(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一のノズルは、前記第一のノズルの先端出口における前記予混合気において、前記内筒の径方向外方側となる第一の範囲と比較して、前記内筒の径方向内方側となる第二の範囲の燃料濃度を相対的に高くする請求項1に記載の燃焼器。
前記第一のノズルは、前記第一のノズルの先端出口における前記予混合気において、前記内筒の径方向内方側となる第二の範囲と比較して、前記内筒の径方向外方側となる第一の範囲の燃料濃度を相対的に高くする請求項1に記載の燃焼器。
前記複数の燃料吐出部は、それぞれ燃料吐出孔を備え、前記燃料吐出孔は複数の群に分かれており、各群はそれぞれ独立した燃料供給路に接続され、前記燃料の吐出量を変化させている請求項4から6のうちいずれか一項に記載の燃焼器。
前記第一のノズルは、前記ノズル本体の外周に複数設けられ、前記予混合気の旋回流を形成するスワラー翼を有し、前記複数の燃料吐出部は、前記スワラー翼に形成されている請求項4から7のうちいずれか一項に記載の燃焼器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような燃焼器においては、内筒や尾筒の内周面に沿って冷却空気を流したり、吹き付けたりして、内筒、尾筒及びその周辺部材の冷却を図るのが通常である。また、複数のメインノズルのバーナー筒と、パイロットノズルの外側に配置されるパイロットコーンとの間に形成される空間に冷却空気が流れる構造となっている。
【0006】
しかしながら、従来の燃焼器では、バーナー筒の出口端部における予混合気の燃料濃度を半径方向に均一化させたとしても、火炎面に到達するまでに上記の冷却空気が混入するために、火炎面での燃料濃度は均一とならず、局所的に燃料濃度が高くなる部分が生じる可能性がある。ここで、燃焼における火炎温度に依存するサーマルNOxは、火炎温度の上昇に対して指数関数的に増加する。このため、燃料濃度が局所的に高いために火炎の温度が局所的に高くなる箇所が生じると、NOxが増加してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、燃焼器及びガスタービンのNOxの発生を抑止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る燃焼器は、外部から空気が供給される内筒と、前記内筒の軸方向に延在すると共に前記内筒の内周に沿って間隔を空けて複数設けられ、それぞれ前記空気と燃料との予混合気を前記内筒の内部に供給する第一のノズルと、前記内筒が基端に接続されると共に前記第一のノズルから供給された前記予混合気を燃焼させて火炎面を形成する尾筒とを備え、前記各第一のノズルは、軸方向において前記火炎面が均一な温度となるように、その第一のノズルの中心軸周りに燃料濃度を変化させて前記予混合気を供給する。
この構成によれば、軸方向において火炎面が均一な温度となるように、各第一のノズルがその中心軸周りに燃料濃度を変化させて予混合気を供給するので、予混合気に冷却空気が混入したとしても、軸方向に亘って予混合気の燃料濃度の偏りを緩和することが可能である。これにより、軸方向に亘って均一的な燃料濃度の予混合気によって火炎面が形成されることとなり、軸方向において火炎面が不均一な温度で燃焼するのを抑止すると共にNOxの発生を抑止することができる。
【0009】
また、前記第一のノズルは、前記第一のノズルの先端出口における前記予混合気において、前記内筒の径方向外方側となる第一の範囲と比較して、前記内筒の径方向内方側となる第二の範囲の燃料濃度を相対的に高くしてもよい。
すなわち、例えば、第一のノズルと第一のノズルの内側に設けられる第二のノズルとの間を流れる冷却空気により、第一のノズルから供給される予混合気の燃料濃度が影響を受ける場合、第一のノズルから供給される予混合気の燃料濃度は、第一の範囲においてが相対的に下がり難く、第二の範囲において相対的に下がり易いので、第二の範囲の燃料濃度を第一の範囲と比較して相対的に高く設定する。これにより、比較的に簡単な構成で、火炎面に到達する予混合気の燃料濃度を軸方向において均一的にすることができる。
【0010】
この明細書において、予混合気において、内筒の径方向外方側となる第一の範囲とは、一つの第一のノズルにより生成される予混合気のうち、内筒の径方向外方側のすべての領域が第一の範囲であるとは限られず、径方向外方側の領域の全部又は一部により第一の範囲が構成されることを意味する。同様に、予混合気において、内筒の径方向内方側となる第二の範囲とは、内筒の径方向外方側の領域の全部又は一部により第二の範囲が構成されることを意味する。
【0011】
また、前記第一のノズルは、前記第一のノズルの先端出口における前記予混合気において、前記内筒の径方向内方側となる第二の範囲と比較して、前記内筒の径方向外方側となる第一の範囲の燃料濃度を相対的に高くしてもよい。
すなわち、例えば、内筒や尾筒の内周面を流れる冷却空気により第一のノズルから供給される予混合気の燃料濃度が影響を受ける場合、第一のノズルから供給される予混合気の燃料濃度は、第一の範囲において相対的に下がり易く、第二の範囲において相対的に下がり難いので、第一の範囲の燃料濃度を第二の範囲と比較して相対的に高く設定する。これにより、比較的に簡単な構成で、火炎面に到達する予混合気の燃料濃度を軸方向において均一的にすることができる。
