特許第5742215号(P5742215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742215
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20150611BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150611BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20150611BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61K8/86
   A61Q19/00
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-291398(P2010-291398)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-136489(P2012-136489A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】神谷 政博
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−199665(JP,A)
【文献】 特開2007−119374(JP,A)
【文献】 特開2006−225324(JP,A)
【文献】 特開2010−006715(JP,A)
【文献】 特開2006−282539(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/038724(WO,A1)
【文献】 特開2009−136749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) (a−1)式1で示される単量体30〜90モル%と、(a−2)式1で示される単量体と共重合可能な単量体10〜70モル%とから得られる共重合体を0.05〜5質量%、(B)重合度が2〜14であるポリグリセリンを3〜15質量%、(C)式2で示される化合物を2〜10質量%、(D)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを0.1〜1質量%を含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は−(CH−を示し、nは1〜4の整数である。)
【化2】
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、x、yおよびzはそれぞれPO、EOおよびBOの平均付加モル数であって、x+yは1〜30の値、zは1〜5の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の皮膚化粧料に関するものであり、詳しくは、肌に直接塗布して使用した際に、肌上でののびや肌へのなじみ性が良く、リッチな使用感を有し、またべたつかず、持続的な保湿効果が得られ、かつ、化粧のりに優れ、オールインワンタイプとしても使用可能な万能タイプの皮膚化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人間の皮膚表面は皮脂膜に覆われており、水分の蒸散が適度に抑制されている。皮膚の水分を適切な範囲に保つことは、皮膚の健康面において非常に重要なことである。しかし、気温や湿度の変化、紫外線、洗顔時の過度な摩擦や加齢によって、角質層に含まれる細胞間脂質、天然保湿因子や水分が失われがちであり、肌荒れやかゆみ、かさつきなど肌トラブルが生じるやすくなる。よって、肌を正常に保つために、化粧水、乳液、クリームや美容液といったスキンケア用の皮膚化粧料を使用して、肌に水分や油分を補っている。一般的な使用方法としては、洗顔後に化粧水にて肌に水分や保湿成分を補給し、その後、乳液やクリームによって油分をも補い、肌を保護するとともに柔軟にしている。
【0003】
ここで、通常、乳液やクリームに使用される油分は、動植物油脂、鉱物油やエステル油、エーテル油などであり、これら油分は、その閉塞性による水分蒸発の抑制効果や皮膚を柔軟にするエモリエント効果を有する。しかし、油分特有のべたつき感を有するだけでなく、使用後にテカリを生じることもある。また、場合により、特に脂性肌、混合肌の人では、にきびなどの肌トラブルの原因となることもある。
【0004】
一方、近年、女性が積極的に社会進出するようになるとともに、旅行や出張による外泊の機会が増加することに伴い、化粧をより短時間で行なうことへの要望が高まっており、化粧水や乳液、クリーム、化粧下地の機能を集約した、「ツーインワン」や「オールインワン」タイプの化粧料が提案されている。特にこのような商品では、みずみずしい使用感としながらも、保湿性やエモリエント性を付与する必要が有り、剤形としてゲル状(ジェル状)のものが好まれる傾向にある。しかし、その場合には、油分を無配合もしくは少量の配合とする必要があり、十分な保護効果やエモリエント効果が得られないのが実状であった。
【0005】
そこで油分を配合せずに保湿性を高めた化粧料として、ポリエチレングリコールとカルボキシビニルポリマーを組み合わせた保湿用化粧料(特許文献1)やポリグリセリンと1,3−ブタンジオールを組み合わせた保湿組成物(特許文献2)、グリセリンと天然高分子を組み合わせた皮膚外用水性組成物(特許文献3)などが提案されている。しかし、これらの化粧料では、保湿剤特有のべたつき感が強くなるとともに、のびが悪く、肌へのなじみ性も悪かった。さらには、一時的な保湿効果は発揮されるものの、持続的な保湿効果を得ることができなく、また、エモリエント性にも乏しかった。
【0006】
