(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態で適用される高安定水晶振動子(以下、水晶振動子と略記)は平面視矩形の表面実装型水晶振動子である。本実施形態における水晶振動子は平面視の外形寸法が縦10mm×横10mmとなっている。まず本発明の水晶振動子について説明した後、本発明の水晶振動子の製造方法について説明する。
図1乃至2に示すように本発明における水晶振動子1は、水晶振動片を収容する凹部31を備えた容器3と、厚みすべり振動を行う水晶振動片2と、容器と接合材を介して接合され、水晶振動片の表裏主面に形成された励振電極を気密に封止する蓋8が主要構成部材となっている。なお、本実施形態において水晶振動子の共振周波数は基本波振動モードで100MHzとなっている。以下、前記各構成部材について説明する。
【0025】
本実施形態で使用される水晶振動片2は、所定角度で切断された平面視略円形のATカット水晶片であり、その直径は約6mmとなっている。水晶振動片2の一主面200および他主面210には、当該水晶振動片を駆動させるための一対の励振電極22,24が対向形成されている(
図2参照)。
図2に示すように励振電極22,24はそれぞれ引出電極23,25を経由して、4つの脚部21のうち、引出電極の延出方向に形成された2つの脚部の端部に形成された搭載電極26,26と各々接続されている。
【0026】
図1に示すように水晶振動片2の一主面200には平面視略円形の凸部20が形成されている。凸部20は凸レンズ形状になるようにフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて形成されている。なお凸部20の形成方法の詳細については後述する本発明の水晶振動子の製造方法において説明する。凸部20を形成することによって、水晶振動片の稜部は面取り加工されるとともに、水晶振動片の厚みは端部に近づくにつれて連続的に薄肉となり、断面視では片凸レンズ形状となっている。
【0027】
水晶振動片2の他主面210には、他主面210から突出し、水晶振動片2と一体で成形された脚部21が、水晶振動片の周縁27の近傍に環状に4箇所、離間形成されている(
図1参照)。本実施形態において脚部21の形成位置は、
図1に示すように平面視略円形の水晶振動片の直交する2つの直径の端部にそれぞれ形成されている。なお、4つの脚部21,21,21,21の各端部には搭載電極26,26,26,26がそれぞれ形成されており、これら4つの脚部のうち、引出電極23および25の延出方向と同方向に形成された2つの脚部は平面視で引出電極23および25とそれぞれ重なるように形成されているとともに、引出電極23,25が搭載電極26,26に電気的に接続されている。なお最終的には励振電極22,24は、容器3の底面310に形成された外部接続端子6,6と電気的に接続されることになる。
【0028】
脚部21は水晶振動片の支持部材として機能し、4つの脚部21,21,21,21の各端部に形成された搭載電極26,26,26,26が、容器3の内底面300に形成された4つのパッド電極4,4,4,4の上に接合材7によって接合されることになる。なお本実施形態において脚部21の高さ(厚み)は約1mmとなっている。しかしながら本発明の脚部の高さ(厚み)は前記数値に限定されるものはなく、支持部材としての機能を発揮できる高さ(厚み)で他主面から突出形成されていればよい。
【0029】
次に脚部21の詳細について
図3を参照して説明する。脚部21は略直方体状に形成されている。そして平面視では、脚部21を構成する側面のうち、外縁側面21a(水晶振動片の周縁27側の側面)は、凸部20と略同心円状の円弧で形成されている。つまり凸部20の輪郭に沿った外縁形状となっている。一方、脚部を構成する側面のうち、内縁側面21b(21aの対向面)もまた平面視では凸部20と略同心円状の円弧で形成されている。なお
図3では内縁側面21bが曲面で形成されていることを明示するために、補助線として内縁側面21bに沿った点線を表示している。
