(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の物品移載設備では、作業領域における物品の移載作業の作業量はほぼ均一となるようにされているが、作業領域に配置される作業者の処理能力は人によってそれぞれ異なるため、実際には、作業を行わない手待ち時間が多く発生している作業領域があったりして、各作業領域間にバラつきが生じている。各作業領域間にバラつきが発生していると、全体として物品を移載する効率が低下する原因となる場合もあるため、各作業領域間のバラつきは適切に把握されていることが望ましい。
そこで、本発明は、全体として物品を移載する効率の向上を図るため、各作業領域間のバラつきを把握することができる物品移載設備および物品移載設備における作業能率の演算方法を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明の物品移載設備によれば、物品の移載作業を行う複数の作業領域を設け、前記作業領域ごとに、物品を収納する第1の収納手段と、前記第1の収納手段から物品を移載される第2の収納手段と、前記第1の収納手段に、作業者に前記第1の収納手段から前記第2の収納手段への物品の移載作業を指示する移載指示手段と、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段に対する物品の移載作業が完了したことを、作業者が制御手段に通知するための移載完了通知手段とを備えた物品移載設備において、前記作業領域ごとに、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段への移載作業の処理が完了した作業量を演算する処理作業量演算手段と、前記作業領域ごとに、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段に対する物品の移載作業を行う作業設定時間を演算する作業設定時間演算手段と、前記作業領域ごとに、前記移載指示手段による指示が開始されてから前記移載完了通知手段により移載作業が完了したことが通知されるまでの時間を、前記移載完了通知手段による通知動作について累積した時間である累積処理時間を演算する累積処理時間演算手段と、前記作業領域ごとに、前記作業量を前記累積処理時間で除算した値である処理率から、前記作業量を前記作業設定時間で除算した値である稼働率を減算した値である余裕率を演算する余裕率演算手段と、を備え、
前記稼働率と、前記処理率と、前記余裕率と、前記累積処理時間と、を前記作業領域ごとに比較した結果に基づいて、物品移載作業の効率の改善を促す情報を表示することを特徴とするものである。
さらに、本発明の物品移載設備によれば、前記制御手段より前記作業領域ごとの前記余裕率を入力して表示する表示手段を備えたことが好適である。
さらに、本発明の物品移載設備によれば、前記表示手段が、前記作業領域ごとの前記余裕率をグラフにより表示することが
好適である。
【0007】
さらに、本発明の物品移載設備における作業能率の演算方法によれば、物品の移載作業を行う複数の作業領域を設け、前記作業領域ごとに、物品を収納する第1の収納手段と、前記第1の収納手段から物品を移載される第2の収納手段と、前記第1の収納手段に、作業者に前記第1の収納手段から前記第2の収納手段への物品の移載作業を指示する移載指示手段と、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段への物品の移載作業が完了したことを、作業者が制御手段に通知するための移載完了通知手段とを備えた物品移載設備における作業能率の演算方法であって、前記作業領域ごとに、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段への移載作業の処理が完了した作業量を演算し、前記作業領域ごとに、前記第1の収納手段から前記第2の収納手段に対する物品の移載作業を行う作業設定時間を演算し、前記作業領域ごとに、前記移載指示手段による指示が開始されてから前記移載完了通知手段により移載作業が完了したことが通知されるまでの時間を、前記移載完了通知手段による通知動作について累積した時間である累積処理時間を演算し、前記作業領域ごとに、前記作業量を前記累積処理時間で除算した値である処理率から、前記作業量を前記作業設定時間で除算した値である稼働率を減算した値である余裕率を演算することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、作業領域ごとに、第1の収納手段