特許第5742118号(P5742118)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742118
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】泡吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20150611BHJP
   B05B 11/04 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   B65D47/06 A
   B05B11/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-135108(P2010-135108)
(22)【出願日】2010年6月14日
(65)【公開番号】特開2012-1216(P2012-1216A)
(43)【公開日】2012年1月5日
【審査請求日】2013年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000224
【氏名又は名称】特許業務法人田治米国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】植平 庄治
(72)【発明者】
【氏名】森田 博也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大亮
【審査官】 戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/136441(WO,A1)
【文献】 実開昭62−179059(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0060945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
B05B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に被着されるフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備え、容器本体を押圧することで、容器本体に内容された液体をフォーマーキャップ内の空気導入路と液導入路の合流部で泡状にして吐出口から吐出する泡吐出容器であって、
吐出口の開口面の向きが、容器本体の起立方向に対して傾き、
フォーマーキャップが、ディップチューブに連通する外側筒状部と、外側筒状部内に嵌入され、吐出口に連通する内側筒状部とを有し、
外側筒状部の上部で該外側筒状部と内側筒状部との間に複数の溝により空気導入路が形成され、外側筒状部の下部で該外側筒状部と内側筒状部の対向面の複数の溝により液導入路が形成され、外側筒状部の中央部の該外側筒状部と内側筒状部との間に空気導入路と液導入路とが合流する気液合流部が形成され、
空気導入路の空気取り入れ口が、泡吐出容器内において吐出口と反対側領域のみに形成されている泡吐出容器。
【請求項2】
気導入路が、外側筒状部と内側筒状部との間で周方向に延びた第1の空気導入路と、第1の空気導入路から分岐して合流部に至る複数の第2の空気導入路を有し、
第1の空気導入路の空気取り入れ口が、第1の空気導入路の、吐出口と反対側領域のみに形成されている請求項1記載の泡吐出容器。
【請求項3】
空気導入路の空気取り入れ口が、合流部よりも上方に形成されている請求項2記載の泡吐出容器。
【請求項4】
フォーマーキャップ内において外側筒状部の外側の空間を吐出口側空間と空気取り入れ口側空間とに区分する隔離壁がフォーマーキャップの内壁天面から垂下している請求項のいずれかに記載の泡吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する容器本体を押圧することにより、容器本体内の液体を泡状に吐出させる泡吐出容器はスクイズフォーマー容器とも称され、各種化粧料や洗浄剤などを泡状に吐出させる場合に使用されている。
【0003】
泡吐出容器の一般的な形態の一つとして、気液混合室を有するフォーマーキャップが容器本体の口部に装着され、フォーマーキャップに、容器本体内に延びたディップチューブが接続され、容器本体内からディップチューブを通して供給された液体と、容器本体内の空間から供給された空気とを気液混合室で混合して起泡させるものがある。このような泡吐出容器では、容器本体の上部空間で開口することにより気液混合室に空気を供給する空気導入路の空気取り入れ口が、気液混合室の下方に複数個設けられ、その複数個の空気取り入れ口が周方向に略等間隔に形成されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−3853号公報
