(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
便器を洗浄するための洗浄水を水源から洗浄水タンク内に給水する給水装置と、洗浄水タンクの底面に配置されて便器と連通する排水流路を開閉する排水装置と、を有する洗浄水タンク装置に設けられて便器へ排水する洗浄水量を調整できる洗浄水量調整装置であって、
上記洗浄水タンク内に配置されて所定容量の洗浄水を貯水可能な貯水部であって、この貯水部内の洗浄水と上記貯水部外の洗浄水とが流通可能な開口が形成されている上記貯水部と、
洗浄を開始する前の待機状態において上記開口を開放し、洗浄を開始した後の上記洗浄水タンク内の水位が下降している状態において上記開口を閉塞させる又は上記開口の開口面積を減少させる開閉弁と、
を有することを特徴とする洗浄水量調整装置。
上記貯水部の上記開口は、上記貯水部の外部の洗浄水の水位の上昇速度と、上記貯水部の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度にできるような開口面積(A1)を有する請求項1記載の洗浄水量調整装置。
上記貯水部の上記開口の開口面積(A1)は、上記開閉弁が上記開口を開放しているときの上記開閉弁と上記貯水部の底面との間の開口面積(A2)よりも、大きくされている請求項1記載の洗浄水量調整装置。
上記貯水部は、その側面の上縁が、洗浄を開始する前の待機状態における洗浄水タンク内の洗浄水の予定の満水水位よりも所定距離上方に位置し、上記貯水部の側面の下縁が、便器洗浄の完了直後の洗浄水タンク内の洗浄水の予定の死水水位より所定距離下方に位置しているように形成されている請求項1乃至6の何れか1項に記載の洗浄水量調整装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような特許文献1に記載されている従来の節水用タンクは、洗浄を開始した後、洗浄水タンク内の水位が下降すると共に、節水用タンク内の水が排水開口から排出されるために、排水動作完了後のタンク給水時に、洗浄水タンク内に貯水された水位が節水用タンク内の水の水位より高くなり、水位差が生じ、節水用タンクが浮力を受け、節水用タンクが浮き上がり、取付け位置から外れてしまうといった問題が生じている。
また、このような特許文献1に記載されている従来の節水用タンクは、節水用タンクの洗浄水の取入口が側面の上端に設けられているので、施工時や使用者が操作レバーを長時間保持した時などにおいて節水用タンクが空の状態から初めて給水する時に、洗浄水タンク内に貯水された水位が節水用タンク内の水の水位より高くなり、水位差が生じ、節水用タンクが浮力を受け、節水用タンクが浮き上がり、取付け位置から外れてしまうといった問題が生じている。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点と課題を解決するためになされたものであり、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる洗浄水量調整装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、便器を洗浄するための洗浄水を水源から洗浄水タンク内に給水する給水装置と、洗浄水タンクの底面に配置されて便器と連通する排水流路を開閉する排水装置と、を有する洗浄水タンク装置に設けられて便器へ排水する洗浄水量を調整できる洗浄水量調整装置であって、洗浄水タンク内に配置されて所定容量の洗浄水を貯水可能な貯水部であって、この貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水とが流通可能な開口が形成されている貯水部と、洗浄を開始する前の待機状態において開口を開放し、洗浄を開始した後の洗浄水タンク内の水位が下降している状態において開口を閉塞させる又は開口の開口面積を減少させる開閉弁と、を有することを特徴としている。
このように構成された本発明においては、開閉弁が、洗浄を開始した後の洗浄水タンク内の水位が下降している状態において開口を閉塞させるか又は開口の開口面積を減少させるので、開閉弁が開口に設けられていない場合の貯水部内の洗浄水の水位の下降よりも、貯水部内の洗浄水の水位の下降を抑制することができる。従って、本発明は、給水装置が給水を行い洗浄水タンク内の水位が上昇する際に、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部が浮力を受けて浮き上がり取付け位置から外れることを防ぐことができる。また、開閉弁が洗浄を開始する前の待機状態においては開口を開放しているので、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる。よって、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、且つ貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、貯水部は、その底面に開口を形成している。
