(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択回路は、第1ダイオードと第2ダイオードのカソード共通接続からなるダイオードOR回路から構成され、前記第1ダイオードのアノードが前記整流回路の直流出力に接続され、前記1ダイオードのカソードが前記制御電源回路の入力に接続され、前記第2ダイオードのアノードが前記出力平滑コンデンサに接続され、前記第2ダイオードのカソードが前記制御電源回路の入力に接続される請求項1に記載の点灯装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を適用可能な点灯装置の一例.
図1は、本発明を適用可能な点灯装置の一例である点灯装置100の回路構成図である。点灯装置100は、交流電源1から電力の供給を受けて光源を点灯させる。点灯装置100は、整流回路2、コンバータ部3、制御回路4を有する。整流回路2は交流電源1から入力した交流電圧を全波整流して直流電圧に変換する。この直流電圧は、コンバータ部3動作中は平滑されず、交流電源1の2倍の周波数を含むリプル電圧となる。
【0014】
光源には、一例として
図1に示すLED(Light Emitting Diode)5を用いるものとする。
【0015】
コンバータ部3は、フィルタコンデンサC1、第1インダクタL1、スイッチング素子SW1(例えばMOSFET)、カップリングコンデンサC2、第2インダクタL2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3を備えている。コンバータ部3は、これらの回路素子によって構成されたSEPIC(すなわち、Single Ended Primary Inductance Converter)回路を備えている。コンバータ部3の出力には、光源であるLED5が接続される。
【0016】
具体的には、第1インダクタL1は、1次巻き線L1aと、この1次巻き線L1aに磁気的に結合した2次巻き線L1bとを備えている。第1インダクタL1の1次巻き線L1aの一端は、フィルタコンデンサC1の一端に接続されている。フィルタコンデンサC1の他端は基準電位GNDに接続されている。
【0017】
スイッチング素子SW1は、ドレイン端子、ソース端子、およびこれらの端子間をスイッチングするゲート端子を備えている。スイッチング素子SW1は、ドレイン端子が第1インダクタL1の1次巻き線L1aの他端に接続し、第1インダクタL1を介してフィルタコンデンサC1と並列接続している。
【0018】
カップリングコンデンサC2の一端は、スイッチング素子SW1のドレイン端子に接続されている。第2インダクタL2の一端は、カップリングコンデンサC2の他端に接続されている。第2インダクタL2の他端は基準電位GNDに接続されている。第2インダクタL2は、カップリングコンデンサC2を介してスイッチング素子SW1と並列接続されている。なお、第1インダクタL1と第2インダクタL2はそれぞれ個別のコア(磁心)に巻き線を巻きつけても良いし、一つのコアに第1インダクタL1と第2インダクタL2の両方を巻きつけて、コアを共有化しても良い。
【0019】
ダイオードD1のアノードが、第2インダクタL2の一端とカップリングコンデンサC2の他端の間に接続している。出力平滑コンデンサC3の一端は、ダイオードD1のカソードに接続している。出力平滑コンデンサC3の他端は出力電流検出抵抗R3の一端に接続されている。出力電流検出抵抗R3の他端は基準電位GNDに接続されている。出力平滑コンデンサC3には並列にLED5が接続される。
【0020】
コンバータ部3は、制御回路4の制御を受けて動作する。コンバータ部3は、整流回路2が全波整流した直流電圧をLED5の点灯に適した電流および電圧に変換する。コンバータ部3は、制御回路4の制御により入力電流波形を正弦波状で且つ交流入力電圧と同位相となるように動作し、力率改善を行う。
【0021】
制御回路4は、オペアンプ6、コンデンサ7、抵抗8からなる誤差増幅器9、第1比較器10、フリップフロップ回路11、信号発生器12、第2比較器13、駆動回路14を備えている。制御回路4は、LED5に流れる電流が所定の電流値になるようにしつつ点灯装置100の交流入力電流波形が交流入力電圧とほぼ同位相で且つ正弦波となるように、スイッチング素子SW1を駆動する。
【0022】
出力電流検出抵抗R3は、LED5に流れる電流を検出するためのものであるが、LED5の電流を直接検出する位置には接続されず、出力平滑コンデンサC3への充電電流を検出可能な位置に接続されている。LED5に流れる電流すなわち出力平滑コンデンサC3の放電電流平均値と、出力平滑コンデンサC3への充電電流平均値は等しくなるため、出力平滑コンデンサC3の放電電流がわかれば、LEDに流れる電流を求めることができる。
【0023】
誤差増幅器9は、出力電流検出抵抗R3に発生する電圧信号をコンデンサ7及び抵抗8で平均化しつつ、第1基準電圧E1と比較し、両者の差に応じた信号を出力する。出力電流検出抵抗R3に発生する電圧が第1基準電圧E1より高ければ、誤差増幅器9の出力電圧は低下していき、出力電流検出抵抗R3に発生する電圧が第1基準電圧E1より低ければ、誤差増幅器9の出力電圧は上昇していく。また、コンデンサ7及び抵抗8はフィードバック制御の応答時間を決定する位相補償回路を構成している。コンデンサ7の容量が大きく、抵抗8の抵抗値が大きいほどフィードバック制御の応答時間が長くなり、コンデンサ7の容量が小さく、抵抗8の抵抗値が小さいほどフィードバック制御の応答時間が短くなる。
【0024】
第1比較器10の入力には第2基準電圧E2が入力され、他方の入力には、2次巻き線L1bが接続される。2次巻き線L1bは、1次巻き線L1aと磁気的に結合している。第2基準電圧E2の電圧よりも2次巻き線L1bに発生する電圧の方が高い場合には、第1比較器10はハイ信号(例えば5V)を出力する。また、第2基準電圧E2の電圧よりも2次巻き線L1bに発生する電圧の方が低い場合には、第1比較器10はロー信号(例えば0V)を出力する。