図3において脚部21は、外縁側面21aおよび内縁側面21bともに凸部20と略同心円状の円弧で形成され、巨視的にみれば平面視で矩形に近い形状となっている。そして脚部21の長手方向の寸法(外縁側面21aおよび内縁側面21bの辺長)は引出電極23の幅と略同一となっている。しかしながら本発明における脚部21の長手方向の辺の寸法は引出電極の幅と略同一に限られるものではなく、例えば引出電極の幅よりも幅広(大きく)に形成されていてもよい。脚部21の長手方向の辺の寸法が、引出電極の幅よりも大きいほど、水晶振動片の厚みに係る厚み系の振動モードに起因する不要振動モードの抑制に効果が期待できる。
【0030】
上記脚部の構造によると、脚部21は脚部を構成する側面のうち、外縁側面21aが凸部20と略同心円状の円弧で形成されているため、水晶振動片2を容器3に接合した際に発生する分散を抑制することができる。これにより良好な特性の水晶振動子1を得ることができる。具体的に脚部21の外縁側面21aは、凸部20と略同心円状の円弧で形成されているため、凸部20の輪郭に沿った外縁形状となる。このような構造により、輪郭系等の不要振動モードの影響を抑制することができる。つまり凸部20の輪郭に沿っていない外縁形状の脚部の場合、例えば平面視長方形の脚部の場合は境界となる角部の影響が無視できなくなり、不要振動モードが顕在化しやすくなる。これに対して本発明の脚部21は外縁側面21aが凸部20と略同心円状の円弧で形成されているため、水晶振動片2の前記不要振動モードを抑制することができる。
【0031】
なお、本発明における脚部の変形例として、
図4に示すような形状の脚部であってもよい。
図4では脚部21’を構成する側面のうち、内縁側面21’bは曲面ではなく平坦面となっている。このような構成によれば、脚部の内縁側面が周縁方向に窪んだ曲面で形成されている場合、つまり
図3における脚部21に比べて短手方向に幅広となるため、脚部の機械的強度を向上させることができる。上記構成は水晶振動片の厚みが非常に薄くなる高周波帯(例えば100MHz帯)において好適である。これは脚部21’の内縁側面21’aを平坦面で形成して内縁側面が曲面の脚部よりも幅広にすることによって脚部の機械的強度を向上させ、薄肉部分となる水晶振動片(脚部以外の領域)をより確実に支持することができることによる。
【0032】
また前述の水晶振動子1によると、水晶振動片の主振動と高次の副振動との結合による周波数ジャンプを防止しつつ、水晶振動子の低背化を図ることができる。具体的に、本発明における水晶振動片2は一主面にコンベックス加工された平面視略円形の凸部20を有するため、水晶振動片2の主振動と高次の副振動との結合を防止することができる。これにより、温度変動に対する主振動と高次の副振動との結合による周波数ジャンプを防止し、安定した特性の水晶振動子を得ることができる。また、水晶振動片と一体成形された脚部21が4箇所、他主面210から突出して形成されているので、脚部21を支持部材として水晶振動片2を横置きにして容器3に搭載することができる。これにより水晶振動子の低背化を図ることができる。
【0033】
さらに上記水晶振動片2によると、水晶振動片2の容器3への搭載精度が向上する。これは本kdしp発明における脚部21が水晶振動片2と一体で成形され、脚部21が従来構造における支持部材の役割を果たすためである。つまり、外形サイズの大きい平面視円形の水晶振動片を横置きにして容器内に搭載した,従来の表面実装型水晶振動子の場合、容器の内底面上に一対の金属製の支持部材を接合し、当該支持部材上に導電性接着材を用いて水晶振動片(前記脚部が形成されていない)を接合する構造であった。このような支持部材を用いる場合、各支持部材の容器内底面上への接合位置ばらつきや、支持部材自体の形状ばらつき等が、水晶振動片の搭載精度に影響を及ぼしていた。これに対して本発明における水晶振動片2は、水晶振動片2と一体で成形された脚部21が前記支持部材の役割を果たすため、前述の搭載精度の問題を解消することができる。
【0034】
また、脚部21は水晶振動片2と同材料で成形されているため、従来の異種材料使用による熱膨張係数差に起因する応力の発生を防止することができる。これによって支持部材に係る応力に起因する水晶振動子の特性劣化を防止することができる。さらには脚部を水晶振動片と一体で成形することによって従来の支持部材が不要となるので低コスト化を図ることができる。
【0035】
次に本実施形態で使用される容器3について
