【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
コンバインの脱穀装置15は、扱胴16を前後方向の扱胴軸17によって脱穀室18に軸装し、この脱穀室18の一側に沿う穀稈移送口に穀稈を挾持して移送するフィ−ドチェン19を設け、車体前方の刈取装置20で刈取られて搬送装置21で搬送される穀稈の供給を受けて脱穀する。22は前側の供給口、23は後側の排稈口、24は脱穀室18の下側に沿って張設する脱穀網である。
脱穀室18の後側には排稈室25と排塵室26とが形成され、この排稈室25には前記フィ−ドチェン19によって搬送される脱穀済排稈を受けて後方の機外へ排出する排稈装置27を設け、排塵室26には吸引排塵機28を設けている。揺動選別棚1は、このような脱穀室18から排塵室26に亘る間の下方に設けられて、脱穀機枠に対して前後に揺動駆動されるように支架されている。又、この揺動選別棚1の下側に唐箕4及び主・副選別風路5,7、更には一番受樋14や二番受樋29等を配置する。
30は操縦台、31は操縦席、32は脱穀装置15で脱穀された穀粒を取出収容するグレンタンク、33は排稈を細断する排稈カッタ−である。Eはエンジンである。
操縦席31の側方には、変速レバー62を設けており、この変速レバー62の前後傾動操作によって、走行装置の駆動速度を無段階に変速する。
前記揺動選別棚1は、脱穀網24の下側に送り突子を形成した移送板34を配置し、この移送板34の終端から後方に亘って傾斜板35を一定間隔にして鎧板状に配置したチャフシ−ブ2を設け、該移送板34上から移送される脱穀物や排稈口23から排出されるわら屑等を受けて揺動移送しながら主として穀粒を漏下選別する。このチャフシ−ブ2の終端部には排塵室26の下側においてわら屑を揺動移送しながら後方へ排出するストロ−ラック36を配置する。3はグレンシ−ブで、前記チャフシ−ブ2から漏下される選別物を受けて穀粒を漏下選別するものである。
唐箕4は移送板34の下部に設けられて、後側の主選別風路5へ向けて主送風口6を開口し、又、副選別風路7へ向けて副送風口8を開口し、ファン37の回転によってこれらの送風口6,8から圧風を吹き出し、主選別風路5や副選別風路7から揺動選別棚1の選別間隙部等を経て、前記吸引排塵機28による吸引風として流すものである。
主送風口6と副送風口8との間には送風方向変更手段である風割9を設け、この風割9の後端面11は後下りの傾斜面として、上板38は若干後方へ突出するように延長し、下板39はこの上板38よりも後方へ延長させ、前記グレンシ−ブ3前端部の案内板13をこの後端面11の後側に対向させる。この案内板13は該上板38の後方延長面よりも適宜間隔下位にあって、揺動選別棚1が前後に揺動しても、これら上板38の上端部や後端面11に接触しないように構成している。
この上板38とこの上側に対向する案内板40との間に副送風口8が形成され、これら上板38と案内板40との間隔は、唐箕4側が広く、副選別風路7側が狭くなるように順次絞られて、送風が速くなるように形成されている。副選別風路7は、揺動選別棚1と一体の前記案内板13と移送板34の終端部下面に設けられる案内板41との間に、順次狭くなるように絞って形成されて、これらによって案内される選別風が移送板34の先端部とこの後側に対向するチャフシ−ブ2の前端部の傾斜板35との間の間隔部42を通して揺動選別棚1上方へ吹き抜けるように構成している。又、この傾斜板35の下端縁と案内板13の上端縁との間には、副選別風路7からグレンシ−ブ3上面に開通する間隔部43が形成され、該間隔部43から漏下される選別物をグレンシ−ブ3上へ案内させるように構成している。
このようにして、副送風口8から吹き出される選別風は、風速が高められて副選別風路7を間隔部42へ案内されるため、この間隔部42を上方へ吹き上げられる風圧によって移送板34上をこの間隔部42上へ送り出される脱穀物がここで浮上されて、わら屑等がチャフシ−ブ2の後部へ吹き飛ばされ易くなり、穀粒の漏下が行われ易く、揺動移送選別作用が速やかに円滑に行われる。
