特許第5741964号(P5741964)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5741964センサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5741964
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】センサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20150611BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20150611BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   A61B5/10 310A
   A61B5/02 320P
   A61B5/00 102C
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2012-276641(P2012-276641)
(22)【出願日】2012年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-117551(P2014-117551A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2013年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(72)【発明者】
【氏名】浦 一夫
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−073456(JP,A)
【文献】 特開2004−350947(JP,A)
【文献】 特開2005−334021(JP,A)
【文献】 特開2002−328134(JP,A)
【文献】 特開2002−306660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/02
A61B 5/06−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の運動状態に関連する運動データを取得する運動データ取得部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定する抽出条件指定部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出するデータ抽出部と、
前記抽出された前記運動データを、前記運動データ取得部から転送するデータ転送部と、
前記データ転送部により転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行するデータ分析部と、を備え
前記運動データ取得部は、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得し、
前記データ抽出部は、
前記運動データ取得部により取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得し、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出することを特徴とするセンサデータ抽出システム。
【請求項2】
前記環境情報蓄積部は、前記データ抽出部にネットワークを介して接続され、
前記データ抽出部は、
前記抽出した前記環境情報を、前記ネットワークを介して、前記環境情報蓄積部から取得することを特徴とする請求項に記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項3】
前記抽出条件指定部は、前記人体の移動距離、経過時間、心拍数変化、移動速度変化、前記地形変化、および、前記気象変化を含む複数の条件のうちのいずれか一つ、または、前記複数の条件のうちのいずれか2つ以上の任意の組み合せを、前記抽出条件として指定することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項4】
前記運動データ取得部は、少なくとも前記人体の運動姿勢に関連する前記運動データを取得することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項5】
前記運動データ取得部は、前記人体の運動姿勢に関連する前記運動データとして、3軸方向の成分を有する、加速度データと、角速度データと、地磁気データと、を取得することを特徴とする請求項に記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項6】
前記運動データ取得部は、前記人体の生体情報を含む前記運動データを取得することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項7】
前記運動データ取得部は、前記人体の運動中の位置および移動速度に関連する前記運動データを取得することを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項8】
前記抽出条件指定部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項9】
前記抽出条件指定部は、前記運動データ取得部とともに、同一のセンサ機器に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項10】
前記データ分析部は、ネットワークを介して前記データ転送部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項11】
前記データ分析部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項12】
前記データ分析部における前記分析処理により生成された分析データを、ユーザに提供するための分析データ提供部を、さらに備え、
前記分析データ提供部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のセンサデータ抽出システム。
【請求項13】
人体の運動状態に関連する運動データを取得し、
前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定し、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出し、
前記抽出された前記運動データを転送して、
前記転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行
前記運動データを取得することは、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得することを含み、
前記運動データを抽出することは、
前記取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得し、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出することを含む、ことを特徴とするセンサデータ抽出方法。
【請求項14】
コンピュータに、
人体の運動状態に関連する運動データを取得させ、
前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定させ、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出させ、
前記抽出された前記運動データを転送させ、
前記転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行させ
前記運動データを取得させることは、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得させることを含み、
前記コンピュータに、前記運動データを抽出させることは、
前記取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得させ、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出させることを含む、ことを特徴とするセンサデータ抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラムに関し、特に、ランニングやウォーキング等の運動状態を把握する際に有効に適用できるセンサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりにより、日常的にランニングやウォーキング、サイクリング等の運動を行って健康状態を維持、増進する人々や、健康状態を常に意識する人々が増えている。このような人々は、自らの健康状態や運動状態を数値やデータで測定したり、記録したりすることに対して、意識や関心が非常に高い。現在、このような要望に対応する製品や技術が種々開発されており、歩数や移動距離、脈拍(心拍数)、カロリー消費量等を測定したり、記録したりすることにより、利用者(ユーザ)は自らの健康状態や運動状態を把握することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、加速度センサを備えた運動状態センシング装置により検出されたデータを、分析・表示装置に転送して運動状態を分析し、ユーザに報知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−160726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された技術においては、運動状態センシング装置に備えられたセンサにより検出したデータを常時メモリに保存し、その保存されたデータの全てを分析・表示装置に転送して、運動状態を分析する手法が適用されている。ここで、近年、センサ技術の発展により、運動状態を検出するためのセンサの検出能力が著しく向上しており、それに伴って、センサにより検出されるデータの量が増加する傾向にある。例えば、上述した加速度センサにおいては、直交する3軸方向の加速度成分を、数十〜数百Hz(毎秒数十〜数百回)の周期で検出するセンサ機器も知られている。また、上述したような運動状態センシング装置において検出される人体の運動情報の要素や種類が多い場合や、その検出時間が長い場合には、センサにより検出されるデータの量はさらに増加することになる。
【0006】
そのため、上述したような手法においては、データ運動状態センシング装置から分析・表示装置へのデータの転送量が増大して、転送時間が長くなるという問題を有している。この場合、その転送時間に応じて、消費電力も増加するという問題も有している。また、データ運動状態センシング装置から分析・表示装置に転送されるデータの量が多い場合には、データの転送先である分析・表示装置に、記憶容量の大きいメモリを備える必要があるため、製品コストの上昇を招くという問題も有している。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、センサデータを効率的に転送することができるとともに、センサデータを保存するためのメモリの記憶容量を削減することができるセンサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るセンサデータ抽出システムは、
人体の運動状態に関連する運動データを取得する運動データ取得部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定する抽出条件指定部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出するデータ抽出部と、
前記抽出された前記運動データを、前記運動データ取得部から転送するデータ転送部と、
前記データ転送部により転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行するデータ分析部と、を備え
前記運動データ取得部は、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得し、
前記データ抽出部は、
前記運動データ取得部により取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得し、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るセンサデータ抽出方法は、
