特許第5742136号(P5742136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000002
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000003
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000004
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000005
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000006
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000007
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000008
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000009
  • 特許5742136-自動二輪車の電装部品取付構造 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742136
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】自動二輪車の電装部品取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/00 20060101AFI20150611BHJP
   B62J 9/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   B62J11/00 G
   B62J9/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-189690(P2010-189690)
(22)【出願日】2010年8月26日
(65)【公開番号】特開2012-46067(P2012-46067A)
(43)【公開日】2012年3月8日
【審査請求日】2013年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】橘田 佳明
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−193759(JP,A)
【文献】 特開平07−309275(JP,A)
【文献】 特開平04−095594(JP,A)
【文献】 実開昭63−146158(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 11/00
B62J 9/00
B62J 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプの後部に接続され後方へ向けて延設された左右一対のメインフレームと、前記メインフレーム間であって該メインフレームの下方に懸架されたエンジンと、前記エンジンの上方であって前記メインフレームの間に配置されたエアクリーナと、車両の運転又は制御に関与する電装部品とを備えた自動二輪車において、
前記エアクリーナは、その側壁面の少なくとも一部が前記メインフレームとの間に隙間を有するように配置され、
前記電装部品は前記隙間に配置され、車体上面視にて前記エアクリーナの側壁面の外側に位置することを特徴とする自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項2】
前記電装部品は上面に開口部を有する収容ケースに収容された、前記エンジンの制御に用いられるエンジン制御ユニット又は、供給電力を一定に調整するために用いられる電力調整器であることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項3】
前記収容ケースは、側面の少なくとも一部に切欠き部が形成され、この切欠き部を介して前記電装部品のコネクタ用接続部を臨ませたことを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項4】
前記収容ケースは、前記エアクリーナと前記メインフレームとの間に掛け渡された間隔保持部材の下方に配置され、前記間隔保持部材によって前記開口部を覆ったことを特徴とする請求項2又は3に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項5】
前記エアクリーナは、前記収容ケースが一体に形成されたことを特徴とする請求項2乃至のいずれか1項に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項6】
前記電装部品は、前記ヘッドパイプと前記エアクリーナとの間に、前後に挟まれる態様に配置されたことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【請求項7】
