(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
[画像形成装置の全体構成]
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置1は、用紙上に電子写真方式により画像をプリントするプリンタである。画像形成装置1は、トナー像形成部10、露光器20、用紙搬送装置30、画像信号処理部40、定着器50、および用紙収容部60を備えている。トナー像形成部10は、感光体11、帯電器12、現像器13、および転写器14を備えている。
【0019】
感光体11は、円筒状の表面を有しており、円筒の軸周りである矢印a方向に回転する。感光体11は、表面が光電導性の絶縁材料で形成されており、表面に形成される静電潜像およびトナー像を保持する。帯電器12は、感光体11の表面を帯電させる。
【0020】
露光器20は、レーザ光を発光する発光部21を有しており、帯電器12によって帯電された感光体11の表面を光ビームBmで露光する。感光体11表面の露光された部分は、光導電効果により電位(絶対値)が低下する。発光部21は、画像データに基づき画像信号処理部40から供給される信号に応じて光ビームBmのもととなるレーザ光を発光する。露光器20は、光ビームBmで感光体11の表面を感光体11の回転軸が延びる主走査方向Xに走査することで、回転する感光体11の表面に静電潜像を形成する。
【0021】
画像信号処理部40は、例えばパーソナルコンピュータやスキャナに代表される、画像形成装置1の外部の装置から供給された画像形成用の画像データを処理して、画像データに応じた信号を露光器20の発光部21に供給する。
【0022】
画像信号処理部40は、トナーの消費量を抑えたトナーセーブモードでは、外部から供給された画像形成用の画像データを変換し、画像データが表す画像の画素のうち、トナーを付着させる画素を予め定められた割合で間引いた画像データを生成する。
【0023】
現像器13は、感光体11上の潜像をトナーで現像して感光体11上にトナー像を形成する。現像器13は、トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤を攪拌する攪拌部材132,133と、攪拌された現像剤を感光体11上に搬送する現像ロール131とを有する。現像器13には、トナーと磁性キャリアとが混合されてなる現像剤が収容されている。現像剤は、2つの撹拌搬送部材132,133によって現像器13内を搬送されながら攪拌されることで帯電する。トナーは、露光器20の表面が帯電器12によって帯電される極性と同極性に帯電する。現像ロール131は、現像剤を周面に保持して回転することにより、感光体11の周面に搬送する。
【0024】
転写器14は、感光体11との間に用紙を挟んで回転するロールであり、感光体11上のトナー像を用紙上に転写する。定着器50は、感光体11から転写を受けたトナー像を用紙上に定着する。定着器50は、加熱ロール51および加圧ロール52を備えており、定着前のトナー像が形成された用紙を挟んで通過させることによりトナーを加熱および加圧する。
【0025】
用紙収容部60は、画像が形成される用紙を収容している。用紙収容部60は、用紙収容器62,63を備えている。用紙収容器62,63は、作業者によって画像形成装置1の前面から引き出され、用紙が補給され、押し込まれて画像形成装置1内に収容されることで、用紙に画像を形成し得る状態となる。
【0026】
用紙搬送装置30は、用紙を、転写位置を経由する搬送経路Rを搬送する。転写位置は、用紙が感光体11からトナー像の転写を受ける位置であり、感光体11と転写器14とに挟まれた位置である。用紙搬送装置30は、取出しロール31、捌きロール32、レジストレーションロール33、排出ロール34、および反転搬送ロール35を備えている。取出しロール31は、用紙収容器62,63から用紙を取り出す。捌きロール32は、取出しロール31で取り出された用紙を1枚ずつに捌く。レジストレーションロール33は、感光体11にトナー像が形成されるタイミングに合わせて用紙を転写器14に送り込む。排出ロール34は、定着器50によってトナー像が定着された用紙を画像形成装置1の外部に排出する。排出ロール34によって排出された用紙は、画像形成装置1の上部に設けられた排出台83の上に排出される。
【0027】
排出ロール34は、両面プリントが実行される場合には、用紙を途中まで搬送した状態で逆転し、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送する。反転搬送ロール35は、用紙を反転搬送経路R’に沿って搬送し、レジストレーションロール33に送り込む。これによって用紙の、画像がすでに形成された面の反対面に新たな画像が形成される。
