特許第5742356号(P5742356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742356
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20150611BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20150611BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20150611BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20150611BHJP
   B62D 113/00 20060101ALN20150611BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20150611BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   H02M1/00 C
   B62D101:00
   B62D113:00
   B62D119:00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-66925(P2011-66925)
(22)【出願日】2011年3月25日
(65)【公開番号】特開2012-188101(P2012-188101A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-36764(P2011-36764)
(32)【優先日】2011年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(72)【発明者】
【氏名】北本 弘
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/032705(WO,A1)
【文献】 特開2008−182872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/00− 6/06
B60R 16/00−17/02
H02M 1/00− 1/44
B62D 101/00
B62D 113/00
B62D 119/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリング機構に操舵補助力を与えるモータと、
前記モータに駆動電力を出力するモータ駆動手段と、
前記モータ駆動手段に電源電圧を供給するバッテリと、
前記バッテリをオン/オフするイグニッションスイッチと、
前記バッテリから前記モータ駆動手段への通電経路に設けられたスイッチ手段と、
前記モータ駆動手段の入力に配置されたコンデンサと、を備え、
前記スイッチ手段は、前記イグニッションスイッチに接続され、ゲートに入力される駆動信号に応じてオン/オフすることにより前記通電経路を導通/遮断する2つの互いのソース同士が接続されるようにして直列に接続されたスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子のドレイン・ソース間に並列に形成された寄生ダイオードを有した電動パワーステアリング装置の制御装置において、
前記各スイッチング素子の出力電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段にて検出されたそれぞれの出力電圧に基づいて、前記各スイッチング素子の故障と前記寄生ダイオードの故障を判定する故障判定手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、
前記スイッチ手段前記イグニッションスイッチがオンされた直後の状態において前記各スイッチング素子を所定の順序でオン/オフ制御したときに、前記故障判定手段は、前記各スイッチング素子の短絡/開放故障を判定するとともに、前記モータ駆動手段側に接続された前記スイッチング素子の開放故障を判定する場合、前記スイッチング素子に内蔵される前記寄生ダイオードの開放故障を判定することを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源から負荷(例えば、モータ)への通電経路に電源スイッチとしてMOS−FET等のスイッチング素子を設け、このスイッチング素子をオン/オフすることによりモータへの通電を制御してモータを駆動するモータ駆動装置が知られており、種々のモータを駆動する回路として広く用いられている。
このようにスイッチング素子としてMOS−FETを用いたモータ駆動装置では、種々の原因によってMOS−FETがオンまたはオフ故障する場合がある。そこでMOS−FETのドレイン電圧を取り込むことで、MOS−FETがオン状態か否かを判定し、MOS−FETの故障(ショートまたはオープン故障)を検出している。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−141612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に電動パワーステアリング装置の制御装置においても、電源の導通/遮断用のスイッチング素子としてMOS−FETが使用される場合がある。ところが、このMOS−FETのドレイン・ソース間には逆方向に寄生ダイオードが内蔵されている(例えば、NチャンネルMOS−FETの場合、ドレインからソースの方向に電流が流れる形で形成される)。