前記電装部品は、車体上面視にて前記エアクリーナの前面部よりも前方に位置することを特徴とする請求項に記載の自動二輪車の電装部品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車に適用される電装部品であって、特にエンジン制御ユニット(Engine Control Unit;以下の説明では単にECUと言う)の配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車には、例えば車速センサやエンジン温度センサ等からの入力信号を取得し、この入力信号に基づいてエンジンの点火時期や燃料噴射装置を制御するための信号を出力するECUが配置される。従来、自動二輪車に搭載されるECUの取付構造において、ヘッドパイプの後方に延びる左右一対のメインフレームを有し、この左右一対のメインフレームの間にエンジンが懸架され、メインフレームとエンジンとの間にコネクタを下方に向けてECUを配置した自動二輪車の電装品取付構造が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−218057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に自動二輪車のエンジン(クランクケース)の上方は、例えばスタータモータ等のエンジン補助機器が配置される。このため、上述のような構成にするとECUの着脱するためのスペースがなくなり、ECUの交換作業が困難になるという問題がある。また、ECUは、エンジンとメインフレームとの間に空間を確保して設けられるため、雨天時には対向車等に跳ね上げられた水や泥が付着し易いという問題がある。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑み、ECUの交換を容易且つ的確に行い、高い防水機能等を発揮する自動二輪車の電装部品取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明に係る自動二輪車の電装部品取付構造は、ヘッドパイプの後部に接続され後方へ向けて延設された左右一対のメインフレームと、前記メインフレーム間であって該メインフレームの下方に懸架されたエンジンと、前記エンジンの上方であって前記メインフレームの間に配置されたエアクリーナと、車両の運転又は制御に関与する電装部品とを備えた自動二輪車において、前記エアクリーナは、その側壁面の少なくとも一部が前記メインフレームとの間に隙間を有するように配置され、前記電装部品は前記隙間に配置され、車体上面視にて前記エアクリーナの側壁面の外側に位置することを特徴する。
【0007】
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記電装部品は上面に開口部を有する収容ケースに収容された、前記エンジンの制御に用いられるエンジン制御ユニット又は、供給電力を一定に調整するために用いられる電力調整器であることを特徴する。
【0008】
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記収容ケースは、側面の少なくとも一部に切欠き部が形成され、この切欠き部を介して前記電装部品のコネクタ用接続部を臨ませたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記収容ケースは、前記エアクリーナと前記メインフレームとの間に掛け渡された間隔保持部材の下方に配置され、前記間隔保持部材によって前記開口部を覆ったことを特徴とする。
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記電装部品は、前記ヘッドパイプと前記エアクリーナとの間に、前後に挟まれる態様に配置されたことを特徴とする。
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記電装部品は、車体上面視にて前記エアクリーナの前面部よりも前方に位置することを特徴とする。
また、本発明の自動二輪車の電装部品取付構造において、前記エアクリーナは、前記収容ケースが一体に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ECUの収容ケースは上部開口を有し、燃料タンクさえ取り外せば、その上方にはECUを着脱するに十分な空間が確保され、ECUの交換作業を簡易に行うことができる。また、ECUは、メインフレームとエアクリーナに周囲を囲まれ、上方には燃料タンクが配置される。これにより雨天時等にECUに雨水が付着することもなく、エンジンよりも上方に配置されるため路面から十分な高さを確保でき、対向車等によって跳ね上げられた水や泥が付着するおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る自動二輪車の全体構成例を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るメインフレームまわりの構成例を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るメインフレームまわりの構成例を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るECUまわりの構成例を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係るECUまわりの構成例を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るECUまわりの構成例を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るECU収容装置の構成例を示す分解斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係るECU収容ケースのECU収容時の状態を示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係るECU収容装置における収容ケースまわりを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明による自動二輪車の電装部品取付構造の好適な実施の形態を説明する。
