(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフォトセンサは、ワイヤーボンディングが半導体チップの周囲に広がるため、ワイヤーボンディングの大きさに合わせてパッケージあるいは透明樹脂の外形を大きくする必要があり、小型化・薄型化を図ることが難しいという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載の光電変換装置のように、インターポーザと実装用基板とをはんだバンプにより支持した場合、はんだバンプの凝固時の形状によりインターポーザと実装基板の姿勢が不安定になり、インターポーザが傾くと光学特性が劣化する可能性がある。また、はんだバンプの量によっては光電変換素子が実装基板に接触する可能性があるため、信頼性が低下するという問題がある。また、光電変換素子がパッケージや樹脂により保護されていないので、信頼性が劣る可能性がある。この場合、インターポーザと実装用基板との間に樹脂を封入することが考えられるが、樹脂を封入すると光の透過率特性が低下することとなり、また、光電変換素子の光電変換部を避けるように樹脂を封入するのは非常に困難でもある。さらに、樹脂が経時的に変色して光学特性が変化したり水分が透過して腐触したりする可能性もあり、信頼性が不十分という問題がある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化・薄型化および信頼性の向上を図り、光学特性に優れた光学センサおよびこのような光学センサを簡易に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、表面に凹部を有し、周縁に厚さ方向に沿って形成された複数の切欠き
および該切欠きと前記凹部との間に形成された前記厚さ方向に窪む複数の溝部を有するガラス材料からなる略板状のベースと、該ベースの前記表面に積層状態に接合され、前記凹部を密閉して空洞部を形成するガラス材料からなる平板状の蓋部と、光を受光する受光部を有し、前記蓋部の前記ベースに対向する表面に前記受光部を対面させて実装されて前記空洞部内に収容され、前記蓋部を透過して前記受光部により受光した光を光電変換する光学素子と、前記蓋部の前記ベースに対向する表面に形成され、前記光学素子に接続された素子接続部および前記ベースの切欠きに対向する位置に配された配線接続部を有
し、前記ベースの前記溝部に収容された複数の内部配線と、該内部配線の前記ベースの切欠きに対向する位置に配された前記配線接続部に一端が接続され、前記ベースの前記蓋部とは反対側の表面上に他端が露出するように、前記切欠きの表面に沿って配された複数の外部配線とを備え、前記ベースにおける前記蓋部側の前記表面から前記反対側の表面に向かうに従い前記切欠きが徐々に深くなるように、該切欠きの表面が傾斜している光学センサを提供する。
【0009】
本発明によれば、蓋部を透過した光が光学素子の受光部により受光されて電気信号に光電変換されると、その電気信号が内部配線の素子接続部から配線接続部を介して外部配線へと送られる。外部配線の他端がベースの外側の表面上に露出させられているので、実装用基板等に面実装し外部配線の他端を外部電極に接続させる外部端子として作用させることにより、光学素子からの電気信号を外部に出力することができる。
【0010】
この場合において、ベースの凹部により蓋部との間に形成される空洞部内に光学素子を収容するとともに外部配線を切欠きの表面に沿って配することで、小型化・薄型化を図ることができる。また、ベースおよび蓋部により光学素子を覆うことで、光学素子を保護し信頼性を向上することができる。また、略板状のベースを実装用基板等に直接実装することができ、姿勢を安定させて光学特性の向上を図ることができる。
【0011】
本発明においては、前記ベースが遮光性のガラス材料からなり、前記蓋部が、透過させる光の波長を制限する光学フィルタを少なくとも前記ベースに対向する表面に備えることとしてもよい。
【0012】
このように構成することで、外部からの光がベースを透過して受光部により受光されてしまうのを防止することができる。また、一般的に光学素子の光電変換率は受光する光の波長によって変動するため、光学フィルタにより蓋部を透過する光の波長を制限することで、光学素子の波長依存性による光電変換率の変動による影響を低減し、光の強度を精度よく検知することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記ベースが遮光性のガラス材料からなり、前記蓋部が、前記光学素子の受光部が対面する範囲に光を透過する透過領域を有する遮光性のガラス材料からなることとしてもよい。