から第2の収納手段への移載作業の処理が完了した作業量が演算され、作業領域ごとに、第1の収納手段から第2の収納手段に対する物品の移載作業を行う作業設定時間が演算され、作業領域ごとに、移載指示手段による指示が開始されてから移載完了通知手段により移載作業が完了したことが通知されるまでの時間が移載完了通知手段の通知動作について累積した時間である累積処理時間が演算され、作業領域ごとに、作業量を前記累積処理時間で除算した値である処理率から、作業量を作業設定時間で除算した値である稼働率を減算した値である余裕率が演算され、演算された余裕率により各作業領域間のバラつきを把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図2は物品移載設備の一例であるピッキング設備の全体構成図である。このピッキング設備は、仕分け先からの注文が割り付けられた集品容器10に対してピッキングされる物品を収納する複数の間口12(第1の収納手段の一例;区画領域の一例)を有する物品保管手段Aと、物品保管手段Aに沿って配置され、複数の前記集品容器10を搬送する搬送手段Bが備えられている。
【0011】
物品保管手段Aは、種類ごとに物品を保管する複数の間口12を有している。各間口12には、作業者Hに集品容器10へ投入する物品の取出し作業を表示する間口表示器13が設けられている。複数の間口12ごとに、ピッキング作業の指示が行われる範囲であるゾーンZ(作業領域の一例)が形成されている。
図2では、ゾーンZごとに間口12と間口表示器13(移載指示手段の一例;区画領域表示手段の一例)を2つずつ示しているが、実際には、ゾーンZに収納する物品の種類ごとに設置され、さらに、取り出す物品の数量を数字により表示するように構成されている。また各ゾーンZには、ピッキング作業を行う作業者Hが配置されている。
【0012】
搬送手段Bは、物品保管手段Aに沿って、複数の集品容器10(第2の収納手段の一例)を連続的に搬送するものである。搬送手段Bでは、複数の間口12ごとに形成した前記ゾーンZごとに、それぞれ、搬送手段Bの所定範囲の部分が割り当てられている。搬送手段Bは、任意の位置で集品容器10の搬送と停止を行うことが可能なアキュムレーションコンベヤから構成されることが好ましい。また、ゾーンZの割り当てられている搬送手段Bの所定範囲の部分の集品容器10の搬送速度を、他のゾーンZに割り当てられている搬送手段Bの所定範囲の部分や、搬送手段BにおいてゾーンZが割り当てられていない部分とは独立して変更可能とする設定手段を設けることもできる。集品容器10ごとに、仕分け先からの注文が割付けられた固有の識別符号が書き込まれたデータキャリア18が設けられる。また集品容器10ごとに、例えば、集品容器10に取り付けられる等して、集品容器10に付随して共に移動される容器表示器14が設けられている。容器表示器14により、取り出した物品を投入する先の集品容器10が指示される。ゾーンZの作業者Hは、容器表示器14の表示が行われている集品容器10に取り出した物品11の投入作業(移載作業の一例)を行う。さらに、各ゾーンZには、集品容器10のデータキャリア18に書き込まれた前記固有の識別符号を読み取る読取手段17が配置されている。この読取手段17を配置する位置によって、各ゾーンZに搬送手段Bの所定範囲の部分が決定されている。さらに各ゾーンZには、対象の集品容器10に対する物品の投入作業が完了したことを、後述する制御装置19に作業者Hが操作により通知する投入完了スイッチ15(移載完了通知手段の一例;投入完了通知手段の一例)が配置されている。この投入完了スイッチ15としては、例えば、作業者Hの手により操作される長尺状のタッチセンサであるテープスイッチ、作業者Hの足により操作されるフットスイッチ、発行素子と受光素子からなり作業者が手や足等により発行素子から受光素子へと発せられる光を遮光することにより操作される光電式スイッチなどを利用することができる。
【0013】
そして、各ゾーンZのピッキング作業に関する情報を表示する表示装置16(表示手段の一例)が配置されている。また表示装置16に表示される各ゾーンZのピッキング作業に関する情報の管理を行う管理者Mが配置されている。
【0014】
ピッキング設備の動作を制御する制御装置19が配置されている。