そこで、特許文献4や特許文献5では、メタクリル酸グリセリルアミドエチル・メタクリル酸ステアリル共重合体や特定のアルキレンオキシド誘導体を使用することで、油分特有の機能を発揮させることが試みられている。しかし、これらの化粧料においても、やはり、のび、なじみ性が悪いだけでなく、十分なエモリエント効果を得ることはできなかった。しかも、高級なクリーム、美容液などで特徴的な使用感として好まれる、塗布時のリッチな使用感を有することができず、また化粧よれや化粧崩れを起こす場合があり、化粧のりの点でも十分に満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−64986号公報
【特許文献2】特開平09−208450号公報
【特許文献3】特開2004−168725号公報
【特許文献4】特開2009−149622号公報
【特許文献5】特開2006−282539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑み、肌に直接塗布して使用した際に、肌上でののびや肌へのなじみ性が良く、リッチな使用感を有し、またべたつかず、持続的な保湿効果が得られ、かつ、化粧のりに優れる皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意検討した結果、下記に示す特定の4成分を組み合わせることによって、肌上でののび(延展性)に優れ、肌へのなじみ性も良く、乳化タイプの化粧料に見られるようなコクのあるリッチな使用感を有し、肌への塗布時また乾燥時に、べたつき感を与えず、持続的な保湿感を有し、かつ、化粧よれや化粧崩れを起こしにくく、化粧のりのよい皮膚化粧料が得られることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、(A) (a−1)式1で示される単量体30〜90モル%と、(a−2)式1で示される単量体と共重合可能な単量体10〜70モル%とから得られる共重合体を0.05〜5質量%、(B)重合度が2〜14であるポリグリセリンを3〜15質量%、(C)式2で示される化合物を2〜10質量%、(D)カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーを0.1〜1質量%を含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は−(CH−を示し、nは1〜4の整数である。)
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、x、yおよびzはそれぞれPO、EOおよびBOの平均付加モル数であって、x+yは1〜30の値、zは1〜5の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5〜5/1である。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の皮膚化粧料は、肌に直接塗布して使用した際に、肌上でののびや肌へのなじみ性が良く、リッチな使用感を有し、またべたつかず、持続的な保湿効果が得られ、かつ、化粧のりに優れるものであるから、化粧水や乳液、クリーム、化粧下地等の機能を集約したオールインワンタイプとしても使用可能な万能タイプの皮膚化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明の皮膚化粧料は、(A) 成分を0.05〜5質量%、(B)成分を3〜15質量%、(C)成分を2〜10質量%、(D)成分を0.1〜1質量%を含有する。
【0017】
本発明で用いる(A) 成分は、(a−1)上記式1で示される単量体30〜90モル%と、(a−2)式1で示される単量体と共重合可能な単量体10〜70モル%とから得られる共重合体である。
【0018】
(a−1)上記式1で示される単量体において、式中のR1は水素原子又はメチル基を表し、安定性の点からメチル基が好ましい。R2は−(CH−を示し、nは1〜4の整数であり、具体的には−(CH)−、−(CH−、−(CH−、−(CH−のいずれかであり、入手のし易さから−(CH−が好ましい。式1で示される具体的な単量体としては、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチレンウレタン、グリセロール−1−メタクリロイルオキシプロピレンウレタン等が挙げられるが、合成のし易さから、グリセロール−1−メタクリロイルオキシエチレンウレタンが好ましい。式1で示される単量体の合成方法としては、環状ケタールと(メタ)アクリロイルオキシアルキレンイソシアネートとをウレタン化反応させて得られる化合物を、ウレタン化反応用触媒の存在下に水含有溶媒中で加水開環反応させる方法等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルはメタクリロイル又はアクリロイルを、(メタ)アクリレートはメタクリレート又はアクリレートを示す。
【0019】
(A)成分は、式1で示される単量体(a−1)が30〜90モル%であり、共重合可能な他の単量体(a−2)の含有割合が10〜70モル%である共重合体である。肌へのなじみ性、保湿効果の持続性や化粧のりの点において、式1で示される単量体(a−1)の含有割合が40〜70モル%であり、共重合可能な他の単量体(a−2)の含有割合が30〜60モル%である共重合体が好ましい。共重合可能な他の単量体(a−2)としては、公知の単量体でも利用可能であるが、好ましくは下記式3で示される単量体が挙げられる。なお、他の単量体(a−2)は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0020】
【化3】
【0021】
式中、L1は−C−、−C10−、−(C=O)−O−、−O−、−(C=O)NH−、−O−(C=O)−又は−O−(C=O)−O−を表し、L2は炭素数10〜22の直鎖又は分岐アルキル基であり、例えばデシル基、ドデシル基、テトラドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコサニル基等を表し、R3は水素原子又はメチル基を表す。