【0025】
フリップフロップ回路11は、リセット入力端子R、セット入力端子S、および出力端子Qを備える。信号発生器12は鋸歯状の三角波を出力する端子と、第1比較器の出力端子の信号に応じてフリップフロップ回路11のセット入力端子Sにセット信号を出力する端子を備える。
【0026】
第2比較器13は信号発生器12から出力される三角波と誤差増幅器9から出力される信号を比較し、比較結果に応じてフリップフロップ回路のリセット入力端子にリセット信号を出力する。駆動回路14は、フリップフロップ回路11の出力端子Qの信号に基づいて、スイッチング素子SW1の駆動に適した信号に変換、出力し、スイッチング素子SW1を駆動する。
【0027】
制御回路4の構成は一例であり、本構成に限定されるものではない。本構成のようにデジタル回路とアナログ回路の組み合わせでも良いし、あるいはA/Dコンバータとマイクロコンピュータ等を組み合わせてソフトウェア制御しても良い。また、制御回路4を駆動するための制御電源回路が必要であるが、ここでは図示しない。制御電源回路は、例えば第1インダクタL1または第2インダクタL2に制御電源供給用の補助巻き線を設ければ、そこから制御電源を得ることができる。又は別途スイッチング電源を設けそこから供給しても良い。
【0028】
次に、点灯装置100の動作を説明する。
【0029】
点灯装置100に交流電源1が印加されると、整流回路2は交流電圧を全波整流し、直流電圧を生成する。フィルタコンデンサC1は、スイッチングリプルを除去する目的で設けられたものであり、ここでは全波整流波形の電源周波数成分を平滑するためのものではない。したがってコンバータ部3動作中は、電源周波数の2倍周波数で正弦波状に脈動する全波整流波形がコンバータ部3に印加される。
【0030】
定常状態におけるコンバータ部3の動作を説明する。スイッチング素子SW1がオンすると交流電源1は第1インダクタL1を介して短絡されるので、第1インダクタL1、スイッチング素子SW1の順で電流が電源入力側より供給され、第1インダクタL1にエネルギが蓄えられる。このとき、第1インダクタL1の電流は増加していく。
【0031】
また、同時にカップリングコンデンサC2に蓄えられた電圧が第2インダクタL2に印加される。このため、カップリングコンデンサC2、スイッチング素子SW1、第2インダクタL2の順に電流が流れ、カップリングコンデンサC2のエネルギが第2インダクタL2に蓄えられる。このとき、第2インダクタL2の電流は増加していく。
【0032】
次にスイッチング素子SW1をオフすると、第1インダクタL1に蓄えられたエネルギが放出され、第1インダクタL1、カップリングコンデンサC2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3の順に電流が流れる。これにより、カップリングコンデンサC2と出力平滑コンデンサC3を充電することができる。
【0033】
また、同時に第2インダクタL2に蓄えられたエネルギが放出され、第2インダクタL2、ダイオードD1、出力平滑コンデンサC3の順に電流が流れる。これにより、出力平滑コンデンサC3を充電することができる。このように負荷側にエネルギを伝達して、最終的に出力平滑コンデンサC3からLED5に平滑された直流電流が供給され、LED5が発光する。
【0034】
SEPIC回路は入力電圧すなわち、ここでは整流回路2の直流側電圧よりも高い電圧を出力する昇圧動作と、入力電圧よりも低い電圧を出力する降圧動作の何れの動作も可能であるが、これらのうち片方の動作のみが可能である変換回路を点灯装置100に搭載しても良い。
【0035】
次に、
図2の波形図を用いて、制御回路4の動作を説明する。
図2は、点灯装置100の動作を示す波形図である。
【0036】
(期間t0〜t1)
ここでは、コンバータ部3の動作が定常状態で、制御回路4によりスイッチング素子SW1がオンした状態から説明する。スイッチング素子SW1がオンしたとき、スイッチング素子SW1には第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流と第2インダクタL2に流れる電流の合計電流が流れる。
【0037】
第1インダクタL1に流れる電流と第2インダクタL2に流れる電流はともに増加していくため、スイッチング素子SW1に流れる電流も増加していく。このとき、第1インダクタL1の1次巻き線L1aには
図1の矢印の方向に電圧VL1aが印加され、第1インダクタL1の2次巻き線には矢印の方向に電圧VL1bが発生し、第1比較器10の入力側は負電圧となる。したがって、第1比較器10の第2基準電圧E2よりも電圧が低くなるため、第1比較器10の出力はロー信号が出力される状態となる。
【0038】
第2比較器13は信号発生器12から出力される三角波と誤差増幅器9の出力信号と比較する。ここでは信号発生器12(三角波)より誤差増幅器9の出力電圧の方が高い電圧となっており、第2比較器13の出力からはロー信号が出力される。
【0039】
(時刻t1)
信号発生器12の三角波の電圧が上昇し、誤差増幅器9の出力電圧よりも高くなると、第2比較器13はハイ信号を出力する。したがってフリップフロップ回路11のリセット入力端子Rにハイ信号が入力される。するとフリップフロップ回路11はこれを受けて出力(Q)にロー信号を出力する。これによりスイッチング素子SW1のゲートにOFF信号が入力され、スイッチング素子はオフ状態となり、スイッチング素子SW1の電流が遮断される。
【0040】
(期間t1〜t2)
スイッチング素子SW1がオフすると、第1インダクタL1に蓄えられたエネルギは、カップリングコンデンサC2及びダイオードD1を介して、出力平滑コンデンサC3に放出される。同時に、第2インダクタL2に蓄えられたエネルギも、ダイオードD1を介して出力平滑コンデンサC3に放出される。
