特許第5742045号(P5742045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742045
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4184 20060101AFI20150611BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20150611BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150611BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20150611BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20150611BHJP
   A61P 3/06 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 9/00 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 9/12 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 25/28 20060101ALN20150611BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20150611BHJP
【FI】
   A61K31/4184
   A61K9/20
   A61K47/02
   A61K47/10
   A61K47/18
   !A61P3/06
   !A61P3/10
   !A61P9/00
   !A61P9/12
   !A61P13/12
   !A61P25/28
   !A61P29/00
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2009-553147(P2009-553147)
(86)(22)【出願日】2008年3月13日
(65)【公表番号】特表2010-530844(P2010-530844A)
(43)【公表日】2010年9月16日
(86)【国際出願番号】EP2008053009
(87)【国際公開番号】WO2008110599
(87)【国際公開日】20080918
【審査請求日】2009年9月14日
【審判番号】不服2013-6658(P2013-6658/J1)
【審判請求日】2013年4月11日
(31)【優先権主張番号】07104157.8
(32)【優先日】2007年3月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リュディガー
(72)【発明者】
【氏名】メルツ フリーダー
【合議体】
【審判長】 内田 淳子
【審判官】 穴吹 智子
【審判官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−502194(JP,A)
【文献】 特表2005−514439(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/048208(WO,A1)
【文献】 特開2000−175653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/4184
A61K47/00-47/48
MEDLINE
BIOSIS
CAPLUS
EMBASE
JSTPLUS
JMEDPLUS
JST7580
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子の大きさが<80μmであるアモルファス形態のアンジオテンシンII受容体拮抗薬テルミサルタン5〜35質量%、塩基性物質0.40〜15質量%及びD(0.5)平均粒子の大きさが100〜350μmであるソルビトール60〜80質量%を含み、ソルビトールの比表面積が1.4〜3.0 m2/gであることを特徴とする医薬錠剤又は錠剤層。
【請求項2】
D(0.5)平均粒子の大きさが150〜250μmであるソルビトールを含む、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項3】
塩基性物質が水酸化アルカリ金属、塩基性アミノ酸及びメグルミンから選択される、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項4】
テルミサルタンを10〜160mg含有する、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項5】
平均粒子の大きさが20〜55μmのアモルファステルミサルタンを含む、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項6】
さらに他の賦形剤又は補助剤を含む、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項7】