【0028】
また、画像形成装置1には、清掃器71、トナー補給器74、トナー容器TC、制御部90、モード切替部901、および表示部902も備えられている。
【0029】
清掃器71は、感光体11上に接触し、用紙へのトナー像の転写後に感光体11上に残存するトナーを除去することにより感光体11を清掃する。清掃器71は、感光体11に沿って延びた板状のブレード711を有する。ブレード711により感光体11から除去されたトナーは、清掃器71内に収容される。トナー容器TCには、現像器13への補給用のトナーが収容されている。トナーが消耗した場合には、作業者によってトナー容器TCが取り外され、新たなトナー容器TCと交換される。
【0030】
トナー補給器74は、トナー容器TCに収容されたトナーを現像器13に補給する。トナー補給器74は、トナー容器TCの下部から現像器13の上部まで延びた管の中に、螺旋形の羽根部材74aが配置された構造を有している。トナー補給器74は、羽根部材74aが回転することでトナーをトナー容器TCから現像器13に向けて搬送する。
【0031】
モード切替部901は、画像形成装置1が動作する画像形成モードの切替え設定を外部から受け付ける。モード切替部901は、例えばスイッチであり、作業者の操作に応じた各モードの設定を受ける。モード切替部901は、操作に応じて、画像形成モードを、標準モードと、標準モードよりもトナー消費量を抑えたトナーセーブモードとに切り替える。
【0032】
ここで、標準モードが本発明にいう第1のモードの一例であり、トナーセーブモードが本発明にいう第2のモードの一例である。
【0033】
制御部90は、画像形成装置1の各部を制御する。制御部90は、画像信号処理部40に、外部から供給された、画像形成用の画像データに基づいて生成した信号を露光器20に出力させることで、画像データに基づく画像の形成を行わせる。
【0034】
表示部902は、制御部90の制御を受けて、画像形成装置1における各情報を表示する。表示部902は、例えば液晶表示装置である。
【0035】
ここで、感光体11が本発明の像保持体の一例に相当する。また、画像信号処理部40が本発明にいう露光制御部の一例に相当し、制御部90が本発明にいう排出制御部の一例に相当する。
【0036】
[画像形成装置の基本動作]
図1に示す画像形成装置1の基本動作を説明する。画像形成装置1に画像信号処理部40に外部から画像データが供給されると、トナー像形成部10では、制御部90の制御に応じて、感光体11が矢印a方向に回転駆動され、感光体11の表面に帯電器12によって電荷が付与される。露光器20は、画像データに基づく画像信号処理部40からの信号に応じた光ビームを感光体11の表面に照射する。帯電された感光体11表面に静電潜像が形成される。感光体11は、静電潜像を保持しながら回転する。
【0037】
感光体11上の静電潜像は現像器13によってトナーで現像される。現像器13内の現像剤は、撹拌搬送部材132,133によって攪拌され、現像ロール131によって感光体11の表面に搬送される。現像剤中の帯電したトナーが、感光体11表面の、電位(絶対値)が低下した部分に付着することで、静電潜像に応じたトナー像が形成される。感光体11は、現像器13によって形成されたトナー像を保持しながら回転する。感光体11に搬送された現像剤のうち、感光体11に付着したトナー以外のものは、現像ロール131周面に保持され、現像器13内に戻ってくる。トナー容器TCからはトナー補給器74によって新たなトナーが現像器13に補給される。トナー補給器74が補給するトナーの量は、制御部90によって現像器13で消費されたトナーの消費量に応じた量となるように制御される。
【0038】
用紙収容器62,63に収容された用紙Pは、取出しロール31によって取り出され、捌きロール32、およびレジストレーションロール33によって搬送経路Rを転写器14に向かって搬送される。用紙Pは、レジストレーションロール33によって、感光体11上にトナー像が形成されていくタイミングに合わせて、転写器14に送り込まれる。転写器14は、感光体11と用紙との間に転写用のバイアス電圧を与えることによって、感光体11のトナー像を用紙に転写する。転写器14によって、トナー像が転写された用紙は定着器50に搬送され、転写されたトナー像が用紙上に定着される。このようにして、用紙上に画像が形成される。画像が形成された用紙は排出ロール34によって排出台83の上に排出される。
【0039】
転写器14による転写後、感光体11に残存したトナーは、清掃器71によって除去され回収される。
【0040】
図2は、
図1に示す画像処理部および制御部の構成を示すブロック図である。
【0041】
画像信号処理部40は、画像形成装置1(