【0022】
式3で示される単量体としては、例えば、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレートや、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル等のビニルエステル系単量体が挙げられる。中でも、安定性の点から、ステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、(A)成分は、取り扱い易くするために、グリセリンや1,3−ブタンジオールなどの多価アルコールで希釈したものを用いることができる。
【0023】
(A)成分の分子量は、質量平均分子量で、5千〜50万の範囲であり、好ましくは1万〜20万である。質量平均分子量が5千未満では、保湿効果が十分に得られないことがあり、50万を超えると配合が困難となることがある。
【0024】
本発明で用いる(B)成分は、少なくとも1個のエーテル結合を有する重合度2〜14のグリセリンの縮合物であり、一般的にはグリセリン同士の分子間脱水反応によって重合させる方法と、2,3−エポキシ−1−プロパノール(グリシドール)を用いた付加反応によるグリシドール法などによって調製される。具体的な化合物としては、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタデカグリセリン、デカグリセリン、ウンデカグリセリン、ドデカグリセリン、テトラデカグリセリン等が挙げられる。中でも、肌上でののびやなじみ性の点において、好ましくは重合度6〜10のポリグリセリンであり、更に好ましくは重合度10であるデカグリセリンである。(B)成分は1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
本発明で用いる(C)成分は、上記式2で示される化合物であり、グリセリンにオキシプロピレン基とオキシエチレン基、オキシブチレン基が付加されたアルキレンオキシド誘導体である。式中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基を表し、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基を表す。x、yおよびzはそれぞれPO、EOおよびBOの付加モル数であって、x+yは1〜30の値、zは1〜5の値であり、POとEOとの質量比(PO/EO) は1/5〜5/1である。x、y、zの各値およびPOとEOの質量比は、アルキレンオキシドを付加して得られた生成物を1H−NMR(核磁気共鳴法)により測定してそれぞれの平均付加モル数を求め、質量比に換算することにより求めることができる。なお、POおよびEOの付加状態は、ランダム状でもブロック状でも良いが、高い保湿効果を得るにはランダム状に付加することが好ましい。BOは、末端にブロック状に付加しており、オキシブチレン基を与える化合物としては、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド(テトラヒドロフラン)等が挙げられるが、入手のし易さ、反応制御のし易さ等の面から、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。また、これらのオキシアルキレン基を付加させる場合には通常、相関移動触媒、ルイス酸触媒、アルカリ触媒等を用いて付加反応を行う。一般的には水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用することが好ましい。
【0026】
本発明で用いる(D)成分において、カルボキシビニルポリマーは、ショ糖のアリルエーテル又はペンタエリトリトールのアリルエーテル等で架橋されたアクリル酸を主体とする水溶性ビニルポリマーである。また、(D)成分において、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸又メタクリル酸と、アクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルとの共重合体であり、アクリル酸と炭素数10〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基のエステル体、およびメタクリル酸と同じくアルキル基のエステル体が共重合した化合物である。(D)成分は、pH=5.5に調整した0.5質量%水溶液において粘度が50〜300Pa・sであるものが好適に用いられる。通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、リジンやアルギニン等の塩基性アミノ酸等で中和することによって(D)成分含有水溶液の粘度を上昇させることができる。カルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、化粧品原料として市販されている製品を使用することができ、具体的な製品としては、カルボキシビニルポリマーは、住友精化株式会社製の「AQUPEC HV−505E」、Lubrizol Advanced Materials社製の「カーボポール940」「カーボポール941」、3Vシグマ社製の「シンタレンK」「シンタレンL」等が挙げられ、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは住友精化株式会社製の「AQUPEC HV−501ER」、Lubrizol Advanced Materials社製の「カーボポール1342」「カーボポールETD2020」等が挙げられる。カルボキシビニルポリマーおよびアルキル変性カルボキシビニルポリマーは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができ、またカルボキシビニルポリマーとアルキル変性カルボキシビニルポリマーを併用することもできる。
