オフを切りかえる投影スイッチキー、光源ユニットや表示素子又は制御回路等が過熱したときに報知をする過熱インジケータ等のキーやインジケータが配置されている。
【0016】
さらに、筐体の背面には、背面パネルにUSB端子やアナログRGB映像信号が入力される映像信号入力用のD−SUB端子、S端子、RCA端子、音声出力端子等を設ける入出力コネクタ部及び電源アダプタプラグ等の各種端子20が設けられている。また、背面パネルには、複数の吸気孔が形成されている。なお、図示しない筐体の側板である右側パネル、及び、
図1に示した側板である左側パネル15には、各々複数の排気孔17が形成されている。また、左側パネル15の背面パネル近傍の隅部には、吸気孔18も形成されている。
【0017】
次に、プロジェクタ10のプロジェクタ制御手段について
図2の機能ブロック図を用いて述べる。プロジェクタ制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。
【0018】
この制御部38は、プロジェクタ10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPU、各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0019】
そして、このプロジェクタ制御手段により、入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換されたあと、表示エンコーダ24に出力される。
【0020】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0021】
表示駆動部26は、表示素子制御手段として機能するものであり、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動するものであり、光源ユニット60から射出された光線束を後述の光源側光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光像を形成し、投影側光学系を介して図示しないスクリーンに画像を投影表示する。なお、この投影側光学系の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動が行われる。
【0022】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体とされるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。
【0023】
さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、この画像データを画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行う。
【0024】
そして、筐体の上面パネル11に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成されるキー/インジケータ部37の操作信号は、直接に制御部38に送出され、リモートコントローラからのキー操作信号は、IR受信部35で受信され、IR処理部36で復調されたコード信号が制御部38に出力される。
【0025】
なお、制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。この音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0026】
また、制御部38は、光源制御手段としての光源制御回路41を制御しており、この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源ユニット60から射出されるように、光源ユニット60の赤色、緑色及び青色の波長帯域光を発光させる個別の制御を行う。
【0027】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源ユニット60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によりプロジェクタ本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によってはプロジェクタ本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0028】
次に、このプロジェクタ10の内部構造について述べる。
図3は、プロジェクタ10の内部構造を示す平面模式図である。
図4は、プロジェクタ10内の光源装置の説明図である。プロジェクタ10は、
図3に示すように、右側パネル14の近傍に制御回路基板241を備えている。この制御回路基板241は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備えてなる。また、プロジェクタ10は、制御回路基板241の側方、つまり、プロジェクタ筐体の略中央部分に光源ユニット60を備えている。さらに、プロジェクタ10は、光源ユニット60と左側パネル15との間に光学系ユニット160を備えている。
