特許第5742897号(P5742897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5742897帯電部材の製造方法、ストレーニング処理方法、及びストレーニング処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742897
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】帯電部材の製造方法、ストレーニング処理方法、及びストレーニング処理装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20150611BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G03G15/02 101
   G03G15/00 551
【請求項の数】7
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-167677(P2013-167677)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36725(P2015-36725A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2014年9月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 宏之
(72)【発明者】
【氏名】泊 省吾
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−116709(JP,A)
【文献】 実開昭61−196021(JP,U)
【文献】 特開平11−291328(JP,A)
【文献】 特開2008−116642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
G03G 15/00
B29C 47/68
B29B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
未加硫ゴム材料及び無機粒子を少なくとも含む未加硫ゴム組成物をストレーニング処理する工程であって、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを前記未加硫ゴム組成物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーに、前記未加硫ゴム組成物を通過させてストレーニング処理する工程と、
導電性支持体上に、前記ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物の加硫物で構成された導電性弾性層を形成する工程と、
を有し、
前記ストレーニング処理する工程が、前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーニング処理する工程の前後で変化させない工程である帯電部材の製造方法。
【請求項2】
前記ストレーニング処理する工程前に、少なくとも前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子を密閉式混練機により混練して、前記未加硫ゴム組成物を得る工程を有する請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
【請求項3】
前記ストレーニング処理する工程において、前記ストレーナーに前記未加硫ゴム組成物を通過させる処理を2回以上実施する請求項1又は2に記載の帯電部材の製造方法。
【請求項4】
押出機により、未加硫ゴム材料及び無機粒子を含む被ストレーニング処理物を押出して、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを被ストレーニング処理物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーに通過させ、
且つ、前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーナー通過の前後で変化させないストレーニング処理方法。
【請求項5】
前記押出機が、ギアポンプを備える押出機である請求項に記載のストレーニング処理方法。
【請求項6】
目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを被ストレーニング処理物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーと、未加硫ゴム材料及び無機粒子を含む被ストレーニング処理物を前記ストレーナーに通過させるために押出す押出機と、を備え、
前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーナー通過の前後で変化させないストレーニング処理装置。
【請求項7】
前記押出機が、ギアポンプを備える押出機である請求項に記載のストレーニング処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材の製造方法、ストレーニング処理方法、及びストレーニング処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、「ゴム組成物をチューブ状に押し出す押出し工程において、ゴム組成物にJISG3556で規定された目開きのスクリーンメッシュA、スクリーンメッシュBおよびスクリーンメッシュCをこの順に通過させ、該スクリーンメッシュA、BおよびCの目開きをそれぞれW、WおよびWとしたとき、Wが149μm以上500μm以下、Wが74μm以上149μm以下、Wが210μm以上、W>W、かつ、W<3×Wであるゴムローラの製造方法」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−116642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ストレーナーの金網の破断を抑制し、導電性弾性層の無機粒子の分散性を高めた帯電部材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。
【0006】
請求項1に係る発明は、
未加硫ゴム材料及び無機粒子を少なくとも含む未加硫ゴム組成物をストレーニング処理する工程であって、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを前記未加硫ゴム組成物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーに、前記未加硫ゴム組成物を通過させてストレーニング処理する工程と、
導電性支持体上に、前記ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物の加硫物で構成された導電性弾性層を形成する工程と、
を有し、
前記ストレーニング処理する工程が、前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーニング処理する工程の前後で変化させない工程である帯電部材の製造方法。
【0007】
請求項2に係る発明は、
