(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライド部材は、前記雌ねじブロックと前記部材とを、前記雌ねじ軸と直交する平面内で、前記一対のレールを結ぶ線分と平行な方向へ相対移動可能に連結することを特徴とする請求項1に記載の回転機械の部材組み立て装置。
前記スライド部材は、前記雌ねじブロックと前記部材とを、前記雌ねじ軸と直交する平面内で、前記一対のレールを結ぶ線分と直交する方向へ相対移動可能に連結することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の回転機械の部材組み立て装置。
前記雌ねじブロック及び前記スライド部材のうち、いずれか一方に前記一対のレールを結ぶ線分と直交する方向へ突出してピンが設けられるとともに、他方に前記ピンを挿入可能なピン挿入穴が設けられたことを特徴とする請求項4に記載の回転機械の部材組み立て装置。
前記回転機械がガスタービンであって、前記回転機械を構成する部材が燃焼器尾筒であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の回転機械の部材組み立て装置。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2に示すように、ガスタービン200は、一般的に圧縮空気を生成する圧縮機201と、圧縮機201で生成された圧縮空気に燃料を混合して燃焼ガスを生成する複数の燃焼器1と、燃焼器1で生成された燃焼ガスにより駆動するタービン202とで構成されている。燃焼器1は、圧縮空気と燃料が供給され燃焼される燃焼器内筒2と、燃焼器内筒2で生成された燃焼ガスをタービン202の燃焼ガス流路203に導入する燃焼器尾筒3とを有する。そして、燃焼器1は、タービンロータを囲むようにして環状に複数配列され、タービン202内の燃焼ガス流路203の入口部203aにそれぞれ接続されている。
【0003】
また、各燃焼器1は、燃焼器尾筒3が、車室4の内部に挿入されて燃焼ガス流路203の入口部203aに接続されているとともに、燃焼器尾筒3の基端に燃焼器内筒2が接続されている。
図2及び
図3に示すように、車室4の開口部4aは、外縁に沿って形成された蓋固定部となる蓋固定用ボルト孔4bに蓋体7が固定されることで閉塞されている。そして、
図1に示すように、環状に配列された複数の燃焼器1の周囲には、燃料を供給するための燃料供給管、燃焼器1を冷却するための冷却空気供給管等の多数の配管8が取り囲むようにして配設されている。
【0004】
ここで、上記のような燃焼器1は、圧縮機201、車室4及びタービン202が構築された後に、燃焼器尾筒3、燃焼器内筒2の順に、開口部4aから車室4の内部に挿入されて組立てられる。また、ガスタービン200を構成する各部材は、稼動するのに伴って損耗することとなり、各部材個別のサイクルで定期的に点検され、必要に応じて交換される。一般的には、タービン202及び圧縮機201の点検サイクルに比べて,燃焼器1の点検サイクルは短いため,燃焼器1を取り外して点検する機会が生じる。このような燃焼器1の点検は、燃焼器1自体が燃焼器尾筒3や燃焼器内筒2単独でも人が持ち上げるのが困難な重量(例えば100kg程度)であり、また、車室4付近ではガスタービン200の設置面200aの上方に位置して足場を確保することが困難であることから、着脱用の治具が様々提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
具体的には、特許文献1では、燃焼器尾筒の着脱用治具が提案されている。この燃焼器尾筒の着脱用治具は、車室の内部に設けられて燃焼器の軸線方向に延びる一対のガイド部と、燃焼器尾筒に設けられてガイド部それぞれに沿って移動可能な一対の移動部と、ガイド部に沿って移動部それぞれを移動させることにより燃焼器尾筒を燃焼器の軸線方向に沿って進退させる進退機構とを備えている。
【0006】
ここで、前記進退機構は、ガイド部に沿って配設されて回転可能に支持されたボールネジと、ボールネジに螺合されて燃焼器尾筒に固定されたナット部材とを有している。このような構成によれば、ボールネジを回転させると、ナット部材がボールネジに沿って移動することにより、燃焼器尾筒が燃焼器の軸線方向に沿って進退するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の燃焼器尾筒の着脱用治具によれば、ボールネジを回転させて燃焼器尾筒を進退させる際に、ボールネジの回転に要する負荷が大きくなる場合があるという問題がある。
【0009】
より詳細に説明すると、燃焼器尾筒の進退時には、一対の移動部の間でガイド部に沿った移動距離にズレが生じる場合がある。この場合、燃焼器尾筒の軸線方向が燃焼器の軸線方向から外れ、燃焼器尾筒が燃焼器に対して傾いた状態となる。そうすると、ボールネジに対して荷重が作用することにより、ボールネジには撓みが発生する。このようにボールネジに撓みが生じると、ボールネジに沿ってナット部材が移動する際の抵抗が大きくなることにより、ボールネジの回転に要する負荷が大きくなる。
