特許第5742898号(P5742898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5742898少なくとも十分に分離して物質を保管及び送出するための、特に宇宙空間における保管及び送出のための容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5742898
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】少なくとも十分に分離して物質を保管及び送出するための、特に宇宙空間における保管及び送出のための容器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20150611BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G01N1/10 N
   G01N35/10 A
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-168474(P2013-168474)
(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公開番号】特開2014-41123(P2014-41123A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2013年10月17日
(31)【優先権主張番号】10 2012 107 652.9
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512202923
【氏名又は名称】アストリウム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ケルン
(72)【発明者】
【氏名】イェシカ ヤンソン
(72)【発明者】
【氏名】クリプスィン スズィズィック
【審査官】 ▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−065461(JP,A)
【文献】 特開平10−057487(JP,A)
【文献】 特開平10−080485(JP,A)
【文献】 特表2004−538043(JP,A)
【文献】 特開平06−094584(JP,A)
【文献】 特開平05−031191(JP,A)
【文献】 特開平08−280800(JP,A)
【文献】 米国特許第04715854(US,A)
【文献】 米国特許第04439184(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0039588(US,A1)
【文献】 米国特許第03911916(US,A)
【文献】 特開2002−045422(JP,A)
【文献】 特開平09−294808(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/150208(WO,A1)
【文献】 特開2004−344639(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/011793(WO,A1)
【文献】 実開昭48−106995(JP,U)
【文献】 特開2005−027805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00− 1/44
A61J 1/00− 1/22
B65D 81/00−81/38
G01N 35/00−35/10
A61M 5/00− 5/52
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも十分に分離して物質を保管及び送出するためのシリンジ形状の容器であって、吐出開口部(22)、物質を保管するための保管チャンバー(12)、及び少なくとも1つのスライド可能なセパレータ要素(24、24‘、24‘‘)を備え、該セパレータ要素は前記保管チャンバー(12)を部分チャンバー(14、16、18、20)に分けており、及び少なくとも1つの成形されたオーバーフローチャンネル(26)を備え、該オーバーフローチャンネルは1つの部分チャンバー(14、16、18、20)から、前記吐出開口部(22)の方向を見て前側にある部分チャンバー(14、16、18)へ及び/又は前記吐出開口部(22)へ物質を給送するために備えられている容器において、
前記オーバーフローチャンネル(26)及び前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)が少なくとも実質的に連続的な物質の送出及び/又は保管された固形物質の液体による洗い流しのために形成され
前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)が複数の前記オーバーフローチャンネル(26)を有するとともに、複数の前記オーバーフローチャンネル(26)が前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)の外側に配置されており、