【特許文献2】特許2934145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
気液混合室に空気を供給する空気導入路の空気取り入れ口が、気液混合室の下方に複数個設けられている従来の泡吐出容器では、容器本体を押圧して泡を吐出させるときに、泡の吐出方向に容器本体を傾けると、容器本体内の液体が空気取り入れ口を塞ぎ、気液混合室に十分に空気が供給されず、泡質が低下する場合がある。
【0006】
これに対し、本発明は、フォーマーキャップから容器本体内にディップチューブが延び、容器本体の押圧により泡を吐出させる泡吐出容器において、容器本体を泡の吐出方向に傾けて押圧した場合でも、空気導入路の空気取り入れ口が容器本体内の液体で塞がれ難くし、それにより所期の泡質を維持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、フォーマーキャップから容器本体内にディップチューブが延び、容器本体の押圧により泡を吐出口から吐出させる泡吐出容器において、空気導入路の空気取り入れ口を、泡吐出容器内において吐出口と反対側領域のみに形成することにより、泡の吐出方向に容器本体を傾けていくときに、空気取り入れ口が容器本体内の液体で塞がれにくくなることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、可撓性を有する容器本体、容器本体の口部に被着されるフォーマーキャップ、及びフォーマーキャップから容器本体内に延びたディップチューブを備え、容器本体を押圧することで、容器本体に内容された液体をフォーマーキャップ内の空気導入路と液導入路の合流部で泡状にして吐出口から吐出する泡吐出容器であって、
吐出口の開口面の向きが、容器本体の起立方向に対して傾き、
フォーマーキャップが、ディップチューブに連通する外側筒状部と、外側筒状部内に嵌入され、吐出口に連通する内側筒状部とを有し、
外側筒状部の上部で該外側筒状部と内側筒状部との間に複数の溝により空気導入路が形成され、外側筒状部の下部で該外側筒状部と内側筒状部の対向面の複数の溝により液導入路が形成され、外側筒状部の中央部の該外側筒状部と内側筒状部との間に空気導入路と液導入路とが合流する気液合流部が形成され、
空気導入路の空気取り入れ口が、泡吐出容器内において吐出口と反対側領域のみに形成されている泡吐出容器を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の泡吐出容器によれば、容器本体内からディップチューブを通してフォーマーキャップに供給された液体を起泡させる空気導入路の空気取り入れ口が、泡吐出容器内で吐出口と反対側領域にのみ形成されているので、容器本体を泡の吐出方向に傾けて押圧した場合でも、空気導入路の空気取り入れ口が容器本体内の液体で塞がれ難くなり、空気取り入れ口に液体が入ることによる泡質の低下が起こりにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例の泡吐出容器の斜視図(a)及び正面図(b)である。
図2A図2Aは、フォーマーキャップ10の縦断面図である。
図2B図2Bは、異なる実施例の泡出容器のフォーマーキャップ10Bの縦断面図である。
図2C図2Cは、参考例の泡出容器のフォーマーキャップ10Cの縦断面図(a)及びその部分横断面図(b)である。
図3図3は、図2Aのフォーマーキャップ10における液体の流れと気体の流れと泡の流れの説明図である。
図4A図4Aは、図2Aのフォーマーキャップ10が使用する外側筒状部20の上面図(a)及び斜視図(b)である。
図4B図4Bは、図2Bのフォーマーキャップ10Bが使用する外側筒状部20Bの上面図(a)及び斜視図(b)である。
図5図5は、図2Aのフォーマーキャップ10が有する筒状壁の外側筒状部との嵌合部分の斜視図である。
図6A図6Aは、フォーマーキャップのハウジングをその内側から見た斜視図である。
図6B図6は、異なる態様のフォーマーキャップのハウジングをその内側から見た斜視図である。
図7図7は、空気導入部の空気取り入れ口の位置と、泡吐出容器を傾けても空気取り入れ口が液体で塞がれずにすむ泡吐出容器の傾きの最大値との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0012】
図1(a)は、本発明の一実施例の泡吐出容器1の斜視図、同図(b)はその正面図、図2Aは、その泡吐出容器1で容器本体の口部に装着されているフォーマーキャップ10の縦断面図である。
【0013】