【0041】
このとき、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに発生する電圧は、スイッチング素子オン時とは逆向きの電圧となる。すなわち
図1中の矢印とは、逆方向の電圧である。これにより第1インダクタL1の2次巻き線に発生する電圧も、
図1中の矢印とは逆方向の電圧となる。
【0042】
すなわち第1比較器10の非反転入力端子には正電圧が入力される。このとき、第1比較器10の第2基準電圧E2よりも第1インダクタL1の2次巻き線L1bの発生電圧の方が高くなるので、第1比較器10の出力からはハイ信号が出力され、信号発生器12に入力される。
【0043】
(期間t2〜t3)
第1インダクタL1及び第2インダクタL2がエネルギを放出するため、ダイオードD1を介して負荷側に流れる電流は減少していき、ダイオードD1の電流がゼロになる。すると第1インダクタL1の2次巻き線L1bの電圧VL1bは急速に低下する。
【0044】
(時刻t3)
第1比較器10に接続された第2基準電圧E2よりも第1インダクタL1の2次巻き線L1bの発生電圧VL1bの方が低くなると、第1比較器10は信号発生器12にロー信号を出力する。信号発生器12はこれを受けて、フリップフロップ回路11のセット入力端子Sにハイ信号を出力する。これによりフリップフロップ回路11の出力端子Qからハイ信号を出力する。駆動回路14はこれを受けてスイッチング素子SW1のゲートにオン信号を入力し、スイッチング素子SW1を導通状態とする。そして、次のスイッチングサイクルに移る。
【0045】
ここで、力率改善動作及び定電流制御について説明する。
図3は、点灯装置100の力率改善動作を示す波形図である。
【0046】
スイッチング素子SW1をオンすると、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流はほぼ直線的に上昇していく。また、その電流値ILは
IL=Et/L1a
で表される。ここでEは全波整流電圧の瞬時値、L1aは第1インダクタL1の1次巻き線L1aのインダクタンス、tはスイッチング素子SW1がオンしてからの経過時間を表す。これより第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流は全波整流電圧に比例、インダクタンスL1に反比例することがわかる。
【0047】
ここで、仮にスイッチング素子のオン時間t(ON)を固定として、全波整流波形なので交流電源半周期分動作させると、インダクタンスL1aは固定であるため、
図3に示すように第1インダクタL1の電流ピーク値は電源電圧に比例した波形となる。第1インダクタL1に流れる電流からフィルタコンデンサC1によりスイッチングリプルを取り除き、平均化することで、交流電源1から流れ込む入力電流を正弦波状に近づけるとともに交流電源電圧とほぼ同位相にすることができ、力率改善及び高調波低減することができる。なお、
図1では示していないが、必要に応じて整流回路2の交流入力側にフィルタ回路をさらに追加してもよい。
【0048】
このように、スイッチング素子SW1のオン時間t(ON)を電源半周期間、固定すれば力率改善及び高調波低減することができる。一方で必要な明るさを得るためにはLED5に供給する電流を常に監視し、目標電流値が流れるようにスイッチング素子SW1のオン時間を調整する、定電流フィードバック制御が必要である。すなわち目標電流値に対して実際にLED5に流れている電流値が小さければ、スイッチング素子SW1のオン時間を長くしてLED電流を増加させる。また、目標電流値に対して実際にLED5に流れている電流値が大きければ、スイッチング素子SW1のオン時間を短くしてLED電流を減少させる。LED5の順方向電圧は一般的に定電圧に近い特性を示すので、LED5を所定の明るさで安定的に点灯させるためにはこのように出力電流が所望の電流値となるように定電流フィードバック制御にてスイッチング素子SW1を制御する必要がある。
【0049】
しかしながら上述の通り、交流電源半周期内にスイッチング素子SW1のオン時間が定電流フィードバック制御のため大きく変動してしまうと、第1インダクタL1の1次巻き線L1aに流れる電流のピーク値が正弦波状にならず、力率が低下し、入力電流の高調波電流が増加する恐れがある。
【0050】
そこで、定電流フィードバック制御の応答時間については、フィードバック制御のループゲインを交流電源1の1周期の1/2周期以上で1倍(0dB)以下となるように設定する。言い換えると、交流電源1の周波数の2倍以下の周波数で1倍(0dB)以下となるように設定する。例えば電源周波数が50Hzの場合、その半周期(半波)にあたる100Hz以下、すなわち周期10ms以上で定電流フィードバック制御のループゲインを1倍(0dB)以下とすることにより定電流フィードバック制御を電源周期の1/2より短い周期で応答しないように設定する。これにより電源周期の1/2周期以内においては、スイッチング素子のオン時間の変動が抑制され、第1インダクタL1の1次巻き線L1aの電流ピーク値は電源電圧に比例した波形となる。ループゲインはコンデンサ7、抵抗8で構成される位相補償回路の定数で設定することができる。なお、位相補償回路は本構成に限定されるものではなく、例えば
図4に示すようにコンデンサ7と並列に抵抗16およびコンデンサ15を追加したものであっても良い。
図4に示す変形例では、コンデンサ15および抵抗16の直列回路の一端がコンデンサ7の一端とオペアンプ6の出力端子の接続点に接続し、この直列回路の他端がコンデンサ7の他端と抵抗8の接続点に接続している。
【0051】
