(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743310
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】ガスライター
(51)【国際特許分類】
F23Q 2/28 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
F23Q2/28 119B
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-209091(P2010-209091)
(22)【出願日】2010年9月17日
(65)【公開番号】特開2012-63106(P2012-63106A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2013年8月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】393004890
【氏名又は名称】ウインドミル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 達弘
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
実用新案登録第3143834(JP,Y2)
【文献】
実開平02−115657(JP,U)
【文献】
実開昭57−094049(JP,U)
【文献】
特開平09−079574(JP,A)
【文献】
実開昭62−204160(JP,U)
【文献】
実開昭56−103759(JP,U)
【文献】
特表2003−529040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 2/00−2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタンクから噴出させる燃料ガスを空気と混合する混合管と、該混合管の上部に連設される拡散器と、該拡散器を囲うように設けられ前記燃料ガスを安定して燃焼させる燃焼筒と、該燃焼筒の上方に配設される風防部材とを少なくとも備えるガスライターであって、
前記燃焼筒は、少なくとも上部の開口部が楕円状に形成されており、
前記風防部材は、頂部と正面部と両側面部と背面部とを有し、前記頂部の中央位置には横長の溝部が形成され、該溝部の中心部には横長で幅狭なスリット状の炎孔が形成されていること
を特徴とするガスライター。
【請求項2】
前記燃焼筒は、全体が扁平状に形成されていること
を特徴とする請求項1に記載のガスライター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスライターに関するものであり、更に詳しくは、ライター本体の炎孔から出る火炎を幅広で扁平に変形させることにより、径の太い葉巻等への着火にも良好に対応させたガスライターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガスライターとしては、例えば次のような構成のものが知られている。このガスライターは、燃料ガスが充填されるガスタンクと、ガスタンクから噴出させる燃料ガスを空気と混合する混合管と、混合管で混合した混合ガスの流速を減速し拡散させる拡散器と、拡散器で拡散された混合ガスを更に減速及び拡散させて点火と燃焼に充分な流速の空気との混合ガスにする燃焼筒と、燃焼筒内の混合ガスに点火する点火手段とを備える(特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のガスライターは、ジェット噴流で噴出する混合ガスが燃焼筒でバーナー状に着火し燃焼するので、強風下でも使用できるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−91431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来例のガスライターにおいては、ジェット噴流で噴出する混合ガスがバーナー状に燃焼するので、火炎が強くなり、例えばタバコに着火する場合には、先端だけでなく一側面までも偏って燃え過ぎてしまうという問題点を有している。
【0006】
また、径の太い葉巻に着火する場合にあっては、葉巻の先端を満遍なく包み込むような形状の火炎が要望される。
【0007】
従って、従来例におけるガスライターにおいては、たとえ内燃式ガスライターであっても、タバコや葉巻の先端を満遍なく包み込みながら燃焼するガスライターを提供することに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、ガスタンクから噴出させる燃料ガスを空気と混合する混合管と、該混合管の上部に連設される拡散器と、該拡散器を囲うように設けられ前記燃料ガスを安定して燃焼させる燃焼筒と、該燃焼筒の上方に配設される風防部材とを少なくとも備えるガスライターであって、前記燃焼筒は、少なくとも上部の開口部が楕円状に形成されており、前記風防部材は、頂部と正面部と両側面部と背面部とを有し、前記頂部の中央位置には横長の溝部が形成され、該溝部の中心部には横長で
幅狭なスリット状の炎孔が形成されていることである。
【0009】
また、前記燃焼筒は、全体が扁平状に形成されていること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るガスライターによれば、燃焼筒の開口部が楕円状に形成されることと、風防部材の炎孔が横長のスリット状に形成されることとが相乗的に相俟って、たとえ内燃式ガスライターのような火炎の強いライターであっても、炎孔から出る火炎を幅広で扁平に現出させることができる。従って、タバコや葉巻の先端を満遍なく包み込みながら燃焼するので、これらへの着火が良好に行える。
更には、炎孔が横長のスリット状であることから、従来の円形の炎孔に比べて幅狭に形成されることとなり、従って上方からの風に対しても影響を受け難く、火が消え難いという種々の優れた効果を奏する。
【0011】
また、燃焼筒は、全体が扁平状に形成されていることによって、燃焼筒の開口部が楕円状に形成されるだけでなく、ライター本体を薄型に形成することができるという種々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るガスライター11の正面の断面を示す説明図である。
【
図2】本発明に係るガスライター11の右側面の断面を示す説明図である。
【
図3】本発明に係るガスライター11の正面図である。
【
図4】本発明に係るガスライター11の左側面図である。
【
