(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変更手段は、前記印刷装置の再起動後、前記第1のダイナミックリコンフィグラブルプロセッサ及び前記第2のダイナミックリコンフィグラブルプロセッサが、前記印刷装置のエラーによる動作中断時に前記第1グループの画像処理工程が行われた画像データを用いて、前記第2グループの画像処理工程及び前記他の処理工程を実行するように、前記第1のダイナミックリコンフィグラブルプロセッサ及び前記第2のダイナミックリコンフィグラブルプロセッサに割当てられる画像処理工程の設定を変更することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記印刷装置のエラーの種類及び当該エラーの発生からの経過時間に応じて、前記画像処理工程の設定を変更するか否かを決定する決定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1(A)は、第1の実施の形態に係る画像形成装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
図1(B)は、
図1(A)のシステムの変形例を示すブロック図である。
【0022】
図1(A)のシステムは、画像形成装置1A,1B、前処理装置4、後処理装置5、及び端末装置6を備えている。画像形成装置1A,1Bは、業務用の大型印刷システムであり、それぞれ印刷装置2A,2B及びワークステーション3A−1〜3A−4,3B−1〜3B−4を備えている。尚、各印刷装置に接続されるワークステーションの個数は、4つに限定されるものではなく、1つ以上であればよい。以下の説明では、同一の機能を有する複数の構成要素を区別する必要がない場合は、1つの参照符号で構成要素を特定する。例えば、ワークステーション3A−1〜3A−4,3B−1〜3B−4は、それぞれワークステーション3A,3Bとして表す。
【0023】
ワークステーション3A,3Bは、コンピュータであり、ネットワーク7を介して端末装置6に接続されている。尚、端末装置6はワークステーション3A,3Bと高速なデータ転送媒体で接続されていてもよい。また、ワークステーション3A,3Bも、高速なデータ転送媒体を介してそれぞれ印刷装置2A,2Bに接続されていてもよい。
【0024】
前処理装置4は、ロール状に巻かれている連続紙(以下、ロール紙という)を備え、ロール紙を印刷装置2Aに搬送する。印刷装置2Aは、ロール紙の表(おもて)面に画像データやテキストデータなどを印刷し、印刷したロール紙を出力する。印刷装置2Aから出力されたロール紙は、反転されて、印刷装置2Bに入力される。印刷装置2Bは、ロール紙の裏面に画像データやテキストデータなどを印刷し、後処理装置5に出力する。後処理装置5は、印刷装置2Bから出力されたロール紙を巻き取る。
【0025】
端末装置6は、印刷装置2A,2Bでロール紙に印刷される印刷ジョブ及び印刷指示を作成し、印刷ジョブ及び印刷指示をネットワーク7を介してワークステーション3A,3Bに送信する。ワークステーション3A,3Bは、端末装置6から送信されてきた印刷ジョブ及び印刷指示を受信し、印刷ジョブを印刷装置2A,2Bで印刷可能なラスター形式の画像データに変換するとともに、このラスター形式の画像データが印刷装置2A,2Bでロール紙に印刷されるように印刷装置2A,2Bの印刷動作を制御する。尚、ラスター形式のデータとは、画像を格子状に多くのピクセルに分割したときに、各ピクセルの色や濃度をRGBやYMCK等の表色系を用いて表現した数値である。印刷装置2A,2Bは、それぞれワークステーション3A,3Bの制御に基づいて印刷指示に応じた画像データやテキストデータなどをロール紙上に印刷する。
【0026】
印刷装置1A,1Bでは、例えば、ロール紙の幅方向に2ページ分のA4サイズの画像データ又はテキストデータなどが形成される。また、印刷装置1A,1Bでは、例えば、A4サイズの画像データ又はテキストデータなどがロール紙の搬送方向に連続で印刷される。また、印刷装置2A,2Bは、カラー印刷装置でも白黒印刷装置でもよい。本実施例では2台の印刷装置を直列に接続する例を挙げたが、1台で両面を印刷する構成でも良いことはいうまでもない。
【0027】
図1(B)のシステムは、ロール紙の代わりにカット紙(例えば、A3サイズ、A4サイズのように予め決められたサイズに裁断されている用紙)が使用される点で
図1(A)のシステムと異なる。
図1(B)のシステムには、
図1(A)の前処理装置4及び後処理装置5に代えて、用紙供給装置8及び用紙回収装置9が設けられている。用紙供給装置8は、カット紙を画像形成装置1Aに供給する。用紙回収装置9は、画像が形成されたカット紙を画像形成装置1Bから回収する。尚、
図1(B)の画像形成装置1A,1B及び端末装置6の構成は、
図1(A)のそれらの構成と同一である。また、以下の説明では、
図1(A)のシステムが使用されているが、
図1(B)のシステムも使用できる。
【0028】
図2(A)は、印刷装置2Aの概略構成を示すブロック図である。
図2(B)は、印刷装置2Aの制御部が有する、エラーの種別を検出するためのテーブル情報の例を示す図である。印刷装置2Bの構成は、印刷装置2Aの構成と同一なので、その説明は省略する。また、印刷装置2Bの制御部も、
図2(B)に示すテーブル情報を有する。
【0029】
図2(A)において、印刷装置2Aは、印刷装置全体の動作を制御する制御部101、ワークステーション3Aと通信するための通信部102、エラーを検出するためのセンサ群103、感光ドラム104、感光ドラム104上に静電潜像を形成する帯電部105、感光ドラム104上のトナー像をロール紙に転写する転写部106、トナー像をロール紙に定着させる定着部107、及びトナーを供給するトナーカートリッジ108を備えている。制御部101は、CPU110、メモリ111、及びタイマ112を備えている。メモリ111は、