各前記オーバーフローチャンネル(26)内には、既定破断箇所を有する又は機械的な変形を企図する過圧要素(28)が少なくとも1つ配置されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
少なくとも1つの第二のオーバーフローチャンネル(26)が前記オーバーフローチャンネル(26)と互いに左右対称に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)が少なくとも1つのシール要素(30)を有し、該シール要素が部分チャンバー(14、16、18、20)のシーリングのために備えられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記保管チャンバー(12)の横方向に物質を分配するための少なくとも1つの横方向配分チャンネル(40)を備えていることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の容器。
【請求項5】
前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)が少なくとも1つの、穿刺膜として形成される弾性のある部分範囲(42)を有することを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の容器。
【請求項6】
前記保管チャンバー(12)の及び/又は前記セパレータ要素(24、24‘、24‘‘)の表面の少なくとも1つの範囲に配設された少なくとも1つの機能被膜層(46)を特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の容器。
【請求項7】
最後部の部分チャンバー(20)を閉鎖するために備えられた、少なくとも1つの終端セパレータ要素(25)を特徴とする、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の容器。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の容器(10)のセパレータ要素。
【請求項9】
請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の容器(10)から少なくとも実質的に連続的に物質を送出する方法。
【請求項10】
連続的な送出が重力が低下した状況下で行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
2つの手順工程(56、60)の間の少なくとも1つの手順工程(58)で物質ポーション(36、38)を送出するためにセパレータ要素(24、24‘、24‘‘)に力(70)の作用がないことを特徴とする、少なくとも請求項10に記載の方法。
【請求項12】
送出が外部の、制御可能な技術的送出装置(50)によって引き起こされることを特徴とする、少なくとも請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に従った容器に関する。
【背景技術】
【0002】
化学分析方法、特に例えばイムノアッセイのような生化学分析方法のためには、複数の異なった試薬及び補助物質が必要である。イムノアッセイを実施するためには、例えば試薬としていわゆる捕捉抗体(cAB)及び検出抗体(dAB)及び蛍光色素、発色化合物又は化学発光化合物のようなマーカー、酵素及び例えば洗浄溶液、添加物質及び補助物質のような補助剤、酸性溶液、アルカリ性溶液並びに場合によって乾燥状態で保管される物質の溶液の溶媒が必要である。これらの物質は、通常別々にして保管容器内に保管され、分析を実施するために正しい順番で及び決められた分量を添加しなければならない。個々の物質を個々の保管容器から別々に取り出すこと及び分析のための物質をそれぞれ別々に添加することが必要であることが原因で、例えば保管容器の取り違え、不正確な分量の物質の取出し及び付加又は例えば有毒物質、刺激性物質、細胞分裂抑制物質のような危険物質が保管容器から取り出す間に放出されることなどの様々なミスが発生する。
【0003】
必要な物質の添加の必要性に関して、正確に必要な量及び1回量の適切な保管という同じような課題が医療与薬にもある。
【0004】
このような誤りの原因を大幅に防止するために、及び考えられる危険物質の放出を大幅に低減するために、すでにいわゆるマルチコンパートメントシリンジが既知であり、このシリンジの中には必要なすべての医療与薬用物質が一緒に、及び正しい量で保管され、混ぜられ及び/又は注射され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少なくとも十分に分離して物質を保管するための、特に宇宙空間において保管及び送出するための、特にシリンジ形状の容器から出発しており、この容器は吐出開口部、物質を保管するための保管チャンバー、及び少なくとも1つのスライド可能なセパレータ要素を備え、このセパレータ要素は保管チャンバーを部分チャンバーに分けており、及び少なくとも1つの成形されたオーバーフローチャンネルを備え、このオーバーフローチャンネルは1つの部分チャンバーから、吐出開口部の方向を見て前側にある部分チャンバーへ及び/又は吐出開口部へ物質を給送するために備えられている。