(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、熱電モジュール自体を薄型化したいという要求があり、この場合、P型及びN型熱電素子の薄膜化が必要になる。しかしながら、特許文献1では、熱電素子におけるフィルム幅方向両側の一部のみを温接点及び冷接点とし、また、特許文献2では、熱電素子における基板内周側及び外周側の一部のみを温接点及び冷接点としているので、熱電素子同士の接触面積がもともと狭い構造となっている。このような構造においてP型及びN型熱電素子を薄膜化すると、接触面積がさらに減少して極めて狭い面積での接触となる。
【0008】
また、特許文献3では、熱電素子の端部にのみ電極を接続しているので、このものも電極と熱電素子との接触面積が狭い構造である。従って、特許文献1、2と同様に、熱電素子を薄膜化すると電極と熱電素子とが極めて狭い面積で接触することになる。
【0009】
P型及びN型熱電素子の接触面積、熱電素子及び電極の接触面積が狭くなると、電気抵抗が増大して電流が流れにくくなる。サーモセンサとして用いることだけを考えた場合には、それでも対応が可能と考えられるが、発電装置や冷却、加熱装置として用いる場合を考えると、上記のように電流が流れにくくなる分、発電能力や冷却、加熱能力がそれぞれ低下することになり、不都合である。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱電素子を薄膜化しながら、熱電素子の電気的接続部分の接触面積を広くして電気抵抗を減らし、これにより、発電能力や冷却、加熱能力を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、P型及びN型熱電素子の間に電極の接続部を配置し、P型及びN型熱電素子の並び方向と交差する方向に電極の伝熱部を突出させるようにした。
【0012】
第1の発明は、平面基板(2)上に形成された薄膜からなるP型及びN型熱電素子(3)、(4)と、これらP型及びN型熱電素子(3)、(4)を接続する伝熱部材からなる
放熱側電極(11)〜(13)
と吸熱側電極(21)〜(23)とを備え
、平面状態で使用される平面型薄膜熱電モジュール(1)において、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)は、上記基板(2)の面に沿う所定方向に交互に並ぶように互いに間隔をあけて配置され、上記
放熱側電極(11)〜(13)
と上記吸熱側電極(21)〜(23)は、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に配置されて該電極(11)〜(13)、(21)〜(23)に隣接する上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続される接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)と、該接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)から上記基板(1)の面に沿って上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と交差する方向に突出する伝熱部(11b)〜(13b)、(21b)〜(23b)とを備え
、上記放熱側電極(11)〜(13)の伝熱部(11b)〜(13b)は、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と交差する方向において一方向に突出し、上記吸熱側電極(21)〜(23)の伝熱部(21b)〜(23b)は、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と交差する方向において他方向に突出していることを特徴とするものである。
【0013】
この構成によれば、P型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)が位置しているので、熱電素子(3)、(4)を薄膜化しても、該熱電素子(3)、(4)及び電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を基板(2)の面に沿う方向に長く形成することで、電流は熱電素子(3)、(4)の長手方向には流れずに幅方向にのみ流れるようになって電流の流れる距離が短くなり、また、電流の流れに垂直方向の断面積が増加し、さらに、熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)との接触面積を広く確保することが可能になる。これらのことにより、モジュール(1)の電気抵抗が低くなる。そして、電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の伝熱部(11b)〜(13b)、(21b)〜(23b)によって放熱及び吸熱が効果的に行われることになる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)は、該P型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と交差する方向に長く延びており、上記電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)は、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)の長手方向に沿って長く延びていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と、電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)との接触長さを長くすることが可能になるので、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)との接触面積を十分に広く確保することが可能になる。
【0016】
第3の発明は、第1または2の発明において、上記基板(2)には、高温部分と低温部分との間の熱伝導を低下させる断熱部(31)が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
この構成によれば、基板(2)の高温部分と低温部分との間で熱が伝わりにくくなるので、効率がより一層高まる。