人体の運動状態に関連する運動データを取得し、
前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定し、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出し、
前記抽出された前記運動データを転送して、
前記転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行
前記運動データを取得することは、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得することを含み、
前記運動データを抽出することは、
前記取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得し、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出することを含む、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係るセンサデータ抽出プログラムは、
コンピュータに、
人体の運動状態に関連する運動データを取得させ、
前記運動データに対して、該運動データの中から該運動データを用いた分析処理に必要となる部分を抽出するための抽出条件を指定させ、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出させ、
前記抽出された前記運動データを転送させ、
前記転送された前記運動データを用いて前記分析処理を実行させ
前記運動データを取得させることは、前記人体の運動中の位置に関連するデータを含むデータを前記運動データとして取得させることを含み、
前記コンピュータに、前記運動データを抽出させることは、
前記取得された前記人体の運動中の位置に関連するデータに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積された環境情報蓄積部から取得させ、
前記取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する前記運動データを抽出させることを含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサデータを効率的に転送することができるとともに、センサデータを保存するためのメモリの記憶容量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るセンサデータ抽出システムを適用した運動状態把握装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるセンサ機器の一例を示す概略構成図である。
図3】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用される手首装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用される胸部装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図である。
図5】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用される情報通信端末の一構成例を示すブロック図である。
図6】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるネットワークサーバの一構成例を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法に適用されるセンサデータの抽出条件の一例を示す図である。
図8】一実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第1の例を示すフローチャート(その1)を示す概略図である。
図9】一実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第1の例を示すフローチャート(その2)である。
図10】一実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第2の例を示すフローチャートである。
図11】一実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第3の例を示すフローチャートである。
図12】一実施形態に係る運動状態把握方法に適用されるセンサデータ抽出処理の対象となるユーザの移動経路の一例を示す概略図である。
図13】一実施形態に係るセンサデータ抽出処理の対象となる移動経路において取得されたセンサデータ等と、その抽出ポイントを示す概略図である。
図14】一実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるユーザ端末等に表示される分析データ等の表示例を示す概略図である。
図15】一実施形態に係る運動状態把握装置の一変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るセンサデータ抽出システム、センサデータ抽出方法およびセンサデータ抽出プログラムについて、実施形態を示して詳しく説明する。なお、以下の説明では、ユーザがランニングやウォーキング等の運動を行う場合の運動状態を把握する運動状態把握装置に、本発明を適用する場合について説明する。
【0014】
(運動状態把握装置)
図1は、本発明に係るセンサデータ抽出システムを適用した運動状態把握装置の一実施形態を示す概略構成図であり、図2は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるセンサ機器の一例を示す概略構成図である。また、図3は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用される手首装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図であり、図4は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用される胸部装着型のセンサ機器の一構成例を示すブロック図である。また、図5は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用される情報通信端末の一構成例を示すブロック図であり、図6は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるネットワークサーバの一構成例を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態に係る運動状態把握装置は、図1図2に示すように、概略、被測定者であるユーザUSが身体に装着する手首装着型のセンサ機器(以下、便宜的に「リスト機器」と記す)100や胸部装着型のセンサ機器(以下、便宜的に「チェスト機器」と記す)200と、情報通信端末300と、ネットワーク400と、ネットワークサーバ500等のデータ処理装置と、ユーザ端末700と、を有している。
【0016】
(リスト機器100)
リスト機器100は、図2(a)、(b)に示すように、ユーザUSの手首に装着する腕時計型またはリストバンド型のセンサ機器である。リスト機器100は、大別して、ユーザUSの運動状態や位置を検出するとともに、所定の情報をユーザUSに提供する機器本体101と、ユーザUSの手首に巻き付けることにより機器本体101を手首に装着するためのバンド部102と、を備えた外観構成を有している。
【0017】
リスト機器100は、具体的には、例えば図3に示すように、概略、センサ部110と、GPS受信回路120と、入力インターフェース部130と、出力インターフェース部140と、通信機能部150と、演算回路160と、メモリ部170と、計時回路180と、動作電源190と、を備えている。
【0018】
センサ部110は、人体の動作(特に、腕の振りやリスト機器100の傾斜状態等)を検出するためのモーションセンサであって、例えば図3に示すように、3軸加速度センサ111と、3軸角速度センサ(ジャイロセンサ)112と、3軸地磁気センサ(電子コンパス)113と、を有している。3軸加速度センサ111は、ユーザUSの運動中の動作速度の変化の割合(加速度)を検出して加速度データとして出力する。ここでは、互いに直交する3軸方向の加速度データが出力される。また、3軸角速度センサ112は、ユーザの運動中の動作方向の変化(角速度)を検出して角速度データとして出力する。ここでは、互いに直交する3軸方向の角速度データが出力される。また、3軸地磁気センサ113は、地球の磁場(磁界)を検出して地磁気データ、または、リスト機器100の水平、垂直方向を示す方向データとして出力する。ここでは、互いに直交する3軸方向の地磁気データが出力される。これらの各種センサ111〜113により検出されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ、地磁気データ;運動データ)は、後述する計時回路180により規定される時間データに関連付けられて、後述するメモリ部170のセンサデータ保存用メモリ171の所定の記憶領域に保存される。
【0019】
GPS受信回路120は、複数のGPS(Global
Positioning System;全地球測位システム)衛星からの電波を、GPSアンテナ(図示を省略)を介して受信することにより、緯度、経度情報に基づく地理的な位置を検出して位置データとして出力する。また、GPS受信回路120は、GPS衛星からの電波のドップラーシフト効果を利用して、ユーザUSの移動速度を検出して移動速度データとして出力する。これらの位置データや移動速度データを含むGPSデータ(運動データ)は、上述したセンサデータと同様に、計時回路180により規定される時間データに関連付けられて、メモリ部170のセンサデータ保存用メモリ171の所定の記憶領域に保存される。なお、GPS受信回路120においては、上記の緯度、経度情報に基づく位置データに加えて、その位置の高度データを取得することもできるが、現在のGPS受信信号の精度や技術仕様では、誤差が大きく、十分実用的な高度情報が得られないため、本実施形態においては高度データを取得しない、もしくは、高度データを取得しても後の分析処理には利用しないものとする。
【0020】
入力インターフェース部130は、例えば図3に示すように、操作スイッチ131と、タッチパネル132と、を有している。操作スイッチ131は、例えば図2(b)に示すように、機器本体101の側面に突出するように設けられた押しボタン型のスイッチであって、上述したセンサ部110に設けられた各種センサにおけるセンシング動作の制御操作や、表示部141に表示する項目の設定操作等の、各種の入力操作に用いられる。
【0021】
また、タッチパネル132は、後述する出力インターフェース部140に設けられる表示部141の前面側(視野側)に配置、または、表示部141の前面側に一体的に形成され、表示部141に表示された情報に応じた領域をタッチ操作することにより、当該情報に対応する機能が選択的に実行される。ここで、タッチパネル132により実現される機能は、上記の操作スイッチ131により実現される機能と同等であってもよいし、タッチパネル132による入力操作特有の機能を有していてもよい。
【0022】
なお、入力インターフェース部130は、上述した機能の操作の他、後述するように、リスト機器100から情報通信端末300にセンサデータやGPSデータを転送する際に実行される、データ抽出処理における抽出条件の入力設定時に操作されるものであってもよい。また、入力インターフェース部130は、例えば、上記の操作スイッチ131およびタッチパネル132のうちの、いずれか一方のみを備えた構成を有しているものであってもよい。
【0023】
出力インターフェース部140は、例えば図3に示すように、表示部141と、音響部142と、振動部143と、を有している。表示部141は、例えばカラーやモノクロ表示が可能な液晶方式や、有機EL素子等の発光素子方式の表示パネルを有し、少なくとも上述したセンサ部110により検出されたセンサデータや、GPS受信回路120により検出されたGPSデータ、これらのセンサデータやGPSデータに基づいて生成される各種の運動情報、あるいは、現在時刻等の時間情報等を表示する。なお、出力インターフェース部140は、後述するチェスト機器200から送信されるセンサデータや心拍データ、これらのセンサデータや心拍データに基づいて生成される各種の運動情報等を表示するものであってもよい。ここで、表示部141における各種の情報の表示形態は、上述した操作スイッチ131やタッチパネル132を操作することにより任意に設定される。