この泡吐出容器1は、可撓性を有するプラスチック製で、起泡性の液体Aが収容される容器本体2と、容器本体2の口部に被着されるフォーマーキャップ10と、フォーマーキャップ10から容器本体2内に延びたディップチューブ11を備えており、泡吐出容器1を正立状態にして容器本体2の胴部を図1(b)のニ点鎖線で示すように押圧変形させることにより、フォーマーキャップ10の吐出口12から容器本体2内の液体Aを泡状に吐出させるものである。ここで、吐出口12の開口面の向き(即ち、開口面の法線方向)は、容器本体2の起立方向(即ち、鉛直方向)に対して傾いており、略水平ないしやや下向きとなっている。
【0014】
容器本体2の材質としては、所謂スクイズ性(即ち、押圧性及びスクイズバック性)が良好な、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂を単独又は適宜複数種混合して用いることができる。
【0015】
図2Aに示すように、フォーマーキャップ10は、容器本体2の口部3に螺合することにより着脱自体に被着している。また、フォーマーキャップ10は、ハウジング13内に外側筒状部20と、外側筒状部20内に嵌入された内側筒状部30を有する。ここで、外側筒状部20と内側筒状部30は、それらの下部20aおよび30aでは、外側筒状部20の内壁と内側筒状部30の外壁が直接対向しているが、上部20bおよび30bでは、ハウジング13から垂下した筒状壁15を、外側筒状部20の内壁と内側筒状部30の外壁とが挟持するように対向している。図6Aは、このフォーマーキャップ10から外側筒状部20と内側筒状部30を取り外したハウジング13を、その内側から見た斜視図である。
【0016】
外側筒状部20は、その下端が、ディップチューブ11が嵌入されるディップチューブホルダー21となっており、外側筒状部20の内部が、嵌入されたディップチューブ11と連通している。この場合、ディップチューブ11は、泡吐出容器1を吐出口12側に傾けて使用したときに容器本体2内の液体Aを残り無く吐出できるように、く字型に屈曲し、その先端開口部を容器本体2の底部で吐出口12側に向けている。
【0017】
内側筒状部30は有底筒状で、その閉じられた底部31をディップチューブ11側に向けている。また、内側筒状部30は、ディップチューブ11と反対側の開口端に第1メッシュ40を有し、泡吐出路14及び吐出口12に繋がっている。なお、第1メッシュ40と吐出口12との間の泡吐出路14内には、さらに第2メッシュ41が設けられている。
【0018】
外側筒状部20と内側筒状部30との間には、外側筒状部20の上縁部に周方向に延びた第1の空気導入路p1と、第1の空気導入路p1から分岐して外側筒状部20の長手方向に延びた複数の第2の空気導入路p2と、複数の液導入路qと、第2の空気導入路p2と液導入路qとが合流する複数の合流部rが形成されている。本発明において、空気導入路の開口端である空気取り入れ口は、泡吐出容器1内で吐出口12と反対側領域のみに形成され、本実施例でも、第1の空気導入路p1の空気取り入れ口p0は、該第1の空気導入路p1の吐出口12と反対側領域の1箇所が開口することにより形成され、その空気取り入れ口p0により第1の空気導入路p1が容器本体2内の上部空間2aと連通している。なお、本発明において、空気取り入れ口p0の形成領域となる、吐出口12と反対側の泡吐出容器1内の領域とは、泡吐出容器1内の領域であって、吐出口12の形成方向と正反対の方向にある領域及び吐出口12に対して正反対の位置から±90度の範囲の領域をいい、本実施例においては、空気取り入れ口p0が、周方向に延びた第1の空気導入路p1上であって、吐出口12の形成方向と正反対の方向にある領域及び吐出口12に対して正反対の位置から±90度の範囲の領域に形成される。
【0019】
また、各液導入路qは合流部rと反対側端部でディップチューブ11に連通し、合流部rは、内側筒状部30に形成された連通孔32により内側筒状部30の内部と連通している。
【0020】
より具体的には、図3及び図4Aに示すように、外側筒状部20の略上半分である上部20bには、外側筒状部20の上縁部内壁に周方向に段差24が形成されると共に、その段差24から中央部の合流部rに至る6本の縦溝22が形成されている。一方、図3及び図5に示すように、筒状壁15はその上端部に、外側筒状部20の段差24上を覆えるように略環状の凸部16を有するが、その凸部16は吐出口12と反対側の1箇所で切り欠かれ、切欠部17となっている。そのため、筒状壁15を外側筒状部20内に嵌入させた状態では、筒状壁15の凸部16と外側筒状部20の段差24との間に第1の空気導入路p1が形成されると共に、筒状壁15の切欠部17で外側筒状部20の段差24が露出することにより、第1の空気導入路p1の空気取り入れ口p0が形成される。