前記ストレーニング処理する工程前に、少なくとも前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子を密閉式混練機により混練して、前記未加硫ゴム組成物を得る工程を有する請求項1に記載の帯電部材の製造方法。
【0008】
請求項3に係る発明は、
前記ストレーニング処理する工程において、前記ストレーナーに前記未加硫ゴム組成物を通過させる処理を2回以上実施する請求項1又は2に記載の帯電部材の製造方法。
【0010】
請求項に係る発明は、
押出機により、未加硫ゴム材料及び無機粒子を含む被ストレーニング処理物を押出して、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを被ストレーニング処理物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーに通過させ、
且つ、前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーナー通過の前後で変化させないストレーニング処理方法。
【0011】
請求項に係る発明は、
前記押出機が、ギアポンプを備える押出機である請求項に記載のストレーニング処理方法。
【0012】
請求項に係る発明は、
目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上であり、目開き0.30mm以下の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを被ストレーニング処理物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーと、未加硫ゴム材料及び無機粒子を含む被ストレーニング処理物を前記ストレーナーに通過させるために押出す押出機と、を備え、
前記未加硫ゴム材料及び前記無機粒子の質量比を前記ストレーナー通過の前後で変化させないストレーニング処理装置。
【0013】
請求項に係る発明は、
前記押出機が、ギアポンプを備える押出機である請求項に記載のストレーニング処理装置。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、上記第1金網がブレーカープレートと接して配置されたストレーナーを適用した場合に比べ、ストレーナーの金網の破断を抑制し、導電性弾性層の無機粒子の分散性を高めた帯電部材の製造方法が提供される。
請求項2に係る発明によれば、少なくとも未加硫ゴム材料及び無機粒子を開放式混練機で混練する場合に比べ、導電性弾性層の無機粒子の分散性を高めた帯電部材の製造方法が提供される。
請求項3に係る発明によれば、ストレーナーに未加硫ゴム組成物を通過させる処理を1回実施する場合に比べ、導電性弾性層の無機粒子の分散性を高めたゴムロールの製造方法が提供される。
【0016】
請求項に係る発明によれば、上記第1金網がブレーカープレートと接して配置されたストレーナーを適用した場合に比べ、ストレーナーの金網の破断を抑制し、被ストレーニング処理物の無機粒子の分散性が高まるストレーニング処理方法が提供される。
請求項に係る発明によれば、押出機としてスクリューポンプを適用した場合に比べ、被ストレーニング処理物の発熱を抑えるストレーニング処理方法が提供される。
【0017】
請求項に係る発明によれば、上記第1金網がブレーカープレートと接して配置されたストレーナーを適用した場合に比べ、ストレーナーの金網の破断を抑制し、被ストレーニング処理物の無機粒子の分散性が高まるストレーニング処理装置が提供される。
請求項に係る発明によれば、押出機としてスクリューポンプを適用した場合に比べ、被ストレーニング処理物の発熱を抑えるストレーニング処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る帯電部材の製造方法により製造される帯電部材の一例を示す概略断面図である。
図2】本実施形態に係る帯電部材の製造方法により製造される帯電部材の他の一例を示す概略断面図である。
図3】本実施形態に係るストレーニング処理装置の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態に係るストレーナーの一例を示す概略構成図である。
図5】本実施形態に係るストレーナーの他の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例である実施形態に説明する。なお、本明細書において、特に断りがない限り、導電性とは、体積抵抗率が1013Ωcm未満を意味し、非導電性とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上を意味する。
【0020】
本実施形態に係る帯電部材の製造方法は、未加硫ゴム材料及び無機粒子を少なくとも含む未加硫ゴム組成物をストレーニング処理する工程と、導電性支持体(以下「支持体」とも称する)上に、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物の加硫物で構成された導電性弾性層(以下「弾性層」とも称する)を形成する工程と、を有する。
そして、ストレーニング処理する工程は、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網と、線径0.16mm以上の第2金網と、前記第2金網に接して配置されたブレーカープレートとを前記未加硫ゴム組成物の通過方向の上流側から下流側に向かってこの順で有するストレーナーに、未加硫ゴム組成物を通過させてストレーニング処理する工程である。
ただし、本実施形態では、第2金網の目開きは0.30mm以下とする。また、ストレーニング処理する工程は、未加硫ゴム材料及び無機粒子の質量比をストレーニング処理する工程の前後で変化させない工程とする。
【0021】
ここで、従来、弾性層を有する帯電部材において、弾性層は、導電性を付与する目的で、未加硫ゴム材料に無機導電剤(例えばカーボンブラック、金属酸化物粒子)を配合し、混練、成形、加硫を経て形成することが知られている。また、弾性層の形状安定性、低コスト化を目的として、未加硫ゴム材料に無機充填剤を配合することも知られている。
【0022】
これらの無機導電剤、無機充填剤等の無機粒子は、例えば、未加硫ゴム材料に配合する軟化剤又は可塑剤等と馴染んで、また、圧延されたりして、凝集塊を形成することがある。未加硫ゴム材料中に無機粒子の凝集塊が残存した未加硫ゴム組成物を用いて、弾性層を形成すると、弾性層の表面に膨れ又は突起が発生することがある。弾性層の表面に膨れ又は突起が存在すると、画像濃度ムラ、白点、又は色点等の画質欠陥を引き起こすことがある。また、弾性層中に無機粒子の凝集塊が残存すると、電気抵抗ムラが生じることがある。この電気抵抗ムラが生じると、被帯電体に対する帯電ムラが発生し、その結果、画像濃度ムラを引き起こすことがある。
【0023】
特に、例えば、帯電部材をクラウン形状にする等の目的で、研磨機により弾性層の表面を切削した場合、弾性層に無機粒子の凝集塊などが存在すると、層表面に無機粒子の凝集塊の分散不良部が露出し、顕著に、帯電ムラが発生し易くなる。
【0024】
通常、無機粒子の凝集塊の粉砕、及び無機粒子の分散性の向上は、未加硫ゴム材料と無機粒子との混練工程において行われる。混練工程は、一般的には加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉式混練機と2本のロールを備えたオープンロール等の開放式混練機とを並べた混練ラインで行われ、それぞれの混練条件を最適化により、無機粒子の凝集塊の粉砕、及び無機粒子の凝集塊の分散性の向上が図られている。