このためMOS−FETがオープン故障しても、寄生ダイオードが正常で導通状態にあるときには電流が流れ続け、動作を継続することができるため、MOS−FETの故障を検出できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電源リレーにMOS−FETを使用した場合でも、寄生ダイオードの故障判別ができ、MOS−FETの故障を確実に検出できる電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両のステアリング機構に操舵補助力を与えるモータと、前記モータに駆動電力を出力するモータ駆動手段と、前記モータ駆動手段に電源電圧を供給するバッテリと、前記バッテリをオン/オフするイグニッションスイッチと、前記バッテリから前記モータ駆動手段への通電経路に設けられたスイッチ手段と、前記モータ駆動手段の入力に配置されたコンデンサと、を備え、前記スイッチ手段は、前記イグニッションスイッチに接続され、ゲートに入力される駆動信号に応じてオン/オフすることにより前記通電経路を導通/遮断する2つの互いのソース同士が接続されるようにして直列に接続されたスイッチング素子を有し、前記各スイッチング素子のドレイン・ソース間に並列に形成された寄生ダイオードを有した電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記各スイッチング素子の出力電圧をそれぞれ検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段にて検出されたそれぞれの出力電圧に基づいて、前記各スイッチング素子の故障と前記寄生ダイオードの故障を判定する故障判定手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、バッテリとモータ駆動手段との間の通電経路に、寄生ダイオードを内蔵した2つのスイッチング素子を互いのソース同士を直列に接続し、その後段のスイッチング素子の出力側にコンデンサが配置されている。それぞれのスイッチング素子の出力電圧に基づきスイッチング素子および寄生ダイオードの故障を検出する。その結果、スイッチング素子の故障検出を確実に行うとともに寄生ダイオードの故障判別ができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記スイッチ手段前記イグニッションスイッチがオンされた直後の状態において前記各スイッチング素子を所定の順序でオン/オフ制御したときに、前記故障判定手段は、前記各スイッチング素子の短絡/開放故障を判定するとともに、前記モータ駆動手段側に接続された前記スイッチング素子の開放故障を判定する場合、前記スイッチング素子に内蔵される前記寄生ダイオードの開放故障を判定することを要旨とする。
上記構成によれば、イグニッションスイッチがオンされた直後の初期状態において、2つのスイッチング素子を所定の順序でオン/オフ制御できるので、スイッチング素子とその寄生ダイオードの故障検出を確実に行える。
【発明の効果】
【0009】
電源リレーにMOS−FETを使用した場合でも、寄生ダイオードの故障判別ができ、MOS−FETの故障を確実に検出できる電動パワーステアリング装置の制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動パワーステアリング装置の概略構成図。
図2】電動パワーステアリング装置の制御回路の回路図。
図3】電動パワーステアリング装置の制御回路に含まれるMOS−FETの故障検出の処理手順を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図に基づいて具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成とともに示す概略図である。
【0012】
図1に示す電動パワーステアリング装置10は、モータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、回転角センサ5、および制御装置(以下、ECUという)6を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
【0013】
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはステアリングホイール101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックアンドピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して転舵輪106に連結されている。運転者がステアリングホイール101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動にともない、転舵輪106の向きが変わる。
【0014】
電動パワーステアリング装置10は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ステアリングホイール101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクτを検出する。車速センサ4は、車速Vを検出する。回転角センサ5は、モータ1のロータの回転位置(以下、モータ回転角という)θを検出する。回転角センサ5は、例えばレゾルバで構成される。
【0015】
ECU6は、バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクτ、車速V、およびモータ回転角θに基づいてモータ1を駆動する。モータ1は、ECU6によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、モータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。モータ1で発生した操舵補助力(以下、アシスト力という)は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
【0016】
