(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を
付している。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る洗面化粧台の斜視図であり、
図2は、その洗面化粧台の側
面図である。なお、
図2では、
図1に示す鏡14や水栓13の図示は省略している。
【0011】
本実施形態の洗面化粧台は、フロアキャビネット11と、洗面カウンター12と、鏡1
4と、水栓13と、収納部15とを備える。
【0012】
フロアキャビネット11は床上に設置される。フロアキャビネット11の上部に、洗面
カウンター12が設けられている。
【0013】
洗面カウンター12は、ボウル部23と、フロントカウンター25と、サイドカウンタ
ー26と、バックガード28とを有する。これらは一体に設けられても良いし、あるいは
例えば、フロントカウンター25、サイドカウンター26及びバックガード28は一体に
形成し、それに対して別体のボウル部23を組み込んでも良い。
【0014】
フロントカウンター25は、ボウル部23の前方に張り出している。サイドカウンター
26は、ボウル部23の幅方向の両側に張り出している。上面視で、フロントカウンター
25及びサイドカウンター26は、ボウル部23の前方及び幅方向の両側を囲んでいる。
【0015】
ボウル部23は、フロントカウンター25及びサイドカウンター26の上面から落ち込
んだ凹部23aを有する。その凹部23aの底には排水孔24が形成されている。排水孔
24は、図示しない栓体によって開閉可能である。
【0016】
バックガード28は、ボウル部23の奥側に設けられ、フロントカウンター25及びサ
イドカウンター26の上面よりも上方に延在している。
【0017】
バックガード28の前面には、水栓13が取り付けられている。水栓13は、ボウル部
23に向けた吐水口が形成された吐水部13aと、操作部13bとを含む。なお、吐水部
13aと操作部13bは別々の位置に取り付けることに限らず、吐水部13aに操作部1
3bを取り付けた構造であってもよい。
【0018】
鏡14は、ボウル部23の奥側上方に設けられている。具体的には、洗面カウンター1
2のバックガード28上にキャビネット19が設けられ、そのキャビネット19の前面に
鏡14が取り付けられている。
【0019】
フロアキャビネット11の内部には空間が形成され、収納空間として利用することがで
きる。その空間の上方にボウル部23が収まっている。また、その空間内には、排水孔2
4と接続された排水管が収まっている。フロアキャビネット11内の空間は、扉21によ
って開閉される。また、フロアキャビネット11の空間内には引き出し式の収納部22が
収まっている。
【0020】
フロントカウンター25の下におけるフロアキャビネット11の前面上部にも、収納部
15が設けられている。フロアキャビネット11の前面上部におけるボウル部23の前方
は開口され、その開口を覆い隠すように収納部15が設けられている。すなわち、収納部
15は、ボウル部23の前方(真正面)に設けられ、ボウル部23の前面を覆い隠す幕板
としても機能する。
【0021】
収納部15は、引き出し式の収納部である。
図3は、収納部15が引き出された状態を示す拡大側面図である。
【0022】
収納部15は、
図2及び
図3において横方向にスライド自在に設けられている。収納部
15の幅方向の両端側には、
図3に示すように、収納部15の裏からフロアキャビネット
11の奥行き方向に延びるインナーレール31が取り付けられている。
【0023】
フロアキャビネット11の上部空間内には、奥行き方向に延びるアウターレール(図示
せず)が設けられている。アウターレールは、ボウル部23の側面よりも幅方向の外側に
設けられ、一対のアウターレールがボウル部23を挟んで位置する。そのアウターレール
に対して、収納部15に取り付けられたインナーレール31が係合し、収納部15はアウ
ターレールに案内されてスライドする。
【0024】
また、収納部15には、収納部15の前面を押圧することで収納部15が手前側(
図2
及び
図3において左側)に引き出されるように付勢するプッシュオープン機構が具備され
ている。
【0025】
プッシュオープン機構は、例えば、ばねとロック機構を備える。収納部15が開位置か
ら閉位置に向けて、
図2及び
図3において右方向に押し込まれると、プッシュオープン機
構のばねが圧縮される。そして、閉位置に至ると、ロック機構によって収納部15は閉位
置に保持される。この状態で収納部15を手前に引っ張っても引き出されない。閉位置に