【0010】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、回転機械を構成する部材を脱着させるべくボールネジを回して部材を進退させる際に、部材が傾いた状態になっても、ボールネジに荷重が作用するのを防止することができ、ボールネジをスムーズに回転させる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、回転機械を構成する部材の軸と平行な方向にかつ軸と直交する平面内で相互に間隔をおいて設けられた一対のレールと、前記回転機械を構成する部材に連結されて該部材を前記レールの長手方向に移動自在に支持する支持部と、前記一対のレールの間に前記回転機械を構成する部材の軸と平行に配置されたねじ軸と、該ねじ軸と螺合する雌ねじブロックと、該雌ねじブロックと前記部材との間に設けられて前記雌ねじブロックと前記部材とを雌ねじ軸と直交する平面内で相対移動可能に連結するスライド部材と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、複数の支持部の間でレールに沿った移動距離にズレが生じる場合がある。しかし、このズレは、雌ねじブロックと前記部材との間に設けられたスライド部材によって吸収される。従って、ねじ軸に対して荷重は作用せず、ねじ軸に撓みが生じることはない。これにより、ねじ軸をスムーズに回転させることができる。
【0013】
また、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、前記スライド部材は、前記雌ねじブロックと前記部材とを、前記雌ねじ軸と直交する平面内で、前記一対のレールを結ぶ線分と平行な方向へ相対移動可能に連結することを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、複数の支持部の間でレールに沿った移動距離にズレが生じることにより、一対のレールを結ぶ線分と平行な方向へ部材が移動する場合がある。しかし、この場合でも、部材の移動はスライド部材によって吸収されるので、ねじ軸に対して荷重は作用せず、ねじ軸に撓みは生じない。これにより、ねじ軸をスムーズに回転させることができる。
【0015】
また、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、前記雌ねじブロック及び前記スライド部材のうち、いずれか一方に嵌合溝が設けられるとともに他方に前記嵌合溝と嵌合する嵌合片が設けられ、前記一対のレールを結ぶ線分と平行な方向で、前記嵌合溝が嵌合片より幅広に形成されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、嵌合溝に嵌合した嵌合片には、幅広に形成された嵌合溝の内部において、一対のレールを結ぶ線分と平行な方向への移動が許容される。これにより、一対のレールを結ぶ線分と平行な方向で、スライド部材を介して雌ねじブロックと前記部材とが相対移動可能に連結される。
【0017】
また、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、前記スライド部材は、前記雌ねじブロックと前記部材とを、前記雌ねじ軸と直交する平面内で、前記一対のレールを結ぶ線分と直交する方向へ相対移動可能に連結することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、複数の支持部の間でレールに沿った移動距離にズレが生じることにより、一対のレールを結ぶ線分と直交する方向へ部材が移動する場合がある。しかし、この場合でも、部材の移動はスライド部材によって吸収されるので、ねじ軸に対して荷重は作用せず、ねじ軸に撓みは生じない。これにより、ねじ軸をスムーズに回転させることができる。
【0019】
また、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、前記雌ねじブロック及び前記スライド部材のうち、いずれか一方に前記一対のレールを結ぶ線分と直交する方向へ突出してピンが設けられるとともに、他方に前記ピンを挿入可能なピン挿入穴が設けられたことを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、ピン挿入穴に挿入されたピンには、ピン挿入穴から突出しまたはピン挿入穴に没入することにより、ピンの突出方向すなわち一対のレールを結ぶ線分と直交する方向への移動が許容される。これにより、一対のレールを結ぶ線分と直交する方向で、スライド部材を介して雌ねじブロックと前記部材とが相対移動可能に連結される。