このように構成された本発明においては、貯水部は、その底面に開口が形成されているので、開口に掛かる水圧が開閉弁に均等に作用することができ、開閉弁を滑らかに移動させ、貯水部内に洗浄水を確実に流入させることができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、貯水部の開口は、貯水部の外部の洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度にできるような開口面積(A1)を有する。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンク装置を初めて使用する初回の給水時において、貯水部の外部において給水装置が給水した洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度にできるような開口面積(A1)を有するので、洗浄水が貯水部の外部から開口を通って内部に流入できる。従って、本発明は、貯水部の外部における洗浄水の水位と、貯水部の内部における洗浄水の水位との水位差が生じることを抑制し、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部が浮力を受けて浮き上がり取付け位置から外れるといった問題が生じることを防ぐことができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、貯水部の開口の開口面積(A1)は、開閉弁が開口を開放しているときの開閉弁と貯水部の底面との間の開口面積(A2)よりも、大きくされている。
このように構成された本発明においては、洗浄を開始して洗浄水タンクから洗浄水が排水されるとき、貯水部から貯水部の開口の開口面積(A1)を通って流出しようとする洗浄水の流れが、開閉弁と貯水部の底面との間の開口面積(A2)を通って流出しようとする洗浄水の流れよりも、大きくなるので、開閉弁が貯水部の開口上に引き込まれ、開口を閉塞させ又は開口の開口面積を減少させた状態にすることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、開閉弁は、水より軽い比重の部材で構成されている。
このように構成された本発明においては、開閉弁が水より軽い比重の部材で構成されているために、洗浄を開始する前の待機状態において開口を確実に開放することができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、開閉弁には、貯水部の内部と外部とを連通する小孔が形成されている。
このように構成された本発明においては、開閉弁に貯水部の内部と外部とを連通する小孔が形成されていることにより、万が一、開閉弁が貯水部上で閉止したまま動作しなくなった場合にも、貯水部内の洗浄水がこの小孔を通って貯水部の外部と循環することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、貯水部は、その側面の上縁が、洗浄を開始する前の待機状態における洗浄水タンク内の洗浄水の予定の満水水位よりも所定距離上方に位置し、貯水部の側面の下縁が、便器洗浄の完了直後の洗浄水タンク内の洗浄水の予定の死水水位より所定距離下方に位置しているように形成されている。
このように構成された本発明においては、貯水部の側面の上縁が予定の満水水位よりも所定距離上方に位置し、且つ貯水部の側面の下縁が予定の死水水位よりも所定距離下方に位置しているので、満水水位が上下に変動した場合にも、満水水位が貯水部の側面の上縁と下縁との間に配置され、且つ死水水位が上下に変動した場合にも、死水水位が貯水部の側面の上縁と下縁との間に配置される。従って、本発明は、予定した容積の洗浄水量を確実に調整することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、貯水部は、貯水部の底面の重心の位置に、貯水部の荷重を支える荷重支持部材を備えている。
このように構成された本発明においては、荷重支持部材が貯水部の荷重を支え、貯水部を安定して支持することができる。
【0014】
つぎに、本発明は、洗浄水量調整装置を備えたことを特徴とする洗浄水タンク装置である。
このように構成された本発明においては、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置を提供することができる。
【0015】
つぎに、本発明は、洗浄水タンク装置を備えたことを特徴とする水洗大便器である。
このように構成された本発明においては、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置を有する水洗大便器を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗浄水量調整装置によれば、貯水部に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部内の洗浄水と貯水部外の洗浄水タンク内の洗浄水とを循環させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、添付図面により、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置、この洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器について説明する。
まず、