【0014】
このように構成することで、光学素子の受光部により受光する光の入射方向を蓋部の透過領域に制限し、外部からの光がベースの全体や蓋部における光学素子の受光部が対面する範囲以外の領域を透過して受光部により受光されてしまうのを防止することができる。これにより、所望の光の強度を精度よく検知することができる。
【0015】
本発明は、ガラス材料からなる平板状の蓋部材の表面に内部配線を形成する内部配線形成工程と、該内部配線形成工程により前記蓋部材の表面に形成された前記内部配線に光電変換素子を接続し、該光電変換素子を前記蓋部材の表面に受光部を対面させて実装する素子実装工程と、該素子実装工程により前記光電変換素子が実装された前記蓋部材と、表面に凹部を有し周縁に厚さ方向に沿って該表面から前記厚さ方向の反対側の表面に向かうに従い徐々に深くなるように形成された複数の切欠き
および該切欠きと前記凹部との間に形成された前記厚さ方向に窪む溝部を有するガラス材料からなる略板状のベース部材とを積層状態に配し、該ベース部材の前記凹部に前記光電変換素子を収容して前記蓋部材により該凹部を密閉する
とともに前記ベース部材の前記溝部に前記内部配線を収容するように
前記蓋部材と前記ベース部材とを接合する接合工程と、該接合工程により前記蓋部材が接合された前記ベース部材の前記切欠きの表面に沿って外部配線を形成し、該外部配線の一端を前記内部配線に接続するとともに他端を前記ベース部材の前記蓋部材とは反対側の表面上に露出させるように配する外部配線形成工程とを含む光学センサの製造方法を提供する。
【0016】
本発明によれば、蓋部材とベース部材との接合面に凹部により空洞部が形成され、その空洞部内に蓋部材の表面に受光部を対面させて実装された光電変換素子が収容され、光電変換素子に内部配線を介して接続される外部配線の他端がベース部材の外側の表面に露出して配された光学センサが製造される。この光学センサは、ベース部材の外側の表面に露出する外部配線の他端を外部電極に接続させる外部端子として作用させて実装用基板等に面実装すれば、蓋部材を透過した光を光電変換素子の受光部により受光して光電変換し、その電気信号を内部配線および外部配線を介して外部に出力することができる。
【0017】
この場合において、素子実装工程によりベース部材と蓋部材との間の空洞部内に光電変換素子を収容するとともに、外部配線形成工程により外部配線をベースの切欠きの表面に沿って配することで、小型化・薄型化を図りつつ信頼性が高い光学センサを製造することができる。また、略板状のベース部材により実装用基板等に姿勢を安定させて実装でき、光学特性の向上を図ることができる光学センサを製造することができる。
【0018】
上記発明においては、前記切欠きが前記ベース部材の角部に形成され、前記内部配線の他端が前記蓋部材の角部に配されていることとしてもよい。
このように構成することで、複数のベース部材が形成された大判のガラス部材と複数の蓋部材が形成された大判のガラス部材を用いて、内部配線形成工程により隣接する蓋部材の角部どうしに一括して内部配線を形成するとともに、外部配線形成工程により隣接するベース部材の角部どうしに一括して外部配線を形成することができる。これにより、大判のガラス部材上で複数の光学センサを形成した後に個々に切断するだけで、複数の光学センサをまとめて簡易に製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る光学センサによれば、小型化・薄型化および信頼性の向上を図り光学特性に優れるという効果を奏する。また、本発明に係る光学センサの製造方法によればそのような光学センサを簡易に製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る光学センサおよび光学センサの製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学センサ1は、
図1に示すように、光を受光してその強度を検出する光電変換素子(光学素子)11を備え、外部の明るさを検知することができるようになっている。光学センサ1は、例えば、1辺が0.5〜10mmの方形に形成されており、0.2〜1.5mmの厚さを有している。この光学センサ1は、ガラス材料からなる略板状のベース20と、光電変換素子11が実装された透明なガラス材料からなる平板状の蓋部30とが積層状態に接合されて構成されている。
【0022】
ベース20は、
