【実施例】
【0018】
まず、実施例のパチンコ機10について説明する。
図1はパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、
図2はパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図である。
【0019】
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、
図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(
図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。なお、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
【0020】
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
【0021】
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
【0022】
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータが回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
【0023】
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、
図2に示すように、透明のアクリル素材で形成され各種絵柄などが描かれた平板状のアクリル板50に、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の左部に配置される普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置され普通図柄の変動表示や特別図柄の変動表示を行う図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置され演出図柄の変動表示やリーチ演出などの各種演出表示を行う演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置される第1始動口36と、センター役物49の左部に形成され普通電動役物39の翼片部が左側に開くことにより(実線参照)遊技球の入球可能性が通常(点線参照)よりも高くなる第2始動口38と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置される大入賞口44と、遊技領域31の左下部に配置される一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口46と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、第2始動口38の下側には風車47が設けられ、上述した各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
【0024】
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34の下側に配置されており、大当り遊技でない通常遊技のときに、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入賞させることができる。また、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38が演出表示装置34の左側に配置されており、遊技者は左打ちをすることにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32を通過させ、普通図柄作動ゲート32への遊技球の通過に基づいて変動表示される普通図柄が当りとなって普通電動役物39が第2始動口38を開放すると、遊技者は左打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入賞させることができる。さらに、大入賞口44が遊技領域31の右下部に配置されており、第1始動口36や第2始動口38への遊技球の入球に基づいて変動表示される特別図柄が当りとなって大当り遊技が開始されると、遊技者は発射ハンドル18を最大限右回転させて遊技球を発射させる所謂右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて大入賞口44に入球させることができる。
【0025】
[アクリル板50の構成]
ここで、アクリル板50の構成についてさらに説明する。アクリル板50には、
図3に示すように、上述した遊技盤30の各構成にそれぞれ対応する位置に形成された複数の開口部が設けられている。また、アクリル板50には、それらの開口部以外の部分に、装飾用に描かれた各種絵柄や装飾用に配置された各種部材などが設けられている。それらは、アクリル板50の表面50aに設けられるものと、アクリル板50の裏面50bに設けられるものとがある。ここで、アクリル板50の表面50aを
図4に示し、アクリル板50の裏面50bを
