特許第5743243号(P5743243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECディスプレイソリューションズ株式会社の特許一覧

特許5743243画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法
<>
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000002
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000003
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000004
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000005
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000006
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000007
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000008
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000009
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000010
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000011
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000012
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000013
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000014
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000015
  • 特許5743243-画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743243
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
   G09F9/00 351
   G09F9/00 350Z
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-523716(P2013-523716)
(86)(22)【出願日】2011年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2011065706
(87)【国際公開番号】WO2013008286
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2013年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】300016765
【氏名又は名称】NECディスプレイソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】三橋 練一
【審査官】 佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−207385(JP,A)
【文献】 特開2002−244570(JP,A)
【文献】 特開2010−256506(JP,A)
【文献】 特開2008−052133(JP,A)
【文献】 特開2008−141606(JP,A)
【文献】 特開2000−003138(JP,A)
【文献】 実開平02−019183(JP,U)
【文献】 実開平05−046184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け機構であって、
前記画像表示装置の背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定し、前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付け
前記取り付け用壁受け具は、横方向に延びる基板の両端で上方に延びる起立部を有しており、該起立部の側端縁には起立部に直交する方向に係止受け部を有する起立片を設け、前記係止受け部は起立片の上部がV字状に切り欠かれており、
前記取り付け具の上部に設けた係止部を係止可能な前記係止受け部と前記取り付け具の下部の取り付け部を固定する固定受け部とを、高さ方向の異なる位置にそれぞれ設けたことを特徴とする画像表示装置の取り付け機構。
【請求項2】
前記起立片の係止受け部は、前記V字状の傾斜部のうち取り付け具側の傾斜部の角度α1が他方の傾斜部の角度α2よりも垂直方向に対する傾斜角が大きく形成されている請求項1に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項3】
前記取り付け用壁受け具は、前記係止受け部を設けた第一壁部材と前記固定受け部を設けた第二壁部材と、に分割されている請求項2に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項4】
前記画像表示装置の背面における厚型部の側面には電気線及び/または信号線を接合する端子が配列されており、前記取り付け用壁受け具には前記画像表示装置の厚型部の前記端子を壁面に対して近接する位置から離間する位置まで変位させて支えるための支持部材が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項5】
前記画像表示装置の背面における薄型部に固定された取り付け具の上部には、前記厚型部の側面に締結具で固定可能な係止片が設けられており、該係止片に着脱可能な追加部材を連結して長さを延長させ、該追加部材の他端を前記厚型部の側面に前記締結具で固定することで、前記画像表示装置を前記追加部材の長さに応じて前記壁面に対して傾斜状態で保持させてなる請求項1乃至4のいずれか1項に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項6】
前記取り付け具の上部には、前記取り付け具の主部から直交する方向に延びて折り曲げたアーム部が設けられ、該アーム部の折り曲げた部分に前記係止片が設けられている請求項5に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項7】
前記アーム部の折り曲げた部分には貫通孔が形成され、該貫通孔に挿通された固定ボルトが厚型部の側面に形成したネジ穴に螺合されている請求項6に記載された画像表示装置の取り付け機構。
【請求項8】
画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け機構であって、
前記画像表示装置の背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定し、前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付け、
前記取り付け用壁受け具の第一壁部材と前記画像表示装置の背面上部における薄肉部とをチェーンで連結して前記画像表示装置を傾斜可能に保持すると共に、
前記第一壁部材の側面に形成した折り曲げ部に設けた係止ボルトを前記画像表示装置の上部取り付け具に設けた係止具の先端係止部に係止させ、
前記取り付け用壁受け具の第二壁部材の係合受け部に設けた係合孔に、前記画像表示装置の下部取り付け具に設けた係止凹部を嵌合させてなることを特徴とする画像表示装置の取り付け機構。
【請求項9】
画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け方法であって、
前記画像表示装置は背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、
前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定する工程と、
前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付ける工程とを有し、
前記取り付け用壁受け具は、横方向に延びる基板の両端で上方に延びる起立部を有しており、該起立部の側端縁には起立部に直交する方向に係止受け部を有する起立片を設け、前記係止受け部は起立片の上部がV字状に切り欠かれており、
前記取り付け具の上部に設けた係止部を前記係止受け部に係止させると共に、前記取り付け具の下部に設けた取り付け部を前記係止受け部と高さの異なる固定受け部に取り付けるようにしたことを特徴とする画像表示装置の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ等の各種のディスプレイからなる薄型等の画像表示装置を壁面に取り付ける壁掛け方式の画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンやテレビ等のディスプレイ用モニターを備えた表示装置として、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に代表される薄型の表示装置が広く普及している。これらの表示装置の中には、床面に設置したスタンドに取り付けることなく、室内の壁面に取り付けて壁掛け方式のディスプレイとして観察できるようにしたものがある。