図1参照)の外部から入力された画像データに基づいた信号を露光器20の発光部21に供給する。画像信号処理部40は、データ受入部41、バッファ部42、およびPWM変調部43を有する。
【0042】
データ受入部41は、外部から供給されてくる画像形成用の画像データを受け入れる。この画像形成用の画像データを画像形成用画像データと称する。画像形成用画像データは、多値すなわち複数段階の濃度のいずれかを示す値で表された画素の配列で画像を表すデータである。
【0043】
データ受入部41は、トナーの消費量を抑えたトナーセーブモードでは、画像形成用画像データを変換してトナーセーブ画像データを生成する。トナーセーブ画像データは、画像形成用画像データ中に並んだ、トナーを付着することとなる複数の画素のうち、予め定められた割合の画素を濃度0すなわちトナー無しとすることによって間引いた画像データである。データ受入部41によるトナーセーブ画像データへの変換では、画像形成用画像データの例えば3画素に1画素ずつの割合で、トナーを付着させない画素を配置する。
【0044】
図3は、データ受入部41によるデータの間引きを説明する図である。
【0045】
図3のパート(A)には、画像形成用画像データが表す6つの画素の主走査方向Xにおける並びが示されている。ここで、トナーが付着する画素は斜線で示されている。
図3のパート(B)には、トナーセーブモードにおいてデータ受入部41により変換されたトナーセーブ画像データにおける画素の並びが示されている。トナーセーブ画像データでは、パート(A)に示す画素の配置に対して、3画素に1画素ずつの割合で、トナーを付着させない画素が配置されている。
【0046】
トナーが付着する画素が間引かれたトナーセーブ画像データに基づいて画像が形成することで、形成されるトナー像は全体的に薄くなるが、トナーの消費量は低下する。データ受入部41は、標準モードでは変換を行わず、画像形成用画像データをそのままトナーセーブ画像データとする。
【0047】
再び
図2を参照して説明を続ける。バッファ部42は、データ受入部41が受けた画像形成用画像データおよびトナーセーブ画像データを一時的に蓄積する。
【0048】
PWM変調部43は、バッファ部42に蓄積されたトナーセーブ画像データを、主走査方向に並ぶ画素の順に読出し、画像データに応じた信号を露光器20の発光部21に供給する。PWM変調部43は、
図1に示す露光器20がビームBmで感光体11の表面を走査するタイミングに同期して、画素ごとにオンオフ変調した信号を出力する。例えば、画素の濃度が100%(最大濃度)の場合には、当該画素に応じた期間にハイレベルを出力し、画素の濃度が0%(最小濃度:トナーを付着させない)の場合には、当該画素に応じた期間にローレベルを出力する。また、PWM変調部43は、画素を表す多値の濃度に応じてPWM(Pulse Width Modulation)変調された信号を出力する。例えば、画素の濃度が30%(最大濃度)の場合には、当該画素に応じた期間中に、ハイレベルの期間とローレベル期間の比が3:7となる30%デューティの信号を出力する。
【0049】
発光部21は、PWM変調部43からの信号がハイレベルの期間に発光し、ローレベルの期間に発光停止することで、各画素について、濃度に応じた期間光を発光する。これによって、感光体11(
図1参照)の表面には、各画素について、濃度に応じた大きさの領域にトナーが付着し、画像データに応じた階調の濃さからなるトナー像が形成される。
【0050】
制御部90は、プログラムに基づいて処理を実行するコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)91、記憶部92、および入出力インターフェース(IF)93を備えている。CPU91、記憶部92および入出力インターフェース93は相互に接続されている。
【0051】
記憶部92は、プログラムを記憶する記憶媒体であり、例えば半導体メモリで構成されている。また、記憶部92には、CPU91による演算結果のデータも記憶される。CPU91は、記憶部92に記憶された制御プログラムPに基づいて演算を実行する。
【0052】
入出力IF93は、画像形成装置1(
図1参照)の各部から信号を受け、各部に制御のための信号を出力する。CPU91は、バッファ部42から画像データの読み出しも行う。
【0053】
制御部90は、入出力IF93を経由してモード切替部901から画像形成モードの情報を得る。制御部90は、画像形成モードがトナーセーブモードである場合には、データ受入部41に、トナーを付着させる画素が間引かれたトナーセーブ画像データを生成させ、トナーの消費量を低減させる。この一方で、制御部90は、モード切替部901から得た画像形成モードが標準モードである場合には、データ受入部41に、画像データの変換を行わせず、画素の間引きがされていない画像形成用画像データに基づく画像の形成を行わせる。ここで、画像形成用画像データが本発明にいう画像形成用の第1のデータの一例に相当し、トナーセーブ画像データが本発明にいう、変換された第2のデータの一例に相当する。