【0021】
また、本発明に係る回転機械の部材組み立て装置は、前記回転機械がガスタービンであって、前記回転機械を構成する部材が燃焼器尾筒であることを特徴とする。
【0022】
このような構成によれば、ねじ軸をスムーズに回転させることにより、燃焼器尾筒をガスタービンに対してスムーズに着脱することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る回転機械の部材組み立て装置によれば、回転機械を構成する部材を脱着させるべくボールネジを回して部材を進退させる際に、部材が傾いた状態になっても、ボールネジに荷重が作用するのを防止することができ、ボールネジをスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ガスタービンの概要を示す概略側面図である。
【
図2】ガスタービンの燃焼器及び車室の詳細を示す概略断面図である。
【
図3】ガスタービンの車室の開口部の詳細を示す概略正面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置を車室に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置を取り付けた状態を示す燃焼器尾筒の概略平面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置を取り付けた状態を示す燃焼器尾筒の概略正面図である。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置を構成するレールを示す概略正面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールと燃焼器尾筒との固定構造を示す図であって、固定が解除された状態を示す概略断面図である。
【
図9】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールと燃焼器尾筒との固定構造を示す図であって、固定された状態を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの先端部材及び第一の車室取付板の詳細を示す概略断面図である。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの先端部材及び第一の車室取付板の詳細を示す概略断面図である。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの先端部材と第一の車室取付板との固定構造の詳細を示す概略断面図である。
【
図13】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの基端部材と基端固定部と進退機構の詳細を示す概略断面図である。
【
図14】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの基端部材と基端固定部と進退機構の詳細を示す概略背面図である。
【
図15】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、レールの基端部材と基端固定部と進退機構の詳細を示す概略正面図である。
【
図16】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置において、進退機構の構成を示す分解斜視図である。
【
図17】本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置の作用効果の説明図である。
【
図18】本発明の第二実施形態に係る尾筒組み立て装置において、進退機構の説明図である。
【
図19】本発明の第三実施形態に係る尾筒組み立て装置において、進退機構の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の第一実施形態に係る回転機械の部材組み立て装置の構成について説明する。本実施形態では、回転機械としてガスタービンを、回転機械を構成する部材として燃焼器尾筒を例にして説明する。なお、
図1に示すガスタービン200において、燃焼器1及び燃焼器1と車室4との取り付け構造は、基本的に従来と同様である。このため、同様である点については説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0026】
図4は、第一実施形態に係る尾筒組み立て装置10を車室4に取り付けた状態を示す概略断面図である。
図4に示すように、尾筒組み立て装置10は、燃焼器軸線L方向に沿って配設されるレール11と、燃焼器尾筒3に着脱可能に設けられレール11に沿って移動可能な支持部12と、支持部12を介してレール11に取り付けられた燃焼器尾筒3を燃焼器軸線L方向に沿って進退させることが可能な進退機構13とを備える。