このような壁掛け方式を採用すると、スタンドや置き台が不要であり、室内空間を占有することがないので室内の広いスペースを有効利用できる上に、壁掛けディスプレイが壁面に飾った絵画のようにインテリアとしても利用できるため、審美性も向上するという利点もある。
【0003】
このような壁掛けディスプレイとして、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。この壁掛け方式の画像表示装置は、ディスプレイ画面を有するモニター本体の裏面がキャビネットによって覆われており、裏面の両側部と上部は略U字状の薄型部とされ、その他の略四角形の領域がキャビネットとして覆われて肉厚の厚型部とされている。そして、キャビネットには複数の貫通孔が穿孔され、これらの貫通孔にインサートナットが螺合されて板状の金具の貫通孔を介してボルトがインサートナットの貫通孔に螺合する。更に金具には軸部を介して壁面に取り付けられた取り付け金具が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−233018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した画像表示装置は、画像表示装置の背面であるキャビネットに溶着されたインサートナットを介して金具が固定され、更に金具から軸部を介して取り付け金具が壁面に取り付けられているから、概ね金具から取り付け金具までの厚みを介して画像表示装置が壁面から室内に突出することになり、画像表示装置の壁面からの突出寸法が大きいという欠点がある。
しかも、軸部を介して比較的面積の小さい取り付け金具に連結すると、画像表示装置の荷重が軸部や取り付け金具の狭い断面積にかかるため、単位面積当たりの荷重が大きく取り付け状態での耐久性に問題が生じ易い。
【0006】
一方、上述の画像表示装置で、軸部を設けないで、キャビネットやこれに取り付けた金具の背面に隙間を設けず、直接、壁面に固定した取り付け金具を連結すると、画像表示装置の背面のキャビネット内に設けた電源装置や回路基板が通電によって発熱するため、熱を画像表示装置の外部に逃がして放熱することが十分できないという欠点が生じる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みて、画像表示装置の背面からの放熱性を確保しながらも壁面からの突出長さを短く設定して室内のスペースを有効利用できるようにした画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による画像表示装置の取り付け機構は、画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け機構であって、前記画像表示装置の背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定し、前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付け、前記取り付け用壁受け具は、横方向に延びる基板の両端で上方に延びる起立部を有しており、該起立部の側端縁には起立部に直交する方向に係止受け部を有する起立片を設け、前記係止受け部は起立片の上部がV字状に切り欠かれており、前記取り付け具の上部に設けた係止部を係止可能な前記係止受け部と前記取り付け具の下部の取り付け部を固定する固定受け部とを、高さ方向の異なる位置にそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明による画像表示装置の取り付け機構は、画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け機構であって、前記画像表示装置の背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定し、前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付け、前記取り付け用壁受け具の第一壁部材と前記画像表示装置の背面上部における薄肉部とをチェーンで連結して前記画像表示装置を傾斜可能に保持すると共に、前記第一壁部材の側面に形成した折り曲げ部に設けた係止ボルトを前記画像表示装置の上部取り付け具に設けた係止具の先端係止部に係止させ、前記取り付け用壁受け具の第二壁部材の係合受け部に設けた係合孔に、前記画像表示装置の下部