(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明の全体において同一番号は同一要素を意味する。以下の説明は、発明の理解を助けるためにあくまでも例示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解しなければならない。
【0015】
図1は、検査中であるオブジェクト104の画像を作って人128が見ることができるようにモニター126に表示できるように放射線スキャナー(例;CTスキャナー)の回転支持台106内の色々な要素から生成されるデータを取得する放射線撮影システム100のブロック図である。このようなスキャナーは、病院で患者の腫瘍を確認するか、セキュリティ検査台において検査中である手荷物のようなオブジェクト104と関連する関心オブジェクト(例;危険物、禁止品など)を識別するのに用いられる。一方、何の画像も作らず、オブジェクト104の密度や原子特性を識別した後、所定のオブジェクト(例;禁止品)と関連する密度や原子特性リストと比較して、該オブジェクト104が所定の品目を含むか否かを決定することもできる。CTスキャナーを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、可能な限り本発明の範囲は他のシステムにも適用することができる。例えば、本発明をマンモグラフィー装置、ラインスキャナーなどの放射線撮影機は勿論、カメラ、粒子検出器、その他の別途のイベントを測定する撮影装置にも適用することができる。本実施例は例示に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして判断してはならない。例えば、
図1のデータ取得器122がスキャナーの回転支持台106の一部分であってもよい。
【0016】
検査装置102は、(空港でのスーツケースや患者のような)オブジェクト104を検査するものであり、回転支持台106と固定支持台108とを備える。オブジェクトを検査する間、オブジェクト104はベッドやコンベヤーベルトのような受け台110の上に置かれ、該受け台は(回転支持台の中空部分である)検査区域112に選択的に位置し、固定支持台106は(モーター、駆動軸、チェーンなどの)回転器114によってオブジェクト104の周りを回転する。
【0017】
回転支持台106は、検査区域112の一部分を囲み、X線源のような輻射源116と検出器アレイ118とを含み、検出器アレイは輻射源116の正反対側の回転支持台106に設けられ、検出器アレイ118が輻射源を完全に囲んでいれば、輻射源116の焦点121が検出器アレイの中心のように作用する。
【0018】
オブジェクト104を検査する間、(検出器アレイと輻射源とを含む)回転支持台106がオブジェクト104の周りを回転する間、輻射源116がオブジェクト104を向かって放射線120を放射する。一般的に、CTスキャナーの場合、検査期間中に放射線120が連続的に放射される。しかし、あるCTスキャナーや他の放射線スキャナー(例;パルス式スキャナー)の場合、放射線120が回転期間中に断続的に放射されたりもする。
【0019】
オブジェクト104を透過した放射線はオブジェクト104の表面ごとに異なって減衰する。放射線120がオブジェクトの表面ごとに異なって減衰するため、減衰率や、むしろ検出器アレイ118が検知した光子数の変化を根拠に画像を再構成することができる。例えば、骨や金属板のように表面がより稠密なオブジェクト104の場合、皮膚や衣類のようにそれほど稠密でないオブジェクトに比べ、放射線120がより減衰し、検出器アレイ118にぶつかる光子数もより少なくなる。
【0020】
ある場合には、オブジェクト104をスキャンしたり検査したりする間、図面で回転支持台106がx−y平面で回転すれば、オブジェクト104はz軸方向に動くことができる。このようにして、オブジェクトを透過する放射線のz−次元より大きいz−次元を有するオブジェクトは(ステップ別照射のスキャン方式に比べて)遥かに迅速にスキャンされることができる。回転支持台106がx−y平面で回転し、オブジェクト104がスキャンされながらz方向に動けば、螺旋状にスキャンが行われる。
【0021】