図5】本発明に係るガスライター11の背面図である。
【
図6】本発明に係るガスライター11の平面図である。
【
図11】本発明に係るガスライター11の着火状態を示す正面図である。
【
図12】本発明に係るガスライター11の着火状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、
図1及び
図2において、符号11はガスライターを示し、このガスライター11は、本体ケース12と、本体ケース12の上部に配設される風防部材13と、風防部材13の下部に位置する内燃機構14と、高電圧を発生させて燃料ガスに着火するために設けられる圧電ユニット15とを備えている。
【0014】
本体ケース
12は、
図1から
図6に示すように、薄型の筺体状に形成され、その上端にはキャップ部16を備えている。キャップ部16は、
図5に示すように、本体ケース
12の背面側のヒンジ部16aを介して開閉自在になっており、閉成時にはキャップ部16が風防部材13を施蓋する。
【0015】
また、本体ケース
12の正面側には、
図1及び
図11に示すように、一対の長孔17が形成されており、この長孔17に沿って、着火操作部18が上下動可能なように取り付けられている。
【0016】
風防部材13は、後述する燃焼筒19の上方及びその近傍に配設され、
図7及び
図11に示すように、頂部13aと、正面部13bと、両側面部13c、13cと、背面部13dとを有する。頂部13aの中央位置には、横長の溝部13eが形成されており、この溝部13eの中心部には横長でスリット状の炎孔20が形成されている。炎孔20の寸法の一例を示すと、幅が約1〜2mm程度であり、長さが約7〜9mm程度であることが望ましい。
【0017】
内燃機構14は、
図1に示すように、混合管21と、混合管21の上部に連設される拡散器22と、拡散器22を囲うように設けられて燃料ガスを安定して燃焼させる燃焼筒19とを備えている。
【0018】
混合管21は、中空の筒体状に形成されており、ガスタンク23から噴出させる燃料ガスと空気とを混合する部位である。混合管21の下部側が導電性チューブ28を介してガス噴出ノズル24に連通している。
【0019】
拡散器22は、混合管21から流入してくる燃料ガスの空気との混合を更に促進させながら燃料ガスの流速を減速し拡散させる部位である。
【0020】
燃焼筒19は、セラミック材から成り、
図8から
図10に示すように、筒体を全体的に扁平状に形成して、上部の開口部19aが楕円状を呈すると共に、下部には孔部25が形成されている。この孔部25は、拡散器22を挿通して設置する部位である。また、燃焼筒19には、拡散器22から流入する燃料ガスに点火すための、放電端子32が組み付けられている。
【0021】
圧電ユニット15は、
図1に示すように、伸縮自在に相互に嵌合する外箱15aと内箱15bとを有している。この内箱15bの内部には、図示しない圧電素子、ハンマー、復帰バネ等が組み込まれており、圧電素子をハンマーで打撃して高電圧を生じさせる仕組みである。
【0022】
内箱15bの上部には、導電性を有するユニットキャップ15dが装着されており、このユニットキャップ15dの下端部15eが、後述する弁操作レバー27の一端部に当接している。
【0023】
また、圧電ユニット15は、一方の電極15cに接続された導電線29が上方に向けて延出されており、その先端が前述の放電端子32に連設している。
【0024】
ユニットキャップ15dの上部には、アーム状のシャフト26が組み付けられている。このシャフト26には、着火操作部18の係止部18aが当接しており、着火操作部18の上下の動作に連動してシャフト26が上下動する。その結果、シャフト26の下端側でユニットキャップ15dを介して内箱15bを上下動させる仕組みになっている。
【0025】
外箱15aの側部には、弁操作レバー27が配設されている。この弁操作レバー27には、前述のようにユニットキャップ15dの下端部15eが当接しており、従って、着火操作部18の上下の動作に連動して弁操作レバー27が上下動する仕組みになっている。弁操作レバー27の他端部は、ガス噴出ノズル24の頸部を挟持して弁を開成及び閉成可能なように組み付けられている。
【0026】
なお、
図1中の符号33は、キャップ部16のロック装置を示し、符号34はダンパーを示し、符号35はスプリングを示す。
【0027】
以上のように構成されるガスライター11は、着火操作部18を押し下げ操作すると、シャフト26が連動して押し下がり、その結果、ユニットキャップ15dが押し下がる。同時にユニットキャップ15dの下端部15eが弁操作レバー27を押し下げて、ガス噴出ノズル24が開弁する。このようにガス噴出ノズル24が開弁すると、ガスタンク23からバルブ機構30を介して燃料ガスが噴出し、燃焼筒19に流入する。
【0028】
この燃料ガスの燃焼筒19への流入と略同時に、シャフト26がユニットキャップ15dを介して内箱15bを押し下げて、圧電素子が高電圧を生じ、前記放電端子32に放電火花が発生する。この放電火花によって、燃焼筒19に流入した燃料ガスがバーナー状に着火する。
【0029】
この時、燃焼筒19の開口部19aが楕円状に形成されていることと、風防部材13の炎孔20が横長のスリット状に形成されていることとが相乗的に相俟って、炎孔20から出る火炎31を幅広で扁平に現出させることとなる(
図11及び
図12参照)。その結果、タバコや葉巻の先端を満遍なく包み込みながら着火できるのである。
【0030】
更には、炎孔20が横長のスリット状であることから(
図7参照)、従来の内燃式ガスライターのような円形の炎孔に比べて幅狭に形成されることとなり、従って、上方からの風に対しても影響を受け難く、火が消え難いのである。
【0031】
また、燃焼筒19は扁平状に形成されているので、燃焼筒19の開口部19aが楕円状に形成されるだけでなく、ライター本体を薄型に形成できる利点がある(
図2及び
図4参照)。
【符号の説明】
【0032】
11 ガスライター
12 本体ケース
13 風防部材
13a 頂部
13b 正面部
13c 側面部
13d 背面部
13e 溝部
14 内燃機構
15 圧電ユニット
15a 外箱
15b 内箱
15c 電極
15d ユニットキャップ
15e 下端部
16 キャップ部
16a ヒンジ部
17 長孔
18 着火操作部
18a 係止部
19 燃焼筒
19a 開口部
20 炎孔
21 混合管
22 拡散器
23 ガスタンク
24 ガス噴出ノズル
25 孔部
26 シャフト
27 弁操作レバー
28 導電性チューブ
29 導電線
30 バルブ機構
31 火炎
32 放電端子
33 ロック装置
34 ダンパー
35 スプリング