加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉式混練機は、混合槽内に長翼、短翼を有する二本のローターと未加硫ゴム材料を加圧しながら混合槽に押し込み混合させる混練機である。混合は、主に混合槽の内壁とローターの長翼、短翼の先端とのせん断力によって混合分散させるが、ギャップ間は広く、無機粒子の分散及び無機粒子の凝集塊の粉砕が十分に行われていないのが現状である。また、オープンロール等の開放式混練機についても、ロール間ギャップに制限があり、無機粒子の分散及び無機粒子の凝集塊の粉砕が十分に行われていないのが現状である。
【0025】
これに対して、本実施形態に係る帯電部材の製造方法では、未加硫ゴム組成物にストレーニング処理を行い、このストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いて、その加硫物で構成された弾性層を支持体上に形成し、帯電部材を製造する。
【0026】
ストレーニング処理は、ブレーカープレートと複数枚の金網(スクリーンメッシュ)とで構成されたストレーナーに、未加硫ゴム材料及び無機粒子を少なくとも含む未加硫ゴム組成物を押し込んで通過させる処理である、そして、ストレーニング処置に使用するストレーナーの金網として、目開き0.04mm以上0.18mm以下といった目開きの小さい第1金網を適用し、この第1金網に未加硫ゴム組成物を通過させる。これにより、未加硫ゴム組成物中の無機粒子に対して十分な剪断力が付与され、無機粒子の凝集塊の粉砕が行われ、無機粒子の分散性が高まる。
【0027】
一方で、ストレーナーは、未加硫ゴム組成物の通過圧力(押出力)による金網の破断を抑制するため、未加硫ゴム組成物の通過方向の下流側から、複数の金網を目開きの大きい順に配置することが通常である。つまり、最も目開きが小さい金網は未加硫ゴム組成物の通過方向の最下流側で、ブレーカープレートと接する位置に配置するのが通常である。
【0028】
しかし、無機粒子の分散及び無機粒子の凝集塊の粉砕が十分に行われる剪断力を付与するために、上記範囲といった目開きの小さい第1金網をブレーカープレートと接する位置に配置すると、未加硫ゴム組成物の通過圧力(押出力)により、ブレーカープレートの穴の部分で第1金網の反りが生じ易く、第1金網の破断が生じることがある。
【0029】
そこで、線径0.16mm以上といった強度が高い第2金網をブレーカープレートと接する位置に配置し、目開きの小さい第1金網を第2金網よりも未加硫ゴム組成物の通過方向下流側へ配置する。この第2金網は、上記範囲の線径を有することから、強度が確保されており、プレーカプレートに接する位置に配置しても、未加硫ゴム組成物の通過圧力(押出力)により、ブレーカープレートの穴の部分で第2金網の反りが生じ難く、第1金網の破断が抑制される。その結果、第1金網及び第2金網のいずれの破断も抑制されることとなる。
【0030】
以上から、本実施形態に係る帯電部材の製造方法では、ストレーナーの金網の破断を抑制し、弾性層の無機粒子の分散性を高めた帯電部材が製造される。
【0031】
ここで、本実施形態に係る帯電部材の製造方法により製造される帯電部材は、支持体と、支持体上に形成された弾性層とを有していれば、層構成は特に限定されない。例えば、支持体と弾性層とを接着する接着層、弾性層の外周面に設ける表面層、弾性層と表面層との間に中間層等の他の層を有してもよい。具体的には、帯電部材としては、例えば、支持体31上に、接着層32と弾性層33と表面層35とをこの順で有する帯電ロール30A(図1参照)、支持体31上に、接着層32と弾性層33と中間層34と表面層35とをこの順で有する帯電ロール30B(図2参照)等が例示される。
なお、帯電部材は、ロールに限られず、他の周知の形状(例えば、ベルト、ブレード等)であってもよい。
【0032】
以下、本実施形態に係る帯電部材の製造方法の各工程について詳細に説明する。なお、以下の説明は、図1に示す帯電ロール30Aの製造方法について説明する。但し、符号は省略して説明する。
【0033】
(ストレーニング処理する工程)
ストレーニング処理する工程は、未加硫ゴム材料及び無機粒子を少なくとも含む未加硫ゴム組成物をストレーニング処理する工程である。
【0034】
未加硫ゴム組成物は、例えば、少なくとも未加硫ゴム材料及び無機粒子を混練して得る、つまり、ストレーニング処理する工程前に、少なくとも未加硫ゴム材料及び無機粒子を混練機により混練して、未加硫ゴム組成物を得る工程を実施することがよい。
【0035】
混練機による混練は、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の密閉式混練機、及びオープンロール等の開放式混練機の双方、又はいずれかを利用して行ってもよく、好ましくは密閉式混練機を利用して行うことがよい。未加硫ゴム組成物は、混練後、ストレーニング処理を行うことから、工程数の簡略化の点で、人の技量により左右され易い開放式混練機による混練の実施を省略してもよい。
【0036】
加硫ゴム組成物のストレーニング処理は、ストレーナーに、未加硫ゴム組成物を通過させて行う。具体的には、ストレーニング処理は、ストレーナーと、未加硫ゴム組成物(被ストレーニング処理物)をストレーナーに通過させるために押出す押出機と、を備えるストレーニング処理装置により行う。
【0037】
なお、ストレーニング処理は、未加硫ゴム組成物の無機粒子の分散性向上及び無機粒子の凝集塊の破砕を目的として行うため、ストレーニングの前後で、未加硫ゴム組成物の未加硫ゴム材料と無機粒子との質量比が変化させないことがよい。未加硫ゴム材料と無機粒子との質量比がストレーニングの前後で変化していないとは、ストレーニング前に対する後の当該質量比の変化の割合が1.0%以内であることを意味する。
【0038】
ここで、図3に、本実施形態に係るストレーニング処理装置の一例を示す概略構成図を示す。図3に示すストレーニング処置装置は、押出機101と、押出機101の押出口(排出口)に取り付けられたダイス102(金型)と、押出機101の押出口とダイスの間に配置されたストレーナー103と、を備える。なお、図3中、Gは、未加硫ゴム組成物を示している。
【0039】
押出機101は、例えば、ギアポンプ押出機(未加硫ゴム組成物をストレーナー103に向けて押出すギアポンプを備える押出機)であり、具体的には、未加硫ゴム組成物が投入される投入口104と、未加硫ゴム組成物をストレーナー103に押出すギアポンプ105と、投入口104から投入された未加硫ゴム組成物をギアポンプ105へ搬送するフィーダー107と、を備える。
【0040】
押出機101では、未加硫ゴム組成物を投入口104から投入すると、未加硫ゴム組成物がフィーダー107によりギアポンプ105へ搬送され、ギアポンプ105によりストレーナー103に向けて押出される。そして、この押出力により未加硫ゴム組成物は、ストレーナー103を通過し、その後、ダイス102から目的とする形状(例えば、柱状)で吐出され、ストレーニング処理が施される。
【0041】
押出機101は、ギアポンプ押出機に限られず、1軸押出機機、2軸テーパー押出機等であってもよい。但し、ギアポンプ押出機は、未加硫ゴム組成物の発熱を引き起こし難く、また、組成物の粘度等によらず、目的とする量を押出し続けられる点で好ましい。
【0042】