【0024】
また、音響部142は、ブザーやスピーカ等の音響機器を有し、所定の音色や音パターン、音声メッセージ等の音情報を発生することにより、聴覚を通してユーザUSに各種の情報を提供、または、報知する。振動部143は、振動モータや振動子等の振動機器(バイブレータ)を有し、所定の振動パターンやその強弱等の振動情報を発生することにより、触覚を通してユーザUSに各種の情報を提供、または、報知する。なお、出力インターフェース部140は、例えば、上記の表示部141、音響部142、振動部143のうちの、少なくともいずれかを備えた構成を有しているものであってもよい。ここで、数値情報等の具体的な情報をユーザUSに提供する場合には、少なくとも表示部141または音響部142のうちの、いずれかを備えた構成を有していることが好ましい。
【0025】
通信機能部150は、センサ部110により取得されたセンサデータ、および、GPS受信回路120により取得されたGPSデータ(以下、「センサデータ等」と総称する)を、後述する情報通信端末300に転送する際のインターフェースとして機能する。また、通信機能部150は、後述するチェスト機器200との間で、チェスト機器200において取得されるセンサデータや心拍データ等に関連付けられた時間データの同期を行うための同期信号を送信する際のインターフェースとしても機能する。さらに、通信機能部150は、後述するチェスト機器200において取得されたセンサデータや心拍データ等を受信する際のインターフェースとして機能するものであってもよい。ここで、通信機能部150を介して、リスト機器100と情報通信端末300やチェスト機器200との間で、センサデータ等や同期信号を転送、または、送受信する手法としては、例えば各種の無線通信方式や、通信ケーブルを介した有線による通信方式を適用することができる。
【0026】
上記センサデータ等を、無線通信方式により転送する場合には、例えばデジタル機器用の近距離無線通信規格であるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))や、この通信規格において低消費電力型の通信規格として策定されたブルートゥースローエナジー(Bluetooth(登録商標)
low energy(LE))を良好に適用することができる。このような無線通信方式によれば、後述する動作電源190として、例えば環境発電技術等を用いて生成された小電力であっても良好にデータ伝送を行うことができる。
【0027】
メモリ部170は、例えば図3に示すように、大別して、センサデータ保存用メモリ(以下、「センサデータメモリ」と記す)171と、プログラム保存用メモリ(以下、「プログラムメモリ」と記す)172と、作業データ保存用メモリ(以下、「作業用メモリ」と記す)173)と、を有している。
【0028】
センサデータメモリ171は、上述したセンサ部110やGPS受信回路120により取得されたセンサデータ等を、相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する不揮発性メモリを有する。プログラムメモリ172は、センサ部110やGPS受信回路120におけるセンシング動作や、通信機能部150におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラム、および、上記のセンサデータ等から所望の抽出条件を満たすセンサデータ等を抽出するアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリ173は、上記制御プログラムおよびアルゴリズムプログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、センサデータメモリ171は、その一部または全部が、例えばメモリカード等のリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、リスト機器100に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0029】
演算回路160は、CPU(中央演算処理装置)やMPU(マイクロプロセッサ)等の演算装置であって、後述する計時回路180において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ172に保存された所定の制御プログラムを実行する。これにより、演算回路160は、センサ部110の各種センサ111〜113やGPS受信回路120におけるセンシング動作、出力インターフェース部140における情報提供動作、通信機能部150におけるデータ伝送動作等の、各種の動作を制御する。また、演算回路160は、プログラムメモリ172に保存された所定のアルゴリズムプログラムを実行する。これにより、演算回路160内部でセンサ部110やGPS受信回路120により取得されたセンサデータ等から、所望の抽出条件に応じたセンサデータ等を抽出する動作を実行する。なお、演算回路160において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め演算回路160の内部に組み込まれているものであってもよい。
【0030】
計時回路180は、基本クロックを生成する発振器を有し、当該基本クロックに基づいて、リスト機器100の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックや、後述するチェスト機器200や情報通信端末300との時間データの同期をとるための同期信号、また、現在時刻を示す時刻データ等を生成する。また、計時回路180は、上述したセンサ部110やGPS受信回路120におけるセンサデータ等の取得タイミングを計時して時間データとして出力し、取得されたセンサデータ等に関連付けられて、センサデータメモリ171に保存される。また、時刻データは、上述した出力インターフェース部140の表示部141に表示されることにより、現在時刻等がユーザUSに提供される。
【0031】
動作電源190は、リスト機器100の機器本体101内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源190は、例えば市販のコイン型電池やボタン型電池等の一次電池、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池を適用することができるほか、振動や光、熱、電磁波等のエネルギーにより発電する環境発電(エナジーハーベスト)技術による電源等を適用することもできる。なお、リスト機器100が、有線通信方式によりセンサデータ等を情報通信端末300に転送する構成を有している場合には、通信ケーブルを介して情報通信端末300に接続されることにより、当該情報通信端末300から駆動用電力が供給されて、動作電源190の二次電池が充電されるものであってもよい。
【0032】
(チェスト機器200)
チェスト機器200は、図2(a)、(c)に示すように、ユーザUSの胸部に装着する胸部装着型のセンサ機器である。チェスト機器200は、大別して、ユーザUSの運動状態や生体情報を検出する機器本体201と、ユーザUSの胸部に巻き付けることにより機器本体201を胸部に装着するためのバンド部202と、を有している。
【0033】
チェスト機器200は、具体的には、例えば図4に示すように、概略、センサ部210と、心拍検出回路220と、操作スイッチ230と、通信機能部250と、演算回路260と、メモリ部270と、計時回路280と、動作電源290と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100と同等の構成については、その説明を簡略化する。
【0034】
センサ部210は、上述したリスト機器100と同様に、人体の動作(特に、運動姿勢や進行方向、ストライド等)を検出するためのモーションセンサであって、例えば図4に示すように、3軸加速度センサ211と、3軸角速度センサ212と、3軸地磁気センサ213と、を有している。これらの各種センサ211〜213により検出されたセンサデータ(加速度データ、角速度データ、地磁気データ;運動データ)は、後述する計時回路280により規定される時間データに関連付けられて、後述するメモリ部270のセンサデータメモリ271の所定の記憶領域に保存される。
【0035】
心拍検出回路220は、チェスト機器200のベルト部202の内面側(人体側)に設けられ、ユーザUSの胸部に直接密着するように配置された電極(図示を省略)に接続され、当該電極から出力される心電位信号の変化から心拍を検出する。検出された心拍データ(運動データ、生体情報)は、上述したセンサデータと同様に、計時回路280により規定される時間データに関連付けられて、メモリ部270のセンサデータメモリ271の所定の記憶領域に保存される。
【0036】
操作スイッチ230は、少なくとも電源スイッチを有する入力インターフェースであって、ユーザUSにより当該操作スイッチ230が操作されることにより、動作電源290から各構成への駆動用電力の供給状態(供給または遮断)を制御して、チェスト機器200の電源のオン、オフを制御する。また、操作スイッチ230は、センサ制御用キースイッチを有し、ユーザUSにより当該操作スイッチ230が操作されることにより、センサ部210および心拍検出回路220におけるセンシング動作の開始または停止を制御する。
【0037】
通信機能部250は、上述したリスト機器100と同様に、センサ部210により取得されたセンサデータ、および、心拍検出回路220により取得された心拍データ(センサデータ等)を情報通信端末300やリスト機器100に転送する際や、リスト機器100との同期を行う際のインターフェースとして機能する。ここで、通信機能部250を介して、チェスト機器200と情報通信端末300やリスト機器100との間で、センサデータ等や同期信号を転送、または、送受信する手法としては、上述したリスト機器100と同様に、各種の無線通信方式や、通信ケーブルを介した有線通信方式を適用することができる。
【0038】
メモリ部270は、上述したリスト機器100と同様に、大別して、センサデータメモリ271と、プログラムメモリ272と、作業用メモリ273と、を有している。センサデータメモリ271は、上述したセンサ部210や心拍検出回路220により取得されたセンサデータ等を、相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する。プログラムメモリ272は、センサ部210や心拍検出回路220におけるセンシング動作や、通信機能部250におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラム、および、上記のセンサデータ等から所望の抽出条件を満たすセンサデータ等を抽出するアルゴリズムプログラムを保存する。作業用メモリ273は、上記制御プログラムおよびアルゴリズムプログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、センサデータメモリ271は、上述したリスト機器100と同様に、その一部または全部がリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、チェスト機器200に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0039】
演算回路260は、上述したリスト機器100と同様に、後述する計時回路280において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ272に保存された所定の制御プログラムを実行することにより、センサ部210の各種センサ211〜213や心拍検出回路220におけるセンシング動作、通信機能部250におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。また、演算回路260は、プログラムメモリ272に保存された所定のアルゴリズムプログラムを実行することにより、演算回路260内部でセンサ部210や心拍検出回路220により取得されたセンサデータ等から、所望の抽出条件に応じたセンサデータを抽出する動作を実行する。なお、演算回路260において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め演算回路260の内部に組み込まれているものであってもよい。