図2(B)に示すテーブル情報を備えている。本実施例では、印刷装置として電子写真方式を例に挙げ、感光ドラム104、帯電部105、トナー等を挙げたが、印刷装置としてはインクジェット方式でもよく、その場合は、トナーの代わりにインクを使用することとなり、感光ドラム104等は必ずしも必要としない。
【0030】
図2(B)のテーブル情報は、エラーの種類及びエラーコードで構成されている。エラーの種類は、印刷再開に長時間を要するエラーと短時間で印刷再開可能なエラーとを含む。例えば、用紙交換、ドラム交換、トナー切れ、及び紙詰まり(ジャム)などは、印刷再開に長時間(例えば10分以上)を要するエラーであり、パネル開放及び通信ケーブル未接続などは、短時間(例えば10分未満)で印刷再開可能なエラーである。また、印刷再開に長時間を要するエラーとは、例えば、感光ドラム104、帯電部105、転写部106、及び定着部107などのいわゆるプリントエンジンの所定値以上(例えば、20度以上)の温度変動を引き起こすエラー、即ち、印刷再開前後の印刷装置2Aの色特性の変動原因となるエラーである。短時間で印刷再開可能なエラーは、プリントエンジンの所定値以上の温度変動を引き起こさないエラー、即ち、印刷再開前後の印刷装置2Aの色特性の変動原因となり難いエラーである。また、
図2(B)のテーブル情報は、一例であり、テーブル情報はこれに限定されるものではない。
図2(B)のテーブル情報は、印刷装置2Aの不図示のユーザインターフェース又はワークステーション3Aからの指示によって編集可能である。
【0031】
CPU110は、センサ群103や通信部102からエラーコードを検出すると、メモリ111内のテーブル情報を読み出して、エラーの種類を特定する。また、CPU110は、タイマ112を使って、エラーコードの検出からの経過時間を計る。
【0032】
図3は、ワークステーション3A,3Bの構成図である。
図3では、ワークステーション3Bの構成は括弧書で示す。
【0033】
ワークステーション3Aは、制御部11A、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N(N:自然数)、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A、及びユーザインタフェース17Aを備えている。同様に、ワークステーション3Bは、制御部11B、記憶部12B、ハードウエアアクセラレータ13B−1〜13B−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14B、ネットワークインタフェースカード(NIC)15B、及びユーザインタフェース17Bを備えている。ワークステーション3Bの構成は、ワークステーション3Aの構成と同様であるので、以下、その説明は省略する。
【0034】
制御部11Aは、CPUで構成され、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A及びユーザインタフェース(UI)17Aにバス16Aを介して接続されている。制御部11Aは、記憶部12A、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−N、印刷装置インタフェース(I/F)ボード14A、ネットワークインタフェースカード(NIC)15A及びUI17Aの動作を制御する。また、制御部11Aは、ネットワークインタフェースカード(NIC)15Aを介して、ワークステーション3Bの制御部11Bと通信する。
【0035】
尚、記憶部12Aは、
図2(B)のテーブル情報を備えていてもよい。また、制御部11Aはエラーコードを印刷装置2Aから受信し、記憶部12A内のテーブル情報を読み出して、エラーの種類を特定してもよい。この場合、制御部11Aが、エラーコードの検出時からの経過時間を計る。つまり、ワークステーション3Aは、印刷装置2Aのエラーの種類を特定したり、印刷装置2Aのエラー発生からの経過時間を計測することもできる。
【0036】
ネットワークインタフェースカード15Aは、端末装置6から送信されてきた印刷ジョブを受信する。ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、印刷ジョブに対して、指定された各種の画像処理を行って、印刷ジョブを印刷装置1Aで印刷可能なラスター形式の画像データに変換し、記憶部12Aに格納する。また、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、ネットワークインタフェースカード(NIC)15Aを介して、ワークステーション3Bのハードウエアアクセラレータ13B−1〜13B−Nと通信可能である。記憶部12Aは、メモリ又はハードディスクドライブ等で構成されている。印刷装置インタフェース(I/F)ボード14Aは、記憶部12Aに格納された画像処理後の印刷データに所定の処理を行い、処理後の印刷データを印刷装置1Aに対して転送する。この所定の処理は、印刷装置1Aからの補正データに基づいて画像データの階調を補正するキャリブレーション処理、及び印刷データの転送に使用されるプロトコルを選択するプロトコル選択処理である。
【0037】
UI17Aは、記憶部12Aに格納されるデータやテーブル情報等を設定する場合や、印刷装置2Aの動作を制御する場合に、使用される。
【0038】
図4は、ハードウエアアクセラレータ13A−1の構成を示す図である。