ダイス102は、特に制限はなく、ストレーナー103を通過した未加硫ゴム組成物を目的とする形状に吐出する周知のダイスが適用される。
【0043】
一方、ストレーナー103は、図4に示すように、金網107(スクリーンメッシュ)とブレーカープレート108とを未加硫ゴム組成物の通過方向(図4中、矢印R方向)の上流側から下流側に向かってこの順で有している。具体的には、ストレーナー103は、目開き0.04mm以上0.18mm以下の第1金網111と、線径0.16mm以上の第2金網112と、第2金網112に接して配置されたブレーカープレート108とを未加硫ゴム組成物の通過方向(図4中、矢印R方向)の上流側から下流側に向かってこの順で有している。つまり、ストレーナー103は、ブレーカープレート108と、未加硫ゴム組成物の通過方向の上流側にブレーカープレート108に接して配置される第2金網112と、未加硫ゴム組成物の通過方向の上流側に配置される第1金網111とを有している。
【0044】
金網107は、例えば、平織り、綾織り、畳織り等の周知の編地で構成される。特に、目開きの大きさに対して線径の太さと開口率の大きさとの釣り合いが良好であり(つまり、線径が太く、且つ開口率が大きく)、目的とする目開きでも、強度が確保され易く、且つ未加硫ゴム組成物の通過量が増加する点から、金網107は、綾織りの編地で構成させることがよい。
【0045】
金網107の材質は、金網(スクリーンメッシュ)に利用される公知の材質(例えばステンレス(SUS304、SUS316、SUS316L、SUS310S等)、鉄等)から選択される。特に、強度の確保及び低コストの点から、金網107の材質は、ステンレスがよい。
【0046】
金網107のうち、第1金網111は、無機粒子の分散及び無機粒子の凝集塊の粉砕を行うためのものである。第1金網111の目開きは、0.04mm以上0.18mm以下である。第1金網111の線径は、第2金網112の線径と同じ、又はそれ以下とすることがよい。
【0047】
金網107のうち、第2金網112は、ブレーカープレート108と接して配置されるものである。第2金網112の線径は、0.16mm以上(好ましくは0.20mm以上)である。第2金網112の目開きは、第1金網111の目開きと同じ、又はそれ以上とすることがよい。
【0048】
ここで、図5に示すように、第1金網111と第2金網112との間に、第3金網113を配置してもよい。第3金網113は、第1金網111の反り抑制すると共に、第1金網111に対する未加硫ゴム組成物の押圧力を分散させて緩和する目的で配置する。
第3金網113は、平織りの編地で構成させることがよい。第1金網111は目開きが細かく、線径が太い方が好ましく、曲折角度が大きいため線径を太くし易い綾織りの方が好ましい。また、ブレーカープレート108と接触している第2金網112は、ブレーカープレートの穴に向かった反りの影響を最も受けるため、曲折角度が大きい綾織りの方が反りによる疲労の影響を受け難い。そして、第3金網113は第2金網112の反りの影響を緩和できればよく、開口率が低いと押圧力が高くなってしまうため、同一メッシュにおいて開口率の低い平織りが好ましい。
第3金網113の目開きは、第2金網112の目開きと同じ、又はそれ以上とすることがよい。第3金網113の線径は、第1金網111の線径と同じ、又はそれ以上とすることがよい。
【0049】
また、図5に示すように、第1金網111よりも、未加硫ゴム組成物の通過方向(図5中、矢印R方向)の上流側には、第4金網114を配置してもよい。第4金網114は、第1金網111及び第2金網112のねじれを抑制すると共に、第1金網111及び第2金網112に対する未加硫ゴム組成物の押圧力を分散させて緩和する目的で配置する。
第4金網114は、平織りの編地で構成させることがよい。第4金網114では最も加わる未加硫ゴム組成物のねじれ等の押圧力の変動を抑制できればよいため、第4金網114よりも未加硫ゴム組成物の通過方向(図5中、矢印R方向)の下流側の金網を均一に抑えつつ、第4金網114での押圧力増加を抑制したいため、同一メッシュにおいて開口率の低い平織りが好ましい。
第4金網114の目開きは、第2金網112の目開き以上とすることがよい。第4金網114の線径は、第1金網111の線径以上とすることがよい。
【0050】
これら各金網107は、金網107の破断を抑制し、導電性弾性層の無機粒子の分散性を高める点から、下記態様が好ましい。なお、金網107(スクリーニンメッシュ)の目開き及び線径は、JISG3556で定義されるものである。
・第1金網111: 目開き0.04mm以上0.18mm以下(好ましくは0.045mm以上0.10mm以下、より好ましくは0.06mm以上0.09mm以下)であり、線径0.03mm以上0.30mm以下(好ましくは0.04mm以上0.15mm以下、より好ましくは0.04mm以上0.08mm以下)であり、ステンレス製で綾織りの編地で構成した金網
・第2金網112: 目開き0.30mm以下(好ましくは0.26mm以下、より好ましくは0.17mm以下)であり、線径0.16mm以上(好ましくは0.18mm以上、より好ましくは0.25mm以上)であり、ステンレス製で綾織りの編地で構成した金網
・第3金網113: 目開き0.33mm以下(好ましくは0.22mm以下、より好ましくは0.19mm以下)であり、線径0.12mm以上(好ましくは0.18mm以上、より好ましくは0.21mm以上)であり、ステンレス製で平織りの編地で構成した金網
・第4金網114: 目開き0.12mm以上0.30mm以下であり、線径0.18mm以上1.35mm以下であり、ステンレス製で平織りの編地で構成した金網
【0051】
一方、ブレーカープレート108は、例えば、同心円状に複数の穴が設けられた円盤状の部材である。具体的には、ブレーカープレート108には、例えば、穴径φ1mm以上φ6mm以下でブレーカープレート面積に対する開口率が30%以上60%以下になるように、複数の穴が同心円状に設けられている。
【0052】
なお、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理は、1回のみ実施してもよいが、2回以上実施することがよい。つまり、ストレーナー103に未加硫ゴム組成物を通過させる処理を2回以上実施することがよい。1回のストレーニング処理では、無機粒子の凝集塊が粉砕されても、粉砕された凝集塊がストレーナーの未加硫ゴム組成物の通過方向に伸びた状態となり、粉砕された無機粒子が分散されない場合がある。このため、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理は、2回以上実施することがよい。
【0053】
−未加硫ゴム組成物−
ストレーニング処理する工程において、未加硫ゴム組成物は、未加硫ゴム材料と、無機粒子と、必要に応じて、その他の添加剤と、を含む。
【0054】
・未加硫ゴム材料
未加硫ゴム材料には、ゴムのみならず、エラストマーも含まれる材料である。未加硫ゴムとしては、例えば、少なくとも化学構造中に二重結合を有し、加硫反応によりは架橋してゴム材料となるものが挙げられる。
ゴム材料として具体的には、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらを混合したゴムが挙げられる。
これらのゴム材料の中でも、ポリウレタン、EPDM、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR、及びこれらを混合したゴムがよい。