【0040】
計時回路280は、基本クロックを生成する発振器を有し、当該基本クロックに基づいて、チェスト機器200の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックを生成する。また、計時回路280は、上述したセンサ部210や心拍検出回路220におけるセンサデータ等の取得タイミングを計時して時間データとして出力し、取得されたセンサデータ等に関連付けられて、センサデータメモリ271に保存される。そして、上述したリスト機器100から送信される同期信号に基づいて、チェスト機器200とリスト機器100との間で、時間データの同期が図られる。このリスト機器100とチェスト機器200との間の同期動作は、例えばリスト機器100とチェスト機器200において、電源がオンされた起動タイミングや、センサ部110、210におけるセンシング動作の開始タイミングで実行されるものであってもよいし、一定の時間間隔や任意のタイミング、あるいは、常時実行されるものであってもよい。
【0041】
動作電源290は、上述した操作スイッチ230が操作されることにより、チェスト機器200の機器本体201内部の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源290は、一次電池や二次電池を適用することができるほか、環境発電技術による電源等を適用することもできる。なお、チェスト機器200が、有線通信方式によりセンサデータ等を情報通信端末300に転送する構成を有している場合には、通信ケーブルを介して情報通信端末300に接続されることにより、当該情報通信端末300から駆動用電力が供給されて、動作電源290の二次電池が充電されるものであってもよい。
【0042】
(情報通信端末300)
情報通信端末300は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク400への接続機能を備え、閲覧用ソフトウェアであるウェブブラウザが組み込まれた、ノートブック型やデスクトップ型のパーソナルコンピュータ301や携帯電話機302、高機能携帯電話機(以下、「スマートフォン」と記す)303、タブレット端末304、もしくは、専用端末(図示を省略)等のネットワーク通信機器を適用することができる。特に、携帯電話機302やスマートフォン303、タブレット端末304等のネットワーク通信機器においては、ネットワーク400への接続機能やウェブブラウザがすでに備わっているので、規定の通信可能圏内であれば場所を問わず簡易にネットワーク400に接続することができる。
【0043】
情報通信端末300は、具体的には、例えば図5に示すように、概略、入力操作部330と、表示部340と、通信機能部350と、演算回路360と、メモリ部370と、計時回路380と、動作電源390と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同等の構成については、その説明を簡略化する。
【0044】
入力操作部330は、パーソナルコンピュータ301や携帯電話機302、スマートフォン303、タブレット端末304等に付設される、キーボードやマウス、タッチパッド、ダイヤルキー、タッチパネル等の入力手段である。入力操作部330は、表示部340に表示される任意のアイコンやメニューを選択したり、画面表示中の任意の位置を指示したりすることにより、当該アイコンやメニュー、当該位置に対応する機能が実行される。
【0045】
表示部340は、例えば液晶方式や発光素子方式のモニタや表示パネルを有し、少なくとも上述したリスト機器100やチェスト機器200において実行される、センサデータ等の抽出処理のための諸条件や情報の設定画面を表示する。また、表示部340は、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等を、後述するネットワーク400を介して、ネットワークサーバ500に転送する際の、通信状態や転送状況を表示する。さらに、情報通信端末300をネットワークサーバ500において分析処理された分析データ等を閲覧するためのユーザ端末700として適用する場合には、表示部340には、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等やその分析データ、さらには、当該分析データに基づいて生成されたユーザUSの運動状態に関する特定の情報が、数値やグラフ、地図、アニメーション等の形態で表示される。なお、ユーザ端末700に表示される各種センサデータや分析データ、特定情報については、詳しく後述する。
【0046】
通信機能部350は、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等を、後述するネットワーク400を介して、ネットワークサーバ500に転送する際や、ネットワークサーバ500において分析処理された分析データ等を受信する際のインターフェースとして機能する。また、通信機能部350は、リスト機器100から送信され、当該リスト機器100やチェスト機器200との時間データの同期をとるための同期信号を受信する際のインターフェースとしても機能する。ここで、通信機能部350を介して、情報通信端末300とリスト機器100やチェスト機器200との間で、センサデータ等や同期信号を転送、または、送受信する手法としては、上述したように、各種の無線通信方式や有線通信方式を適用することができる。また、通信機能部350によりネットワークサーバ500にセンサデータ等を転送する際の、情報通信端末300とネットワーク400との接続方法としては、例えば光ファイバー回線網やADSL(非対称デジタル加入者)回線網等を経由して接続する有線接続方式や、携帯電話回線網や高速モバイル通信回線網等を経由して接続する無線接続方式を適用することができる。
【0047】
メモリ部370は、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同様に、大別して、センサデータメモリ371と、プログラムメモリ372と、作業用メモリ373と、を有している。センサデータメモリ371は、上述したリスト機器100やチェスト機器200から転送されたセンサデータ等を、相互に関連付けて所定の記憶領域に保存する不揮発性メモリを有する。プログラムメモリ372は、表示部340における表示動作や、通信機能部350におけるデータ伝送動作等の、各構成における所定の動作を実行するための制御プログラム、および、リスト機器100やチェスト機器200により取得されたセンサデータ等から、所望の抽出条件を満たすセンサデータ等を抽出するための条件設定動作を実行するための制御プログラムを保存する。作業用メモリ373は、上記制御プログラムを実行する際に使用する各種データや、生成される各種データを一時的に保存する。なお、情報通信端末300をネットワークサーバ500において分析処理された分析データ等を閲覧するためのユーザ端末として適用する場合には、メモリ部370は、ネットワーク400を介して受信した分析データ等を保存するための分析データ保存用メモリ(図示を省略)を有しているものであってもよい。また、センサデータメモリ371は、上述したリスト機器100やチェスト機器200と同様に、その一部または全部がリムーバブル記憶媒体としての形態を有し、情報通信端末300に対して着脱可能に構成されているものであってもよい。
【0048】
演算回路360は、計時回路380において生成される動作クロックに基づいて、上述したプログラムメモリ372に保存された所定の制御プログラムを実行することにより、表示部340における表示動作や、通信機能部350におけるデータ伝送動作等の、各構成における動作を制御する。また、演算回路360は、所定の制御プログラムを実行することにより、センサデータ等を抽出するための条件設定動作を実行する。なお、演算回路360において実行される制御プログラムは、予め演算回路360の内部に組み込まれているものであってもよい。
【0049】
計時回路380は、基本クロックに基づいて、情報通信端末300の各構成の動作タイミングを規定する動作クロックを生成する。そして、上述したリスト機器100から送信される同期信号に基づいて、情報通信端末300とリスト機器100およびチェスト機器200との間で、時間データの同期が図られる。
【0050】
動作電源390は、情報通信端末300の各構成に駆動用電力を供給する。動作電源390は、携帯電話機やスマートフォンにおいては、リチウムイオン電池等の二次電池が適用される。また、ノートブック型のパーソナルコンピュータやタブレット端末においては、リチウムイオン電池等の二次電池や、商用交流電源が適用される。また、デスクトップ型のパーソナルコンピュータにおいては、商用交流電源が適用される。
【0051】
(ネットワーク400)
ネットワーク400は、上述した情報通信端末300とネットワークサーバ500との間で、センサデータ等や分析データ等の送受信を行うことができ、かつ、後述するように、地形情報や気象情報等の各種の情報サービスが提供されているコンピュータネットワークを適用することができる。ここで、ネットワーク400は、インターネット等の公衆利用が可能なネットワークであってもよいし、企業や大学、地域等の特定の団体による限定的に利用可能なネットワークであってもよい。
【0052】
(ネットワークサーバ500)
ネットワークサーバ500は、少なくとも、後述するデータの分析処理や加工処理の機能を備えたアプリケーションサーバであって、図1に示すように、情報通信端末300からネットワーク400を経由して転送されたセンサデータ等を分析・加工処理して、分析データやユーザUSの運動状態に関する特定の情報を生成する。また、ネットワークサーバ500は、情報通信端末300から転送されたセンサデータ等や、分析・加工処理において参照する各種データ、生成した分析データや上記特定情報を保存、蓄積するメモリやデータベースを、内部または外部に備えている。なお、上述したネットワーク400およびネットワークサーバ500により構築されるコンピュータネットワークは、例えば商用のインターネットクラウドサービス等を利用するものであってもよい。
【0053】
ネットワークサーバ500は、具体的には、例えば図6に示すように、入力操作部530と、表示部540と、通信機能部550と、演算回路560と、メモリ部570と、計時回路580と、動作電源590と、データベース600と、を備えている。ここで、上述したリスト機器100やチェスト機器200、情報通信端末300と同等の構成については、その説明を簡略化する。
【0054】
入力操作部530は、例えばキーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル等の入力装置を有し、表示部540に表示される任意のアイコンやメニューの選択や、任意の位置の指示に用いられる。表示部540は、モニタや表示パネルを有し、ネットワークサーバ500における各種操作に関連する情報を表示する。
【0055】
通信機能部550は、上述した情報通信端末300から転送されたセンサデータ等を受信する際や、ネットワークサーバ500において分析処理された分析データ等をユーザ端末700(情報通信端末300であってもよいし、他のネットワーク通信機器であってもよい)に送信する際のインターフェースとして機能する。
【0056】
メモリ部570は、上述した情報通信端末300から転送されたセンサデータ等を保存する転送データメモリと、表示部540や通信回路550における所定の動作を実行するための制御プログラムや、転送されたセンサデータ等に基づいて所定の分析・加工処理を実行するためのアルゴリズムプログラムを保存するプログラムメモリと、作業用メモリと、を有している。また、データベース600は、演算回路560においてセンサデータ等を分析・加工処理することにより生成される分析データやユーザUSの運動状態に関する特定情報を保存、蓄積するとともに、当該分析・加工処理において参照する各種データを保存、蓄積する。
【0057】
