(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の走行車では、内筒部材を外筒部材に対して上昇させる必要があるので、内筒部材と外筒部材との間には、所定のクリアランスが設けられている。一方で、内筒部材を外筒部材に対して上昇させた状態においては、レーザ投受光による現在位置の認識を正確にするために、内筒部材が外筒部材に対してできるだけブレないように設計する必要がある。すなわち、内筒部材と外筒部材との一体剛性を、十分に得ることができるように設計する必要がある。
【0005】
従来の走行車では、内筒部材と外筒部材とのセッティングが手動でなされていた。しかしながら、近年、省力化のニーズが高まり、内筒部材と外筒部材のセッティングを自動的に行いたいという要望が、出されるようになってきた。しかしながら、自動セッティングを行おうとした場合、手動で行う固定形態、例えば締め付けボルトや押しネジ等による固定を、用いることはできない。このため、自動セッティングのための様々な固定形態が、開発されてきた。しかしながら、これまでの自動セッティング時の固定形態では、内筒部材と外筒部材の一体剛性を十分に確保することができていなかった。
【0006】
本発明の課題は、走行車のレーザ投受光器を昇降させる昇降機構において、内筒部材と外筒部材との一体剛性を確実に確保できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る走行車は、レーザ誘導方式の走行車である。走行車は、走行車本体と、支持部材と、レーザ投受光器とを、備えている。支持部材は、走行車本体に取り付けられる。レーザ投受光器は、支持部材に設けられる。支持部材は、外筒部材と内筒部材とを有している。外筒部材は、走行車本体に固定されている。内筒部材は、外筒部材に対して昇降する。内筒部材は、第1筒状部と第2筒状部と第3筒状部とを、有している。第1筒状部は、レーザ投受光器を支持している。第2筒状部は、第1筒状部の下方において第1筒状部より大径に形成されている。第3筒状部は、第2筒状部の下方においてテーパ状に形成されている。外筒部材の上端部と内筒部材の第3筒状部とは、互いにテーパによって嵌合されている。
【0008】
走行車では、走行車本体上において、内筒部材が外筒部材に対して昇降する。ここで、内筒部材が外筒部材に対して上昇した場合に、内筒部材の第2筒状部と外筒部材の上端部とが隙間嵌めされ、内筒部材の第3筒状部と外筒部材の上端部とが互いにテーパによって嵌合される。このため、内筒部材が外筒部材に対して上昇したときに、内筒部材の下端部と外筒部材の上端部とを確実に嵌合することができる。これにより、内筒部材と外筒部材との一体剛性を確保でき、外筒部材に対する内筒部材のガタを抑えることができる。
【0009】
走行車は、ボールネジと、ボールネジ用のナットと、モータと、ブレーキと、バネ部材とを、さらに備えていてもよい。ボールネジは、走行車本体に装着される。ボールネジ用のナットは、内筒部材に固定される。モータは、ボールネジを回転するためのものである。ブレーキは、ボールネジの回転をロックするためのものである。バネ部材は、外筒部材の上端部と内筒部材の第3筒状部との嵌合を保持するためのものである。
ボールネジは、ボールネジ用のナットを介して内筒部材の内部に配置される。内筒部材は、モータによってボールネジを回転させることよって、外筒部材に対して昇降する。
【0010】
この場合、モータによってボールネジを回転させることよって、内筒部材が外筒部材に対して昇降する。また、内筒部材が外筒部材に対して上昇した状態では、ブレーキによって、ボールネジの回転がロックされる。また、この状態において、外筒部材の上端部と内筒部材の第3筒状部とは、バネ部材の付勢力によって、嵌合されている。
このように、走行車では、内筒部材を外筒部材に対して自動的に昇降させることができる。また、この走行車では、内筒部材が外筒部材に対して上昇した状態において、モータに負担をかけることなく、内筒部材を外筒部材に対して確実に固定することができる。これにより、内筒部材と外筒部材との一体剛性を確保できる。また、外筒部材の上端部と内筒部材の第3筒状部との嵌め合いを、バネ部材の付勢力によって、確実に維持することができる。
【0011】
走行車は、チューブ部材とレーザ投受光器用のケーブルとを、さらに備えていてもよい。チューブ部材は、コイル状に形成されており、外筒部材の内部においてボールネジの外側に配置される。レーザ投受光器用のケーブルは、チューブ部材の内部に配置される。