なお、加硫後のゴム材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0055】
・無機粒子
無機粒子は、無機導電剤及び無機充填剤から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0056】
無機導電剤としては、電子導電剤が挙げられ、具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。これらの無機導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
ここで、カーボンブラックの市販品として具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0058】
無機導電剤の含有量は、例えば、ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下であることがより望ましい。
【0059】
無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。これらの無機充填剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤の含有量は、特に制限はないが、例えば、ゴム材料100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが望ましく、10質量部以上50質量部以下であることがより望ましい。
【0060】
無機粒子としては、その他、例えば、受酸剤も挙げられる、受酸剤としては、例えば、金属化合物、ハイドロタルサイト類の粉末も挙げられる。
金属化合物としては、例えば、周期律表第2族元素(アルカリ土類金属)の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期律表第4族元素の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、三塩基性硫酸塩等が挙げられ、具体的には、酸化マグネシム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、ステアリン酸錫、塩基性亜りん酸錫等が挙げられる。これらの金属化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
受酸剤の含有量は、特に制限はないが、例えば、ゴム材料100質量部に対して、0.5質量部以上20.0質量部以下であることが望ましく、3.0質量部以上10.0質量部以下であることがより望ましい。
【0061】
・その他の添加剤
その他の添加剤としては、他の導電剤(例えばイオン導電剤)、軟化剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の周知の添加剤が挙げられる。
【0062】
(弾性層を形成する工程)
弾性層を形成する工程は、支持体上に、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物の加硫物で構成された弾性層を形成する工程である。弾性層を形成する工程では、例えば、未加硫ゴム組成物を押出成形により支持体上に層状(円筒状)に成形した後、常圧下で加硫して形成する。
【0063】
具体的には、例えば、押出口にクロスヘッドを取り付けた押出機(1軸押出機機、2軸テーパー押出機、ギアポンプ押出機等)により、ストレーニングを実施した未加硫ゴム組成物を押出成形して、接着剤を塗布した支持体の外周面に層状(円筒状)に被覆する。未加硫ゴム組成物の被覆方法としては、上記押出成形に限られず、公知の各種方法を用いてもよい。そして、この状態で加熱し、層状の未加硫のゴム組成物を加硫して、弾性層を形成する。この加熱(加硫)は、常圧下(例えば1気圧下)で行うことがよい。また、加熱の際に、加熱可能な円筒状の金型を用いてもよい。
【0064】
なお、弾性層の厚みは、帯電部材を適用する装置によって異なるが、例えば、1mm以上10mm以下とすることが望ましく、2mm以上5mm以下とすることがより望ましい。
【0065】
ここで、弾性層を形成する支持体としては、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものが用いられる。
【0066】
支持体は、帯電部材の電極および支持部材として機能するものであり、例えば、その材質としては鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;等が挙げられる。支持体としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。支持体は、中空状の部材(筒状部材)であってもよし、非中空状の部材であってもよい。
【0067】
(表面層を形成する工程)
表面層を形成する工程は、例えば、表面層形成用塗布液を弾性層上に塗布し、その塗膜を加熱して表面層を形成する工程である。なお、表面層は、必要に応じて形成する。
【0068】
表面層形成用塗布液は、例えば、樹脂と、導電剤と、溶剤と、必要に応じて、表面層の表面に凹凸(特定の表面粗さ)を付与するための粒子と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0069】
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、共重合ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(例えばテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)、尿素樹脂等が挙げられる。
ここで、共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、の内のいずれか1種又は複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。
樹脂としては、上記弾性層に配合されるゴム材料を適用してもよい。
【0070】
導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤が挙げられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
ここで、カーボンブラックの市販品として具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0072】
表面層の表面に凹凸を付与するための粒子としては、導電性粒子、非導電性粒子のいずれでもよいが、非導電性粒子が望ましい。導電性粒子としては、弾性層に配合する上記導電剤として挙げられた材料の粒子が挙げられる。非導電性粒子としては、樹脂粒子(ポリイミド樹脂粒子、メタクリル樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等)、無機粒子(クレー粒子、カオリン粒子、タルク粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子等)、又はセラミック粒子等が挙げられる。粒子は、樹脂と同種の樹脂で構成した粒子であってもよく、これにより粒子と樹脂との相溶性が向上し、粒子と樹脂との密着性が高くなる。
【0073】