図5に示す。なお、裏面50bは、表面50a側からアクリル板50を透かして見た状態を図示した。これらの表面50a(
図4)と裏面50b(
図5)とを重ね合わせたものは、
図3と同じものとなる。
【0026】
アクリル板50の表面50aには、
図4に示すように、樹木から舞い散る花びらを描いた第1表面絵柄52がアクリル板50の上部から左中央部にかけて設けられ、キャラクタを描いた第2表面絵柄54がアクリル板50の左下部に設けられ、扇子(扇)を描いた第3表面絵柄56がアクリル板50の右中央部に設けられている。なお、第1表面絵柄52は、裏側から見ても花びらとして認識できるように、表裏同様に描かれている。これらの絵柄は、印刷(シルクスクリーン印刷など)によってアクリル板50の表面50aに形成したり、シールとして形成してからアクリル板50の表面50aに貼り付けたりすることにより、表面50aに設けられる。
【0027】
アクリル板50の裏面50bには、
図5に示すように、第1表面絵柄52と同様に花びらを描いた第1裏面絵柄61がアクリル板50の左中央部に設けられ、鏡面が表面50a側を向いた第1鏡62がアクリル板50の左中央部に設けられ、鏡面が表面50a側を向いた第2鏡64がアクリル板50の左下部に設けられ、キャラクタを描いた第2裏面絵柄65と扇子の影を模した影絵柄として描かれた第3裏面絵柄66とがアクリル板50の右中央部に設けられている。これらの裏面絵柄は、表面50aの各表面絵柄と同様に印刷やシールの貼り付け、あるいは、アクリル板の裏側に「絵柄が設けられる別の遊技板」(別のアクリル板)を複層する構成により設けられる。なお、シールを貼り付ける場合には、透明の両面テープを用いて裏面50bに貼り付けてもよい。また、第1鏡62や第2鏡64は、アルミニウムなどの金属蒸着によって裏面50bに形成したり、シート状に鏡を形成してから透明の両面テープなどによって鏡面が表面50a側となるように裏面50bに貼り付けたり、あるいは、アクリル板の裏側に「金属蒸着やシート状の鏡が設けられる別の遊技板」を複層する構成することにより、裏面50bに設けられる。本実施例では、金属蒸着によるものとした。
【0028】
このようにして表面50aおよび裏面50bに各種絵柄や各種部材(鏡)を設けた状態で、アクリル板50を表側(表面50a側)から見ると、
図3に示すように、アクリル板50の左中央部では第1表面絵柄52の背後に第1鏡62が位置し、アクリル板50の左下部では第2表面絵柄54の背後に第2鏡64が位置し、アクリル板50の右中央部では第3表面絵柄56の背後に第3裏面絵柄66が位置することになる。以下、アクリル板50の左中央部と、アクリル板50の左下部と、アクリル板50の右中央部の詳細について、説明する。
【0029】
まず、
図6に基づいてアクリル板50の左中央部の詳細について説明する。なお、
図6(a)は、
図3のA−A断面を示す断面図であり、
図6(b)は、アクリル板50の左中央部の拡大斜視図である。裏面50bの第1鏡62は、表面50aの第1表面絵柄52の背後に位置するため、第1表面絵柄52が第1鏡62に映り込むことになる。このとき、第1鏡62に映り込んだ第1表面絵柄52の鏡像52Rは、第1表面絵柄52と第1鏡62との距離であるアクリル板50の厚みtに相当する分だけ鏡面から奥まった位置に映るように見える。このため、遊技盤30を見た遊技者は、表面50aの第1表面絵柄52よりも裏面50bの第1鏡62が奥にあるように感じ、その第1鏡62に映り込んだ第1表面絵柄52の鏡像52Rが第1鏡62(裏面50b)よりもさらに奥にあるように感じることになる。即ち、表面50aの第1表面絵柄52と、裏面50bの第1鏡62と、第1鏡62に映り込んだ鏡像52Rとの3段階の奥行きを感じることになる。また、裏面50bには、第1鏡62の周り(上側および下側)に第1裏面絵柄61が設けられている。このため、第1鏡62の周囲に絵柄が設けられない場合に比べて第1鏡62(裏面50b)の奥行き、即ち、2段階目の奥行きを遊技者に認識させ易くすることができる。これにより、3段階の奥行きを、遊技者によりはっきりと感じさせることができる。
【0030】
次に、
図7に基づいてアクリル板50の左下部の詳細について説明する。なお、
図7(a)は、
図3のB−B断面を示す断面図であり、
図7(b)は、アクリル板50の左下部の拡大斜視図である。裏面50bの第2鏡64は、表面50aの第2表面絵柄54の背後に位置するため、第2表面絵柄54が第2鏡64に映り込むことになる。ここで、第2表面絵柄54は、表側に女性キャラクタが描かれると共に裏側に女性キャラクタとは異なる男性キャラクタが描かれている(
図7(b)中の拡大図参照)。このため、第2鏡64には、第2表面絵柄54の裏側の男性キャラクタが映り込むことになる。このとき、第2鏡64に映り込んだ鏡像54Rは、第2表面絵柄54(裏側の男性キャラクタ)と第2鏡64との距離であるアクリル板50の厚みtに相当する分だけ鏡面から奥まった位置に映るように見える。これらのことから、遊技盤30を表側から見た遊技者は、