図3(a)に示すように制御装置19は、ピッキング設備全体を総合的に制御する制御手段20と、ゾーンZにおいて処理が完了した作業量を演算する処理作業量演算手段21と、ゾーンZごとに、ゾーンZにおける作業設定時間(例えば、ピッキング設備の稼動の開始から停止までの長さの時間を用いることができる)を演算する作業設定時間演算手段22と、ゾーンZごとに、各間口表示器13による指示が開始されてから作業者Hが投入完了スイッチ15を操作することにより投入作業が完了したことが通知されるまでの時間を、投入完了スイッチ15による通知動作について累積した時間である累積処理時間を演算する累積処理時間演算手段23と、前記作業量を前記累積処理時間で除算した値である処理率から、作業量を作業設定時間で除算した値である稼動率を減算した値である余裕率を演算する余裕率演算手段24とを備えている。制御手段20は、具体的には、間口表示器13による取り出し指示を行うものであり、投入完了スイッチ15が操作されると、対象の集品容器10に対する物品の投入が完了したことがこの制御手段20に通知され、次の対象について、間口12の間口表示器13の表示および容器表示器14の表示を行う。また余裕率演算手段24は、各ゾーンZについて、
処理作業量演算手段21より入力する作業量と作業設定時間演算手段22より入力する作業設定時間により稼働率26を演算し、累積処理時間演算手段23より入力する累積処理時間により処理率27を演算し、
図3(b)に示すように、稼働率26から処理率27を減算して余裕率28を演算している。また
図4に示すように、制御装置19により余裕率28を演算する工程は、まず、作業量を演算し(ステップ−1)、作業設定時間を演算し(ステップ−2)、累積処理時間を演算し(ステップ−3)、余裕率が演算される(ステップ−4)という流れになる。
ここで、稼働率26はゾーンZに要求されている処理の速度とみなすことができ、処理率27は実際にゾーンZで行われた処理の速度とみなすことができ、余裕率28はゾーンZに発生した手待ち時間とみなすことができる。
【0015】
ゾーンZにおけるピッキング作業を説明する。
まず、ゾーンZにおけるピッキング対象の集品容器10がゾーンZに搬入されてくると(ゾーンZにおけるピッキング対象の集品容器10のデータキャリア18がゾーンZの読取手段17により読み取られると)、ゾーンZの間口12のうち、対象の集品容器10に投入する物品を保管している間口12の間口表示器13に物品の取出し表示が行われ、同時に、対象の集品容器10の容器表示器14にゾーンZの間口12からの物品の投入作業を指示する表示が行われる。
【0016】
ゾーンZの作業者Hは、間口表示器13の表示に基づいて間口12から物品の取り出し作業を行い、取り出した物品を、容器表示器14により指示されている集品容器10に投入する。対象の集品容器10に対するゾーンZにおける対象の全ての物品の投入が完了すると、ゾーンZの作業者Hは、ゾーンZの投入完了スイッチ15を操作して、対象の集品容器10に対する自分が処理を担当するゾーンZの物品のピッキング作業が終了したことを制御装置19に通知する。制御装置19は、ゾーンZの投入完了スイッチ15により投入作業が完了したことを通知されると、対象の集品容器10の容器表示器14による表示を解除し、当該ゾーンZの間口表示器13の表示を解除する。
【0017】
そして、次の対象の集品容器10がゾーンZに搬送されてくると、同様にして、間口表示器13の表示と容器表示器14の表示が行われ(次の対象の集品容器10に対する作業指示が行われ)、次のピッキング作業が行われる。
【0018】
またゾーンZにおける対象の物品の投入作業が未完了の状態で、対象の集品容器10が、搬送手段BのゾーンZの所定範囲の部分の外に搬出されそうになると(集品容器10のデータキャリア18が次のゾーンZの読取手段17により読み取られると)、ゾーンZにおいて作業遅れが発生したことになり、搬送手段BのゾーンZの所定範囲の部分が停止され、集品容器10の搬送が中断される。このように作業遅れが生じた場合、対象の集品容器10にゾーンZの間口12の物品の投入作業が完了し、ゾーンZの作業者Hにより、ゾーンZの投入完了スイッチ15が操作されると、搬送手段BにおけるゾーンZが割り当てられた部分の停止は解除され、集品容器10の搬送が再開される。
【0019】
また各ゾーンZにおいて、搬送手段BのゾーンZの所定範囲の部分が停止されてから投入完了スイッチ15が操作され、搬送手段BのゾーンZの所定範囲の部分の停止が解除されるまでの時間が、停止時間とされる。
【0020】
ここで、間口表示器13による表示が行われてから投入完了スイッチ15が操作されるまでの時間が、作業者Hが1つの集品容器10に対する作業時間となる。
投入完了スイッチ15が操作されてから次に間口表示器13による取り出し作業の指示の表示が行われるまでの時間が、作業者Hに作業指示が何ら与えられておらず、作業者Hが作業を行っていない手待ち時間となる。
