(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎に位置決めを行うと共に所望ピッチ毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材であって、製品を展開した形状の素材本体の所望ピッチ毎の折曲げ線の折曲げ加工を行って前記曲げ曲面を形成するときに、前記プレスブレーキに前後動自在に備えたゲージ部材を当接自在な補助突当片を備え、この補助突当片に、所望の折曲げ線を前記パンチ、ダイによる折曲げ加工位置に位置決めするときに前記ゲージ部材に当接位置決めするための当接位置決め辺を備え、この当接位置決め辺と前記所望の折曲げ線とを平行に形成してあることを特徴とする曲げ素材。
請求項1に記載の曲げ素材において、前記補助突当片は、所望ピッチの折曲げ線の位置を回避した位置又は当該補助突当片が折曲げ線の折曲げ加工によって変形されたときに前記当接位置決め辺の前後方向の変位が許容誤差範囲となる位置において前記素材本体に接続してあることを特徴とする曲げ素材。
請求項1〜4のいずれかに記載の曲げ素材において、素材本体の形状は矩形状であって、前記補助突当片は、互いに平行な両側縁の長手方向の中央部に備えていることを特徴とする曲げ素材。
請求項6に記載の折曲げ加工方法において、前記(c)工程と(d)工程との間に、前記第3曲げ曲面に連続して第5曲げ曲面を形成する工程及び前記第4曲げ曲面に連続して第6曲げ曲面を形成する工程を備えていることを特徴とする折曲げ加工方法。
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチの角度毎に位置決めを行うと共に所望ピッチの角度毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って錐面状の曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材であって、製品を展開した形状の素材本体の所望ピッチの角度毎の折曲げ線の折曲げ加工を行って前記曲げ曲面を形成するときに、前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後に傾斜自在に備えたゲージ部材を当接自在な補助突当片を備え、この補助突当片に、所望の折曲げ線を前記パンチ、ダイによる折曲げ加工位置に位置決めするときに前記ゲージ部材に当接位置決めするための当接位置決め辺を備え、この当接位置決め辺と前記所望の折曲げ線とを平行に形成してあることを特徴とする曲げ素材。
請求項8に記載の曲げ素材において、前記所望の折曲げ線と異なる別個の折曲げ線に平行な別個の当接位置決め辺を前記補助突当片に備えていることを特徴とする曲げ素材。
請求項8に記載の曲げ素材において、前記ゲージ部材の前後方向への傾斜角度の許容角度の範囲毎に異なる当接位置決め辺を、前記補助突当片に備えていることを特徴とする曲げ素材。
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後方向に傾斜自在に備えたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度及び前記ダイにおけるV溝の前後方向の幅寸法のデータを予め格納したプレスブレーキデータテーブルと、
前記製品の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データを格納する図形データメモリと、
前記プレスブレーキデータテーブルに格納されたダイのV溝及びゲージ部材並びに図形データメモリに格納された図形データに基づく展開図を折曲げ加工に対応して表示するシミュレーション手段と、
シミュレーション手段によって表示された展開図に、前記ゲージ部材に当接する当接位置決め辺を備えた補助突当片を描画する描画手段と、
を備えていることを特徴とする図形作成装置。
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って筒状の製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記製品の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の互いに平行な両側縁の長手方向の中央部に、前記プレスブレーキに前後動自在に備えたゲージ部材に当接する当接位置決め辺を前記折曲げ線と平行に備えた補助突当片を、前記素材本体に接続した状態に描画する描画手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データ及び前記描画手段によって描画された補助突当片の図形データを格納する図形データメモリと、
を備えていることを特徴とする図形作成装置。
