(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742256
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】温水システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20150611BHJP
F24H 1/18 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
F24H1/00 E
F24H1/18 301Z
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-17891(P2011-17891)
(22)【出願日】2011年1月31日
(65)【公開番号】特開2012-159215(P2012-159215A)
(43)【公開日】2012年8月23日
【審査請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 咲智子
(72)【発明者】
【氏名】石野 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 紀行
【審査官】
正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−254618(JP,A)
【文献】
特開2004−132628(JP,A)
【文献】
特開2006−309297(JP,A)
【文献】
特開2006−129281(JP,A)
【文献】
特開2006−183939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機からの熱を利用して温水を生成し、かつ給湯動作が可能な温水装置と、
指定時期が到来したときに前記温水装置が風呂給湯または暖房給湯としての特定の給湯動作を実行することを予約するための第1の予約設定手段と、
前記熱源機が指定期間中にわたって停止状態を維持する停止モードとなることを予約するための第2の予約設定手段と、
を備えている、温水システムであって、
前記熱源機が前記停止モードにある期間中は、前記第1の予約設定手段を用いて予約された給湯動作が実行されないように構成されていることを特徴とする、温水システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温水システムであって、
前記熱源機について前記停止モードが予約されたとき、またはその予約後に前記指定期間が到来して前記停止モードになったときには、既になされていた給湯動作の予約がキャンセルされるように構成されている、温水システム。
【請求項3】
請求項2に記載の温水システムであって、
前記予約された給湯動作の指定時期が、前記停止モードの指定期間外である場合には、この給湯動作の予約はキャンセルされないように構成されている、温水システム。
【請求項4】
請求項1に記載の温水システムであって、
前記停止モードの指定期間中は、既になされている給湯動作の予約は保留状態となり、前記指定期間が経過した後には、前記保留状態が解除されて前記予約がなされていた給湯動作が実行可能な状態に復帰するように構成されている、温水システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の温水システムであって、
前記停止モードを予約するときに、前記給湯動作の予約が既になされている場合には、その旨を察知させるための報知が行なわれるように構成されている、温水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機を備え、かつ給湯機能を有している温水システムに関する。本発明でいう温水システムの概念には、給湯機能に特化した給湯システムに限らず、たとえば発電機能を兼備するコージェネレーションシステムなどが含まれる。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムにおいては、ユーザの利便性を考慮し、たとえば風呂湯張り用の給湯動作や床暖房用の給湯動作を予め指定した時期に実行させ得るように構成されているのが通例である。また、そのような機能に加え、コージェネレーションシステムの構成要素である熱源機の停止期間を予め指定し、その指定期間中については、熱源機が運転停止モードとなるようにしたものもある(たとえば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、従来では、熱源機の停止モードを予約しようとする際に、所定の給湯動作の予約が既になされている場合には、この給湯動作の予約が優先される仕様になっていた。このため、熱源機の停止モードを実効性のある適切な状態にするためには、既になされている給湯動作の予約を、スイッチ操作を行なうことによってキャンセルする必要があり、その手間が煩雑で、不便を生じるものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4,523,864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、面倒な手間を要することなく、熱源機の停止モードを実効性のある適切な状態にすることが可能な温水システムを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明により提供される温水装置は、熱源機からの熱を利用して温水を生成し、かつ給湯動作が可能な温水装置と、指定時期が到来したときに前記温水装置が