次に定電流フィードバック制御の動作について説明する。誤差増幅器9は、第1基準電圧E1よりも出力電流検出抵抗R3で発生する電圧の方が高ければオペアンプ6の出力は時間経過とともに減少し、第1基準電圧E1よりも出力電流検出抵抗R3で発生する電圧の方が低ければオペアンプ6の出力電圧は時間経過とともに増加するように動作し、積分回路の働きをする。
【0052】
そしてオペアンプ6の出力電圧が減少するとスイッチング素子SW1のオン時間は減少し、LED電流が減少する方向の制御となり、オペアンプ6の出力電圧が増加するとスイッチング素子SW1のオン時間は増加し、LED電流が増加する方向の制御となる。
【0053】
例えば、出力電流検出抵抗R3で検出した信号が、誤差増幅器9の第1基準電圧E1の電圧よりも小さいと仮定する。このとき、積分回路を構成する誤差増幅器9の出力信号の電圧は時間経過と共に上昇していく。よって第2比較器13の反転入力端子に入力される電圧が上昇していく。第2比較器13の非反転入力端子には信号発生器12より出力される三角波の信号が入力され、三角波の信号レベルが反転入力端子の信号レベルすなわち誤差増幅器の出力信号レベルを超えると第2比較器13よりハイ信号が出力され、フリップフロップ回路のリセット入力端子Rに入力される。リセット入力端子Rにハイ信号が入力されるとフリップフロップ回路11の出力端子Qはロー信号となり、スイッチング素子はオフする。
【0054】
ところで、点灯装置100では、LEDに流れる電流を検出する出力電流検出抵抗R3は、LED5とは直列接続されず、出力平滑コンデンサC3への充電電流を検出する位置に接続されている。
【0055】
さらに、力率改善、電源高調波電流削減のため、定電流フィードバック制御のループゲインを例えば電源周波数(50Hz)の2倍にあたる100Hz以下で利得を持たせるようにしている。一般的なスイッチング電源では数kHz〜数十kHzまでループゲインを確保するため、それと比較して非常に制御の応答が遅いといえる。
【0056】
図5は、点灯装置100に対する比較例にかかる点灯装置110の回路図である。ここで、電源投入時で出力コンデンサに電荷が溜まっていない状態の場合の動作を考える。比較として
図5に示す点灯装置110では、出力電流検出抵抗R3を接続する位置が、
図1とは異なっている。具体的には、出力電流検出抵抗R3の一端がLED5のカソードと接続し、出力電流検出抵抗R3の他端が出力平滑コンデンサC3の他端に接続されている。このように
図5ではLED5と直列に出力電流検出抵抗R3が接続されている。
図5と
図1の間で同一構成のものについては同一符号を付与している。交流電源1を投入するとスイッチング素子SW1が駆動を開始し、出力平滑コンデンサC3に電荷が充電される。このとき、出力平滑コンデンサC3の充電電圧はLED5が点灯を開始する順方向電圧よりも低いため、LED5に電流は流れず、消灯状態である。したがって出力コンデンサ充電中は出力電流検出抵抗R3には電流が流れないため電圧が発生せず、制御回路4はLED5に供給する電流を増加させる方向、すなわちスイッチング素子SW1のオン時間を増加させるように制御を行う。これにより出力平滑コンデンサC3への充電電流は増加するが、出力平滑コンデンサC3の電圧がLED5の順方向電圧に達するまではLED5に電流が流れないため、制御回路4はさらにスイッチング素子SW1のオン時間を増加させるように動作する。次に出力平滑コンデンサC3の充電電圧がLED5の順方向電圧に達するとLED5に電流が供給され、LED5が点灯を開始する。点灯装置100では、力率改善及び電源高調波電流低減のため、入力コンデンサC1とカップリングコンデンサC2の容量は出力平滑コンデンサC3より小さく、例えばフィルムコンデンサが使用され、出力平滑コンデンサC3の容量は、LED電流を直流化し、電源周期によるリップルを抑制するため大容量のコンデンサ、例えば電解コンデンサが使用される。このため、出力平滑コンデンサC3への充電は時間を要するので、その間に制御回路4はフィードバック制御によりスイッチング素子SW1のオン時間を大きく増加させてしまう。このためLED5の点灯開始直後はLED5に非常に大きな電流が流れ、且つ定電流フィードバック制御の応答速度が遅いため、出力電流検出抵抗R3がLED5に流れる電流を検出してもすぐに応答することができず、少なくとも電源周期の1/2期間はオーバーシュートし、目標電流を大幅に超えた電流が流れてしまう。これは、LED点灯開始時に不快な閃光を発するだけでなく、LED5の定格電流を超えることによるLED素子の破壊を引き起こす原因となる。
【0057】
そこで、点灯装置100では、出力平滑コンデンサC3への充電電流を検出する位置に出力電流検出抵抗R3を設けている。電源を投入すると、スイッチング素子SW1が駆動を開始し、出力平滑コンデンサC3に電荷が充電される。このとき、出力平滑コンデンサC3の電圧はLED5が点灯を開始する順方向電圧よりも低いため、LED5に電流は流れず、消灯状態である。そして、LED5が消灯状態であっても出力平滑コンデンサC3への充電電流は出力電流検出抵抗R3によって検出され、制御回路4により目標の電流値に定電流制御され、安定的に充電電流が供給される。
【0058】
次に出力平滑コンデンサC3の充電電圧がLED5の順方向電圧に達するとLED5に電流が供給され、LED5が点灯を開始する。LED5の点灯開始前から出力コンデンサの充電電流を定電流フィードバック制御しているので、LED点灯開始直後にLED電流がオーバーシュートすることはない。LED5に供給される電流平均値と出力平滑コンデンサC3への充電電流平均値は等しいので、LED点灯開始後も引き続き出力平滑コンデンサC3の充電電流を定電流制御することでLED5を安定して点灯させることができる。
【0059】