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチの角度毎に位置決めを行う素材本体に所望ピッチの角度毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って、錐面状の曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記製品の素材本体の展開図を作成すると共に、上記展開図において錐面状の曲げ曲面となる部分に所望ピッチの角度毎に折曲げ線を記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された素材本体の展開図における所望ピッチの角度毎の折曲げ線においての所望の折曲げ線と平行な当接位置決め辺を備えた補助突当片を、前記錐面状の曲げ曲面の折曲げ加工時に水平を保持する素材本体の水平保持辺に接続した状態に描画する描画手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データ及び前記描画手段によって描画された補助突当片の図形データを格納する図形データメモリと、
を備えていることを特徴とする図形作成装置。
プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成するための図形作成装置であって、
前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後方向に傾斜自在に備えたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度及び前記ダイにおけるV溝の前後方向の幅寸法のデータを予め格納したプレスブレーキデータテーブルと、
前記製品における素材本体の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された素材本体の展開図の図面データを格納する図形データメモリと、
複数の折曲げ線を所望ピッチの角度毎に記載した角度範囲を、前記プレスブレーキデータテーブルに格納されたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度でもって除算して、前記角度範囲を前記許容傾斜角度範囲内の複数の共通突当角度に区分する演算手段と、
所望ピッチの角度毎に記載された各折曲げ線の折曲げ加工を行うときに、前記ダイ上において水平状態を保持する素材本体の水平保持辺部分に相当する展開図の水平保持辺相当辺に補助突当片の展開図を描画するに際し、前記各共通突当角度における基準折曲げ線と平行な当接位置決め辺を前記補助突当片に記載する描画手段と、
を備えていることを特徴とする図形作成装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1、2に記載の発明においては、プレスブレーキに前後方向及び上下方向に位置決め自在なバックストップ(バックゲージ)に板状のワークの端部を当接することによって、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対するワークの位置決めを行っている。この場合、前記バックゲージに対して当接する部分であるワークの端部が水平な状態に保持されている場合には、所定ピッチ毎のワークの位置決めを正確に行うことができる。しかし、ワークの折曲げ加工が行われることにより、バックゲージに対して当接すべきワークの端部が次第に上昇すると、バックゲージに対して前記端部を当接して位置決めしても、スプリングバック等に起因して、ワークを所定ピッチ毎に正確に位置決めすることが難しくなる。
【0005】
また、前記特許文献1、2に記載の発明においては、バックゲージを使用して、パンチ、ダイに対して所定ピッチの角度毎にワークの位置決めを行うことはできないものである。
【0006】
因みに、プレスブレーキにおけるパンチ、ダイに対して所定ピッチの角度毎にワークの位置決めを行って錐面状の曲げ曲面を折曲げ加工するには、従来は製品を展開した素材本体に所定ピッチの角度毎に罫書線を罫書いている。そして、前記パンチ、ダイに対するワークの位置決めは、パンチ、ダイの折曲げ加工位置に前記罫書線が一致するように手作業によって位置決めしている。また、板状のワークをパイプ状に折曲げ加工する場合も同様である。
【0007】