【0027】
本発明において、上記の(A)成分の含有量は、皮膚化粧料中に0.05〜5質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%であり、更に好ましくは0.2〜2質量%である。0.05質量%未満では、優れた保湿効果が得られず、また化粧のりが悪くなくことがあり、5質量%を超えると、肌へのなじみ性が悪く、また配合量に見合った効果が得られないことがある。
【0028】
(B)成分のポリグリセリンの含有量は、皮膚化粧料中に3〜15質量%であり、好ましくは4〜12質量%であり、更に好ましくは5〜10質量%である。3質量%未満では、十分な保湿効果が得られないことがあり、15質量%を超えると、肌上でののびが悪く、べたつき感が生じ、化粧のりが悪くなることがある。
【0029】
(C)成分の式2で示される化合物の含有量は、皮膚化粧料中に2〜10質量%であり、好ましくは3〜9質量%であり、更に好ましくは3〜7質量%である。2質量%未満では、べたつき感が生じ、なじみ性が悪くなることがあり、10質量%を超えると、肌上でののびが悪く、保存安定性も悪くなることがある。
【0030】
(D)成分のカルボキシビニルポリマー又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーの含有量は、皮膚化粧料中に0.1〜1質量%であり、好ましくは0.2〜0.8質量%であり、更に好ましくは0.3〜0.7質量%である。0.1質量%未満では、リッチな使用感が得られず、また安定した皮膚化粧料を調製することができないことがあり、1質量%を超えると、べたつき感が生じ、化粧のりが悪くなることがある。
【0031】
本発明の皮膚化粧料は、水又は低級アルコール、好ましくは水と上記(A)〜(D)成分を混合して調製することができる。また、本発明の皮膚化粧料には、化粧料に常用されている他の成分を、本発明の性能を損なわない範囲で、配合することも可能である。
【実施例】
【0032】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0033】
〔実施例1〜6および比較例1〜9〕
皮膚化粧料として表1に示す組成物を調製し、下記の方法により評価を行った。その結果を表1に示す。なお、下記表記中の%とあるのは、質量%を意味する。各組成物は水酸化カリウムによりpH5.5付近に調整した。
【0034】
(1)肌上でののび(延展性)
20名の男女(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布した際の肌の感触について下記の基準で評価した。
2点:肌上でののびが良いと感じた場合。
1点:肌上でののびがやや良いと感じた場合。
0点:肌上でののびが良くないと感じた場合。
【0035】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:肌上でののびが非常に良い化粧料である。
○:合計点が30点以上であり、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:肌上でののびが良い化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:肌上でののびがやや不十分な化粧料である。
×:合計点が20点未満:肌上でののびが良くない化粧料である。
【0036】
(2)肌へのなじみ性
20名の男女(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布した際の肌の感触について下記の基準で評価した。
2点:肌へのなじみ性が良いと感じた場合。
1点:肌へのなじみ性がやや良いと感じた場合。
0点:肌へのなじみ性が良くないと感じた場合。
【0037】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:肌へのなじみ性が非常に良い化粧料である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:肌へのなじみ性が良い化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:肌へのなじみ性がやや良い化粧料である。
×:合計点が20点未満:肌へのなじみ性が良くない化粧料である。
【0038】
(3)リッチな使用感
20名の男女(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布した際の感触について下記の基準で評価した。
2点:クリームと同じようなリッチな使用感があると感じた場合。
1点:クリームと同じようなリッチな使用感がややあると感じた場合。
0点:クリームと同じようなリッチな使用感に乏しいと感じた場合。
【0039】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:クリームのようなリッチな使用感を非常に感じる化粧料である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:クリームのようなリッチな使用感を感じる化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:クリームのようなリッチな使用感をやや感じる化粧料である。
×:合計点が20点未満:クリームのようなリッチな使用感に欠ける化粧料である。
【0040】
(4)べたつき感
20名の男女(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布し、10分後の肌の感触について下記の基準で評価した。
2点:肌がべたつかないと感じた場合。
1点:肌がややべたつくと感じた場合。
0点:肌がべたつくと感じた場合。