【0027】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、レール11は、車室4に取り付けられた状態で、燃焼器軸線Lを基準として対称となるように、対をなして設けられる。
図7に示すように、レール11は、断面略C形のレール本体11aと、レール本体11aの両側を挟み込むようにして設けられた略円筒状の一対の補強部材11bと、補強部材11bとレール本体11aとを連結する連結部材11cとで構成されている。
【0028】
一方、
図5及び
図6に示すように、支持部12は4つ設けられ、対をなすレール11のそれぞれに対応して燃焼器尾筒3の先端側及び基端側にそれぞれ設けられる。支持部12は、それぞれ、レール本体11aに挿入される駒本体12aと、駒本体12aから延出されるアーム部12bと、アーム部12bの先端に設けられて燃焼器尾筒3と固定される固定部12cとを有する。アーム部12bは、レール本体11aの隙間11dよりも小さい幅寸法に設定されていて、駒本体12aがレール本体11aに挿入された状態で、レール本体11aの隙間11dに配設される。
【0029】
また、
図8及び
図9に示すように、固定部12cには、固定具14を挿通させるための固定具挿通孔12dが形成されている。固定具14は、固定具挿通孔12dに挿通される軸部14aと、燃焼器尾筒3側となる軸部14aの先端に設けられたキー14bと、軸部14aの基端に拡径して設けられた頭部14cとを有する。頭部14cと固定部12cとの間には、バネ部材15が介装されている。一方、燃焼器尾筒3には、固定具14の軸部14aの先端を挿入可能な挿入穴3aと、挿入穴3aの外周面に形成されてキー14bが挿入されるキー溝3bが形成されている。キー溝3bは、挿入穴3aの軸方向に形成された後に、周方向へと形成されている。このため、固定具14をバネ部材15による付勢に抗して燃焼器尾筒3側へと進出させて軸部14aの先端を挿入穴3aに挿入し、この状態で固定具14を軸回りに回転させることで、キー14bとキー溝3bとが係合し、これにより支持部12と燃焼器尾筒3とを固定することが可能である。また、互いに固定された状態で、固定具14を固定する時と軸回り反対側へ回転させるだけでキー14bとキー溝3bの係合を解除して、燃焼器尾筒3から支持部12を取り外すことが可能である。
【0030】
ここで、
図4に示すように、本実施形態では、支持部12を移動可能に案内するレール11は、先端側を構成する先端部材20と、先端部材20に着脱可能に連結されて基端側を構成する基端部材21とを有し、先端部材20及び基端部材21それぞれがレール本体11a、補強部材11b及び連結部材11cからなる構成となっている。
図4に示すように、先端部材20の先端20aには、支持ピン22が突出して設けられている。一方、車室4の内面には、支持ピン22が嵌合可能な凹部4cが形成されており、レール11の先端11fは、この先端部材20に設けられた支持ピン22が凹部4cに嵌合することで、車室4に支持される。
【0031】
また、先端部材20は、長さが車室4の奥行きと対応した長さに設定され、開口部4a近傍に位置することになる基端20bには、第一の車室取付板23が着脱可能に取り付けられている。
図10及び
図11に示すように、第一の車室取付板23は、車室4の開口部4aの外縁に沿う略円環状に形成されており、本実施形態では、レール11が連結される略円弧状の上部材23aと、上部材23aと燃焼器軸線Lを挟んで相対する側で車室4に取り付けられる略円弧状の下部材23bとで構成されている。
【0032】
第一の車室取付板23を構成する上部材23a及び下部材23bのそれぞれには、開口部4aを閉塞する蓋体7の蓋固定部となる蓋固定用ボルト孔4bと対応する第一貫通孔23c及び第二貫通孔23dが形成されている。第一貫通孔23cは、第一の車室取付板23の上部材23a及び下部材23bをそれぞれ固定するためのものであり、蓋固定用ボルト孔4bに螺合される固定用ボルト24(
図4参照)の軸部が挿通される孔本体と、上部材23aの車室4と接触する面と反対側で孔本体から拡径して固定用ボルト24の頭部が収容される収容凹部とを有する。また、第二貫通孔23dは、後述するように基端固定部25を固定するためのものであり、蓋固定用ボルト孔4bに螺合される固定用ボルト29の軸部が挿通される孔本体のみが形成されている。また、上部材23aと下部材23bとには、第一貫通孔23c及び第二貫通孔23dがそれぞれ二つ、計4つの貫通孔が形成されているが、上部材23aでは、第一貫通孔23cが中心よりに配置されているとともに第二貫通孔23dが第一貫通孔23cの外側にそれぞれ配置されているのに対して、下部材23bでは、第二貫通孔23dが中心よりに配置されているとともに第一貫通孔23cが第二貫通孔23dの外側にそれぞれ配置されて、上部材23aと下部材23bとで第一貫通孔23cと第二貫通孔23dの配置関係が逆となっている。