このように、LED点灯前から出力平滑コンデンサC3の充電電流を制御するので、力率改善制御及び高調波電流抑制のため、定電流フィードバック制御の応答速度を電源周期の1/2周期以上に設定しても、LED点灯後のLED電流オーバーシュートを抑制することができる。これによりLED点灯直後の不快な閃光、LEDの定格電流を超えることによるLED素子の破壊を防止することができる。
【0060】
以上説明したように、本発明を適用可能な点灯装置の一例である点灯装置100は、SEPIC回路において、インダクタL1の電流ピーク値を正弦波状として、且つLED5に供給する電流が所望の電流値となるようにスイッチング素子SW1を制御する。これにより、力率改善制御と定電流制御を1つのコンバータで実現でき、部品点数を削減できる。また、点灯装置100によれば電力変換のためにトランスを使用しないので、トランスによる電力変換ロスも削減することができる。これにより回路の小型化、低コスト化が実現でき、且つ高力率、高効率を達成する点灯装置を提供することができる。さらに、定電流制御には、コンデンサの充電電流を検出することで実施するため、LED点灯直後の不快な閃光、LED5の定格電流を超えることによるLED素子の破壊を防止することができる。
【0061】
なお、本発明を適用可能な点灯装置の一例としてSEPIC方式の電源について説明したが、SEPIC方式以外にも、1コンバータで力率改善(高調波電流低減)と定電流制御を行う方式であれば、他の方式でも良い。例えば
図6に示すフライバック方式の点灯装置120も本発明を適用可能な点灯装置の一例である。
【0062】
図6に示す点灯装置120は、フィルタコンデンサC11と、トランスT1と、スイッチング素子SW2と、ダイオードD11と、出力平滑コンデンサC4と、出力電流検出抵抗R4と、を備えている。フィルタコンデンサC11は、
図1の点灯装置100におけるフィルタコンデンサC1と同様に整流回路2の2つの直流出力端子に並列接続されている。トランスT1は、1次巻き線と、この1次巻き線と磁気的に結合した2次巻き線とを備えている。トランスT1の1次巻き線は、一端がフィルタコンデンサC11の一端に接続されている。スイッチング素子SW2は、第1端子、第2端子、および第1、2端子間をスイッチングする制御端子を備えており、第1端子がトランスT1の1次巻き線の他端に接続し、第2端子がフィルタコンデンサC11の他端に接続している。
図6に示す点灯装置120においては、スイッチング素子SW2がMOSFETであり、第1端子がドレインであり、第2端子がソースであり、制御端子がゲートである。ダイオードD11は、アノードがトランスT1の2次巻き線の一端に接続している。出力平滑コンデンサC4は、ダイオードD11のカソードに接続され、ダイオードD11を介してトランスT1の2次巻き線と並列に接続するとともに、LED5と並列に接続している。出力電流検出抵抗R4は、トランスT1の2次巻き線と出力平滑コンデンサC4とを接続する経路内に直列に設けられた抵抗素子である。
【0063】
図6に示すフライバック方式の点灯装置120においても、出力平滑コンデンサC4の充電電流が流れる位置に出力電流検出抵抗R4を配置し、定電流制御を実施することで、同様の効果を得ることができ、LED点灯直後の不快な閃光、LEDの定格電流を超えることによるLED素子の破壊を防止することができる。
図6においては主回路構成のみ示し制御回路20については説明を省略するが、スイッチング素子SW2を制御回路20が駆動制御し、その際、出力平滑コンデンサC4への充電電流を検出する位置に出力電流検出抵抗R4を配置し、制御回路20は定電流フィードバック制御の応答速度を電源周期の1/2周期以上に設定することで力率改善及び高調波低減を実施する。
【0064】
また、上記の説明においては力率改善制御及び高調波電流削減を目的として、定電流フィードバック制御の応答速度を電源周波数の2倍以下(電源周期の1/2周期以上)に設定し、出力電流検出抵抗を出力平滑コンデンサの充電電流を検出する位置に配置したが、本発明を適用可能な点灯装置はこれに限られない。力率改善及び高調波電流削減を必要としない用途においても出力電流検出抵抗R3、R4を出力平滑コンデンサC3、C4の充電電流を検出する位置に配置してもよく、そのような配置はLED点灯開始直後の閃光を防止する上で効果がある。
【0065】
すなわち、力率改善及び高調波電流低減を必要としない用途においては、定電流フィードバック制御の応答速度を例えば数kHz〜数十kHzに設定すれば高速にLED電流を制御することが可能である。したがって出力平滑コンデンサの電圧がLED5の順方向電圧に達し、点灯開始直後にLED電流がオーバーシュートしても、高速に目標値電流値まで低下させることができるため、LED5が破壊に至るような大電流が流れることを防止することができる。しかしながら、短時間目標電流値を僅かにオーバーしただけでも人の目はそれを感知することができるため、閃光として認識してしまうという問題がある。このような場合においても、本発明を適用可能な点灯装置として例示した各回路によれば、出力電流検出抵抗R3、R4を出力平滑コンデンサC3、C4の充電電流を検出する位置に配置したので、LED5が点灯を開始する前から定電流フィードバックが可能となり、閃光を抑制できる。
【0066】
また、上記の説明においては、光源にLED5を用いた場合について説明したが、光源の発光素子として例えば有機EL(Electro Luminescence)素子を用いてもよい。
【0067】
なお、上述したスイッチング素子SW1は半導体スイッチで構成されるものとする。半導体スイッチには、例えばMOSFET、パワートランジスタ(バイポーラトランジスタ)、またはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いても良い。あるいは窒化ガリウムおよび炭化ケイ素(SiC)等のワイドバンドギャップ半導体で形成したスイッチング素子であってもよく、特にSiCで形成したMOSFETであってもよい。
【0068】
実施の形態1.