【0029】
光源ユニット60は、プロジェクタ筐体の左右方向における略中央部分であって背面パネル13近傍に配置される青色光源装置70と、この青色光源装置70から射出される光線束の光軸上であって正面パネル12の近傍に配置される蛍光発光装置100と、青色光源装置70と蛍光発光装置100との間に配置される赤色光源装置120と、蛍光発光装置100からの射出光や赤色光源装置120からの射出光の光軸が同一の光軸となるように変換して、各色光を所定の一面であるライトトンネル175の入射口に集光する導光光学系140と、を備える。
【0030】
青色光源装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の青色光源71から成る光源群、各青色光源71からの射出光の光軸を正面パネル12方向に90度変換する反射ミラー群75、反射ミラー群75で反射した各青色光源71からの射出光を集光する集光レンズ78、及び、青色光源71と右側パネル14との間に配置されたヒートシンク81等を備える。
【0031】
光源群は、複数の青色レーザー発光器とされる青色光源71がマトリクス状に配列されて成る。また、各青色光源71の光軸上には、各青色光源71からの各射出光の指向性を高めるように各々平行光に変換するコリメータレンズ73が夫々配置されている。また、反射ミラー群75は、複数の反射ミラーが階段状に配列されてミラー基板76と一体化されて位置調整を行って生成され、青色光源71から射出される光線束の断面積を一方向に縮小して集光レンズ78に射出する。なお、反射ミラー群75については、後で詳細に説明する。
【0032】
ヒートシンク81と背面パネル13との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261とヒートシンク81とによって青色光源71が冷却される。さらに、反射ミラー群75と背面パネル13との間にも冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって反射ミラー群75や集光レンズ78が冷却される。
【0033】
蛍光発光装置100は、正面パネル12と平行となるように、つまり、青色光源装置70からの射出光の光軸と直交するように配置された発光ホイール101と、この発光ホイール101を回転駆動するホイールモータ110と、青色光源装置70から射出される光線束を発光ホイール101に集光するとともに発光ホイール101から背面パネル13方向に射出される光線束を集光する集光レンズ群111と、発光ホイール101から正面パネル12方向に射出される光線束を集光する集光レンズ115と、を備える。
【0034】
発光ホイール101は、青色光源装置70からの射出光を励起光として受けて緑色波長帯域の蛍光発光光を射出する緑色光源装置80としての緑色蛍光発光領域と、青色光源装置70からの射出光を拡散透過する拡散透過領域と、が周方向に並設してなる。また、緑色蛍光発光領域における基材は銅やアルミニウム等から成る金属基材であって、この基材の背面パネル13側の表面は、銀蒸着等によってミラー加工されており、このミラー加工された表面に緑色蛍光体の層が敷設されている。さらに、拡散透過領域における基材は透光性を有する透明基材であって、この基材の表面には、サンドブラスト等によって微細凹凸が形成されている。
【0035】
そして、発光ホイール101の緑色光源装置としての緑色蛍光体層に照射された青色光源装置70からの射出光は、緑色蛍光体層における緑色蛍光体を励起し、緑色蛍光体から全方位に蛍光発光された光線束は、直接背面パネル13側へ、あるいは、発光ホイール101の表面で反射したあとに背面パネル13側へ射出され、集光レンズ群111に入射する。また、発光ホイール101の拡散透過領域に照射された青色光源装置70からの射出光は、微細凹凸によって拡散された拡散透過光として集光レンズ115に入射する。なお、ホイールモータ110と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって蛍光発光装置100等が冷却される。
【0036】
赤色光源装置120は、青色光源71と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの射出光を集光する集光レンズ群125と、を備える単色発光装置である。この赤色光源121は、赤色波長帯域の光を発する赤色発光ダイオードである。そして、この赤色光源装置120は、青色光源装置70からの射出光及び発光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と光軸が交差するように配置されている。さらに、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側に配置されるヒートシンク130を備える。そして、ヒートシンク130と正面パネル12との間には冷却ファン261が配置されており、この冷却ファン261によって赤色光源121が冷却される。
【0037】