図1により、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置が適用された水洗大便器において、便座及び便蓋及び洗浄水タンク装置の蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、符号1は、いわゆる、サイホン式の水洗大便器であり、この水洗大便器1は、陶器製の便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、このボウル部4の下部と連通する排水トラップ管路6がそれぞれ形成されている。なお、便器本体2は、陶器以外に、樹脂と陶器、又は樹脂のみで形成するようにしても良い。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム8が形成され、便器本体2のボウル部4の左側上方には、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口(図示せず)とが形成され、この第1吐水口(図示せず)から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部4を洗浄するようになっている。
【0020】
ボウル部4の下方には、溜水面が鎖線W0で示された溜水部10が形成されている。この溜水部10の下方には、排水トラップ管路6の入口6aが開口し、この入口6aから後方の排水トラップ管路6は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。
また、ボウル部4の溜水面W0の上方位置には、便器本体2の後方側の内部に形成される導水路(図示せず)から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口12が形成され、この第2吐水口12から吐水される洗浄水が溜水部10の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0021】
便器本体2の後方側の上面には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置14が設けられている。洗浄水タンク装置14は、以下洗浄水タンク装置の蓋体を取り外した状態で示されている。
なお、本実施形態では、上述したサイホン式の水洗大便器に洗浄水タンク装置14を適用した例について説明するが、このようなサイホン式の水洗大便器に限定されず、ボウル部内の水の落差による流水作用で汚物を押し流す、いわゆる、洗い落し式の水洗大便器等の他のタイプの水洗便器にも適用可能である。
【0022】
つぎに、
図1乃至
図3により、洗浄水タンク装置14の内部構造について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を示す斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態による待機状態の洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置の内部構造を示す正面断面図である。
なお、
図3においては、洗浄水タンクの満水水位をWL0で示し、貯水部内の水位をwl0で示している(待機状態において貯水部内の水位wl0は、洗浄水タンクの満水水位WL0と等しくなっている)。
図1乃至
図3に示すように、洗浄水タンク装置14は、水洗大便器1を洗浄する洗浄水を貯水する洗浄水タンクである洗浄水タンク16を備え、この洗浄水タンク16の底部には、便器本体2の導水路(図示せず)と連通する排水口18が形成され、洗浄水タンク16内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)へと供給されるようになっている。また、洗浄水タンク16は、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なるように形成されている。
【0023】
図1乃至3に示すように、洗浄水タンク装置14の洗浄水タンク16内には、水道等の給水源からこの洗浄水タンク16内に洗浄水を給水する洗浄水給水装置である洗浄水給水装置20と、洗浄水タンク16に貯えられた洗浄水について排水口18を開放して便器本体2の導水路(図示せず)に流出させる排水弁装置22とが設けられている。
また、この排水弁装置22の側方には、上下方向に延びるオーバーフロー管22aが設けられ、このオーバーフロー管22a内の下方部分は、排水口18と連通しており、洗浄水タンク16内の水位が万一満水水位WL0よりも上昇してオーバーフロー管22aの上端開口部22bに達したときに、このオーバーフロー管22aの上端開口部22bから流入した洗浄水は、排水口18から便器本体2の導水路(図示せず)へ排出されるようになっている。
【0024】
洗浄水給水装置20は、従来の洗浄水給水装置の構成と同様であるため、具体的な説明は省略するが、外部の給水源に接続され洗浄水タンク16の底部から上方に延びる給水管24と、この給水管24の上端部に取り付けられ、給水管24から給水される洗浄水の洗浄水タンク16内への吐水と止水を切り替える給水バルブ26と、洗浄水タンク16内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ26による吐水と止水を切り替えるフロート部28とを備えている。
【0025】
給水管24の外周側下端部には、吐水口(図示せず)が開口し、給水バルブ26からの洗浄水がこの吐水口から洗浄水タンク16内に吐水されるようになっている。
洗浄水給水装置20は、更に、給水バルブ26に接続されたリフィール管30を備え、このリフィール管30の下流端は、排水弁装置22のオーバーフロー管22aの上端開口部22bの上方に位置している。洗浄水給水装置20からリフィール管30に供給された補給水は、オーバーフロー管22a内に流れ込み、便器本体2に補給水としてリフィールされるようになっている。