図7は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置130の回路構成図である。上述した本発明を適用可能な点灯装置(具体的には点灯装置100、120)と同様の構成部分は、同一の符号を付して説明を省略する。実施の形態1と上述した本発明を適用可能な点灯装置との違いは、ダイオードD2、D3からなる選択回路132と、制御回路4を駆動するための制御電源回路30とを設けたことである。なお、
図1等を用いて既に説明した制御回路4の内部回路は、
図7では省略している。しかしながら、制御回路4の内部構成および下記の接続関係については
図1等で説明したのと同様であるものとする。
【0069】
制御電源回路30は制御回路4動作用に制御電源を供給するもので、例えば15Vの電圧を生成し、制御回路4を構成するオペアンプ、比較器、あるいはマイコン等に電力を供給すためのものである。
【0070】
制御電源回路30は例えば降圧コンバータ回路を構成している。
図7に示すように、制御電源回路30は、スイッチング素子SW3と、スイッチング素子SW3の制御端子に駆動信号を与える駆動回路32と、ダイオードD31と、チョークコイルL31と、出力平滑コンデンサC5とを備えている。スイッチング素子SW3の第1端子は、後述する選択回路132の出力(すなわちダイオードOR回路におけるカソード)と接続している。スイッチング素子SW3の第2端子は、ダイオードD31のカソードに接続している。ダイオードD31のアノードは、基準電位GNDに接続している。チョークコイルL31の一端は、スイッチング素子SW3の第2端子とダイオードD31のカソードとの接続点に接続している。出力平滑コンデンサC5の一端はチョークコイルL31の他端に接続し、出力平滑コンデンサC5の他端は、ダイオードD31のアノードと接続している。なおスイッチング素子SW3は実施の形態1ではMOSFETであり、第1端子がドレインであり、第2端子がソースであり、制御端子はゲートである。このような回路構成において、出力平滑コンデンサC5の一端が正側端子となり、その正極端子から制御回路4に制御電源が供給される。
【0071】
点灯装置130は、選択回路132を備えている。選択回路132は、整流回路2の直流出力から制御電源回路30へと至る電力経路と、出力平滑コンデンサC3から制御電源回路30へと至る電力経路と、のうち何れかの経路を選択して制御電源回路30に電力供給を行う。選択回路132は、ダイオードD2とダイオードD3のカソード共通接続からなる、いわゆるダイオードOR回路から構成されている。整流回路2の正極側出力端子がダイオードD2を介して制御電源回路30の入力側と接続され、制御電源回路30に全波整流された電圧が印加される。さらに、出力平滑コンデンサC3の正側端子がダイオードD3を介して制御電源回路30の入力側と接続している。制御電源回路30の出力側には制御回路4が接続され、制御用の電源を供給する。
【0072】
ダイオードD2とダイオードD3は、整流回路2の直流側の電圧か出力平滑コンデンサC3の電圧の何れか電圧の高い方が導通する、ダイオードOR回路を構成する。すなわち整流回路2の直流側の電圧が出力平滑コンデンサC3電圧よりも高ければダイオードD2が導通し、出力平滑コンデンサC3の電圧が整流回路2の直流側の電圧よりも高ければダイオードD3が導通する。
【0073】
次に具体的な動作について説明する。交流電源1を投入すると整流回路2は交流電圧を全波整流し、直流電圧を生成する。このとき、LED5は消灯しており、出力平滑コンデンサC3は充電されていない。したがって整流回路2の直流側の電圧の方が高くなり、ダイオードD2が導通して制御電源回路30に印加される。
【0074】
制御電源回路30はダイオードD2から電圧が印加されると、スイッチング素子SW3が動作を開始し、印加された電圧から所望の電圧、例えば15Vを生成する。制御電源回路30の出力から所望の電圧が出力されると、制御回路4はこれを受けて起動し、コンバータ部3の駆動および制御を行う。制御回路4の動作については上述した本発明を適用可能な点灯装置(具体的には点灯装置100、120)と同様であり、説明を省略する。コンバータ部3が駆動を開始すると、出力平滑コンデンサC3が充電され、LED5が点灯する。LED点灯後は、交流電源の位相角に応じて、整流回路2の直流側か出力平滑コンデンサC3の何れかから電力が供給され、制御電源回路30は制御用電源を生成する。
【0075】
コンバータ部3が動作していない状態では出力平滑コンデンサC3から電力を供給することができないので、制御電源回路30への電力供給は整流回路2の直流側からダイオードD2を介してのみ行われる。制御回路4の消費電力はLED5の消費電力と比較して微小であるため、全波整流電圧はフィルタコンデンサC1で平滑化され、ほぼ一定電圧となる。
【0076】
これに対して、コンバータ部3が動作し、LED点灯中は消費電力が大きいため、非平滑の全波整流電圧波形となる。このため交流電源電圧の位相角に応じて電圧値が異なる。したがって
図8に示すように、交流電源1の位相角により整流回路2の全波整流電圧が出力平滑コンデンサC3の電圧より低くなると、ダイオードD3が導通して出力平滑コンデンサC3から電力を供給し、制御電源を生成する。また、交流電源1の位相角により全波整流電圧が出力平滑コンデンサC3電圧より高くなるとダイオードD2が導通して交流電源1より電力を供給し、制御電源を生成する。ここで、