【0041】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:べたつき感を感じない化粧料である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:べたつき感をほとんど感じない化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:べたつき感をやや感じる化粧料である。
×:合計点が20点未満:べたつき感のある化粧料である。
【0042】
(5)保湿効果の持続性
20名の男女(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布し、2時間後の肌のうるおいについて下記の基準で評価した。
2点:使用直後と変わらず肌が十分うるおっていると感じた場合。
1点:使用直後と比べてやや肌のうるおいが足りないと感じた場合。
0点:使用直後と比べて明らかに肌のうるおいが足りないと感じた場合。
【0043】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:持続的な保湿効果に優れる化粧料である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:持続的な保湿効果がある化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:持続的な保湿効果にやや欠ける化粧料である。
×:合計点が20点未満:持続的な保湿効果に欠ける化粧料である。
【0044】
(6)化粧のり
20名の女性(25〜47才)をパネラーとし、洗顔した後に皮膚化粧料(約2g)を塗布し、10分後にファンデーションを塗った際の化粧のりについて下記の基準で評価した。
2点:化粧のりが良いと感じた場合。
1点:化粧のりがやや良いと感じた場合。
0点:化粧のりが悪いと感じた場合。
【0045】
20名の合計点を求めて、下記の基準で評価して表1中に表示した。
◎:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーがいない:化粧のりが非常に良い化粧料である。
○:合計点が30点以上、かつ、0点の評価をしたパネラーが1人または2人:化粧のりが良い化粧料である。
△:合計点が20点以上30点未満:化粧のりがあまり良くない化粧料である。
×:合計点が20点未満:化粧のりが良くない化粧料である。
【0046】
【表1】
【0047】
※1「Ceracute(登録商標)−L」(日油株式会社製)表中の数字は「Ceracute−L」に含まれる(A)成分としての含有量を表す。
(Ceracute−L組成:(A)成分5%、グリセリン66.5%、1,3−ブタンジオール28.5%)
(A)成分は、式1中のR1およびR2が下記表2記載の単量体60モル%と、式3中のL1、L2およびR3が下記表3記載の単量体40モル%から得られる共重合体である。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
※2「ポリグリセリン# 500」(阪本薬品工業株式会社製)(化合物名:ヘキサグリセリン)
※3「ポリグリセリン# 750」(阪本薬品工業株式会社製)(化合物名:デカグリセリン)
※4「WIRBRIDE S−753」(日油株式会社製)
(C)成分は、式2中のx+y、zおよびPOとEOとの質量比(PO/EO)が下記表4の化合物である。
【0051】
【表4】
【0052】
※5「AQUOEC HV−505E」(住友精化株式会社製)(カルボキシビニルポリマー)(0.5%水溶液(pH=5.5)粘度140Pa・s)
※6「AQUOEC HV−501ER」(住友精化株式会社製)(アルキル変性カルボキシビニルポリマー)(0.5%水溶液(pH=5.5)粘度190Pa・s)
※7「ユニルーブ(登録商標)50TG−32」(日油株式会社製)(化粧品表示名称:PPG−24グリセリル−24)
【0053】
実施例1〜6の結果より、本発明の皮膚化粧料は、いずれも肌上でののびや肌へのなじみ性が良く、リッチな使用感を有し、またべたつかず、持続的な保湿効果が得られ、かつ、化粧のりに優れる効果が得られることが分かる。
【0054】
一方、比較例1〜9では十分な性能が得られていない。すなわち、比較例1では、(C)成分が配合されていないことから、肌上でののびやなじみ性が不十分であり、べたつき感が生じており、比較例2では、(A)成分が配合されていないことから、肌上でののびや化粧のりが不十分であり、リッチな使用感や保湿効果に乏しい。比較例3では、(B)成分の配合量が本発明規定の下限値より少ないことから、リッチな使用感や保湿効果に乏しく、比較例4では、(D)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、化粧のりが不十分であり、肌上でののびが不十分であり、リッチな使用感に乏しく、べたつき感が生じている。比較例5では、(B)成分が他の成分(グリセリン)に置き換えられていることから、肌上でののびやなじみ性が不十分であり、リッチな使用感に乏しく、べたつき感が生じており、比較例6では、(B)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えており、かつ、(C)成分の配合量が本発明規定の上限値を超えていることから、肌上でののびやなじみ性、化粧のりが不十分であり、べたつき感が生じている。比較例7では、(D)成分が他の成分(キサンタンガム)に置き換えられていることから、肌上でののびやなじみ、化粧のりが不十分であり、リッチな使用感に乏しく、比較例8では、(C)成分が他の成分に置き換えられていることから、肌へのなじみ性や化粧のりが不十分であり、べたつき感が生じている。比較例9では、(D)成分の配合量が本発明規定の下限値より少ないことから、肌上でののびが不十分であり、リッチな使用感や保湿効果に乏しい。