図4では、ハードウエアアクセラレータ13A−1に描画プロセッサを複数個実装し画像処理を行う。ハードウエアアクセラレータに実装される描画プロセッサは複数実装された例を挙げたが、ひとつのハードウエアアクセラレータにひとつの描画プロセッサを実装してもよい。ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−N,13B−1〜13B−Nの構成は、ハードウエアアクセラレータ13A−1の構成と同様である。ハードウエアアクセラレータに実装される複数の描画プロセッサを用いて、画像処理を並列に実行することも可能である。
【0039】
ハードウエアアクセラレータ13A−1は、ソフトウエアによるラスタイメージ処理(RIP)を補助するRIPアシストボードとして機能する。また、ハードウエアアクセラレータ13A−1は、ロール紙上に指定されたサイズ(例えばA4サイズ)のページデータを作成するページデータ作成ボードとして機能する。
【0040】
ハードウエアアクセラレータ13A−1は、外部インタフェース21、描画プロセッサ22−1〜22−N(N:自然数)、及びメモリ23−1〜23−Nを備えている。描画プロセッサ22−1〜22−Nは、バス24を介して外部インタフェース21に接続されている。描画プロセッサ22−1〜22−Nは、それぞれメモリ23−1〜23−Nに接続されている。
【0041】
外部インタフェース21は、
図3のバス16Aとバス24との間に設けられている通信インタフェースである。外部インタフェース21は、
図3の制御部11Aと描画プロセッサ22−1〜22−Nとの間のデータ通信を実行する。
【0042】
次に、描画プロセッサ22−1の構成を説明する。尚、描画プロセッサ22−2〜22−Nの構成は、描画プロセッサ22−1の構成と同様である。
【0043】
描画プロセッサ22−1は、動的にチップ内部の回路構成を入れ替えることが可能なプロセッサ(ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサ)である。描画プロセッサ22−1は、複数の画像処理が指示された場合には、回路構成の入れ替え処理を繰り返し実行することが可能である。例えば、描画プロセッサ22−1は、最初の画像処理の終了後に、次の画像処理に対応するようにチップ内部の回路構成を入れ替えることができる。描画プロセッサ22−1は、システム制御部31と、演算器群32と、結線情報格納部33と、高速バススイッチ34と、メモリインタフェース35と、バスインタフェース36とを備えている。
【0044】
演算器群32は、加算器、乗算器等の各種演算器により構成されている。結線情報格納部33は、演算器群22に含まれる各種の演算器を組み合わせることにより、制御部11Aから要求された画像処理を実現するための複数の結線情報を格納する。この複数の結線情報はメモリ23−1から読み出されて、結線情報格納部33に格納される。
【0045】
システム制御部31は、制御部11Aからの画像処理コマンド(画像処理要求)に基づいて、結線情報格納部43に格納されている1つの結線情報を選択し、選択された結線情報に基づいて演算器群42に含まれる各種の演算器を組み合わせることにより、要求された画像処理を実行する。従って、ダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサである描画プロセッサ22−1は、複数の画像処理が指示された場合でも、結線情報を適宜変更するだけで、要求された複数の画像処理を実行するので、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)よりもチップ面積が小さくなる。尚、本実施の形態では、描画プロセッサ22としてダイナミック・リコンフィグラブル・プロセッサを使用するが、FPGAやASIC、GPUを描画プロセッサ22として使用してもよい。
【0046】
高速バススイッチ34は、システム制御部31、演算器群32、メモリインタフェース35、及びバスインタフェース36の間のデータ経路を高速に切り替えるためのバススイッチである。メモリインタフェース35は、メモリ23−1と高速バススイッチ34との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。バスインタフェース36は、バス24と高速バススイッチ34との間でデータの送受信を行うためのインタフェースである。メモリ23−1は、後述する接続情報及びテーブルなどを格納する。
【0047】
描画プロセッサ22−1は、上記構成を使用し、制御部11Aからの画像処理コマンドで指定された画像処理を短時間で実現する。
【0048】
図5は、端末装置6及びワークステーション3Aで実行される処理を示すフローチャートである。尚、
図5の処理はワークステーション3Bでも実行可能である。
【0049】
まず、端末装置6が、印刷ジョブを受信し、印刷ジョブをページ単位に分割する(ステップS1)。次に、制御部11Aは、各ページに含まれるデータをテキストデータと画像データとに分割する(ステップS2)。制御部11Aは、分割されたテキストデータに対しソフトウエアでラスタイメージ処理(RIP)を実行する(ステップS3)。一方、ハードウエアアクセラレータ13A−1は、分割された画像データに対しラスタイメージ処理(RIP)を実行する(ステップS4)。尚、複数のハードウエアアクセラレータがステップS4を実行してもよい。ステップS4のRIPでは、入力データフォーマットにより必要に応じてJPEG(Joint Photographic Experts Group)伸張処理、拡大・縮小処理、色空間変換処理等の各種画像処理が上位の指示により選択して実行される。そして、ステップS4では、RIP済みのYMCK形式のRAW画像が生成される。