取り付け具に設けた係止凹部を嵌合させてなることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による画像表示装置の取り付け方法は、画像表示装置を壁面に固定する画像表示装置の取り付け方法であって、前記画像表示装置は背面が中央の厚型部とその周辺部の薄型部とで段差が形成されてなり、前記厚型部の両側の側面に取り付け具を取り付けてその両側の前記薄型部にそれぞれ固定する工程と、前記取り付け具を壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止することで前記画像表示装置を取り付ける工程とを有し、前記取り付け用壁受け具は、横方向に延びる基板の両端で上方に延びる起立部を有しており、該起立部の側端縁には起立部に直交する方向に係止受け部を有する起立片を設け、前記係止受け部は起立片の上部がV字状に切り欠かれており、前記取り付け具の上部に設けた係止部を前記係止受け部に係止させると共に、前記取り付け具の下部に設けた取り付け部を前記係止受け部と高さの異なる固定受け部に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明による画像表示装置の取り付け機構及び取り付け方法によれば、画像表示装置の背面における厚型部の両側に設けられた薄型部に取り付け具を固定して、壁面に固定した取り付け用壁受け具に係止したから、厚型部に取り付け具を設けて壁面に固定した画像表示装置と比較して、壁面からの突出長さを小さく設定できることになり、室内の有効スペースを広く取ることができると共に審美性が高い。
しかも、画像表示装置の取り付け具と壁面に固定した取り付け用壁受け具とを係止するようにしたから、少なくとも取り付け用壁受け具の取り付け具に対向する突出部分だけ画像表示装置の背面の厚型部と壁面との間隙を形成できるから厚型部からの放熱性を確保できる。

【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態による画像表示装置の背面を壁面に固定した取り付け用壁受け具に固定した状態を壁面側から見た取り付け機構の斜視図である。
図2】画像表示装置の背面と取り付け具を分離して示す分解斜視図である。
図3図1に示す取り付け用壁受け具を画像表示装置側からみた斜視図である。
図4】取り付け具のアーム部と第一壁部材の係止受け部との係止状態を示す要部分解斜視図である。
図5】取り付け具の固定部と第二壁部材の固定受け部との固定状態を示す要部側面図である。
図6】第二壁部材のストッパーを示す斜視図である。
図7】第二壁部材のストッパーによって画像表示装置を傾斜状態に保持する側面図である。
図8】取り付け具のアーム部先端の係止片に追加部材を連結固定した要部斜視図である。
図9】画像表示装置を壁面に対して俯角を持たせた状態の要部斜視図である。
図10】本発明の第二実施形態による画像表示装置を縦置きするために固定した取り付け具で壁面の取り付け用壁受け具に固定した状態を壁面側から見た取り付け機構の斜視図である。
図11図10に示す画像表示装置に取り付け具を固定した状態を示す斜視図である。
図12】取り付け用壁受け具を画像表示装置側から見た斜視図である。
図13】取り付け具のアーム部と第一壁部材の係止受け部との係止状態を示す要部斜視図である。
図14】取り付け具の固定部と第二壁部材の固定受け部との係合状態を示す要部斜視図である。
図15】第一壁部材に設けたチェーンによって画像表示装置を傾斜状態に保持する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
図1乃至図9によって本発明の第一の実施形態による画像表示装置の取り付け機構について説明する。
図1及び図2に示す画像表示装置1の取り付け機構2は、画像表示装置1の背面3を図示しない壁面に固定した取り付け用壁受け具4に取り付けたものである。画像表示装置1の背面3は図2に示すように、例えば四辺に形成された薄板状の薄型面5と、薄型面5で囲われて形成されていて薄型面5よりも厚みのある中央の厚型部6とで段付きに構成されている。
【0017】
なお、厚型部6内には通常、電源装置や回路基板等が内蔵されている。画像表示装置1は略長方形板状に形成されており、本実施形態は画像表示装置1の長辺方向を横方向にして取り付け用壁受け具4に取り付け固定するための横置き用の取り付け機構2に関する。
【0018】
図2に示す画像表示装置1の背面3において、厚型部6の横方向両側に設けた薄型部5において、略U字形状の取っ手8がネジ止め等で固定されている。