この場合、内筒部材が外筒部材に対して上昇した場合、コイル状のチューブ部材が、外筒部材とボールネジとの間において伸長する。続いて、内筒部材が外筒部材に対して下降した場合、コイル状のチューブ部材が、外筒部材とボールネジとの間において縮小する。このように、内筒部材が外筒部材に対して昇降したとしても、レーザ投受光器用のケーブルは常にコイル状のチューブ部材の内部に収納されているので、レーザ投受光器用のケーブルを保護することができる。言い換えると、レーザ投受光器用のケーブルに想定外の力が作用しないように、レーザ投受光器用のケーブルを、外筒部材とボールネジとの間に配置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る走行車では、内筒部材と外筒部材との一体剛性を確実に確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)第1実施形態
(1−1)走行車の構成
(1−1−1)全体概要
走行車1は、レーザ誘導方式によって無軌道の床面を自律走行する走行車である。走行車1は、床面上を前後・左右いずれの方向にも走行自在である。また、走行車1は、地上側のホストコンピュータ(図示略)と無線で通信するための無線通信機(図示略)、及び走行車コントローラ(図示略)等を、搭載している。
図1に示すように、走行車1は、レーザ投受光器50から発信されたレーザ光を、地上に設けられた反射板200に反射させ、レーザ投受光器50において反射光を受信する。これにより、走行車1は、現在位置を把握する。また、走行車1は、ホストコンピュータと無線通信しながら、現在位置に基づいて走行車コントローラにおいて走行経路を計算し、自立走行する。なお、ここでは、走行車コントローラという文言は、走行車1を制御する制御装置に対応する文言である。
【0015】
(1−1−2)各構成要件の説明
図1に示すように、走行車1は、走行車本体10と、走行車本体10に設けられる支持部材20と、支持部材20に設けられるレーザ投受光器50とを、備えている。また、
図2〜
図4に示すように、走行車1は、ボールネジ40と、ボールネジ用のナット41と、モータ45とを、さらに備えている。さらに、走行車1は、チューブ部材47と、レーザ投受光器用のケーブル48とを、さらに備えている。
支持部材20は、レーザ投受光器50を支持する部材である。支持部材20は、走行車本体10に取り付けられる。支持部材20は、外筒部材21と内筒部材31とを、有している。外筒部材21は、走行車本体10に固定されている。外筒部材21は、例えば、
図2〜
図4に示すように、外筒本体22と、外筒用の固定部材23と、テーパ部材25と、位置決め部材26と、第1軸受部材27と、第1センサ29と、第2センサ30とを、有している。
【0016】
外筒本体22は、円筒状に形成されている。
図4に示すように、外筒本体22は、上端部内周面において円周方向に形成された外筒用の段差部22aを、有している。外筒用の段差部22aにおける外筒本体22の内径は、外筒用の段差部22aを除く部分における外筒本体22の内径より、大きくなっている。また、外筒本体22は、上端部の外周面に形成された第1センサ29用の凹部22bと、下端部の外周面に形成された第2センサ用の凹部(図示しない)とを、有している。外筒本体22には、
図2及び
図3に示すように、外筒用の固定部材23が装着される。外筒本体22は、外筒用の固定部材23を介して、走行車本体10にボルトで装着される。
【0017】
外筒用の固定部材23は、円筒状の円筒部23aと、円筒部23aの外周面から外方に突出して形成された第1鍔部23bとを、有している。円筒部23aは、外筒本体22の下端部に嵌合され、外筒本体22の下端部にボルト23cで固定される。第1鍔部23bは、走行車本体10上に配置され、走行車本体10にボルト23dで固定される。これにより、外筒本体22が、外筒用の固定部材23を介して、走行車本体10に装着される。
【0018】
テーパ部材25は、筒状に形成されている。テーパ部材25の一端側の内周面には、第1テーパ部25aが形成されている。第1テーパ部25aは、一端部から中央部に向けて、内径が所定の割合で小さくなっている。テーパ部材25は、外筒用の段差部22aに配置される。詳細には、テーパ部材25の外周面が、外筒用の段差部22aに配置される。