【0033】
また、上部材23aの内縁側には、レール11と対応する位置に内周側に突出し先端部材20を着脱可能に連結するための連結部23eが設けられている。
図12に示すように、連結部23eには、先端部材20のレール本体11aが挿入されるガイド挿入孔23fと、ガイド挿入孔23fの両側に設けられたボルト挿通孔23gとが形成されている。一方、レール11の先端部材20の基端20bは、補強部材11bに対してレール本体11aが、第一の車室取付板23の肉厚分だけ突出している。このため、ガイド挿入孔23fにレール本体11aを挿入させて、補強部材11bを第一の車室取付板23に当接させると、レール本体11aの端部が第一の車室取付板23の補強部材11bが当接した一面23hと反対側の他面23iと略一致した状態となる。また、補強部材11bの端部には、ボルト挿通孔23gと対応して連結用ボルト孔11eが形成されている。このため、他面23i側からボルト挿通孔23gに挿通させた連結用ボルト23kを連結用ボルト孔11eに螺合させることで、第一の車室取付板23の上部材23aとレール11の先端部材20とが連結されることとなる。ここで、ボルト挿通孔23gには、連結用ボルト23kの頭部を収容する収容凹部23jが形成されており、これにより連結用ボルト23kが他面23i側に突出しないような構成となっている。
【0034】
また、
図4に示すように、レール11において、基端部材21は、車室4に固定された基端固定部25によって、先端21aが先端部材20と連結されるとともに、基端21bが車室4に支持された状態となる。具体的には、
図13から
図15に示すように、基端固定部25は、第一の車室取付板23を介して車室4に取り付けられる取付部材となる第二の車室取付板26と、第二の車室取付板26からレール11の基端11g側に向かって突出する支持部材27と、支持部材27の基端に設けられてレール11の基端部材21の基端21bが連結される固定板28とを有する。第二の車室取付板26は、第一の車室取付板23と対応して車室4の開口部4a外縁に沿う略円環状に形成されている。そして、
図14に示すように、第二の車室取付板26には、第一の車室取付板23の上部材23a及び下部材23bに形成された計4つの第二貫通孔23dと連通する4つの第三貫通孔26aが形成されている。そして、固定用ボルト29(
図4参照)を第三貫通孔26a及び第二貫通孔23dを挿通させて蓋固定用ボルト孔4bに螺合させることで、第二の車室取付板26を、間に第一の車室取付板23を挟んだ状態で車室4に固定することができる。
【0035】
また、第二の車室取付板26の内周縁側には、第一の車室取付板23同様に、レール11と対応する位置に内周側に突出し基端部材21を着脱可能に連結するための連結部26bが設けられている。連結部26bの構造は、第一の車室取付板23の連結部23eと同様であり、基端部材21の先端21aにおいて補強部材11bに対してレール本体11aが第二の車室取付板26の肉厚分だけ突出しており、連結用ボルト26cで固定されている。これにより、レール11の基端部材21と先端部材20とは、第一の車室取付板23及び第二の車室取付板26を介して連結され、基端部材21及び先端部材20のレール本体11a同士が、端部が付き合わされて互いに連通するようになる。
【0036】
また、支持部材27は、本実施形態では車室4に取り付けられた状態で燃焼器軸線Lを挟んで対をなすように設けられている。さらに、支持部材27の基端に固定された固定板28は、
図15に示すように、略円板状の部材で、支持部材27及びレール11の基端部材21の基端21bが固定されている。すなわち、レール11は、全体として先端11fとなる先端部材20の先端20aが、支持ピン22によって車室4の内面に固定されている。また、レール11は、全体として基端11gとなる基端部材21の基端21bが、基端固定部25を構成する第二の車室取付板26、支持部材27及び固定板28を介して車室4の外面に固定されて、支持された状態となる。さらに、本実施形態では、先端部材20の基端20b及び基端部材21の先端21a、すなわちレール11の概略中央位置でも、第一の車室取付板23及び第二の車室取付板26を介して車室4の外面に固定され、支持された状態となる。
【0037】
また、進退機構13は、
図6に示すように、レール11に沿って配設された台形ネジ31(ねじ軸)と、台形ネジ31に螺合された雌ねじブロック32と、燃焼器尾筒3に固定された尾筒固定部材33と、雌ねじブロック32と尾筒固定部材33との間に介在されたスライド部材34とを有している。ここで、
図16は、進退機構13の構成を示す分解斜視図である。尚、