特にセパレータ要素は、容器の端部に、特別に成型された、最後の部分チャンバーの閉鎖要素としての終端セパレータ要素及び/又は最後のセパレータ要素に印加される圧力により、スライドされることが企図されている。しかし基本的にセパレータ要素は例えば組み込まれた磁石のような特別に備えられたスライド手段であってよく、外側の磁石を使用してセパレータ要素にスライド力を備え、又は特別に備えられた容器の溝内に伸び、セパレータ要素をスライドさせるために可動なスライドグリップを有している。「宇宙空間において保管及び送出する」とは特に、保管及び送出が地球外で、例えば宇宙探査機のような宇宙船内で、又は地球軌道内又はラグランジュ点で、宇宙飛行中に、又は別の惑星又は月の周りを公転している時又は人工衛星、月、小惑星の上、又は地球以外の惑星上で実施することであると理解されることとする。特に宇宙では、重力を低減した状態で保管及び送出を実施することができる。「重力を低減した状態」とは特に重力効果が最大0.9g、有利には最大1*10−3g、好ましくは最大1*10−6g及び特に好ましくは最大1*10−8gが有効である条件と理解されることとする。「g」は地球上の重力加速度の値で、9.81m/sである。「オーバーフローチャンネル」とは特に、くぼみ及び/又は導管が、吐出開口部の方向に向かって少なくとも既定の有効力を超過すると、くぼみ及び/又は導管を通って吐出開口部の方向に向かって物質給送を可能にするために備えられていると理解されることとする。特にオーバーフローチャンネル内には要素が配置されていてよく、この要素は吐出開口部の方向に向かって有効力が下回るとオーバーフローチャンネルを通る物質給送を阻止する。「有効力」とは特に、ある要素上に作用する、要素にかかる力の合計がもたらす方向に結果として生じる力であると理解されることとする。「成形されたオーバーフローチャンネル」とは特に、容器が充填される前にすでに及び送出プロセスが開始される前に容器に形成されてあるオーバーフローチャンネルと理解されることとする。特にオーバーフローチャンネルは容器本体の製造及び/又はセパレータ要素の製造時直ぐに形成される。さらに、特にメインチャンバー内に配置されているセパレータ要素の数はさまざまに変えてよい。容器は特に、例えばねじぶた、又は隔壁を備えた圧着ぶたのためのキャップの付いた管のような、シリンジとは異なる基本形状を有していてよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はオーバーフローチャンネル及びセパレータ要素が少なくとも実質的に連続的に物質を送出するため及び/又は保管されている固形物質を液体によって洗い流すために形成されていることを提示する。「少なくとも実質的に連続的に物質を送出する及び/又は保管されている固形物質を液体によって洗い流す」とは特に、物質の送出が異なった部分チャンバーから少なくとも実質的に混合されることなく行なわれ、及び物質が少なくとも実質的に別々に、部分チャンバー内での物質の配置の順序に従って、吐出開口部の方向から見て、吐出開口部とは反対向きの容器側へ向かう方向に送出され、その際保管された、通路の前の固形物質は、吐出開口部を通って、吐出開口部から見て後ろ側の部分チャンバーからの、固形物質の溶媒として適している液体により溶液にされると理解されることとする。「少なくとも実質的に混合されることなく」とは特に、送出及び/又は保管中に保管された固形物質の溶液は別として、溶媒によって、容器内に保管された物質と別の物質との混合が、別の物質の最大容積%が最大5容積%、有利には最大1容積%及び好ましくは最大0.5容積%で形成されると理解されることとする。特に、少なくとも実質的に混合されることのない物質の送出は、物質が異なった部分チャンバーから徐々に容器の最前方の範囲に入れられ、及びそこで混合され、混合された状態で容器から送出されるという送出とは異なる。好ましくはオーバーフローチャンネル及びセパレータ要素は、少なくとも実質的に連続的な物質の送出及び/又は保管された固形物質の液体による洗い流しのために、連続的な送出が重力が低下した状況下でも実施可能なように形成されている。特に物質の保管は、反応のために必要な容量と正しい順番で達成され、及び不適切な容量及び/又は誤った順番による誤った物質の送出が防止される。
【0007】
さらに本発明は、セパレータ要素がオーバーフローチャンネルを有していることを提示する。特に少なくとも実質的に任意の数及び大きさの部分チャンバーが対応する数のセパレータ要素の利用によって1つの容器内で達成され得、及びさらに特に容器の本体がメインチャンバーと共に標準型のシリンジボディとして仕上げられ得る。
【0008】
さらに本発明は、オーバーフローチャンネルがセパレータ要素の外側に配置されることを提示する。特にオーバーフローチャンネルが構造的に簡単に製造され得る。
【0009】
さらに本発明は、少なくとも1つの第二のオーバーフローチャンネルが備えられることを提示し、その際オーバーフローチャンネルは互いに左右対称に配置されている。特にオーバーフローチャンネルは互いに左右対称にセパレータ要素の外側に配置されている。好ましくはセパレータ要素はその外側に複数の、特に4つの、有利には6つの、及び好ましくは8つの互いに左右対称に配置されているオーバーフローチャンネルを有している。物質の特に有利な分配は、部分チャンバー及び/又は吐出開口部を通って物質給送によって、及び均一な物質送出によって達成され得る。