風呂給湯または暖房給湯としての特定の給湯動作を実行することを予約するための第1の予約設定手段と、前記熱源機が指定期間中にわたって停止状態を維持する停止モードとなることを予約するための第2の予約設定手段と、を備えている、温水システムであって、前記熱源機が前記停止モードにある期間中は、前記第1の予約設定手段を用いて予約された給湯動作が実行されないように構成されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、熱源機の停止モードが
、予約されている
風呂給湯または暖房給湯としての特定の給湯動作よりも優先されており、熱源機が停止モードにある期間中は、それ以前に給湯動作の予約がなされていた場合であっても、その給湯動作は実行されない。したがって、熱源機を所定の指定期間中にわたって停止した状態を適切に維持することができる。その結果、既になされていた給湯動作の予約を、スイッチ操作によってキャンセルするといった煩雑さはなく、便利である。
【0009】
本発明において、好ましくは、前記熱源機について前記停止モードが予約されたとき、
またはその予約後に前記指定期間が到来して前記停止モードになったときには、既になされていた給湯動作の予約がキャンセルされるように構成されている。
【0010】
このような構成によれば、熱源機の停止モード時において、予約された給湯動作が実行されないようにすることが、簡易な処理で実現される。また、給湯動作の予約が複数ある場合には、これら複数の予約を一斉にキャンセルするための手段として、熱源機の停止モードを利用するといった使い方も可能となる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記予約された給湯動作の指定時期が、前記停止モードの指定期間外である場合には、この給湯動作の予約はキャンセルされないように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、熱源機の停止モード状態を維持することに悪影響を与える虞のない給湯動作の予約はキャンセルされず、給湯動作の再予約の設定作業を行なう手間を少なくすることができる。また、熱源機が停止モードにない期間中においては、ユーザが意図する給湯動作を適切に行なわせることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記停止モードの指定期間中は、既になされている給湯動作の予約は保留状態となり、前記指定期間が経過した後には、前記保留状態が解除されて前記予約がなされていた給湯動作が実行可能な状態に復帰するように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、熱源機の停止モードが終了した後に、給湯動作の再予約を行なう必要はない。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記停止モードを予約するときに、前記給湯動作の予約が既になされている場合には、その旨を察知させるための報知が行なわれるように構成されている。
【0016】
このような構成によれば、所定の情況をユーザに察知させることができ、給湯動作が既に予約されているにも拘わらず、熱源機停止モードを予約してもよいか否かの判断機会を、ユーザに対して的確に与えることが可能である。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る温水システムの一例を模式的に示す概略説明図である。
【
図2】
図1に示す温水システムにおける制御動作手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1に示す実施形態の温水システムAは、コージェネレーションシステムとして構成されている。より具体的には、この温水システムAは、たとえばガスエンジン方式の発電機能を備えたものであり、全体の基本的な構成は従来既知のものと同様である。熱源機1は、発電機20を回転させるガスエンジンである。この温水システムAは、熱源機1からの排熱を利用して温水を生成する加熱装置21、生成された温水を貯留する貯湯タンク22、補助熱源機23、制御部24、およびこの制御部24に通信接続されたリモコンRを具備している。本実施形態では、温水システムAのうち、リモコンRを除く部分が、本発明
でいう温水装置の一例に相当する。この温水システムAにおいては、給湯機能として、台所や洗面所などに対する一般給湯機能、風呂への湯張りなどが可能な風呂給湯機能、および床暖房用の給湯機能を有している。
【0021】
リモコンRは、データ表示部30、複数の操作スイッチ31、および制御部32を具備している。複数の操作スイッチ31を利用して所定の操作を行なうことにより、給湯動作の予約を行なうことが可能である。したがって、複数の操作スイッチ31は、本発明でいう第1の予約設定手段の一例に相当する。予約により実行される給湯動作は、指定時期が到来したときに、制御部24,32などの制御により実行され、たとえば風呂給湯や暖房給湯の動作をその対象とすることが可能である。前記の指定時期は、たとえば時刻指定とすることができる。