図2(a),(b)に示すように、方形に形成されており、例えば、0.15〜1.0mmの厚さを有している。このベース20は、その表面(内側表面)の中央に板厚方向に窪む凹部21を有している。凹部21は、ベース20の表面(内側表面)の広範囲にわたる大きさを有し、略方形に形成されている。この凹部21は、その内壁面が開口部から底面に向かって若干内側に傾斜するように、例えば、45°程度の傾きを有している。
【0023】
また、凹部21は、蓋部30によりその開口が覆われており、ベース20と蓋部30との間に空洞部23を形成するようになっている。空洞部23内は真空でなくてもよいし、必要に応じて真空にしてもよく、例えば、加熱時の空洞部23内のガスの膨張を防ぐために凹部21の開口を減圧封止することとしてもよい。また、空洞部23は完全に密閉されていることが望ましいが、光学センサ1の信頼性を損なわない範囲であれば気体や液体が侵入することがあってもよい。
【0024】
また、ベース20は、周縁の四隅にそれぞれ角部が切り取られた切欠き25を有している。切欠き25は、内側に向かって1/4円弧状に窪む表面形状を有し、蓋部30との接合面14から反対側の表面(外側表面)に向かって若干内側に傾斜するように形成されている。例えば、切欠き25は、板厚方向に対して5〜25°程度、好ましくは10〜15°の傾きを有している。したがって、凹部21の開口から底面に向かうにしたがい、切欠き25と凹部21との間の厚さが徐々に肉厚になるように変化している。
図2(a)はベース20の切欠き25の表面に後述する外部配線15が形成された状態を示し、
図2(b)はベース20の外側表面および切欠き25の表面に外部配線15が形成された状態を示している。ベース20単体には、切欠き25により四隅に角部はない。
図12(a),(b)も同様である。
【0025】
また、ベース20の凹部21側の表面(接合面14)には、凹部21の四隅とそれぞれ隣接する切欠き25との間に板厚方向に僅かに窪む4つの溝部27が形成されている。ベース20の材質としては、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
【0026】
蓋部30は、
図3(a),(b)に示すように、ベース20と同じ大きさの方形に形成されており、例えば、0.05〜1.0mmの厚さを有している。この蓋部30は、ベース20の表面(接合面14)に凹部21を密閉するように配置されている。蓋部30の材質としては、例えば、ベース20と同様に、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。蓋部30のベース20側の表面(内側表面)には、四隅からそれぞれ中央に向かって配された内部配線13が形成されている。
【0027】
各内部配線13は、一端が蓋部30の表面(内側表面)の中央付近まで延びて互いに接触しないように間隔をあけて配置され、他端が蓋部30の角部に配置されて扇形状に形成されている。また、各内部配線13は、蓋部30とベース20との接合面14においてベース20の溝部27に収容されるようになっている。以下、内部配線13の一端を素子接続部13Aといい、他端を配線接続部13Bという。内部配線13としては、例えは、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ti、Pt、Al、Sn等を単独でまたは合金で用いたり、いずれかを積層して用いたりすることができる。
【0028】
光電変換素子11は、光を受光する受光部12を備え、受光部12により受光した光を光電変換して電気信号を出力することができるようになっている。この光電変換素子11は、ベース20の凹部21よりも小さな方形に形成されており、例えば、1辺が0.3〜7mmで、0.05〜1.0mmの厚さを有している。
【0029】
また、光電変換素子11は、蓋部30のベース20に対向する表面(内側表面)に受光部12を対面させて取り付けられており、凹部21により形成される空洞部23内に収容されている。光電変換素子11のベース20側の表面と凹部21の底面との間には所定の隙間が形成され、互いに接触しないようになっている。この光電変換素子11には、4つの内部配線13の配線接続部13Aがそれぞれ接続されている。
【0030】
また、光学センサ1には、ベース20の各切欠き25の表面に沿って配された4つの外部配線15が形成されている。外部配線15は、その一端が内部配線13の配線接続部13Bに接続され、他端がベース20の蓋部30とは反対側の表面(外側表面)上に露出させられている。外部配線15としては、例えば、内部配線13と同様に、Au、Ag、Cu、Ni、Cr、Ti、Pt、Al、Sn等を単独でまたは合金で用いたり、いずれかを積層して用いたりすることができる。