【0019】
位置決め部材26は、テーパ部材25及び第1軸受部材27を位置決めするためのものである。位置決め部材26は、筒状に形成されている。位置決め部材26は、位置決め用の第1段差部26aと、位置決め用の第2段差部26bとを、有している。位置決め用の第1段差部26aは、一端側外周面において円周方向に形成されている。位置決め用の第2段差部26bは、他端側内周面において円周方向に形成されている。位置決め部材26の一端部が、外筒本体22の上端部内周面及びテーパ部材25に当接した状態で、位置決め用の第1段差部26aに外筒本体22の上端部が嵌合される。このようにして、位置決め部材26は、外筒本体22に装着される。
【0020】
第1軸受部材27は、内筒部材31例えば後述する内筒本体32を支持する部材である。第1軸受部材27は、筒状に形成されている。第1軸受部材27は、位置決め部材26に装着される。具体的には、第1軸受部材27は、位置決め用の第2段差部26bの底部及び壁部に当接した状態で、位置決め用の第2段差部26bに配置される。また、第1軸受部材27は、位置決め部材26に配置された状態で、内筒部材31の外周面例えば内筒本体32の外周面に当接し、内筒部材31を支持する。
【0021】
第1センサ29は、レーザ投受光器50の作動位置を設定するためのものである。第1センサ29は、外筒本体22に装着される。具体的には、第1センサ29は、外筒本体22の上端部外周面に形成された第1センサ29用の凹部22bに、装着される。第1センサ29は、後述するマグネット34からの磁力を検知すると、モータ45に対して制御切替信号を送信する。すると、モータ45は、速度制御からトルク制御へと、制御を切り換える。
【0022】
第2センサ30は、内筒部材31の収納位置を設定するためのものである。内筒部材31の収納位置とは、内筒部材31が最も下降した位置(下降位置)に対応する。第2センサ30は、外筒本体22に装着される。具体的には、第2センサ30は、外筒本体22の下端部外周面に形成された第2センサ用の凹部(図示しない)に、装着される。第2センサ30は、後述するマグネット34からの磁力を検知すると、モータ45に対して制御切替信号を送信する。すると、モータ45は回転を停止する。
【0023】
内筒部材31は、外筒部材21に対して昇降する部材である。内筒部材31は、
図3及び
図4に示すように、内筒本体32と、蓋部材33と、マグネット34と、ボールネジ40を収納するための収納部材35と、ナット装着部材36と、第2軸受部材37とを、有している。
【0024】
内筒本体32は、円筒状に形成されている。内筒部材32は、
図4に示すように、第1筒状部132aと第2筒状部132bと第3筒状部132cとを、有している。第1筒状部132aは、レーザ投受光器を支持している。第2筒状部132bは、第1筒状部132aの下方において第1筒状部132aより大径に形成されている。第2筒状部132bの外周面は、テーパ部材25の他端部から中央部に至るまでの内周面、すなわちテーパ部材25の上端部から第1テーパ部25aまでの間の内周面に、摺動可能なように、形成されている。ここで、第2筒状部132bの外周面と、テーパ部材25の上端部から第1テーパ部25aまでの間の内周面とが対向した場合、これら外周面と内周面との間には、隙間嵌め可能な微小隙間が形成される。第3筒状部132cは、第2筒状部132bの下方においてテーパ状に形成されている。具体的には、内筒本体32の第3筒状部132cの外周面には、下端から上方に向かって外径が小さくなるような第2テーパ部32aが、形成されている。
また、内筒本体32は、下端部の内周面、例えば第2筒状部132b及び第3筒状部132cの内周面において、円周方向に形成された内筒用の段差部32bを、有している。さらに、内筒本体32は、マグネット用の凹部32cを有している。マグネット用の凹部32cは、内筒本体32の外周面において、第2テーパ部32aから所定の間隔を隔てた位置に形成されている。
【0025】
蓋部材33は、内筒本体32の上端部の開口を塞ぐためのものである。蓋部材33は、円盤状に形成されている。蓋部材33は、内筒用の固定部材33aを介して、内筒本体32の上端部すなわち第1筒状部132aの上端部に、ボルトで装着される。内筒用の固定部材33aは、内筒本体32の第1筒状部132aの外周にボルトで装着される。