【0010】
さらに本発明は、セパレータ要素が、部分チャンバーのシーリングのために備えられた少なくとも1つのシール要素を有していることを提示する。特にシール要素はセパレータ要素の外側に配置されている。好ましくはシール要素は周りを巡るシール薄膜を形成している。特に混合されることのない保管の確率が高められ得、及びセパレータ要素のスライドに使用される力が低減され得る。
【0011】
さらに本発明は、オーバーフローチャンネル内に配置された少なくとも1つの過圧要素を提示する。「過圧要素」とは特に、要素上への既定の有効力、特に有効圧力に達するか又は超過した場合、物質給送がこの要素によって可能になり、及び既定の有効力を下回った場合には物質給送が阻止されるために備えられている要素であると理解されることとする。特に過圧要素は、圧力可動式の部分要素を有し、この部分要素は例えばめくれ運動及び/又はスライド運動のような運動によって、物質給送のための開口を行ない、及び/又は既定の有効力に達した場合に破損によって開口部が形成されるために過圧要素が備えられている。特に保管された物質の混合はオーバーフローチャンネルによって阻止され得る。
【0012】
さらに本発明は、過圧要素が既定破断箇所を有していることを提示する。「既定破断箇所」とは特に、既定の有効力に達すると過圧要素の破損によって開口部が形成されるために備えられている、過圧要素の範囲であると理解されることとする。特に構造的に簡単な過圧要素が実現し得る。
【0013】
さらに本発明は、機械的に変形する過圧要素が備えられていることを提示する。「機械的に変形する過圧要素が備えられている」とは特に、過圧要素が既定の有効力に達すると損傷のない変形、例えば弾性変形、めくれ又はめくり返しなどによってオーバーフローチャンネルの部分範囲が開放されるために特別に形成されていると理解されることとする。特に構造的に簡単な過圧要素が実現し得る。
【0014】
さらに本発明は、物質の分配を保管チャンバーの横方向に行なうための、少なくとも1つの横方向配分チャンネルが備えられることを提示する。好ましくは横方向配分チャンネルはセパレータ要素に配置されている。「横方向配分チャンネル」とは特に、成形された、少なくとも1つのオーバーフローチャンネルと流体工学的に接続されたチャンネルと理解され、少なくとも取り付けられた状態で、メインチャンバーの横方向に伸び、及びオーバーフローチャンネルを通って給送された物質を横方向に分配するために備えられている。好ましくはセパレータ要素は複数の一緒に伸びる横方向配分チャンネルを有し、これら横方向配分チャンネルはそれぞれ1つのオーバーフローチャンネルと接続されている。別法として、複数の横方向配分チャンネルは例えばそれぞれ1つの横方向配分チャンネルが2つのオーバーフローチャンネルと互いに接続され及びこれらに平行に伸びるように形成されていてよい。特に有利には、給送された物質の分配が全径を通って横方向に及び均一な体積流量で達成され得る。
【0015】
さらに本発明は、セパレータ要素が少なくとも1つの穿刺膜として形成された弾性の部分範囲を有していることを提示する。「穿刺膜」とは特に、無傷状態では不透過に形成され、及び物質を分離するために備えられており、及び中空針によって穿刺され及び中空針を戻し引いた後も引き続き不透過に形成されている、弾性の部分範囲と理解されることとする。特に簡単な部分チャンバーの充填手段が実現され得る。
【0016】
さらに本発明は、少なくとも1つの、保管チャンバー及び/又はセパレータ要素の表面の少なくとも1つの範囲に配設された機能被膜層を提示する。「機能被膜層」とは特に、表面に配設された層で厚さ最大1mm、有利には最大0.1mm及び好ましくは最大0.01mmと理解され、この層は加えて例えば非粘着機能、摩擦低減機能又は保管された物質の表面材料への非特異的結合を減らす機能などの、追加の機能を備える。特に機能被膜層は、ナノコーティングから形成されてよい。「ナノコーティング」とは特に、厚さがわずかな原子層の被膜層であると理解されることとする。好ましくはナノコーティングは単分子の層から形成される。機能被膜層は、例えばBSA(ウシ血清アルブミン)被膜層によってポリエチレングリコールとの、ポロクサマーとの、例えば商標名Pluronic(登録商標)で入手可能なポロクサマー又はポリソルベート、例えば商標名Tween(登録商標)で入手可能なポリソルベートとの非特異的結合が減らされ得、又はテフロン被膜層又はシリコン被膜層によって摩擦低減が達成され得る。別法として機能被膜層の代わりに、例えばコロナ処理又は低圧プラズマ処理のような表面処理によって特別な官能基、好ましくはOH基が表面に作り出され、表面の機能化が実現され得る。特に改善された保管機能が実現され得る。
【0017】