また、風割9は、枢支軸50で上下に回動可能に支持され、移送板34の上に設ける処理物層厚センサ51が多くの脱穀処理物を検出すると上方へ回動してファン37からの選別風を多く取り込んで副選別風路7に送られる
風量を増加させ、少しの脱穀処理物を検出すると下方へ回動して副選別風路7に送られる
風量を減少させるように自動制御される。
図4に風割9の上下回動を制御する自動制御のブロック図を示している。
風割制御コントローラ61に入力する信号は、脱穀装置15の入・切を検出する脱穀クラッチセンサ52のクラッチ信号、自動制御スイッチ54のオン・オフ信号、風割角度センサ55の風割9の角度、処理物層厚センサ51の検出する脱穀処理物の供給量検出信号、風割角度設定ダイヤル57の設定角度信号、駐車ペダルセンサ58からの駐車ペダル踏み込み信号、変速レバー62の操作位置を検出する主変速センサ59からの中立位置信号、車速センサ60からの走行速度信号であり、風割駆動モータ53へ風割9の角度制御信号を出力する。
風割制御コントローラ61は、自動制御スイッチ54をオンすると処理物層厚センサ51からの脱穀処理物の量によって風割駆動モータ53の自動制御を行う。処理物層厚センサ51による検出量が多い場合は、副選別風路7を流れる選別風の風量を増加させるように風割9を上方へ回動し、処理物層厚センサ51による検出量が少ない場合は、副選別風路7を流れる選別風の風量を減少させるように風割9を下方へ回動する方向へ風割駆動モータ53を駆動するのであるが、脱穀クラッチセンサ52がオンで、且つ、走行停止検出手段Dが機体の走行停止を検出した状態、すなわち手扱ぎ可能状態を判断すると、風割9を下方へ回動して副選別風路7を流れる選別風の風量を減少させるように風割駆動モータ53を制御する。
走行停止検出手段(D)は駐車ペダルセンサ58が駐車ペダルの踏み込みを検出するか、主変速センサ59が変速の中立を検出するか、または車速センサ60が速度ゼロを検出することによって機体の走行停止状態を判断する。
主送風口6に
は第二風割10及び風導板44を形成し、この風導板44の前端は、この上側の風割9の前端45や下側の第二風割10の前端46よりも後位置にあって、この風割9の下板39による唐箕4側からの風受面積を広くして、風割9と導風板44との間の送風力が大きくなるように構成して、主選別風路5におけるグレンシ−ブ3に沿う風当りを良くするように構成している。風導板44の後端部も上風割9の後端面11の下端縁よりも前位に設定して、後端面12上に流下する穀粒の邪魔をしない構成としている。
又、これら各段の風割9の後端面11と第二風割10の後端面12は、共に後下りの傾斜として、階段状に形成され、最下段の後端面12は一番受樋14上に臨ませている。
各傾斜板35は揺動選別棚1の側枠部に枢支されて、この傾斜角が急になるほど前後間隔が広くなり、脱穀選別物の漏下も行われ易くなる。
なお、エンジンEから生じる排気ガス中の微粒子を集めるフィルタを再生させるために排気管の温度を上昇させて微粒子を焼却する排気浄化装置を搭載したコンバインでは、フィルタの再生時に、脱穀装置15の扱ぎ深さ自動制御で深扱ぎに設定して駆動負荷を増大させたり、前記風割9を上方へ回動させて駆動負荷を増大させて、フィルタを昇温させる。
また、エンジンEの回転数を自動制御するエンジン回転制御において、オーガ排出クラッチを切り刈取脱穀クラッチを切り走行主変速レバーを中立にする条件で、例えアクセルレバーで回転数を指示していてもエンジン回転数を指示回転数よりも数%だけ低下させる制御を行って、省燃費運転をする。この場合に、前記条件が成立する前の実回転数がアクセルレバー指示回転数より低ければ増速をしない。なお、駐車ブレーキを入りから切にした場合やアクセルレバーを所定以上動かした場合或いはエンジン自動制御スイッチを切り再度入れた場合には、エンジン回転数をアクセルレバー指示回転数に戻す。また、エンジン回転数を指示回転数よりも低下させている場合にはエンジン自動制御スイッチの表示ランプを点滅させる。この表示ランプの点滅はエンジン回転数を指示回転数に戻すと連続点灯に変更する。
また、刈取装置を降下して所定距離走行した場合或いは刈取装置の接地センサが設置を感知した場合には、刈取装置を上昇させると刈取作業中の旋回動作として刈取装置の駆動を停止させる。