ここで先ず、本実施形態に係る自動二輪車100の全体構成を説明する。図1において鋼製或いはアルミニウム合金材でなるメインフレーム101の前部には、ステアリングヘッドパイプ102によって左右に回動可能に支持された左右2本のフロントフォーク103が設けられる。フロントフォーク103の上端にはハンドルバー104が固定され、ハンドルバー104の両端にグリップ105を有する。フロントフォーク103の下部には前輪106が回転可能に支持されると共に、前輪106上部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディスク108を有している。
【0013】
メインフレーム101はステアリングヘッドパイプ102の後部に接続され、更に後方に向けて左右一対が二又状に分岐し、それぞれが後下がりに傾斜して延出する。メインフレーム101の後部付近から、後上りに適度に傾斜してシートレール101Aが延出し、後述するシートを支持する。なお、メインフレーム101やシートレール101Aにより車体フレームが構成される。また、メインフレーム101の後部にはスイングアーム109が揺動可能に結合すると共に、両者間にリヤショックアブソーバ110が装架される。スイングアーム109の後端には後輪111が回転可能に支持される。後輪111は、後述するエンジンの動力を伝達するチェーン112が巻回されたドリブンスプロケット113を介して、回転駆動されるようになっている。後輪111の直近周囲にはその前上部付近を覆うインナフェンダ114が設けられると共に、そのインナフェンダ114の上方にはリヤフェンダ115が配置される。
【0014】
メインフレーム101に搭載されたエンジンユニット116(点線部)には、図示しない燃料供給装置から混合気が供給されると共に、エンジン内での燃焼後の排気ガスが排気管を通って排気される。本実施形態において、エンジンは例えば4サイクル多気筒、典型的には4気筒エンジンであってよい。それぞれの気筒の排気管はエンジンユニット116の下側にて結合し、その後排気チャンバ117を経て車両後端付近でマフラ118から排気される。
【0015】
また、エンジンユニット116の上方には燃料タンク119が搭載され、燃料タンク119の後方にシート120が連設される。このシート120は、ライダシート120Aとタンデムシート120Bとを含む。ライダシート120A及びタンデムシート120Bに対応して、フートレスト121及びフートレストもしくはピリオンステップ122が配置される。なお、この例では車両左側において、前後方向略中央下部に図示しないプロップスタンドを有している。
【0016】
更に図1において、123はヘッドランプ、124はスピードメータ、タコメータ或いは各種インジケータランプ等を含むメータユニット、125はステー126を介してハンドルバー104に支持されるバックミラーである。
【0017】
車両外装において、フェアリング127及びサイドカウル128によって車両の主に前部及び側部が覆われ、車両後部にはサイドカバーあるいはシートカウル129が被着し、これらの外装部材により所謂、流線型を有する車両の外観フォルムが形成される。このうちフェアリング127の前端部付近において、後述するエアクリーナに空気を送給するための空気取入口が開口している。
【0018】
次に、図2以下の各図を参照して、本発明の実施形態について説明する。図2及び図3は、この実施形態におけるメインフレーム101まわりの具体的な構成例を示している。この例ではエンジンユニット116は、前傾して配置されたシリンダもしくはシリンダブロック116Aと、このシリンダブロック116Aの下方に配置されたクランクケース116Bとが一体的に結合する。また、エンジンユニット116は複数のエンジンマウントを介してメインフレーム101に懸架されることでメインフレーム101と一体的に結合し、それ自体でメインフレーム101の剛性部材として作用する。
【0019】
ここで、図4をも参照して、メインフレーム101は前述したようにステアリングヘッドパイプ102の後部から後方に向けて左右に分岐し、分岐したそれぞれが左右に張り出し、平面視にて全体としてかなりの左右幅を有する湾曲した形態となっている。図3等に示すようにドーム状もしくは甲羅状を呈する燃料タンク119は、かかるメインフレーム101の上側全体を上部から蓋うようにメインフレーム101上に搭載支持される。更にシリンダブロック116Aのシリンダヘッドカバーの上側には、吸気装置に清浄空気を供給するためのエアクリーナ130が配置される。エアクリーナ130によって清浄化された空気は吸気装置によって吸気されると共に、その吸気に対して燃料が混合され、その後図1のようにインテークパイプ131を介して混合気としてエンジンユニット116に供給される。
【0020】
エアクリーナ130はエアフィルタ等を内蔵するが、基本的には所定のボリュームを持つ中空構造を有し、メインフレーム101の左右に分岐した張出し部位間にすっぽりと収容保持される(図4)。この場合、エアクリーナ130は、メインフレーム101の内面もしくは内壁に沿うように湾曲し、平面視で概略半円もしくは半月状あるいは概略「D」字状を呈する。なお、メインフレーム101の分岐したもののうち右側の張出し部位とエアクリーナ130との間には一定の間隙が形成される。また、エアクリーナ130単体において、全体として略均一な高さもしくは上下方向の厚さを有し、図2等に示されるように略水平状態で搭載される。なお、平面視では上述のようにメインフレーム101の内側に収容されるが、側面視では図2又は図5のように後部側がメインフレーム101の上縁から上方へ突出する。