さらに本発明は、最後部の部分チャンバーを閉鎖するために備えられた、少なくとも1つの終端セパレータ要素を提示する。「終端セパレータ要素」とは特に、オーバーフローチャンネルとはつながっておらず、及び少なくとも1つの周りを巡る層シール要素を備えているセパレータ要素と理解されることとする。「周りを巡る層シール要素」とは特に、終端セパレータ要素が少なくとも1つの、周囲全体に伸びたシール要素及び/又は複数のシール要素を有し、これらシール要素は周囲全体に隙間なく隣接して伸びていると理解されることとする。好ましくは終端セパレータ要素は複数の周りを巡る層シール要素を、例えば3層シール要素を有している。特に終端セパレータ要素は、最後部の部分チャンバーの後方を閉鎖し、及び特に物質給送がこの部分チャンバーから吐出開口部の方向とは離れるように行なわれることを阻止するために備えられている。終端セパレータ要素は、特に容器の可動ピストンに内蔵され得る。好ましくは、終端セパレータ要素は、オーバーフローチャンネルがないことを除いては、セパレータ要素と同様に形成されている。「最後部の部分チャンバー」は、特に、吐出開口部の方向から見て、最後の部分チャンバーであると理解されることとする。特に最後部の部分チャンバーのより確実な閉塞が実現される。
【0018】
さらに本発明は、発明に従った容器からの、少なくとも実質的に連続的な物質の送出のための方法が提示され、この方法では連続的な送出が重力が低下した状況下で行なわれる。特に重力に起因する、保管された物質の沈殿のような障害条件が防止され得る。
【0019】
さらに本発明は、物質ポーションの送出のための2つの手順工程の間の少なくとも1つの別の手順工程で、セパレータ要素に力の作用がないことを提案する。特に別の物質が添加される前に、送出された物質の反応のための静止時間が実現される。
【0020】
さらに本発明は、外部の、制御可能な技術的送出装置によって送出が引き起こされることを提示する。「技術的送出装置」とは特に、制御命令を入力するための少なくとも1つの入力ユニット及び/又は保存された制御プログラムを実施するための、メモリーを備えた制御ユニット及び送出ユニットを有し、圧力過程又は吸引過程を使って物質ポーションの送出が容器から行なわれる、技術的装置であると理解されることとする。好ましくは外部の、制御可能な技術的送出装置が、自動化された、又は一部自動化された送出のために備えられている。基本的に送出は、外部の、制御可能な技術的送出装置の代わりに手動モードで、又は補助工具を使って、又は補助装置を使って引き起こされてよい。特に物質ポーションの精度の高い送出及び高いプロセス効率性が達成され得る。
【0021】
発明による容器は、この場合上述の適用及び実施形態に限定されるものではない。特に、発明による容器はこれに関して記述されている機能性を実現するために、これに関して個々の要素、構成部品及びユニットの挙げられた数とは異なる数を備えていてよい。
【0022】
その他の利点は、以下の図面の説明によって開示される。図面では、本発明の実施例が示される。図面、説明、請求項中には、多数の特徴が組み合わされて含まれている。当業者はこれらの特徴を目的に合わせて個別としても見なし、有意義な別の組み合わせにまとめる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】4つのセパレータ要素を備えた発明による保管容器の図である。
図2】本発明によるセパレータ要素の詳細図である。
図3】発明による容器から連続的に物質を送出している図である。
図4】発明による閉じた容器及び容器との接続部を備えたプロセス容器の図である。
図5】発明による容器と、スリット隔壁を有するプロセス容器との接続過程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、少なくとも十分に分離して物質を保管するためのシリンジ形状の発明による容器10を示しており、この容器は吐出開口部22、物質を保管するための保管チャンバー12及び保管チャンバー12を部分チャンバー14,16,18,20に分ける3つのスライド可能なセパレータ要素24、24‘、24‘‘、並びに最後部の部分チャンバーを閉じるための終端セパレータ要素25を備えている。容器10は、特にシリンジとは異なる基本形状、例えばねじぶた又は圧着ぶたのためのキャップを備えた管としての形状を有してよく、両方ともに隔壁がはめ込まれている。セパレータ要素24、24‘、24‘‘は、外側に配置された、成形されたオーバーフローチャンネル26を有しており、このオーバーフローチャンネルは部分チャンバー14、16、18、20の1つから、吐出開口部22の方向に見て前側にある部分チャンバー14、16、18及び/又は吐出開口部22内に物質を給送することが企図されている。吐出開口部22は容器10の本体の先に行くほど細くなる端部にある円錐形のノズルから形成されている。別法の一実施形態では、吐出開口部22は例えば円筒形状に形成されていてもよい。終端セパレータ要素25は、セパレータ要素24、24‘、24‘‘と同じ直径であるが、主にオーバーフローチャンネル26がないこと、及び周りを巡る3つの層シール要素を備えていることによってそれらとは異なっている。終端セパレータ要素25は、最後部の部分チャンバー20をより確実に閉鎖するために備えられている。別法の実施形態では、終端セパレータ要素25は容器10の可動ピストンに内蔵され得る。以下では、方向指示「前」は吐出開口部22に給送する方向であり、方向指示「後ろ」は吐出開口部22から離れ去る方向である。