図8のダイオードD2、ダイオードD3は制御電源回路30が制御回路4に制御電源を供給する場合の、導通するダイオードを示したもので、ONと表記されたダイオードが導通することを示している。
【0077】
ここで仮に、ダイオードD3を接続せず、ダイオードD2のみ接続して制御回路4の動作用電力を生成する場合について述べる。この場合、出力平滑コンデンサC3に電荷が充電された状態でも、出力平滑コンデンサC3からは電力は供給されない。
【0078】
制御電源回路30に降圧コンバータを使用する場合、例えば、制御電源回路30の出力電圧を15Vとすると、原理的に整流回路2の直流側の電圧、すなわち全波整流電圧波形が15V未満の区間においては、制御電源回路30は15Vを生成することができない。また、使用する降圧コンバータの制御ICによっては15Vを超える入力電圧が必要な場合もある(例えば50V以上が必要)。また、降圧コンバータ以外の回路方式を用いても商用交流電源のゼロクロス付近においては入力電圧がほぼゼロボルトまで低下するため、制御電源回路が動作できない期間が発生する。
【0079】
したがって、交流電源1の位相角により全波整流電圧が制御電源回路30の動作電圧以下となると、制御電源回路30は動作を停止し、制御電源を生成できなくなる。この場合、制御電源回路30に設けられた出力平滑コンデンサC5から制御回路に電力を供給することとなる。そして再び、全波整流電圧が制御電源回路30の動作電圧以上になると制御電源回路30が動作を開始し、制御電源を生成する。
【0080】
制御電源生成時の点灯装置130の入力電流波形は、インダクタL1に流れる電流にダイオードD2へ流入する電流を重畳した波形となる。すなわち、交流電源1の全波整流電圧が、制御電源回路30の動作可能電圧以上のときのみインダクタL1に流れる電流にダイオードD2への流入電流を重畳する波形となる。すなわちダイオードD2への流入電流は
図8で示したダイオードD2のON期間のみ電流が流れるため、商用周波数1周期に対して電流が流れる期間、すなわち導通角が小さい状態となる。導通角が小さくなると、短い期間で必要な電力を得るため、その分、流入電流のピーク値が大きくなり、力率低下、高調波電流の増加を引き起こす。
【0081】
さらに、制御電源回路30の停止中、すなわち
図8で示したダイオードD2のOFF期間は出力平滑コンデンサC5からのみ制御回路4に電力が供給されるため、出力平滑コンデンサC5の充電電圧が低下する。全波整流電圧が再び上昇し、制御電源回路30が動作した際に、この電圧低下を補うため、ダイオードD2への流入電流が大きくなるという現象が発生する。このことからダイオードD2からの電流重畳分が無視できなくなり、力率低下、高調波電流の増加を引き起こす原因となる。さらには出力平滑コンデンサC5も大容量のものが必要となり、基板大型化、高コスト化につながる。
【0082】
この力率低下及び高調波電流の増加は、特に調光機能を設けた点灯装置において、LEDの光出力(明るさ)を低下させたときにさらに顕著となる恐れがある。これは、制御回路4の消費電力は調光時の方が増加し、且つLED5の消費電力は減少してインダクタL1に流れる電流は減少するためである。すなわちインダクタL1に流れる電流に対して相対的にダイオードD2への流入電流の割合が増加し、力率悪化と高調波電流の増加を引き起こす。調光時の方が制御回路4の消費電力が増加する理由は、動作原理上、調光時の軽負荷になるほどスイッチング素子SW1の駆動周波数が上昇する特性があるためで、例えばスイッチング素子にMOSFETを使用した場合、駆動回路14のMOSFETゲート入力容量への充放電回数が増加し、MOSFETの駆動電力が増加する。
【0083】
そこで実施の形態1では、上述した点灯装置100、120に加え、さらに力率改善及び高調波電流を低減することを目的として、ダイオードD2とダイオードD3により整流回路2の直流側と出力平滑コンデンサC3の両方から制御電源回路30に電力を供給できる構成としている。この場合、出力平滑コンデンサC3の電圧が整流回路2の直流電圧より高い場合、出力平滑コンデンサC3から電力が供給されるため、整流回路2の直流電圧が出力平滑コンデンサC3の電圧より高い期間において、ダイオードD2に流入する電流値が小さくて済み、力率悪化、高調波電流の増加を抑制することができる。また、制御電源回路30は交流電源1の位相角に係らず常に動作可能なので、制御電源回路30の出力平滑コンデンサC5も小形のものが使用できる。
【0084】
以上のように、力率改善制御と定電流制御を行う1コンバータ方式の点灯装置130において、整流回路2の直流側と出力平滑コンデンサC3の両方から電力供給可能な経路を設け、整流回路2の直流側の電圧が出力平滑コンデンサC3より低い場合、出力平滑コンデンサC3から制御電源生成用の電力を制御電源回路30へと供給できるようにしたので、整流回路2の直流側から制御電源回路30へ流入する電流を小さくすることができ、力率低下と高調波電流の増加を抑制することができる。
【0085】
さらに、点灯装置130では、SEPIC回路を採用することで力率改善制御と定電流制御を1つコンバータで実現でき、部品点数を削減できる。また、電力変換のためにトランスを使用しないので、トランスによる電力変換ロスも削減することができる。これにより回路の小型化、低コスト化が実現でき、且つ高力率、高効率を達成する点灯装置を提供することができる。