表示装置16に表示される各ゾーンZのピッキング作業に関する情報を表示する(ゾーンZ別の詳細画面)について説明する。
【0021】
図1はゾーンZ別の詳細表示画面であり、一例として20単位分のゾーンZの情報が表示されている。
図1において、左側の縦軸は作業量を時間で除算した値を示し、右側の縦軸は累積停止時間の値を示し、下側の横軸は各ゾーンZの番号を示している。
図1において斜線で示す棒グラフは各ゾーンZの処理率27を示し、白抜きで示す棒グラフは各ゾーンZの稼働率26を示し、折れ線グラフにおける黒丸は各ゾーンZの累積停止時間29を示している。ここで、作業量としては、例えば、仕分け先単位、集品容器単位、物品の種類単位、処理した物品の数量単位などを選択的に切り替えて表示することができる。
【0022】
また
図1では、ゾーンZごとに、処理率27と稼働率26を重ねて表示しており、処理率27から稼働率26を減算した値である余裕率28が直ちに把握できるようにされている。この余裕率28は、ゾーンZに発生した手待ち時間の指標として用いることができ、余裕率28の値が大きいほど、ゾーンZに発生した手待ち時間が多く作業に余裕があり、逆に余裕率28の値が小さいほど、ゾーンZに発生した手待ち時間が少なく作業に余裕がないことを示している。また
図1では、点線により、全てのゾーンZの稼働率26の平均値である平均稼働率を示している。平均稼働率をひとつの指標として、設備全体の稼働時間辺りの作業量を見積もることが可能である。また平均稼働率を基準として、各ゾーンZの稼働率26が多いか少ないかを見積もることが可能である。また
図1では、一点鎖線により、全てのゾーンZの処理率27を平均値である平均処理率を示している。平均処理率を指標として、設備全体の処理能力を見積もることができる。また平均処理率を基準として、各ゾーンZの処理率27が多いか少ないかを見積もることが可能である。
【0023】
このゾーンZ別の詳細表示画面は、ピッキング設備の作業の進捗に応じて随時更新され、管理者Mは、余裕率により各作業領域のバラツキをリアルタイムで容易に把握することができ、ピッキング作業の効率を改善するための判断材料とすることができる。そして、管理者Mは、各ゾーンZにおける作業量のバラつき、手待ち時間のバラつき、作業遅れのバラつきを一括して把握可能とされる。
管理者Mは、余裕率28の大きいゾーンZと余裕率28の小さいゾーンZとの間で、作業負荷の大きい物品と作業負荷の小さい物品との配置を入れ替えることを計画したり、短時間に作業負荷が集中している部分について作業負荷を分散させることを計画したりして、各ゾーンZ間における余裕値28のバラつきに基づいて、全体のピッキング効率が最大となるように役立てることができる。
【0024】
また管理者Mがよりピッキング作業の効率を改善するための判断材料を容易に得ることができるようにするために、表示装置16に、ゾーンZごとの余裕率に基づいて、ピッキング作業の効率を促す情報となるメッセージを表示するようにしてもよい。
この場合、例えば、
図5に示すように、以下の各パターン(1)〜(8)に応じて、表示装置16にメッセージを表示する。
(1)稼働率26が相対的に大きく、余裕率28が相対的に大きく、累積停止時間29が相対的に大きいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に速い(処理能力が相対的に高い)と考えられるが、作業負荷が集中しているおそれがあるため、作業負荷を分散するように物品の割り当てを変更することが考えられる。また物品の割当てを増やすことが可能である。
(2)稼働率26が相対的に大きく、余裕率28が相対的に小さく、累積停止時間29が相対的に小さいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に速い(処理能力が相対的に高い)と考えられ、作業負荷が集中していることもない。したがって、物品の割当てを増やすことが可能である。
【0025】
(3)稼働率26が相対的に大きく、余裕率28が相対的に小さく、累積停止時間29が相対的に大きいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に高い(処理能力が相対的に普通)と考えられるが、作業負荷が集中しているおそれがあるため、作業負荷を分散するように物品の割り当てを変更することが考えられる。