演算回路560は、計時回路580において生成される動作クロックに基づいて、プログラムメモリに保存された所定のアルゴリズムプログラムを実行することにより、転送データメモリに保存されたセンサデータ等に基づいて、所定の分析・加工処理を実行する。これにより、演算回路560において、センサデータ等に基づく分析データや、ユーザUSの運動状態に関する特定情報が生成されて、データベース600の所定の記憶領域に保存される。また、ユーザUSがユーザ端末700を用いてネットワークサーバ500にアクセスすることにより、演算回路560は、データベース600から適宜分析データや特定情報を読み出して、ユーザ端末700において数値やグラフ、地図、アニメーション等を用いた表示形態で表示するためのウェブ表示データを生成する。なお、演算回路560において実行される制御プログラムやアルゴリズムプログラムは、予め演算回路560の内部に組み込まれているものであってもよい。また、動作電源590は、商用交流電源が適用される。
【0058】
(ユーザ端末700)
ユーザ端末700は、上述した情報通信端末300と同等の構成を有するネットワーク通信機器であって、ユーザUSがネットワークサーバ500にアクセスすることにより、ネットワークサーバ500において生成された分析データ等を含むウェブ表示データを、ネットワーク400を介して受信して、ウェブブラウザにより表示する。これにより、ユーザUSは、ランニング等の運動中に検出されたセンサデータ等に基づく分析データや、運動姿勢に関するフォームデータ、運動中の地形情報や気象情報等の関連情報を、単独で、もしくは、これらの情報を相互に連携させた表示形態で閲覧することができ、自己の運動状態を分析したり、その後の運動方法の改善等に反映させることができる。なお、ユーザ端末700は、センサデータ等のネットワークサーバ500への転送に用いた情報通信端末300をそのまま適用するものであってもよいし、当該情報通信端末300とは別のネットワーク通信機器を適用するものであってもよい。すなわち、前者の構成においては、同一の情報通信端末300によりセンサデータ等の転送と分析データ等の閲覧を行うことができるので、ユーザUSは複数の電子機器を所有、または、所持する必要がなく、簡易な構成で本実施形態に係る運動状態把握装置を実現することができる。一方、後者の構成においては、例えば携帯電話機302やスマートフォン303を用いてセンサデータ等を転送し、例えばパーソナルコンピュータ301やタブレット端末304の大画面を用いて分析データ等を閲覧することができるので、ユーザUSはそれぞれの動作を、使い勝手の良い電子機器を利用して行うことができる。
【0059】
次に、本実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法に適用されるセンサデータの抽出条件について説明する。
図7は、本実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法に適用されるセンサデータの抽出条件の一例を示す図である。
【0060】
本実施形態に係る運動状態把握装置においては、図7に示すような抽出条件を設定して、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等から、当該抽出条件に応じたセンサデータ等が抽出されて情報通信端末300へ転送される。具体的には、本実施形態においては、例えば(1)距離や(2)時間、(3)ペース変化、(4)心拍数変化、(5)高度変化、(6)気温変化、(7)任意地点/任意時点等を抽出条件として設定することができる。
【0061】
具体的には、(1)距離条件においては、GPSデータに含まれる位置データに基づいて算出される距離データについて、所定の距離ごと、例えば1kmや5kmごとにセンサデータ等が抽出され、(2)時間条件においては、時間データに基づいて、所定の時間間隔ごと、例えば5分ごとや15分ごとにセンサデータ等が抽出される。
【0062】
(3)ペース変化条件においては、GPSデータに含まれる移動速度データ、または、位置データと時間データに基づいて算出される速度データについて、予め設定した数値範囲を逸脱した場合や、ペースが極端に変化した場合に、当該タイミング、または、その前後を含むセンサデータ等が抽出される。
【0063】
(4)心拍数変化条件においては、心拍データ(心拍数)が予め設定した数値範囲を逸脱した場合や、心拍数が極端に変化した場合に、当該タイミング、または、その前後を含むセンサデータ等が抽出される。
【0064】
(5)高度変化条件においては、高度の変化に基づいて上り坂や下り坂の始まり(始点)や終わり(終点)と判断された場合や、高度が予め設定した数値範囲を逸脱した場合に、当該タイミング、または、その前後を含むセンサデータ等が抽出される。
【0065】
また、(6)気温変化条件においては、気温の変化点(単純な気温の変化や、例えば上昇傾向から下降傾向への変化等の気温傾向の変化)が観測された場合や、予め設定した数値範囲を逸脱した場合に、当該タイミング、または、その前後を含むセンサデータ等が抽出される。ここで、(5)高度変化抽出、および、(6)気温変化抽出においては、GPSデータに含まれる位置データ(緯度、経度データ)の全てを、リスト機器100から情報通信端末300に転送し、当該情報通信端末300によりインターネット等のネットワーク400に接続して地形情報や気象情報等の環境情報を提供するサイトや専用のサーバから、各位置データに対応する高度情報や気温情報を取得して、高度や気温の変化点が設定される。なお、サイトや専用のサーバから取得した高度情報を、気象情報のうちの気圧情報に基づいて補正するようにしてもよい。また、本システムが気圧センサを備える場合には、気圧センサのセンサデータに基づいて、当該高度情報を補正するようにしてもよい。
【0066】
(7)任意地点/任意時点抽出においては、ユーザが運動中の任意の地点や時点でリスト機器100等の操作スイッチ131やタッチパネル132を操作することにより、当該タイミング、または、その前後を含むセンサデータ等が抽出される。
【0067】
(運動状態把握方法)
次に、本発明に係るセンサデータ抽出方法を適用した運動状態の把握方法について説明する。ここで、本発明においては、上述したセンサデータ等の抽出処理において指定される抽出条件(図7参照)に応じて、処理手順や処理内容が異なるため、抽出条件の分類ごとに個別に説明する。また、ここでは、上述した運動状態把握装置の構成を参照しながら説明する。
【0068】
図8図9は、本実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第1の例を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第2の例を示すフローチャートである。図11は、本実施形態に係る運動状態把握装置における運動状態の把握方法の第3の例を示すフローチャートである。ここで、図10図11において、図8図9に示す運動状態の把握方法と同等のステップについては、図8図9を適宜参照して、その説明を簡略化する。
【0069】
図7に示した抽出条件を設定した場合、センサデータ等の抽出処理は、概略、4つのグループに分類される。以下、各グループについてセンサデータ抽出処理を含む運動状態把握方法を説明する。
【0070】
・第1の例:(1)〜(4)の抽出条件を指定する場合
本実施形態に係る運動状態の把握方法(第1の例)においては、図8図9のフローチャートに示すように、大別して、事前設定手順と、センシング・データ収集手順と、センサデータ抽出・転送手順と、データ分析・加工処理手順と、データ閲覧・活用手順と、が順次実行される。
【0071】
まず、事前設定手順においては、図8に示すように、ユーザUSが情報通信端末300の入力操作部330を操作して、ネットワークサーバ500にセンサデータ等を転送する際に適用される抽出条件の各項目(図7に示した「条件項目」参照)や、当該各項目における抽出条件の詳細な内容(図7に示した「設定例」参照)を登録する(ステップS101)。ここで、センサデータ等の抽出条件として、図7に示した(1)距離や(2)時間を登録する場合には、所望の距離や時間の間隔(例えば5分ごと、1kmごと等)を、表示部340に表示された設定画面から選択する方法や、直接数値を入力する方法により登録する。また、センサデータ等の抽出条件として、(3)ペース変化や(4)心拍数変化を登録する場合には、所望のペース変化や心拍数変化の数値範囲(許容範囲)や変化の程度(所定時間内の変化量)を、表示部340に表示された設定画面から選択する方法や、直接数値を入力する方法により登録する。また、センサデータ等の抽出条件として、(5)高度変化や(6)気温変化を登録する場合には、所望の高度変化や気温変化の数値範囲(許容範囲)や変化の程度(所定時間内の変化量)を、表示部340に表示された設定画面から選択する方法や、直接数値を入力する方法により登録する。
【0072】
センシング・データ収集手順においては、図8に示すように、まず、ユーザUSが身体に装着したリスト機器100やチェスト機器200の電源スイッチを操作して、リスト機器100やチェスト機器200を起動させる(ステップS102)。次いで、ユーザUSが運動開始と同時に、または、運動開始と前後してリスト機器100の入力インターフェース部130やチェスト機器200の操作スイッチ230を操作することにより、リスト機器100やチェスト機器200におけるセンシング動作が開始される(ステップS103)。このセンシング動作は、ユーザUSが運動終了と同時に、または、運動終了と前後して、リスト機器100の入力インターフェース部130やチェスト機器200の操作スイッチ230を操作して終了させるまで継続される(ステップS105)。これにより、ユーザUSの運動中の動作状態や生体情報を示すセンサデータ等が収集される(ステップS104)。
【0073】
具体的には、図2(a)、図3に示したように、ユーザUSが手首に装着したリスト機器100において、センサ部110によりランニング等の運動中の加速度データや角速度データ、地磁気データを含むセンサデータが検出され、一方、GPS受信回路120により位置データや移動速度データを含むGPSデータが検出されて、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ171に保存される。また、図2(a)、図4に示したように、ユーザUSが胸部に装着したチェスト機器200において、センサ部210によりランニング中の加速度データや角速度データ、地磁気データを含むセンサデータが検出され、一方、心拍検出回路220により心拍データが検出されて、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ271に保存される。さらに、例えばリスト機器100において、演算回路160により時間データと位置データに基づいて、速度データ(ペース)が算出され、また、例えばチェスト機器200において、演算回路260により時間データ、心拍データ、ユーザUSの体重や年齢等に基づいて、カロリー消費量が算出されて、それぞれ時間データに関連付けてセンサデータメモリ171および271に保存される。そして、運動中に収集されたセンサデータやGPSデータ、心拍データ、あるいは、これらのセンサデータ等に基づいて算出される各種情報(速度データやカロリー消費量等)は、例えばリスト機器100の表示部141に表示されることによりユーザUSにリアルタイムで提供される。ここで、チェスト機器200により取得されたセンサデータや心拍データは、通信機能部250を介して、例えばブルートゥース(登録商標)等の無線通信方式により常時、または、所定の時間間隔でリスト機器100に送信されて表示部141に表示される。
【0074】
センサデータ抽出・転送手順においては、図8に示すように、まず、センサデータ等を収集、保存したリスト機器100およびチェスト機器200を、例えばブルートゥース(登録商標)等の無線通信方式や、通信ケーブルを介した有線通信方式により情報通信端末300に接続する(ステップS106)。次いで、上述した事前設定手順において登録された各種の抽出条件を、情報通信端末300の表示部340に表示させて、当該表示をユーザUSが視認しつつ入力操作部330を操作して、(1)距離や(2)時間、(3)ペース変化、(4)心拍数変化の抽出条件のうち、いずれかの所望の条件項目および詳細内容を選択して、センサデータ抽出処理の諸条件を決定する(ステップS107)。
【0075】
次いで、ユーザUSにより指定された抽出条件を含むセンサデータ抽出リクエスト信号(以下、単に「リクエスト信号」と記す)が、上記の所定の通信方式により、情報通信端末300からリスト機器100およびチェスト機器200に送信される。そして、リスト機器100およびチェスト機器200において、上記のリクエスト信号を受信すると、演算回路160および260は、それぞれセンサデータメモリ171および271に保存された全てのセンサデータ等から、当該抽出条件を満たすセンサデータ等を抽出する処理を実行する(ステップS108)。