【0026】
洗浄水給水装置20においては、後述する排水弁装置22により、洗浄水タンク16内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート部28が下降し、それにより給水バルブ26が開き、吐水口から吐水が開始され、洗浄水タンク16内への吐水が開始される。次に、吐水が継続されて水位が上昇すると、フロート部28も上昇し、それにより給水バルブ26が閉じ、吐水口が止水される。これにより、洗浄水タンク16内の洗浄水の水位を所定の満水時の水位に維持するようになっている。
【0027】
排水弁装置22の構成については、従来の排水弁装置の構成と同様であるため、具体的な説明は省略するが、洗浄水タンク16の外部に取り付けられた操作レバー32を大洗浄又は小洗浄の所定の洗浄モードを実行させる方向に回動操作を行うことにより、操作レバー32に連結された操作ワイヤ34が連動して排水弁装置22の排水弁36を引き上げると、排水口18が所定時間開放され、洗浄水タンク16内の洗浄水が便器本体2の導水路(図示せず)に一定量排出されるようになっている。
【0028】
つぎに、
図4乃至
図8を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置の詳細について説明する。
図4は本発明の一実施形態による洗浄水流量調整装置を開閉弁を分解した状態で示し、さらに洗浄水流量調整装置の前方側の一部を切断した断面により内部構造を示す部分分解斜視図であり、
図5は本発明の一実施形態による洗浄水流量調整装置を開閉弁を取り外した状態で前方斜め下方から見た斜視図であり、
図6は本発明の一実施形態による洗浄水流量調整装置の開閉弁を示す斜視図であり、
図7は本発明の一実施形態による洗浄水流量調整装置の開閉弁を斜め下方から見た斜視図であり、
図8は本発明の一実施形態による洗浄水流量調整装置の開閉弁が開放されている状態における貯水部の開口近傍を拡大した部分拡大断面図である。
なお、
図8については、開口40aの開口面積(A1)を通って流出しようとする洗浄水の流れを矢印F1で示し、弁体44とシート部50との間の開口面積(A2)を通って流出しようとする洗浄水の流れを矢印F2で示している。
【0029】
洗浄水タンク装置14の洗浄水タンク16には、便器へ排水する洗浄水量を意図した量に調整できる洗浄水量調整装置38が設けられている。洗浄水量の調整には、洗浄水量調整装置を設けることによる洗浄水量を減少させる調整の他、洗浄水量調整装置の大きさを小さく変更することによる洗浄水量を増加させる調整を含む。
洗浄水量調整装置38は、上方に開口されている直方体の箱型形状を形成し、
図3に示すように、洗浄開始前の待機状態において、自身の下側の大部分が満水水位WL0から下側の水中に沈められるように配置される。従って、洗浄水量調整装置38は、洗浄水タンク装置14が洗浄動作を行う場合に、満水水位WL0から後述する死水水位DWLまでの高さの部分の洗浄水量調整装置38の容積分の洗浄水を、洗浄水タンク16から排水させないようにすることにより、便器本体2へ排水する一回の洗浄水量を調整することができる。
【0030】
このような、洗浄水量調整装置38は、新しく製造された洗浄水タンク装置14に設けられることにより、便器本体2へ排水する洗浄水量を減少させるように調整することができ、さらに、既に便器及び壁等に設置されている洗浄水タンク装置14に追加的に設けられることにより、便器本体2へ排水する洗浄水量を減少させるように後から調整することができる。
【0031】
洗浄水量調整装置38は、この洗浄水タンク16内に配置されて所定容量の洗浄水を貯水可能な貯水部40であって、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水とが流通できる開口40aが形成されている貯水部40と、洗浄を開始する前の待機状態においては開口40aを開放し、洗浄を開始した後の洗浄水タンク16内の水位が下降している状態においては開口40aを閉塞させる状態又は開口40aの開口面積を大幅に減少させる状態とする開閉弁42とを有する。すなわち、開閉弁42が開口40aを開放しているときの開口40aの流路の開口面積に比べて、開閉弁42が開口40aを閉鎖しようとしているときの開口40aの流路の開口面積は大幅に減少されている。開閉弁42が開口40aの開口面積を減少させる状態とは、後述する弁体44が貯水部と同様の樹脂製のシート部50と当接する場合に開口40aを完全に閉塞できず洗浄水が流出する場合、後述する弁体44が小孔44aを有することにより開口40aを完全に閉塞させない場合に、開閉弁42が開口40aを閉める向きに動作する状態をいう。
【0032】
図4及び5に示すように、貯水部40の開口40aは、その底面の後方側の一部において円筒形に形成され、内側底面40bから外側底面40cまで延び、貯水部40の内側と外側とを連通するように形成されている。
【0033】
開閉弁42は、円板状の弁体44と、この弁体44の中心から垂直下方に延びる軸部46と、軸部46の下端の引掛り部48と、貯水部40の開口40aの内側底面40b側の入口近傍の外周に設けられた環状のシート部50と、軸部46を内側に通して垂直方向に摺動可能にガイドする円筒部52と、開口40aの内側面から開口の中心方向40aに向かってわずかに下方に傾斜して延び、且つ円筒部52を開口40aの中心に固定する3本の橋渡し部54と、を備えている。