また、筒状壁15を外側筒状部20内に嵌入させた状態で、外側筒状部20の上部20bの内壁と筒状壁15との間隙、及び外側筒状部20の段部20cの内壁と内側筒状部30との間隙に、第1の空気導入路p1から分岐した第2の空気導入路p2が形成される。したがって、例えば、図7(a)に示す泡吐出容器1’のように、空気取り入れ口p0が第1の空気導入路p1の吐出口12側に形成されていると、その泡吐出容器1’を吐出口12側に角度θで傾けていくときに、θが90度未満で空気取り入れ口p0が容器本体2内の液体Aに浸る場合でも、図7(b)に示すように、第1の空気導入路p1の吐出口12と反対側に空気取り入れ口p0を形成した以外は同様の泡吐出容器1では、空気取り入れ口p0が液体Aに浸る泡吐出容器1の傾きθを90度以上にすることができる。
【0021】
また、このフォーマーキャップ10によれば、空気取り入れ口p0は、外側筒状部20の上端、すなわち水平に延びた泡吐出路14の直下に形成されることになり、容器本体2内において液体Aの液面から最大限離れた位置をとる。したがって、容器本体2内の液体Aが泡立った場合でも、その泡で空気取り入れ口p0が塞がれることを防止でき、良好な泡を吐出させることが可能となる。さらに、このフォーマーキャップ10によれば、合流部rは容器本体2の口部3の上下方向の幅内、言い換えると口部3を形成し、外壁に螺子が設けられた筒の内部に位置しており、空気取り入れ口p0を液体Aの液面から離すために、容器本体2の口部3を形成する筒の上縁よりも上方に気液混合部を位置させることは不要である。したがって、この泡吐出容器1によればフォーマーキャップ10をコンパクトに構成することも可能となる。
【0022】
一方、外側筒状部20の略下半分である下部20aには、内側筒状部30に対向する内表面に、ディップチューブ11の挿入端の上近傍から外側筒状部20の中央部の合流部rに至る6本の縦溝23が形成されており、外側筒状部20と内側筒状部30との間隙に液導入路qが形成されるようにしている。
【0023】
このように空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合することにより、気液混合効率を高め、泡質を均質化することができる。なお、図示したフォーマーキャップ10では、空気導入路pの横断面形状が矩形で液導入路qの同断面形状が半月状であるが、これらの横断面形状はこれに限られず、空気導入路pと液導入路qの横断面形状を同一としてもよい。
【0024】
また、本発明では、外側筒状部20の上縁部の段差24や、外側筒状部の上部20bの内壁の溝22により第1、第2の空気導入路p1、p2を形成することに代えて、外側筒状部20に対向する筒状壁15や内側筒状部30の上部30bの外壁に溝を設けることにより形成してもよい。例えば、図2Bに示すフォーマーキャップ10B、及びこのフォーマーキャップ10Bに使用する図4Bの外側筒状部20Bのように、外側筒状部20Bの上縁部には段差24を設けず、縦溝22は形成し、一方、筒状壁15には上縁部を覆う凸部16に溝18を形成し、その溝18の構成壁の一部を吐出口12と反対側で切り欠き、外側筒状部20Bと筒状壁15とを組み合わせることにより、第1の空気導入路p1と、空気取り入れ口p0と、第1の空気導入路p1から分岐した第2の空気導入路p2を形成してもよい。
【0025】
さらに、図2Cに示す参考例のフォーマーキャップ10Cにおいては、外側筒状部20と内側筒状部30との間に筒状壁15を嵌入させることなく、外側筒状部20Cと内側筒状部30とを直接対向させ、内側筒状部30の上部30bと筒状壁15との嵌合により、外側筒状部20Cと内側筒状部30とがハウジング13に固定されるようにしてもよい。その場合には、例えば、合流部rと略同一面上にある外側筒状部20Cの上縁部に略環状に溝25を形成し、その溝25上を内側筒状部30で覆うことにより第1の空気導入路p1を形成し、また、その溝25の構成壁を一部で切り欠くことにより空気取り入れ口p0を形成し、溝25を分岐させて放射状に溝22を形成することにより第2の空気導入路p2を形成することができる。この他、図2Aに示したフォーマーキャップ10や図2Bに示したフォーマーキャップ10Bにおいて、内側筒状部30の上部30bの外壁に溝を形成することにより、第2の空気導入路p2を形成してもよい。
【0026】
なお、図2Aに示したフォーマーキャップ10のように、外側筒状部20と内側筒状部30との間に筒状壁15を嵌入させるとこれらの嵌合力を高めることができるので、泡吐出容器1の輸送時などにディップチューブ11に該ディップチューブ11の先端部の向きを変えさせる回転力がかかっても、ディップチューブ11の先端部の向きが変わることを防止でき、また空気導入路の空気取り入れ口p0を液体Aの液面から大きく遠ざけることができるので好ましい