図1乃至2を用いて説明する。容器3は水晶振動片を収容するための凹部31を有し、上部が開口した平面視略正方形の箱状体である。容器3は複数のセラミックグリーンシートの積層体であり、これら複数の層は所定位置に内部配線導体の印刷処理を施した後に位置決め積層され、焼成によって一体成形されている。凹部31の周囲には堤部30が環状に形成されており、堤部30の上面32は平坦な状態となっている。そして堤部の上面32には下から順にタングステンメタライズ層、ニッケルメッキ層、金メッキ層の3層から成る金属膜(図示省略)が周状に形成されている。なお、本実施形態では容器3の基材としてセラミックを用いているが、本発明における容器基材はセラミックに限定されるものではなく、ガラスや水晶等の結晶性材料を用いてもよい。
【0036】
図2において凹部30の内底面300は平坦面となっており、金属膜からなるパッド電極4が4箇所形成されている。具体的に内底面300は平面視略正方形となっており、4つのパッド電極4,4,4,4は、内底面300の対向する2組の辺の略中央の位置に各々形成されている。なお
図5に示すように、4つのパッド電極のうち、一部のパッド電極(41,43)を、引出電極23,25と平面視で重ならないよう一部を切り欠いた形状としてもよい(
図5で点線で示す脚部41,43の一部領域)。このような形状のパッド電極とすることにより、引出電極とパッド電極間の容量の増加を防止することができる。これにより発振周波数のずれの少ない、より安定した水晶振動子を得ることができる。
【0037】
パッド電極4は平面視で略矩形となっており、内底面300上にタングステンメタライズを施し、その上部にニッケルメッキが、さらにその上部に金メッキが施された層構成となっている。そして、パッド電極4は容器内部に形成された貫通電極5を介して、容器の底面310に形成された外部接続端子6と電気的に接続されている。なお、パッド電極4と外部接続端子6との電気的接続は、容器外周の角部の上下方向に導体(いわゆるキャスタレーション)を形成することによって行ってもよい。
【0038】
搭載電極26は前述のパッド電極4の上に接着材4を介して接合される。前記接着材4として、例えばシリコーン系の導電性樹脂接着材が使用される。なお、前記接着材はシリコーン系の導電性樹脂接着材に限定されるものではなく、シリコーン系以外にもエポキシ系などの導電性樹脂接着材も使用可能であり、また樹脂系接着材以外に金属バンプ(メッキバンプやスタッドバンプ等)や金錫合金等の合金を使用してもよい。
【0039】
次に本実施形態で使用される蓋8について
図2を参照して説明する。蓋8はコバールを基体とする平面視略円形で金属性の蓋体であり、蓋8の表裏面にはニッケルメッキ層(図示省略)が形成されている。また蓋8の容器3との接合面側には前記ニッケルメッキ層の上に金属から成るロウ材(図示省略)が全面に亘って形成されている。なお前記蓋の基材としてコバール等の金属材料以外にセラミックを使用してもよい。この場合、封止材として低融点ガラスが好ましい。あるいは前記蓋の基材としてガラスや水晶等の結晶性材料を用いてもよい。
以上が水晶振動子1の主要構成部材についての説明である。以下、本発明の水晶振動子製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0040】
本発明の水晶振動子製造方法について水晶振動片の製造方法を中心に説明する。
図6乃至12は本発明の実施形態における水晶振動片の製造工程を表す断面模式図である。
<凸部形成工程>
まず
図6に示すように、表裏主面(一主面200,他主面210)が鏡面加工された円盤状の水晶ウエハW(以下、単にウエハWと表記する)を用意する。本実施形態においてウエハWはATカット水晶振動板となっている。
【0041】
次にウエハWの表裏主面(一主面200,他主面210)にレジストRを形成する(
図7)。ここで一主面200には、平面視略円形の凸部20の形状に対応した窪みを備えた金型に感光性樹脂を充填し、主面200に転写して硬化させる。
【0042】
次に
図7において矢印で示すように一主面200の上方からドライエッチング法によってレジストRを除去していく。
図8はドライエッチング法による加工後の状態であり、レジストRを除去した状態を表している。
図8に示すように、
図7で形成された一主面200上の凸レンズ状のレジストの形状がそのままウエハWに転写されて薄肉化されている。このようにして一主面200にコンベックス形状で平面視略円形の凸部20が形成される。なお凸部20の形成は前述の方法以外の手段によって形成してもよい。例えば従来より行われている機械的研磨によって凸部を形成してもよい。