他の賦形剤又は補助剤が結合剤、担体、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、流量調整剤、結晶化遅延剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤及び乳化剤から選択される、請求項6記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項8】
テルミサルタン及び塩基性物質を含む水溶液を噴霧乾燥させ噴霧乾燥した顆粒を得て、前記噴霧乾燥顆粒をソルビトールと混合しプレミックスを得て、前記プレミックスを潤滑剤と混合し最終混合物を得ることによって製造する、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項9】
防湿性包装材料で包装する、請求項1記載の錠剤又は錠剤層。
【請求項10】
テルミサルタン及び塩基性物質を含む水溶液を噴霧乾燥し、平均粒子の大きさが<80μmであるアモルファステルミサルタンを含む噴霧乾燥した顆粒を得る工程、
前記噴霧乾燥した顆粒を、D(0.5)平均粒子の大きさが100〜350μm及び比表面積が1.4〜3.0 m2/gのソルビトールと混合し、プレミックスを得る工程、
前記プレミックスを潤滑剤と混合し、最終混合物を得る工程、及び
前記最終混合物を錠剤又は錠剤層へ圧縮する工程
を含む、請求項1記載の医薬錠剤又は錠剤層の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効成分テルミサルタン、塩基性物質及びソルビトールを含む、医薬錠剤又は錠剤層に関する。
欧州特許出願公開第502314号に開示されるとおり、テルミサルタンは、高血圧及び他の医学的適応症治療のために開発された、アンジオテンシンII受容体拮抗薬である。化学名は4'-[2-n-プロピル-4-メチル-6-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)-ベンゾイミダゾール-1-イルメチル]-ビフェニル-2-カルボン酸であり、以下の構造を有する。
【化1】
テルミサルタンは遊離酸の形で製造され、供給される。pH1〜7の胃腸管の生理的pH範囲で、水性系における溶解性が非常に乏しいのが特徴である。国際公開第00/43370号に開示されるとおり、結晶性テルミサルタンは、融点の異なる二つの多形で存在する。熱と湿気の影響を受け、融点の低い多形体Bは、融点の高い多形体Aへ不可逆的に変態する。さらに、テルミサルタンはアモルファス形態、すなわち、ガラス転移温度Tgが>50℃か、好ましくは>80℃の固化した溶液又はガラスの一種として調製できる。
テルミサルタンは投薬量20mg、40mg及び80mgの錠剤として市販されている。20mgの錠剤は円形で、直径7mm高さは約2.5mmである。40mg及び80mgの錠剤は楕円形で、第二有効成分としてヒドロクロロチアジド(HCTZ)を含む、販売されている二層錠剤である。楕円形の製品の長さは12mm〜16.2mm、横幅は5.8mm〜7.9mm、厚さは3.8mm〜6.2mmである。
【0002】
テルミサルタンの薬理学的効能を得るには、錠剤に希釈剤を使用することが必要である。飲み込むための即効性放出製剤に加え、ヨーロッパ薬局方医薬品モノグラフ『口腔用錠剤』の記載に類似するテルミサルタンを包含する錠剤又は錠剤層を調剤することがさらに望ましい。国際公開第03/059327号に開示されるとおり、これは、マトリックスの崩壊ではなく侵蝕過程により決まる溶解特性を意味し、好適な水溶性希釈剤を必要とする。国際公開第03/059327号は、テルミサルタンに好ましい希釈剤としてソルビトールを開示しており、登録されたテルミサルタンの医薬組成物も、充填剤としてソルビトールを含んでいる。その上、ソルビトールは、通常キシリトールのような他の充填剤より安価な賦形剤である。
さらに、テルミサルタンは溶解性が乏しく、また親油性の性質であることから、錠剤又は錠剤層から、それぞれ登録されたテルミサルタンの溶解率を得る特殊な処置が必要となる。USP医薬品モノグラフの定義によれば、Qは75%より、好ましくは85%より大きくなければならない。それゆえ、本発明に従って、テルミサルタンの薬物量の少なくとも75%、一般的に少なくとも85%が、30分後に溶解するようにしなければならない。
国際公開第03/059327号によれば、上述の処置とは、水性媒体においてテルミサルタンの溶解を助ける、錠剤中の塩基性物質の存在であり、また噴霧乾燥により得られるテルミサルタンの、アモルファス形態での使用である。
【0003】