図6と同様に、表面50aの第2表面絵柄54(表側の女性キャラクタ)と、裏面50bの第2鏡64と、第2鏡64に映り込んだ第2表面絵柄54(裏側の男性キャラクタ)の鏡像54Rとの3段階の奥行きを感じることになる。また、第2表面絵柄54の裏側の男性キャラクタは、遊技盤30の表側から直接的に視認することはできず、第2鏡64に映り込むことによって、初めて遊技盤30の表側から視認することができる。このように、遊技盤30の表側から見える女性キャラクタとは異なる男性キャラクタを第2鏡64に鏡像54Rとして映し出すことにより、遊技者に意外な鏡像を見せることができる。
【0031】
続いて、
図8に基づいてアクリル板50の右中央部の詳細について説明する。なお、
図8(a)は、
図3のC−C断面を示す断面図であり、
図8(b)は、アクリル板50の右中央部の拡大斜視図である。ここで、裏面50bの第3裏面絵柄66は、表面50aの第3表面絵柄56の背後に位置しており、第3表面絵柄56とは若干ずれた位置(
図3中の上側にずれた位置)にあるものの、その大部分が重複するように配置されている。また、第3裏面絵柄66は、第3表面絵柄56よりも若干小さいものの、扇の形状が相似するものとした。このため、第3裏面絵柄66は、扇の要に相当する部分や扇面に相当する部分の輪郭が、第3表面絵柄56と共通になる。また、第3表面絵柄56は、扇の要56aと、扇面の内側部分56bと、扇面の外側部分56cと、外側部分の丸印56dとに、異なる彩色が施されるのに対し、第3裏面絵柄66は、黒一色だけで形成されている。これらのことから、第3裏面絵柄66が第3表面絵柄56の影であることを遊技者に認識させ易いものとなっている。この第3表面絵柄56は、アクリル板50の厚みtだけ第3裏面絵柄66と離れている分、第3裏面絵柄66(裏面50b)から浮き出たように見えるから、第3表面絵柄56の立体感を高めることができる。ここで、アクリル板50の裏面50b側に白色板などを設けておき、そこに映る第3表面絵柄56の実際の影を利用して立体感を出すことも考えられる。しかし、その場合には、ホールに配置されたときの蛍光灯などからの光の当り具合や一日のうちの太陽光の変化などの影響により、期待通りの影が生じない可能性がある。これに対して、本実施例では、アクリル板50の裏面50bに、影を模した第3裏面絵柄66を設けることにより、そのような光の影響に拘わらず、第3表面絵柄56の立体感を安定的に高めることができる。
【0032】
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、遊技盤30を構成するアクリル板50の表面50aに花びらを描いた第1表面絵柄52を設け、裏面50bに第1鏡62を設け、第1鏡62は第1表面絵柄52の背後に配置するから、表面50aの第1表面絵柄52と、裏面50bの第1鏡62と、第1鏡62に映り込んだ第1表面絵柄52の鏡像52Rとの3段階の奥行きを遊技者に感じさせることができる。このような3段階の奥行きを感じさせるという従来にない斬新な遊技盤30を備えることにより、パチンコ機10の装飾性を高めることができる。また、裏面50bの第1鏡62の周りには第1裏面絵柄61を設けたため、2段階目の第1鏡62の奥行きを遊技者に認識させ易くして、3段階の奥行きをよりはっきりと感じさせることができる。また、表側に女性キャラクタが描かれると共に裏側に男性キャラクタが描かれた第2表面絵柄54をアクリル板50の表面50aに設け、裏面50bの第2表面絵柄54の背後となる位置に第2鏡64を設けるから、同様に、3段階の奥行きを感じさせることができる。それだけでなく、遊技盤30の表側から見える女性キャラクタとは異なる男性キャラクタを鏡像54Rとして第2鏡64に映し出すことにより、遊技者に意外な鏡像を見せることができるから、遊技盤30の装飾性を高めることができる。
【0033】
また、実施例のパチンコ機10によれば、遊技盤30を構成するアクリル板50の表面50aに扇子を描いた第3表面絵柄56を設け、裏面50bに扇子の影を模した第3裏面絵柄66を第3表面絵柄56の背後に設けるから、表面50aの第3表面絵柄56の立体感を高めることができる。そのような立体感を高めるという従来にない斬新な遊技盤30を備えることにより、パチンコ機10の装飾性を高めることができる。また、第3表面絵柄56と第3裏面絵柄66とは、一部に共通の輪郭を有し、第3表面絵柄56を多色で彩色するのに対し第3裏面絵柄66を単色で彩色するから、第3裏面絵柄66が第3表面絵柄56の影であることを遊技者に認識させ易くすることができる。これらのことから、第3表面絵柄56の立体感をさらに高めることができる。
【0034】