【0012】
また、前記第一のノズルは、前記第一のノズルの中心軸上に設けられたノズル本体と、前記ノズル本体の外周に複数設けられ、前記燃料を吐出する複数の燃料吐出部とを有し、前記複数の燃料吐出部は、前記第一のノズルの中心軸回りに吐出量を変化させて前記燃料を吐出してもよい。
この構成によれば、前記複数の燃料吐出部が第一のノズルの中心軸回りに吐出量を変化させて燃料を吐出するので、その第一のノズルの中心軸周りに予混合気の燃料濃度を容易に変化させることができる。
【0013】
また、前記複数の燃料吐出部は、それぞれ燃料吐出孔を備え、前記燃料吐出孔の開口面積を異ならせて前記燃料の吐出量を変化させてもよい。
この構成によれば、燃料吐出孔の数量が異なるので、比較的に簡素な構成で燃料の吐出量を変化させ、予混合気の燃料濃度を変化させることができる。
【0014】
また、前記複数の燃料吐出部は、それぞれ燃料吐出孔を備え、前記燃料吐出孔の数量を異ならせて前記燃料の吐出量を変化させてもよい。
この構成によれば、燃料吐出孔の開口面積が異なるので、比較的に簡素な構成で燃料の吐出量を変化させ、予混合気の燃料濃度を変化させることができる。
【0015】
また、前記複数の燃料吐出部は、それぞれ燃料吐出孔を備え、前記燃料吐出孔は複数の群に分かれており、各群はそれぞれ独立した燃料供給路に接続され、前記燃料の吐出量を変化させてもよい。
この構成によれば、燃料吐出孔が複数の群に分かれて、それぞれ独立した燃料供給路に接続されているので、例えば、各燃料供給路の燃料供給圧力を制御することにより、各群の燃料吐出量を任意に変化させ、ひいては予混合気の燃料濃度や各群間の燃料濃度比を変化させることができる。また、運転時においても、各群の燃料吐出量や各群間の燃料濃度比を任意に変化させることができる。
【0016】
また、前記第一のノズルは、前記ノズル本体の外周に複数設けられ、前記予混合気の旋回流を形成するスワラー翼を有し、前記複数の燃料吐出部は、前記スワラー翼に形成されてもよい。
この構成によれば、複数の燃料吐出部がスワラー翼に形成されているので、予混合気に旋回流が形成され、その結果、予混合気の燃料濃度を径方向に効率的に調整することができる。
【0017】
また、前記スワラー翼は、前記ノズル本体の径方向における複数の位置に前記燃料吐出部を有し、これら複数の燃料吐出部は、前記ノズル本体の径方向に吐出量を変化させて前記燃料を吐出してもよい。
この構成によれば、複数の燃料吐出部が、ノズル本体の径方向に吐出量を変化させて燃料を吐出するので、予混合気の燃料濃度を径方向に調整することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンとを備えるガスタービンであって、前記燃焼器は、上記のうちいずれかの燃焼器を備えてもよい。
この構成によれば、上記のうちいずれかの燃焼器を備えるので、NOxの発生が抑止されたガスタービンを構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る燃焼器によれば、NOxの発生を抑止することができる。
本発明に係るガスタービンによれば、NOxの発生が抑止されたガスタービンを構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1の実施形態〕
以下、図面を参照し、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスタービン1の全体構成を示す概略構成断面図である。
図1に示すように、このガスタービン1は、圧縮機2と複数の燃焼器10とタービン3とで概略構成されている。
【0022】
圧縮機2は、空気を作動流体として取り込んで圧縮空気(空気)Aを生成する。
複数の燃焼器10は、
図1に示すように、圧縮機2の出口に連通しており、圧縮機2から供給された圧縮空気Aに燃料を混合すると共に燃焼させて高温且つ高圧の燃焼ガスBを発生させる。
タービン3は、燃焼器10から送り出された燃焼ガスBの熱エネルギをロータ1aの回転エネルギに変換する。そして、この回転エネルギがロータ1aに連結された発電機(不図示)に伝達される。
なお、各燃焼器10は、それぞれの燃焼器中心軸P2を、ガスタービン1におけるロータ1aの回転中心軸P1に対して、燃焼器10の入口側が出口側よりも径方向に離れる側に傾けた状態で放射状に配設されている。
【0023】
図2は、燃焼器10の拡大断面図である。
図2に示すように、各燃焼器10は、外筒11と、内筒12と、メインノズル(第一のノズル)14と、パイロットノズル(第二のノズル)13と、尾筒15とを備えている。
【0024】
外筒11は、その中心軸を燃焼器中心軸P2に重ねており、軸方向一端側の外周から径方向外方側に延出するフランジ11fが車室ケーシング1bに固定されている。この外筒11の軸方向他端側の基端部11a側には、メインノズル14に燃料を供給する燃料供給部10aと、メインノズル14を支持するノズル管台20とが配設されている。
【0025】