直接変換検出器アレイ(例;非晶質セレニウム光伝導体からなる検出器アレイ)や間接変換検出器アレイ(例;シンチレーター(scintillator)やフォトダイオードからなる検出器アレイ)であってもよい検出器アレイは、放射線光子を電荷に変換し、このような光子は放射線が浸透する所の近くにある検出器アレイ118の画素や要素によって検知される。画素ごとに検知された電荷を示す(線形フォーマットの)アナログ信号を出し、該信号はデータ取得器122に送られる。画素が検知した電荷は光子数に直接関連するため(例;1200個電子の電荷が1個の光子に相当する)、その出力はオブジェクト104を透過する放射線120の減衰率を示す。一例として、画素が電荷を検知できなければ、該画素が電荷をほぼ検知できなかったことを示すアナログベースライン信号を放出する。
【0022】
当業者であれば分かるように、検出器アレイ118やデータ取得器122に連結されたりその中に構成されたりするが、図面に示されていないAD変換器がアナログ信号を受けてデジタル信号に変換し、これについては後ほど詳しく説明する。デジタル信号に含まれたデータは、16ビット浮動小数点(floating−point)フォーマット、準対数(quasi−logarithmic)フォーマット、非線形デジタルフォーマットなどの色々な形式でフォーマットされることができる。アナログ信号と同様にデジタル信号は投影空間にあり、画素がどれほど多い光子を検知するかを示すため、デジタル信号に含まれたデータを当業界では投影空間データともいう。
【0023】
データ取得器122の信号データは、投影空間データを受ける画像再構成器124に送られる。画像再構成器124は、当業者で知られている分析法や反復法やその他の画像再構成技術(例;2D逆投影、トモシンセシス(tomosynthesis)再構成など)を用いて、検査中のオブジェクト104の画像を再構成する。このようにして、データが投影空間から画像空間に変換され、画像を見る使用者128がより分かりやすくなる。
【0024】
コンピュータのような端末134は画像を受け、該画像は安全要員や医師のような使用者128が見ることができるようにモニター126に表示される。使用者は、画像を検査してオブジェクト104内の関心領域を確認する。端末134は使用者の入力を受けたりもするが、該入力はオブジェクト検査装置102に送られるか、特定角度で見ることができるようにモニター126に送られる。
【0025】
端末134に連結されたコントローラ130は、端末134での使用者の入力を受け、実行する作業を示す検査装置102用の命令語を生成する。例えば、使用者128がオブジェクト104を再スキャンしたいとすれば、コントローラ130は、検査装置102の検査区域112に向かってオブジェクトの方向を戻せという命令語を受け台110に送ることができる。
【0026】
図2は、
図1のデータ取得器のようなデータ取得器200のブロック図である。該データ取得器200の電荷積分器214A〜Nは、画素が検知した電荷数を表示するか、画素が測定した単位時間当たり光子密度に比例する電流214A〜Nを検知された光子数を示す電圧信号216A〜Bに変換する。
【0027】
図1〜2において、オブジェクト104は検査装置102によってスキャンされ、検出器アレイ118はこちらの画素にぶつかる放射線の光子を検知する。それぞれの画素は衝突する放射線によって生成された電荷を検知し、時間当たり検知された光子密度に比例する電流信号を出力する。このようにして、それぞれの画素から出力された電流信号は、単位時間内に検出器アレイ118のそれぞれの画素に到達した放射線量を示す。
【0028】
また、各画素の出力(例;電流信号)をデータ取得器(122;200)用の入力として受信することができる。一例として、データ取得器200は検出器アレイ118の入力信号(例;214A〜N)を受けるための複数のチャネルを有してもよく、
図2の入力端IN0からIN63までに入力信号が64個であればチャネル数も64個であり、チャネルごとに検出器アレイ118の該当画素からの入力を受ける。データ取得器200は、複数のデータ取得チップからなり、総チャネル数も(10,000個以上であってもよい)総画素数と等しい。
【0029】