この取っ手8は薄型部5への固定面8aが略鈍角をなす二面で形成され、各面にそれぞれボルト穴が形成されている。固定面8aの先端側の面を薄型部5に密着して固定ボルトで固定すると、取っ手8が薄型部5から斜めに起きあがって離間し、把持して運搬等が可能になる。また、固定面8aの基端側の面を薄型部5に密着して固定ボルトで固定すると、取っ手8が薄型部5に密着した平行状態となる。図1及び図2に示す取っ手8は平行状態であり、取り付け機構2の取り付けの邪魔にならない。
【0019】
画像表示装置1の背面3において、厚型部6の横方向の対向する側面6aには略U字状の取り付け具10がそれぞれ固定されている。取り付け具10は画像表示装置1の短手方向に延びる主部11の両端にアーム部12が係止部として直交する方向に短く延びており、アーム部12の先端は略直角に折り曲げられて係止片12aが形成されている。各アーム部12の折り曲げ部の両側にはボルト挿通用の貫通孔12bが形成され、この貫通孔12bに挿通された固定ボルト13が厚型部6の側面6aに形成した一対のネジ穴6bに螺合されることで、取り付け具10が厚型部6の側面6aに固定される。
この状態で、取り付け具10は取っ手8の上側に位置している。
【0020】
また、図1及び図3において、取り付け用壁受け具4は図示しない壁面の上側に固定された略U字型板形状の第一壁部材15と、第一壁部材15の下方に離間して固定された略長方形板状の第二壁部材16とで構成されている。第一壁部材15は第二壁部材16よりも幅狭に形成され、第二壁部材16はその重量と材料使用量を軽減するために複数の孔が形成されている。
図3において、第一壁部材15は横方向に延びる基板15aの両端で上方に延びる起立部15bを有しており、各起立部15bの側端縁には起立部15bに直交する方向に起立片18が設けられている。
【0021】
特に図4に示すように、各起立片18はその上部がV字状に切り欠かれた係止受け部17を有しており、この係止受け部17に取り付け具10のアーム部12が係合して係止保持されている。係止受け部17は、V字状の傾斜部17a、17bのうち、取り付け具10側の傾斜部17aの角度α1の方が他方の傾斜部17bの角度α2よりも垂直方向に対する傾斜角が大きくなる(角度α1>角度α2)ように形成されている。係止受け部17の傾斜部17aが比較的大きいことで、壁面に固定された取り付け用壁受け具4の係止受け部17に対する画像表示装置1の取り付け具10のアーム部12の取り付けと取り外しが容易になる。
【0022】
図2及び図3において、取り付け具10の主部11において、下側のアーム部12の近傍には貫通孔19aが形成された第一固定片19が直角に折り曲げられて形成され、下端部には貫通孔19bが形成された第二固定片20が直角に折り曲げられて形成されている。これら第一及び第二固定片は取り付け部を構成する。
一方、第二壁部材16の両端部には、取り付け具10の第一固定片19に重なるように貫通孔が形成された第一折り曲げ片22が直角に折り曲げられて形成され、更に取り付け具10の第二固定片20に重なるように四角形状に切り欠いて直角に折り曲げた第二折り曲げ片23が形成されている。第二折り曲げ片23は第一折り曲げ片22に直交して略水平に形成されている。そして、取り付け具10の第一固定片19と第二壁部材16の第一折り曲げ片22、または第二固定片20と第二折り曲げ片23のいずれか一方または両方が固定ボルト24とナット25によって締め込まれて締結されるようになっている。
【0023】
このように、画像表示装置1の背面3における厚型部6の両側部に設けた薄型部5に取り付け具10を固定し、この取り付け具10の上部と下部を、壁面に固定した第一壁部材15及び第二壁部材16にそれぞれ固定することで、僅かな間隙Kを開けて画像表示装置1を壁面と略平行に保持でき、しかも図1及び図5に示すように、壁面に対して僅かな間隙Kを以て固定できる。
例えば、図5に示すように、本実施形態による画像表示装置1の取り付け機構2によれば、壁面と画像表示装置1の背面3の厚型部6との間隙Kを約8mmに設定でき、板状の第一壁部材15及び第二壁部材16の厚みを3mmとして、これらの第一及び第二壁部材15,16を固定した位置では間隙Kを5mmに設定できる。
【0024】
次に、図2において、画像表示装置1の背面3の厚型部6における下側の側面6aには電気線や信号線等の雌型端子27が複数配列されている。図2に示す例では、雌型端子27は厚型部6の下側側面6aの右側に多く配列されている。これら雌型端子27に電気線や信号線等の雄型端子28を接続することで、画像表示装置1が導通状態となり、画像表示可能となる。
そして、図3及び図6図7において、第二壁部材16の画像表示装置1側の面には略中央部に回動可能なストッパー30が支持部材として設けられ、このストッパー30は第二壁部材16上に倒れた位置と第二壁部材16に直交する方向に起立した位置とを選択的に取り得るようになっている。尚、ストッパー30が第二壁部材16上に倒れた場合、ストッパー30は画像表示装置1の薄型部5と対向する。