【0018】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、上記P型及びN型熱電素子(3)、(4)は、上記基板(2)の所定方向に並ぶ第1熱電素子群(A)と、該第1熱電素子群(A)から離れて上記基板(2)の所定方向に並ぶ第2熱電素子群(B)とを形成していることを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、第1熱電素子群(A)及び電極(11)〜(13)、(21)〜(23)と、第2熱電素子群(B)及び電極(11)〜(13)、(21)〜(23)とにより多段型の熱電モジュール(1)が得られる。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によれば、基板(2)に配置したP型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を配置したことにより、電流は熱電素子(3)、(4)の長手方向には流れずに幅方向にのみ流れるようになるので、電流の流れる距離が短くなり、よって、電気抵抗を低くすることができる。さらに、熱電素子(3)、(4)及び電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を基板(2)の面に沿う方向に長く形成することで、熱電素子(3)、(4)において電流の流れに垂直方向の断面積を増加させることができ、このことによっても電気抵抗を低くすることができる。さらに、熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)との接触面積を広く確保することができ、接触電気抵抗を低くすることができる。これらのことにより、モジュール(1)の電気抵抗を低くすることができる。そして、電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の伝熱部(11b)〜(13b)、(21b)〜(23b)によって放熱及び吸熱を効果的に行うことができる。従って、熱電モジュール(1)を薄型化しても発電能力や冷却、加熱能力を高めることができる。
【0021】
第2の発明によれば、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)との接触面積を十分に広く確保することができ、熱電モジュール(1)の発電能力や冷却、加熱能力をより一層高めることができる。
【0022】
第3の発明によれば、基板(2)の高温部分と低温部分との熱伝導を低下させることができるので、熱電モジュール(1)の発電能力や冷却、加熱能力をより一層高めることができる。
【0023】
第4の発明によれば、多段型の熱電モジュール(1)を得ることができるので、熱電モジュール(1)の発電能力や冷却、加熱能力を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかる平面型薄膜熱電モジュール(1)の平面図である。この熱電モジュール(1)は、電流を流して、電気を熱に変換することによって、対象物を冷却または加熱するものである。
【0027】
熱電モジュール(1)は、全体として薄い板状に形成されており、基板(2)と、P型熱電素子(3)と、N型熱電素子(4)と、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)と、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)と、第1放熱側電極(11)に接続される第1電線(24)と、第1吸熱側電極(21)に接続される第2電線(25)とを備えている。
【0028】
基板(2)は、絶縁性を有する樹脂、例えばポリイミド等によって薄い平板状に形成されている。基板(2)は略長方形状である。尚、基板(2)は、ポリイミド以外の樹脂材で形成してもよく、また、形状は長方形に限られるものではない。
【0029】
P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)は、基板(2)上面に熱電材料を蒸着することによって得られたものであり、厚みは1μm〜10μm程度の薄膜熱電素子である。P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)は、基板(2)の上面に沿って該基板(2)の幅方向(
図1の左右方向)に交互に、かつ、互いに間隔をあけて並んでおり、具体的には、幅方向両側と中央部近傍に計3つのP型熱電素子(3)が配置され、これら3つのP型熱電素子(3)の間に2つのN型熱電素子(4)が配置されている。
【0030】
P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)は、互いに同じ形状であり、基板(2)の上面に沿って該基板(2)の長手方向(
図1の上下方向)に延びる細長い形状である。つまり、P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)の並ぶ方向と、P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)の延びる方向(長手方向)とは略直交している。
【0031】
P型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)の長手方向の寸法は、幅方向の寸法に比べて大幅に長く設定されており、例えば、長手方向の寸法は幅方向の寸法の10倍以上である。
【0032】
第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)は、
図2に示すように、P型熱電素子(3)よりも厚くなっており、
図1に示すように、全体として基板(2)の長手方向に長い形状を有している。第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)は、全体として基板(2)の長手方向一側に偏位する一方、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)は、全体として基板(2)の長手方向他側に偏位している。
【0033】
さらに、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)は、基板(2)の幅方向に互いに間隔をあけて配置されており、第1放熱側電極(11)は基板(2)の幅方向一端(
図1の左)近傍に位置付けられ、第2放熱側電極(12)は第1放熱側電極(11)の幅方向他側(
図1の右)に位置付けられ、第3放熱側電極(13)は第2放熱側電極(12)の幅方向他側に位置付けられている。
【0034】
第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)は、上記放熱側電極(11)〜(13)と同様に基板(2)の幅方向に互いに間隔をあけて配置されている。第1吸熱側電極(21)は、基板(2)の幅方向他端近傍に位置付けられ、第2吸熱側電極(22)は第1吸熱側電極(21)の幅方向一側に位置付けられ、第3吸熱側電極(23)は第2吸熱側電極(22)の幅方向一側に位置付けられている。
【0035】