【0050】
その後、制御部11Aは、RIP済みの画像データを受け取り、このRIP済みの画像データと、ソフトウェアによりRIPを行ったテキストデータとを合成して、YMCK各色毎の2値画像を生成する(ステップS5)。
【0051】
ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nは、2値画像である1ページ分の画像データを受信し、受信した画像データに対して、回転処理や面付け処理(例えばA3サイズの領域に2ページのA4サイズの画像データを貼り付ける処理)を実行する(ステップS6)。
【0052】
最後に、印刷装置I/Fボード14Aが、回転処理や面付け処理が完了した画像データをハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nから受信し、印刷装置1Aからの補正データに基づいて受信した画像データの階調を補正するキャリブレーション処理、及び印刷データの転送に使用されるプロトコルを選択するプロトコル選択処理を実行し、全ての処理が完了した画像データを印刷装置1Aに送信する(ステップS7)。
【0053】
図6は、記憶部12Aに格納されるデータの一例を示す図である。尚、記憶部12Bにも同様のデータが格納されている。
【0054】
図6に示すように、記憶部12Aは、伸張処理用接続情報41、縮小処理用接続情報42、回転処理用接続情報43、色変換処理用接続情報44、ユーザTRC(tone reproduction curve)処理用接続情報45、キャリブレーション処理用接続情報46、フィルタ処理用接続情報47、拡大処理用接続情報48、スクリーン処理用接続情報49、ページ回転処理用接続情報50、及びページ面付け処理用接続情報51を備えている。また、記憶部12Aは、色変換テーブル52、ユーザTRCテーブル53、及びキャリブレーションテーブル54を備えている。各接続情報は、上述した結線情報、及び描画プロセッサ22の動作を決定するパラメータ等を含む。
【0055】
各接続情報及び各テーブルは、描画プロセッサ22で使用される。伸張処理用接続情報41は、JPEG伸張処理のような、画像データの伸張処理に使用される。縮小処理用接続情報42は、描画プロセッサ22が画像データを縮小する際に使用される。回転処理用接続情報43は、描画プロセッサ22が画像データを回転する際に使用される。
【0056】
色変換処理用接続情報44及び色変換テーブル52は、描画プロセッサ22が画像データの色変換を実行する際に使用される。例えば、描画プロセッサ22は、色変換テーブル52に従って画像データのRGB成分をCMY成分に変換する。ユーザTRC処理用接続情報45及びユーザTRCテーブル53は、描画プロセッサ22が画像データの階調を補正する際に使用される。例えば、描画プロセッサ22は、ユーザにより指定された、ユーザTRCテーブル53内の階調補正カーブに従って、画像データの階調を補正する。
【0057】
キャリブレーション処理用接続情報46及びキャリブレーションテーブル54は、描画プロセッサ22が画像データにキャリブレーション処理を実行する際に使用される。キャリブレーション処理とは、印刷装置2Aの環境変化や経時変化による影響を補償するために、画像データの階調を補正する処理である。印刷装置2Aの階調特性を補正する処理が加わっていても構わない。キャリブレーションテーブル54は、描画プロセッサ22が、所定のタイミング(例えば、印刷ジョブの開始時点など)で印刷装置2Aから補正データを受信することにより、更新される。フィルタ処理用接続情報47は、描画プロセッサ22が画像データ内のノイズを削除する際に使用される。
【0058】
拡大処理用接続情報48は、描画プロセッサ22が、指定されたサイズに画像データを拡大するために使用される。スクリーン処理用接続情報49は、描画プロセッサ22が、CMY成分の多値化された画像データとK成分の多値化された画像データとをCMYK成分の2値化の画像データに変換する際に使用される。ページ回転処理用接続情報50は、描画プロセッサ22が1ページ分の画像データを回転する際に使用される。ページ面付け処理用接続情報51は、描画プロセッサ22が、所定の領域に各ページの画像データを貼り付ける際に使用される。
【0059】
制御部11Aが画像処理要求を描画プロセッサ22−1に出力するときに、画像処理要求に対応する、結線情報を含む接続情報及びテーブルは、一緒に描画プロセッサ22−1に出力され、メモリ23−1に格納される。メモリ23−1に格納された接続情報は、システム制御部31により結線情報格納部43に格納される。システム制御部31は、その画像処理要求に基づいて、結線情報格納部43に格納されている1つの結線情報を選択し、選択された結線情報に基づいて演算器群42に含まれる各種の演算器を組み合わせることで、その画像処理を実行する回路を作成し、要求された画像処理を実行する。尚、テーブルが必要な画像処理では、システム制御部31は、適宜メモリ23−1からテーブル読み出す。
【0060】
図7(A)は、ハードウエアアクセラレータ13A−1が実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。
図7(B)は、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nが実行する画像処理の一例を示すシーケンス図である。
図7(C)は、印刷装置I/Fボード14Aが実行する処理の一例を示すシーケンス図である。
【0061】