データ取得器200はランプ信号(ramp signal)を生成するランプ生成器206を含み、ランプ信号と入力信号を比較し、ランプ信号は実質的に放物型電圧曲線を有する。「放物型」および/または「放物線」とは広義の概念で対称な曲線を全て含む概念である。すなわち、放物曲線は上昇部と下降部の傾きが同じである曲線を意味する。また、該曲線の下降部と上昇部が接する地点を放物線の「頂点」という。したがって、本発明では、放物線が
図3〜4および7に示された「U」型曲線に限定されるものではなく、他の形態の全ての対称曲線を含むと見なすべきである。このようなランプ信号を用いれば、ランプ信号と比較する入力信号に関する情報を確認できる他にも、何よりもランプ生成器206を安定させることができる。
【0030】
図3は、
図2のランプ生成器206の出力である放物曲線を有するランプ信号のグラフィック表現300である。ここで、Y軸350はランプ信号の電圧を、X軸352は時間を意味する。また、ランプ信号の放物型電圧曲線も2個の対称部354,356を有する。対称部354,356は、各々頂点358を基準に分けられた放物の半分に該当する。放物線の方向はランプ信号310の方向と異なってもよい。すなわち、傾きや傾きの方向が図示されたものとは異なってもよい。例えば、ランプ信号310が
図3のように下降曲線から始まるか、
図4のように上昇曲線から始まってもよい。いずれにせよ、放物線は対称曲線を含む概念である。
【0031】
放物線型ランプ信号は、検知された放射線から生じる信号をデジタル化するのに用いられる他の線形や非線形ランプ信号に比べて多くの長所を有する。例えば、比較器(例;
図2の210A〜N)が作動する時にまでランプ信号を用いて測定することができるため、放物型ランプ信号は他の形態のランプ信号に比べて少ない数のビットでデータを量子化することができ、これは、データ取得器200のDA変換部の時間解像度を下げることができるか、サンプリング速度を上げることができるということを意味する。また、時間解像度を下げれば、より安定したクリスタルクロック信号のために
図2のタイミング入力パルス220のようなクロックインターポレータ(clock interpolator)を無くすことができる。ビット数を減らせば、時間間隔も減って電力消費が減り、例えば、各々のチャネルにおいて関連比較器(例;210A〜N)のラッチにおけるフリップが少なくなる。したがって、放物型ランプ信号を用い、ビット数を減らせば、データ取得器200のチップの電力消費を減らし、サンプリング速度は上げ、変換の複雑度を下げることができる。また、当業者であれば分かるように、ビット数を減らせば、放射線検査装置のデータ取得器と他の要素との間に伝送されるデータ量を減らすことができ、データ圧縮量も減らすことができる。
【0032】
放物曲線を有するランプ信号を生成する他の方法もある。ランプ生成器に実現できる1番目の技術は2個の積分器(そのうちの1つはランプ生成器の中に設置)を利用するものであり、1番目の積分器は定電圧基準入力端からランプ生成器に向かって線形ランプ信号を作り、2番目の積分器はランプ信号を積分して放物曲線を作る。2番目の技術は(ランプ生成器の中に設置される)DA変換器を用いて放物曲線を作るものである。これらの技術にフィルタリングを適用して雑音を減らすことも考慮することができる。
【0033】
図4は、最も理想的な放物曲線406に該当するランプ信号408を生成する例のグラフィック表現400である。
図4の3個の曲線のうち、1番目の曲線は最適な放物曲線406としてランプ生成器が形成する理論的な曲線であり、初期ランプ信号410はフィルタリング前に形成される曲線であり、フィルタリングされたランプ信号408は初期ランプ信号410をフィルタリングした後の信号としてランプ生成器から出力される。
図4の曲線は、
図3と7の曲線をひっくり返したものである。ここで、Y軸はボルトのような振幅を、X軸は秒やミリ秒単位の時間を意味する。DA変換器から生じる初期ランプ信号410は(所望の出力ランプ信号である)最適な放物曲線406と類似する形状を有するが、該曲線406と完全には一致しない。初期ランプ信号410は低域通過フィルターのようなフィルターを経てフィルタリングされたランプ信号408となり、該ランプ信号は最適な放物曲線406とほぼ一致する。図示したように、フィルタリングされたランプ信号408が初めには放物曲線406と一致せず、これは、ランプ生成器206が安定中であるためである。しかし、後ほど説明するように、放物曲線のこの部分はランプ生成器を安定させるのに用いられ、未知の電圧信号のデジタル値を決定するには用いられず、これは、フィルタリングされたランプ信号408がランプ生成器が安定する間には理想的でないためであろう。