内筒12は、外筒11よりも小径に形成されており、その中心軸を燃焼器中心軸P2に重ねている。この内筒12は、基端開口部12b側から延出した支持部12f等を介して外筒11に固定されている。
このような内筒12は、
図2に示すように、外筒11との間隙が圧縮空気Aの流路とされており、外筒11の基端部11a側の基端開口部12bから圧縮空気Aが内部に導入される。
【0026】
パイロットノズル13は、長尺状に形成されており、燃焼器中心軸P2上に配設されている。このパイロットノズル13は、基端13b側をノズル管台20等に支持されており、先端13a側を内筒12に包囲されている。このようなパイロットノズル13は、燃料供給部10aから基端13b側に供給された燃料により、先端13a側にパイロット炎を形成する。なお、燃料供給部10aは、必要に応じて、メインノズル本体21の基端21b側の周囲に形成された燃料供給路10bと、メインノズル本体21の基端21b側の底部に形成された燃料供給路10cとを備える構成としてもよい。
【0027】
メインノズル14は、内筒12の内周に沿って等ピッチに環状に複数(例えば、八本)配設されている。これら複数のメインノズル14は、それぞれのノズル中心軸P3(
図3参照)が燃焼器10の燃焼器中心軸P2に平行になるように配設されている。
【0028】
図3は、燃焼器10の要部拡大断面図であり、
図4は、
図3におけるI矢視図である。
図3に示すように、各メインノズル14は、メインノズル本体21と、複数のメインスワラー翼22と、メインノズル筒23と、延長管24とを備えている。また、パイロットノズル13は、パイロットノズル本体25と、複数のパイロットスワラー翼26と、パイロットノズル筒27と、パイロットコーン28とを備えている。
【0029】
メインノズル本体21は、
図2に示すように、長尺状に形成されており、ノズル中心軸P3上に位置している。このメインノズル本体21は、
図2に示すように、基端21b側がノズル管台20に支持されており、燃料供給部10aと接続された燃料流路を内部に有している。
【0030】
メインスワラー翼22は、
図3及び
図4に示すように、メインノズル本体21の先端21a側の外周に放射状に複数(本実施形態では、六つ)配設されており、この予混合気Mの旋回流を形成する。
【0031】
各メインスワラー翼22には、
図4に示すように、燃料吐出部22A,22Bが配設されている。
燃料吐出部22A,22Bは、メインスワラー翼22の圧力面22a及び負圧面22bに形成された一対の燃料吐出孔22cによって構成されており、燃料吐出部22Aが径方向外方側に、燃料吐出部22Bが径方向内方側に形成されている。
【0032】
燃料吐出孔22cは、それぞれメインノズル本体21の燃料流路に連通している。この燃料吐出孔22cは、燃料吐出部22A,22Bのそれぞれについて、圧力面22aに形成された燃料吐出孔22cが径方向外方側に、負圧面22bに形成された燃料吐出孔22cが径方向内方側に位置するように形成されている。
【0033】
このような構成により、
図3に示すように、燃料吐出部22A,22Bは、燃料吐出孔22cから燃料fを吐出して圧縮空気Aと燃料fとの予混合気Mを生成する。
【0034】
メインノズル筒23は、その中心軸をノズル中心軸P3と重ねて配置され、筒先端開口23a及び筒基端開口23bがそれぞれ軸方向に向いている。そして、このメインノズル筒23は、各メインノズル本体21の先端21aと複数のメインスワラー翼22とを包囲している。
【0035】
延長管24は、軸方向の管基端開口24b側がメインノズル筒23の筒先端開口23a側と接続されている。この延長管24は、先端開口部(先端出口)24a側において、管基端開口24b側から管先端開口24a側に進むに従って、流路断面が漸次小さくなっている。
この延長管24は、管先端開口24aの径方向外周壁側から冷却フィルムのための冷却空気a2を流出させる。
【0036】
このようなメインノズル14は、パイロットノズル13と同様に、メインノズル筒23や延長管24等が位置する先端側を内筒12に包囲されている。
【0037】
パイロットノズル13は、パイロットノズル本体25の先端25a側に、パイロットノズル筒27を備え、このパイロットノズル筒27とパイロットノズル本体25との間に環状の空間が形成される。そして、円筒状のパイロットノズル筒27とパイロットノズル本体25との間にパイロットスワラー翼26が配設されており、このパイロットスワラー翼26が圧縮空気Aの旋回流を形成する。
パイロットコーン28は、パイロットノズル筒27の筒先端開口27a側に、基端開口28bが接続されている。このパイロットコーン28は、基端開口28bから先端開口28aに進むに従って、流路面積が漸次大きくなっている。
また、延長管24とパイロットコーン28との間隙には冷却空気a1の流路が形成されており、この流路から流出した冷却空気a1により、延長管24やパイロットコーン28を冷却する。
【0038】
図2及び
図3に示すように、尾筒15は、基端開口15bが内筒12の先端開口部12a側に接続されると共に、先端開口(軸方向先端)15aがタービン3に連通している。この尾筒15は、メインノズル14から供給された予混合気Mを燃焼させ、先端開口15a側に向かうに従って径方向外方側に広がる火炎面Fを形成する。