したがって、従来は、パンチ、ダイに対するワークの位置決め精度の向上、能率向上を図る上において問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎に位置決めを行うと共に所望ピッチ毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材であって、製品を展開した形状の素材本体の所望ピッチ毎の折曲げ線の折曲げ加工を行って前記曲げ曲面を形成するときに、前記プレスブレーキに前後動自在に備えたゲージ部材を当接自在な補助突当片を備え、この補助突当片に、所望の折曲げ線を前記パンチ、ダイによる折曲げ加工位置に位置決めするときに前記ゲージ部材に当接位置決めするための当接位置決め辺を備え、この当接位置決め辺と前記所望の折曲げ線とを平行に形成してあることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記曲げ素材において、前記補助突当片は、所望ピッチの折曲げ線の位置を回避した位置又は当該補助突当片が折曲げ線と共に折曲げられたときに前記当接位置決め辺の前後方向の変位が許容誤差範囲となる位置において前記素材本体に接続してあることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記曲げ素材において、前記素材本体と前記補助突当片との接続部はハーフブランク状態であることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記曲げ素材において、前記補助突当片の前後方向の幅寸法は、前記ダイにおけるV溝のV幅寸法よりも大きいことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記曲げ素材において、素材本体の形状は矩形状であって、前記補助突当片は、互いに平行な両側縁の長手方向の中央部に備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記曲げ素材を筒状に形成する折曲げ加工方法であって、
(a)矩形状の素材本体の一端辺を、プレスブレーキにおいて前後動自在なゲージ部材に当接し、前記ゲージ部材を、プレスブレーキに備えたダイに近接する方向へ所望ピッチ毎に移動位置決めする都度素材本体の折曲げ加工を行って、素材本体の一端側に第1曲げ曲面を形成する工程、
(b)素材本体の他端辺をゲージ部材に当接し、ゲージ部材をダイに近接する方向へ所望ピッチ毎に移動位置決めする都度素材本体の曲げ加工を行って、素材本体の他端側に第2曲げ曲面をそれぞれ形成する工程、
(c)素材本体の両側縁にそれぞれ備えた補助突当片における位置決め辺をゲージ部材に当接し、ゲージ部材をダイに近接する方向へ所望ピッチ毎に移動位置決めする都度素材本体の曲げ加工を行って、前記第1曲げ曲面に連続した第3曲げ曲面及び前記第2曲面に連続した第4曲げ曲面をそれぞれ形成する工程、
(d)前記両側縁の長手方向の中央部の曲げ加工を行って前記素材本体を筒状に形成する工程、
(e)前記補助突当片を、素材本体から分離する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、前記折曲げ加工方法において、前記(c)工程と(d)工程との間に、前記第3曲げ曲面に連続して第5曲げ曲面を形成する工程及び前記第4曲げ曲面に連続して第6曲げ曲面を形成する工程を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
また、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチの角度毎に位置決めを行うと共に所望ピッチの角度毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って錐面状の曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材であって、製品を展開した形状の素材本体の所望ピッチの角度毎の折曲げ線の折曲げ加工を行って前記曲げ曲面を形成するときに、前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後に傾斜自在に備えたゲージ部材を当接自在な補助突当片を備え、この補助突当片に、所望の折曲げ線を前記パンチ、ダイによる折曲げ加工位置に位置決めするときに前記ゲージ部材に当接位置決めするための当接位置決め辺を備え、この当接位置決め辺と前記所望の折曲げ線とを平行に形成してあることを特徴とするものである。
【0016】
また、前記曲げ素材において、前記所望の折曲げ線と異なる別個の折曲げ線に平行な別個の当接位置決め辺を前記補助突当片に備えていることを特徴とするものである。
【0017】
また、前記曲げ素材において、前記ゲージ部材の前後方向への傾斜角度の許容角度毎に異なる当接位置決め辺を、前記補助突当片に備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記曲げ素材において、傾斜方向が逆方向の複数の当接位置決め辺を前記補助突当片に備えていることを特徴とするものである。
【0019】
また、素材本体に補助突当片を備えた曲げ素材に錐面状の曲げ曲面を形成する折曲げ加工方法であって、
(a)曲げ素材に備えた補助突当片における当接位置決め辺をゲージ部材に当接した状態において所望の折曲げ線の位置をパンチ、ダイによる折曲げ加工位置に位置決めして素材本体の折曲げ加工を行う工程、
(b)前記ゲージ部材を所望ピッチの角度毎に前後方向に傾斜し、折曲げ線の位置を前記折曲げ加工位置に位置決めする毎に素材本体の折曲げ加工を行う工程、
