【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の清浄気送風ユニットは、矩形状の基板を上下方向に間隔を隔てて並べる状態で収納する直方体状の基板収納器を収納する複数の収納部、前記基板収納器に対して前記基板の取出し及び収納を行う基板搬出入部、及び、前記収納部と前記基板搬出入部との間で前記基板収納器を搬送する搬送手段を備えた保管装置に保管される前記基板収納器に対して着脱自在に装着される清浄気送風ユニットであって、その第1特徴構成は、
前記基板収納器の4つの側面のうちの一つの側面を清浄気送風面としかつその清浄気送風面に対向する側面を排気用面として、前記清浄気送風面から前記排気用面に向けて水平方向に沿う清浄気を通風するファンフィルタユニット、及び、前記基板収納器の4つの側面のうちの、前記清浄気送風面及び前記排気用面を除いた2つの側面を覆う一対の遮蔽板が装備されている点を特徴とする。
【0014】
すなわち、清浄気送風ユニットに装備したファンフィルタユニットが、基板収納器の4つの側面のうちの1つの側面を清浄気送風面としかつその側面に対向する側面を排気用面として、清浄気送風面から排気用面に向けて水平方向に沿って清浄気を送風することになる。
そして、清浄気送風ユニットに装備した一対の遮蔽板が、基板収納器の4つの側面のうちの、清浄気送風面及び排気用面を除いた2つの側面を覆うことになるため、基板収納器の4つの側面のうちの、清浄気送風面及び排気用面を除いた2つの側面が開口状態に形成されていても、清浄気が外部に漏れることを抑制しながら、清浄気を清浄気送風面から排気用面に向けて適切に流動させることができる。
【0015】
このように、清浄気を清浄気送風面から排気用面に向けて適切に流動させながらも、基板収納器の4つの側面のうちの、清浄気送風面及び排気用面を除いた2つの側面を開口状態にすることができるため、清浄気送風ユニットを分離した状態で基板収納器を洗浄する際に、その開口状態となる側面を通して、洗浄用の液体を基板収納器の内部に適切に流動させることができる等、基板収納器の洗浄を良好に行うことができる。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、清浄気を清浄気送風面から排気用面に向けて適切に流動させながらも、基板収納器の洗浄を良好に行えるようにすることができる清浄気送風ユニットを提供できる。
【0017】
本発明の清浄気送風ユニットの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記ファンフィルタユニットが、前記洗浄気送風面に相当する箇所に配設されている点を特徴とする。
【0018】
すなわち、洗浄気送風面に相当する箇所に配設されたファンフィルタユニットが、清浄気を清浄気送風面から排気用面に向けて送風することになるため、構成の簡素化を図りながら、清浄気を適切に送風できる。
【0019】
つまり、清浄気送風面から排気用面に向けて清浄気を送風するにあたり、例えば、清浄気送風ユニットにおける基板収納器の上面に相当する箇所等、清浄気送風面とは異なる箇所にファンフィルタユニットを配設し、そのファンフィルタユニットからの清浄気を清浄気送風面に案内する送風ダクトを設ける構成が考えられる。
【0020】
しかしながら、この構成の場合には、送風ダクトを設けることにより、全体構成が複雑化するものとなり、しかも、ファンフィルタユニットからの清浄気が、送風ダクト内を流動する際に失速する等に起因して、清浄気を適切に送風し難い虞があるが、ファンフィルタユニットを、洗浄気送風面に相当する箇所に配設する場合には、ファンフィルタユニットが清浄気送風面に対して清浄気を直接送風することになるため、構成の簡素化を図りながら、清浄気を適切に送風できるのである。
【0021】
要するに、本発明の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、構成の簡素化を図りながら、清浄気を適切に送風できる清浄気送風ユニットを提供できる。
【0022】
本発明の清浄気送風ユニットの第3特徴構成は、上記第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、
前記排気用面を覆う排気用板状体が装備され、その排気用板状体に、複数の排気用の通気孔が、上下及び左右に分散する状態で形成されている点を特徴とする。
【0023】
すなわち、清浄気送風面から排気用面に向けて送風される洗浄気が、排気用面を覆う排気用板状体に形成された通気孔を通して外部に排出される状態で流動することになるから、ランニングコストの低下を図ることができる。
【0024】
つまり、基板収納器の排気用面に対応する側面が、開口状態であると、その開口状態の側面(排気用面)から基板収納器の内部への塵埃の侵入を抑制するために、清浄気の風力を増加させる必要があり、その結果、ファンフィルタユニットの駆動エネルギーの増加により、ランニングコストが増加することになるが、基板収納器の排気用面に対応する側面を、通気孔が形成された排気用板状体にて覆うようにすると、清浄気の風力を低下させても、通気孔からは洗浄気が噴出して、通気孔から基板収納器の内部への塵埃の侵入を抑制できるため、清浄気の風力の低下により、ランニングコストの低下を図ることができるのである。
【0025】
また、通気孔が、上下及び左右に分散する状態で排気用板状体に形成されて、洗浄気が、基板収納器の内部空間の全体に亘って流動することになるから、基板収納器に収納された複数の基板の夫々に対してその全面に沿って洗浄気を流動させて、基板に対する塵埃の付着を適切に抑制することができる。
【0026】
要するに、本発明の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成による作用効果に加えて、ランニングコストの低下を図りながらも、基板に対する塵埃の付着を適切に抑制することができる清浄気送風ユニットを提供できる。
【0027】
本発明の清浄気送風ユニットの第4特徴構成は、上記第3特徴構成に加えて、
前記基板収納器の底面に対応する箇所に、前記基板収納器が挿脱自在な容器挿脱用開口が形成されている点を特徴とする。