そして、導光光学系140は、赤色、緑色、青色波長帯域の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸とさせる反射ミラー、ダイクロイックミラー等からなる。具体的には、青色光源装置70から射出される青色波長帯域光及び発光ホイール101から射出される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から射出される赤色波長帯域光とが交差する位置に、青色及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射してこの緑色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一ダイクロイックミラー141が配置されている。
【0038】
また、発光ホイール101を拡散透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間には、青色波長帯域光を反射してこの青色光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する第一反射ミラー143が配置されている。さらに、第一反射ミラー143で反射した青色波長帯域光の光軸上であって光学系ユニット160の近傍には、この青色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二反射ミラー145が配置されている。
【0039】
また、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸及びこの光軸と一致するように第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と、第二反射ミラー145で反射した青色波長帯域光の光軸とが交差する位置には、青色波長帯域光を透過し、赤色及び緑色波長帯域光を反射してこれら赤色及び緑色光の光軸を背面パネル13方向に90度変換する第二ダイクロイックミラー148が配置されている。そして、ダイクロイックミラーや反射ミラーの間には、夫々集光レンズが配置されている。さらに、ライトトンネル175の近傍には、ライトトンネル175の入射口に光源光を集光する集光レンズ173が配置されている。
【0040】
光学系ユニット160は、青色光源装置70の左側方に位置する照明側ブロック161と、背面パネル13と左側パネル15とが交差する位置の近傍に位置する画像生成ブロック165と、導光光学系140と左側パネル15との間に位置する投影側ブロック168と、の3つのブロックによって略コの字状に構成されている。
【0041】
この照明側ブロック161は、光源ユニット60から射出された光源光を画像生成ブロック165が備える表示素子51に導光する光源側光学系170の一部を備えている。この照明側ブロック161が有する光源側光学系170としては、光源ユニット60から射出された光線束を均一な強度分布の光束とするライトトンネル175や、ライトトンネル175から射出された光を集光する集光レンズ178、ライトトンネル175から射出された光線束の光軸を画像生成ブロック165方向に変換する光軸変換ミラー181等がある。
【0042】
画像生成ブロック165は、光源側光学系170として、光軸変換ミラー181で反射した光源光を表示素子51に集光させる集光レンズ183と、この集光レンズ183を透過した光線束を表示素子51に所定の角度で照射する照射ミラー185と、を有している。さらに、画像生成ブロック165は、表示素子51とするDMDを備え、この表示素子51と背面パネル13との間には表示素子51を冷却するためのヒートシンク190が配置されて、このヒートシンク190によって表示素子51が冷却される。また、表示素子51の正面近傍には、投影側光学系220としてのコンデンサレンズ195が配置されている。
【0043】
投影側ブロック168は、表示素子51で反射されたオン光をスクリーンに放出する投影側光学系220のレンズ群を有している。この投影側光学系220としては、固定鏡筒に内蔵する固定レンズ群225と可動鏡筒に内蔵する可動レンズ群235とを備えてズーム機能を備えた可変焦点型レンズとされ、レンズモータにより可動レンズ群235を移動させることによりズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0044】
このようにプロジェクタ10を構成することで、発光ホイール101を回転させるとともに青色光源装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を射出すると、赤色、緑色及び青色の波長帯域光が導光光学系140を介してライトトンネル175に順次入射され、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射されるため、プロジェクタ10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を生成することができる。
【0045】