ここで、開閉弁42において、弁体44と、軸部46と、引掛り部48とは一体に形成されている。さらに、開閉弁42において、その軸部46が円筒部52内に摺動可能に支持されているので、弁体44とシート部50とが当接することにより開口40aが閉鎖でき、弁体44とシート部50とが離間することにより開口40aが開放されるようになっている。引掛り部48は、軸部46が円筒部52に対して所定距離上昇した場合に、円筒部52の下端52aに当接し、開閉弁42を開放状態に保つことができる。
【0034】
貯水部40の開口40aは、貯水部40の外部において洗浄水給水装置20が給水した洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部40の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度にできる十分な大きさの開口面積(A1)を有している。貯水部40の開口40aが十分に大きな開口面積(A1)を有することにより、貯水部40の外部における洗浄水の水位と、貯水部40の内部における洗浄水の水位との水位差が生じることを抑制し、貯水部40が浮力を受けて浮き上がることを抑制することができる。なお、洗浄水タンク16内の洗浄水の水位の上昇速度は、洗浄水給水装置20からの給水流量と洗浄水タンク16の大きさとによって決定され、貯水部40の内部の洗浄水の水位の上昇速度は、開口40aからの洗浄水の流入量と、貯水部40の大きさとによって決定される。
さらに、貯水部40の開口40aの円形の開口面積(A1)は、開閉弁42が開口40aを開放しているときの開閉弁42の弁体44と貯水部40の内側底面40bのシート部50との間の円筒形外周形状の開口面積(A2)よりも、大きく形成されている。従って、洗浄水タンク16内の水位の下降時には、開口面積(A1)を通過できる洗浄水量は、開口面積(A2)を通過できる洗浄水量よりも、大きくなる。
【0035】
開閉弁42の弁体44と、軸部46と、引掛り部48とは、水(洗浄水)より軽い比重の部材、例えば水に対する比重が0.9のポリプロピレン等の樹脂性の部材で構成されている。
開閉弁42の弁体44には、貯水部40の内部と外部とを連通する小孔44aが設けられている。開閉弁42を閉鎖した状態で、橋渡し部54が中心方向に向かってわずかに下り傾斜されて弁体44と橋渡し部54との間に隙間空間が形成されるので、小孔44aが橋渡し部54の上部に位置する場合でも、貯水部40の内部と外部との間の連通を確保することができる。なお、小孔44aが、貯水部40の底面に形成されることにより貯水部40の内部と外部との間の連通を確保してもよい。
【0036】
貯水部40は、その箱型形状の側面40dの上縁40eが、洗浄を開始する前の待機状態における洗浄水タンク16内の洗浄水の予定の満水水位WL0よりも約5mm上方まで延び、貯水部40の側面40dの下縁40fが、洗浄完了直後の洗浄水タンク16内の洗浄水の予定の死水水位(大洗浄モード時の死水水位)DWLより約5mm下方まで延びるように形成されている。従って、貯水部40は、満水水位WL0及び死水水位DWLが使用環境等の要因により若干変動するような場合にも、その箱型形状の側面40d上に満水水位WL0及び死水水位DWLが位置するように形成されている。
【0037】
貯水部40は、貯水部40の外側底面40c上の重心の位置において、貯水部40及び内部にある洗浄水の荷重を支える荷重支持部材56と、貯水部40の側面40dから水平方向に延びるU字形の取付け部58と、を備えている。この荷重支持部材56は、円筒の一部を切り欠いた断面C字形状の筒状に形成され、その下端において、洗浄水タンク16から突出する突起を内部に受け入れることにより、固定されていてもよい。荷重支持部材56は、洗浄水タンク16の底面から垂直に立ち上がった状態で貯水部40を一定の高さに維持することができる。取付け部58は、取付け部58と貯水部40の側面40dとの間において、オーバーフロー管22aの外周を覆うように取り付けることができる半環形状部材である。洗浄水量調整装置38は、取付け部58の内側にオーバーフロー管22aを位置するように、上方から容易に取り付けることができる。取付け部58は、環形状リングの他、オーバーフロー管22aを挟み込むスナップフィット、オーバーフロー管22a上部に嵌合するリング形状クリップであってもよい。
【0038】
つぎに、
図2及び
図11等を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置38を備えた洗浄水タンク装置14を製造する工程を説明する。
図11は、本発明の一実施形態による、洗浄水が貯水されていない空の状態から初回に給水される状態の洗浄水流量調整装置を備えた洗浄水タンク装置を示す正面断面図である。
本発明の洗浄水量調整装置38を備えた洗浄水タンク装置14を製造する工程は、便器本体2を洗浄するための洗浄水を水源から洗浄水タンク16内に給水する洗浄水給水装置20と、洗浄水タンク16の底面に配置されて便器本体2と連通する導水路を開閉する排水弁装置22と、を有する洗浄水タンク装置14を準備する工程と、洗浄水量調整装置38を洗浄水タンク装置14に取り付ける工程と、を有する。ここで、洗浄水タンク装置14を準備する工程は、既に水洗大便器1に設置されて使用されている洗浄水タンク装置14に洗浄水量調整装置38を取り付けられるように準備する工程を含む。
更に、いずれかの時点で洗浄水タンク装置14を水洗大便器1に取り付ける工程を加えることにより洗浄水量調整装置38を備えた洗浄水タンク装置14を有する水洗大便器1を製造することもできる。