【0026】
マグネット34は、第1センサ29及び第2センサ30の検知対象である。マグネット34は、内筒本体32に装着される。具体的には、マグネット34は、マグネット用の凹部32cに装着される。マグネット34としては、ネオジウム磁石が用いられている。マグネット34が、第1センサ29又は第2センサ30に対向する位置に配置されると、マグネット34の磁力は第1センサ29又は第2センサ30に検知される。
【0027】
収納部材35は、ボールネジ40を収納するためのものである。詳細には、収納部材35は、内筒部材31が外筒部材21に対して降下した場合、ボールネジ40を内部に収納する。収納部材35は、筒状に形成されている。収納部材35は、上端部において内筒本体32の内周面に固定されている。具体的には、
図2及び
図4に示すように、収納部材35は、上端部において、固定部材35aを介して、内筒本体32の第1筒状部132aの内周面に固定されている。固定部材35aは、収納部材35の外周面及び内筒本体32の第1筒状部132aの内周面に溶接接合されている。また、収納部材35は、下端部において、ナット装着部材36に固定されている。具体的には、収納部材35は、ナット装着部材36に溶接接合されている。なお、内筒部材31が外筒部材21に対して上昇した場合、ボールネジ40は、先端部を除いて、収納部材35の外部、すなわち外筒部材21の内部に配置される。
【0028】
ナット装着部材36は、内筒本体32にボールネジ用のナット41を装着するためのものである。また、ナット装着部材36は、収納部材35を支持するためのものでもある。ナット装着部材36は、円筒状に形成されている。ナット装着部材36は、内筒用の段差部32bに嵌合されている。ナット装着部材36は、部材本体36aと、第2鍔部36bと、ナット用の段差部36cと、収納部材用の段差部36dとを、有している。部材本体36aは、筒状に形成されている。第2鍔部36bは、部材本体36aの外周面から外方に突出して形成されている。第2鍔部36bの先端部と内筒本体32の第2テーパ部32aの下端とは、互いに溶接接合されている。ナット用の段差部36cは、部材本体36aの一端側内周面において円周方向に形成されている。ナット用の段差部36cには、ボールネジ用のナット41が装着される。収納部材用の段差部36dは、部材本体36aの他端側内周面において円周方向に形成されている。上記の収納部材35は、下端部が収納部材用の段差部36dに嵌合され、ナット装着部材36に溶接接合される。
【0029】
第2軸受部材37によって、内筒部材31は外筒部材21に対して昇降自在に支持されている。第2軸受部材37は、筒状に形成されている。第2軸受部材37は、ナット装着部材36に装着される。具体的には、第2軸受部材37は、第2鍔部36bに当接した状態で、ナット装着部材36の一端側外周面に装着される。また、第2軸受部材37は、ナット装着部36に配置された状態で、外筒部材21の内周面例えば外筒本体22の内周面に当接する。この第2軸受部材37が外筒部材21の内周面において摺動自在に移動することによって、内筒部材31は外筒部材21に対して昇降自在になる。
【0030】
レーザ投受光器50は、レーザ光を発信し、地上に設けられた反射板からの反射信号を受信する。レーザ投受光器50は、水平方向に所定角度範囲でレーザ走査可能となっている。レーザ投受光器50は、内筒部材31に装着される。具体的には、レーザ投受光器50は、内筒本体32の第1筒状部132aに装着される。より具体的には、レーザ投受光器50は、蓋部材33を介して、第1筒状部132aにボルトで装着される。
【0031】
ボールネジ40は、走行車本体10に装着される。具体的には、
図2及び
図3に示すように、ボールネジ40の一端部は、ベアリング60を介して、走行車本体10に装着される。また、ボールネジ40の一端側の先端には、ネジ用のスプロケット(図示しない)が装着されている。ネジ用のスプロケット及びモータ用のスプロケット(図示しない)には、チェーン61が架け渡される(
図2を参照)。さらに、ボールネジ40は、ボールネジ用のナット41を介して、内筒部材31の内部に挿通される。これにより、ボールネジ40の回転方向に応じて、内筒部材31が外筒部材21に対して昇降する。
【0032】
ボールネジ用のナット41は、ボールネジ40の回転方向に応じて、ボールネジ40の軸方向に移動する。ボールネジ用のナット41は、内筒部材31に固定される。具体的には、ボールネジ用のナット41は、ナット装着部材36に固定される。より具体的には、