次に、本発明の光源装置の構成について図を用いて詳細に説明する。
図4は、青色光源装置70の反射ミラー群75周辺の構成を示す説明図である。
【0046】
青色光源装置70は、先述のとおり、複数の半導体発光素子による光源群である青色光源71と、青色光源71からの夫々の射出光を平行光に変換するコリメータレンズ73と、青色光源71からの射出光の光軸を90度変換させる複数の反射ミラー75aからなる反射ミラー群75と、反射ミラー群75で反射した青色光源71からの射出光を集光する集光レンズ78と、を備える。
【0047】
反射ミラー群75は、
図4に示すように複数の反射ミラーが階段状とされるように平行に配置されてミラー基板76と一体化される。
【0048】
そして、反射ミラー群75は、複数の反射ミラー75aの縁部と隣り合う反射ミラー75aの背面とを、例えば、UV硬化型(紫外線硬化型)接着剤等により固定されて接着部77を形成されており、各反射ミラー75aを一体としている。
【0049】
さらに、各反射ミラー75aが一体とされた状態で、反射ミラー群75の各反射ミラー75aの背面にミラー基板76を係合させ、反射ミラー群75とミラー基板76との間に、例えばUV硬化型接着剤等からなる充填剤74を注入して接着固定させることにより、反射ミラー群75とミラー基板76とを一体としている。
【0050】
ミラー基板76は、平板状で略長方体形状の金属基材であって、両端に反射ミラー群保持体72と係止させる係止部を備える。
【0051】
係止部は、両端部の一方を光源保持体である反射ミラー群保持体72の両端部の一方に設けられた突起部500に係止させる穴404(穴部)とし、両端部の他方を反射ミラー群保持体72の両端部の他方に設けられた螺子穴501(螺子穴部)に対応する位置調整手段403としての長穴405とする。よって、ミラー基板76の両端部の一方を係止させながら両端部の他方である位置調整手段403と、反射ミラー群保持体72の螺子穴501とに螺子406を通した状態で位置調整手段403を回動させるようにミラー基板76を動かし、所定の取り付け角度となるようにミラー基板76を取り付け位置調整を行って位置調整を完了させて、その位置でミラー基板76の位置調整手段403である長穴405と反射ミラー群保持体72の螺子穴501とを螺子406で止めることにより、ミラー基板76と反射ミラー群保持体72とを接続させる。
【0052】
ミラー基板76は、上記のような位置調整手段403を含む係止部を備えているので、ミラー基板76の反射ミラー群保持体72への取り付け角度を簡易に調整することができる。
【0053】
また、青色光源71は、先述のとおり、3行8列の計24個の半導体発光素子である青色レーザーダイオードがマトリクス状に配列されているものである。
【0054】
そして、反射ミラー群75は、青色光源71における光源の列数と同数である8列の短冊状の反射ミラー75aから構成されており、各反射ミラー75aは、夫々同一の傾きをなして配置されている。
【0055】
なお、反射ミラー群75は、青色光源71における光源の列数と同数である8列の短冊状のミラーから構成されている場合に限定されず、例えば、青色光源71における光源の数と同数である24個の反射ミラー75aからなる構成とし、各反射ミラー75aが夫々同一の傾きをなして配置させ、各反射ミラー75aが、当該各反射ミラー75aからの反射光の相互の間隔を縮めるように配置させてもよい。
【0056】
次に、光源装置を治具400等を用いて製造する製造方法について図を用いて説明する。
図5は、反射ミラー75aを治具400上で接着させる方法に関する説明図である。
図6は、反射ミラー75aを一体化されて形成された反射ミラー群75とミラー基板76を固定させた状態を示す説明図である。
図7は光源装置を治具400等を用いて製造する製造方法についてのフローチャートである。
【0057】
光源装置は、各反射ミラー75aを夫々同一の傾きをなして平行に配置させて反射ミラー群75として一体化構造とするために、治具400や吸着手段401等を用いて製造する。
【0058】
まず、治具400を所定の場所に準備させる準備工程(ステップS600)を行う。治具400は、
図5に示すように、水平面に対して各反射ミラー75aを夫々に45度の角度で階段状に平行に配置させる各反射ミラー配置面を有する載置台である。
【0059】
また、治具400には、各反射ミラー配置面に開口して形成された吸気孔が形成されている。そして、治具400の各反射ミラー配置面に載置された各反射ミラー75aを吸着手段401として吸気孔を介して図示しないバキューム装置等により吸引させて各反射ミラー配置面に吸着させる吸着工程(ステップS601)を行う。
【0060】
そして、各反射ミラー75aを各反射ミラー配置面に載置し吸着手段401により吸着させた状態で、各反射ミラー75aの吸着面とは反対の面において、夫々反射ミラー縁部と隣り合う反射ミラー背面とを、例えば、UV硬化型接着剤等により固定させ接着部77を形成する接着工程(ステップS602)を行う。
【0061】
次に、接着部77により相互に接続されて一体とされた反射ミラー群75を、