【0086】
なお、実施の形態1ではSEPIC方式の電源について説明したが、これ以外にも、例えば
図9に示す1コンバータで力率改善制御と定電流制御を両立するフライバック方式の点灯装置140において、制御電源回路30および選択回路132が設けられてもよい。整流回路2の直流側と出力平滑コンデンサC4からそれぞれダイオードOR接続によりLED点灯後は、交流電源1の位相角に応じて、整流回路2の直流側か出力平滑コンデンサC4の何れかから電力が供給され、制御電源回路30は制御用電源を生成するようにしても良い。これにより同様の効果を得ることができる。
【0087】
なお、実施の形態1においては、
図7における出力電流検出抵抗R3及び
図9における出力電流検出抵抗R4は、上述した本発明を適用可能な点灯装置(具体的には点灯装置100、120)と同様に出力平滑コンデンサC3、C4の充電電流を検出する位置に設けられている。これにより、上述した本発明を適用可能な点灯装置(具体的には点灯装置100、120)が有する効果および実施の形態1の効果の両方が得られるという利点がある。しかしながら、実施の形態1にかかる点灯装置130,140において、次に述べるように変形を行ってもよい。
図10および
図11は、実施の形態1の変形例にかかる点灯装置150、160をそれぞれ示す。点灯装置150、160は、出力電流検出抵抗R3、R4の接続位置を除いては、点灯装置130、140それぞれと同様の回路構成を備える。点灯装置150、160では、LED5に流れる電流を検出する位置に(つまりLED5と直列に)、出力電流検出抵抗R3、R4が設けられている。この場合、
図10および
図11にそれぞれ示すように、出力電流検出抵抗R3、R4それぞれの一端がLED5のカソードと接続し、出力電流検出抵抗R3、R4それぞれの他端が出力平滑コンデンサC3、C4それぞれの他端に接続されている。この場合においても、点灯装置150、160は、選択回路132および制御電源回路30を備えているので、上記実施の形態1において説明した効果を同様に得ることができる。
【0088】
ここで述べた点灯装置150、160を包括する点灯装置は、例えば「交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路の直流出力端子間に接続され、負荷出力端子間に出力平滑コンデンサを有し、前記出力平滑コンデンサと並列に接続された光源に直流電流を供給する変換回路と、前記光源に流れる電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部により検出した電流が前記光源の目標電流値に近づくように前記変換回路をフィードバック制御する制御回路と、前記制御回路に駆動用電力を供給する制御電源回路と、を備え、前記制御電源回路は、前記光源に直流電流が供給される間、少なくとも前記交流電圧のゼロクロス付近において、前記出力平滑コンデンサから電力の供給を受けて、前記制御回路の駆動用電力を生成する点灯装置」として提供されてもよい。
【0089】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2にかかる照明器具200の断面図である。照明器具200は、照明器具本体40、コネクタ41、光源基板42、および点灯装置43を有する。照明器具本体40は、点灯装置43などを取り付けるための筺体である。コネクタ41は、商用電源などの交流電源から電力の供給を受けるための接続部である。光源基板42はLEDなどの電気的光源を実装した基板である。
【0090】
点灯装置43はコネクタ41および配線44を介して交流電源からの電力を入力する。点灯装置43は入力した電力を光源基板42に供給する電力に変換する。点灯装置43は配線45を介して光源基板42に接続している。点灯装置43は、変換した電力を光源基板42に供給する。光源基板42の光源は、点灯装置43から供給された電力により点灯する。
【0091】
点灯装置43の回路構成は、実施の形態1にかかる点灯装置130と同じであるものとする。これにより、実施の形態1にかかる点灯装置130の利点を備えた点灯装置43および照明器具200が提供される。
【0092】
点灯装置43の回路構成は、点灯装置130に代えて、実施の形態1にかかる点灯装置140、150、及び160からなる群から選択した1つの点灯装置と同じものとしてもよい。
【0093】
実施の形態2にかかる照明器具200によれば、実施の形態1で述べた点灯装置を組み込むことで、照明器具の小型化、高効率低、コスト化、高効率化が実現でき、且つ点灯開始直後の不快な閃光、光源の定格電流を超えることによる光源の破壊を防止することができる。
点灯装置100は、整流回路2と、変換回路であるコンバータ部3と、電流検出部である出力電流検出抵抗R3と、制御回路4とを備える。整流回路2は、交流電圧を直流電圧に変換する。コンバータ部3は、整流回路2の直流出力端子間に接続され、負荷出力端子間に出力平滑コンデンサC3を有し、出力平滑コンデンサC3と並列に接続されたLED5に直流電流を供給する。選択回路132は、整流回路2の直流出力から制御電源回路30へと至る電力経路と、出力平滑コンデンサC3から制御電源回路30へと至る電力経路と、のうち何れかの経路を選択して制御電源回路30に電力供給を行う。