(c)前記補助突当片を、素材本体から分離する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後方向に傾斜自在に備えたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度及び前記ダイにおけるV溝の前後方向の幅寸法のデータを予め格納したプレスブレーキデータテーブルと、
前記製品の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データを格納する図形データメモリと、
前記プレスブレーキデータテーブルに格納されたダイのV溝及びゲージ部材並びに図形データメモリに格納された図形データに基づく展開図を折曲げ加工に対応して表示するシミュレーション手段と、
シミュレーション手段によって表示された展開図に、前記ゲージ部材に当接する当接位置決め辺を備えた補助突当片を描画する描画手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
また、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って筒状の製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記製品の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の互いに平行な両側縁の長手方向の中央部に、前記プレスブレーキに前後動自在に備えたゲージ部材に当接する当接位置決め辺を前記折曲げ線と平行に備えた補助突当片を、前記素材本体に接続した状態に描画する描画手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データ及び前記描画手段によって描画された補助突当片の図形データを格納する図形データメモリと、
を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
また、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチの角度毎に位置決めを行う素材本体に所望ピッチの角度毎に折曲げ線の折曲げ加工を行って、錐面状の曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成する図形作成装置であって、
前記製品の素材本体の展開図を作成すると共に、上記展開図において錐面状の曲げ曲面となる部分に所望ピッチの角度毎に折曲げ線を記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された素材本体の展開図における所望ピッチの角度毎の折曲げ線においての所望の折曲げ線と平行な当接位置決め辺を備えた補助突当片を、前記錐面状の曲げ曲面の折曲げ加工時に水平を保持する素材本体の水平保持辺に接続した状態に描画する描画手段と、
前記展開図作成手段によって作成された展開図の図形データ及び前記描画手段によって描画された補助突当片の図形データを格納する図形データメモリと、
を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
また、プレスブレーキに備えたパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に位置決めされる素材本体の折曲げ加工を行って曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するための曲げ素材の図形を作成するための図形作成装置であって、
前記プレスブレーキに前後動自在かつ前後方向に傾斜自在に備えたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度及び前記ダイにおけるV溝の前後方向の幅寸法のデータを予め格納したプレスブレーキデータテーブルと、
前記製品における素材本体の展開図を作成すると共に展開図に複数の折曲げ線を所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に記載する展開図作成手段と、
前記展開図作成手段によって作成された素材本体の展開図の図面データを格納する図形データメモリと、
複数の折曲げ線を所望ピッチの角度毎に記載した角度範囲を、前記プレスブレーキデータテーブルに格納されたゲージ部材の前後方向の許容傾斜角度でもって除算して、前記角度範囲を前記許容傾斜角度範囲内の複数の共通突当角度に区分する演算手段と、
所望ピッチの角度毎に記載された各折曲げ線の折曲げ加工を行うときに、前記ダイ上において水平状態を保持する素材本体の水平保持辺部分に相当する展開図の水平保持辺相当辺に補助突当片の展開図を描画するに際し、前記各共通突当角度における基準折曲げ線と平行な当接位置決め辺を前記補助突当片に記載する描画手段と、