その他添加剤としては、例えば、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の通常表面層に添加され得る材料が挙げられる。
【0074】
溶剤としては、特に限定されず一般的なものが使用され、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル類などの溶媒を使用してもよい。また、これらの他、種々の溶媒を使用してもよいが、電子写真感光体の生産に一般的に使用される浸漬塗布法を適用するためには、アルコール溶剤若しくはケトン溶剤、又はそれらの混合系溶剤が挙げられる。
【0075】
表面層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0076】
表面層の厚みは、7μm以上25μm以下が望ましい。そして、表面層の体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下が望ましい。
【0077】
以上の工程を経て、帯電部材が得られる。なお、必要に応じて、弾性層と表面層の間に中間層(例えば抵抗調整層、移行防止層)を形成してもよい(図2参照)。
【0078】
なお、本実施形態に係る帯電部材の製造方法では、帯電ロールの製造方法について説明したが、これに限られず、他の形状の帯電部材(例えば、ベルト、ブレード等)の製造方法に適用される。
【0079】
本実施形態に係る帯電部材の製造方法において利用するストレーナー、ストレーニング処理装置、及びストレーニング処理方法は、帯電部材の弾性層を形成するための未加硫ゴム組成物以外の被ストレーニング処理物のストレーニング処理に利用してもよい。具体的には、例えば、無機粒子(例えば無機導電剤、無機充填材等)を含むゴム成形体又は樹脂成形体の製造方法に利用してもよい。ゴム成形体の製造する場合の被ストレーニング処理物としては、例えば、帯電部材の弾性層を形成するための未加硫ゴム組成物(未加硫ゴム材料及び無機粒子を含む未加硫ゴム組成物)が挙げられる、一方、樹脂成形体を製造する場合の被ストレーニング処理物としては、熱可塑性樹脂及び無機粒子を含む樹脂組成物が挙げられる。
【実施例】
【0080】
以下に実施例として導電性の帯電ロールを挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】
<実施例1>
(未加硫ゴム組成物の作製)
下記組成の混合物を2.5Lのニーダーで混練り、未加硫ゴム組成物を得た。未加硫ゴム組成物の100℃のムーニー粘度ML1+4は51であった。
・ゴム材 100質量部
(エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム Hydrin T3106:日本ゼオン社製)
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製) 20質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製) 2質量部
・イオン導電剤 1質量部
(ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、商品名「BTEAC」ライオンアクゾ社製)
・加硫剤 1.5質量部
(有機硫黄 4,4'-ジチオジモルホリン バルノックR:大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤 1.5質量部
(ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド ノクセラーDM−P:大内新興化学工業社製)
・加硫促進剤 1.8質量部
(テトラエチルチウラムジスルフィド ノクセラーTET−G:大内新興化学工業社製)
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製) 3質量部
・ステアリン酸 1.0質量部
・重質炭酸カルシウム 40質量部
【0082】
(ストレーニング処理)
次に、得られた未加硫ゴム組成物に対して、ストレーニング処理を3回行った。ストレーニング処理は、図3に示すストレーニング処理装置を使用した。ストレーナーの金網は、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置し、さらに当該金網のうち最下流側の金網(本例では金網B)と接触して下記構成のブレーカープレートを配置したストレーナーを使用した。また、ダイスの温度は70℃、フィーダーからギアポンプへ供給される未加硫ゴム組成物の温度は50℃、ストレーナーを未加硫ゴム組成物が通過する速度は100kg/hに設定した。
【0083】
−ストレーナーの構成−
・金網A: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・ブレーカープレート: 未加硫ゴム組成物に接触する部分が直径80mmで、直径5mmの穴が151個配置
【0084】
(弾性ロールの作製)
ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いて、次のように弾性ロールを作製した。
5μmの厚さの無電解ニッケルメッキ後6価クロム酸を施した直径8mmのSUM23Lから成る導電性支持体を用意し、シリンダー内径60mm、L/D20の1軸ゴム押出し機を用いてスクリュー回転25rpmで未加硫ゴム組成物を押出すとともに、同時に導電性支持体を連続的にクロスヘッドに通過させることにより、導電性支持体上にゴム組成物を層状に被覆した。押出機の温度条件設定は、シリンダー部、スクリュー部、ヘッド部、ダイ部のいずれとも80℃とした。導電性支持体に被覆した未加硫ゴム組成物を、空気加熱炉により160℃で60分間加硫した。これにより導電性支持体上に、弾性層が形成された直径12mmの弾性ロールを得た。
【0085】
(評価)
−分散度−
JIS K6262圧縮永久歪試験用の大型試験片金型を用いて、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物をプレス成形し、評価サンプルを得た。
次に、プレス成形により得られた評価サンプルの断面をナイフで切り出し、分散度測定機により平均分散度を測定した。分散度測定装置は、カーボンブラック分散度判別測定機(分散くん、ダイハン社製)を用いた。
【0086】
−弾性ロール外観−
得られた弾性ロールの弾性層の表面を外観検査した。外観検査は、目視にて行い、下記評価基準で評価した。
G1:0.1mm以上0.3mm以下の無機粒子の凝集塊が、3個以下。0.3mm以上の無機粒子の凝集塊はなし。
G2:0.1mm以上0.3mm以下の無機粒子の凝集塊が、10個以下。0.3mm以上の無機粒子の凝集塊はなし。
G3:0.1mm以上0.3mm以下の無機粒子の凝集塊が、10個以上。0.3mm以上の無機粒子の凝集塊はなし。
G4:0.3mm以上の無機粒子の凝集塊が、1個以上10個以下。
G5:0.3mm以上の無機粒子の凝集塊が、10個以上。
【0087】
−ストレーニング処理装置の吐出圧力−
未加硫ゴム組成物をストレーニング処理するとき、ストレーニング装置から吐出する未加硫ゴム組成物の吐出圧力を計測し、その変化を調べた。具体的には、未加硫ゴム組成物の通過方向(流動方向)に対して、ブレーカ―プレートおよび金網の直前に圧力センサーを取り付け圧力をモニターして、ストレーニング装置から吐出する未加硫ゴム組成物の吐出圧力の変化を調べた。
【0088】
−ストレーナーの金網破損−