上記取り付ける工程において、洗浄水量調整装置38が洗浄水タンク装置14の蓋を開けた状態でオーバーフロー管22aに上部から簡単に取り付けることができる。洗浄水量調整装置38は、取付け部58によりオーバーフロー管22aに取付けられ、且つ荷重支持部材56により洗浄水タンク16の底面上で支持されている位置を取付け位置とする。
洗浄水量調整装置38は、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制する機能を有するので、浮力に抗するためにオーバーフロー管22a或いはその他の部材と強固に固定する工程を省略し、オーバーフロー管22aに簡易に取付けることができる。
このように、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置38は、洗浄水量を所定量に調整するように、洗浄水タンク装置14に簡単に取り付けることができる取付性を有しながら、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを循環させることができる。
【0039】
次に、
図11を参照して、上述の洗浄水量調整装置38を洗浄水タンク装置14に取り付けた後の、初回の給水時における、洗浄水量調整装置38の動作について説明する。
ここで、洗浄水量調整装置38を洗浄水タンク装置14に取り付けた後、最初に洗浄水タンク16内に給水を行う前には、貯水部40は洗浄水が貯水されていない空の状態となっている。
洗浄水給水装置20が最初に洗浄水タンク16内に給水を行う場合、給水が開始されて水位が上昇すると、貯水部40の外部において洗浄水給水装置20が給水した洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部40の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度になるように、洗浄水が貯水部40の外部から開口40aを通って内部に流入できる。従って、貯水部40が空の状態になっている施工後(製造後)の初回の給水時に、貯水部40の外部における洗浄水の水位WL2と、貯水部40の内部における洗浄水の水位wl2との水位差(貯水部40の外部における水位が貯水部40の内部の水位より高くなる水位差)が生じることが抑制され、貯水部40に作用する浮力の発生が抑制され、洗浄水量調整装置38が浮き上がってオーバーフロー管22aから外れることを防ぐことができる。
さらに、貯水部40は、その底面に開口40aが形成されているので、開口40aに掛かる水圧が開閉弁42の弁体44にほぼ均等に作用することができ、開閉弁42の弁体44を滑らかに垂直方向に移動させ、開口40aを全方向にほぼ均等な大きさに開口させて、貯水部40内に洗浄水を確実に流入させることができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
【0040】
つぎに、
図3、
図9及び
図10を参照して、本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置、この洗浄水量調整装置を備えた洗浄水タンク装置、及び、この洗浄水タンク装置を備えた水洗大便器の動作(作用)を説明する。
図9は本発明の一実施形態による、洗浄動作中において排水弁が開弁状態から閉弁状態になったときの状態の洗浄水流量調整装置を備えた洗浄水タンク装置を示す正面断面図であり、
図10は本発明の一実施形態による、排水弁が閉弁状態になった後の給水中の状態の洗浄水流量調整装置を備えた洗浄水タンク装置を示す正面断面図である。
図10においては、給水中の状態において、洗浄水タンク内の水位をWL1で示し、貯水部内の水位をwl1で示している。
なお、以下、本発明の一実施形態による排水弁装置22を備えた洗浄水タンク装置14により実行される大洗浄モードと小洗浄モードの2種類の洗浄モードのうち、大洗浄モード時の操作ワイヤ34による排水弁装置22の排水弁弁体36の引き上げ量が小洗浄モード時よりも大きくなり、洗浄水タンク16の排水口18を開放している時間が長い点と、大洗浄モード時の死水水位DWL(死水水位dwl)が小洗浄モード時よりも低くなる点以外については、大洗浄モードと小洗浄モードの基本動作は共通しているため、大洗浄モードについてのみ説明する。
【0041】
図3に示すように、排水弁装置22の排水開始前(洗浄を開始する前)の待機状態では、排水弁装置22の排水弁弁体36が排水口18を閉止しており、洗浄水タンク16内の初期水位が満水水位WL0、貯水部40内の初期水位が満水水位wl0となっている。フロート部28は上昇した状態であり、洗浄水給水装置20の給水バルブ26は閉止された状態となっている。
洗浄水量調整装置38は、その上縁40eが水面から突出した位置に配置され、貯水部40内の洗浄水の初期水位の満水水位wl0は、満水水位WL0と等しくなっている。
開閉弁42の弁体44は、引掛り部48が円筒部52の下端52aに当接し、所定の上昇高さ(開口面積A2を生じる高さ)で維持された状態となっており、貯水部40内の洗浄水と、洗浄水タンク16内の貯水部40外の洗浄水とが行き来できることにより循環できるように開いた状態となっている。
【0042】
つぎに、
図8及び
図9に示すように、使用者が操作レバー32を操作すると、洗浄動作が開始され、排水弁装置22が洗浄水タンク16の排水口18を開放し、洗浄水タンク装置14の排水弁装置22による水洗大便器1の便器本体2への大洗浄モードの排水が開始され、洗浄水タンク16内の水位が低下し始める。