【0076】
具体的には、センサデータ等の抽出条件として、図7に示した(1)距離や(2)時間を指定した場合には、例えば運動中の1kmごとや5分ごとに、時間データに関連付けてセンサデータメモリ171、271に保存されたセンサデータやGPSデータ、心拍データ、速度データ、カロリー消費量等が抽出される。一方、抽出条件として(3)ペース変化や(4)心拍数変化を指定した場合には、例えばペースや心拍数が予め設定した数値範囲を逸脱したタイミングで、当該タイミングに対応する時間データに関連付けて保存されたセンサデータや心拍データ、カロリー消費量等が抽出される。ここで、抽出されるセンサデータ等は、抽出条件を満たすタイミング(抽出ポイント)に対応する単独の数値データであってもよいし、当該抽出条件を満たすタイミングの前後の一定時間分の範囲(例えば抽出ポイントの前、または、抽出ポイントの後、または、抽出ポイントの前後を含む10秒間分)の数値データであってもよい。
【0077】
次いで、抽出されたセンサデータ等(抽出データ)は、リスト機器100およびチェスト機器200の通信機能部150、250により、情報通信端末300に送信され、一旦センサデータメモリ371に保存された後、さらに情報通信端末300の通信機能部350により、ネットワーク400を介してネットワークサーバ500に転送される(ステップS109)。
【0078】
なお、上述したセンサデータ抽出処理は、リスト機器100およびチェスト機器200のセンサ部110、210により検出されたセンサデータ、GPS受信回路120により検出されたGPSデータ、心拍検出回路220により検出された心拍データ、および、演算回路160、260により算出された速度データやカロリー消費量等のうち、比較的大きいデータ量を有するものに対してのみ実行されるものであってもよい。例えば、上記のセンサデータ等のうち、センサ部110、210の3軸加速度センサ111、211、3軸角速度センサ112、212、3軸地磁気センサ113、213により検出されるセンサデータのデータ量は、GPSデータや心拍データ等のデータ量に比較して数百乃至数千倍以上に至る場合がある。このような場合には、センサ部110、210により検出されたセンサデータに対してのみ、上述した抽出条件に基づくセンサデータ抽出処理を実行した後、情報通信端末300に転送し、一方、その他の比較的データ量の少ないデータについては、センサデータ抽出処理を行わず、検出されたデータ(いわゆる生データ)や算出されたデータをそのまま、情報通信端末300に転送するものであってもよい。
【0079】
データ分析・加工処理手順においては、図9に示すように、まず、ネットワークサーバ500は、情報通信端末300によりネットワーク400を介して転送されたセンサデータ等(転送データ)を、メモリ部570の転送データメモリに保存する。次いで、演算回路560は、メモリ部570に保存された転送データに基づいて、所定の分析・加工処理を実行して分析データや、ユーザUSの運動状態に関する特定情報を生成する。具体的には、分析・加工処理においては、例えば転送データに含まれるGPSデータに基づいて、ユーザUSの運動中の移動経路や、当該移動経路においてセンサデータ等が抽出されたタイミングにおける運動姿勢、心拍数、カロリー消費量の変化等が相互に関連付けて分析される(ステップS110)。ここで、ユーザUSの運動姿勢については、転送データに含まれる加速度データ、角速度データ、地磁気データに基づいて、ピッチやストライド、腕の振り、体の傾き、接地時間、リズム、腰の回転、地面反力、バネモデル、足振り等の運動状態が判定されてフォームデータが生成される(ステップS111)。このフォームデータは、例えば当該運動姿勢の時間変化を反映したスケルトンモデルによるアニメーションデータとして加工処理されたものであってもよい。また、分析処理により生成された分析データは、時間データや当該時間データに関連付けられた距離データに基づいて、距離や時間の経過に対する数値変化をグラフ化するように加工処理されたものであってもよい。これらの分析データや、当該分析データに基づいて生成されたユーザUSの運動状態に関する特定の情報(フォームデータ等)は、運動中の移動経路を示す地図データに関連付けられて、データベース600の所定の記憶領域に保存される(ステップS112)。
【0080】
データ閲覧・活用手順においては、図9に示すように、まず、ユーザUSが情報通信端末300またはユーザ端末700を操作して、ネットワーク400を介してネットワークサーバ500にアクセスすることにより、もしくは、上述したデータ分析・加工処理が終了すると、ネットワークサーバ500において演算回路560によりデータベース600に保存された分析データや特定情報が読み出される。読み出された分析データや特定情報は、演算回路560により所定の表示形態を有するウェブ表示データに加工処理されて、通信機能部550によりネットワーク400を介して、情報通信端末300やユーザ端末700に送信される。情報通信端末300やユーザ端末700は、ネットワーク400を介して送信された分析データ等を含むウェブ表示データを、ウェブブラウザを用いて表示部340に表示する(ステップS113)。これにより、ユーザUSは、情報通信端末300やユーザ端末700の表示部340に表示された、移動経路や分析データ、特定情報を、単独で、もしくは、これらを相互に連携させた表示形態で閲覧することができ、運動姿勢等を自己分析して、その後の運動方法の改善等に反映させることができる(ステップS114)。
【0081】
・第2の例:(5)、(6)の抽出条件を指定する場合
本実施形態に係る運動状態の把握方法(第2の例)においては、図8図9のフローチャートに示したセンサデータ抽出・転送手順(ステップS106〜S109)に替えて、図10に示すような一連の処理が実行される。具体的には、まず、図8に示した事前設定手順(ステップS101)により、センサデータ抽出処理における抽出条件が登録されるとともに、センシング・データ収集手順(ステップS102〜S105)により、ユーザUSの運動中のセンサデータ等が収集される。
【0082】
次いで、センサデータ抽出・転送手順において、図10に示すように、まず、リスト機器100およびチェスト機器200を、所定の通信方式により情報通信端末300に接続する(ステップS206)。次いで、ユーザUSが情報通信端末300を操作して、(5)高度変化や(6)気温変化の抽出条件のうち、いずれかの所望の条件項目および詳細内容を選択して、センサデータ抽出処理の諸条件を決定する(ステップS207)。
【0083】
次いで、ユーザUSにより指定された抽出条件を含むリクエスト信号が、情報通信端末300からリスト機器100およびチェスト機器200に送信されると、リスト機器100において、センサデータメモリ171に保存された全てのGPSデータに含まれる位置データが読み出されて、当該位置データに関連付けられた時間データとともに情報通信端末300に送信される(ステップS208−1)。
【0084】
次いで、情報通信端末300は、リスト機器100から送信された位置データおよび時間データをセンサデータメモリ371に保存し、その後、通信機能部350によりネットワーク400に接続して、地形情報や気象情報等の環境情報を提供するサイトや専用のサーバから、各位置データ(緯度、経度データ)により規定される位置の高度情報、および、関連付けられた時間データにより規定される時刻における当該位置の気温情報を取得する(ステップS208−2)。取得した高度情報や気温情報は、位置データおよび時間データに関連付けてセンサデータメモリ371に保存される。
【0085】
次いで、情報通信端末300において、演算回路360は、センサデータメモリ371に保存された全ての高度情報または気温情報のうち、選択指定した抽出条件を満たす高度情報または気温情報を抽出し、当該高度情報または気温情報に関連付けられた位置データおよび時間データを読み出す。
【0086】
具体的には、センサデータ等の抽出条件として、図7に示した(5)高度変化や(6)気温変化を指定した場合には、例えば高度変化や気温変化が予め設定した数値範囲を逸脱したタイミング(抽出ポイント)における高度情報または気温情報を抽出し、当該高度情報または気温情報に関連付けられた時間データを読み出す。
【0087】
次いで、上記の高度変化や気温変化に対応して読み出された時間データを含むリクエスト信号が、情報通信端末300からリスト機器100およびチェスト機器200に送信される。そして、リスト機器100およびチェスト機器200において、上記のリクエスト信号を受信すると、演算回路160および260は、それぞれセンサデータメモリ171および271に保存された全てのセンサデータ等の中から、抽出ポイントに対応する時間データに関連付けられたセンサデータ等を抽出する処理を実行する(ステップS208−3)。ここで、抽出されるセンサデータ等は、抽出条件を満たす時間データに関連付けられた単独の数値データであってもよいし、その前後の一定時間分の範囲(例えば抽出ポイントの前、または、抽出ポイントの後、または、抽出ポイントの前後を含む10秒間分)の数値データであってもよい。これにより、例えば高度変化や気温変化が予め設定した数値範囲を逸脱したタイミングにおけるセンサデータや心拍データ、カロリー消費量等が抽出される。
【0088】
次いで、抽出されたセンサデータ等(抽出データ)は、リスト機器100およびチェスト機器200から情報通信端末300に送信され、一旦センサデータメモリ371に保存された後、さらに情報通信端末300からネットワーク400を介してネットワークサーバ500に転送される(ステップS209)。
【0089】
以下、上述した運動状態把握方法の第1の例と同様に、図9に示したデータ分析・加工処理手順(ステップS110〜S112)およびデータ閲覧・活用手順(ステップS113〜S114)が実行される。
【0090】
・第3の例:(7)の抽出方法を適用する場合
本実施形態に係る運動状態の把握方法(第3の例)においては、図8図9のフローチャートに示したセンシング・データ収集手順(ステップS102〜S105)およびセンサデータ抽出・転送手順(ステップS106〜S109)に替えて、図11に示すような一連の処理が実行される。具体的には、まず、図8に示した事前設定手順(ステップS101)により、センサデータ抽出処理における抽出条件が登録される。
【0091】
次いで、センシング・データ収集手順において、図11に示すように、まず、リスト機器100やチェスト機器200を起動させる(ステップS302)。次いで、ユーザUSの運動開始と同時に、または、運動開始と前後して、リスト機器100やチェスト機器200におけるセンシング動作を開始させる(ステップS303)ことにより、ユーザUSの運動中の動作状態や生体情報を示すセンサデータ等が収集される(ステップS304)。このセンシング動作は、ユーザUSの運動終了と同時に、または、運動終了と前後して、終了の操作がされるまで継続される(ステップS06)。ここで、ユーザUSが運動中の任意の地点や時点で、リスト機器100の入力インターフェース部130やチェスト機器200の操作スイッチ230を操作して、センサデータ等の抽出処理を指示することにより、当該抽出操作のタイミング(抽出ポイント)が時間データに関連付けられてセンサデータメモリ171に保存される(ステップS305)。
【0092】
次いで、センサデータ抽出・転送手順において、図11に示すように、まず、リスト機器100およびチェスト機器200を、所定の通信方式により情報通信端末300に接続する(ステップS307)。次いで、リスト機器100において、演算回路160がセンサデータメモリ171に保存された、上記の運動中の抽出操作タイミング(抽出ポイント)に関連付けられた時間データを読み出して、情報通信端末300を介してチェスト機器200に、または、直接チェスト機器200に、当該時間データを含むリクエスト信号を送信する。これにより、リスト機器100およびチェスト機器200において、演算回路160、260は、センサデータメモリ171および271に保存された全てのセンサデータ等の中から、抽出ポイントに対応する時間データに関連付けられたセンサデータ等を抽出する処理を実行する(ステップS308)。ここで、抽出されるセンサデータ等は、抽出条件を満たす時間データに関連付けられた単独の数値データであってもよいし、その前後の一定時間分の数値データであってもよい。これにより、ユーザUSが所望する任意のタイミングにおけるセンサデータやGPSデータ、心拍データ、カロリー消費量等が抽出される。