未加硫ゴム組成物をストレーニング処理した後、ストレーニング装置からストレーナを取り出し、ストレーナーの各金網を観察し、その状態を調べて、金網の破損の有無を調べた。
【0089】
<実施例2>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #100綾織(目開き:0.13mm、線径:0.12mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0090】
<実施例3>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #150綾織(目開き:0.089mm、線径:0.08mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0091】
<実施例4>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0092】
<実施例5>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #250綾織(目開き:0.062mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0093】
<実施例6>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #300綾織(目開き:0.045mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0094】
<実施例7>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #100綾織(目開き:0.13mm、線径:0.12mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #80綾織(目開き:0.14mm、線径:0.17mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0095】
<実施例8>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #80綾織(目開き:0.14mm、線径:0.17mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0096】
<実施例9>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #300綾織(目開き:0.045mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #80綾織(目開き:0.14mm、線径:0.17mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0097】
<実施例10>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0098】
<実施例11>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #100綾織(目開き:0.13mm、線径:0.12mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0099】
<実施例12>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0100】
<実施例13>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #250綾織(目開き:0.062mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0101】
<実施例14>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #300綾織(目開き:0.045mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0102】
<実施例15>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0103】
<実施例16>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #100綾織(目開き:0.13mm、線径:0.12mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0104】
<実施例17>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #150綾織(目開き:0.089mm、線径:0.08mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0105】
<実施例18>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0106】
<実施例19>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #250綾織(目開き:0.062mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0107】
<実施例20>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #300綾織(目開き:0.045mm、線径:0.04mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0108】
<実施例21>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B、C及びDをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #16平織(目開き:1.34mm、線径:0.25mm、材質:SUS304)
・金網B: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網C: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網D: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0109】
<実施例22>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用し、ストレーニング処理の回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #150綾織(目開き:0.089mm、線径:0.08mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0110】
<実施例23>
ストレーニング処理の回数を2回に変更した以外は、実施例22と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0111】
<実施例24>
ストレーニング処理の回数を3回に変更した以外は、実施例22と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0112】