【0034】
図2のデータ取得器200の比較器210A〜Nはランプ信号310の第1対称部を電圧信号と比較し、電圧信号はオブジェクト216A〜Nの検査中に検査装置の検出器アレイが検知した光子を示す。また、検知された光子と比較するのに用いられないランプ信号の第2対称部は、ランプ生成器206の回路が雑音効果を減らすことができるように時間遅延を引き起こす。すなわち、第2対称部は最適な放物曲線406に一致しない部分としてランプ生成器206を安定させるのに用いられ、例えば、検知された光子数を表示する信号と比較される部分である第1対称部は最適な放物曲線とほぼ一致する。
図4において、フィルタリングされた電圧ランプ信号408は頂点412を過ぎて最適な第1放物線とほぼ一致し、検知された光子数を示す信号は理想的なランプ信号と比較され、実際に検知された光子数を正確に表示し雑音を減らすのに寄与する。「対称部」に用いられた「第1」、「第2」という表現が各々比較と安定化に専用されるものではない。すなわち、比較に用いられる曲線部分が常に第1部分である必要はなく、安定化に用いられる曲線部分も常に第2部分である必要もない。例えば、安定化に用いられる曲線部分が第1部分であり、比較に用いられる部分が第2部分であってもよい。
【0035】
頂点を過ぎたランプ信号310の第1対称部356が検出器アレイの画素が検知した光子数を示す光子検知信号308と比較することができる(例;
図2の214A〜N;216A〜N)。ランプ信号310のこの部分356は測定周期306を有し、測定周期の間に光子検知信号308の測定を行うことができる。例えば、測定周期306がランプ信号310の頂点358部分から始まってランプ信号310と光子検知信号308が一致(交差)する時に終わる時間周期を有することができる。それにもかかわらず、測定周期がランプ信号310の一部分354をある程度有することもでき、これは、ランプ生成器をより迅速に安定させるためである。例えば、
図4のフィルタリングされた電圧ランプ信号408は、頂点412よりさらに速く最適曲線406にほぼ一致する。
【0036】
また、
図4における頂点412の前部分に相当するランプ信号310の第2対称部354は時間遅延のための安定周期304として用いられ、該周期は安定化のための回路の周期を含むことができる。換言すれば、ランプ生成器206が安定する間には、ランプ生成器が充電中であるため、生成されたランプ信号は理想的ではない。このような非理想的なランプ信号は、
図4の最適放物曲線406のような所定の経路に沿わないので測定に悪影響を及ぼし、このため、測定に用いられる場合、最終デジタル信号が不正確となり得る。したがって、第2対称部354はランプ生成器を安定させることにだけ用いられ、光子検知信号308の測定には用いられない。また、このような安定周期があるのでランプ生成器に低帯域幅回路を用いることができ、これは、ランプ生成器が端末134によって312地点で作動するや否や、放物型電圧曲線を生成する必要がないためである。すなわち、ランプ生成器は、安定周期304のためにより徐々に促進されて理想的なランプ信号を生成する。低帯域幅回路を用いれば、ランプ信号による雑音量を減らすことができ、これは、ランプ生成器を安定させるのに安定周期304を用いる他の長所でもある。
【0037】
図2のランプ生成器206は
図3のランプ信号310を生成する。該ランプ信号310が複数の比較器210A〜Nにおいて用いられるため、色々な比較器においてほぼ同時に同一のランプ信号が用いられる。
【0038】
図3において、ランプ信号310の放物曲線は安定周期304の間には下降スロープ354を描き、前述したように、このため、ランプ生成器が「安定化」されて正しい値に達することができる。すなわち、ランプ信号が「早めに」始まって、測定周期306は比較時間だけランプ生成器と関連するある程度の不正確度が減る。測定周期306は、頂点358から始まってランプ信号310と光子測定電圧信号308が一致(交差)する時にまで持続する。
【0039】
図2によれば、比較器210と関連するラッチを用いて、比較器の出力が変わる時を表示するデータを生成する。例えば、