第1放熱側電極(11)における長手方向他側は一側に比べて幅が狭く形成されている。第1放熱側電極(11)の幅の狭い部分は、第1電線(24)が導電状態で接続される電線接続部(11a)であり、幅の広い部分は放熱部(11b)である。電線接続部(11a)は、基板(2)の長手方向に長く延びており、その縁部の長手方向全体がP型熱電素子(3)に接続されており、これによって接触面積が広く確保されるようになっている。
【0036】
第2及び第3放熱側電極(12)、(13)における長手方向他側は一側に比べて幅が狭く形成されている。第2及び第3放熱側電極(12)、(13)の幅の狭い部分は、P型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に配置されて該電極(12)、(13)に隣接するP型及びN型熱電素子(3)、(4)に導電状態で接続される接続部(12a)、(13a)である。接続部(12a)、(13a)は、基板(2)の長手方向に長く延びており、その縁部の長手方向全体がP型熱電素子(3)及びN型熱電素子(4)に接続されており、これによって接触面積が広く確保されるようになっている。また、第2及び第3放熱側電極(12)、(13)の幅の広い部分は、放熱部(12b)、(13b)である。
【0037】
放熱部(12b)、(13b)は、接続部(12a)、(13a)から基板(2)の上面に沿ってP型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と略直交(交差)する方向に突出する形態となり、熱は基板(2)の長手方向に伝わる一方、電流は基板(2)の幅方向に流れることになる。
【0038】
第1吸熱側電極(21)における長手方向一側は他側に比べて幅が狭く形成されている。第1吸熱側電極(21)の幅の狭い部分は、第2電線(25)が導電状態で接続される電線接続部(21a)であり、幅の広い部分は吸熱部(21b)である。
【0039】
第2及び第3吸熱側電極(22)、(23)における長手方向一側は他側に比べて幅が狭く形成されている。第2及び第3吸熱側電極(22)、(23)の幅の狭い部分は、P型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に配置されて該電極(22)、(23)に隣接するP型及びN型熱電素子(3)、(4)に導電状態で接続される接続部(22a)、(23a)である。接続部(22a)、(23a)は、基板(2)の長手方向に長く延びており、その縁部の長手方向全体がP型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続されており、これによって接触面積が広く確保されるようになっている。また、第2及び第3吸熱側電極(22)、(23)の幅の広い部分は、吸熱部(22b)、(23b)である。吸熱部(22b)、(23b)は、接続部(22a)、(23a)から基板(2)の上面に沿ってP型及びN型熱電素子(3)、(4)の並び方向と略直交(交差)する方向に突出する形態となる。
【0040】
P型及びN型熱電素子(3)、(4)の表面のうち、幅方向両端部は、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)により覆われるとともに、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)により覆われている。これにより、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)との接触面積がより一層広く確保されるとともに、確実に接触して接触不良が回避される。
【0041】
尚、上記熱電モジュール(1)は、絶縁性を有する樹脂材でコーティングされている。
【0042】
上記熱電モジュール(1)を製造する場合には、まず、基板(2)の上面に、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を構成する熱電材料を蒸着させてP型及びN型熱電素子(3)、(4)を得る。
【0043】
その後、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)を構成する電極材料を基板(2)の上面に蒸着させて電極(11)〜(13)、(21)〜(23)を得る。
【0044】
しかる後、第1放熱側電極(11)に第1電線(24)を接続するとともに、第1吸熱側電極(21)に第2電線(25)を接続する。
【0045】
上述のような構成の熱電モジュール(1)に電流を流すと、いわゆるペルチェ効果によって第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)が高温となり、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)が低温となる。第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)を対象物に接触させたり、接近させると、該対象物を加熱することができ、一方、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)を対象物に接触させたり、接近させると、該対象物を冷却することができる。
【0046】
このとき、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を薄膜としているが、これら熱電素子(3)、(4)を基板(2)の長手方向に長く形成するとともに、電極(12)、(13)、(22)、(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を熱電素子(3)、(4)の形状に対応して長く形成したことにより、電流は熱電素子(3)、(4)の長手方向には流れずに幅方向にのみ流れるようになるので、電流の流れる距離が短くなり、よって、電気抵抗を低くすることができる。また、熱電素子(3)、(4)及び電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を基板(2)の面に沿う方向に長く形成したので、熱電素子(3)、(4)において電流の流れに垂直方向の断面積を増加させることができ、このことによっても電気抵抗を低くすることができる。さらに、熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)との接触面積を広く確保することができ、接触電気抵抗を低くすることができる。これらのことにより、モジュール(1)の電気抵抗を低くすることができる。これにより、加熱及び冷却能力が十分に高まることになる。
【0047】
また、これとは逆に、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)のうち一方を加熱して他方を冷却すると、いわゆるゼーベック効果により、熱電モジュール(1)に電流が流れる。この場合も、上記したように熱電モジュール(1)の電気抵抗が低減していることにより、発電能力が十分に高まることになる。