図4に示すように、ボールネジ用のナット41は、ナット用の段差部36cに嵌合され、ナット装着部材36の部材本体36aにボルトで固定される。
【0033】
モータ45は、ボールネジ40を回転するためのものである。モータ45は、走行車本体10に装着される。モータ45としては、サーボモータが用いられている。モータ45の回転軸には、モータ用のスプロケット(図示しない)が装着されている。ネジ用のスプロケット及びモータ用のスプロケットには、チェーン61が架け渡される。これにより、モータ45の動力がボールネジ40に伝達される。モータ45は、速度及びトルクのいずれか一方で、回転を制御する。例えば、内筒部材31が外筒部材21に対して昇降している場合には、モータ45は速度で回転を制御する。一方で、内筒部材31が所定の位置(上昇位置)に位置した場合には、モータ45はトルクで回転を制御する。
【0034】
チューブ部材47は、コイル部47aと直線部47bとから構成されている。コイル部47aは、コイル状に形成されている。コイル部47aは、外筒部材21とボールネジ40との間に配置されている。言い換えると、コイル部47aは、外筒部材21の内部においてボールネジ40の外側に配置されている。コイル部47aは、一端部が外筒部材21例えば外筒用の固定部材23に装着されている。コイル部47aは、他端部が内筒部材31例えばナット装着部材36に装着されている。具体的には、コイル部47aの他端部は、ナット装着部材36に形成された貫通孔36eに挿通されている。直線部47bは、コイル部47aに連結されており、直線状に形成されている。直線部47bは、内筒本体32と収納部材35との間に配置されている。具体的には、直線部47bは、外筒部材21と収納部材35との間において軸方向に配置されている。直線部47bは、一端部がコイル部47aの他端部に連結されおり、他端部が内筒部材31の上端部例えば収納部材35の上端部に装着されている。
【0035】
レーザ投受光器用のケーブル48は、チューブ部材47の内部に収納されている。レーザ投受光器用のケーブル48は、レーザ投受光器50を制御するための信号用のケーブルと、レーザ投受光器50を動作させるための動力用のケーブルとから、構成されている。信号用のケーブルは、一端が、図示しない走行車コントローラに、接続されている。また、信号用のケーブルは、他端がレーザ投受光器50に接続されている。動力用のケーブルは、一端が、電源例えばバッテリに接続されている。また、動力用のケーブルは、他端がレーザ投受光器50に接続されている。
【0036】
(1−2)支持部材の動作
ここでは、第1実施形態の走行車1において、支持部材20のセッティングを実行する場合の例を、示す。
まず、内筒部材31が下降した状態において、内筒部材31を上昇させるための信号が、走行車コントローラを介してモータ45に入力されると、モータ45は、回転を速度制御しながら動作し始める。すると、ネジ用のスプロケットとモータ用のスプロケットとの比に応じて、ボールネジ40が回転する。すると、内筒部材31が、ボールネジ用のナット41を介して、上昇し始める。このときには、コイル状に重なったチューブ部材47すなわちコイル部47aは、コイル間隔を広げながら、伸び始める。
【0037】
次に、内筒部材31が上昇を続けると、内筒部材31の第2テーパ部32aが、外筒部材21のテーパ部材25の第1テーパ部25aに当接する。すると、内筒部材31のマグネット34が、外筒部材21の第1センサ29に対向する位置に配置される。すると、内筒部材31のマグネット34の磁力が、外筒部材21の第1センサ29に検知される。すると、第1センサ29から走行車コントローラに信号が送信され、この信号に基づいてモータ45の制御が、速度制御からトルク制御へと切り換えられる。そして、モータ45のトルク値(電流値)が上昇し、モータ45のトルク値(電流値)が所定のトルク値(所定の電流値)になると、モータ45は、このトルク値を保持する。このように、内筒部材31は、テーパ部25a,32aにおけるくさび効果とモータ45のトルクとによって、所定の上昇位置において位置決めされる。
【0038】