図7(A)では、ハードウエアアクセラレータ13A−1が、ソフトウエアによるラスタイメージ処理(RIP)を補助するRIPアシストボードとして機能しており(以下RIPアシスト機能という)、画像データに対しラスタイメージ処理(RIP)を実行している。RIPアシスト機能で実行されるラスタイメージ処理は、伸張処理用接続情報41を使用する伸張処理(P1)、縮小処理用接続情報42を使用する縮小処理(P2)、回転処理用接続情報43を使用する回転処理(P3)、色変換処理用接続情報44及び色変換テーブル52を使用する色変換処理(P4)、ユーザTRC処理用接続情報45及びユーザTRCテーブル53を使用するユーザTRC処理(P5)、キャリブレーション処理用接続情報46及びキャリブレーションテーブル54を使用するキャリブレーション処理(P6)、フィルタ処理用接続情報47を使用するフィルタ処理(P7)、拡大処理用接続情報48を使用する拡大処理(P8)及びスクリーン処理用接続情報49を使用するスクリーン処理(P9)を含む。尚、キャリブレーションテーブル54は、入力画像の各色データと出力画像の各色データとを関連付けしたルックアップテーブルである。上述したように、ハードウエアアクセラレータ13A−1に含まれる描画プロセッサ22は、結線情報を適宜変更するだけで、要求された複数の画像処理を実行するので、描画プロセッサ22は、各処理P1〜P8の終了後に次の処理に対応するようにチップ内部の回路構成を順次入れ替える。
【0062】
図7(B)では、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nが、ロール紙上に指定されたサイズ(例えばA4サイズ)のページを作成するページ作成ボードとして機能する(以下ページ作成機能という)。ページ作成機能で実行される処理は、ページ回転処理用接続情報50を使用するページ回転処理(P10)及びページ面付け処理用接続情報51を使用するページ面付け処理(P11)を含む。
【0063】
図7(C)では、印刷装置I/Fボード14Aで実行される処理は、印刷装置1Aからの補正データに基づいて、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nから受信した画像データの階調を補正するキャリブレーション処理(P12)、及び印刷データの転送に使用されるプロトコルを選択するプロトコル選択処理(P13)を含む。
【0064】
尚、複数のハードウエアアクセラレータがRIPアシストボードとして機能してもよいし、1つハードウエアアクセラレータがページ作成ボードとして機能してもよい。
【0065】
ユーザは、UI17A又は端末装置6を介して上記画像処理(P1〜P13)や処理順番を制御部11Aに設定する。これらの画像処理や処理順番は設定情報として記憶部12Aに保存される。
図7(A)〜(C)のシーケンス図は設定情報として機能する。制御部11Aは、印刷ジョブを端末装置6から受信したときに、設定情報を記憶部12Aから読み出し、設定情報に従って、当該設定された画像処理に対応する接続情報及びテーブルを順次後述するデータベースで指定されたハードウエアアクセラレータ13Aに出力する。尚、設定情報はシーケンス図で設定されるので、ユーザはハードウエアアクセラレータ13A及び印刷装置I/Fボード14Aで実行される画像処理や処理順番を認識しやすい。
【0066】
図8は、ワークステーション、ハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサの番号と機能との関係を示すデータベースである。
【0067】
図8のデータベースは、記憶部12Aに格納されており、ワークステーション3Aに設けられたユーザインタフェース17Aや端末装置6から設定される。また、
図8のデータベースは、ユーザインタフェース17Aや端末装置6から編集可能である。尚、データベースは、記憶部12Bにも格納されている。
【0068】
図8に示すように、データベースには、全てのワークステーションに含まれるハードウエアアクセラレータ及び描画プロセッサの番号と機能との関係が記載されている。
図8では、ハードウエアアクセラレータ13A−1に含まれる全ての描画プロセッサ22−1〜22−Nが、ロール紙の表面のRIPアシスト機能に割り当てられている。また、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nの各々に含まれる全ての描画プロセッサ22−1〜22−Nが、ページ作成機能に割り当てられている。
【0069】
制御部11Aは、このデータベースに従って、各ハードウエアアクセラレータ13A及び各描画プロセッサ22をRIPアシスト機能に含まれる画像処理やページ作成機能に含まれる画像処理に割り当てている。
【0070】
図9は、ユーザTRC処理(P5)、キャリブレーション処理(P6)及びキャリブレーション処理(P12)を実行するワークステーション3Aと印刷装置2Aとの概略構成図である。尚、ワークステーション3B及び印刷装置2Bの概略構成も、
図9と同様である。
【0071】
印刷装置2Aは、ドラム70と、ロール紙上のページ作成領域外の領域に作成されたキャリブレーション処理用の印刷パッチを読み取るイメージセンサ71と、読み取れた印刷パッチを使ってキャリブレーション処理用の補正データを作成する制御部72とを備えている。本実施の形態では、制御部72は、予め各色成分のマスタールックアップテーブル(LUT)を有する。そして、制御部72は、公知の技術に基づいて、イメージセンサ71で読み取れた各色成分の印刷パッチ及びマスターLUTを使って、各色成分のキャリブレーション処理用のLUT(階調補正用の補正データ)を作成する。
【0072】
ユーザTRC処理(P5)では、ユーザが、UI17Aを使って、ユーザTRCテーブル53の階調補正カーブを変更することで、画像データの階調が補正される。