【0048】
以上説明したように、この実施形態にかかる熱電モジュール(1)によれば、基板(2)に配置したP型及びN型熱電素子(3)、(4)の間に電極(12)、(13)、(22)、(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を配置し、P型及びN型熱電素子(3)、(4)及び電極(12)、(13)、(22)、(23)の接続部(12a)、(13a)、(22a)、(23a)を基板(2)の長手方向に長くして接触面積を広く確保し、電気抵抗を低くすることができる。そして、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)の放熱部(11b)〜(13b)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)の吸熱部(21b)〜(23b)によって放熱及び吸熱を効果的に行うことができる。従って、熱電モジュール(1)の発電能力や冷却、加熱能力を高めることができる。
【0049】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2にかかる熱電モジュール(1)の断面を示すものである。この実施形態2の熱電モジュール(1)は、P型及びN型熱電素子(3)、(4)の表面側が放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)によって覆われていない点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0050】
すなわち、製造時に、放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)がP型及びN型熱電素子(3)、(4)の表面に付着しないようにしている。また、実施形態1に比べてP型及びN型熱電素子(3)、(4)の幅が狭く設定されている。
【0051】
この実施形態2の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0052】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3にかかる熱電モジュール(1)の断面を示すものである。この実施形態3の熱電モジュール(1)は、P型及びN型熱電素子(3)、(4)により放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)の表面を覆うようにしている点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0053】
すなわち、製造時に、放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)を構成する電極材料を基板(2)に蒸着またはメッキした後、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を構成する熱電材料を蒸着する。このとき、P型及びN型熱電素子(3)、(4)の幅は、幅方向に隣り合う放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)の離間寸法よりも広く設定する。これにより、P型及びN型熱電素子(3)、(4)により放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)の表面を覆うことができるので、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と、放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)との接触面積がより一層広く確保されるとともに、確実に接触して接触不良が回避される。
【0054】
この実施形態2の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0055】
(実施形態4)
図5は、本発明の実施形態4にかかる熱電モジュール(1)の断面を示すものである。この実施形態4の熱電モジュール(1)は、放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)を基板(2)に埋め込むようにした点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0056】
すなわち、基板(2)には、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)及び第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)を埋め込むための凹部(30)が形成されている。製造時には、凹部(30)に電極(11)〜(13)、(21)〜(23)を埋め込むように形成した後、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を構成する熱電材料を蒸着する。
【0057】
この実施形態4の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0058】
(実施形態5)
図6は、本発明の実施形態5にかかる熱電モジュール(1)の断面を示すものである。この実施形態5の熱電モジュール(1)は、基板(2)に断熱用のスリット(31)を形成した点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0059】
すなわち、基板(2)におけるP型及びN型熱電素子(3)、(4)の形成部位には、基板(2)を貫通するスリット(31)が形成されている。このスリット(31)は、平面視で、放熱側電極(11)〜(13)と吸熱側電極(21)〜(23)との間に位置しており、従って、基板(2)の高温部分と、低温部分との間の熱伝導を低下させることができる断熱部に相当するものである。
【0060】
この実施形態5の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0061】
この実施形態によれば、基板(2)の高温部分と低温部分との間の熱伝導が低下するので、効率がより一層向上することになる。
【0062】
尚、スリット(31)には、基板(2)よりも熱伝導率の小さい材料を埋めてもよい。
【0063】
(実施形態6)
図7は、本発明の実施形態6にかかる熱電モジュール(1)を示すものである。この実施形態6の熱電モジュール(1)は、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を2段設けている、いわゆる多段型モジュールであるという点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0064】