ある収納部15の前面を押圧すると、ロック機構による保持が解除されると共に、圧縮さ
れたばねの復元力によって、収納部15が付勢されて手前側に飛び出す。
【0026】
収納部15は、上側が開口された箱状に形成されている。また、収納部15に別途トレ
イを設けてもよい。収納部15が、
図1及び
図2に示す閉位置にあるときは、フロントカ
ウンター25によって収納部15内の収納空間が覆い隠される。収納部15が、
図3に示
すように引き出されて開位置になると、収納部15内の収納空間は洗面カウンター12の
前端12aよりも手前側(
図3において左側)に位置して使用者に露見する。
【0027】
収納部15の前面は、上面視において幅方向にボウル前面形状と同じように曲線状に延びている。湾曲した形状の収納部15内にはトレイ56があり、トレイ56の後部はボウル前面形状と同じように上面視使用者側に膨出した曲線状となっているのでボウル前面のデッドスペースを大きくとることができ収納容積を広くとることができる。収納部15の前面には、
図2及び
図3に示すように、側面視において段差が形成されている。すなわち、収納部15の前面における下部17の方が上部16よりも奥側に位置している。また、収納部15がフロントカウンター25によって内部の収納空間が覆い隠された閉位置にある状態で、収納部15の最前面は、洗面カウンター12の前端12aの近傍であって前端12aよりも奥側、または前端12aと同位置に位置している。すなわち、洗面カウンター12の前端12aが押圧される程度に使用者が接近した際に、収納部15の最前面に使用者の身体が接触しうる。
【0028】
本実施形態によれば、ボウル部23の真正面のデッドスペースを収納部15として利用
することができる。また、収納部15は、プッシュオープン式の引き出しであるため、取
っ手や把持部を設ける必要がない。そのためデザイン性に優れ、また手が濡れた状態でも
容易に収納部を引き出すことができる。引き出しとすることで、収納物がトレイ56の後ろ側に落下した際に気づかず引き出しを閉めようとする際に、落下物が引っかかった場合でも、落下物を巻き込む回転方向に力がかからず、落下物に収納部を閉方向横方向の押し力が加わる程度で異常に気付き、誤って収納部15と板部83に落下物をはさみこんでしまい、破損してしまうなどの可能性が低減できる。
【0029】
収納部15の最前面は、洗面カウンター12の前端12aよりも奥側または同位置に配
置されていると共に、収納部15の前面における下部17の方が上部16よりも奥側に配
置されている。このため、収納部15の前面と、使用者の身体との接触面積を低減できる
。
【0030】
また、検討の結果、使用者100が洗面化粧台の前でボウル部23の上方に上半身を乗
り出してかがんだ姿勢をとると、
図8に示すように、特に収納部91の前面91aの下部
に対して使用者100の大腿部からの押圧力が作用しやすいととの知見を得るに至った。
【0031】
したがって、本実施形態のように、収納部15の前面の下部17を奥側に位置させるこ
とで、洗面カウンター12の前端12aが押圧される程度に使用者100が接近した際に
、収納部15の前面に対して、プッシュオープン機構のロックを解除するほどの押圧力が
作用しにくくなり、不意に収納部15が手前側に引き出されることが防止される。
【0032】
さらに本実施形態では、
図9に示す参考例のように、収納部92の前面92aを洗面カ
ウンター12の前端12aに対して大きく奥側に位置させなくてもよく、収納量の低減を
まねかない。
【0033】
すなわち、本実施形態によれば、ボウル部23前方の限られたスペースに設けられる収
納部15の収納量をできるだけ多く確保しつつ、使用者が洗面化粧台に接近した際に不意
にプッシュオープン式の収納部15が引き出されることを防止できる。
【0034】
図4は、第1実施形態に係る洗面化粧台の他の具体例の側面図である。
【0035】
この収納部35の前面の上部16は、前述した収納部15と同様にほぼ鉛直方向に延び
るが、収納部35の前面の下部36は、奥側に向かうほど下方向に向かうように傾斜して
いる。
【0036】
収納部35の前面の下部36を傾斜させることにより、不意に収納部35が開きやすく
なるという不具合を解決でき、且つ前面の一部を欠いた階段状にした構造に比べ、収納量
を多く確保することが可能となる。
【0037】
図5は、第1実施形態に係る洗面化粧台のさらに他の具体例の側面図である。
【0038】
この具体例においても、収納部37の前面の上部16は、ほぼ鉛直方向に延びる。そし
て、収納部37の前面の下部38は、側面視で前方側に凸となる曲面状に形成されている