【0093】
次いで、抽出されたセンサデータ等(抽出データ)は、リスト機器100およびチェスト機器200から情報通信端末300に送信され、一旦センサデータメモリ371に保存された後、さらに情報通信端末300からネットワーク400を介してネットワークサーバ500に転送される(ステップS309)。
【0094】
以下、上述した運動状態把握方法の第1の例と同様に、図9に示したデータ分析・加工処理手順(ステップS110〜S112)およびデータ閲覧・活用手順(ステップS113〜S114)が実行される。
【0095】
なお、上述した各運動状態把握方法においては、センサデータ抽出処理における各抽出条件に応じた処理手順や処理内容について個別に説明したが、異なる抽出条件によるセンサデータ抽出処理を、適宜AND論理やOR論理で組み合わせて実行するものであってもよい。
【0096】
(センサデータ抽出処理の具体例)
次に、本実施形態に係る運動状態把握方法に適用されるセンサデータ抽出処理の具体例について、図面を参照して説明する。
【0097】
図12は、本実施形態に係る運動状態把握方法に適用されるセンサデータ抽出処理の対象となるユーザの移動経路の一例を示す概略図である。図13は、図12に示した移動経路において取得されたセンサデータ等と、その抽出ポイントを示す概略図である。ここで、図中の抽出ポイントを示す丸数字を便宜的に「1」〜「10」と表記する。
【0098】
まず、ユーザUSがランニング等により、例えば図12の地図に示すような移動経路(コース)Lrunを移動する場合において、当該移動経路Lrunが図13(a)に示すような高低差を有しているものとする。また、図12中のPstは、移動経路Lrunの始点、すなわちランニングのスタート地点を示す。
【0099】
上述した運動状態把握方法において説明したように、ユーザUSがリスト機器100やチェスト機器200を身体に装着して、図12に示す移動経路Lrunをランニングし、そのランニング中にセンサ部110、210やGPS受信回路120、心拍検出回路220等によりセンシング動作を行うことにより、移動距離や経過時間ごとのセンサデータ(加速度データ、角速度データ、地磁気データ)やGPSデータ(位置データ、移動速度データ)、心拍データが検出されて、センサデータメモリ171、271に保存される。このようにして収集された、移動距離ごとの心拍データ(心拍数)、加速度データ、角速度データは、それぞれ図13(b)、(c)、(d)に示すようなグラフで表される。
【0100】
次いで、センサデータメモリ171、271に保存されたセンサデータ等に対して、ユーザUSが指定した抽出条件で、または、ランニング中にユーザUSが指示したタイミングで、センサデータ抽出処理が抽出される。例えば、ユーザUSがランニングフォーム(運動姿勢)について自己分析を行いたいと希望している場合には、ランニングフォームの変化に影響を及ぼすと考えられる抽出条件として、例えば図13(a)に示すように、移動経路Lrunの高低差(例えば勾配)が変化する地点を抽出ポイント「1」、「3」、「5」、「7」として指定する。このような抽出条件を指定することにより、センサデータ抽出処理において、センサデータメモリ171、271に保存されたセンサデータ等の中から、当該抽出ポイント「1」、「3」、「5」、「7」(厳密には、当該抽出ポイントの移動距離に関連付けられた時間データ)に関連付けられたセンサデータ等が抽出される。ここでは、図13(a)〜(d)に示すように、抽出ポイントとなる高低差の変化点から一定距離(または一定時間)の範囲の心拍データや加速度データ、角速度データ等のセンサデータ等が抽出される。このようにして抽出されたセンサデータ等は、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送される。
【0101】
また、例えば、ユーザUSが所定の移動距離ごとのランニングフォームについて自己分析を行いたいと希望している場合には、抽出条件として、例えば図13(a)に示すように、移動経路Lrunの所定の距離(例えば1km)ごとの地点を抽出ポイント「2」、「4」、「6」、「8」、「10」として指定する。このような抽出条件を指定することにより、センサデータメモリ171、271に保存されたセンサデータ等の中から、当該抽出ポイント「2」、「4」、「6」、「8」、「10」に関連付けられたセンサデータ等が抽出される。ここでは、図13(a)〜(d)に示すように、抽出ポイントとなる所定の移動距離の地点から一定距離(または一定時間)の範囲の心拍データや加速度データ、角速度データ等のセンサデータ等が抽出される。このようにして抽出されたセンサデータ等は、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送される。
【0102】
(運動情報の表示例)
次に、本実施形態に係る運動状態把握方法において、ネットワークサーバ500により生成され、ユーザ端末700または情報通信端末300に表示される分析データ等の表示例について、図面を参照して説明する。
【0103】
図14は、本実施形態に係る運動状態把握装置に適用されるユーザ端末等に表示される分析データ等の表示例を示す概略図である。
上述したように、ユーザ端末700および情報通信端末300は、インターネット等のネットワーク400への接続機能を備え、閲覧用ソフトウェアであるウェブブラウザが組み込まれている。したがって、ユーザ端末700等は、ネットワーク400を介してネットワークサーバ500にアクセスすることにより、ネットワークサーバ500においてセンサデータ等を分析して生成された、分析データ等を含むウェブ表示データを受信して、例えば図14に示すように、表示部に所定の表示形態を有するウェブ画面710で表示させることができる。ここでは、ユーザ端末700等として、パーソナルコンピュータを適用した場合の表示例を示す。
【0104】
ユーザ端末700等の表示部に表示されるウェブ画面710には、例えば図14に示すように、中段にランニングを行った日時やその内容を示すカレンダ711や、ランニングルート(移動経路)を示す地図712、ランニングフォームを示すスケルトンアニメーション713が配置され、同下段に心拍データのグラフ714、カロリー消費量のグラフ715、走行速度のグラフ716、走行地点の高度のグラフ717が配置されている。これらの表示は、上述したネットワークサーバ500において生成された分析データや、当該分析データに基づいて生成されたユーザUSの運動状態に関する特定情報を、グラフ化や地図情報への取り込み、アニメーション化等の所定の処理を実行することにより実現される。また、これらの表示に用いられる分析データや特定情報は、相互に関連付けられており、例えばマウスポインタやタッチパネル等で地図中のランニングルートの任意の地点を指示することにより、当該地点に対応するグラフ714〜717中の位置が表示されたり、スケルトンアニメーション713の動きが連動するように表示される。これにより、ユーザUSは、ウェブ画面710に表示された地図712やスケルトンアニメーション713、グラフ714〜717等を適宜連携させながら閲覧することができ、運動状態やランニングフォーム等を自己分析して、その後の運動方法の改善等に反映させることができる。
【0105】
上述したように、本実施形態においては、リスト機器100やチェスト機器200等により取得されたセンサデータ等について、所望の抽出条件を指定して抽出処理を実行することにより、当該抽出条件を満たし、互いに関連付けされたセンサデータが抽出されて、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送される。これにより、リスト機器100やチェスト機器200により取得された全てのセンサデータ等から、例えばユーザUSの運動姿勢に変化に影響を及ぼすと考えられる抽出条件を満たすセンサデータ等や、ユーザUSが所望する任意のタイミングにおけるセンサデータ等のみを選択的に取り出して、ネットワークサーバ500における分析処理に利用することができる。
【0106】
したがって、本実施形態によれば、リスト機器100やチェスト機器200等のセンサ機器から、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500へ転送されるデータ量を、センサデータメモリ171、271に保存されている全データ量に比較して、大幅に削減することができるので、データの転送時間を短縮することができるとともに、当該データ転送時に必要とする消費電力を削減することができる。また、本実施形態によれば、センサ機器から転送されるデータ量を削減することができるので、情報通信端末300やネットワークサーバ500に備えるメモリの記憶容量を削減することができ、製品コストの削減を図ることができる。さらに、ネットワーク400に接続されたネットワークサーバ500により転送されたセンサデータ等の分析・加工処理を行うことにより、センサ機器や情報通信端末300における処理負担を軽減することができるとともに、データ量の多いセンサデータ等の分析・加工処理を迅速に実行することができる。
【0107】
次に、上述した実施形態における変形例について説明する。
(変形例1)
上述した実施形態においては、リスト機器100およびチェスト機器200において、運動中に、センサ部110、210やGPS受信回路120、心拍検出回路220により検出されたセンサデータ等(生データ)の全てをセンサデータメモリ171、271に保存し、運動終了後に、これらのセンサデータ等の中から、情報通信端末300において指定される抽出条件を満たすセンサデータ等のみを抽出して、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送する場合について説明した。
【0108】
本発明はこれに限定されるものではなく、リスト機器100およびチェスト機器200において、予め所望の抽出条件を指定しておき、運動中に、センサ部110、210等により検出されたセンサデータ等が、当該抽出条件を満たす場合のみセンサデータメモリ171、271に保存し、運動終了後に、抽出保存されたセンサデータ等のみを情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送するものであってもよい。
【0109】
これによれば、センサ部110、210やGPS受信回路120、心拍検出回路220により検出されたセンサデータ等が、抽出処理された後にセンサデータメモリ171、271に保存されるので、センサデータ等のデータの量を大幅に削減することができ、センサデータメモリ171、271の記憶容量を削減することができる。
【0110】
(変形例2)
上述した実施形態においては、リスト機器100やチェスト機器200において取得され、情報通信端末300を介してネットワークサーバ500に転送されたセンサデータ等(転送データ)のみを用いて分析処理を行い、その分析データや特定情報をユーザ端末700や情報通信端末300の表示部に表示させる場合について説明した。
【0111】
本発明はこれに限定されるものではなく、ネットワークサーバ500に転送されたセンサデータ等や、その分析データおよび特定情報の検証を専門家(例えばコーチや指導者等)に依頼し、そのアドバイス等を分析データや特定情報とともにユーザ端末700や情報通信端末300の表示部に表示させるものであってもよい。
【0112】
これによれば、専門家のアドバイス等を参考にして、自己の運動状態や運動姿勢等をより的確に把握することができるとともに、その後の運動方法の改善等に十分に反映させることができる。
【0113】
(変形例3)
図15は、上述した実施形態に係る運動状態把握装置の一変形例を示す概略構成図である。ここで、上述した実施形態(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付してその説明を簡略化する。
【0114】
上述した実施形態においては、リスト機器100やチェスト機器200において取得したセンサデータ等を、情報通信端末300を介して、ネットワーク400に接続されたネットワークサーバ500に転送し、当該ネットワークサーバ500において、センサデータ等を分析・加工処理した後、ユーザ端末700に提供する、いわゆるクラウドコンピューティング型のシステムを有する場合について説明した。
【0115】
本発明はこれに限定されるものではなく、リスト機器100やチェスト機器200において取得したセンサデータ等を、情報通信端末300において直接分析・加工処理した後、ユーザ端末700に提供する構成を有するものであってもよい。