図3のランプ信号310が入力信号308と会って両信号が同じ電圧350を有する時、ラッチが作動し、この時、比較器の出力が変わる。具体的には、ラッチが作動しない間には比較器の出力218A〜Nが2進数で0を有し、ラッチが作動する時には比較器の出力が2進数で1を有して状態/値の変化が生じる。
【0040】
比較器の出力が変わる時に時間値352が決定され、このような時間値は比較器210に対する入力信号216のデジタル表現を含むことができる。例えば、検出器アレイ118の画素が受けた光子は特定電圧を示し、例えば、光子1個が5μVに該当する。本実施例では、放物型ランプ信号310の頂点358から始まって2個の信号が同じくなるまでの時間値を測定することができる。
【0041】
測定周期306のような時間値は、タイミング素子(図示せず)から生成された
図2のタイミング入力パルス220のための時間インターポレータ(例;タイミングパルスの間隔)と結合されることができる。例えば、タイミング素子が公知の間隔(例;1.25ナノ秒)で比較器210にタイミングパルスを送り、測定周期306に入っている(整数で四捨五入)パルス数は比較器210に入る入力信号216の時間値を示す。このようにして、検知された光子数を示す電圧入力信号216が測定周期306の間のパルス数を示す整数で表示されるデジタル表現(例;218)に変換される。
【0042】
前述した実施例において、ランプ生成器から生成された放物曲線の下降スロープ354を安定周期に活用し、上昇スロープ356は測定周期に活用する。一方、放物曲線310が頂点まで続いた初期上昇スロープと、頂点から続く2次下降スロープを有してもよい(例;実施例300のひっくり返したバージョン)。この場合、比較器は、ランプ信号の下降スロープ部分は検知された光子を示す信号と比較し、上昇スロープ部分は安定周期(時間遅延)を提供する。
【0043】
一種の回路であってもよいランプ生成器は、製造過程やハードウェアやその他の変動により、
図4の最適な放物曲線406のようなランプ信号を正確に複製できないこともあり得るので、例えば、放物型電圧曲線が予想より±100mV程度外れてもよい。したがって、特定時間に特定ランプ生成器から生成された放物型電圧曲線、例えば、
図4のフィルタリングされたランプ信号408の性質を所望の補正間隔で、例えば、スキャンする時ごとに確認して、比較器の出力を修正(補正)することができる。一例として、出力信号を数学的に誘導して修正(補正)することができる。
【0044】
したがって、
図2のデータ取得器200に補正器204を設けて、放物型電圧ランプ信号(310;408)の傾きを決定する。一例として、補正器204が電圧曲線上の4地点を確認して電圧曲線の傾きを決定する。該曲線上の少なくとも2点は各々他の地点において曲線を交差し、ほぼ同じ未知の電圧(例;
図3の308)を表現し、これにより、これらの地点はほぼ同じ光子数を示すが、検知された実際光子数は知らないことがある。このような2地点が同じ電圧や光子数を表現するため、これらの地点は、時には1つの点とみなされたりし、これにより、4個でない3個の地点において補正が行われることとしてみなされたりする。また、これらの2地点に現れた電圧は、輻射源が作動しない時(例;放射線が出てこない時)に生じる電圧(例;最小電圧)でも、検査するオブジェクト無しで行うエアースキャンを行う時に生じる電圧(例;最大電圧)でもない。
【0045】
曲線上の他の関連地点は、輻射源が停止し、放射線無しで検査装置102から電圧信号を生成して決定される「オフセット」地点であってもよい。放射線が放出されない時に生成された電圧信号は、検知された光子数が0や最小であることを表示する。したがって、該電圧信号は放射線を用いてスキャンした時の信号にオフセット測定値を提供する。本実施例において、オフセット測定値はスキャンによって生成された最小電圧を示す。
【0046】
曲線上の他の関連地点は、検査区域に検査するオブジェクト無しで放射線を最大量放射する「エアースキャン」において検査装置から電圧信号を生成して決定できる「ゲイン」地点である。生成された電圧信号は一般的に検知された最大光子数を表示し、これは、検査区域において放射線がほぼ全く減衰しないためである。したがって、該電圧信号はスキャンによって生成できる最大電圧を表現するゲイン測定値を提供する。
【0047】