【0028】
すなわち、清浄気送風ユニットが、基板収納器の底面に対応する箇所に、基板収納器が挿脱自在な容器挿脱用開口を備えているから、基板収納器に対して基板を収納又は取出すときや、基板収納器を洗浄するときに、基板収納器を、容器挿脱用開口を通して挿脱する形態で、清浄気送風ユニットに対して容易に着脱することができる。
【0029】
要するに、本発明の第4特徴構成によれば、上記第3特徴構成による作用効果に加えて、基板収納器の着脱を容易に行うことができる清浄気送風ユニットを提供できる。
【0030】
本発明の清浄気送風ユニットの第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、
前記基板収納器が、前記排気用面に相当する側面から前記基板を挿脱できるように構成され、
前記排気用板状体における、前記基板収納器に上下に並べて収納される前記基板のうちの最下段の基板に対向する位置又はその最下段の基板よりも下方側の位置に、前記基板を挿通させる挿通孔が形成されている点を特徴とする。
【0031】
すなわち、基板搬出入部において、基板収納器に対して基板を取出すときや収納するときに、清浄気送風ユニットを上下方向の一定位置に保持した状態で、基板収納器を、容器挿脱用開口を通して挿脱しながら上下方向に移動させ、そして、基板を、排気用板状体に形成した挿通孔を通して水平方向に沿って移動させながら、基板収納器に対して挿脱する形態で行うことができる。
【0032】
説明を加えると、清浄気送風ユニットを上下方向の一定位置に保持する保持手段、基板収納器を上下方向に移動させる昇降手段、及び、基板を基板収納器に対して挿脱するように水平方向に沿って移動させる基板移動手段を、基板搬出入部に設ける。
【0033】
そして、基板収納器から基板を取出す場合には、一般的には、上下方向に並ぶ基板の下方側のものから順次取出すことになるため、先ず、上下方向に並ぶ基板のうちの最下段の基板が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置となるようにする。
尚、挿通孔が、上下に並べて収納される基板のうちの最下段の基板に対向する位置に形成されている場合には、最下段の基板が挿通孔に対向する位置に位置するため、基板収納器を、上下方向の一定位置に保持されている清浄気送風ユニットに対して下降させる必要はないが、挿通孔が、上下に並べて収納される基板のうちの最下段の基板よりも下方側の位置に形成されている場合には、最下段の基板を挿通孔に対向する位置に位置させるために、基板収納器を、上下方向の一定位置に保持されている清浄気送風ユニットに対して下降させることになる。
【0034】
上下方向に並ぶ基板のうちの最下段の基板が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置に位置する状態において、基板移動手段を作動させて、基板を、排気用板状体に形成した挿通孔を通して水平方向に沿って移動させながら、基板収納器から取出すことになる。
【0035】
基板移動手段の作動によって基板の取出しが終了すると、取出した基板の上方に隣接する基板が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置となるように、昇降手段によって基板収納器を下降させ、その後、基板移動手段を作動させて、基板収納器から基板を取出すことになり、以下、最上段の基板の取出しが終了するまで、昇降手段によって基板収納器を下降させることと、基板移動手段によって基板を取出すことを、繰り返すことになる。
【0036】
基板収納器に基板を収納する場合には、一般的には、上下方向に並ぶ基板の最上段のものから順次収納することになるため、上下方向に並ぶ基板のうちの最上段の基板を収納する位置が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置となるように、昇降手段を作動させることになる。
【0037】
上下方向に並ぶ基板のうちの最上段の基板を収納する位置が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置に位置する状態において、基板移動手段を作動させて、基板を、排気用板状体に形成した挿通孔を通して水平方向に移動させながら、基板収納器に収納することになる。
【0038】
基板移動手段の作動によって基板の収納が終了すると、収納した基板の下方に隣接する基板の収納位置が、排気用板状体に形成した挿通孔に対向する位置となるように、昇降手段によって基板収納器を上昇させ、その後、基板移動手段を作動させて、基板収納器に基板を収納することになり、以下、最下段の基板の収納が終了するまで、昇降手段によって基板収納器を上昇させることと、基板移動手段によって基板を収納することを、繰り返すことになる。
【0039】
このように、基板を基板収納器から取出すときや基板を基板収納器に収納するときに、排気用板状体に形成した挿通孔を通して基板を水平方向に沿って移動させることができるため、昇降手段によって基板収納器を昇降させる昇降量の減少により、昇降手段の簡素化を図ることができる。
【0040】
つまり、排気用板状体が装備されるものの、挿通孔が形成されない場合においては、排気用板状体の下方側を通して、基板を水平方向に沿って移動させることになるが、このような場合には、基板収納器を清浄気送風ユニットの下方側に抜き出す量(下降量)が、排気用板状体に形成された挿通孔を通して基板を水平方向に沿って移動させる場合よりも、大きくなり、昇降手段によって基板収納器を昇降させる昇降量が増加して、昇降手段が複雑化する虞があるが、排気用板状体に形成した挿通孔を通して基板を移動させることができるため、昇降手段によって基板収納器を昇降させる昇降量の減少により、昇降手段の簡素化を図ることができるのである。
【0041】
要するに、本発明の第5特徴構成によれば、上記第4特徴構成の作用効果に加えて、基板を基板収納器から取出すときや基板を基板収納器に収納するときに、基板収納器を昇降させる昇降量を減少させて、基板収納器を昇降させる昇降手段の簡素化を図ることができる清浄気送風ユニットを提供できる。