【0021】
更に、エアクリーナ130の前端部には、図2図4等に概略図示したように左右一対のエアダクト132が接続される。このエアダクト132はフェアリング127の内側においてエアクリーナ130の前端部から前方へと延設され、フェアリング127の前端部付近で開口する。エアクリーナ130の前部には図6に示されるように左右一対の吸気ダクト133が概略斜め前方へ突出するように付設され、各吸気ダクト133がそれぞれ対応するエアダクト132と接続される。また、メインフレーム101の吸気ダクト133対応部位、即ちステアリングヘッドパイプ102の後部付近にはエアダクト132を形成配置するための通孔134が形成され、このようにメインフレーム101の一部を貫通するかたちでエアダクト132が配設される。
【0022】
上記の場合、図2及び図4に示されるようにメインフレーム101の後側にて左右一対延設されたシートレール101Aの間にはバッテリ135が搭載される。
【0023】
さて、本発明の実施形態における電装部品取付構造において、電装部品の具体的な配置及びその取付構造について説明する。ここで、説明の便宜上、電装部品は一例としてECUとして説明するが、例えばヘッドランプ等へ供給する電流・電圧を調整する電力調整器(レギュレータ)であっても良い。これらECUや電力調整器は、車両の運転又は制御に関与する電装部品として機能するが、その他の電装部品も含まれる。
本発明の実施形態における電装部品取付構造において、ECU10は図4及び図5等に示されるように左右のメインフレーム101の間であって、ステアリングヘッドパイプ102とエアクリーナ130との間に配置される。ECU10は既に説明したようにエンジン制御のために用いられるが、その複数の構成部品等が箱型のケーシング内に収納されてユニット化した構成となっている。一方、エアクリーナ130の前面部には図6に示されるように、ECU10を収容配置するための収容装置20が配置構成される。収容装置20は、エアクリーナ130の前面部下方寄りに付設された収容ケース21と、収容したECU10を収容ケース21内に固定保持すべく、収容ケース21の上部開口を覆うようにボルト23等によって締着される上部カバーとして機能する間隔保持部材22とを含む。なお、収容ケース21は、エアクリーナ130と一体形成することができる。
【0024】
ECU10の更に具体的な配置構造において、先ずメインフレーム101は上述のように、ステアリングヘッドパイプ102の後部に接続される。このステアリングヘッドパイプ102とECU10との間に図4に示されるように、メインフレーム101の少なくとも一部である接続部101aが介在する配置構成となっている。
【0025】
ここで、車体フレームの構成について説明する。車体フレームは、車両前部に配置されたメインフレーム101と、メインフレーム101の後部に接続され、後方へ向けて延されたシートレール101Aとで構成される。なお、メインフレーム101は車体フレームの構成上ここでは、その前部に配置されたステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングヘッドパイプ102を含むものとする。そして更に、ステアリングヘッドパイプ102の後部に接続する左右一対の腕部から成るアームパイプ101bと、アームパイプ101bの左右の腕部の後端に接続され、後方下方へ向けて延された左右一対のサイドパイプ101cとにより構成される。アームパイプ101bは図4に示されるように、平面視において前方へ向かうほど幅寸法が小さくなる略C字上に形成され、且つ後方にそのC字の開口を向けて配置される。
【0026】
上述のようにシートレール101Aを使用して車両後部に配置されたバッテリ135とECU10とはメインハーネス11を介して相互に接続され、バッテリ135からECU10へ電力が供給される。ここで、ECU10は図4を参照して、平面視にて左右中心線から片側に偏倚して配置される。即ち、図4において左右幅方向の中心線C.Lに対して収容ケース21及び間隔保持部材22、従ってこれに収容されるECU10共に、左側に適度に偏倚し、この偏倚した方向と逆側、右側のECU10の側面10aにメインハーネス11の接続部12が設けられる(図5図6等参照のこと)。この接続部12にメインハーネス11のコネクタ13が接続される。このような接続構造とすることで、図4に示されるように接続部12及びコネクタ13が、前後方向においてステアリングヘッドパイプ102及びメインフレーム101の接続部101aと直列に配置される。
【0027】
更に、メインハーネス11は、メインフレーム101の内面に沿って配設される。前述のようにメインフレーム101の右側のアームパイプ101bとエアクリーナ130との間には一定の間隙が形成される。メインハーネス11の前端側はコネクタ13を介してECU10に接続され、ECU10からバッテリ135に向けて図5及び図6に示されるように両者間の間隙に収容されるかたちで引き回される。なお、図7及び図8にも示されるようにエアクリーナ130の右側面に沿うようにメインハーネス11が配索される。
【0028】
ここでまた、エアクリーナ130の配置構造等について説明する。本発明に係るエアクリーナ130は図1あるいは図2等に示されるように、側面視においてエンジンユニット116の上方にてエアクリーナ130の側面とアームパイプ101bとが重なり合うように配置される。その場合、アームパイプ101bは図5に示されるように、ステアリングヘッドパイプ102の後部から後下がりに傾斜するように接続されるため、エアクリーナ130の側面全域で重なり合うのではなく、その一部、即ち少なくとも前面部がアームパイプ101bと重なり合うように配置される。