【0022】
複数の操作スイッチ31を前記とは異なる所定の手順で操作することにより、熱源機1の停止モードの予約を行なうことも可能である。停止モードは、熱源機1を指定期間にわたって停止状態に維持するモードである。このため、複数の操作スイッチ31は、本発明でいう第2の予約設定手段の一例にも相当する。前記の指定期間としては、たとえば数日〜数ヶ月の単位で設定することが可能である。このような構成によれば、ユーザが長期間にわたって自宅を不在にするような場合にも好適に対処することが可能である。また、前記の指定期間は、始期と終期とを指定して設定することが可能であるが、これに代えて、たとえば停止モードの予約操作を完了した時点が、前記の指定期間の始期となるように構成し、熱源機1が即座に停止モードとなるようにしてもよい。
【0023】
リモコンRの制御部32は、給湯動作や熱源機1の停止モードの予約が行なわれる際、および行なわれた後には、後述する特徴的な動作処理を実行するように構成されている。ただし、このような動作処理は、制御部32に代えて、温水装置のメインの制御部24によって実行させることもできる。
【0024】
次に、前記した温水システムAの作用について説明する。制御部32の動作処理手順の一例については、
図2のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0025】
まず、操作スイッチ31を利用して、熱源機1の停止モードを予約するための操作が開始されると、制御部32は、給湯動作の予約がその時点で既になされているか否かを判断する(S1:YES,S2)。その結果、給湯動作の予約が既になされている場合には、制御部32はリモコンRの表示部30あるいはスピーカなどを利用した所定の報知動作を実行させる(S2:YES,S3)。この報知動作により、ユーザは、給湯動作が予約されているにも拘わらず、熱源機1を停止モードとして、予約されている給湯動作が実行されない可能性があることを的確に察知し、熱源機1の停止モードを予約するか否かの判断機会が与えられる。
【0026】
次いで、操作スイッチ31を利用した所定の操作がなされるなどして、熱源機1の停止モードの予約が確定した場合には、制御部32は、既になされている給湯動作の予約をキャンセルする(S4:YES,S5)。このことにより、その後に熱源機1が停止モードとなった際に、予約された給湯動作が実行されることが適切に防止されることとなる。なお、給湯動作の予約のキャンセルは、必ずしも全ての給湯動作の予約を対象として行なわなくてもよく、たとえば予約された給湯動作についての指定時刻が、熱源機1の停止モードの指定期間外である場合には、その予約をキャンセルしないようにすることができる。そのような予約の給湯動作は、熱源機1の停止モード時には実行されないからである。
【0027】
制御部32は、現時刻が前記停止モードの指定時間内になると、熱源機1を停止モードに移行させる(S6:YES,S7)。給湯動作の予約が無い場合には(S2:NO)、
ステップS3〜S5を経ることなく、停止モードが設定される(S2:NO,S10,S6,S7)。この停止モードでは、熱源機1が運転オフの状態となって動作せず、この熱源機1を利用した温水生成処理や発電処理は全く実行されないこととなる。したがって、ユーザが長期間にわたって自宅を留守にするような場合に好適である。熱源機1の停止モード時には、たとえば凍結防止機能を除き、温水システムAの全体が運転オフ状態となる構成とすることが可能である。前記の停止モードは、指定期間が経過することにより解除されることとなる(S8:YES,S9)。
【0028】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0029】
上述の実施形態では、熱源機の停止モードを予約する際に、給湯動作の予約がある場合には、この給湯動作の予約をキャセルしているが、キャンセルの時期は、停止モードの予約時に限らない。熱源機が実際に停止モードとなる時期を、キャンセルの時期とすることもできる。また、本発明では、給湯動作の予約をキャンセルすることに代えて、たとえば熱源機の停止モード期間中においては、給湯動作の予約を保留状態としておき、停止モード期間が終了した時点で、その保留状態を解除し、予約された給湯動作が実行されるように構成してもよい。給湯動作の予約をキャンセルした場合には、その後に給湯動作の再予約を行なう必要があるが、前記した構成によれば、再予約の必要を無くすことができる。
【0030】
熱源機としては、ガスエンジンに代えて、燃料電池、ヒートポンプ、あるいはガスバーナなどのバーナを用いることもできる。また、ソーラパネルも、本発明でいう熱源機に含まれる。給湯動作の予約、および熱源機の停止モードの予約を行なうための手段も、とくに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0031】
A 温水システム
1 熱源機
31 操作スイッチ(第1および第2の予約設定手段)