図16では台形ネジ31については図示を省略している。また、本明細書において台形ネジ31とは、ねじ山の断面形状が台形であるネジ部材を意味している。ここで、本実施形態では、本発明に係るねじ軸として台形ネジ31を用いているが、これに代えてボールネジを用いてもよい。しかし、本実施形態のようにねじ軸として台形ネジ31を用いた方が、ボールネジと比較してゴミ等の異物の影響によって動作に支障が生じにくいという利点や、荷重の作用に対して撓みが生じにくいという利点がある。
【0038】
台形ネジ31は、
図4に示すように、車室4の軸と略平行して延びるように配置され、その長手方向端部が固定板28によって回転可能に支持されている。そして、この台形ネジ31は、その長さ方向の一部分が車室4の内部に位置するとともに、残りの部分は車室4の外部へ突出している。また、
図6に示すように、台形ネジ31は、水平方向で一対のレール11の中央部であって、上下方向で車室4の開口縁部に近接した位置に配置されている。
【0039】
雌ねじブロック32は、
図16に示すように、断面略半円形状の本体部321と、平板形状の嵌合片322とを有している。そして、本体部321を貫通してネジ穴321aが形成されている。また、図に詳細は示さないが、このネジ穴321aの内周面には雌ねじが切られている。また、嵌合片322は、その横幅W1すなわちネジ穴321aの軸方向に直交する方向への幅が、本体部321の横幅W2より幅広に形成されている。このように構成される雌ねじブロック32は、そのネジ穴321aに対して台形ネジ31が螺合される。
【0040】
尾筒固定部材33は、
図16に示すように、平面視略矩形の本体部331と、この本体部331の上面から突出して設けられた一対のピン332とを有している。ここで、本体部331の長手方向両端部には、平面視略矩形の切欠き部331aがそれぞれ形成されている。この切欠き部331aは、レール11のアーム部12bが嵌合されるものである。また、一対のピン332は、それぞれ断面略円形状であって、間隔L1を空けて設けられている。このように構成される尾筒固定部材33は、
図4に示すように、本体部331に形成された一対の切欠き部331aに対し、一対のレール11のアーム部12bがそれぞれ嵌合され且つ固定される。これにより、尾筒固定部材33は、一対のレール11のアーム部12bの間に架け渡された状態となっている。
【0041】
スライド部材34は、
図16に示すように、断面略H形状の部材である。このスライド部材34の上面には、嵌合溝341が形成されている。ここで、この嵌合溝341の溝幅W3は、前記雌ねじブロック32の嵌合片322の横幅W1より大きく形成されている。また、嵌合溝341の開口幅W4は、前記雌ねじブロック32の本体部321の横幅W2より大きく形成されている。
【0042】
また、スライド部材34には、一対のピン挿入穴342が形成されている。これらピン挿入穴342は、断面略円形状を有し、その内径は前記ピン332の外径と同程度かそれより若干大きく形成されている。また、これらピン挿入穴342の高さは、前記ピン332の高さと同程度に形成されている。そして、一対のピン挿入穴342の間隔L2は、前記ピン332の間隔L1と略等しく形成されている。
【0043】
このように構成されるスライド部材34は、
図16に示すように、その嵌合溝341に対して嵌合片322が嵌合されることにより、その上部に雌ねじブロック32が取り付けられる。この時、前述のように、嵌合溝341の溝幅W3が嵌合片322の横幅W1より幅広に形成されるとともに、嵌合溝341の開口幅W4が本体部321の横幅W2より幅広に形成されている。従って、嵌合溝341の内部において嵌合片322には
図6に示す線分SBと平行する方向への移動が許容されている。尚、図に詳細は示さないが、スライド部材34の両端面は板部材等によってそれぞれ覆われ、この板部材等が嵌合溝341の両端開口を封止している。これにより、嵌合片322には嵌合溝341の内部において縦方向すなわち横幅方向に略直交する方向への移動が拘束されている。
【0044】
また、スライド部材34は、
図16に示すように、一対のピン挿入穴342に対して一対のピン332がそれぞれ挿入されることにより、尾筒固定部材33に対して取り付けられる。この時、スライド部材34には、ピン332がピン挿入穴342から突出しまたはピン挿入穴342に没入することにより、
図6に示す線分SBと直交する方向への移動が許容されている。このようにして、スライド部材34が、雌ねじブロック32と尾筒固定部材33とを、雌ねじ軸MAと直交する平面内で相対移動可能に連結している。
【0045】
(作用効果)
次に、本発明の第一実施形態に係る尾筒組み立て装置10の作用効果について説明する。
図17は、第一実施形態に係る尾筒組み立て装置10の作用効果の説明図である。まず、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12が、レール11に沿って等しい距離ずつ移動している時、燃焼器尾筒3の軸線は燃焼器1の軸線に一致している。この場合、