【0031】
次に、本実施形態に係る光学センサ1の製造方法について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態においては、例えば、複数の蓋部30が形成される大判で所定の厚さのガラス材料からなる蓋部材(図示略)および複数のベース20が形成される大判で所定の厚さのガラス材料からなるベース部材(図示略)が用いられる。
【0032】
本実施形態に係る光学センサ1の製造方法は、蓋部材の表面に内部配線13を形成する内部配線形成工程S1と、内部配線形成工程S1により内部配線13が形成された蓋部材の表面に光電変換素子11を実装する素子実装工程S2と、ベース部材の表面に凹部21を形成する凹部形成工程S3と、ベース部材の表面に切欠き25を形成する切欠き形成工程S4と、素子実装工程S2により光電変換素子11が実装された蓋部材と凹部21および切欠き25を有するベース部材とを積層状態に接合する接合工程S5と、接合工程S5により蓋部材が接合されたベース部材の切欠き25の表面に沿って外部配線15を形成する外部配線形成工程S6と、外部配線形成工程S6により外部配線15が形成された蓋部材およびベース部材を個々の光学センサ1ごとに切断するダイシング工程S7とを含んでいる。
【0033】
内部配線形成工程S1においては、蓋部材の隣接する複数の蓋部30の領域ごとに一括して内部配線13を形成するようになっている。具体的には、蓋部材の表面の対角線方向に隣接する2つの蓋部30の領域の略中央付近どうしを結ぶように内部配線13を配し、それぞれ内部配線13の両端が互いに接触しないように間隔をあけて形成するようになっている。内部配線13は、例えば、スパッタリング、蒸着、印刷、メッキ等を単独で用いたり複合して用いたりして形成することができる。
【0034】
素子実装工程S2においては、蓋部材の表面の蓋部30の領域ごとにその中央付近に形成された4つの内部配線13の素子接続部13Aに光電変換素子11をそれぞれ接続し、蓋部材の表面に受光部12を対面させて光電変換素子11を取り付けるようになっている(FCB実装:フリップチップボンディング実装)。例えば、光電変換素子11の電極部(図示略)または蓋部材上の内部配線13の配線接続部13Aに突起電極(Au、Ag、はんだ等)を設け、突起電極に超音波、荷重、熱等を印加することにより、光電変換素子11と内部配線13とを電気的・機械的に接合することとすればよい。
【0035】
凹部形成工程S3においては、ベース部材の個々のベース20の領域ごとに凹部21を形成するようになっている。凹部21は、例えば、ベース部材にホットプレス、サンドブラスト、酸エッチング等により形成することができる。
【0036】
切欠き形成工程S4においては、ベース部材の隣接する複数のベース20の領域ごとに一括して切欠き25を形成するようになっている。具体的には、ベース部材の表面の縦横に2つずつ隣接する4つのベース20の領域の中心に板厚方向に沿ってテーパ状の貫通孔(切欠き25)を形成するようになっている。
【0037】
切欠き25は、例えば、凹部21と同様に、ベース部材にホットプレス、サンドブラスト、酸エッチング等により形成することができる。
凹部形成工程S3と切欠き形成工程S4は、どちらを先に行うこととしてもよいし同時に行うこととしてもよい。また、凹部形成工程S3または切欠き形成工程S4において、ベース部材の表面にベース20の領域ごとに溝部27を形成しておく。
【0038】
接合工程S5においては、ベース部材と蓋部材とを板厚方向に積層方向に配し、ベース部材の凹部21に蓋部材に実装された光電変換素子11を収容させて蓋部材とベースとを接合するようになっている。このとき、ベース20の溝部27に内部配線13を収容させ、蓋部材により凹部21を密閉する。接合方法としては、例えば、陽極接合、接着剤による接合、直接接合、Au−Sn接合、Au−Au接合、はんだによる接合等が挙げられる。
【0039】
外部配線形成工程S6においては、ベース部材に形成された貫通孔(切欠き25)の表面に沿って外部配線15を形成し、その一端を蓋部材に形成された内部配線13の配線接続部13Bに接続し、他端をベース部材の蓋部材とは反対側の表面上に露出させるようになっている。外部配線15は、内部配線13と同様に、例えば、スパッタリング、蒸着、印刷、メッキ等を単独で用いたり複合して用いたりして形成することができる。
【0040】