また、実施例のパチンコ機10によれば、装飾効果だけでなく、次のような効果を奏するものとなる。ここで、遊技領域31を遊技球が流下する際には、遊技球がアクリル板50の表面50aと摩擦接触して表面50aに静電気が生じ、アクリル板50が帯電することがある。アクリル板50が帯電すると、パチンコ機10の制御基板の半導体部品や演出表示装置34の液晶画面などに悪影響を及ぼすおそれがあるため、パチンコ機10では、そのような帯電を防ぐために静電気対策が施されている。その静電気対策としては、例えば、外枠22などに金属部品を設け、その金属部品を島設備(島枠)に設けられたアースに接続することで静電気を機外に逃がすことなどが行われている。上述したように、実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bに設ける鏡(第1鏡62や第2鏡64)を金属蒸着によって形成している。このため、裏面50bに設ける鏡を、外枠22に設けられる金属部品に繋がる導電体に近付けて配置したり、その導電体に接続したりすれば、静電気を効率よく外部に逃がすことができる。このように、アクリル板50の裏面50bに設ける鏡を金属蒸着によって形成することにより、単に装飾効果を高めるだけでなく、帯電防止効果を高めて静電気対策を兼ねることも可能となるのである。また、そのような帯電防止効果を高めるために、アクリル板50の裏面50bに設ける鏡同士を導電体で接続したり、裏面50bの大部分または全ての領域に鏡を設けたり、アクリル板50の側面にも鏡を設けて表面50aから裏面50bへ静電気を逃がし易くしたりしてもよい。さらに、アクリル板50の表面50aに設けられる多数の釘を、裏面50bの鏡に到達するように打ち込めば、表面50aに生じる静電気を効率よく裏面50b側に逃がすこともできる。
【0035】
実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bに影絵柄として設けられる第3裏面絵柄66を印刷やシール貼り付けなどにより裏面50bに固定したが、これに限られず、影絵柄として設けられる裏面絵柄を板状部材などの装飾部材でアクリル板50とは別に構成して移動可能としてもよい。
図9に変形例の第3裏面絵柄166の構成を示す。図示するように、第3裏面絵柄166が設けられた装飾部材の要166aに駆動用モータ95の駆動軸が接続されており、駆動用モータ95の駆動によって第3裏面絵柄166(装飾部材)が要166aを中心に回転移動するよう構成されている。この駆動用モータ95は、制御基板90の図示しないCPUからの駆動指令(制御信号)を受けて駆動する。なお、制御基板90は、例えば、演出表示装置34の表示制御や各種スピーカ28a,28bの駆動制御を行う制御基板と兼ねるものとすることができる。あるいは、駆動用モータ95を制御する専用の制御基板としてもよい。
【0036】
このように構成した第3裏面絵柄166が回転移動する様子を
図10に示す。図示するように、所定の初期位置(
図10(a))から、時間の経過と共に徐々に回転移動して(
図10(b)〜(c))、所定の停止位置で停止する(
図10(d))。なお、所定の停止位置に到達すると、逆回転して初期位置に戻るもの(さらに往復動作を繰り返すもの)などとしてもよい。この移動は、時間に基づく条件が成立したときや遊技状態に基づく条件などが成立したときに、開始することができる。時間に基づく条件は、例えば、パチンコ機10の電源が投入されてから所定時間が経過したときに成立したり、所定の時刻になったときに成立したりするものなどとすればよい。この場合、第3裏面絵柄166を第2の所定時間だけ移動させたり、第2の所定時刻まで移動させたりしてもよい。また、遊技状態に基づく条件としては、例えば、大当り遊技などの特定の遊技を開始するときや開始を予告するときに成立したり、いわゆる電サポ状態や確変状態などの特定の遊技状態を開始するときや開始を予告するときに成立したりするものなどとすればよい。この場合も、第3裏面絵柄166を特定の遊技が終了するまで移動させたり、特定の遊技状態が終了するまで移動させたりしてもよい。あるいは、演出表示装置34で行われる演出の内容に合わせて第3裏面絵柄166を移動させてもよい。例えば、演出表示装置34の演出として、昼間の場面の演出と夜の場面の演出とを行う場合には、昼間の演出中は第3裏面絵柄166を移動させて影を出し、夜の演出中は第3裏面絵柄166を第3表面絵柄66と重なる位置として(移動させずに)影を出さないものなどとしてもよい。いずれの場合も、影絵柄として描かれた第3裏面絵柄166が移動することから、遊技盤30の斬新な印象をさらに高めることができる。なお、この変形例では、第3裏面絵柄166を回転移動させたが、これに限られず、直線移動させてもよい。また、アクリル板50の表面50aに設けられた第3表面絵柄56の影絵柄としての第3裏面絵柄166を移動させるものに限られず、アクリル板50の裏面50bに設けられた第2裏面絵柄65の影絵柄を装飾部材で構成しておき、その装飾部材を移動させてもよい。
【0037】
この変形例のパチンコ機10では、影絵柄として描かれた裏面絵柄を移動させるものとしたが、これに限られず、裏面50bに設けられた鏡を移動させるものとしてもよい。この場合、例えば、表面50aに設けられた絵柄を様々な位置(角度)から反射するように鏡が移動可能な構成などとしてもよい。このような構成によっても、装飾性を高めることができる。
【0038】
実施例や変形例のパチンコ機10では、影絵柄としての第3裏面絵柄66,166を印刷やシールなどで形成したり板状部材で構成したりしたが、これに限られず、液晶などの画面表示としてもよい。即ち、画面に表示される黒ドットで影絵柄を表すものとし、変形例のように影絵柄を移動させる場合には、ドット表示を変化させるものとすればよい。
【0039】