図3に示すように、この尾筒15と内筒12との間隙には、冷却空気a3の流路が形成されており、この流路から流入した冷却空気a3が尾筒15の内周面に沿って流れて冷却フィルムを形成する。また、
図3に示すように、内筒12の先端開口部12aの下流側からも冷却空気a4が流入する。
なお、本実施形態では、この冷却空気a1〜a4のうち、延長管24とパイロットコーン28との間隙から流出する冷却空気a1の影響が支配的となる場合について説明する。
【0039】
上述したように、メインノズル14は、圧縮空気Aと燃料fとの予混合気Mを内筒12の内部に供給する。その際、メインノズル14は、軸方向において火炎面Fが均一な温度となるように、そのメインノズル14のノズル中心軸P3周りに燃料濃度を変化させて予混合気Mを供給する。
メインノズル14は、管先端開口24aにおいて、内筒12の径方向外方側(燃焼器中心軸P2から離れる側)となる第一の範囲S1と比較して、内筒12の径方向内方側となる第二の範囲S2の燃料濃度を相対的に高くする。
【0040】
この具体的な構成としては、
図4に示すように、六つの燃料吐出部22Aのうち、吐出した燃料fが第一の範囲S1に到達するグループG1の燃料吐出量を少なくし、吐出した燃料fが第二の範囲S2に到達するグループG2の燃料吐出量を多くしている。
より詳細には、
図4に示すように、内筒12の径方向内方側に位置する二つの燃料吐出部22A及びこれら二つの燃料吐出部22Aに対して旋回方向に隣接する一つの燃料吐出部22Aと(グループG1)、残りの三つの燃料吐出部22A(グループG2)とで、燃料吐出孔22cの開口面積が異なっている。
なお、六つの燃料吐出部22Bにおける各燃料吐出孔22cの大きさは同一である。
【0041】
燃料吐出孔22cの開口面積は、燃料吐出部22Bに属する燃料吐出孔22cの孔径を1とすると、グループG1に属する燃料吐出孔22cの孔径が0.9に設定され、グループG2に属する燃料吐出孔22cの孔径が1.1に設定されている。
なお、燃料吐出孔22cの位置や数、及び、孔径の大きさは、管先端開口24aの濃度分布に応じて定められている。
【0042】
このように、六つの燃料吐出部22Aの燃料吐出量が、メインノズル14のノズル中心軸P3回りで二種類に分かれている。また、同一のメインスワラー翼22において、メインノズル本体21の径方向外方側の燃料吐出部22Aと、内方側の燃料吐出部22Bとで燃料吐出量が異なっている。
このような構成により、メインノズル本体21の燃料流路における燃料fに圧力を作用させると、各燃料吐出孔22cから開口面積に応じた量の燃料fが圧縮空気Aに吐出される。
【0043】
次に、上述した燃焼器10の作用について説明する。
ガスタービン1の運転を開始すると、圧縮機2が圧縮空気Aを生成する。この圧縮空気Aは、
図2に示すように、各燃焼器10の内筒12の基端開口部12bから内筒12の内部に流入する。
【0044】
内筒12の内部に流入した圧縮空気Aは、一部がパイロットノズル13によるパイロット炎の燃焼に用いられ、一部がメインノズル14のメインノズル筒23に流入する。
各燃料吐出孔22cは、メインスワラー翼22に流入した圧縮空気Aに対して、開口面積に応じた量の燃料fを吐出する。そして、吐出された燃料fと圧縮空気Aとがメインスワラー翼22によって混合されて予混合気Mが生成されると共に、予混合気Mの旋回流が形成される。
【0045】
このような予混合気Mは、延長管24の管先端開口24aに到達した際に、第一の範囲S1の濃度が相対的に低く、第二の範囲S2の濃度が相対的に高くなる。
【0046】
管先端開口24aから流出した予混合気Mは、
図3に示すように火炎面Fを形成する。
より詳細には、予混合気Mは、燃焼器10の燃焼器中心軸P2方向の下流側に流れていくが、内筒12の内方側(燃焼器中心軸P2側)の予混合気Mほど、上流域において径方向内方側で燃焼する。換言すれば、内筒12の径方向外方側の予混合気Mほど、より下流域に到達すると共に、より径方向外方側で燃焼する。
【0047】
つまり、筒先端開口23aから流出した予混合気Mは、内筒12の内方側であって、第一の範囲S1と比較して燃料濃度が高くなった第二の範囲S2から先に燃焼する。
一方、予混合気Mが下流側に流れていくと、予混合気Mが下流域に流れるまでの間に第二の範囲S2に冷却空気a1が混入し、管先端開口24aで相対的に高かった燃料濃度が希薄になって第一の範囲S1と同程度の燃料濃度となる。
このようにして、予混合気Mの燃焼する範囲が内筒12の内方側から径方向外方側に順次移っていき、軸方向において略同一の燃料濃度となった予混合気Mによって火炎面Fが形成される。このようにして形成された火炎面Fは、軸方向において火炎温度が均一的になって、NOxの発生が僅かなものとなる。
【0048】
以上説明したように、燃焼器10によれば、軸方向において火炎面Fが均一な温度となるように、各メインノズル14がそのノズル中心軸P3周りに燃料濃度を変化させて予混合気Mを供給するので、軸方向に亘って予混合気Mの燃料濃度の偏りを緩和することが可能である。これにより、予混合気Mに冷却空気a1が混入したとしても、軸方向に亘って均一的な燃料濃度の予混合気Mによって火炎面Fが形成されることとなり、軸方向において火炎面Fが不均一な温度で燃焼するのを抑止すると共にNOxの発生を抑止することができる。