図17(a)に示すように、雌ねじブロック32の嵌合片322は、スライド部材34の嵌合溝341の内部において溝幅方向中央部に位置している。またこの場合、尾筒固定部材33の一対のピン332は、スライド部材34のピン挿入穴342の内部に、根元部分までそれぞれ挿入された状態となっている。
【0046】
また、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12の間で、レール11に沿った移動距離にズレが生じることにより、
図6に示すように一対のレール11を結ぶ線分SBと平行な方向へ燃焼器尾筒3が移動する場合がある。しかし、この場合、
図17(a)に示す状態からスライド部材34が紙面に向かって右側へ移動して
図17(b)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。或いは、
図17(a)に示す状態からスライド部材が紙面に向かって左側へ移動して
図17(c)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。従って、燃焼器尾筒3の移動によっても台形ネジ31には荷重が作用せず、台形ネジ31に撓みは生じない。これにより、台形ネジ31をスムーズに回転させることができ、燃焼器尾筒3のスムーズな移動が可能となる。
【0047】
また、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12の間で、レール11に沿った移動距離にズレが生じることにより、
図6に示すように一対のレール11を結ぶ線分SBと直交する方向へ燃焼器尾筒3が移動する場合がある。しかし、この場合、
図17(a)に示す状態から尾筒固定部材33が紙面に向かって下側へ移動して
図17(d)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。従って、燃焼器尾筒3の移動によっても台形ネジ31には加重が作用せず、台形ネジ31に撓みは生じない。これにより、台形ネジ31をスムーズに回転させることができ、燃焼器尾筒3のスムーズな移動が可能となる。
【0048】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る回転機械の部材組み立て装置について説明する。尚、本実施形態でも、第一実施形態と同様、回転機械としてガスタービンを、回転機械を構成する部材として燃焼器尾筒を例にして説明する。本実施形態に係る尾筒組み立て装置10は、第一実施形態に係る尾筒組み立て装置10と比較すると、進退機構40の構成だけが異なっている。それ以外の構成は、第一実施形態と同じであるため、同じ符号を使用し、その説明を省略する。
【0049】
図18は、第二実施形態の進退機構40の説明図である。進退機構40は、台形ネジ41(ねじ軸)と、台形ネジ41に螺合される雌ねじブロック42と、燃焼器尾筒3に固定される尾筒固定部材43と、雌ねじブロック42と尾筒固定部材43との間に介在されるスライド部材44とを有している。
【0050】
雌ねじブロック42は、
図18に示すように、断面略半円形状の本体部421と、平板形状の平板部422と、平板部422の底面から突出したピン423とを有している。そして、本体部421を貫通してネジ穴421aが形成されている。また、図に詳細は示さないが、このネジ穴421aの内周面には雌ねじが切られている。
【0051】
尾筒固定部材43は、
図18に示すように、平板状の嵌合片431を有している。また、この尾筒固定部材43の上面には、前記ピン423を挿入するためのピン挿入穴432が形成されている。このピン挿入穴432の穴径D1は、前記ピン423の外径D2よりも大きく形成されている。
【0052】
スライド部材44は、
図18に示すように、断面略C字形状の部材である。このスライド部材44の下面には、嵌合溝441が形成されている。ここで、この嵌合溝441の溝幅W5は、尾筒固定部材43の嵌合片431の横幅W6より大きく形成されている。また、スライド部材44には、ピン423と略同径のピン挿通穴442が貫通形成されている。
【0053】
このように構成されるスライド部材44は、
図18(a)に示すように、その嵌合溝441に対して嵌合片431が嵌合されることにより、その下部に尾筒固定部材43が取り付けられる。この時、前述のように、嵌合溝441の溝幅W5が嵌合片431の横幅W6より幅広に形成されている。従って、嵌合溝441の内部において嵌合片431には、
図6に示す線分SBと平行する方向への移動が許容されている。尚、図に詳細は示さないが、スライド部材44の両端面は板部材等によってそれぞれ覆われ、この板部材等が嵌合溝441の両端開口を封止している。これにより、嵌合片431には嵌合溝441の内部において縦方向すなわち横幅方向に略直交する方向への移動が拘束されている。