オーバーフローチャンネル26及びセパレータ要素24、24‘、24‘‘は、少なくとも実質的に連続的な物質の送出のために及び/又は保管された固形物質を液体によって洗い流すために形成されている。部分チャンバー14、16、18、20内にはそれぞれ1つの物質ポーション32、34、36、38が保管されている。物質ポーション32、34、36、38は、それぞれ異なった液状の物質から形成されているが、基本的に物質ポーション32、34、36、38の複数が同じ物質から形成され得、及び/又は物質ポーション32、34、36の少なくとも1つが溶解可能な固形物質から形成され得る。この固形物質は、好ましくは乾燥されて存在する抗体、発色色素又は発蛍光色素又は酵素から形成されている。部分チャンバー14、16、18、20の大きさは、セパレータ要素24、24‘、24‘‘の互いの間隔若しくは最前部のセパレータ要素24の吐出開口部22に対する間隔、及び最後部のセパレータ要素24‘‘の終端セパレータ要素25に対する間隔によって与えられる。別法の一実施形態では、終端セパレータ要素25の代わりセパレータ要素24、24‘、24‘‘と同様に仕上げられた要素が使用され、この要素は同様にオーバーフローチャンネル26を有している。終端セパレータ要素25は、ピストンの構成部品として仕上げられてよく、このピストンを使用して、最後部の物質ポーション38及びその前にあるセパレータ要素24、24‘、24‘‘及び物質ポーション32、34、36に圧力がかけられ、及び物質ポーション32、34、36、38の連続的な送出過程が引き起こされる。
【0025】
保管チャンバー12及び吐出開口部22を形成している本体は追加の被覆層48によって取り巻かれ、この被覆層はテフロン熱収縮チューブから形成されている。追加の被覆層48は、容器10内に保管されている危険物質、例えば毒性物質又は発癌性物質を取り扱う際に、容器10の使用者を保護するために備えられている。追加の被覆層48はそのために玉ネギの皮のような方法で本体の周りを囲んでいる。テフロン熱収縮チューブの代わりに、接着テープ及び/又は接着ラベル又は弾性材料を持つコーティングが使用され得る。個々の追加の被覆層48の代わりに、複数の、例えば3つの追加の被覆層48が容器10を包んでいてよい。本体は好ましくは、例えばCOC(環状オレフィンコポリマー)又はPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)のような、非特異的結合能力が小さい生体適合性プラスチックから作られている。しかし基本的に本体は他のプラスチック、例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート又はポリプロピレン、又は他の材料、例えば金属又はガラスから形成されてもよい。好ましくは本体は透明に仕上げられる。
【0026】
セパレータ要素24(図2)は、中央上部範囲に備えられたそれぞれ1つのハードコア44を有し、この中央範囲はセパレータ要素24が取り付けられた状態で吐出開口部22の方を向いており、及びセパレータ要素24の縦方向の拡張の半分にわたって広がっている。セパレータ要素24‘及び24‘‘は、これについては同一仕様に仕上げられている。さらにセパレータ要素24は穿刺膜として形成された弾性のある部分範囲42を有し、この部分範囲はハードコア44を取り囲んでいる。弾性がある部分範囲42は、無傷の状態で不透過に形成され、及び物質を分離するために備えられている。弾性のある部分範囲42は、その後ろにある部分チャンバー16、18、20に物質ポーション32、34、36を充填するために中空針を刺し通されることが可能であり、中空針を引き戻すと引き続き不透過であるよう形成されている。ハードコア44は、弾性のある部分範囲42よりも剛性の高い材料から作られている。特にハードコア44はポリプロピレン又はポリエチレンのような硬いプラスチックから作られている。基本的にハードコアの製造は他の弾性のある材料、COP又はPEEKなどの生体適合性プラスチック、又は金属などの他の材料が使用され得る。基本的にハードコア44は省略可能であり、及びセパレータ要素24は弾性のある部分範囲42だけから構成されていてよい。セパレータ要素24の弾性のある部分範囲42は、好ましくはハードコア44のプラスチック材料よりも柔らかい、弾性のある材料から成り、別の選択肢としてシリコン又はゴムから作られている。セパレータ要素24の表面全体に、保管された物質がセパレータ要素24に非特異的結合することを低減するために、BSA(ウシ血清アルブミン)から成る透明な機能被膜層46が備えられている。別法として、例えばセパレータ要素24の上側及び下側のようなセパレータ要素24の表面のある範囲にだけ機能被膜層46が備えられていてもよい。選択肢として又は追加的に保管チャンバー12を構成している容器10の本体の表面が機能被膜層46を有していてもよい。機能被膜層46に例えばPluronic(登録商標)のようなポロクサマー又はTween(登録商標)のようなポリソルベートといった他の物質が使用されてもよい。
【0027】