図6に示すように、平板状のミラー基板76に載置させる載置工程(ステップS603)を行う。そして、反射ミラー群75とミラー基板76との間隙に充填剤74を注入させることにより反射ミラー群75とミラー基板76とを一体とさせる固定工程(ステップS604)を行う。
【0062】
その後、ミラー基板76と一体とされた反射ミラー群75を保持する光源保持体である反射ミラー群保持体72に、ミラー基板76端部の長穴405である位置調整手段403によりミラー基板76を取り付けるミラー取付け工程(ステップS605)を行う。
【0063】
なお、反射ミラー群保持体72へミラー基板76を取り付けるにあたっては、例えば、点灯治具等を用いて青色光源71を点灯させた状態で、先述のとおり、ミラー基板76の端部を移動させて射出光が集光レンズ78に対して垂直か否かを調整し、垂直調整を完了させてから、ミラー基板76と反射ミラー群保持体72とをミラー基板76の端部に設けた長穴405、螺子穴501に螺子406を閉めることにより固定させるようにしても構わない。
【0064】
具体的には、ミラー取付け工程(ステップS605)として、ミラー基板76の穴404に反射ミラー群保持体72の突起部500に係止させる工程と、ミラー基板76の長穴405による位置調整手段403と反射ミラー群保持体72との螺子穴501とに螺子406を通す工程と、位置調整手段403を回動させるようにミラー基板76を動かしてミラー基板76の位置調整を行なう工程と、螺子406を閉めることでミラー基板76と反射ミラー群保持体72とを固定する工程と、を行うこととなる。
【0065】
このような工程を経て製造することにより、ミラー基板76の反射ミラー群保持体72への取り付け角度は、位置調整手段403によって簡易に微調整することができる。
【0066】
このようにして、各反射ミラー75aが夫々に青色光源71からの射出光を90度方向変換させるために、射出光の光軸に対して45度傾斜させた状態でミラー基板76と一体とすることにより、青色光源71の列毎に設けた反射ミラー75aを個別に角度調整する必要がなく、一体とされた反射ミラー群75の取り付け位置を調整するだけで、反射ミラー群75の角度調整を完了させることができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、プロジェクタ10の光源装置として青色光源装置70の構成について説明してきたが、本発明の光源装置は例えば、プロジェクタ10の赤色光源装置や緑色光源装置についても複数の光源が行及び列をなすように平面状に配列された光源群と、各光源から射出された各光線束を所定角度に射出されるように反射させる複数のミラーからなるミラー群と、を有する光学系の構成とする場合には同様に適用できる。
【0068】
以上のように本発明の実施形態によれば、多数のミラーを、その傾きを正確に一致させた状態で配置させることができる光源装置の製造方法、その製造方法によって造られた光源装置及びその光源装置を備えたプロジェクタ10を提供することができる。
【0069】
また、本発明の実施形態によれば、平面度の高い反射ミラー配置面を有する適正な治具400を用いることにより、多数ある反射ミラー75aを精度良く配置させて一体とすることができるとともに、容易な調整機構で光学系の調整を可能として生産性を向上させて、レーザー光源のパワーを最大限に引き出すことが可能となるために、投影輝度の性能を高めることができる。
【0070】
そして、本発明の実施形態によれば、ミラー基板76が平板状であって、平面度を高くすることにより、反りなどの発生が生じ難い。
【0071】
さらに、本発明の実施形態によれば、反射ミラー群75は、青色光源71から射出される光線束の光軸上に複数の反射ミラー75aが所定角度で階段状に平行に配置されることによって、光線束の射出面積を小さくすることができ、光源装置をコンパクトにすることができる。
【0072】
そして、本発明の実施形態によれば、反射ミラー群75は、青色光源71における光源の列数と同数の短冊状の反射ミラー75aとすることにより、部品点数及び製造工数を軽減することができる。
【0073】
さらに、本発明の実施形態によれば、反射ミラー群75は、青色光源71における光源の数と同数の反射ミラー75aとすれば、治具400を調整することにより各光源毎にミラーを微調整することができる。
【0074】
また、本発明の実施形態によれば、青色光源71の列毎に設けた反射ミラー75aを個別に角度調整する必要がなく、一体とされた反射ミラー群75の取り付け位置を調整するだけで、反射ミラー群75の角度調整を完了させることができる。
【0075】
そして、本発明の実施形態によれば、所定の上に各反射ミラー75aを載置させ、吸着手段401で各反射ミラー75aを吸着させながら接着剤等で各反射ミラー75aを固定させ、各反射ミラー75aとミラー基板76とを一体とさせることにより、容易に各反射ミラー75aと一体とされたミラー基板76の取り付け位置を調整して、投影輝度の性能を高めることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、接着部77と充填剤74とは、熱によって接着が弱くなる性質、又は硬化後にゴムのような弾性が生ずる接着剤でないのが好ましく、例えばUV硬化型接着剤の他にも、熱硬化型接着剤などを用いても良い。