を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、曲げ素材には、プレスブレーキにおけるパンチ、ダイに対して所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎に位置決めを行って折曲げ加工を繰り返すことにより、曲げ曲面を形成した後に分離される補助突当片を備えている。そして、前記パンチ、ダイの折曲げ加工位置に対する曲げ素材の位置決めは、前後動自在に備えたゲージ部材に前記補助突当片を当接することによって行われる。
【0026】
したがって、パンチ、ダイに対する曲げ素材の所望ピッチ毎又は所望ピッチの角度毎の位置決めを正確にかつ迅速に行うことができ、前述したごとき従来の問題を解消することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、先ず、板状のワーク(曲げ素材)の折曲げ加工を行うプレスブレーキの全体的構成について説明する。
【0029】
図1(A),(B)に示すように、プレスブレーキ1はC形状の左右のサイドフレーム3を備えており、このサイドフレーム3の下部には、上部にダイ5を着脱交換自在に備えた下部テーブル7が備えられている。また、前記サイドフレーム3の上部には、前記下部テーブル7と上下に対向した上部テーブル9が備えられており、この上部テーブル9の下部には、前記ダイ5と協働して板状のワークWの折曲げ加工を行うパンチ11が着脱交換自在に備えられている。
【0030】
なお、前記下部テーブル7又は上部テーブル9の適宜一方は上下動自在なラムに構成してあり、例えばサーボモータ等のアクチュエータ(図示省略)によって回転駆動されるボールネジによって上下動される構成である。そして、上下動自在なラムの上下動作位置を、CNC装置等の制御装置13によって制御することにより前記パンチ11とダイ5の係合状態は任意に制御自在である。換言すれば、前記パンチ11とダイ5との係合状態を任意に制御することにより、ワークWの折曲げ角度を任意の折曲げ角度に制御自在なものである。
【0031】
前記パンチ11とダイ5によるワークWの折曲げ加工位置に対して、換言すれば、ダイ5に対してワークWの前後方向の位置決めを行うために、前記ダイ5の後方(
図1(A)において右方、
図1(B)においては上方)には、バックゲージ装置15が備えられている。より詳細には、前記下部テーブル7の背面には、後方向(
図1(B)において上方向)へ水平に突設した左右の支持ガイド部材17L,17Rが備えられており、この左右の支持ガイド部材17L,17Rには、前後方向に長いボールネジ19L,19Rが回転自在に支持されている。そして、前記支持ガイド部材17L,17Rには、前記ボールネジ19L,19Rを個別に回転駆動するためのサーボモータ21L,21Rが装着してある。
【0032】
前記左右のボールネジ19L,19Rには、それぞれボールナット(図示省略)が前後方向へ移動自在に螺合してあり、かつ各ボールナットにはそれぞれ枢軸23L,23Rが垂直に立設してある。そして、各枢軸23L,23Rには、支持ブロック25L,25Rがそれぞれ水平に回動自在に支持されている。前記支持ブロック25L,25Rの適宜一方には、左右方向に長いガイドビーム27の一端側が一体的に連結してあり、他方の支持ブロックには、前記ガイドビーム27が長手方向へ相対的に移動自在に支持されている。
【0033】
したがって、前記ガイドビーム27は、前記下部テーブル7に装着したダイ5と平行状態を保持して前後方向へ移動でき、また、
図1(B)において、時計回り方向又は反時計回り方向に傾斜した状態に保持して前後方向に移動できるものである。前記ガイドビーム27には、バックゲージ等の左右のゲージ部材29L,29Rが左右方向へ個別に移動位置決め自在に備えられている。なお、上記ゲージ部材29L,29Rを個別に左右方向へ移動位置決めする構成は、例えばサーボモータによって回転されるボールネジ機構やリニアモータ等のごとき適宜の位置決め駆動機構を採用可能である。前記ゲージ部材29L,29Rは、前記ダイ5の上面に乗り上げてワークWの位置決めが可能であって、ワークWの当接位置決めを行う先端面(当接位置決め面)は、前記ガイドビーム27の長手方向に平行な平面に形成してある。
【0034】
上記構成により、ワークWの左右方向に平行な及び/又は前後方向に傾斜した当接位置決め辺を、前記ゲージ部材29L,29Rの先端面に当接して、ワークWの折曲げ線の位置を前記パンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に正確に位置決めすることができるものである。
【0035】
前記プレスブレーキ1によって折曲げ加工されるワーク(折曲げ加工された製品全体を展開した全体形状、又は製品を複数の組合せ部品毎に展開した部品展開形状の素材本体)の展開図は、
図2に、概念的、概略的に示すごとき構成の図形作成装置31によって作成されるものである。