このセパレータ要素24は、6つのオーバーフローチャンネル26を備えている。オーバーフローチャンネル26は互いに左右対称にセパレータ要素24の外側に配置されている。基本的にセパレータ要素24は違う数のオーバーフローチャンネル26を有してもよく、その際セパレータ要素24は好ましくは1つのオーバーフローチャンネル26及び少なくとも1つの第二のオーバーフローチャンネル26を備えており、及びその際オーバーフローチャンネル26は互いに左右対称に配置されている。オーバーフローチャンネル26内には、それぞれ3つの過圧要素28が配置されており、それらのうちそれぞれ1つの過圧要素28がオーバーフローチャンネル26の終端に、及びそれぞれ1つがオーバーフローチャンネル26の中央に配置されている。過圧要素28はシール薄膜として仕上げられており、及びそれぞれ1つの既定破断箇所を有し、この既定破断箇所は、取り付けられた状態で吐出開口部22に向いている、セパレータ要素24の上側の方向へ既定の有効圧力を超過すると、破断するように備えられている。別法の一実施形態では、過圧要素は機械的な変形を企図されてよく、及び既定の有効圧力を超過すると、例えば弾性変形するか又はめくれる。過圧要素28は、前側の部分チャンバー14、16、18内で、各セパレータ要素24の前に保管された物質ポーション32、34、36の保管及び送出中に、後ろの部分チャンバー16、18、20に保管された物質が前の部分チャンバー14、16、18に保管された物質と混合することを阻止し、及び後ろの部分チャンバー16、18、20内に保管された物質が前の部分チャンバー14、16、18内に送出されることを、前の部分チャンバー14、16、18が空になった後で可能にするために備えられている。
【0028】
セパレータ要素24は、さらにオーバーフローチャンネル26の間にある範囲で重なり合って配置されているシール要素30を有し、このシール要素は部分チャンバー14、16、18、20のシーリングを企図している。基本的に別法の実施形態では、セパレータ要素24がオーバーフローチャンネル26の間の範囲で重なり合って配置されているシール要素30が、異なった個数配置されていてよい。シール要素30は、シール薄膜として仕上げられている。シール要素30はさらにわずかな力でセパレータ要素24を動かす。なぜならスライド時には、セパレータ要素24の外側全体と本体の材料との摩擦抵抗ではなく、シール要素30の本体の材料との摩擦抵抗だけを克服すればよいだけだからである。
【0029】
保管チャンバー12の横方向に沿った物質の分配を企図している横方向配分チャンネル40は、セパレータ要素24の上側に配置されている。横方向配分チャンネル40は、オーバーフローチャンネル26の終端を星形に互いに接続し、給送される物質の均一な分配を、保管チャンバー12の横方向の拡張全体にわたって引き起こす。
【0030】
図3は例として、容器10から少なくとも実質的に連続的に物質を送出するための方法の進行を示している。容器10は、基本的に1つ又は複数の追加の被覆層48を有している。図示された方法では、連続的な送出は、例えば宇宙空間又は低い地球軌道にある宇宙船の船内のような、重力を低減した条件下で行なわれる。送出は外部の、制御可能な技術的送出装置50によって引き起こされる。外部の、制御可能な技術的送出装置50は模式的に示されているだけであり、例えばコンピューターに制御される電気機械式のピストン装置として形成され得る。別法として外部の、制御可能な技術的送出装置50は手動で制御されても又は送出が使用者の手作業で手動モードで又は補助工具又は補助装置を使用して行なわれてもよい。好ましくは、送出は外部の、制御可能な技術的送出装置50によって自動化されるか又は一部自動化されて形成される。外部の、制御可能な技術的送出装置50は物質ポーション32、34、36、38の給送時及び/又は送出中に容器10を動かすためにロボットアームを含んでいてよい。第一の手順工程52では、外部の、制御可能な技術的送出装置50は力70を終端セパレータ要素25上に加え、この力は圧力としてその前にある部分チャンバー20内の物質ポーション38上に及びセパレータ要素24、24‘、24‘‘に及び物質ポーション32、34、36に伝達される。最前部にある物質ポーション32は、圧力により吐出開口部22を通って送出され、及び最前部にある部分チャンバー14は空になる。最前部にある部分チャンバー14を空にすることにより、セパレータ要素24、24‘、24‘‘、終端セパレータ要素25、さらなる物質ポーション34、36、38及び部分チャンバー16、18、20は、吐出開口部22の方向に対応してスライドされる。セパレータ要素24、24‘、24‘‘及び終端セパレータ要素25がスライドされると、同時に最前部にある部分チャンバー14が空になる。過圧要素28の既定破断箇所は、破断箇所に作用する圧力に合わせて設計されており、過圧要素28がスライド過程において無傷のままであり及びそれによって後ろにある部分チャンバー16、18、20の1つから部分チャンバー14、16、18への材料伝達は起こらないように形成されている。
【0031】