【0025】
上述した構成において、図7に示すように、画像表示装置1の取り付け具10の第一または第二固定片19,20と第二壁部材16の第一折り曲げ片22または第二折り曲げ片23との固定ボルト24及びナット25による固定を解除させ、画像表示装置1を取り付け具10の上側のアーム部12を第一壁部材15の起立片18に設けた係止受け部17に係止させた状態で、画像表示装置1の下部を壁面から離間する方向に回動させて、第二壁部材16上で起立させたストッパー30に係止させることができる。
画像表示装置1は厚型部6の下側の側面6aが壁面に近接した位置で取り付け用壁受け具4に固定されていると側面6aに配列させた雌型端子27に雄型端子28の接続をし難いが、ストッパー30によって画像表示装置1の下部を壁面から離間させて図7に示すように傾斜させると、下側の側面6aに配列させた雌型端子27に雄型端子28を容易に接続できる。
【0026】
次に、図8及び図9において、本実施形態による画像表示装置1では、上述したように、取り付け具10のアーム部12及び折り曲げられた係止片12aにおいて、固定ボルト13を貫通孔12bに通して厚型部6の両側面6aのネジ穴6bに螺合して固定できるようにした。この場合には、画像表示装置1は壁面及び取り付け用壁受け具4に略平行に取り付けられる(図5参照)。
これに対し、観察者が床や椅子等に座った状態で画像表示装置1の画像表示面を観察しようとする場合、その視線は仰角になることがあると画像表示部の上側部分が見にくくなる。そのため、画像表示装置1を取り付け用壁受け具4に対して下方に傾斜させた俯角を以て取り付けるようにしてもよく、このような画像表示装置1に俯角を設けた取り付け機構2について図8及び図9により説明する。
【0027】
図8において、追加の部品として追加部材32を設ける。この追加部材32は平面視略長円の板形状であり、その両側に固定ボルト13を挿通させるための同一形状の貫通孔32a、32bが形成されている。そして、図8に示す例では追加部材32の長手方向の中央に係止片12aの厚さ分だけ段差が形成されている。
そして、図8及び図9に示す取り付け具10の上側のアーム部12において、係止片12aの貫通孔12bと追加部材32の一方の貫通孔32aに固定ボルト13を挿通させて係止片12aに追加部材32を連結する。そして、別の固定ボルト13を追加部材32の他方の貫通孔32bを通して厚型部6の側面6aのネジ穴6bに螺合させる。
【0028】
このように構成すれば、図9に示すように、壁面に密着して固定された取り付け用壁受け具4に対して、画像表示装置1の上端部が下端部に対して追加部材32の長さ分だけ第一壁部材15から離間することになり、画像表示装置1全体として下方に向けて傾斜した俯角を持たせた状態に保持される。
【0029】
上述のように本実施形態による画像表示装置1の取り付け機構2によれば、画像表示装置1の背面3における厚型部6の両側部に設けた薄型部5に取り付け具10をそれぞれ固定し、この取り付け具10の上部と下部を、互いに分離して壁面に固定した第一壁部材15及び第二壁部材16にそれぞれ固定することで、壁面に対して僅かな間隙Kを以て画像表示装置1の背面3を平行に設置できる。そして、厚型部6に内蔵した電源装置や基板が駆動時に加熱されても間隙Kを通して放熱して画像表示装置1を冷却することができる。
特に取り付け具10の上側のアーム部12を第一壁部材15の起立片18に設けた係止受け部17に係合させると共に、取り付け具10の下部に設けた第一固定部19と第二壁部材16の第一折り曲げ片22または第二固定片20と第二折り曲げ片23のいずれか一方または両方が固定ボルト24とナット25によって固定されているから、堅固に固定して壁面に保持できる。
【0030】
また、上述のように画像表示装置1の取り付け具10を取り付け用壁受け具4で平行に固定保持した状態では、厚型部6の下側の側面6aと壁面との距離が小さく壁面からの間隙Kが小さいために、電気線や信号線等の雌型端子27に雄型端子28を装着し難い。
しかしながら、本実施形態によれば、第一及び第二固定片19,20と第一及び第二折り曲げ片22、23の固定ボルト24とナット25による固定を解除し、取り付け具10の上側のアーム部12を第一壁部材15の起立片18に設けた係止受け部17に係合させた状態で、画像表示装置1の下部を壁面から離間するように傾斜させてストッパー30で係止させることができるから、厚型部6の下側の側面6aに設けた電気線や信号線等の雌型端子27を雄型端子で接合し易くなり容易に接合できる。
【0031】