【0049】
図5は、メインノズル14の管先端開口24aにおける予混合気Mの燃料濃度を温度に換算したものと、
図3の断面に対応する、予混合気Mの火炎面Fでの火炎温度を示したものであり、ノズル中心軸P3からの径方向位置を縦軸、燃料濃度から換算した温度(温度換算濃度)を横軸としている。なお、
図5において、実線が予混合気Mの火炎面Fでの火炎温度、破線が管先端開口24aにおける予混合気Mの燃料濃度を温度に換算した値である。
また、
図6は、燃料吐出孔22cの開口面積をノズル中心軸P3の周りにおいて全て同一(燃料吐出部22Aの燃料吐出孔22cが燃料吐出部22Bの燃料吐出孔22cと同一の孔径)にした場合の比較例である。
【0050】
比較例のように燃料吐出孔22cの開口面積をノズル中心軸P3の周りにおいて全て同一のものとして、管先端開口24aにおける濃度分布を概ね均一的なものとすると、
図6に実線で示すように、火炎面Fでは内筒12の径方向外方側で温度ピークR(最高火炎温度)が生じ、この部分で局所的に火炎温度が高くなる。その一方で、温度ピークRより径方向内方側になるに従って、火炎温度が急激に低下する。
これは、冷却空気a1によって、径方向内方側の予混合気Mの燃料濃度が低下しやすいためである。
【0051】
一方、本発明の燃焼器10では、比較例に対して、
図5に示すように、管先端開口24aにおける濃度分布は均一ではなく、径方向外方側に対して径方向内方側の濃度が相対的に高くなっている。また、本発明の燃焼器10では、比較例に対して、火炎面Fにおける予混合気の火炎温度は概ね均一となっている。さらに、本発明の燃焼器10では、比較例と比較して、
図5に実線で示すように、温度ピークRが低くなっている。このように、燃焼器10では、全体的に見て燃焼温度が均一的なものとなっており、局所的な火炎温度の上昇を低減できるので、NOxの発生が十分に抑止される。
【0052】
また、メインノズル14の管先端開口24aにおいて、内筒12の径方向外方側となる第一の範囲S1と比較して、内筒12の径方向内方側の第二の範囲S2での燃料濃度を相対的に高くする。すなわち、相対的に燃料濃度が下がり難く下流側で燃焼する第一の範囲S1の燃料濃度を低く設定し、相対的に燃料濃度が下がり易く上流側で燃焼する第二の範囲S2の燃料濃度を高く設定する。これにより、比較的に簡単な構成で、火炎面Fに到達する予混合気Mの燃料濃度を軸方向において均一的にすることができる。
【0053】
また、六つのメインスワラー翼22にそれぞれ形成された燃料吐出部22Aの燃料吐出量がノズル中心軸P3回りで二種類に分かれているので、管先端開口24aから流出した後に早い段階で燃え易い第二の範囲S2と、下流域まで流れて遅れて燃える第一の範囲S1に対応させて、ノズル中心軸P3周りに予混合気Mの燃料濃度を容易に変化させることができる。
【0054】
また、同一のメインスワラー翼22においてメインノズル14の径方向の外方側の燃料吐出部22Aと、内方側の燃料吐出部22Bとで燃料吐出量を変化させているので、予混合気Mの燃料濃度を容易かつ適切に径方向に調整することができる。
【0055】
また、燃料吐出孔22cの開口面積が異なるので、比較的に簡素な構成で燃料吐出量を変化させ、予混合気Mの燃料濃度を変化させることができる。
【0056】
さらに、ガスタービン1によれば、燃焼器10を備えるので、NOxの発生が抑止された構成とすることができる。
【0057】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、延長管24とパイロットコーン28との間隙から流出する冷却空気a1の影響が支配的となる場合について説明したが、第2の実施形態では、延長管24の管先端開口24aの径方向外周壁側からの冷却フィルムのための冷却空気a2、尾筒15と内筒12との間隙の流路から流入した冷却空気a3、内筒12の先端開口部12aの下流側から流入した冷却空気a4などの、内筒の径方向外方側の冷却空気の影響が支配的となる場合について説明する。このため、第1の実施形態と同様の構成については記載を省略する。
【0058】
本実施形態では、メインノズル14は、管先端開口24aにおいて、内筒12の径方向内方側(燃焼器中心軸P2に近付く側)となる第二の範囲S2と比較して、内筒12の径方向外方側となる第一の範囲S1の燃料濃度を相対的に高くする。
【0059】
この具体的な構成としては、
図4において、六つの燃料吐出部22Aのうち、吐出した燃料fが第一の範囲S1に到達するグループG1の燃料吐出量を多くし、吐出した燃料fが第二の範囲S2に到達するグループG2の燃料吐出量を少なくしている。
なお、燃料吐出孔22cの位置や数、及び、孔径の大きさは、管先端開口24aの濃度分布に応じて定められている。
【0060】
次に、上述した燃焼器10の作用について説明する。
予混合気Mは、延長管24の管先端開口24aに到達した際に、第一の範囲S1の濃度が相対的に高く、第二の範囲S2の濃度が相対的に低くなる。
【0061】
つまり、筒先端開口23aから流出した予混合気Mは、内筒12の内方側であって、第一の範囲S1と比較して燃料濃度が低くなった第二の範囲S2から先に燃焼する。