ダイシング工程S7においては、積層状態に接合されたベース部材と蓋部材とを個々のベース20および蓋部30に切断するようになっている。これにより、蓋部材の内部配線13の配線接続部13Bおよびベース部材の切欠き25がそれぞれ4分割あるいは2分割され、4つの内部配線13および外部配線15を備え、ベース20と蓋部30との間の空洞部23内に光電変換素子11が収容された複数の光学センサ1が製造される。
【0041】
次に、このように構成された本実施形態に係る光学センサ1およびその製造方法の作用について説明する。
本実施形態に係る光学センサ1によれば、外部から蓋部30を透過して光学センサ1内に入射された光が光電変換素子11の受光部12により受光されて電気信号に光電変換されると、その電気信号が内部配線13の素子接続部13Aから配線接続部13Bを介して外部配線15へと送られる。
【0042】
外部配線15の他端がベース20の外側の表面上に露出させられているので、
図5に示すように、はんだ4により回路基板(実装用基板)3に光学センサ1を面実装し、外部配線15の他端を基板電極(外部電極)5に接続する外部端子として作用させることで、光電変換素子11からの電気信号を基板電極5を介して外部に出力することができる。これにより、光電変換素子11により取得されたセンシング情報(電気信号)を基に、液晶画面のバックライト輝度を調整するような電子装置を構成することができる。
【0043】
この場合において、蓋部30にFCB実装した光電変換素子11をベース20との間の空洞部23内に収容するとともに、外部配線15を切欠き25の表面に沿って配することで、小型化・薄型化を図ることができる。また、ベース20および蓋部30により光電変換素子11を覆うことで、光電変換素子11を保護し信頼性を向上することができる。また、略板状のベース20を回路基板3等に直接実装することができ、姿勢を安定させて光学特性の向上を図ることができる。また、本実施形態に係る光学センサ1の製造方法によれば、このような光学センサ1を簡易に製造することができる。
【0044】
本実施形態においては、ベース30の凹部21側の表面(接合面14)に溝部27を設けることとしたが、
本発明の参考例としての発明の参考実施形態においては、溝部27を設けないこととしてもよい。内部配線13が、例えば、数十nm〜数μm程度の薄膜であれば、ベース20と蓋部30とを絶縁性の接着剤により接合する場合は、溝部17を設けなくても内部配線13の段差の影響を受けることなくこれらを接合することができる。
【0045】
ベース20と蓋部30とを陽極接合やAu−Sn接合またはAu−Au接合(金属接合)する場合において、ベース30に溝部27を設ける場合は、溝部27に内部配線13を収容してベース20の表面(内側表面)の溝部27以外の領域を接合し、溝部27による隙間は接合後に接着材等を充填して封止することとしてもよい。また、溝部27による隙間が十分に小さく信頼性に影響がなければそのままにすることとしてもよい。
【0046】
また、
本発明の参考例としての発明の参考実施形態として、ベース20と蓋部30とを陽極接合やAu−Sn接合またはAu−Au接合する場合において、ベース30に溝部27を設けない場合は、例えば、
図6〜
図8に示すように、蓋部30に形成された内部配線13上に絶縁層(例えば、酸化珪素(SiO2)、窒化珪素(Si3N4)、ポリイミドなど。)41を形成し、絶縁層41上(ベース20側)に接合用の金属膜層(例えば、Si、Al、Au、Sn、合金等。)43を形成することとしてもよい。
【0047】
この場合において、内部配線13の段差が絶縁層41上の平坦度にも影響するときは、絶縁層41を平面状に研磨することとしてもよい。また、絶縁層41および金属膜層43は、ベース20の切欠き25と光電変換素子11の電極部12にかからないように形成することが望ましい。また、金属膜層43は、絶縁層41上に絶縁層41と同じ形状で同じ大きさに形成するか、または、絶縁層41よりも小さく形成することが望ましい。また、内部配線13、絶縁層41、金属膜層43の厚さをそれぞれ数十nm以下にすることで、切欠き25と内部配線13との間に生じる隙間を小さくし、配線形成時に断線することなく接続することができる。隙間の影響の対策として、内部配線13の電極接続部13Bを積層したり、切欠き25にAgペーストなどの導電部材を充填したりすることとしてもよい。
【0048】
本実施形態は以下のように変形することができる。
第1変形例としては、例えば、