放物型電圧曲線のゲイン地点とオフセット地点を確認した補正器204は、他の地点において曲線と交差しつつ同じ電圧を示す少なくとも2地点を探して3番目の地点を確認することができ、該地点は、検知されたものと同じ光子数を示す。例えば、ゲイン電圧とオフセット電圧との間の電圧信号が比較器に流入され、公知の信号が放物曲線と初めて交差する時間と2番目に交差する時間を確認する(例えば、タイミング入力220とラッチを用いて)時間測定を行うことができる。このような2つの時間を確認して、放物型電圧曲線上の3番目の地点を確認して、ランプ信号を補正することができ、例えば、ランプ生成器206を含む特定ハードウェアによって生成された実際ランプ信号を決定することができる。このような2地点が同じ電圧値を有するため、放物線の頂点は3番目と4番目の地点の間の(
図3のy方向に向かって延びる)中間ライン上にあると確認される。
【0048】
換言すれば、放物線のような2次関数の傾きを決定するためには、少なくとも3個の地点が必要である。2地点はゲイン(例;最大出力で放射線を放射しながらエアースキャンをする間に行った測定値)とオフセット(例;放射線無しで行った測定値)を根拠に決定されるが、輻射源が一般的に線形ではないため、特定光子数を正確に放出することができないため、データ取得器をゲイン値とオフセットとの間の光子レベルに露出させることは概して難しいと言える。したがって、放物線の特徴を利用して、放物線の両側において1番目のソースの測定値を求めることができる。これらの2つの測定値の中間点を利用して(放物線の両側が同じレベルに測定される限り)実際測定値に関係なく放物線の変曲点を決定することができる。
【0049】
以上のように4点補正法を用いる間、ランプ信号を頂点の前で安定させ、未知の電圧信号とランプ信号が交差する両側地点においてランプ信号を安定させる。補正器204が4地点を用いて放物型電圧曲線の傾きを決定する反面、放物型電圧曲線の傾きを3地点を確認して決定することもでき、これは、曲線上の少なくとも2地点が同じ電圧を示すので互いに合わせることができるためである。例えば、正確な電圧をX線輻射源によって生成するか、検出器アレイに適用することができる.しかし、実際にはこのような正確な電圧を生成することができないため、4地点を用いて補正を行い、そのうち少なくとも2地点はほぼ同じ電圧を有する。光子を検知したり取り扱ったりする時に量子力学を適用するため、正確な実際光子数を決定することがほぼ不可能であり、許容誤差や標準偏差内の光子数を検知することが標準であるため、本明細書では「ほぼ」という表現を使う。
【0050】
このような補正過程について
図6〜7を参照してさらに説明する。
【0051】
図2の出力データマルチプレクサー212は、比較器210A〜Nのデジタル出力218A〜Nを受け、関連の画像再構成器124に送られる出力222を生成する。
【0052】
図5は、放物曲線の両側(対称)の半分を用いる間、放物型電圧曲線をランプ信号として用いる方法500のフローチャートである。該方法500は、S502ステップから始まり、2個の対称部を有する放物型電圧曲線のランプ信号を生成する方法であり、S504ステップでは、ランプ信号の1番目の対称部がランプ生成器を安定させる。放物線を頂点を過ぎる軸線に沿って半分に分ければ、両側の半分が互いに対称である鏡像となる。例えば、放物線の開始点から頂点までの下降部は、頂点から終点までの上昇部の鏡像である。
【0053】
安定周期は、回路の入力電圧と出力電圧の両方とも安定し有効となる期間である電波遅延時間を含む。このようにして、入力比較を始める前にランプ生成器を適切に「安定」させてランプ信号の不正確度を下げることができる。一例として、(安定周期を含む)ランプ信号の第1部位は各々の信号に対するランプ生成器時間を提供して、所望の電圧レベル精密度閾値(例;仕様の90%)に達するようにする。
【0054】
ランプ信号の
第2対称部が放物型電圧曲線の下降部を有してもよく、この時、安定周期は曲線の開始点から始まって頂点で終わる。一方、放物型電圧曲線が反転して、
第2対称部が曲線の頂点まで続く上昇部を有してもよい。この場合、上昇部がランプ生成器の「安定」周期を有する。
【0055】