一方、予混合気Mが下流側に流れていくと、予混合気Mが下流域に流れるまでの間に第一の範囲S1に冷却空気a2〜a4が混入し、管先端開口24aで相対的に高かった燃料濃度が希薄になって第二の範囲S2と同程度の燃料濃度となる。
このようにして、予混合気Mの燃焼する範囲が内筒12の内方側から径方向外方側に順次移っていき、軸方向において略同一の燃料濃度となった予混合気Mによって火炎面Fが形成される。
このようにして形成された火炎面Fは、軸方向において火炎温度が均一的になって、NOxの発生が僅かなものとなる。
【0062】
以上説明したように、燃焼器10によれば、軸方向において火炎面Fが均一な温度となるように、各メインノズル14がそのノズル中心軸P3周りに燃料濃度を変化させて予混合気Mを供給するので、軸方向に亘って予混合気Mの燃料濃度の偏りを緩和することが可能である。
これにより、予混合気Mに冷却空気a2〜a4が混入したとしても、軸方向に亘って均一的な燃料濃度の予混合気Mによって火炎面Fが形成されることとなり、軸方向において火炎面Fが不均一な温度で燃焼するのを抑止すると共にNOxの発生を抑止することができる。
【0063】
図7は、管先端開口24aにおける径方向の予混合気Mの燃料濃度を温度に換算したものと、対応する予混合気Mの火炎面Fでの火炎温度を示したものであり、実線が予混合気Mの火炎面Fでの火炎温度、破線が管先端開口24aにおける予混合気Mの燃料濃度を温度に換算した値である。
また、
図8は、燃料吐出孔22cの開口面積をノズル中心軸P3の周りにおいて全て同一(燃料吐出部22Aの燃料吐出孔22cが燃料吐出部22Bの燃料吐出孔22cと同一の孔径)にした場合の比較例である。
【0064】
比較例のように燃料吐出孔22cの開口面積をノズル中心軸P3の周りにおいて全て同一のものとして、管先端開口24aにおける濃度分布を概ね均一的なものとすると、
図8に実線で示すように、火炎面Fでは内筒12の径方向外方側で温度ピークR(最高火炎温度)が生じ、この部分で局所的に火炎温度が高くなる。その一方で、温度ピークRより径方向外方側になるに従って、火炎温度が急激に低下する。
これは、冷却空気a2〜a4によって、径方向外方側の予混合気Mの燃料濃度が低下しやすいためである。
【0065】
一方、本発明の燃焼器10では、比較例に対して、
図7に示すように、管先端開口24aにおける濃度分布は均一ではなく、径方向内方側に対して径方向外方側の濃度が相対的に高くなっている。また、本発明の燃焼器10では、比較例に対して、火炎面Fにおける予混合気の火炎温度は概ね均一となっている。さらに、本発明の燃焼器10では、比較例と比較して、
図7に実線で示すように、温度ピークRが低くなっている。このように、燃焼器10では、全体的に見て燃焼温度が均一的なものとなっており、局所的な火炎温度の上昇を低減できるので、NOxの発生が十分に抑止される。
【0066】
また、メインノズル14の管先端開口24aにおいて、内筒12の径方向内方側となる第二の範囲S2と比較して、内筒12の径方向外方側の第一の範囲S1での燃料濃度を相対的に高くする。すなわち、相対的に燃料濃度が下がり易く下流側で燃焼する第一の範囲S1の燃料濃度を高く設定し、相対的に燃料濃度が下がり難く上流側で燃焼する第二の範囲S2の燃料濃度を低く設定する。
これにより、比較的に簡単な構成で、火炎面Fに到達する予混合気Mの燃料濃度を軸方向において均一的にすることができる。
【0067】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例を挙げれば、上述した実施の形態では、燃料吐出孔22cの開口面積を異ならせることにより、燃料吐出量を異ならせて燃料濃度を変化させた。しかし、これに代えて例えば、各燃料吐出孔22cの数量や各燃料吐出孔22cに対する供給圧力を変化させて燃料吐出量を異ならせることにより、燃料濃度を変化させてもよい。あるいは、これらを適宜組み合わせて燃料濃度を変化させてもよい。
【0068】
以下、
図9から12を参照して、本発明の第1の実施形態または第2の実施形態の変形例について説明する。
図9は、メインノズル14を中心軸方向先端側から視た図である。また、
図10は、メインノズル14の概略構成を示す正面図であり、
図11、
図12は、それぞれ
図10におけるメインノズル14のX−X断面、Y−Y断面図を示している。
【0069】
この変形例は、
図9に示すように、メインノズル14が、互いに独立した第1燃料供給系統と第2燃料供給系統を備えていて、メインノズル本体22が、第1燃料供給系統に連通し第1圧力領域30A(網掛部)に属する燃料吐出孔22cと、第2燃料供給系統に連通し第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cとを有している。
【0070】
第1燃料供給系統及び第2燃料供給系統における燃料fの供給圧力を調整することにより、第1圧力領域30Aの燃料吐出孔22cから吐出する燃料fの吐出量と、第2圧力領域30Bの燃料吐出孔22cから吐出する燃料fの吐出量を、それぞれ調整可能とされている。その他は上記第1の実施形態または第2の実施形態と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
具体的には、メインノズル本体21は、
図9及び