以下の手順工程54では、最前部の物質ポーション32は完全に送出され、及び最前部のセパレータ要素24を通って、吐出開口部22に向けて細くなっている、容器10の本体の範囲にスライドされ、この範囲はブロッキング要素としてセパレータ要素24のさらなるスライドを阻止する。外部の、制御可能な技術的送出装置50は、さらに力70を出し、この力は圧力として最前部のセパレータ要素24に作用し、及び最前部にある物質ポーション32の静水力学的圧力による部分的補償がなくなり、その結果セパレータ要素24の過圧要素28の既定破断箇所が破断し、セパレータ要素24のオーバーフローチャンネル26を通って物質給送が可能になる。その後ろにある部分チャンバー16に保管されている物質ポーション34は、それによりオーバーフローチャンネル26を通って吐出開口部22に流れ、送出され得る。部分チャンバー16はそれによって空になり、その後ろにあるセパレータ要素24‘、24‘‘、終端セパレータ要素25及び部分チャンバー18、20は保管された物質ポーション36、38と共に前方へ、吐出開口部22の方向へスライドされる。
【0032】
別の一手順工程56では、部分チャンバー16は完全に空にされ、及び部分チャンバー16を後方へ区切っているセパレータ要素24‘が最前部のセパレータ要素24までスライドされ、この最前部のセパレータ要素はブロッキング要素としてセパレータ要素24‘がさらにスライドすることを阻止している。引き続き力70によって加えられる圧力によりセパレータ要素24‘内の過圧要素28の既定破断箇所が破断し、及び部分チャンバー18内の物質ポーション36がオーバーフローチャンネル26を通って前側のセパレータ要素24に送出される。後ろ側のセパレータ要素24‘‘及び終端セパレータ要素25のスライドは、前の手順工程52、54と同様に行なわれる。
【0033】
別の一手順工程58では、2つの手順工程56、60の間で物質ポーション32、34、36、38の送出のために終端セパレータ要素25に力70の作用はない。外部の、制御可能な技術的送出装置50の制御によって力がかからないことが実現される。さらなる手順工程58により、送出に休止が入れられ、この休止は物質ポーション32、34、36の完全な反応のために、物質ポーション38の添加の前に必要である。
【0034】
別の手順工程60では、前の手順工程52、54、56と同様に部分チャンバー20が空にされ、及び物質ポーション38が送出される。
【0035】
最後の手順工程62では、物質ポーション38は完全に送出され、及び外部の制御可能な送出装置50が力70を加えるために調整される。
【0036】
圧力を使った物質ポーション32、34、36、38の送出の別法として、連続的な送出は吸引プロセスによっても達成でき、このプロセスによって最前部の部分チャンバー14が空にされ、及びセパレータ要素24、24‘、24‘‘及び終端セパレータ要素25が発生した負圧によって、最前部にある部分チャンバー14内に、手順工程52、54、56、58、60、62と同様にスライドされる。
【0037】
保管のために、容器10の吐出開口部22には閉キャップ64が備えられ、この閉キャップに密着して吐出開口部22内に隔壁インサートが配置されてよく、又は代替として弾性のあるシールインサートで閉じられていてよい(図4)。送出プロセスを開始するために、容器10の開口過程のために、閉キャップ64は取り外されるか又はプロセス容器68の注射針66を使って刺し通され得る。別法として、閉キャップ64を取り外した後に隔壁インサートが注射針66によって刺し通されるか又は弾性のあるシールインサートが刺し通される。別法としてさらに、容器10及びプロセス容器68がルアーロックとして互いに接続され得、及び送出プロセスの開始前には容器10の閉キャップ64を取り外すだけでよいことが考えられる。別法の一実施形態では、容器10‘は円錐形の代わりに円筒形状の吐出開口部22‘を備え、及び閉キャップ64‘を備え、配置されている隔壁によって閉じられる。
【0038】
その他の別法の実施形態では(図5)、プロセス容器68はスリット隔壁72を使用して閉じられ得る。スリット隔壁72は、あらかじめ形成されたスリットに沿って分割可能である。送出プロセスのために、容器10の閉キャップ64が取り外され、及び容器10が吐出開口部のところでスリット隔壁72内に挿入される。容器10は、その際スリット隔壁72をスリットに沿って分割し、及び吐出開口部22の側方がスリット隔壁72によって取り囲まれる。スリット隔壁72及び容器10はその際形状接合によるルアーロック結合を形成する。スリット隔壁72によってルアーロック接続は無菌状態でカバーされる。
【符号の説明】
【0039】
10 容器
10‘ 容器
12 保管チャンバー
14 部分チャンバー
16 部分チャンバー
18 部分チャンバー
20 部分チャンバー
22 吐出開口部
22‘ 吐出開口部
24 セパレータ要素
24‘ セパレータ要素
24‘‘ セパレータ要素
25 終端セパレータ要素
26 オーバーフローチャンネル
28 過圧要素
30 シール要素
32 物質ポーション
34 物質ポーション
36 物質ポーション
38 物質ポーション
40 横方向配分チャンネル
42 弾性のある部分範囲
44 ハードコア
46 機能被膜層
48 追加の被覆層
50 送出装置
52 手順工程
54 手順工程
56 手順工程
58 手順工程
60 手順工程
62 手順工程
64 閉キャップ
64‘ 閉キャップ
66 注射針
66‘ 注射針
68 プロセス容器
68‘ プロセス容器
70 力
72 スリット隔壁
図1
図2
図3
図4
図5