一方で、内筒部材31が、上昇位置に位置決めされた状態において、内筒部材31を下降させるための信号が、走行車コントローラを介してモータ45に入力されると、モータ45の制御が、トルク制御から速度制御へと切り換えられる。すると、モータ45が逆回転し、モータ45は回転を速度制御しながら動作し始める。すると、ネジ用のスプロケットとモータ用のスプロケットとの比に応じて、ボールネジ40が逆回転する。すると、内筒部材31が、ボールネジ用のナット41を介して、下降し始める。このときには、コイル状に重なったチューブ部材47すなわちコイル部47aは、コイル間隔を狭めながら、縮み始める。
【0039】
次に、内筒部材31が下降を続けると、内筒部材31のマグネット34が、外筒部材21の第2センサ30に対向する位置に配置される。すると、内筒部材31のマグネット34の磁力が、外筒部材21の第2センサ30に検知される。すると、第2センサ30から走行車コントローラに信号が送信され、この信号に基づいてモータ45が回転を停止する。これにより、内筒部材31は、所定の下降位置に位置決めされる。
【0040】
このように、本実施形態では、支持部材20を自動的に上昇させたとしても、内筒部材31が上昇位置で位置決めされた状態において、内筒部材31と外筒部材21との一体剛性を確実に確保することができる。これにより、支持部材20の頂部に装着されたレーザ投受光器50を、安定的に動作させることができる。また、本実施形態では、支持部材20を自動的に下降させたとしても、内筒部材31を、下降位置に案内し、下降位置で確実に位置決めすることができる。
【0041】
(2)第2実施形態
(2−1)走行車の構成
第2実施形態における全体概要は、第1実施形態のものと同じである。このため、ここでは、説明を省略する。また、第2実施形態の各構成要件は、外筒部材121及びモータ145を除いて、第1実施形態と同じである。このため、ここでは、外筒部材121及びモータ145を除いた構成要件の説明は省略し、外筒部材121及びモータ145の説明のみを行う。なお、第2実施形態の外筒部材121の構成及びモータ145の構成において、第1実施形態と同じものについては、詳細な説明を省略し、第1実施形態と同じ符号を用いる。また、各構成要件については、特別に記載しない限り、第1実施形態の内容に準じる。
【0042】
外筒部材121は、支持部材20に含まれる。外筒部材121は、例えば、
図5に示すように、外筒本体22と、外筒用の固定部材23と、テーパ部材25と、位置決め部材126と、バネ部材127と、第1軸受部材27と、第1センサ29と、第2センサ30(
図2を参照)とを、有している。外筒本体22と、外筒用の固定部材23と、テーパ部材25と、第1軸受部材27と、第1センサ29と、第2センサ30とは、構成が第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0043】
位置決め部材126は、テーパ部材25及び第1軸受部材27を位置決めするためのものである。位置決め部材126は、筒状に形成されている。位置決め部材126は、一端側外周面に形成された位置決め用の第1段差部126aと、他端側内周面に形成された位置決め用の第2段差部126bとを、有している。また、位置決め部材126は、バネ部材用の凹部126cを、有している。具体的には、位置決め部材126には、複数のバネ部材用の凹部126c例えば12個の凹部が、形成されている。複数のバネ部材用の凹部126cは、一端側の端面において円周方向に所定の間隔を隔てて形成されている。バネ部材用の凹部126cの壁部は、円状に形成されている。
【0044】
バネ部材127は、例えば、コイルスプリングである。バネ部材127は、テーパ部材25を下方に付勢することによって、外筒部材121と内筒部材31との嵌合を保持する。より具体的には、バネ部材127は、テーパ部材25を下方に付勢することによって、テーパ部材25の第1テーパ部25aと内筒部材31の第2テーパ部32aとの嵌合を保持する。ここで、外筒部材121の第1テーパ部25aと内筒部材31の第2テーパ部32aとが当接した状態では、第1テーパ部25aと第2テーパ部32aとが互いに嵌合する方向に、バネ部材127の付勢力は加わる。
バネ部材127は、位置決め部材126に配置される。具体的には、バネ部材127は、12個のバネ部材用の凹部126cそれぞれに、配置される。より具体的には、バネ部材127の一端部が、バネ部材用の凹部126cに、配置される。位置決め部材126が外筒本体22に装着された状態では、バネ部材127の他端部は、テーパ部材25に当接している。この状態では、バネ部材127は、テーパ部材25を、走行車本体10側、例えば外筒部材121(外筒本体22)の下端部側に付勢している。