図8に示すように、洗浄水タンク16内の水位が低下し始めるとき、貯水部40から開口40aの開口面積(A1)を通って流出しようとする洗浄水の流れF1が、弁体44とシート部50との間の開口面積(A2)を通って流出しようとする洗浄水の流れF2よりも、大きくなるので、開閉弁42の弁体44が貯水部40の開口40a上に引き込まれ、開口40aを閉塞させ又は開口40aの開口面積を減少させた状態にさせる(
図8においては、弁体44がシート部50上に引き込まれて開口40aを閉鎖している状態を破線により示している)。従って、貯水部40内の洗浄水の水位はほぼ変わらない水位に維持される。
洗浄水タンク16内の水位が低下する間、貯水部40内の洗浄水が弁体44の小孔44aからわずかずつ流出するが、流出する洗浄水の水量は少量であるので、貯水部40内の洗浄水の水位の下降は、例えば数mm程度の範囲に抑えられている。このように、開閉弁42が設けられることにより、開閉弁42が設けられていない場合よりも、貯水部40内の洗浄水の水位の下降が抑制されている。貯水部40内の洗浄水の水位の下降が抑制されることにより、後述するように貯水部40外の洗浄水の水位上昇時において、貯水部40に比較的大きな浮力が発生することを抑制することができる。
このように、洗浄水タンク16内の水位が低下する間、貯水部40内の洗浄水の水位は、ほぼ変わらない又は比較的小さい下降の範囲に抑制されている。
洗浄水タンク16内の水位が低下し、フロート部28が下降すると、それにより給水バルブ26が開き、吐水口から吐水が開始される。
【0043】
つぎに、
図9に示すように、洗浄水タンク16内の水位が死水水位DWLまで低下すると、排水弁装置22が洗浄水タンク16の排水口18を閉止する。排水弁装置22による水洗大便器1の便器本体2への大洗浄モードの排水は完了される。この間、フロート部28は下降した状態であり、給水バルブ26が開放されて洗浄水給水装置20による洗浄水タンク16への給水が継続して行われているため、洗浄水タンク16内の水位が死水水位DWLから上昇する。
洗浄水タンク16内の水位が死水水位DWLにあるとき、開閉弁42の弁体44は開口40aを閉止した状態のままであり、貯水部40内の死水水位dwlは、貯水部40内の満水水位wl0と比べてほぼ変わらない又は比較的小さい下降に抑制されている。このように、洗浄水タンク装置14の排水動作が開始(洗浄動作の開始)されてから、排水動作が完了(洗浄動作の完了)されるまで、開閉弁42の弁体44は開口40aを閉止した状態となっている。
貯水部40外の水位が死水水位DWLにあるとき、貯水部40内には洗浄水が水位dwlまで存在するので、貯水部40に作用する浮力は比較的小さく、貯水部40を浮き上がらせるには不十分である。このとき貯水部40は、死水水位dwlまでの水位の洗浄水の荷重が下方向に発生し、荷重支持部材56により支持され、安定した状態で配置されている。
【0044】
図10に示すように、排水弁装置22の排水弁弁体36が排水口18を閉止して、便器本体2への排水が完了(便器本体2の洗浄動作が完了)した後、洗浄水給水装置20からの給水が継続されて水位(水位WL1)が上昇すると、弁体44は水より比重が小さい材料により形成されているので上昇し、貯水部40の開口40aを開放させる。貯水部40は、その底面に開口40aが形成されているので、開口40aに掛かる水圧が弁体44にほぼ均等に作用することができる。従って、開閉弁42の弁体44が滑らかに垂直方向に移動し、開口40aを全方向にほぼ均等な大きさに開口させて、貯水部40内に洗浄水を確実に流入させることができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
仮に貯水部40内の水位がわずかに下降している場合にも、給水時において、貯水部40の外部において洗浄水給水装置20が給水した洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部40の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度になるように、洗浄水が貯水部の外部から開口40aを通って内部に流入できる。従って、貯水部40の外部における洗浄水の水位WL1と、貯水部40の内部における洗浄水の水位wl1との水位差(貯水部40の外部における水位が貯水部40の内部の水位より高くなる水位差)が生じることが抑制され、貯水部40に作用する浮力の発生が抑制される。
【0045】
さらに、洗浄水給水装置20からの給水が継続されて水位が上昇すると、フロート部28も上昇し、それにより給水バルブ26が閉弁し、吐水口が止水される。これにより、洗浄水タンク16内の洗浄水の水位は、所定の満水水位WL0に維持される。このとき、貯水部40内の水位も同じ満水水位wl0になっている。
洗浄水タンク16内の洗浄水の水位が満水水位になり、給水バルブ26が閉弁すると、洗浄水タンク装置14の一連の洗浄動作は完了し、待機状態に戻る。
【0046】