【0073】
キャリブレーション処理(P6)では、制御部11Aが、印刷装置2Aの制御部72で作成されたキャリブレーション処理用のLUTを受信し、キャリブレーション処理用のLUTを使ってキャリブレーションテーブル54を更新する。キャリブレーションテーブル54は、所定のタイミング(例えば、印刷ジョブの開始時点など)で更新される。
【0074】
キャリブレーション処理(P12)では、印刷装置I/Fボード14Aが、イメージセンサ71で読み取れた印刷パッチを使って、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nから受信した画像データの階調を補正する。具体的には、印刷装置I/Fボード14Aは、イメージセンサ71で読み取れた印刷パッチのデータを使って、ドラム70の周期ムラ及び複数色の濃度差に対応する画像データの補正をリアルタイムに実行する。
【0075】
このように、キャリブレーション処理(P6)及びキャリブレーション処理(P12)は、印刷装置2Aからの階調補正用の補正データに基づいて、画像データの階調を補正する処理である。
【0076】
以下、ロール紙の交換前、ロール紙の交換中、及びロール紙の交換後にワークステーション3Aで実行される処理を説明する。
【0077】
ロール紙が交換される前には、制御部11Aは、
図7(A)〜(C)の設定情報に従って、ハードウエアアクセラレータ13Aに含まれる描画プロセッサ22や印刷装置I/Fボード14Aに画像処理を実行させている。
【0078】
ところで、従来、印刷途中にロール紙が不足すると、制御部11Aは、ハードウエアアクセラレータ13A及び印刷装置I/Fボード14Aに画像処理の中断信号を出力していた。ロール紙の交換が終了すると、制御部11Aは、ハードウエアアクセラレータ13A及び印刷装置I/Fボード14Aに画像処理の再開信号を出力していた。これにより、
図7(A)〜(C)の設定情報に従って、中断された画像処理が再開されていた。
【0079】
しかしながら、キャリブレーション処理(P6)及びキャリブレーション処理(P12)では、ロール紙の交換前の印刷装置2Aからの補正データに基づいて、ロール紙の交換後の画像データの階調を補正するため、ロール紙の交換前後で出力画像の色差(色の濃度差)が生じることがある。
【0080】
そこで、本実施の形態では、ロール紙の交換時に、制御部11Aがロール紙の交換前の設定情報に含まれる複数の画像処理を印刷装置2Aからの補正データに関係なく実行される画像処理を含む第1グループと印刷装置からの補正データに基づいて実行される画像処理を含む第2グループとに分割し、ロール紙の交換中に、ロール紙の交換前の設定情報を第1グループを含む第1設定情報に変更し、ロール紙の交換後に、第1設定情報を第2グループを含む第2設定情報に変更する。そして、制御部11Aは、ロール紙の交換後に、ロール紙の交換後の印刷装置2Aからの補正データに基づいて、描画プロセッサ22や印刷装置I/Fボード14Aに画像データの階調を補正させる。尚、制御部11Aは、UI17A又は端末装置6からの指示に応じて、ロール紙の交換前の設定情報に含まれる複数の画像処理を上記第1グループと上記第2グループとに分割してもよい。また、制御部11Aは、UI17A又は端末装置6からの指示に応じて、ロール紙の交換中に、ロール紙の交換前の設定情報を第1グループを含む第1設定情報に変更し、ロール紙の交換後に、第1設定情報を第2グループを含む第2設定情報に変更してもよい。
【0081】
ロール紙の交換時に、制御部11Aは、
図7(A)の設定情報に含まれる画像処理を伸張処理(P1)〜ユーザTRC処理(P5)(第1グループ)とキャリブレーション処理(P6)〜スクリーン処理(P9)(第2グループ)とに分割する。そして、ロール紙の交換中に、制御部11Aは、
図7(A)〜(C)の設定情報を
図10(A)〜(C)の設定情報に変更する。同時に、制御部11Aは、
図8のデータベースを
図11(A)のデータベースに変更する。
図10(A)〜(C)は、ロール紙の交換中の設定情報であり、
図11(A)はロール紙の交換中のデータベースである。ロール紙の交換中は、RIPアシスト機能の一部及びページ作成機能は実行されないので、印刷装置I/Fボード14Aは実行すべき処理を有していない。従って、
図10(C)に示すように、印刷装置I/Fボード14Aの設定情報は存在しない。
【0082】
図10(A),(B)及び
図11(A)に示すように、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、ロール紙の交換中、印刷装置2Aからの補正データを使用するキャリブレーション処理より前の第1グループの画像処理を実行する。即ち、印刷装置2Aからの補正データを使用しない画像処理を実行する。これにより、ロール紙の交換中でさえも、画像処理が実行されるので、画像処理全体の処理時間が短縮する。また、
図8及び
図11(A)に示すように、ロール紙の交換前にページ作成機能を実行していたハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nは、ロール紙の交換中にRIPアシスト機能を実行する。よって、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13−Nが有効活用される。
【0083】
尚、
図10(A),(B)に示す圧縮処理(P14)は、伸張処理(P1)〜ユーザTRC処理(P5)が実行された画像データを圧縮し、記憶部12に一時保存する処理である。この圧縮処理(P14)は、任意の処理であり、必ずしも実行されなくてもよい。