S506ステップにおいて、ランプ信号の2番目の対称部は、検査を行う間、検査装置の検出器アレイによって検知された光子数を示す信号と比較される。一例として、光子数を示す信号が比較器の2番目の入力信号を含み、1番目の入力信号がランプ信号である。2番目の入力信号は光子数を示し、光子数が大きいほど電圧信号も高くなる。
【0056】
ランプ信号は、2番目の入力信号の電圧レベルの決定を助けるのに用いられる。ランプ信号を知っているため、ランプ信号の電圧も知ることができる。ランプ生成器はランプ信号を生成し、ランプ信号の開始点と頂点との間において安定周期が生じる。測定周期はランプ信号の頂点から始まって、ランプ信号と2番目の入力信号が同じくなる時までに続く。実際にランプ信号と2番目の入力信号は正確には一致せず、電圧誤差や遅延や回路の固有特性のため、所望の閾値内にあればよい。
【0057】
ランプ信号の2番目の対称部が、例えば、放物型電圧曲線の上昇部を含み、測定期間が該曲線の頂点から始まって、2個の入力信号が(ほぼ)同じくなる地点で終わることができる。または、放物型電圧曲線が反転して、2番目の対称部が頂点から始まる下降部を含むこともできる。この場合、下降部がランプ生成器や比較器用の「測定」周期を有してもよい。
【0058】
比較器による比較によって出力に変化がある時、デジタルタイム信号が「ラッチ」されることができる。例えば、比較器が2進出力を利用すれば、その出力は0や1を有する。この場合、比較器出力は2個の入力信号が比較器に入り始める時に0であり、2個の入力信号がほぼ同じくなる時に1に変わる。比較器出力が0から1に変われば、デジタルタイム信号がラッチされ、2個の入力信号(例;ランプ信号と光子レベル電圧信号)がほぼ同じくなる時間を表示する。
【0059】
検査装置の検出器アレイによって検知された光子数は、ラッチされたデジタルタイム信号に基づいて決定される。すなわち、(比較器に対する1番目の入力としてのランプ信号のような)放物型電圧ランプ信号の頂点と(例えば、比較器に対する2番目の入力としての光子検知電圧信号が1番目の入力と同じくなる時である)ラッチ時間との間の(デジタルタイミング素子からの)タイマーパルス数をカウントして測定周期を決定することができる。
【0060】
ランプ信号の2番目の対称部を光子表示信号に比較すると、該方法500はS508ステップで終わる。
【0061】
図6は、ランプ信号生成器を補正する方法600のフローチャートである。該方法600は、S602ステップから始まり、604ステップにおいて放物電圧曲線型のランプ信号を受ける。
図7は、放物型ランプ電圧信号720のグラフ700である。該グラフにおいて、Y軸は検査装置の検出器アレイから生成される光子数716を示し、該光子数は検知された光子数に比例する電圧で表現される。X軸は、ランプ信号が生成される時間714を示す。
【0062】
S606ステップにおいて、放物型電圧曲線720と交差する少なくとも4地点が確認される。4地点は、放物型電圧曲線の傾きを決定して放物線の関数と形状を確認するためのものである。本実施例において、1番目と2番目の地点はほぼ同じ光子数と関連する電圧を示すため、(X線輻射源から十分に正確な電圧が発生して検出器アレイに適用されれば)1つの点とみなされたりもする。また、1番目と2番目の地点に表示された電圧は、スキャン期間に輻射源が作動せずに放射線が放出されない時に生じる電圧(例;最小電圧)や、エアースキャンを行う時に生じる電圧(例;最大電圧)ではない。
【0063】
図7の信号708は1番目の電圧を表示するものであり、ランプ信号720が比較器に入力される間に比較器に入力される。例えば、このような信号を入力するために、(妥当な許容誤差内の)所定の光子数がファントム(phantom;例えば、特性が公知されたオブジェクト)を通じて検出器アレイに衝突するようにするファントムを利用してスキャンを行う。信号708がランプ信号720を交差して2つの信号がほぼ同じくなる時、1番目の交差点710における時間が1番目の測定時間t
a722であり、信号708とランプ信号720が2番目に交差する2番目の交差点718における時間が2番目の測定時間t
c724である。放物線の頂点712は、t
a722とt
c724のほぼ中間時点に位置する。
【0064】
エアースキャンを行う時に生じる最大電圧を示す3番目の点と、輻射源から放射線がほぼまたは全く放射されない時に生じる最小電圧を示す4番目の点もある。