(4)稼働率26が相対的に大きく、余裕率28が相対的に小さく、累積停止時間29が相対的に小さいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に速い(処理能力が相対的に高い)と考えられ、作業負荷が集中していることもない。したがって、物品の割り当てを変更する必要はない。
【0026】
(5)稼働率26が相対的に小さく、余裕率28が相対的に大きく、累積停止時間29が相対的に大きいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度の速さは不明であるが、作業負荷が集中しているおそれがある。したがって、作業負荷を分散するように物品の割り当てを変更することが考えられる。
(6)稼働率26が相対的に小さく、余裕率28が相対的に大きく、累積停止時間29が相対的に小さいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度の速さは不明であるが、作業負荷が集中していることはない。したがって、物品の割り当てを増やすことが可能である。
【0027】
(7)稼働率26が相対的に小さく、余裕率28が相対的に小さく、累積停止時間29が相対的に大きいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に遅い(処理能力が相対的に低い)ことが考えられる。したがって、物品の割り当てを減らすことが考えられる。
(8)稼働率26が相対的に小さく、余裕率28が相対的に小さく、累積停止時間29が相対的に小さいとき
該当するゾーンZに配置された作業者Hは、他のゾーンZの作業者Hと比較して、作業速度が相対的に遅い(処理能力が相対的に低い)ことが考えられる。したがって、物品の割り当てを変更する必要はない。
【0028】
また例えば、ピッキング設備の稼動が終了した時点で、管理者Mは表示装置16のゾーンZ別の詳細画面を確認して、各ゾーンZの稼働率26、処理率27、余裕率28、累積停止時間29を総合的に比較検討して、異なるゾーンZ間で、間口12に保管しておく物品の種類を取り替えたり、作業者Hの配置を入れ替えたりする等して、次の稼動の際に、平均稼働率が向上するように、すなわち、ピッキング作業の効率が向上されるように準備することができる。この際、各ゾーンZにおける累積停止時間29が多い場合は、短時間に作業負担が集中していることが考えられる。また物品の配置の入れ換えは、例えば、余裕率28が最小であったゾーンZにおける間口12に配置されているピッキング作業に時間を要する(荷取り扱い特性の悪い)物品と、余裕率28が最大であったゾーンZの間口12に配置されているピッキング時間に時間を要しない(荷取り扱い特性の良い)物品との間で配置を変更することにより行うことができる。
【0029】
以上に本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、ゾーンZ別の詳細表示画面は、表示装置16に表示するだけに限らず、必要な時に、プリンタ等に出力して印刷して利用することもできる。また例えば、ゾーンZ別のゾーンZが割り当てられた部分の累積停止時間29に代えて、ゾーンZ別のゾーンZが割り当てられた部分を停止した回数を表示するようにすることもできる。また複数のゾーンZを設けた領域をエリアとし、このようなエリアを複数配置して、エリアごとに平均稼働率の競争などを行って全体の作業効率の向上を図ることもできる。
また例えば、仕分け先からの注文が割り付けられた集品容器10に対してピッキングされる物品を収納する例について説明したが、集品容器10を用いずに、単に、搬送手段B上に仕分け先からの注文ごとの区画を設定して、各区画に対して物品の移載を行うようにすることもできる。
また物品移載設備の一例としてピッキング設備について説明したが、アソート設備にも本発明を適用することができる。
アソート設備は、物品の移載作業を行う複数のゾーンZ(作業領域の一例)を有し、各ゾーンZに、それぞれ、複数の仕分け先からの注文に含まれる物品が一旦集められたカート等(第1の収納手段の一例)が搬入され、カートに集めた物品を、仕分け先からの注文が割り当てられた収納区画(第2の収納手段の一例)に移載して、仕分けるものである。この場合、各ゾーンZには、それぞれ、カートから各収納区画に対する物品の移載作業を指示する移載指示手段が設けられ、またカート等から収納区画に対する移載作業が完了したことを通知する移載完了通知手段が設けられている。これにより、ゾーンZごとに、処理が完了した作業量と、作業設定時間と、累積処理時間とを演算することが可能であり、処理率、稼働率、余裕率を演算することが可能とされている。