【0043】
<脚部形成工程>
次に、ウエハWの一主面200および他主面210上に下地金属膜と、その上に金からなる金属膜を形成する(
図9乃至11において図示省略)。そして前記金属膜の上にレジストRを再形成する(一主面200,他主面210ともに)。その後、フォトリソグラフィ技術を用いて所定の開口部分を有するパターンを形成する。この状態を表したものが
図9である。
【0044】
次に
図9に示すように、他主面210の所定位置が開口したウエハWをドライエッチング法によって加工していく。つまりレジストRが形成されていない他主面210の領域はドライエッチング法によって削られ、最終的に
図10に示すような凹部が他主面側に形成される。前記凹部の周囲にはレジストRで保護されることによって残存した領域が脚部21となって一括で形成される。本実施形態では一つの水晶振動片の他主面側に4つの脚部が、他主面210の各水晶振動片形成領域の,直交する2つの直径の端部(周縁近傍)にそれぞれ形成されている。
【0045】
本実施形態では脚部21をドライエッチング法を用いることによって形成しているが、ドライエッチング法以外にブラスト法や湿式エッチング法を用いてもよい。例えばブラスト法の場合、ショットブラスト等の機械式ブラストやサンドブラスト等の空気式ブラストあるいは、研磨剤溶液をノズルから高圧で噴射させて加工を行う湿式ブラストが適用可能である。脚部21をブラストによる水晶主面の切削によって形成することにより、高精度で微細な加工を行うことができる。湿式エッチング法は側面に傾斜面を有する脚部を形成する場合に好適である。
【0046】
<個片化工程>
その後、多数個の水晶振動片2,2,・・・,2が一体形成されたウエハWの各水晶振動片の形成領域のうち、励振電極(22,24)および引出電極(23,25)と搭載電極26(以下、励振電極等と表記)を形成する領域のみが開口するようにして、蒸着マスクと呼ばれるカバーをウエハW全体に被せる(図示省略)。そしてスパッタリングによって一括で多数の励振電極等を各水晶振動片の表裏に形成する(図示省略。励振電極等が形成された水晶振動片を以下、水晶振動素子と表記する)。その後所定の周波数調整等の工程を経て、
図10に示す仮想線Lを基準としてダシイングまたは湿式エッチング法によってウエハWを分割する。これにより、複数の水晶振動素子を一括同時に得ることができる。
【0047】
<接合工程>(図示省略)
次に、容器3の内底面300に4箇所形成されたパッド電極上の各々に予め接着材7を塗布しておく。本実施形態では接着材7としてシリコーン系の導電性樹脂接合材が使用されている。その後、接着材7が塗布された容器3の4つのパッド電極4上に、4つの脚部21の各端部に形成された4つの搭載電極26が一対一で対応するように、水晶振動素子の他主面側が容器3に正対するようにして、水晶振動素子が容器3の凹部31内に位置決め載置される。そして、接着材7を所定条件の加熱雰囲気下で硬化させることにより、水晶振動素子が容器3に接合される。
【0048】
<封止工程>(図示省略)
次に平面視円形の蓋8を、搭載ツールを使用して、容器3の堤部上面32に形成された金属膜の上に位置決め載置する。このとき、前記金属膜の上に、蓋8の容器3との接合面側に形成されたロウ材が略一致するようにして蓋8が載置される。そして一対のシームローラー、封止等を蓋8に当接させ、蓋8と前記金属膜とに大電流を印加させながら転接させることによって蓋8と容器3とが気密に接合される。なお本実施形態におけるシーム溶接は、真空雰囲気中あるいは不活性ガス雰囲気中にて行われる。
【0049】
上記製造方法によれば、水晶振動片の主振動と高次の副振動との結合による周波数ジャンプを防止しつつ、低背化を図った水晶振動子を製造することができる。具体的に、本発明における水晶振動片2は一主面200にコンベックス加工された平面視略円形の凸部20を有するため、水晶振動片の主振動と高次の副振動との結合を防止することができる。これにより、温度変動に対する主振動と高次の副振動との結合による周波数ジャンプを防止し、安定した特性の水晶振動子を得ることができる。また、水晶振動片2と一体成形された脚部21が、他主面210から突出して形成されているので、脚部21を支持部材として水晶振動片2を横置きにして容器3に搭載することができる。これにより低背化を図った水晶振動子を製造することができる。