【0077】
また、本実施形態の治具400には接着剤が残存してしまうことを防ぐ方策が施されていても良い。接着剤が治具400に残って固まり、その接着剤残りが治具400についている状態では、各反射ミラー75aを吸着しても精度良く配置させることが困難となることがある。そこで、治具400の接着剤と接触すると考えられる端部にシリコンゴムを埋め込む、又は治具400の表面をテフロン(登録商標)でコートして、接着剤がつきにくくしてもよい。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 多数のミラーからなるミラー群を夫々に所定角度に設置する光源装置の製造方法であって、
前記多数のミラーを所定角度で載置させる載置面を有し且つ、前記多数のミラーを吸着固定する吸着手段を有する治具を準備する準備工程と、
前記治具の所定位置に前記多数のミラーを載置して前記吸着手段により吸着固定する吸着工程と、
前記多数のミラーを前記治具の前記吸着手段により吸着させた状態で前記各ミラーを隣り合うミラー縁部とミラー背面とで接着固定して接着部を形成する接着工程と、
前記接着部により相互に接続されて一体とされたミラー群を、平板状のミラー基板に載置する載置工程と、
前記ミラー群と平板状のミラー基板との間の間隙に充填剤を注入して前記ミラー群と前記ミラー基板とを接着固定し一体とする固定工程と、
前記ミラー基板を、光源群を保持する光源保持体の反射ミラー群保持体に取り付けるミラー取付け工程と、
を含むことを特徴とする光源装置の製造方法。
[2] 前記ミラー基板の両端部の一方に穴部が設けられ、他方には位置調整手段としての長穴が設けられており、
前記光源保持体の両端部の一方には突起部が設けられ、他方には螺子穴が設けられており、
前記ミラー取付け工程は、
前記穴部を前記突起部に係止させる工程と、
次いで、前記位置調整手段と前記螺子穴とに螺子を通す工程と、
次いで、前記位置調整手段を回動させるように前記ミラー基板を動かして当該ミラー基板の位置調整を行なう工程と、
次いで、前記螺子を閉めることで前記ミラー基板と前記光源保持体とを固定する工程と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の光源装置の製造方法。
[3] 前記ミラー群は、前記光源群から射出される光線束の光軸上に複数のミラーが階段状で平行に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置の製造方法。
[4] 前記ミラー群は、前記光源群における光源の列数と同数の短冊状のミラーであって、各ミラーは、夫々同一の傾きをなして配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光源装置の製造方法。
[5] 前記ミラー群は、前記光源群における光源の数と同数のミラーから構成されており、各ミラーは、夫々同一の傾きをなして配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の光源装置の製造方法。
[6] 前記接着部及び前記充填剤は紫外線硬化型樹脂接着剤又は熱硬化性樹脂接着剤であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の光源装置の製造方法。
[7] 複数の光源が行及び列をなすように平面状に配列された光源群と、
前記各光源からの各射出光を各々平行光に変換するコリメータレンズと、
前記各光源から射出された各光線束を所定角度に射出されるように反射させる複数のミラーからなるミラー群と、
前記複数のミラーの縁部と隣り合うミラーの背面とを接続させて前記ミラー群を一体とさせる接着部と、
前記接着部により接続された前記ミラー群の背面を充填剤を介して支持するミラー基板と、
前記光源群から射出された光を集光する集光レンズと、
を備えることを特徴とする光源装置。
[8] 前記光源装置は、さらに、前記ミラー群を保持するミラー群保持体を備え、
前記ミラー基板の両端部には、一方で前記ミラー群保持体を係止させる穴を備え、他方で前記ミラー群保持体の取り付け位置を調整可能としながら前記ミラー群保持体を係止させる位置調整手段である長穴を備えることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
[9] 光源装置と、
表示素子と、
前記光源装置からの光を前記表示素子に導光する光源側光学系と、
前記表示素子から射出された画像をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記光源装置や表示素子を制御するプロジェクタ制御手段と、を備え、
前記光源装置が、赤色波長帯域光を発する光源装置、青色波長帯域光を発する光源装置、及び、緑色波長帯域光を発する光源装置であって、少なくとも何れか1つの光源装置が請求項7または請求項8に記載の光源装置であることを特徴とするプロジェクタ。