。すなわち、上部16の下に続く下部38の全体が曲面状に膨出している。
【0039】
収納部37の前面の下部38が曲面状に形成されているため、使用者の身体が収納部3
7の前面に接触しても、その接触面積を小さくでき、不意に収納部37が引き出されるこ
とを、より確実に防止することができる。なおかつ、収納部37の底部の内容積を大きく
でき、収納量を最大限大きくすることが可能となる。
【0040】
なお、収納部の前面の上部は、側面視で直線状であることに限らず、曲面状であっても
よい。
【0041】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る洗面化粧台における洗面カウンター12の斜視図であり、
図7(a)及び
図7(b)は、その洗面カウンター12の上面図である。
図7(a)は、
収納部50が閉位置にある状態を表し、
図7(b)は、収納部50が洗面カウンター12
の手前側に引き出された開位置にある状態を表す。なお、本実施形態の洗面化粧台におい
ても、第1実施形態と同様な、図示しない他の要素を具備している。
【0042】
洗面カウンター12は、ボウル部23と、フロントカウンター55と、サイドカウンタ
ー26と、バックガード28とを有する。フロントカウンター55は、ボウル部23の前
方に張り出している。本実施形態のフロントカウンター55は、上面視において、幅方向
の端部側よりも中央部側の方が手前側に突出した形状に形成されている。すなわち、フロ
ントカウンター55は湾曲した形状で前方に張り出している。
【0043】
フロントカウンター55の下におけるフロアキャビネット11の前面上部には、収納部
50が設けられている。フロアキャビネット11の前面上部におけるボウル部23の前方
は開口され、その開口を覆い隠すように収納部50が設けられている。すなわち、収納部
50は、ボウル部23の前方(真正面)に設けられ、ボウル部23の前面を覆い隠す幕板
としても機能する。湾曲した形状の収納部50内にはトレイ56があり、トレイ56の後部はボウル前面形状と同じように使用者側に上面視膨出形状となっているのでボウル前面のデッドスペースを大きくとることができ収納容積を広くとることができる。
【0044】
収納部50は、引き出し式の収納部である。収納部50は、
図7(a)及び
図7(b)
において上下方向にスライド自在に設けられている。収納部50の幅方向の両端側には、
プッシュオープン機構57(
図7(a)において破線で示す)を具備したインナーレール
が取り付けられている。インナーレールは、収納部50の裏からフロアキャビネット11
の奥行き方向に延びる。
【0045】
フロアキャビネット11の上部空間内には、奥行き方向に延びるアウターレールが設け
られている。アウターレールは、ボウル部23の側面よりも幅方向の外側に設けられ、一
対のアウターレールがボウル部23を挟んで位置する。そのアウターレールに対して、収
納部50に取り付けられたインナーレールが係合し、収納部50はアウターレールに案内
されてスライドする。
【0046】
プッシュオープン機構57は、例えば、ばねとロック機構を備え、収納部50の前面を
押圧することで収納部50が手前側に引き出されるように付勢する。
【0047】
収納部50は、上側が開口された箱状に形成され、
図7(b)に示すように、内部にト
レイ56が設けられている。収納部50が、
図6及び
図7(a)に示す閉位置にあるとき
は、フロントカウンター55によって収納部50内の収納空間が覆い隠される。収納部5
0が、
図7(b)に示すように引き出されて開位置になると、収納部50内の収納空間は
洗面カウンター12の前端12aよりも手前側に位置して使用者に露見する。
【0048】
収納部50の前面は、上面視において、幅方向の端部側よりも中央部側の方が手前側に
突出した形状に形成されている。すなわち、フロントカウンター55の形状に沿った形状
に湾曲している。
【0049】
また、収納部50の前面には、
図6に示すように、段差が形成されている。すなわち、
収納部50の前面における下部52の方が上部51よりも奥側に位置している。また、収
納部50の最前面は、洗面カウンター12の前端12aよりも奥側または同位置に位置し
ている。
【0050】
あるいは、
図4に示す収納部35のように、本実施形態の収納部50の前面の下部52
を、奥側に向かうほど下方向に向かうように傾斜させてもよい。あるいは、
図5に示す収
納部37のように、本実施形態の収納部50の前面の下部52を、側面視で前方側に凸と
なる曲面状に膨出させてもよい。なお、本実施形態においても、収納部50の前面の上部