使用する物質の粒子の50vol.%が、以下の対応する数値D(0.5)であるD(0.5)を粒径として定義すると、登録されたテルミサルタンの組成物の調製に使用するアモルファステルミサルタンの粒径D(0.5)は20〜55μmであり、一方ソルビトールの粒径D(0.5)は160〜190μm、すなわち150μm以上である。ソルビトールの粒径がより小さいと、充填剤ソルビトール、活性物質テルミサルタン及び医薬組成物の他の構成成分の分離に対する安定性が向上し、医薬組成物の均質性を改良し、より容易に再生可能とすることができる。しかしながら、150μm以下のソルビトールの粒径では、必要な硬度を有する錠剤を得ることができない。当該硬度は、Erweka社製TBH30装置で粉砕強さとして測定し、実施例1の80mgテルミサルタン錠剤につき、100Nより大きく、好ましくは130Nより大きくなければならない。実施例2の錠剤のような円形の、表面が平らな錠剤につき、ニュートンら(J.Pharm.Pharmac.23 Suppl., 195S-201S(1971))によって記載された引張り強さとして表し、少なくとも1.6N/mm2と同等か、好ましくは>2.1N/mm2である。
薬剤師は、有効成分と希釈剤それぞれの粒径が、テルミサルタンとソルビトール(通常175μm(ソルビトール):38μm(テルミサルタン)=4.6)を含む登録された組成物の場合と同様2分の1以上異なる場合に、構成成分の分離が一般的に見られる技術的問題であることを認識している。大きさが大幅に異なることにより、登録されている技術仕様に当てはまらず、最終的に廃棄することになる組成物が生じる。
製薬において、錠剤は、圧縮圧力を適切に調整することにより通常指定の硬度を実現する。成形可能な最大ひずみに至るまで、この方法は、成分の物理的パラメーターの自然変動によって生じる、圧縮可能なバッチ間変動を補うことができる。例えば、国際公開第03/059327号に開示された方法に従って製造する噴霧乾燥したアモルファステルミサルタンは、かさ密度が0.4〜0.6g/mlになりうる。
その上、より高い硬度レベルまで圧縮することにより、溶解性が損なわれることが知られている。従って、最も好ましい程度の溶解率と硬度レベル双方を呈するテルミサルタンを含む錠剤又は錠剤層を一貫して得ることは、これまで不可能であった。
【0004】
出願人は、驚くべきことに、テルミサルタンを含む錠剤又は錠剤層の調製において使用されるソルビトールの、粒径ではなく比表面積が、錠剤又は錠剤層の硬度と有効成分テルミサルタンの溶解率を主に決定していることを見出した。従って、本発明は、テルミサルタンの錠剤又は錠剤層の調製において、使用されるソルビトールの比表面積がこれまで0.3〜0.7m2/gであったのに対し、比表面積が0.75〜3.5m2/gのソルビトールを使用するよう教示する。
比表面積はUSP医薬品モノグラフ<846>、方法2を考慮して、好適な、較正したBET装置(Micrometrics社製ASAP2400又は相当品)を使用し、77°Kで窒素を用いて測定する。サンプル質量は3g〜5gである。サンプルは真空下にて2時間40℃で脱ガスする。6点測定をp/p0=0.07-0.22で行う。
本発明に従って製造される錠剤は、最大成形強さが<60%である圧縮圧力の好ましい範囲内において、高い溶解率と向上した硬度を呈する。さらに、溶解及び硬度パラメーターの再現性が著しく向上し、バッチ内及びバッチ間変動が減少する。これにより、登録仕様への不適合を最小限に抑えられる。
本発明に記載された医薬組成物はまた、テルミサルタンに1以上のさらなる有効成分を、例えば二層又は三層錠剤中に加える、一定用量の組み合わせの分離錠剤層として使用することができる。テルミサルタンを含む層と組み合わせる分離層中の、上述の他の有効成分としては、ヒドロクロロチアジド等の利尿剤、アムロジピン等のカルシウム受容体拮抗薬、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル等のACE抑制剤、シンバスタチン又はアトルバスタチン等のHMG-CoAレダクターゼ抑制剤、メトホルミン、グリタゾン及びDPP-IV抑制剤等の抗糖尿病剤があげられる。
【0005】
従って、本発明の一つの実施形態は、例えば溶解する錠剤マトリックス中にアンジオテンシンII受容体拮抗薬テルミサルタン、塩基性物質及び希釈剤としてソルビトールを含み、ソルビトールが0.75〜3.5m2/gの比表面積を有することを特徴とする、医薬錠剤又は錠剤層である。ソルビトールの比表面積の好ましい範囲は1.4〜3.0m2/gであり、最も好ましい範囲は2.0〜2.5m2/gである。
さらに、本発明の製剤に使用するソルビトールは、100〜350μmの粒径D(0.5)によって特徴づけることができ、好ましい大きさは120〜300μmであり、最も好ましい大きさは150〜250μmである。