図7において、放物線のゲイン測定値706は、検査区域にオブジェクトがなく、スキャナーが最大放射線を出す時に決定される。この場合、オブジェクトによる放射線の減衰がほぼまたは全くないため、検出器アレイがほぼ最大電圧を検知する。したがって、このようなエアースキャンによって生じた電圧信号706は、放物曲線720上の最大電圧信号地点を表示する。
【0065】
また、検査区域にオブジェクトがない間、スキャナーが放射線をほぼまたは全く出さなければ、放物線用のオフセット測定値704が決定される。この場合、検出器アレイは、放射線をほぼまたは全く検知しない。したがって、このようなスキャンによって生じた電圧信号は電子素子と関連する電子オフセットだけを表示し、放物曲線720からほぼ最小オフセット測定値704を確認することができる。本実施例では、少なくとも4個地点で決定されるため、ランプ生成器によって生成された「実際」放物曲線、具体的には曲線の関数や傾きを確認することができる。ここで、「実際」放物曲線は、比較器に戻る全ての結果値を補正するのに用いられる。すなわち、少なくとも4個点によって確認された放物曲線は該曲線を作るのに用いられた回路の特性曲線であり、同回路をオブジェクトスキャンに用いるのでスキャンの結果値も調節することができる。
【0066】
換言すれば、検出された光子数NとAD変換器の時間出力(例;
図2の218A〜N)の関係は下記の通りである:
【0068】
ここで、C
1は定数、t
0は頂点に到達する時の時間、N
0は頂点において測定した光子数である。
図7に示すように、t
0はn
aがn
cと等しいので解かれる。したがって:
【0070】
オフセット測定を行う間、何の光子も検知されないため、n
Bは0に定められる。したがって、N
0は下記の通りである:
【0072】
ゲイン測定を行う間、フルスケール光子数(F.S.)とn
d(例;可能な最大光子数)が検知されるので:
【0074】
未知の2個の式N
0とC
1はF.S.の関数で解かれる。したがって:
【0078】
3個の変数C
1、N
0、t
0を知っているため、光子数Nを与えられた測定時間tに対するF.S.の比で解くことができる。したがって:
【0080】
したがって、X線源によって十分に正確な電圧が生じるか、該電圧が検出器アレイに印加されれば、4個や3個の測定値を根拠に放物型ランプ信号の傾きを確認することができる。ランプ生成器のこのような特性曲線は比較器210の出力218を所望の通りに調節するのに用いられることができるため、雑音や歪みを減らすことができる。
【0081】
図6の方法600は放物曲線に対して少なくとも4個点を確認し、S608ステップで終了する。
【0082】
以上で説明した技法を実現するように構成されたプロセッサ−実行命令語が入っているコンピュータ読み取り可能な媒体も本発明の一部である。
図8は、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体の一例800を示しており、フラッシュドライブ、CD−R、DVD−R、ハードディスクドライブのようなコンピュータ読み取り可能な媒体802にコンピュータ読み取り可能なデータ804が載せられている。このようなコンピュータ読み取り可能なデータ804に含まれたコンピュータ命令語806は、以上で説明した原理に従った動作を実行する。コンピュータ命令語806は、例えば、
図6の方法600のような方法808を実行するように構成される。または、コンピュータ命令語806が
図1のシステム100の少なくとも一部分のシステムを実現するように構成されてもよい。当業者であれば、以上で説明した技法に従って動作するように構成される多くの他のコンピュータ読み取り可能な媒体も導き出すことができるであろう。
【0083】
当業者であれば、以上で説明したシステムや技術に対する色々な長所が分かるであろう。例えば、放物型ランプ信号の両側を使用するため、測定する前にランプ生成器を安定させることができる。この場合、ほぼ完璧な/理想的な放物曲線を検出器アレイの画素によって生成された未知の電圧信号と比較することができる。また、安定周期を用いて(理想的な放物曲線を速く作る必要がないため)非線形ランプ生成器に使用したことよりさらに低帯域幅回路を使用することができる。また、実際放物形状を決定する補正法を用いて、放物型ランプ信号の両側の全てを利用することができる。