図10に示すように、メインノズル本体21の先端21a側の外周に放射状に複数(本実施形態では、六つ)配設された各メインスワラー翼22のうち、例えば、三つが第1圧力領域30Aに属し、残りの三つが第2圧力領域30Bに属している。
また、第1圧力領域30Aは第一の範囲S1と対応するグループG1を、第2圧力領域30Bは第二の範囲S2と対応するグループG2を含んで構成されている。
なお、燃料吐出孔22cの位置や数、及び、孔径の大きさは、管先端開口24aの濃度分布に応じて設定することができる。
【0072】
各メインスワラー翼22は、
図9、
図10に示すように、例えば、圧力面22a、負圧面22bに、それぞれ二つずつ燃料吐出孔22cが形成されていて、圧力面22aに形成された燃料吐出孔22cが、負圧面22bに形成された燃料吐出孔22cよりも相対的に径方向外方側に配置されている。
【0073】
ここで、各メインスワラー翼22の圧力面22a及び負圧面22bにおいて、それぞれ径方向外方側に位置された一対の燃料吐出孔22cは、燃料吐出部22Aを構成している。
【0074】
また、各メインスワラー翼22の圧力面22a及び負圧面22bにおいて、それぞれ径方向内方側に位置された一対の燃料吐出孔22cは、燃料吐出部22Bを構成している。
【0075】
メインノズル本体21は、
図10に示すように、第1燃料供給系統を構成する第1燃料供給路31と、第2燃料供給系統を構成する第2燃料供給路32とを内部に有しており、第1燃料供給系統及び第2燃料供給系統は圧力的に独立していて、燃料供給部10aと接続されている。
【0076】
第1燃料供給路31は、例えば、第1燃料供給口31Aと、第1燃料流路31Bと、燃料貯留部31Cと、第1分岐路31Dとを備え、第1燃料供給口31Aはメインノズル本体21の側部に形成され、燃料貯留部31Cは第1分岐路31Dを介して各燃料吐出孔22cに分岐されている。
【0077】
また、第2燃料供給路32は、例えば、第2燃料供給口32Aと、第2燃料流路32Bと、燃料貯留部32Cと、第2分岐路32Dとを備え、第2燃料供給口32Aはメインノズル本体21の基端21b側の端面に形成され、燃料貯留部32Cは第2分岐路32Dを介して各燃料吐出孔22cに分岐されている。
【0078】
燃料貯留部31Cと燃料貯留部32Cは、
図10、
図12に示すように、メインノズル本体21内に周壁部21Fに囲まれて隣接して配置されて、燃料貯留部31Cと燃料貯留部32Cは仕切壁部21Gにより仕切られて圧力的に互いに独立している。
【0079】
また、燃料貯留部31C及び燃料貯留部32Cを設けることにより、第1圧力領域30Aに属する燃料吐出孔22cに供給する燃料fの流量及び第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cに供給する燃料fの流量を安定するとともに、第1燃料流路31B、及び第2燃料流路32Bと対応する各燃料吐出孔22cの連通を容易に行うことができる。
【0080】
また、この変形例では、
図2に示すように、第1燃料供給口31Aは、燃料供給部10aから連通しメインノズル本体21の基端21b側の周囲に形成された燃料供給路10bから燃料fが供給され、第2燃料供給口32Aは、燃料供給部10aから連通しメインノズル本体21の基端21b側の底部に形成された燃料供給路10cから燃料fが供給されるようになっている。
【0081】
この実施形態において、燃料供給部10aは、例えば、第1燃料供給系統及び第2燃料供給系統における燃料fの供給圧力等のパラメータの設定を調整して、第1燃料供給路31及び第2燃料供給路32に供給する燃料fの流量を調整するようになっている。
【0082】
すなわち、この変形例では、第1燃料供給系統、及び第1燃料供給系統と独立した第2燃料供給系統により燃料fを供給し、第1燃料供給系統及び第2燃料供給系統の供給圧力を個別に制御することにより、第1燃料供給系統及び第2燃料供給系統の燃料fの流量、ひいては、第1圧力領域30A及び第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cからの燃料fの吐出量を調整するようになっている。
【0083】
例えば、第1圧力領域30Aに属する燃料吐出孔22cの供給圧力を、第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cよりも高くすることにより、グループG1に属する燃料吐出孔22cは、グループG2に属する燃料吐出孔22cよりも相対的に多量の燃料fが吐出し、これにより、予混合気の燃料濃度は、内筒12の第一の範囲S1が第二の範囲S2よりも高くなるようになっている。
【0084】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0085】
例えば、上記実施の形態においては、内筒12の径方向内方側が第一の範囲S1とされ、内筒12の径方向外方側が第二の範囲S2とされる場合について説明したが、例えば、第一の範囲S1が内筒12の径方向外方側の一部とされ、又は第二の範囲S2が内筒12の径方向内方側の一部とされてもよいし、第一の範囲S1及び第二の範囲S2が、内筒12の径方向外方側及び径方向内方側のそれぞれ一部をなす構成としてもよい。