【0084】
ロール紙の交換後に、制御部11Aは、
図10(A)〜(C)の設定情報を
図12(A)〜(C)の設定情報に変更する。同時に、制御部11Aは、
図11(A)のデータベースを
図11(B)のデータベースに変更する。
図12(A)〜(C)は、ロール紙の交換後の設定情報であり、
図11(B)はロール紙の交換後のデータベースである。
【0085】
図12(A),(B)及び
図11(B)に示すように、ハードウエアアクセラレータ13A−1〜13A−Nは、ロール紙の交換後、記憶部12に一時保存された圧縮画像データを伸張する第2伸張処理(P15)、印刷装置2Aからの補正データを使用するキャリブレーション処理及び残りの画像処理を実行する。これにより、ハードウエアアクセラレータ13A−1がRIPアシスト機能を実行し、ハードウエアアクセラレータ13A−2〜13A−Nがページ作成機能を実行する場合と比べて、画像処理全体の処理時間が短縮する。また、
図8及び
図11(B)に示すように、ロール紙の交換前に伸張処理(P1)〜ユーザTRC処理(P5)を実行していた描画プロセッサ22がロール紙の交換後に別の画像処理を実行するので、描画プロセッサ22が有効活用される。尚、第2伸張処理(P15)は、圧縮処理(P14)が実行される場合に、実行される。
【0086】
各画像処理に割り当てられるハードウエアアクセラレータ13Aや描画プロセッサ22は、データベースに従って変更されるが、制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aからの指示(具体的には、データベースの書き換え)によって、各画像処理に割り当てられるハードウエアアクセラレータ13Aや描画プロセッサ22を変更してもよい。
【0087】
図13は、制御部11Aで実行される処理を示すフローチャートである。
図13の処理は制御部11Bでも実行される。
【0088】
まず、制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aからロール紙の交換開始信号を入力したか否かを判別する(ステップS11)。または、制御部11Aは、印刷ジョブとロール紙の残量とを使用してロール紙の交換開始タイミングを算出し、ロール紙の交換開始タイミングが経過した時にロール紙の交換開始信号を入力したと判断してもよい。
【0089】
ステップS11でNOの場合には、本処理を終了する。一方、ステップS11でYESの場合には、制御部11Aは、ロール紙の交換前の設定情報(
図7(A))に含まれる画像処理を伸張処理(P1)〜ユーザTRC処理(P5)(第1グループ)とキャリブレーション処理(P6)〜スクリーン処理(P9)(第2グループ)とに分割する(ステップS12)。そして、制御部11Aは、ロール紙の交換前の設定情報を第1グループの画像処理を含む第1設定情報(即ち、ロール紙交換中の設定情報)に変更すると共に、
図11(A)のデータベースに従って各描画プロセッサに割り当てる画像処理を変更する(ステップS13)。具体的には、制御部11Aは、
図7(A)〜(C)の設定情報を
図10(A)〜(C)の設定情報に変更し、
図8のデータベースを
図11(A)のデータベースに変更する。これにより、ロール紙の交換中の設定情報に従って、各描画プロセッサは自身に割り当てられた画像処理を実行する。
【0090】
次に、制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aからロール紙の交換終了信号を入力したか否かを判別する(ステップS14)。ステップS14でNOの場合には、当該判別を繰り返す。一方、ステップS14でYESの場合には、制御部11Aは、第1設定情報を第2グループの画像処理を含む第2設定情報(即ち、ロール紙の交換後の設定情報)に変更すると共に、
図11(B)のデータベースに従って各描画プロセッサに割り当てる画像処理を変更する(ステップS15)。具体的には、制御部11Aは、
図10(A)〜(C)の設定情報を
図12(A)〜(C)の設定情報に変更し、
図11(A)のデータベースを
図11(B)のデータベースに変更する。これにより、ロール紙の交換後の設定情報に従って、各描画プロセッサは自身に割り当てられた画像処理を実行する。
【0091】
制御部11Aは、ロール紙の交換後の印刷装置2Aからの補正データを受信し、キャリブレーション処理(P6)を実行する描画プロセッサ22に補正データを送信する(ステップS16)。これにより、キャリブレーション処理(P6)を実行する描画プロセッサ22は、ロール紙の交換後の印刷装置2Aからの補正データに基づいて、画像データの階調を補正するようになる。尚、印刷装置I/Fボード14Aは、ロール紙の交換後の印刷装置2Aからの補正データをリアルタイムで受信し、キャリブレーション処理(P12)を実行する。
【0092】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、ロール紙の交換が生じた際、制御部11Aがロール紙の交換中及びロール紙の交換後に画像処理工程を組み替えて、ハードウエアアクセラレータ13Aや描画プロセッサ22を有効活用するので、ロール紙交換後の画像形成再開までの時間を低減することができる。結果として、画像処理全体の処理時間が短縮することができる。また、ロール紙の交換前の印刷装置2Aからの補正データに基づいてロール紙の交換後の画像処理が実行されることがないので、ロール紙の交換前後で出力画像の色差(色の濃度差)が低減される。
【0093】
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、印刷装置のエラーとしてロール紙の交換が想定されている。第2の実施の形態では、印刷装置のエラーの種類に応じて変更される処理シーケンスを説明する。尚、第2の実施の形態のシステムの構成は、