【0036】
前記図形作成装置31はコンピュータから構成してあって、CPU33、ROM35、RAM37を備えていると共に各種のデータ等の入力を行う入力手段39を備えている。また、図形作成装置31は、各種の表示を行う表示手段41を備えている。
【0037】
さらに、前記図形作成装置31は展開図作成手段43が備えられている。この展開図作成手段43は、板状のワークによって折曲げ加工された各種製品、又は完成品を構成するために組合される複数の組合せ部品(分割片、分割部品)等の展開図を作成すると共に展開図に折曲げ線を記載する機能を有するものである。前記組合せ部品(分割部品)もそれぞれ個別に折曲げ加工されるものであるから、折曲げ加工を行う点においては、1つの製品と見ることができるものである。なお、前記展開図作成手段43は、既によく知られているので、展開図作成手段43についてのより詳細な説明は省略する。
【0038】
また、前記図形作成装置31には、図形データメモリ45が備えられている。この図形データメモリ45は、前記展開図作成手段43によって作成された展開図の図形データや描画手段47によって描画された図形の図形データなどの各種の図形データを格納するものである。さらに、前記図形作成装置31はプレスブレーキデータテーブル49を備えている。このプレスブレーキデータテーブル49には、使用されるダイ5に対応したダイ幅寸法、ダイ5のV溝におけるV溝寸法、バックゲージ装置15におけるガイドビーム27の前後方向(
図1(B)においての時計回り方向、反時計回り方向)への傾斜の許容傾斜角度(±α)、左右のゲージ部材29L,29Rの幅寸法が格納されている。
【0039】
また、前記図形作成装置31には、演算手段51が備えられている。この演算手段51は、各種の演算処理を行うもので、例えば演算処理の1例としては、前記展開図作成手段43によって作成された展開図において、この展開図の例えば所定範囲を所定ピッチ毎に折曲げ加工する場合、折曲げ回数を、所定範囲の寸法を前記所定ピッチでもって除算して演算するものである。なお、演算手段51の演算処理は、上述の所定ピッチの演算処理のみに限られるものではなく、種々の演算処理を行うものである。
【0040】
さらに、前記図形作成装置31には、シミュレーション手段53が備えられている。このシミュレーション手段53は各種のシミュレーションを行うもので、1例として、例えば前記展開図作成手段43によって作成された展開図の折曲げ加工を行うときの曲げ加工シミュレーションや、その他の種々のシミュレーションや、前記展開図作成手段43によって製品の展開図を作成するときの展開順のシミュレーションなどの種々のシミュレーションを行うものである。
【0041】
前記描画手段47は、前記展開図作成手段43によって作成された展開図を前記表示手段41に表示した状態にあるときに、当該表示手段41に表示されている展開図を見ながら、操作者が展開図に対して前記ゲージ部材29L,29Rに当接すべき当接位置決め辺を備えた補助突当片を描画する手段である。なお、描画手段47としては、手動によることなく、展開図に対して補助突当片を自動的に描画する構成とすることも可能である。
【0042】
さらに、前記図形作成装置31には、当該図形作成装置31によって作成された図形データに対応して板状のワークから曲げ素材を切断加工するパンチプレスやレーザ切断加工機(図示省略)の加工プログラムを自動的に作成する自動プログラミング装置(図示省略)へ図形データを出力する出力手段55が備えられている。なお、前記図形データは、前記出力手段55から前記プレスブレーキ1によって曲げ素材の折曲げ加工を行うための加工プログラムを自動的に作成する自動プログラミング装置へも出力されるものである。
【0043】
なお、前記図形作成装置31に備えられた各種の手段39,53,47,41,43,51,55等における各種の機能は、後述する作用等の説明によってより明らかになるであろう。
【0044】
さて、板状のワークを所定ピッチ又は所望ピッチ(以下、単に所定ピッチとする)毎に折曲げ加工を行って、製品としてのパイプを形成するための曲げ素材61(
図3参照)は次のごとき構成である。すなわち、曲げ素材61の素材本体61Aは所定ピッチ毎に折曲げ加工してパイプに形成するときに、互いに接合する両端縁63A,63Bを備えている。この両端縁63A,63Bは、素材本体61Aを所定ピッチ毎に折曲げ加工する折曲げ線65と平行に形成してある。そして、前記曲げ素材61の両側縁67A,67Bは、前記両端縁63A,63Bに対して直交して形成してある。すなわち、素材本体61Aは矩形状に形成してある。
【0045】
前記素材本体61Aをパイプに折曲げ加工するとき、素材本体61Aにおける前記両端縁63A,63B側は折曲げ加工されて曲げ曲面に形成されるものである。したがって、最終的に折曲げ加工される部分である両側縁67A,67Bの長手方向の中央部付近に対して、両端縁63A,63B側は予め折曲げ加工されて跳ね上がった状態にある。よって、折曲げ加工の最終的工程においては、両端縁63A,63Bを、プレスブレーキ1におけるゲージ部材29L,29Rに当接して位置決めすることは難しいものである。