また、取り付け具10の上側のアーム部12の係止片12aに追加部材32を取り付けて係止片12aの部分の長さを長くして、厚型部6の側面6aのネジ穴6bに固定ボルト13で固定することで、画像表示装置1に俯角を持たせることができ、表示画面の下方からの観察が容易になる。
【0032】
なお、本発明による取り付け機構2は上述した第一の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
例えば、上述した第一の実施形態による画像表示装置1では、取り付け用壁受け具4に対して取り付け具10を介して画像表示装置1をわずかな間隙Kで平行に固定保持できるようにした構成と、ストッパー32で厚型部6の雌型端子27を設けた側面6aを壁面から離間させた構成と、画像表示装置1をアーム部12の係止片12aに追加部材32で俯角を持たせる構成とを全て備えているが、このような構成に代えて、これら3種の構成は取り付け機構2に個別に設けても良く、或いは選択的に任意の2種の構成を設けても良い。
【0033】
また、本発明の第二の実施形態による画像表示装置1の取り付け機構35について図10乃至図15により説明するが、上述した第一の実施形態による画像表示装置1の取り付け機構2と同一または同様な部材や部品には同一の符号を用いて説明を省略する。
図10に示す画像表示装置1の取り付け機構35は、略長方形状に形成された画像表示装置1の長辺方向を縦方向にして取り付け用壁受け具36に取り付け固定するための縦置き用の取り付け機構に関する。
【0034】
図10及び図11に示す画像表示装置1は略長方形板状で長手方向を上下方向(縦方向)に配設している。図11に示す画像表示装置1の背面3において、厚型部6の縦方向に対向する薄型部5には取り付け具として、それぞれ板状の上部取り付け具37と下部取り付け具38が、厚型部6の上下の側面6aのねじ穴6bにそれぞれ固定ボルト13によって固定されている。
【0035】
上部取り付け具37は画像表示装置1の短手方向に延びる主部39の両端に係止部40が直交する方向に短く延びており、係止部40の先端係止部40aは略L字形状とされている(図13参照)。先端係止部40aのL字形状は壁面側部分が下方に長く延びている。
主部39の両端に設けた係止部40の内側には、第一実施形態と同一構成の一対のアーム部12が設けられ、アーム部12から略直角に折り曲げられた係止片12aに形成された貫通孔12bに固定ボルト13を挿通して厚型部6の側面6aのネジ穴6bに螺合して固定させている。
なお、係止部40には二つの貫通孔40b、40cが形成され、上側の貫通孔40cの裏面にはナット44が固着されている。
【0036】
また、下部取り付け具38は画像表示装置1の短手方向に延びる主部41の両端が略U字状に屈曲して屈曲部42が形成され、この屈曲部42の凹部42aに形成した貫通孔に固定ボルト13を挿通して厚型部6の側面6aのネジ穴6bに螺合して固定させている。そして、屈曲部42の外側には主部39よりも下方に延びるスリット43aを設けた係止凹部43が取り付け部として形成されている。
ここで、スリット43aの長さは上述した上部取り付け具37の係止部40の先端係止部40aの長さより長く設定されている。
【0037】
また、図10及び図12において、取り付け用壁受け具36は図示しない壁面の上側に固定された略長方形板状の第一壁部材45と、第一壁部材45の下方に離間して固定された略長方形板状の第二壁部材46とで構成されている。これら第一及び第二壁部材45,46はその重量と材料使用量を軽減するために例えば複数の孔が形成されている。
図12は取り付け用壁受け具36の画像表示装置1側の面を示すものであり、第一壁部材45は横方向に延びる基板45aの一方の端部または両方の端部に屈曲部47が形成され、この屈曲部47の一方には支持部材として、索状部材、例えばチェーン48の一端が締結ボルト49によって固定されている。そして、チェーン48の他端を上部取り付け具37の係止部40の貫通孔40cに固定ボルト13によって固定する。
【0038】
なお、屈曲部47のチェーン48を設けたサイドは、画像表示装置1の厚型部6における雌型端子27が形成された右側の側面6a側とされている(図10図15参照)。
また、屈曲部47の下側には、同様に基部45aの両端に一対の折り曲げ部50が形成され、この折り曲げ部50には内側に向かって係止受け部として係止ボルト52が螺合して固定され、更に貫通孔53が形成されている。この係止ボルト52に上述した上部取り付け具37の係止部40の先端係止部40aが係止させられるようになっている。
【0039】
また、図12及び図14において、第二壁部材46にはその基部46aの両側に切り欠け部を画面表示装置1側に断面略L字状に折り曲げた係合受け部54が固定受け部としてそれぞれ形成され、この係合受け部54に設けた係合孔54aに隣接して折り曲げられた係合片54bを有している。この係合片54bに下部取り付け具38の係止凹部43が嵌合して係合することになる。