<実施例25>
ストレーニング処理の回数を4回に変更した以外は、実施例22と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0113】
<実施例26>
ストレーニング処理の回数を5回に変更した以外は、実施例22と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0114】
<実施例27>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用し、ストレーニング処理の回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60平織(目開き:0.21mm、線径:0.21mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0115】
<実施例28>
ストレーニング処理の回数を2回に変更した以外は、実施例27と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0116】
<実施例29>
ストレーニング処理の回数を3回に変更した以外は、実施例27と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0117】
<実施例30>
ストレーニング処理の回数を4回に変更した以外は、実施例27と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0118】
<実施例31>
ストレーニング処理の回数を5回に変更した以外は、実施例27と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0119】
<実施例32>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B及びCをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0120】
<実施例33>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B、C及びDをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #40平織(目開き:1.34mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:平織りの編地)
・金網B: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網D: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0121】
<実施例34>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A、B、C及びDをこの順に配置した金網を使用した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #40綾織(目開き:1.34mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #200綾織(目開き:0.069mm、線径:0.06mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網C: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網D: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0122】
<比較例1>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用し、ストレーニング処理の回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #400綾織(目開き:0.034mm、線径:0.03mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網: #60綾織(目開き:0.17mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0123】
<比較例2>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用し、ストレーニング処理の回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #50綾織(目開き:0.26mm、線径:0.25mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0124】
<比較例3>
ストレーナーの金網として、未加硫ゴム組成物の通過方向上流側から下流側に向かって、下記構成の金網A及びBをこの順に配置した金網を使用し、ストレーニング処理の回数を1回に変更した以外は、実施例1と同様にして、未加硫ゴム組成物のストレーニング処理を行った。そして、ストレーニング処理後の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
−ストレーナーの金網の構成−
・金網A: #80綾織(目開き:0.14mm、線径:0.17mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
・金網B: #100綾織(目開き:0.13mm、線径:0.12mm、材質:SUS304、編地:綾織りの編地)
【0125】
<比較例4>
未加硫ゴム組成物に対して、ストレーニング処理を行わず、ニーダーによる混練後、オープンロールによる混練を行った以外は、実施例1にして、未加硫ゴム組成物を得た。そして、オープンロールによる混練を行った未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、弾性ゴムロールを作製し、評価した。
【0126】
以下、各例の詳細、及び評価結果を表1〜表6に一覧にして示す。
なお、実施例1〜14においては、金網Aが第1金網に該当し、金網Bが第2金網に該当する。実施例15〜20、及び実施例21〜32においては、金網Aが第1金網に該当し、金網Bが第3金網に該当し、金網Cが第2金網に該当する。実施例21、実施例33〜34においては、金網Aが第4金網に該当し、金網Bが第1金網に該当し、金網Cが第3金網に該当し、金網Dが第2金網に該当する。
【0127】
【表1】
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
【表4】
【0131】
【表5】
【0132】
【表6】
【0133】
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、ストレーナーの金網の破損がなかった上で、分散度、弾性ロール外観の評価が共に良好であることがわかる。
【符号の説明】
【0134】
30A 帯電ロール、30B 帯電ロール、31 支持体、32 接着層、33 弾性層、34 中間層、35 表面層、101 押出機、102 ダイス、103 ストレーナー、104 投入口、105 ギアポンプ、107 フィーダー
、107 金網、108 ブレーカープレート、111 第1金網、112 第2金網、113 第3金網、114 第4金網
図1
図2
図3
図4
図5