【0086】
また、例えば、上記実施の形態においては、メインノズル14が、第一の範囲S1と対応する第1圧力領域30Aに属する燃料吐出孔22cと、第二の範囲S2と対応する第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cの2種類の燃料吐出孔22cを備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0087】
例えば、各メインノズル14で生成した予混合気Mの内筒12の径方向外方側の領域が第一の範囲S1を含む複数の領域に区分され、又は第一の範囲S1が複数の異なる燃料濃度の領域に区分されることにより、複数の燃料濃度からなる予混合気を内筒12の径方向外方側に供給する場合等において、内筒12の径方向外方側と対応している燃料吐出孔22cを、第1圧力領域30Aに加えて、第1圧力領域30Aと独立した個別の燃料供給系統に連通する構成としてもよい。
【0088】
また、例えば、各メインノズル14で生成した予混合気Mの内筒12の径方向内方側の領域が第二の範囲S2を含む複数の領域に区分され、又は第二の範囲S2が複数の異なる燃料濃度の領域に区分されることにより、複数の燃料濃度からなる予混合気を内筒12の径方向内方側に供給する場合等において、内筒12の径方向内方側と対応している燃料吐出孔22cを、第2圧力領域30Bに加えて、第2圧力領域30Bと独立した個別の燃料供給系統に連通する構成としてもよい。
なお、内筒12の径方向外方側及び径方向内方側の双方に、それぞれ複数の独立した燃料供給が設けられていてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態においては、メインノズル14が、グループG1に属する3つのメインスワラー翼22とグループG2に属するメインスワラー翼22を備え、第1圧力領域30A及び第2圧力領域30Bに属する各メインスワラー翼22に、それぞれ四つの第1燃料吐出孔22cが形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0090】
例えば、メインノズル14が備えるメインスワラー翼22の数、グループG1及びグループG2と対応するメインスワラー翼22の数や、第1圧力領域30A及び第2圧力領域30Bと対応するメインスワラー翼22の数は任意に設定することができる。
また、それぞれのメインスワラー翼22に形成される燃料吐出孔22c数についても任意に設定することができる。
【0091】
また、上記実施の形態においては、メインノズル14が6つのメインスワラー翼22を備える場合について説明したが、例えば、メインノズル14がメインスワラー翼22を備えない構成としてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態においては、第1圧力領域30Aに属する燃料吐出孔22cと、第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cとは、同数で配置が互いに対応し、それぞれの開口面積が同一とされる場合について説明したが、例えば、第1圧力領域30Aに属する燃料吐出孔22cと、第2圧力領域30Bに属する燃料吐出孔22cの数、配置、数、開口面積のいずれか又はすべてが異なる設定としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態においては、第1圧力領域30Aが第1燃料系統に接続され、第2圧力領域30Bが第2燃料系統に接続されて、第1燃料系統、第2燃料系統の圧力等のパラメータを制御することにより、第1圧力領域30Aと第2圧力領域30Bに属する各燃料吐出孔22cから吐出する燃料fの吐出量を調整する場合について説明したが、例えば、第1燃料供給口31A、第2燃料供給口32Aや第1燃料流路31B、第2燃料流路32B等、各燃料供給系統の流路面積や流路抵抗等の設定により、各燃料供給系統が供給する燃料fの流量を調整する構成としてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態においては、第1燃料供給路31が、第1燃料供給口31Aと、第1燃料流路31Bと、燃料貯留部31Cと、第1分岐路31Dとを備える場合について説明したが、上記構成に限定されないことは、いうまでもない。第2燃料供給路32についても同様である。
【0095】
また、第1圧力領域30A及び第2圧力領域30Bに属する各燃料吐出孔22cの数、開口面積の設定により燃料fの供給量を調整してもよい。
また、これらを適宜組み合わせて燃料濃度を変化させてもよい。
【0096】
また、上述した実施の形態では、内筒12の内周面に沿って間隔を空けてメインノズル14が配設される燃焼器10において、燃焼器中心軸P2上に配設されるパイロットノズル13によりパイロット炎を形成し、これによってメインノズル14からの予混合気に着火して予混合燃焼を行う構成について示したが、この構成に限定されない。例えば、内筒の内周面に沿って間隔を空けて配置される複数の第一のノズルと、燃焼器中心軸上に配置される第2のノズルとを備え、前記第一と第二のノズルが各々独立して予混合燃焼が可能である燃焼器においても本発明を適用することが可能である。