【0054】
また、制御部90は、画像密度の低い画像形成用画像データに基づいた画像の形成が連続し、現像器13内のトナーが長期間消費されない場合、データ受入部41に、トナー吐き出し用データを形成させる。制御部90は、画像信号処理部40に、このトナー吐き出し用データに基づき露光器20に露光を行わせ、トナー吐き出し用の静電潜像を現像させる。画像密度の低い画像の形成が続いてトナー消費量が低下すると、現像器13内のトナーが現像で消費されずに攪拌され続け、帯電性能が劣化する。現像器13がトナー吐き出し用の静電潜像を現像することで、現像器13からトナーが強制的に排出される。トナー吐き出し用データに基づくトナー像は用紙には転写されない。ここで、トナー吐き出し用データがトナー排出用の第3のデータの一例に相当する。トナー吐き出し用データに基づく排出については、後述する。
【0055】
[動作]
図4は、画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【0056】
制御部90は、外部から画像形成用画像データの供給を受けると、画像形成用画像データに基づいて1枚分の画像の形成を開始する(S1)。より詳細には、制御部90は、感光体11を回転させ、帯電器12に感光体11を帯電させる。また、現像器13、転写器14、定着器50、および用紙搬送装置30の動作を開始させる。このとき、信号処理部40には、制御部90から、モード切替部901で設定された画像形成モードの情報が供給される。画像信号処理部40のデータ受入部41は、画像形成モードがトナーセーブモードの場合には、外部から供給された画像形成用画像データを変換し、画像形成用画像データが表す画像の画素のうち、トナーを付着させる画素を予め定められた割合で間引いたトナーセーブ画像データを生成する。バッファ部42に蓄積された画像形成用画像データ、またはトナーセーブ画像データは主走査方向の並び順に読出され、PWM変調部43で画素の濃度に応じてオンオフ変調される。画像信号処理部40は、露光器20に、この変換がされた画像データに基づいて変調された露光光を感光体11に照射させる。この一方で、画像形成モードが標準モードの場合には、画像信号処理部40は、間引いた画像データは生成せず、画像形成用画像データに基づいて変調された露光光を感光体11に照射させる。このため、トナーセーブモードにおけるトナー消費量は、標準モードにおけるトナー消費量よりも少ない。
【0057】
次に、制御部90は、トナー消費量の算出を行う(S2)。このステップS2の処理で、制御部90は、直近に形成した複数枚の画像の平均的なトナー消費量を計算する。ステップS2の処理のより詳細な内容は後述する。
【0058】
次に、制御部90は、「ジョブ終了」すなわち画像データに含まれたすべての画像の形成が終了したか否かを判別し(S3)、終了していない場合には(S3でNo)、上記ステップS1からS2の処理を繰り返し、終了している場合には(S3でYes)、ステップS4以降の処理を実行する。
【0059】
ステップS4において、制御部90は、トナー吐き出し処理を実行する。このトナー吐き出し処理で、制御部90は、上記ステップS2の処理で算出したトナー消費量が予め定めた閾値以下の場合に、現像器内の画像を排出させる。ステップS3の処理のより詳細な内容は後述する。
【0060】
次に、制御部90は、画質回復処理を実行する(S5)。この画質回復処理で、制御部90は、画像形成モードがトナーセーブモードから標準モードへと切り替えられた場合に、トナーセーブモードで排出が抑えられていた量のトナーを現像器13に排出させる。ステップS5の処理のより詳細な内容は後述する。
【0061】
図5は、トナー消費量算出処理を示すフローチャートである。
【0062】
トナー消費量算出処理において、制御部90は1ページ分すなわち1枚分の画素情報を取得する(S201)。より詳細には、制御部90は、画素情報として、データ受入部41に外部から供給されてきた画像データにおける各画素の濃度の値を累計した累計値pixel_count_1pvを算出する。
【0063】
次に、制御部90は、画像形成モードを判別し(S202)、画像形成モードが標準モードである場合には(S202でYes)、標準モードで形成した画像の枚数pv_normalを1加算する(S205)。ここで、画像の枚数pv_normalは、標準モードにおける直近に形成した画像の枚数を表している。
【0064】