活性物質テルミサルタンの所定の登録された溶解率を実現するため、テルミサルタンは80μmより小さい、好ましくは20〜55μmの大きさの粒子で、アモルファス形態で使用することが好ましい。テルミサルタンのアモルファス形態は当業者に公知の好適な方法で調製でき、例えば水溶液の凍結乾燥、流動床の担体粒子の被覆及び糖ペレット又は他の担体に対する溶媒析出(deposition)があげられる。しかしながら、好ましくは、実質的にアモルファスのテルミサルタンは、国際公開第03/059327号に記載されるとおり噴霧乾燥方法によって調製する。そこでは、テルミサルタンは、水酸化ナトリウム及び/又はメグルミンのような1以上の塩基性物質を利用して精製水中で溶解させ調製する。任意に、可溶化剤及び/又は再結晶遅延剤を加えてもよい。出発水溶液の乾燥物質含有量は通常10〜50質量%であり、好ましくは20〜40質量%である。次に、水溶液を、室温又は好ましくは例えば50℃〜100℃の上昇温度で、例えば1〜5バールの噴霧圧力で、並流又は向流噴霧乾燥機にて噴霧乾燥する。概して、噴霧乾燥の条件は、5質量%以下、好ましくは3.5質量%以下の残留湿度を有する噴霧乾燥した顆粒を、分離サイクロン中で得られるように好ましくは選択する。そのため、噴霧圧、スプレー率、空気入口温度等の他の工程パラメーターをしかるべく調節し、噴霧乾燥機の空気出口温度を、好ましくは約80℃〜90℃の値で維持する。得られた噴霧乾燥した顆粒は、以下の粒径分布を有する微細粉末であることが好ましい。
d10 : 20μm以下、好ましくは10μm以下
d50 : 80μm以下、好ましくは20〜55μm
d90 : 350μm以下、好ましくは50〜150μm
噴霧乾燥の後、噴霧乾燥した顆粒に含まれる賦形剤と同様、有効成分テルミサルタンは結晶性を検知できない実質的なアモルファス形態である。得られたテルミサルタン顆粒が低密度(0.4〜0.5g/ml)か高密度(0.5〜0.6g/ml)かで識別できる。
【0006】
テルミサルタン100質量部に基づき、噴霧乾燥した顆粒は好ましくは塩基性剤5〜200質量部を含み、可溶化剤及び/又は結晶化遅延剤を含んでもよい。特に好適な塩基性剤は、NaOH及びKOH等の水酸化アルカリ金属、アルギニン及びリジン等の塩基性アミノ酸、及びメグルミン(N-メチル-D-グルカミン)があげられ、NaOH及びメグルミンが好ましい。
本発明の錠剤は、一般的にテルミサルタンを10〜160mg、好ましくは20〜80mg又は40〜80mg含む。テルミサルタンの用量強度は20mg、40mg及び80mgが好ましい。
もう一つの実施形態において、テルミサルタン、ソルビトール及び塩基性物質を含む錠剤又は錠剤層は、さらに結合剤、担体、崩壊剤、充填剤、潤滑剤、流量調整剤(flow control agent)、結晶化遅延剤、可溶化剤、着色剤、pH調整剤、界面活性剤、乳化剤等の賦形剤及び/又は補助剤を含む。錠剤又は錠剤層組成物のための賦形剤及び/又は補助剤は非酸性で、素早く溶解する錠剤マトリックスが得られるよう選択することが好ましい。
本発明の錠剤又は錠剤層は一般的にテルミサルタンを3〜50質量%、好ましくは5〜35質量%、塩基性物質を0.25〜20質量%、好ましくは0.40〜15質量%、ソルビトールを30〜95質量%、好ましくは60〜80質量%含む。
【0007】
混合は二段階で実行する。すなわち、第一の混合工程では、噴霧乾燥顆粒及び希釈剤を、例えば高せん断ミキサー又はフリーフォールブレンダーを用いて混ぜ、第二の混合工程では、潤滑剤をプレミックスと、好ましくは高せん断の条件下で混合する。従って、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤は、錠剤又は錠剤層組成物の質量に基づき、0.1〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%の量で、一般的にプレミックスへ加える。しかしながら、発明の方法はこれらの混合方法に限定されることはなく、一般的に、種々の方法工程において別の混合方法を使用してもよい。
その他の(任意の)構成要素は、1以上の次の賦形剤及び/又は補助剤を指示する量で選択してよい。
結合剤及び担体10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、
崩壊剤0.01〜5質量%、
潤滑剤0.01〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%、
流量調整剤0.01〜5質量%、好ましくは0.3〜2質量%、
結晶化遅延剤0.01〜20質量%、好ましくは2〜8質量%、
可溶化剤0.01〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、
着色剤0.01〜1.5質量%、好ましくは0.1〜0.8質量%、
pH調整剤0.01〜10質量%、好ましくは2〜8質量%、
界面活性剤及び乳化剤0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜1質量%。
【0008】
本発明の錠剤はわずかに吸湿性があり、従って、好ましくは乾燥剤を含むアルミホイルブリスターパック、又はポリプロピレンチューブ及びHDPE(高密度ポリエチレン)ボトル等の防湿性包装材料を用いて包装することが好ましい。
本発明の錠剤又は錠剤層を生産する好ましい方法は、
a) テルミサルタン、少なくとも1の塩基性物質及び任意成分である可溶化剤及び/又は結晶化遅延剤の水溶液を調製する工程、
b) 当該水溶液を噴霧乾燥し、噴霧乾燥した顆粒を得る工程、
c) 噴霧乾燥した当該顆粒を0.75〜3.5m2/gの比表面積を有するソルビトールで混合し、プレミックスを得る工程、