図9に示すように、ベース20が、有色で光を透過しないガラス材料か、または、有色で光電変換素子11の特性に影響を与えない程度の遮光性を有するガラス材料からなることとしてもよい。また、蓋部30が、透過させる光の波長を制限する薄膜フィルタ(光学フィルタ)31を両面に備えることとしてもよい。この場合、ベース20は、例えば、ガラス材料中にマンガン等の金属粉を混入して黒色化したものを用いることができる。
【0049】
このようにすることで、外部からの光がベース20を透過して受光部12により受光されてしまうのを防止することができる。また、一般的に光学素子の光電変換率は受光する光の波長によって変動するため、薄膜フィルタ31により蓋部30を透過する光の波長を制限することで、光電変換素子11の波長依存性による光電変換率の変動による影響を低減し、光の強度を精度よく検知することができる。薄膜フィルタ31は、単層であってもよいし多層であってもよく、また、蓋部30の一方の表面のみに設けられていることとしてもよい。また、薄膜フィルタ31は、蓋部30の表面に形成することが好ましく、これにより、薄膜フィルタ31に反りが生じるのを防ぐことができる。
【0050】
第2変形例としては、例えば、
図10に示すように、ベース20は第1変形例と同様であり、蓋部30が、有色で光を透過しないガラス材料か、または、有色で光電変換素子11の特性に影響を与えない程度の遮光性を有するガラス材料からなり、光電変換素子11の受光部12が対面する範囲周辺のみに光を透過することができる透過領域33が設けられていることとしてもよい。蓋部30の透過領域33は、例えば、透過する光の波長を制限する光学フィルタとしての特性を有することが望ましい。
【0051】
このようにすることで、光電変換素子11の受光部12により受光する光の入射方向を蓋部30の透過領域33に制限し、外部からの光がベース20の全体や蓋部30における光電変換素子11の受光部12が対面する範囲以外の領域を透過して受光部12により受光されてしまうのを防止することができる。これにより、所望の光の強度を精度よく検知することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本実施形態においては、切欠き25および外部配線15をベース20の四隅に配置し、内部配線13の配線接続部13Bを蓋部30の四隅に配置することとしたが、内部配線13の配線接続部13Bと切欠き25の表面に沿って形成された外部配線15の他端とが接続されていればよく、切欠き25および外部配線15はそれぞれベース20の周縁に配置することとすればよいし、内部配線13の配線接続部13Bは蓋部30の周縁付近の切欠き25および外部配線15に対向する位置に配置することとすればよい。
【0053】
また、本実施形態においては、蓋部30およびベース20をそれぞれ大判の蓋部材および大判のベース部材により一括して複数形成することとしたが、例えば、蓋部30およびベース20を個々に組み合わせて光学センサ1を製造することとしてもよい。また、光学センサ1の製造方法が、切欠き形成工程S4、凹部形成工程S5およびダイシング工程S7を含むこととしたが、これらの工程を含まずに、予め切欠き25や凹部21が形成されているベース20を用いることとしてもよいし、予め個々に切断されている蓋部30およびベース20を用いることとしてもよい。
【0054】
また、本実施形態においては、光学センサ1が4つの内部配線13を備えることとしたが、内部配線13は複数備えられていればよい。例えば、光学センサ1が6つの内部配線13を備える場合は、
図11(a),(b)に示すように、各内部配線13の一端(素子接続部13A)を蓋部30の中央付近に配し、他端(配線接続部13B)を蓋部30の四隅と、周縁の2つの角部の中間付近に配置することとすればよい。この場合、
図12(a),(b)に示すように、ベース20には、蓋部30に形成された内部配線13の配線接続部13Bに対向する位置、すなわち、ベース20の四隅と周縁の2つの隅部の中間付近にそれぞれ切欠き25を形成することとすればよい。
【0055】
このようにすることで、大判のベース部材と大判の蓋部材を用いて、内部配線形成工程S1により、隣接する蓋部30の領域どうしに一括して内部配線13を形成することとができる。また、切欠き形成工程S4により、隣接するベース20の領域どうしに一括して切欠き25を形成したり、外部配線形成工程S6により、隣接するベース20の領域どうしに一括して外部配線15を形成したりすることができる。このように、ベース20の周縁の隅部間に形成する切欠き25の数および各切欠き25の表面に形成する外部配線15の数を増やすことで、内部配線13の数も増加することができる。