この結果、ステアリングシャフト102は、ステアリングホイール101に加えられる操舵トルクτと、モータ1で発生したアシスト力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置10は、モータ1で発生したアシスト力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置10に含まれる制御回路の回路図である。図2に示す制御回路は、電源リレー(スイッチング素子(スイッチ手段)、例えばMOS−FET、以下、MOS−FET1,2という)13,14、コンデンサ18、モータ駆動回路(モータ駆動手段)11を備える。この制御回路は、ECU6の内部に設けられ、イグニッションスイッチ(以下、IGスイッチという)17を経て電源であるバッテリ100に接続されている。また、ECU6にはMOS−FET1,2・13,14のオン/オフを制御し、MOS−FET1,2・13,14の故障判定をする故障検出回路(故障判定手段)12が設けられている。さらに、故障検出回路12にはMOS−FET1,2・13,14の各出力電圧を検出する電源モニタ回路(電圧検出手段)19が接続されている。
【0018】
図2において、互いのソース同士が直列に接続されたMOS−FET1,2・13,14は、コンデンサ18およびモータ駆動回路11をバッテリ100に接続するか否かを切り替える電源スイッチである。ここで、MOS−FET1・13は通常時のバッテリ100からの電源を導通/遮断する回路遮断用として、またMOS−FET2・14はバッテリ100が逆接続されたときに電源を遮断する回路保護用として設けられている。そして、MOS−FET1,2・13,14は、電動パワーステアリング装置10の動作時にはオン状態(導通状態)、停止時にはオフ状態(非導通状態)となる。
【0019】
また、2個のMOS−FET1,2・13,14のドレイン・ソース端子間には、ドレインからソースの方向に電流が流れる形で寄生ダイオード1,2(保護ダイオード)15,16が形成されている。
【0020】
モータ駆動回路11は、スイッチング素子として、図示しない6個のMOS−FETを2個ずつ直列に接続して形成された3つの回路(アーム)を並列接続してなる公知のインバータであり、2本の電源線L1,L2の間に並列に設けられる。また、モータ1は、3相の巻線を有する3相ブラシレスモータである。
【0021】
ECU6に設けられた故障検出回路12は、制御回路に含まれる2個のMOS−FET1,2・13,14を制御する。より詳細には、故障検出回路12には、MOS−FET1,2・13,14をオン/オフする制御信号を出力する図示しないマイクロコンピュータ(以下、CPUという)と、これらの制御信号に基づいてMOS−FET1,2・13,14にゲート駆動信号を生成する図示しないプリドライバが設けられている。故障検出回路12は、MOS−FET1,2・13,14をオン/オフするためのこれらのゲート駆動信号G1,G2を出力し、これらの各ゲート駆動信号G1,G2は、MOS−FETのゲート端子にそれぞれ入力される。
【0022】
そして、MOS−FET1,2・13,14のオン/オフ状態に応じて、MOS−FET1・13の出力電圧値が電源モニタ回路19内の抵抗20,21で分圧されたモニタ電圧V1として、またMOS−FET2・14の出力電圧値が同じく電源モニタ回路19内の抵抗22,23で分圧されたモニタ電圧V2として故障検出回路12に入力される。故障検出回路12に入力されたモニタ電圧V1,V2は、ECU6に内蔵されるCPUにより、それぞれA/D変換され演算処理に使用される。
【0023】
コンデンサ18は、2本の電源線L1,L2の間に設けられる。コンデンサ18は、バッテリ100からIGスイッチ17、MOS−FET1・13およびMOS−FET2・14を経由して電荷を蓄積し、バッテリ100からモータ駆動回路11に流れる電流が不足するときには蓄積した電荷を放電する。このように、コンデンサ18は、電流リップル吸収用のコンデンサとして機能する。
【0024】
次に、本発明の実施形態の制御回路に含まれるMOS−FET1,2・13,14の故障検出の処理手順について説明する。
本実施形態おいて、故障検出回路12は、図3のフローチャートに示すステップS301〜ステップS317の各処理を実行する。
【0025】
図2で示したように故障検出回路12は、ECU6に内蔵されたCPUが実行するコンピュータプログラムにより実現される演算処理を行う。CPUは、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各演算処理を実行することにより、MOS−FET1,2・13,14のオン/オフ制御および故障検出を行う。
【0026】
図3に、ECU6の動作の流れを示す。図3に示されるように、故障検出回路12は、IGスイッチ17(図2参照)がオンされると(ステップS301)、MOS−FET1・13の出力電圧のモニタ電圧V1が所定の電圧値以下か否かを判断する(ステップS302)。このとき、ゲート駆動信号G1,G2がオフしていることにより、MOS−FET1,2・13,14はともにオフ状態になっている。
【0027】
ここで、モニタ電圧V1が所定の電圧値より大きい(ハイレベル)場合(ステップS302:NO)、MOS−FET1・13のショート(短絡)故障と判定し(ステップS311)、ゲート駆動信号G1,G2をオフし、ECU6は制御を終了する(動作停止、ステップS317)。
【0028】
また、モニタ電圧V1が所定の電圧値以下(ローレベル)の場合(ステップS302:YES)、ゲート駆動信号G1,G2をオンすることにより、MOS−FET1,2・13,14をともにオンさせる(ステップS303)。
【0029】
次に、MOS−FET1・13のモニタ電圧V1が所定の電圧値以上か否かを判断する(ステップS304)。モニタ電圧V1が所定の電圧値より小さい(ローレベル)場合(ステップS302:NO)、MOS−FET1・13のオープン(開放)故障と判定し(ステップS312)、ゲート駆動信号G1,G2をオフし、ECU6は制御を終了する(動作停止、ステップS317)。また、モニタ電圧V1が所定の電圧値以上(ハイレベル)の場合(ステップS304:YES)、ステップS305に移行する。
【0030】