上記ステップS205の後、制御部90は、直近に形成した画像の各画素の濃度の値の累計値の平均である平均累計値pixel_normalを算出する(S206)。以降、各画素の濃度の値の累計を、単に画素数と称する。
【0065】
また、制御部90は、画像形成モードがトナーセーブモードである場合には(S202でNo)、トナーセーブモードで形成した画像における各画素の累計値pv_saveにpixel_count_1pvの値を加算し、トナーセーブモードで形成した画像の枚数pv_saveを1加算する(S203)。ここで、画像の枚数pv_saveは、トナーセーブモードにおける、直近に形成した画像の枚数を表している。
【0066】
上記ステップS203の後、制御部90は、直近に形成した画像の平均累計値(画素数)pixel_saveを算出する(S204)。
【0067】
次に、制御部90は、トナーセーブモードにおける直近に形成した画像の枚数と、標準モードにおける直近に形成した画像の枚数とのトータルpv_countと、このトータルpv_countの枚数の画像における平均画素数pixel_aveを算出する(S207,S208)。
【0068】
上述したトナー消費量算出処理によって、供給された画像形成用画像データに基づき、標準モードおよびトナーセーブモードの双方で直近に形成された画像の平均画素数pixel_aveが算出される。
【0069】
[トナー吐き出し処理]
図6は、トナー吐き出し処理を示すフローチャートである。
【0070】
トナー吐き出し処理において、制御部90は、直近に形成した画像の枚数であるトータルの累計値pv_countが予め定めた枚数閾値pv_limit以上か否かを判別し(S401)、また、平均画素数pixel_aveが予め定めた画素数閾値pixel_limit以上か否かを判別する(S402)。ここで、直近に形成した画像の枚数が閾値pv_limit以上で、かつ、平均画素数pixel_aveが画素数閾値pixel_limit以上の場合には、現像器13でのトナーの吐き出しが実行される(S404〜S408)。この一方で、直近に形成した画像の枚数が閾値pv_limit未満(S401でNo)、または、平均画素数pixel_aveが画素数閾値pixel_limit未満の場合(S402でNo)には、トナーの吐き出しは実行されない。ここで、画素数閾値pixel_limitは、現像器13で消費されずに攪拌され続けることで劣化したトナーの量が、現像により形成される画質に影響を与えない程度に小さい画素数である。
【0071】
トナーの吐き出しにおいて、制御部90は、画像形成モードを判別し(S403)、画像形成モードが標準モードである場合には(S403でYes)、標準モードでのトナー吐き出し量sweep_normalを算出し(S404)、トナー吐き出し量sweep_normalのトナーを吐き出させるためのトナー吐き出し用データを形成し、このトナー吐き出し用データに基づく静電潜像を形成し、トナーを現像させる(S405)。これによって、像密度の低い画像の形成が連続することでトナー消費量が低下した場合における、現像器13で消費されず攪拌され続けて劣化したトナーが現像器13から排出される。
【0072】
ここで、上記ステップS404で算出されるトナー吐き出し量sweep_normalは、画素数閾値pixel_limitと平均画素数pixel_aveとの差に、直近に形成した画像の枚数であるトータルの累計値pv_countを乗じた値である。これによって、劣化したトナーによる画像への影響が現れない程度の消費画素数である画素数閾値pixel_limitと同程度の画像を形成した場合と同様に、トナーが消費される。
【0073】
制御部90は、ステップS403の判別処理で、画像形成モードがトナーセーブモードである場合には(S403でNo)、トナーセーブモードでのトナー吐き出し量sweep_saveを算出し(S406)、トナー吐き出し量sweep_saveのトナーを吐き出させるためのトナー吐き出し用データを形成し、このトナー吐き出し用データに基づく静電潜像を形成し、トナーを現像させる(S407)。これによって、攪拌され続けたトナーが現像器13から排出される。
【0074】
ここで、上記ステップS406で算出されるトナー吐き出し量sweep_saveは、標準モードの場合のトナー吐き出し量sweep_normalの値に対し、1より小さい値の係数αを乗じた値である。係数αは例えば0.5である。標準モードの場合の半分の量のトナーが消費される。
【0075】
これによって、トナーセーブモードでは、標準モードで排出されるトナーの量に比べて抑えられた排出量のトナーが排出される。
【0076】