【0045】
モータ145は、ボールネジ40を回転するためのものである。モータ145は、走行車本体10に装着される。モータ145としては、サーボモータが、用いられている。モータ145は、ブレーキ機構145aを有している(
図2を参照)。モータ145の回転軸には、モータ用のスプロケットが装着されている。ネジ用のスプロケット及びモータ用のスプロケットには、チェーン61が架け渡される。これにより、モータ145の動力がボールネジ40に伝達される。モータ145は、速度で回転を制御する。例えば、内筒部材31が外筒部材121に対して昇降している場合には、モータ145は速度で回転を制御する。そして、内筒部材31が所定の位置(上昇位置)に位置した場合には、モータ145はブレーキ機構145aを作動させ、モータ145の回転をロックする。
【0046】
(2−2)支持部材の動作
ここでは、第2実施形態の走行車1において、支持部材20のセッティングを実行する場合の例を、示す。なお、第1実施形態と同じように動作する部分については、概要説明のみ行っている。
まず、内筒部材31が下降した状態において、内筒部材31を上昇させるための信号が、モータ145に入力されると、モータ145はボールネジ40を回転させ、内筒部材31を上昇させる。このときには、コイル状に重なったチューブ部材47すなわちコイル部47aは、コイル間隔を広げながら、伸びる。
【0047】
次に、内筒部材31が上昇を続けると、内筒部材31の第2テーパ部32aが、外筒部材121のテーパ部材25の第1テーパ部25aに当接する。そして、内筒部材31の第2テーパ部32aが、外筒部材121のテーパ部材25を上昇方向に押圧する。すると、バネ部材127が、外筒部材121のテーパ部材25によって圧縮される。そして、内筒部材31のマグネット34が、外筒部材121の第1センサ29に対向する位置に配置されると、内筒部材31のマグネット34の磁力が、外筒部材121の第1センサ29に検知される。すると、第1センサ29から走行車コントローラに信号が送信され、この信号に基づいてモータ145のブレーキ機構145aが動作する。すると、このブレーキ機構145aによって、モータ145の回転がロックされる。すなわち、ボールネジ40の回転がロックされる。このように、内筒部材31の第2テーパ部32aと外筒部材121のテーパ部材25とが互いに嵌合する方向にバネ部材127の付勢力が加わった状態で、ボールネジ40の回転が、ブレーキ機構145aによってロックされる。すなわち、内筒部材31は、テーパ部25a,32aにおけるくさび効果とモータ145のロックとによって、所定の上昇位置において位置決めされる。
【0048】
一方で、内筒部材31が、上昇位置に位置決めされた状態において、内筒部材31を下降させるための信号が、走行車コントローラを介してモータ145に入力されると、モータ145はボールネジ40を回転させ、内筒部材31を下降させる。このときには、コイル状に重なったチューブ部材47すなわちコイル部47aは、コイル間隔を狭めながら、縮み始める。次に、内筒部材31が下降を続けると、内筒部材31のマグネット34が、外筒部材121の第2センサ30に対向する位置に配置され、モータ145が停止する。これにより、内筒部材31は、所定の下降位置に位置決めされる。
【0049】
このように、本実施形態では、内筒部材31を自動的に上昇させたとしても、内筒部材31が位置決めされた状態において、内筒部材31と外筒部材121との一体剛性を確実に確保することができる。これにより、支持部材20の頂部に装着されたレーザ投受光器50を、安定的に動作させることができる。また、本実施形態では、内筒部材31を自動的に下降させたとしても、内筒部材31を、下降位置に案内し、下降位置で確実に位置決めすることができる。
【0050】
(3)特徴