基板(2)には、P型及びN型熱電素子(3)、(4)を交互に配置した第1熱電素子群(A)及び第2熱電素子群(B)とが設けられるとともに、第1接続電極(35)、第2接続電極(36)、第1中間電極(37)及び第2中間電極(38)が設けられている。
【0065】
第1熱電素子群(A)を構成する熱電素子(3)、(4)の並び方向と、第2熱電素子群(B)を構成する熱電素子(3)、(4)の並び方向とは平行であり、第1熱電素子群(A)と第2熱電素子群(B)とは基板(2)の長手方向に離れている。そして、第1熱電素子群(A)のP型熱電素子(3)と第2熱電素子群(B)のN型熱電素子(4)とが、基板(2)の上下で対となるように位置付けられている。
【0066】
第1接続電極(35)は基板(2)の幅方向一側に位置しており、基板(2)の長手方向に長い形状となっている。この第1接続電極(35)には、第1電線(24)が接続されている。第1接続電極(35)には、第1熱電素子群(A)のN型熱電素子(4)及び第2熱電素子群(B)のP型熱電素子(3)が接続されている。
【0067】
第2接続電極(36)は基板(2)の幅方向他側に位置しており、基板(2)の長手方向に長い形状となっている。この第2接続電極(36)には、第2電線(25)が接続されている。第2接続電極(36)には、第1熱電素子群(A)のP型熱電素子(3)及び第2熱電素子群(B)のN型熱電素子(4)が接続されている。
【0068】
第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)は、第1熱電素子群(A)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続されている。第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)は、第2熱電素子群(B)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続されている。
【0069】
第1中間電極(37)は、第1放熱側電極(11)と第2放熱側電極(12)との間、第2吸熱側電極(22)と第3吸熱側電極(23)との間に位置付けられており、基板(2)の長手方向に延びている。第1中間電極(37)には、第1熱電素子群(A)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)と、第2熱電素子群(B)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)とが接続されている。
【0070】
第2中間電極(38)は、第2放熱側電極(12)と第3放熱側電極(13)との間、第1吸熱側電極(21)と第2吸熱側電極(22)との間に位置付けられており、基板(2)の長手方向に延びている。第2中間電極(38)には、第1熱電素子群(A)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)と、第2熱電素子群(B)のP型及びN型熱電素子(3)、(4)とが接続されている。
【0071】
この実施形態6の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0072】
また、多段型の熱電モジュール(1)としているので、基板(2)の長手方向両側の温度差を大きくすることができる。
【0073】
また、この実施形態6のように多段型とする場合には、P型及びN型熱電素子(3)、(4)と電極(11)〜(13)、(21)〜(23)の形成パターンを変更するだけで容易に対応できるので、1段型のモジュールと同様に作製することが可能である。
【0074】
(実施形態7)
図8及び
図9は、本発明の実施形態7にかかる熱電モジュール(1)を示すものである。この実施形態7の熱電モジュール(1)は、第1〜第3放熱側電極(11)〜(13)を基板(2)の表側に配置し、第1〜第3吸熱側電極(21)〜(23)を基板(2)の裏側に配置している点で実施形態1のものと異なっているだけで、他の部分は実施形態1と同じであり、以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0075】
基板(2)の表側には、接続電極(40)と、第1及び第2中間電極(41)、(42)とが設けられている。接続電極(40)には、第2電線(25)が接続されている。接続電極(40)と第1吸熱側電極(21)とはサーマルビア(45)により接続されている。接続電極(40)とP型熱電素子(3)とが接続されている。
【0076】
第1中間電極(41)は第1放熱側電極(11)と第2放熱側電極(12)との間に配置され、P型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続されている。第1中間電極(41)と第3吸熱側電極(23)とはサーマルビア(47)により接続されている。
【0077】
第2中間電極(42)は第2放熱側電極(12)と第3放熱側電極(13)との間に配置され、P型及びN型熱電素子(3)、(4)に接続されている。第2中間電極(42)と第2吸熱側電極(22)とはサーマルビア(48)により接続されている。
【0078】
この実施形態7の熱電モジュール(1)においても、実施形態1と同様な作用効果を得ることができる。
【0079】
実施形態7では、基板(2)の材料を断熱性の高い材料とすることで、基板(2)の表側と裏側とで温度差を大きくすることが可能になる。
【0080】
また、
図10に示すように、実施形態5と同様なスリット(50)を設けてもよい。
【0081】
また、
図11に示すように、複数の平面型薄膜熱電モジュール(1)の吸熱側を吸熱ブロック(51)に埋め込んで一体化してもよい。また、図示しないが、複数の平面型薄膜熱電モジュールの放熱側を放熱ブロックに埋め込んで一体化してもよい。
【0082】
また、
図12に示すように、複数の平面型薄膜熱電モジュール(1)の吸熱側と放熱側との間の部分を固定部材(52)に固定して一体化してもよい。
【0083】
図11や
図12に示す使用方法では、基板(2)自体が伝熱フィンとして機能することになり、別途の熱交換器が不要になるという利点がある。
【0084】
また、平面型薄膜熱電モジュール(1)は対象物を冷却、加熱する以外にも、発電に用いることが可能である。発電に用いる場合には、高温となる部分に、平面型薄膜熱電モジュール(1)の吸熱部を貼り付け(または接近させ)、平面型薄膜熱電モジュール(1)の放熱側を空気中で自然空冷させるという、簡単な使い方が可能である。
【0085】
また、上記各実施形態におけるP型熱電素子(3)、N型熱電素子(4)、放熱側電極(11)〜(13)及び吸熱側電極(21)〜(23)の数は一例であり、要求能力に応じて増減させることが可能である。