トナーセーブモードにおいて、制御部90は、次に、標準モードの場合のトナーの排出量に対する、トナーセーブモードの場合のトナーの排出量との差分を表すトナー吐き出しバッファbuffer_sweepを更新する(S408)。トナー吐き出しバッファbuffer_sweepは、記憶部92に記憶される変数である。この記憶部92が本発明にいう差分記憶部の一例に相当する。
【0077】
次に、制御部90は、表示部902に、画質の低下の可能性を表示する(S409)。
【0078】
図7は、表示部に表示される情報の例を示す図である。
【0079】
トナーセーブモードにおいて、標準モードで排出されるトナーの量に比べて抑えられた排出量のトナーが排出される場合、表示部902の表示面902aには、
図7に示すように「画質低下にご注意下さい」と表示される。トナーセーブモードでは、標準モードの場合に比べてトナーの排出量が抑えられており、現像器13内により多くの劣化したトナーが残っている。上記ステップS409の処理によって、トナーの消費を抑えたことに起因する画質低下の可能性が操作者に報知される。操作者は、モード切替部901操作して、画像形成モードを、トナーセーブモードから、標準モードに切り換えることで、画質を向上させる。
【0080】
トナー吐き出し処理においてトナー吐き出しを実行した後、制御部90は、各累計値や、枚数のカウント値をクリアする(S411)。
【0081】
[画質回復処理]
図8は、画質回復処理を示すフローチャートである。
【0082】
画質回復処理において、制御部90は、画像形成モードを判別し(S501)、モード切替部901によって画像形成モードが標準モードに切替えられてトナーセーブモードが解除された場合には(S501でYes)、トナー吐き出しバッファbuffer_sweepの値を読み出し(S502)、この値に相当する量のトナーを吐き出させるためのトナー吐き出し用データを形成し、このトナー吐き出し用データに基づく静電潜像を形成し、トナーを現像させる(S503)。トナーセーブモードでは、標準モードの場合に比べてトナーの排出量が抑えられており、現像器13内により多くの劣化したトナーが残っている。上記ステップS503の処理によって、トナーセーブモードにおいて、現像器13内に残っているトナーが排出される。このため、画像形成モードが標準モードに切り替えられた直後から、過去のトナーセーブモードでトナーの消費を抑えたことに起因する画質低下が、上記ステップS503の処理を行わない場合に比べて低減する。したがって、標準モードに切り替えられた場合の画質が向上する。
【0083】
本実施形態では、上記ステップS406,S407によって、トナーセーブモードでは、標準モードで排出されるトナーの量に比べて抑えられた排出量のトナーが排出される。
【0084】
図9は、本実施形態において、形成される画像の画像密度とトナー寿命の関係を示すグラフである。
図9には、標準モードにおいて、画像密度が2パーセントの画像を10000枚分形成する量のトナーを収容したトナー収容器を装着し、トナーセーブモードと標準モードの双方で種々の画像密度の画像を形成させた場合に、画像が形成され得る枚数をトナー寿命として算出したものである。
【0085】
グラフに示すように、標準モードおよびトナーセーブモードのいずれも、画像密度が約1.2%近傍以外の部分では、画像の画像密度が低いほどトナー寿命が長くなる。画像密度が約1.2%近傍で、トナー寿命が格段に低下するのは、現像器でのトナー消費量の低下に対し、トナー排出が実行されるためである。ここで、トナーセーブモードにおいては、標準モードに比べ、トナー排出が実行されている画像密度の範囲であっても、トナー寿命が長い。
【0086】
図10は、本実施形態に対する参考例において、形成される画像の画像密度とトナー寿命の関係を示すグラフである。
【0087】
本実施形態におけるステップS201(
図5参照)では、トナーセーブモードおよび標準モードのいずれであっても間引き後の画像データではなく外部から供給されてきた画像データにおける各画素の濃度の値を累計した画素の累計値を算出するのに対し、参考例では、トナーセーブモードでは間引き後の画像データによって各画素の濃度の値を累計した画素の累計値を算出する。また、本実施形態におけるステップS404〜S408(
図6参照)では、トナーセーブモードでは、標準モードで排出されるトナーの量に比べて抑えられた排出量のトナーが排出されるのに対し、参考例では、トナーセーブモードと標準モードとで、同量のトナーが排出される。
【0088】
参考例では、トナーセーブモードにおいて、画像密度が標準モードよりも高い1.7%の部分で、トナーの排出が行われる。このため、画像密度が1.1%以上1.7%以下の範囲で、トナーセーブモードの方がトナー寿命が短い。また、画像密度が1.1%以下の範囲では、トナーセーブモードでも標準モードでもトナー寿命にほとんど変わりがない。