d) 当該プレミックスを潤滑剤で混合し、最終混合物を得る工程、
e) a)〜d)いずれかの工程において、任意に他の賦形剤及び/又は補助剤を加える工程、及び
f) 錠剤又は錠剤層に当該最終混合物を圧縮する工程
を含む。
【0009】
当該方法は本発明の錠剤又は錠剤層製造のために使用でき、高血圧を単独で、又は慢性安定狭心症、血管痙攣、脳卒中、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、鬱血性心不全、心臓血管性疾患、糖尿病、インスリン抵抗性、グルコース寛容減損、糖尿病前症、2型真性糖尿病、糖尿病性腎症、代謝症候群(シンドロームX)、肥満、脂質異常症、高トリグリセリド血症、C反応性蛋白の高血清濃度(elevated serum concentration)、リポ蛋白の高血清濃度、ホモシステインの高血清濃度、低密度リポ蛋白(LDL)-コレステロールの高血清濃度、リポ蛋白関連ホスホリパーゼ(A2)の高血清濃度、高密度リポ蛋白(HDL)-コレステロールの低血清濃度(reduced serum concentration)、HDL(2b)-コレステロールの低血清濃度、アディポネクチン低血清濃度、認知機能低下及び痴呆からなる群から選択する疾患の治療又は予防と組み合わせて治療する。
特に好ましくは、慢性安定狭心症、血管痙攣、脳卒中、心筋梗塞、鬱血性心不全、糖尿病、脂質異常症又は痴呆のさらなる治療又は予防である。
最後に、本発明の錠剤層は、他の有効成分を含む1以上の錠剤層組成物で、目的とする錠剤質量の二層及び三層錠剤等の多層錠剤へ、適切な錠剤圧縮機を用いて、適切な大きさ及び粉砕強さで圧縮することができる。これらの錠剤の製造中、潤滑向上のために、ダイとパンチ用の任意の適切な表面用潤滑剤噴霧装置を使用することができる。
本発明をさらに例証するため、以下に限定しない例をあげる。
【0010】
実施例
実施例1: テルミサルタン80mgを含む錠剤(層)
【0011】
実施例2: テルミサルタン40mgを含む錠剤(層)
【0012】
実施例3: テルミサルタン20mgを含む錠剤(層)
【0013】
実施例 4: テルミサルタン80mg及びヒドロクロロチアジド12.5 mg(HCTZ)二層錠剤
【0014】
実施例5: テルミサルタン80mg錠剤(層)硬度の比較
剤形楕円、16.2mm x 7.9mm x 4.6mm (L x W x H)
a. 使用する比表面積が0.5 - 0.7m2/gのソルビトール
b. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール
* LD =低密度 0.4 - 0.5 g/ml
** HD =高密度 0.5 - 0.6 g/ml
【0015】
実施例6:テルミサルタン80mg錠剤(層)溶解率の比較
a. 使用する比表面積が0.5 - 0.7m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール
【0016】
実施例7: テルミサルタン20mg錠剤(層)硬度の比較
剤形楕円、直径7 mm、厚さ2.5 mm
a. 使用する比表面積が0.5 - 0.7m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール
【0017】
実施例8:テルミサルタン錠剤層硬度の比較
(テルミサルタン80mgにヒドロクロロチアジド12.5mgを加えた二層錠剤)
a. 使用する比表面積が0.5-0.7 m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール
【0018】
実施例9: テルミサルタン溶解率の比較
(テルミサルタン80mgにヒドロクロロチアジド12.5mgを加えた二層錠剤)

a. 使用する比表面積が0.5 - 0.7m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が2 m2/gのソルビトール
【0019】
実施例10: テルミサルタン40mg錠剤(層)硬度の比較
(剤形楕円、12.0mm x 5.8mm x 3.8mm (L x W x H))
a. 使用する比表面積が0.5-0.7m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が1,3m2/gのソルビトール
【0020】
c. 使用する比表面積が1,8 m2/gのソルビトール

d. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール
【0021】
実施例11: テルミサルタン40mg錠剤層硬度の比較
(テルミサルタン40mgにヒドロクロチアジド12.5mgを加えた二層錠剤;
剤形楕円、14.0mm x 6.8mm x 5.2mm (L x W x H))
a. 使用する比表面積が0.5 - 0.7m2/gのソルビトール

b. 使用する比表面積が1.4m2/gのソルビトール

c. 使用する比表面積が2m2/gのソルビトール