上述した本発明の一実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、開閉弁42が、洗浄を開始した後の洗浄水タンク16内の水位が下降している状態において開口40aを閉塞させるか又は開口40aの開口面積を減少させるので、開閉弁42が開口40aに設けられていない場合の貯水部40内の洗浄水の水位の下降よりも、貯水部40内の洗浄水の水位の下降を抑制することができる。従って、本発明は、洗浄水給水装置20が給水を行い洗浄水タンク16内の水位が上昇する際に、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部40が浮力を受けて浮き上がり取付け部から外れることを防ぐことができる。また、本発明は、開閉弁42が洗浄を開始する前の待機状態においては開口40aを開放しているので、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを循環させることができる。従って、貯水部40内の洗浄水を腐らせないように貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水と循環させることができる。よって、本発明の洗浄水量調整装置38は、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、且つ貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを循環させることができる。
【0047】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、貯水部40は、その底面に開口40aが形成されているので、開口40aに掛かる水圧が開閉弁42に均等に作用することができ、開閉弁42を滑らかに移動させ、貯水部40内に洗浄水を確実に流入させることができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、洗浄水タンク装置14を初めて使用する初回の給水時において、貯水部40の外部において洗浄水給水装置20が給水した洗浄水の水位の上昇速度と、貯水部40の内部の洗浄水の水位の上昇速度とがほぼ同じ速度にできるような開口面積A1を有するので、洗浄水が貯水部40の外部から開口40aを通って内部に流入できる。従って、本発明は、貯水部40の外部における洗浄水の水位と、貯水部40の内部における洗浄水の水位との水位差が生じることを抑制し、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部40が浮力を受けて浮き上がり取付け位置から外れるといった問題が生じることを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、洗浄を開始して洗浄水タンク16から洗浄水が排水されるとき、貯水部40から貯水部40の開口40aの開口面積(A1)を通って流出しようとする洗浄水の流れが、開閉弁42の弁体44と貯水部40の内側底面40bのシート部50との間の開口面積(A2)を通って流出しようとする洗浄水の流れよりも、大きくなるので、開閉弁42が貯水部40の開口40a上に引き込まれ、開口40aを閉塞させ又は開口40aの開口面積を減少させた状態にすることができる。
【0050】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、開閉弁42の弁体44等が水より軽い比重の部材で構成されているために、洗浄を開始する前の待機状態において開口40aを確実に開放することができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを確実に循環させることができる。
【0051】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、開閉弁42に貯水部40の内部と外部とを連通する小孔44aが形成されていることにより、万が一、開閉弁42の弁体44が水垢及び水中のごみ等により、貯水部40のシート部50上で閉止したまま動作しなくなった場合にも、貯水部40内の洗浄水がこの小孔44aを通って貯水部40の外部と循環することができる。また、開閉弁42の弁体44に小孔44aが形成されているので、開閉弁42を、小孔44aを有しない開閉弁、又は大きさの異なる小孔44aを有する開閉弁等と取り替えることにより小孔の有無、大きさの変更等が容易にできる。
【0052】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、貯水部40の側面40dの上縁40eが予定の満水水位WL0よりも所定距離上方まで延び、且つ貯水部40の側面40dの下縁40fが予定の死水水位DWLよりも所定距離下方まで延びているので、満水水位WL0が上下に変動した場合にも、満水水位WL0が貯水部40の側面40dの上縁40eと下縁40fとの間に配置され、且つ死水水位DWLが上下に変動した場合にも、死水水位DWLが貯水部40の側面40dの上縁40eと下縁40fとの間に配置される。従って、本発明は、貯水部40の外形に応じた予定した容積の洗浄水量を確実に調整することができる。
【0053】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、荷重支持部材56が貯水部40の荷重を支え、貯水部40を安定して支持することができる。
【0054】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを循環させることができる洗浄水量調整装置38を備えた洗浄水タンク装置14を提供することができる。
【0055】
また、本実施形態による洗浄水量調整装置38によれば、貯水部40に作用する浮力の発生を抑制することができ、貯水部40内の洗浄水と貯水部40外の洗浄水タンク16内の洗浄水とを循環させることができる洗浄水量調整装置38を備えた洗浄水タンク装置14を有する水洗大便器を提供することができる。