【0089】
ここで、仮に、トナーセーブモードおよび標準モードのいずれであっても間引き後の画像データではなく外部から供給されてきた画像データにおける各画素の濃度の値を累計した画素の累計値を算出するようにした場合、トナーセーブモードにおけるトナー寿命は図の一点鎖線に示すように変化する。しかしこの場合でも、画像密度が1.1%以下の範囲では、トナーセーブモードでも標準モードでもトナー寿命にほとんど変わりがない。
【0090】
これに比べて、本実施形態によれば、
図9のグラフに示すように、トナーの排出が実行される、画像密度が1.1%以下の範囲であっても、トナー寿命が長い。
【0091】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明にあたっては、これまで説明してきた実施形態における各要素と同一の要素には同一の符号を付けて示し、前述の実施形態との相違点について説明する。
【0092】
図11は、第2実施形態に係るトナー吐き出し処理を示すフローチャートである。
【0093】
第2実施形態の画像形成装置は、トナー吐き出し処理において、トナーセーブモードでのトナー吐き出し量sweep_saveを0とする点である(S506)。つまり、第1実施形態でトナー吐き出し用データに基づく現像器13内のトナーを排出させることに代わり、第2実施形態では、トナー吐き出し用データに基づく現像器13内のトナーの排出を停止する。
【0094】
図12は、第2実施形態において、形成される画像の画像密度とトナー寿命の関係を示すグラフである。
【0095】
第2実施形態によれば、
図12に示すように、画像密度が1.1%以下の範囲におけるトナー寿命がさらに長い。
【0096】
上述した実施形態では、トナーセーブモードにおいて、標準モードよりトナーの消費量を抑える例として、データ受入部41が、画像データが表す画像の画素のうち、トナーを付着させる画素を予め定められた割合で間引いた画像データを生成する構成を説明した。しかし、トナーセーブモードにおいて、標準モードよりトナーの消費量を抑える方法としては、トナーを付着させる画素を間引く以外に、PWM変調部43において、トナー有に相当する期間のパルスを短くするよう変調する構成も採用され得る。
【0097】
図13は、PWM変調部における変調の別の例を説明する図である。
【0098】
図13に示すように、トナーセーブモードでは、濃度が100%の画素に対し50%のとし、50%の画素を25%の画素として信号を生成することで、トナーの消費量が50%に低減される。この場合、パルスを短くされた信号が、本発明にいう、少ないトナー消費量となるように変換された第2の画像データの一例に相当する。
【0099】
PWM変調部43による変調でトナー消費量を低減する場合であっても、上記第1実施形態および第2実施形態のトナー吐き出しの処理(
図5,6,11参照)や、画質回復の処理(
図8参照)が適用され得る。
【0100】
なお、上述した実施形態では、本発明にいうモード切替部の例として、例えばスイッチであるモード切替部901が示されている。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、モード切替部は例えば画像形成装置の外部から送信されてくるデータに応じてモードを切り替えるものであってもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、本発明にいう像保持体の例として、円筒状の表面を有する感光体11が示されている。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、像保持体は例えば、ベルト状であってもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、本発明にいう画像形成部の例として、感光体11上のトナー像が用紙に直接転写される構成が示されている。しかし、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、像保持体上のトナー像が中間転写体への転写を経て用紙に間接転写される構成であってもよい。
【0103】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてモノクロプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、カラー画像を形成するカラープリンタであってもよい。
【0104】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてプリンタが示されている。しかし、本発明にいう画像形成装置はプリンタに限られず、例えば、複写機やファクシミリであってもよい。