【0027】
本発明においては、液導入路qについても、外側筒状部20の下部20aの内壁の溝23から形成することに代えて、外側筒状部20の下部20aに対向する内側筒状部30の外壁の下部30aに形成した溝から形成してもよい。さらには、ディップチューブ11から供給された液体を複数の液導入路qで分岐させることなく、第1、第2の空気導入路p1、p2を通して供給される空気と混合してもよい。なお、気液混合効率を向上させる点からは、前述のように空気導入路pと液導入路qをそれぞれ複数設けて空気と液体を混合することが好ましい。
【0028】
液導入路qを複数設ける場合には、液導入路qの横断面積(即ち、流れ方向に垂直な断面の面積)の合計を、ディップチューブ11内の液流路の横断面積よりも広くすることが、泡の吐出に必要とされる容器本体2の押し圧を抑制できる点で好ましい。
【0029】
一方、ハウジング13には、ハウジング13内から外への空気の流出を妨げ、ハウジング13外から内への空気の流入を可能とする逆止弁として、ボール弁50が設けられている。
【0030】
この泡吐出容器1は、次のように使用される。まず、容器本体2内に起泡性の液体Aを収容した状態で、容器本体2の胴部を押圧して凹ませる。これにより、容器本体2内の内圧が高まり、図3に示すように液体Aがディップチューブ11を通り、複数の液導入路qで分岐し、複数の合流部rに供給されると共に、外側筒状部20の吐出口12と反対側領域で開口した空気取り入れ口p0から、容器本体2の上部空間の空気Bが第1の空気導入路p1及びそれから分岐した複数の第2の空気導入路p2を経て複数の合流部rに供給される。これにより複数の合流部rで液体Aが均質に起泡し、その泡Cが連通孔32を通して内側筒状部30の内部に吐出され、そこで複数の合流部rで形成された泡が合流する。合流した泡は、第1メッシュ40、第2メッシュ41を順次通って泡質が改善され、吐出口12から吐出される。次に、容器本体2への押圧を解除すると、容器本体2の可撓性により容器本体2は押圧前の形状に戻るので、その内部の圧力が減少する。内部の圧力が減少することで、ボール弁のボール51が自重でその掛止位置まで落ちてボール弁50が開き、その結果容器外の空気が容器本体2内に入り、容器本体2内が常圧に戻る。以降、この押圧とその解除を繰り返すことにより、容器本体2内の液体Aを泡状に吐出することができる。また、このように液体Aを泡状に吐出させるにあたり、容器本体2の胴部の押圧時に容器本体2を吐出口12方向に傾けても、空気取り入れ口p0が液体Aで塞がれ難いので、空気取り入れ口p0が液体Aで塞がれることによる泡質の低下を起こりにくくすることができる。
【0031】
本発明の泡吐出容器は、種々の態様をとることができる。例えば、図6Bに示すように、フォーマーキャップ10D内において、外側筒状部20の外側の空間を吐出口12側の空間s1と空気取り入れ口側の空間s2とに区分する隔離壁60をフォーマーキャップ10Dのハウジング13の内壁天面から垂下させてもよい。これにより、図7(c)に示すように、空気取り入れ口p0が液体Aに浸る泡吐出容器1の傾きθを、かかる隔離壁60をもたない図7(b)の泡吐出容器1に対して、さらに大きくすることができる。
【0032】
また、本発明の泡吐出容器において、吐出口の形状等に特に制限はなく、櫛歯などの塗布具を装着させてもよい。また、泡吐出路14に設ける第1、第2のメッシュ40、41の配設位置は適宜変更することができ、メッシュの配設数を低減あるいは増加させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の泡吐出容器は、毛髪、顔、身体等に使用する化粧料や、バス、キッチン、トイレ等に使用する洗浄剤等を泡状に吐出させる容器として有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 泡吐出容器
2 容器本体
3 口部
10、10B、10C、10D フォーマーキャップ
11 ディップチューブ
12 吐出口
13 ハウジング
14 泡吐出路
15 筒状壁
16 凸部
17 切欠部
18 溝
20、20B、20C 外側筒状部
21 ディップチューブホルダー
22 溝
23 溝
24 段差
25 溝
30 内側筒状部
31 底部
32 連通孔
40 第1メッシュ
41 第2メッシュ
50 ボール弁
51 ボール
60 隔離壁
A 液体
B 空気
C 泡
p0 空気取り入れ口
p1 第1の空気導入路
p2 第2の空気導入路
q 液導入路
r 合流部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7