そして、第一壁部材45と第二壁部材46は上下方向に離間しており、画像表示装置1の厚型部6を挟む上下の薄型部5に対向する位置に固定されている。
【0040】
本第二実施形態による画像表示装置1の取り付け機構35は、画像表示装置1の上部取り付け具37に設けた係止部40の略L字形状をなす先端係止部40aを第一壁部材45の折り曲げ部50から内側に突出させた係止ボルト52に係止させる。これと同時に、下部取り付け具38に設けた係止凹部43を、壁面に固定された第二壁部材46の係合受け部54における係止片54bに嵌合させる。
【0041】
ここで、下部取り付け具38の係止凹部43のスリット43aの長さは、上部取り付け具37の係止部40の先端係止部40aの突出長さより長く設定されているから、先に係止凹部43のスリット43aを第二壁部材46の係止片54bに嵌合させ、次いで上部取り付け具37の係止部40の先端係止部40aを第一壁部材45の係止ボルト52からなる係止受け部に係止させる。そして、固定ボルト13を第二壁部材45の折り曲げ部50の貫通孔53を通して上部取り付け具37の係止部40に設けた貫通孔40bを通して裏面に固定したナット44に螺合することで、画像表示装置1を第一及び第二壁部材45,46に係合させて背面3を平行に固定保持できる。
【0042】
また、画像表示装置1の厚型部6の一方の側面6aに設けられた電気線や信号線の雌型端子27に雄型端子28を接合する場合、取り付け用壁受け具36の第一壁部材45の折り曲げ部50と上部取り付け具37の係止部40を連結した固定ボルト13をナット44から取り外す。
そして、画像表示装置1を若干持ち上げて上部取り付け具37の係止部40の先端係止部40aを第一壁部材45の折り曲げ部50に固定した係止ボルト52から離脱させる。このとき、下部取り付け具38の係止凹部43が第二壁部材46の係合受け部54の係止片54bから離脱しない程度に持ち上げれば、先端係止部40aだけが係止ボルト52から離脱する。
【0043】
次いで、画像表示装置1を壁面から離間する方向に傾斜させると、図15に示すように、画像表示装置1は第一壁部材45と上部取り付け具37とを連結するチェーン48を緊張させて傾斜状態に保持される。この状態で、画像表示装置1の厚型部6の雌型端子27を配列させた側面6aはチェーン48を連結したサイドに設けられているから、壁面との間隙が大きいために雄型端子28を雌型端子27に装着することが容易であり、更にその荷重はチェーン48を介して第一壁部材45によって受けることができるから、画像表示装置1が荷重を受けて動いたり変形したりすることを抑制できる。
【0044】
また、本発明による画像表示装置1の取り付け機構2、35は、背面3の厚型部6を囲うように周囲四辺に薄型部5を形成して取り付け具10または37,38を設けたが、横置き用では少なくとも厚型部6の左右両側、縦置き用では少なくとも厚型部6の上下両側に薄型部5が形成されていればよい。
或いは、横置き用や縦置き用の画像表示装置1に関わらず、厚型部6の左右両側または上下両側のいずれかに薄型部5が形成され取り付け具10または37,38を取り付けてもよい。この場合、縦置き用の画像表示装置1であっても厚型部6の左右両側に薄型部5を形成して取り付け具10をそれぞれ設置して、取り付け用壁受け具4の第一壁部材15と第二壁部材16に取り付けるようにしてもよい。或いは、横置き用の画像表示装置1であっても厚型部6の上下両側に薄型部5を形成して取り付け具37,38をそれぞれ設置して、取り付け用壁受け具36の第一壁部材45と第二壁部材46に取り付けるようにしてもよい。
また、取り付け用壁受け具4、36は第一壁部材15,45と第二壁部材16、46に分割して形成する必要はなく、一体に連結して形成してもよい。この場合には、画像表示装置1と取り付け用壁受け具4、36との間隙は全体に例えば5mm程度になる。
【符号の説明】
【0045】
1 画像表示装置
2、35 取り付け機構
3 背面
4、36 取り付け用壁受け具
5 薄型部
6 厚型部
6a 側面
10 取り付け具
12 アーム部
12a 折り曲げ片
15、45 第一壁部材
16、46 第二壁部材
17 係止受け部
18 起立片
19 第一固定片
20 第二固定片
22 第一折り曲げ片
23 第二折り曲げ片
27 雌型端子
28 雄型端子
30 ストッパー
37 上部取り付け具
38 下部取り付け具
40 係止部
40a 先端係止部
43 係止凹部
43a スリット
48 チェーン
52 係止ボルト
54 係合受け部
54b 係合片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15