【0050】
さらに上記製造方法によると、脚部21は脚部を構成する側面のうち、外縁側面21aが凸部20と略同心円状の円弧で形成されているため、前記接合工程の際に発生する応力を分散することができる。これにより良好な特性の水晶振動子を製造することができる。具体的に脚部21の外縁側面21aが凸部20と略同心円状の円弧で形成されているので、凸部20の輪郭に沿った外縁形状となっている。このような構造により、輪郭系等の不要振動モードの影響を抑制することができる。
【0051】
さらに上記製造方法によると、前記接合工程の際の、水晶振動片2の容器3への搭載精度が向上する。これは本発明における脚部21が水晶振動片2と一体で成形され、脚部21が従来構造における支持部材の役割を果たすためである。
【0052】
また、脚部21は水晶振動片2と同材料で成形されているため、従来の異種材料使用による熱膨張係数差に起因する応力の発生を防止することができる。これによって支持部材に係る応力に起因する水晶振動子の特性劣化を防止することができる。さらには脚部21を水晶振動片2と一体で成形することによって従来の支持部材が不要となるので低コスト化を図ることができる。
【0053】
本発明の実施形態では脚部21の断面視形状は長方形状になっている。これは前述の脚部形成工程においてドライエッチング法を用いていることに起因するものであるが、本発明は上記構造の脚部に限定されるものではない。例えば
図12乃至14に示すように脚部を構成する側面が傾斜面であってもよい。傾斜面を有する脚部は例えば水晶ウエハを湿式エッチング法によって溶解させることによって、水晶の結晶方位固有の角度で成形することができる。なお基材の一主面に対する側面の傾斜角は、異方性結晶材料である水晶の場合、結晶方位によって異なるが約20〜70度となる。
【0054】
前記脚部を構成する側面が傾斜面であれば、水晶振動片の主面と、当該主面から突出した脚部とのなす角が緩やかになるため、脚部の機械的強度を向上させることができる。これにより水晶振動片の一主面と、当該一主面から突出した脚部とのなす角が緩やかになるため、前記一主面に対して垂直な側面を有する脚部よりも、前記一主面と脚部との境界領域の機械的強度を向上させることができる。
【0055】
本発明の実施形態では、脚部21が他主面210の、平面視で凸部20の周縁に対応する位置に形成されている。つまり他主面の周縁に脚部21を形成することにより、振動エネルギーが最も減衰する位置で水晶振動片2を支持することができる。本実施形態のように平面視円形の水晶振動片の場合、脚部21の形成数は3個または4個が安定支持の点から好ましい。例えば脚部21を3個形成する場合は、
図15に示すように中心角が120度で3等分した他主面周縁の各位置に形成することが好ましい。つまり3つの脚部で水晶振動片を支持する場合は、4つの脚部を形成する場合に比べ、より広い平坦領域を他主面側に確保できるため設計余裕度が増すことになる。あるいは
図16に示すように一直径の両端部分に2つの脚部を形成してもよい。
【0056】
また、本発明の実施形態では一主面200側にコンベックス形状の凸部が形成されているが、本発明はコンベックス形状の凸部に限定されるものではなく、
図13に示すように周縁端部が面取り加工された、いわゆるベベル加工された凸部であってもよい。さらに本発明の実施形態では一主面200側の全面がコンベックス形状の凸部であり、前記凸部の下方の位置に脚部21が形成された構成となっているが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば
図14に示すように、一主面200側の中央部分のみがコンベックス形状の凸部で、その周囲に平坦面の領域を有するとともに、当該平坦面の領域の下方に脚部21が形成された構成であってもよい。
【0057】
本発明の実施形態では、封止材としてガラス材を例にしているが、セラミック容器と金属製の蓋体を用い、封止材に銀ロウ材等のロウ材を用いたレーザー封止、電子ビーム封止による封止等でも適用できる。さらに本発明の実施形態では表面実装型水晶振動子を例にしているが、水晶フィルタ、水晶発振器など電子機器等に用いられる他の表面実装型の圧電振動デバイスにも適用可能である。
【0058】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。