【0029】
また、エアクリーナ130の形状等につき図5図7等に示されるように、樹脂によって形成された上側ケース半体であるアッパケース130Aと下側ケース半体であるロアケース130Bとから成る上下2分割に構成される。前述したようにエアダクト132と接続する吸気ダクト133は、ロアケース130Bの前側下部にて一体に形成される。
【0030】
更に、エアクリーナ130は図7に点線で示したように、その前部の側壁面130aが車両前後方向に対して垂直な平面となるように面取りされる。そして、この側壁面130aとアームパイプ101bの湾曲した内面との間に隙間が形成される。このように形成された隙間には、上面に形成された開口部、即ち上部開口21aを有する箱部材としての収容ケース21がロアケース130Bと一体に形成される。収容ケース21は、左右幅方向の中心線C.Lから左側に偏倚して形成され、この偏倚した方向と逆側、即ち右側の側面に切欠き部21bが設けられる。
【0031】
図8及び図9をも参照して、ECU10は収容ケース21の上部開口21aから、上下方向下向きに挿入して装着される。この場合、ECU10の右側壁に設けられたコネクタ13用の接続部12は、切欠き部21bから収容ケース21の外側へ突出するように配置される。なお、このようにECU10を収容ケース21内に装着後、図7のように上部開口21aには間隔保持部材22が締着される。
【0032】
上記構成において、本発明の実施形態に係るECU取付構造によれば先ず、ECU10を収容する収容装置20において、上述のように収容ケース21はその上面部に上部開口21aを有する。車体フレームから燃料タンク119さえ取り外せば、収容装置20の上方にはECU10を着脱するのに必要且つ十分な開放空間が確保される。従って、収容ケース21の上部開口21aを介してECU10の交換作業を簡易且つ的確に行うことができる。
【0033】
また、収容ケース21内に収容されたECU10は、メインフレーム101とエアクリーナ130に周囲を囲まれ、その上方には燃料タンク119が配置される。このようにECU10の周囲全体が、隣接する他部材もしくは部品によって囲繞されるため、雨天時等に雨水が浸入して付着することがない。また、エンジンユニット116よりも上方に取り付けられることにより、ECU10には路面からの十分な高さが確保されるため、対向車等によって跳ね上げられた水や泥が付着する虞もなくなる。
【0034】
また、収容ケース21は、側面の少なくとも一面に切欠き部21bが形成され、この切欠き部21bからECU10の接続部12を臨ませる。このような取付構造としたことにより、ECU10を収容ケース21に収容した状態で、切欠き部21bを介して簡便にコネクタ13を接続し、あるいは取り外すことができる。
【0035】
ここで、エアクリーナ130とメインフレーム101、特に接続部101aとの間隔は間隔保持部材22によって保持される。この実施形態では間隔保持部材22は図4あるいは図6図7等に示されるように3つのボルト23によって締着され、これらのうち前部のボルト23Aが接続部101aに螺着するようになっている。このように間隔保持部材22をエアクリーナ130及びメインフレーム101間に掛け渡すことで両者の間隔が設定保持される。収容ケース21は間隔保持部材22の下方に配置され、この間隔保持部材22によってその上部開口21aが覆われる。
【0036】
上記の場合エアクリーナ130は、その下方に配置されたエンジンユニット116との間に掛け渡されたインテークパイプ131によって浮動支持される。このような支持構造において、車両旋回に伴う遠心力やブレーキによる慣性力によって、そのままではメインフレーム101と干渉する虞がある。また、かかる慣性力や遠心力によってECU10が収容ケース21から脱出しないように上部開口21aを覆う必要もある。そこで本発明では、エアクリーナ130とメインフレーム101との間に掛け渡された間隔保持部材22の下方に収容ケース21を配置し、この間隔保持部材22によって上部開口21aを覆うことでECU10の脱落を防止することができる。このように間隔保持部材22によってECU10の脱落を防止できるため、収容ケース21の蓋を別途設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。そして、これにより実質的に構造の簡素化、更にはコストダウンを図ることが可能になる。
【0037】
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
上述の実施形態ではECU10を車幅方向で左側に偏倚させた例を説明したが、左右反対にし、即ち右側に偏倚させることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 ECU、10a ECUの側面、11 メインハーネス、12 接続部、13 コネクタ、20 収容装置、21 収容ケース、22 間隔保持部材、100 自動二輪車、101 メインフレーム、102 ステアリングヘッドパイプ、103 フロントフォーク、104 ハンドルバー、106 前輪、109 スイングアーム、111 後輪、115 リヤフェンダ、116 エンジンユニット、119 燃料タンク、123 ヘッドランプ、124 メータユニット、127 フェアリング、130 エアクリーナ、131 インテークパイプ、132 エアダクト。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9