実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bの第1鏡62の周りに第1裏面絵柄61を設けたが、これに限られず、第1鏡62の鏡面上に絵柄を設けてもよい。また、第1裏面絵柄61としては、花びらを描くものに限られず、単なる模様や線、単色で彩色されたベタ塗りの領域などとしてもよい。このように、第1鏡62に比べて鏡面反射しにくい領域を裏面50bに形成することにより、第1鏡62(裏面50b)の奥行きを視認させ易くすることができる。なお、鏡の周りや鏡面上に、そのような絵柄を設けないものとしてもよい。
【0040】
実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bに第1鏡62と第2鏡64との2つの鏡を設けたが、これに限られず、1つの鏡だけを設けてもよいし、3つ以上の複数の鏡を設けてもよい。
【0041】
実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bの鏡(第1鏡62や第2鏡64)を表面50aの絵柄(第1表面絵柄52や第2表面絵柄54)の背後(実施例では真後ろ)に設けるものとしたが、これに限られず、鏡面反射した鏡像が遊技者に視認可能となる位置であれば、表面50aの絵柄の斜め後方となる位置など、どのような位置に鏡を設けてもよい。
【0042】
実施例のパチンコ機10では、表裏で異なるキャラクタが描かれた第2表面絵柄54を設けたが、キャラクタに限られず、表裏で異なる絵柄が描かれたものであればよい。あるいは、表裏で異なる絵柄が描かれるものを設けることなく、すべての絵柄を、表裏で同じ絵柄が描かれるものや裏面が単色(例えば、白色)で彩色されたものなどとしてもよい。
【0043】
実施例のパチンコ機10では、アクリル板50の裏面50bに鏡(第1鏡62や第2鏡64)と影絵柄(第3裏面絵柄66)との両方を設けたが、これに限られず、いずれか一方のみを設けてもよい。影絵柄を設けない場合、第3表面絵柄56の背後にも鏡を設けてもよいし、裏面50bの全体(開口部が形成されない部分)を鏡にしてもよい。また、鏡を設けない場合、第1表面絵柄52の背後や第2表面絵柄54の背後にも影絵柄を設けてもよい。
【0044】
実施例のパチンコ機10では、遊技盤30を構成する板状部材を透明のアクリル板としたが、これに限られず、光透過性を有する板状部材であれば如何なる素材としてもよい。例えば、ポリカーボネート板などとしてもよい。なお、アクリル板の透明度は比較的高いものであるが、透明度の低い半透明状の素材としてもよい。また、無色の素材に限られず、光透過性を有しつつ乳白色などの有色の素材としてもよい。
【0045】
実施例のパチンコ機10では、影絵柄として描かれた第3裏面絵柄66を黒一色で形成したが、これに限られず、他の一色(青や赤、緑など)で形成してもよい。あるいは、単色で形成するものに限られず、複数色で形成してもよい。
【0046】
実施例のパチンコ機10では、影絵柄として描かれた第3裏面絵柄66の一部に第3表面絵柄56と輪郭が共通する部分を設けたが、これに限られず、輪郭が共通する部分を設けないものとしてもよい。例えば、第3裏面絵柄66を、帯状や筋状、楕円形状などの影としてもよい。
【0047】
実施例のパチンコ機10では、影絵柄として描かれた第3裏面絵柄66を第3表面絵柄56とは若干ずれた位置に設けるものとしたが、これに限られず、ずれのない位置に設けてもよいし、大きくずれた位置(絵柄が重複しない位置)に設けるものとしてもよい。このようにしても、遊技者の見る角度によっては、第3裏面絵柄66を第3表面絵柄56の影として視認することは可能である。
【0048】
実施例のパチンコ機10では、絵柄自体に特殊な装飾は施されないものとしたが、これに限られず、表面絵柄や裏面絵柄として、正面視すると立体的な装飾が視認可能となる加工の施された特殊な装飾を設けてもよい。特殊絵柄としては、たとえば、シート状のレンチキュラーレンズを用いた装飾を例示でき、見る角度によって絵柄が変化したり、立体感が得られたりする印刷物などが挙げられる。レンチキュラーの構造は、レンチキュラー画像と呼ばれる画像の上に、表面に微細な細長いカマボコ状の凸レンズが無数に並んだシート(レンチキュラーレンズ)を配置(貼り付け又は印刷)することで実現される。このような特殊な装飾(絵柄)を設けることで、絵柄自体の立体感によっても奥行き感が増すことになるから、遊技機の装飾をより多彩にでき、装飾効果を一層高められる。
【0049】
また、実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0050】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、アクリル板50が「板状部材」に相当し、第1表面絵柄52や第2表面絵柄54が「所定の絵柄」に相当し、第1鏡62や第2鏡64が「鏡面部」に相当する。また、第1裏面絵柄61が「鏡面部用の絵柄」に相当し、第2表面絵柄54の表側に描かれた女性キャラクタが「表側絵柄」に相当し、裏側に描かれた男性キャラクタが「裏側絵柄」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0051】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。