【0054】
また、スライド部材44は、
図18(a)に示すように、そのピン挿通穴442に対してピン423が挿通されることにより、その上部に雌ねじブロック42が取り付けられる。そして、このピン423は、尾筒固定部材43のピン挿入穴432に対して挿入される。この時、スライド部材44には、ピン423がピン挿入穴432から突出しまたはピン挿入穴432に没入することにより、
図6に示す線分SBと直交する方向への移動が許容されている。このようにして、スライド部材44が、雌ねじブロック42と尾筒固定部材43とを、雌ねじ軸MAと直交する平面内で相対移動可能に連結している。
【0055】
次に、本発明の第二実施形態に係る尾筒組み立て装置10の作用効果について説明する。まず、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12が、レール11に沿って等しい距離ずつ移動している時、燃焼器尾筒3の軸線は燃焼器1の軸線に一致している。この場合、
図18(a)に示すように、尾筒固定部材43の嵌合片431は、スライド部材44の嵌合溝441の内部において溝幅方向中央部に位置している。またこの場合、雌ねじブロック42のピン423は、スライド部材44のピン挿通穴442を貫通して、尾筒固定部材43のピン挿入穴432に挿入されている。
【0056】
また、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12の間で、レール11に沿った移動距離にズレが生じることにより、
図6に示すように一対のレール11を結ぶ線分SBと平行な方向へ燃焼器尾筒3が移動する場合がある。しかし、この場合、
図18(a)に示す状態から尾筒固定部材43が紙面に向かって右側へ移動して
図18(b)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。或いは、
図18(a)に示す状態から尾筒固定部材43が紙面に向かって左側へ移動して
図18(c)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。従って、燃焼器尾筒3の移動によっても台形ネジ41には荷重が作用せず、台形ネジ41に撓みは生じない。これにより、台形ネジ41をスムーズに回転させることができ、燃焼器尾筒3のスムーズな移動が可能となる。
【0057】
また、燃焼器尾筒3に設けられた複数の支持部12の間で、レール11に沿った移動距離にズレが生じることにより、
図6に示すように一対のレール11を結ぶ線分SBと直交する方向へ燃焼器尾筒3が移動する場合がある。しかし、この場合、
図18(a)に示す状態から尾筒固定部材43及びスライド部材44が紙面に向かって下側へ移動して
図18(d)に示す状態となることにより、燃焼器尾筒3の移動が吸収される。従って、燃焼器尾筒3の移動によっても台形ネジ41には加重が作用せず、台形ネジ41に撓みは生じない。これにより、台形ネジ41をスムーズに回転させることができ、燃焼器尾筒3のスムーズな移動が可能となる。
【0058】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る回転機械の部材組み立て装置について説明する。尚、本実施形態でも、第一実施形態と同様、回転機械としてガスタービンを、回転機械を構成する部材として燃焼器尾筒を例にして説明する。本実施形態に係る尾筒組み立て装置10も、第一実施形態に係る尾筒組み立て装置10と比較すると、進退機構50の構成だけが異なっている。それ以外の構成は、第一実施形態と同じであるため、同じ符号を使用し、その説明を省略する。
【0059】
図19は、第三実施形態の進退機構50の構成を示す分解斜視図である。進退機構50は、不図示の台形ネジ(ねじ軸)と、台形ネジに螺合される雌ねじブロック51と、燃焼器尾筒3に固定される尾筒固定部材52と、雌ねじブロック51と尾筒固定部材52との間に介在されるスライド部材53とを有している。
【0060】
図19に示すように、雌ねじブロック51には、溝部511が形成されている。また、尾筒固定部材52には、突起521が形成されている。そして、スライド部材53には、溝部511に嵌合する凸部531が形成されるとともに、この凸部531に直交する方向へ延びるようにして、突起512に嵌合する凹部532が形成されている。
【0061】
このような構成によれば、雌ねじブロック51に対してスライド部材53がスライドすることにより、或いは尾筒固定部材52がスライド部材53に対してスライドすることにより、
図6に示す線分SBと平行な方向または直交する方向への燃焼器尾筒3の移動を吸収することができる。
【0062】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。