【0116】
具体的には、本変形例に係る運動状態把握装置は、図15に示すように、概略、リスト機器100やチェスト機器200と、情報通信端末300と、ユーザ端末700と、を有している。ここで、情報通信端末300は、上述した実施形態に示したネットワークサーバ500において実行されるセンサデータ等の分析・加工処理と同等の処理機能を備えている。
【0117】
このような運動状態把握装置において、まず、リスト機器100やチェスト機器200によりセンサデータ等が取得され、情報通信端末300から所望の抽出条件を指定したリクエスト信号をリスト機器100やチェスト機器200に送信することにより、当該抽出条件を満たすセンサデータ等のみが抽出されて情報通信端末300に転送される。次いで、情報通信端末300において、転送されたセンサデータ等を分析・加工処理して、分析データや当該分析データに基づく特定情報を生成する。これにより、分析データや特定情報が情報通信端末300の表示部340に所定の表示形態で表示される。また、情報通信端末300に所定の通信方式により接続された携帯電話機701やスマートフォン702、タブレット端末703等のユーザ端末700に対して、上記の分析データや特定情報を送信して、ユーザ端末700の表示部に所定の表示形態で表示するものであってもよい。この場合、情報通信端末300からユーザ端末700への分析データ等の送信方法は、無線通信や赤外線通信、通信ケーブル等により相互を直接接続して送信するものであってもよいし、携帯電話回線網やインターネット等のネットワークを介して送信するものであってもよいし、メモリカード等を介してデータを受け渡しするものであってもよい。
【0118】
これによれば、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等が情報通信端末300に転送されて、当該情報通信端末300において分析・加工処理が行われるので、センサデータ等の転送に必要とする時間を短縮することができる。また、情報通信端末300により指定される抽出条件によっては(高度変化抽出および気温変化抽出以外の抽出条件の場合)、ネットワーク接続環境を必要としないので、ネットワーク接続機能を備えていない情報通信端末300やネットワークへの接続ができないような状況であっても、センサデータ等の分析・加工処理や、分析データ等の生成を行うことができ、ユーザに適切な情報を提供することができる。
【0119】
なお、図15においては、リスト機器100やチェスト機器200から転送されたセンサデータ等を分析・加工処理する情報通信端末300として、図1に示した情報通信端末300のうち、比較的演算処理能力が高いパーソナルコンピュータ301を適用した場合を示したが、演算処理の内容や十分な処理能力を備えている場合には、スマートフォンやタブレット端末等の他の端末を適用するものであってもよい。
【0120】
(変形例4)
上述した実施形態においては、リスト機器100やチェスト機器200において取得されたセンサデータ等を抽出処理するための抽出条件を、情報通信端末300により指定して、リスト機器100およびチェスト機器200にリクエスト信号を送信してセンサデータ抽出処理を実行する場合について説明した。
【0121】
本発明は、これに限定されるものではなく、例えば表示部を備えたリスト機器100により抽出条件を指定して、当該リスト機器100において取得したセンサデータ等に対して抽出処理を実行するとともに、上記抽出条件を含むリクエスト信号をチェスト機器200に送信して、チェスト機器200において取得したセンサデータ等に対して抽出処理を実行するものであってもよい。
【0122】
これによれば、ユーザUSが身体に装着したセンサ機器のみで、センサデータ等の取得動作、および、所望の抽出条件を満たすセンサデータ等の抽出処理を行うことができるので、情報通信端末300においてセンサデータ等の抽出条件を指定する手順を省略することができるとともに、情報通信端末300を介したセンサデータ等の転送動作を、運動終了後に迅速に開始することができ、情報通信端末300における処理負担を軽減することができるとともに、運動状態把握装置の使い勝手を向上させることができる。
【0123】
なお、上述した実施形態および変形例においては、センサ機器として手首に装着するリスト機器100や、胸部に装着するチェスト機器200を適用した場合を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、運動中の人体における動作状態や生体情報を示すセンサデータ等を取得することができるものであれば、他のセンサ機器であってもよく、例えば、上腕部や足首、腰部や靴紐等に装着するものであってもよい。
【0124】
また、上述した実施形態においては、運動把握装置を適用する運動としてランニングを例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばウォーキングやサイクリング、トレッキング、登山等の種々の運動に適用するものであってもよい。
【0125】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0126】
(付記)
[1]
人体の運動状態に関連する運動データを取得する運動データ取得部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに対して、所望の抽出条件を指定する抽出条件指定部と、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出するデータ抽出部と、
前記抽出された前記運動データを、前記運動データ取得部から転送するデータ転送部と、
前記データ転送部により転送された前記運動データの分析処理を実行するデータ分析部と、
を備えることを特徴とするセンサデータ抽出システムである。
【0127】
[2]
前記運動データ取得部は、前記人体の運動中の位置および移動速度に関連する前記運動データを取得し、
前記データ抽出部は、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積されて前記データ抽出部にネットワークを介して接続された環境情報蓄積部から抽出し、
前記抽出した前記環境情報を、前記ネットワークを介して、前記環境情報蓄積部から取得し、
前記ネットワークを介して取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出することを特徴とする[1]に記載のセンサデータ抽出システムである。
【0128】
[3]
前記抽出条件指定部は、前記人体の移動距離、経過時間、心拍数変化、移動速度変化、前記地形変化、および、前記気象変化を含む複数の条件のうちのいずれか一つ、または、前記複数の条件のうちのいずれか2つ以上の任意の組み合せを、前記抽出条件として指定することを特徴とする[1]又は[2]に記載のセンサデータ抽出システムである。
【0129】
[4]
前記運動データ取得部は、少なくとも前記人体の運動姿勢に関連する前記運動データを取得することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0130】
[5]
前記運動データ取得部は、前記人体の運動姿勢に関連する前記運動データとして、3軸方向の成分を有する、加速度データと、角速度データと、地磁気データと、を取得することを特徴とする[4]に記載のセンサデータ抽出システムである。
【0131】
[6]
前記運動データ取得部は、前記人体の生体情報を含む前記運動データを取得することを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0132】
[7]
前記運動データ取得部は、前記人体の運動中の位置および移動速度に関連する前記運動データを取得することを特徴とする[1]又は[2]に記載のセンサデータ抽出システムである。
【0133】
[8]
前記抽出条件指定部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0134】
[9]
前記抽出条件指定部は、前記運動データ取得部とともに、同一のセンサ機器に設けられていることを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0135】
[10]
前記データ分析部は、ネットワークを介して前記データ転送部に接続されていることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0136】
[11]
前記データ分析部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0137】
[12]
前記データ分析部における分析処理により生成された分析データを、ユーザに提供するための分析データ提供部を、さらに備え、
前記分析データ提供部は、前記データ転送部とともに、同一の情報通信端末に設けられていることを特徴とする[1]乃至[11]のいずれかに記載のセンサデータ抽出システムである。
【0138】
[13]
人体の運動状態に関連する運動データを取得し、
前記運動データに対して、所望の抽出条件を指定し、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出し、
前記抽出された前記運動データを転送して、
前記転送された前記運動データの分析処理を実行する、
ことを特徴とするセンサデータ抽出方法である。
【0139】
[14]
前記運動データを取得することは、前記人体の運動中の位置および移動速度に関連する前記運動データを取得することを含み、
前記運動データを抽出することは、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積されて前記データ抽出部にネットワークを介して接続された環境情報蓄積部から抽出し、
前記抽出した前記環境情報を、前記ネットワークを介して、前記環境情報蓄積部から取得し、
前記ネットワークを介して取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出することを含む、
ことを特徴とする[13]に記載のセンサデータ抽出方法である。
【0140】
[15]
コンピュータに、
人体の運動状態に関連する運動データを取得させ、
前記運動データに対して、所望の抽出条件を指定させ、
前記運動データの中から、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出させ、
前記抽出された前記運動データを転送させ、
前記転送された前記運動データの分析処理を実行させる、
ことを特徴とするセンサデータ抽出プログラムである。
【0141】
[16]
前記コンピュータに、
前記運動データを取得させることは、前記人体の運動中の位置および移動速度に関連する前記運動データを取得させることを含み、
前記コンピュータに、前記運動データを抽出させることは、
前記運動データ取得部により取得された前記運動データに基づいて、地形変化または気象変化の情報を含む環境情報を、前記環境情報が蓄積されて前記データ抽出部にネットワークを介して接続された環境情報蓄積部から抽出させ、
前記抽出した前記環境情報を、前記ネットワークを介して、前記環境情報蓄積部から取得させ、
前記ネットワークを介して取得した前記環境情報に基づいて、前記抽出条件に対応する抽出ポイントの前記運動データを抽出させることを含む、
ことを特徴とする[15]に記載のセンサデータ抽出プログラムである。
【符号の説明】
【0142】
100 リスト機器(抽出条件指定部)
110 センサ部(運動データ取得部)
120 GPS受信回路(運動データ取得部)
150 通信機能部
160 演算回路(データ抽出部)
170 メモリ部
200 チェスト機器
210 センサ部(運動データ取得部)
220 心拍検出回路(運動データ取得部)
250 通信機能部
260 演算回路(データ抽出部)
270 メモリ部
300 情報通信端末(抽出条件指定部、データ転送部)
340 表示部
350 通信機能部
360 演算回路(データ分析部)
370 メモリ部
400 ネットワーク
500 ネットワークサーバ(データ分析部)
560 演算回路
570 メモリ部(環境情報蓄積部)
600 データベース
700 ユーザ端末(分析データ提供部)
US ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15