前記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)走行車1は、レーザ誘導方式の走行車である。走行車1は、走行車本体10と、支持部材20と、レーザ投受光器50とを、備えている。支持部材20は、走行車本体10に取り付けられる。レーザ投受光器50は、支持部材20に設けられる。支持部材20は、外筒部材21,121と内筒部材31とを有している。外筒部材21,121は、走行車本体10に固定されている。内筒部材31は、外筒部材21,121に対して昇降する。内筒部材31は、第1筒状部132aと第2筒状部132bと第3筒状部132cとを、有している。第1筒状部132aは、レーザ投受光器50を支持している。第2筒状部132bは、第1筒状部132aの下方において第1筒状部132aより大径に形成されている。第3筒状部132cは、第2筒状部132bの下方においてテーパ状に形成されている。外筒部材21,121の上端部と内筒部材31の第3筒状部132cとは、互いにテーパによって嵌合されている。
【0051】
走行車1では、走行車本体10上において、内筒部材31が外筒部材21,121に対して昇降する。ここで、内筒部材31が外筒部材21,121に対して上昇した場合に、内筒部材31の第2筒状部132bと外筒部材21,121の上端部とが隙間嵌めされ、内筒部材31の第3筒状部132bと外筒部材21,121の上端部とが互いにテーパによって嵌合される。このため、内筒部材31が外筒部材21,121に対して上昇したときに、内筒部材31の下端部と外筒部材21,121の上端部とを確実に嵌合することができる。これにより、内筒部材31と外筒部材21,121との一体剛性を確保でき、外筒部材21,121に対する内筒部材31のガタを抑えることができる。
【0052】
(B)走行車1は、チューブ部材47とレーザ投受光器用のケーブル48とを、さらに備えている。チューブ部材47は、コイル状に形成されており、外筒部材21の内部においてボールネジ40の外側に配置される。レーザ投受光器用のケーブル48は、チューブ部材47の内部に配置される。
【0053】
この場合、内筒部材31が外筒部材21に対して上昇した場合、コイル状のチューブ部材47が、外筒部材21とボールネジ40との間において伸長する。続いて、内筒部材31が外筒部材21に対して下降した場合、コイル状のチューブ部材47が、外筒部材21とボールネジ40との間において縮小する。このように、内筒部材31が外筒部材21に対して昇降したとしても、レーザ投受光器用のケーブル48は常にコイル状のチューブ部材47の内部に収納されているので、レーザ投受光器用のケーブル48を保護することができる。言い換えると、レーザ投受光器用のケーブル48に想定外の力が作用しないように、レーザ投受光器用のケーブル48を、外筒部材21とボールネジ40との間に配置することができる。
(C)走行車1は、ボールネジ40と、ボールネジ用のナット41と、モータ145と、ブレーキ145aとを、さらに備えている。ボールネジ40は、走行車本体10に装着される。ボールネジ用のナット41は、内筒部材31に固定される。モータ145は、ボールネジ40を回転するためのものである。ブレーキ145aは、ボールネジ40の回転をロックするためのものである。
【0054】
外筒部材121及び内筒部材31のいずれか一方は、外筒部材121の上端部と内筒部材31の第3筒状部132cとの嵌合を保持するためのバネ部材127を、有している。ボールネジ40は、ボールネジ用のナット41を介して内筒部材31の内部に配置される。内筒部材31は、モータ145によってボールネジ40を回転させることよって、外筒部材121に対して昇降する。
【0055】
この場合、モータ145によってボールネジ40を回転させることよって、内筒部材31が外筒部材121に対して昇降する。また、内筒部材31が外筒部材121に対して上昇した状態では、ブレーキ145aによって、ボールネジ40の回転がロックされる。また、この状態において、外筒部材121の上端部と内筒部材31の第3筒状部132cとは、バネ部材127の付勢力によって、嵌合されている。
【0056】
このように、走行車1では、内筒部材31を外筒部材121に対して自動的に昇降させることができる。また、この走行車1では、内筒部材31が外筒部材121に対して上昇した状態において、モータ145に負担をかけることなく、内筒部材31を外筒部材121に対して確実に固定することができる。これにより、内筒部材31と外筒部材121との一体剛性を確保できる。また、外筒部材121の上端部と内筒部材31の第3筒状部132cとの嵌め合いを、バネ部材127の付勢力によって、確実に維持することができる。
【0057】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。