図1(A)又は(B)のシステムの構成と同様であるので、その説明は省略する。
【0094】
図14は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置1Aで実行される処理を示すフローチャートである。尚、画像形成装置1Bでも、
図14と同様の処理が実行される。
【0095】
まず、印刷装置2Aのエラーが発生すると(ステップS21)、印刷装置2Aの制御部101又はワークステーション3Aの制御部11Aがエラーコードを受信し、
図2(B)のテーブル情報に基づいて、印刷装置2Aのエラーが印刷再開に長時間を要するエラーであるか否かを判別する(ステップS22)。印刷再開に長時間を要するエラーとは、例えば、用紙交換、ドラム交換、トナー切れ、及び紙詰まり(ジャム)などである。印刷再開に長時間を要しないエラー、すなわち短時間で印刷再開可能なエラーとは、パネル開放及び通信ケーブル未接続などである。
【0096】
ステップS22でYESの場合には、制御部11Aは、
図7(A)〜(C)のエラー発生前の設定情報を
図10(A)〜(C)のエラー解消中の設定情報に変更し、
図8のエラー発生前のデータベースを
図11(A)のエラー解消中のデータベースに変更する(ステップS23)。即ち、
図10(A)〜(C)のエラー解消中の設定情報に従って、それぞれの描画プロセッサに割り当てられる画像処理工程の設定が変更される。尚、各描画プロセッサは自身に割り当てられた画像処理を実行する。
【0097】
印刷装置2Aの制御部101又はワークステーション3Aの制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aから入力されるエラー解消終了信号に基づいて、エラーが解消したか否かを判別する(ステップS24)。ステップS24でNOの場合には、当該判別が繰り返される。一方、ステップS24でYESの場合には、制御部11Aは、
図10(A)〜(C)のエラー解消中の設定情報を
図12(A)〜(C)のエラー解消後の設定情報に変更し、
図11(A)のエラー解消中のデータベースを
図11(B)のエラー解消後のデータベースに変更する(ステップS25)。即ち、
図12(A)〜(C)のエラー解消後の設定情報に従って、それぞれの描画プロセッサに割り当てられる画像処理工程の設定が変更される。尚、各描画プロセッサは自身に割り当てられた画像処理を実行する。その後、印刷装置2Aは、印刷を再開し(ステップS26)、本処理を終了する。
【0098】
上記ステップS22でNOの場合には、制御部11Aは、
図7(A)〜(C)のエラー発生前の設定情報を維持する(ステップS27)。これにより、エラー発生前の設定情報に従って、各描画プロセッサは自身に割り当てられた画像処理を実行する。
【0099】
印刷装置2Aの制御部101又はワークステーション3Aの制御部11Aは、エラー発生から予め設定された時間が経過したか否かを判別する(ステップS28)。ステップS28でYESの場合には、制御部11Aは、キャリブレーション処理(P6)後のデータを破棄する(ステップS29)。これは、エラー発生前の出力画像とエラー解消後の出力画像との色差が生じることを防止するために、再度のキャリブレーション処理が必要になるからである。その後、手順はステップS23に進む。ステップS28でNOの場合には、印刷装置2Aの制御部101又はワークステーション3Aの制御部11Aは、端末装置6又はUI17Aから入力されるエラー解消終了信号に基づいて、エラーが解消したか否かを判別する(ステップS30)。ステップS30でNOの場合には、手順はステップS27に戻る。一方、ステップS30でYESの場合には、手順はステップS26に進む。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態によれば、制御部11Aは、印刷装置2Aのエラーの種類及びエラー発生からの経過時間に応じて、それぞれの描画プロセッサに割当てられる画像処理工程の設定を変更するか否かを決定する。従って、印刷装置2Aのプリントエンジンの温度が大幅に変動するような場合に(ステップS22でYES及びステップS28でYES)、制御部11Aは、それぞれの描画プロセッサに割当てられる画像処理工程の設定を変更する(ステップS23)。結果として、エラー発生前の出力画像とエラー解消後の出力画像との色差が生じることを防止することができる。
【0101】
また、印刷再開に長時間を要しないと予め規定されたエラーが発生し、当該エラーの発生から予め設定された時間が経過しても当該エラーが解消されない場合には(ステップS22でNO及びステップS28でYES)、制御部11Aは、キャリブレーション処理(P6)後のデータを破棄し(ステップS29)、それぞれの描画プロセッサに割当てられる画像処理工程の設定を変更する(ステップS23)。よって、実際の状況に応じて、エラー発生前の出力画像とエラー解消後の出力画像との色差が生じることを防止することができる。
【0102】
ワークステーション3Aの機能を実現するためのソフトウェアのプログラムが記録されている記録媒体を、ワークステーション3Aに供給し、制御部11Aが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD、又はSDカードなどがある。
【0103】
また、ワークステーション3Aが、ワークステーション3Aの機能を実現するためのソフトウェアのプログラムを実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。