ここで、MOS−FET2・14の出力電圧のモニタ電圧V2が所定の電圧値以上か否かを判断する(ステップS305)。モニタ電圧V2が所定の電圧値より小さい(ローレベル)場合(ステップS305:NO)、MOS−FET2・14のオープン故障、かつMOS−FET2・14内の寄生ダイオード16のオープン故障と判定し(ステップS313)、ゲート駆動信号G1,G2をオフし、ECU6は制御を終了する(動作停止、ステップS317)。
【0031】
また、モニタ電圧V2が所定の電圧値以上(ハイレベル)の場合(ステップS305:YES)、ゲート駆動信号G1をオフすることにより、MOS−FET1・13をオフさせる(ステップS306)。
【0032】
続いて、MOS−FET1・13のモニタ電圧V1が所定の電圧値以上か否かを判断する(ステップS307)。モニタ電圧V1が所定の電圧値より小さい(ローレベル)場合(ステップS307:NO)、MOS−FET2・14のオープン故障、かつMOS−FET2・14内の寄生ダイオード2・16は導通状態、すなわち寄生ダイオード2・16は正常と判定し(ステップS314)、ECU6はモータ駆動電流をMOS−FET2・14内の寄生ダイオード2・16の許容電流値以下に抑えるように電流制限制御に移行し動作を継続する(ステップS315)。
【0033】
また、モニタ電圧V1が所定の電圧値以上(ハイレベル)の場合(ステップS307:YES)、ゲート駆動信号G2をオフすることにより、MOS−FET2・14をオフさせる(ステップS308)。
【0034】
次に、MOS−FET1・13のモニタ電圧V1が所定の電圧値以下か否かを判断する(ステップS309)。モニタ電圧V1が所定の電圧値より大きい(ハイレベル)場合(ステップS309:NO)、MOS−FET2・14のショート故障と判定し(ステップS316)、ゲート駆動信号G1,G2をオフし、ECU6は制御を終了する(動作停止、ステップS317)。
【0035】
また、モニタ電圧V1が所定の電圧値以下(ローレベル)の場合(ステップS309:YES)、MOS−FET1,2・13,14は正常と判断され、ゲート駆動信号G1,G2をオンすることにより、MOS−FET1,2・13,14をともにオンさせ動作を継続する(ステップS310)。
【0036】
以上に示すように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置10では、バッテリ100とモータ駆動回路11との間の通電経路に、寄生ダイオード1,2・15,16を内蔵し互いのソース同士を直列に接続したMOS−FET1・13およびMOS−FET2・14と、その後段のMOS−FET2・14の出力側にコンデンサ18が配置されている。ゲート駆動信号G1,G2をオン/オフすることにより、これらのMOS−FET1,2・13,14を所定の順序でオン/オフ制御し、それぞれのMOS−FET1,2・13,14の出力電圧に基づき、MOS−FET1,2・13,14、および寄生ダイオード2・16の故障を検出する。その結果、MOS−FETの故障検出を確実に行うとともに寄生ダイオードの故障判別ができる。
【0037】
また、MOS−FET2・14がオープン故障、かつ寄生ダイオード2・16のみが正常であることを検出した場合、ECU6は電源電流が寄生ダイオードの許容電流以下となるようモータ駆動電流を制限する。これにより、ECU6は制御を継続することができるとともに、さらに大きな電流を流し続けることにより寄生ダイオード2・16が発熱し焼損することも防止できる。
【0038】
次に、上記のように構成された本実施形態の電動パワーステアリング装置10の作用および効果について説明する。
上述のように、本実施形態によれば、電源リレーとして直列に互いのソース同士を接続して構成される2個のMOS−FETを所定の順序でオン/オフさせ、それぞれのMOS−FETの出力電圧を検出し、MOS−FETのショート・オープン故障の判定を行うこととした。これにより後段のMOS−FETに内蔵される寄生ダイオードのオープン故障の検出ができるため、従来できなかった寄生ダイオードの故障判別をすることができる。
【0039】
その結果、後段のMOS−FETがオープン故障した場合であっても、その寄生ダイオードは正常なときは電源電流値を制限した状態で寄生ダイオードを通して電流を流し続けることができるため、寄生ダイオードの発熱によるMOS−FETの焼損等を防止することができる。
【0040】
さらに、従来は別にコンデンサに電荷をチャージするための回路(図示せず)を設けて、電源リレーを構成するMOS−FETのショート・オープン故障検知を行っていたが、上記のように所定の順序でMOS−FETのショート・オープン故障の検出を実行することにより余分な検出回路を削除でき、制御装置を小型化することができる。
【0041】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
本発明は、電動パワーステアリング装置に用いた例を説明したが、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々適用が可能である
また、本発明は、上述したコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置だけでなく、ピニオンアシスト型やラックアシスト型の電動パワーステアリング装置に適用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1:モータ、2:減速機、3:トルクセンサ、4:車速センサ、5:回転角センサ、
6:ECU、10:電動パワーステアリング装置、
11:モータ駆動回路、12:故障検出回路、13,14:MOS−FET1,2、
15,16:寄生ダイオード1,2、17:IGスイッチ、18:コンデンサ、
19:電源モニタ回路、20〜23:分圧抵抗、
100:バッテリ、101:ステアリングホイール、102:ステアリングシャフト、
103:ラックアンドピニオン機構、104:ラック軸、105:連結部材、
106:転舵輪、
τ:操舵トルク、V:車速、θ:モータ回転角、
G1,G2:ゲート駆動信号、V1,V2:モニタ電圧、L1,L2:電源線
図1
図2
図3