51は、側面視で直線状であることに限らず、曲面状であってもよい。
【0051】
本実施形態ににおいても、ボウル部23の真正面のデッドスペースを収納部50として
利用することができる。また、収納部50は、プッシュオープン式の引き出しであるため
、取っ手や把持部を設ける必要がない。そのためデザイン性に優れ、また手が濡れた状態
でも容易に収納部を引き出すことができる。
【0052】
収納部50の最前面は、洗面カウンター12の前端12aよりも奥側または同位置に配
置されていると共に、収納部50の前面における下部52の方が上部51よりも奥側に配
置されている。このため、収納部50の前面と、使用者の身体との接触面積を低減できる
。また、洗面カウンター12の前端12aが押圧される程度に使用者が接近した際に、収
納部50の前面に対して、プッシュオープン機構のロックを解除するほどの押圧力が作用
しにくくなり、不意に収納部50が手前側に引き出されることが防止される。
【0053】
さらに、本実施形態では、収納部50の前面が、上面視において幅方向の端部側よりも
中央側の方が手前側に突出した形状であるため、使用者の身体が収納部50の前面に接触
した場合であっても、その接触面積を小さくでき、不意に収納部50が引き出されること
を、より確実に防止することができる。
【0054】
収納部50の前面は、前述したように、弓なり状に湾曲している。その収納部50の前
面における幅方向の両端を第1エリア61(
図7(a))とする。その両端の第1エリア
61の間を第2エリア62(
図7(a))とする。収納部のトレイ56は仕切り72が設けてあり、収納物を小分けにして収納することができる。
【0055】
プッシュオープン機構57は第1エリア61の裏側に設けられている。このため、第1
エリア61を所定の押圧力以上の力でまっすぐに押し込めば、プッシュオープン機構57
を作動させて、収納部50を引き出すことができる。
【0056】
一方、前記所定の押圧力が第2エリア62に加わっても、プッシュオープン機構57が
作動しないように、プッシュオープン機構57に伝達される押圧力を弱める押圧力低減手
段を第2エリア62は有する。具体的に、押圧力低減手段は、第2エリア62に可撓性を
付与したものである。
【0057】
例えば、収納部50は樹脂からなり、弓なり状に湾曲して形成されている。そのため、
手前側に突出している幅方向の中央部を押圧すると、その中央部と端部(第1エリア61
)との間の部分が撓み、中央部に押圧された力が端部には伝わりにくく、むしろ端部を手
前側に浮かせるような付勢力が生じる。
【0058】
したがって、ボウル部23の正面に立つ使用者の身体が接触しやすい部位(第2エリア
62)に押圧力が作用しても、端部(第1エリア61)の裏側に設けられたプッシュオー
プン機構57に伝達される押圧力が弱まり、収納部50が不意に引き出されにくい。
【0059】
上記押圧力低減手段として第2エリア62に可撓性を付与する構造は、例えば、収納部
50の前面を薄肉あるいは軟質な材料にするだけで実現でき、構造を簡素化できる。
【0060】
また、本実施形態においても、
図9に示す参考例のように、収納部92の前面92aを
洗面カウンター12の前端12aに対して大きく奥側に位置させなくてもよく、収納量の
低減をまねかない。
【0061】
すなわち、本実施形態によれば、ボウル部23前方の限られたスペースに設けられる収
納部50の収納量をできるだけ多く確保しつつ、使用者が洗面化粧台に接近した際に不意
にプッシュオープン式の収納部50が引き出されることを防止できる。
引き出しとすることで、収納物がトレイ56の後ろ側に落下した際に気づかず引き出しを閉めようとする際に、落下物が引っかかった場合でも、落下物を巻き込む回転方向にこすりつけるような力がかからず、落下物が破損しにくくなる。
また落下物に収納部を閉方向横方向の押し力が加わる程度で異常に気付き、誤って収納部50と板部83に落下物をはさみこんでしまい、破損してしまうなどの可能性が低減できる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したも
のであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その
他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の
省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や
要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる
。