【0046】
そこで、素材本体61Aにおいて最終的に折曲げ加工される部分に対応して両側縁67A,67Bには補助突当片69A,69Bが備えられている。素材本体61Aにおいて最終的に折曲げ加工される部分は、前記ダイ5上に水平状に載置して位置決め可能な部分であるから、前記補助突当片69A,69Bが備えられている両側縁67A,67Bの長手方向の中央部付近の部分は最終的な折曲げ加工時には水平を保持する水平保持辺(水平保持縁)に相当することになるものである。
【0047】
ところで、前記プレスブレーキ1におけるパンチ11、ダイ5に対して所定ピッチ毎位置決めして所定ピッチ毎に折曲げ加工を行って、前記素材本体61Aをパイプ状(筒状)に折曲げる場合、最終段階において折曲げ加工される部分は、前記素材本体61Aにおける両側縁67A,67Bの長手方向の中央部付近である。したがって、前記補助突当片69A,69Bは、前記両側縁67A,67Bの長手方向の中央部に備えられているものである。この補助突当片69A,69Bの両端縁71A,71Bは、前記ゲージ部材29L,29Rの先端面に当接して素材本体61Aの位置決めを行うための、当接位置決め辺を構成するものであって、前記折曲げ線65に平行に形成してある。そして、前記両端縁(当接位置決め辺)71A,71Bは、前記素材本体61Aにおける前記両側縁67A,67Bの長手方向の中央部から等距離の位置に、すなわち中心振り分け的な位置に備えられている。
【0048】
前記素材本体61Aの両側縁67A,67Bに対して、前記補助突当片69A,69Bは次のごとき構成でもって接続されている。すなわち、前記補助突当片69A,69Bは、
図4に示すように、前記素材本体61Aの折曲げ加工を行う折曲げ線65の位置を回避した位置に配置した複数の接続部73を介して接続してある。そして、前記補助突当片69A,69Bにおける両端縁71A,71B間の間隔寸法は、前記ダイ5におけるV溝の幅寸法より大きく、かつ前記接続部73を配置した配置領域における同方向(
図4において上下方向)の幅寸法の数倍の大きさに形成してある。
【0049】
さらに、前記接続部73の部分は、素材本体61Aの折曲げ加工終了後に、素材本体61Aから前記補助突当片69A,69Bの切断分離を容易に行なうために、素材本体61Aの厚さの約1/2の厚さに形成してある。又は前記接続部73は、半抜き状態(ハーフブランク状態)でもって接続してある。なお、前述のように、接続部73の厚さを約1/2に形成することもハーフブランク状態に相当するものである。
【0050】
既に理解されるように、前記接続部73は、前記素材本体61Aの折曲げ加工を行うときの最終的な折曲げ加工位置付近において、折曲げ線65の位置を回避して配置した接続部73を介して素材本体61Aに接続してある。したがって、素材本体61Aの折曲げ加工時に、補助突当片69A,69Bが共に折曲げられるようなことがないと共に、素材本体61Aの折曲げ加工によって補助突当片69A,69Bが変形されるようなことがないものである。すなわち、前記補助突当片69A,69Bは常に平面を保持するものである。
【0051】
なお、前記接続部73は、前記折曲げ線65の位置を回避することなく設けることも可能である。すなわち、前記折曲げ線65の位置でもって素材本体61Aの折曲げ加工を行うことによって補助突当片69A,69Bが僅かに変形される場合であっても、補助突当片69A,69Bにおける両端縁(当接位置決め辺)71A,71Bの前後方向(
図4において上下方向)の変化が小さく、許容誤差範囲となる場合には、前記折曲げ線65の位置を回避することなく接続部73を配置することも可能である。既に理解されるように、曲げ素材61は、素材本体61Aに補助突当片69A,69Bを備えた構成である。
【0052】
ところで、前記曲げ素材61における素材本体61Aを、前記パンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に対して所定ピッチ毎に位置決めして折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行って、素材本体61Aを円筒形状に形成するに際しては、前記所定ピッチは等ピッチであることが望ましいものである。そして、各折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行うときには、各折曲げ線65の位置はダイ5におけるV溝の幅方向の中央部に位置することが望ましいものである。したがって、前記折曲げ線65のピッチは、ダイ5におけるV溝のV幅の1/2よりは大きな寸法であることが望ましいものである。
【0053】
しかし、前記素材本体61Aにおける両端縁63A,63Bにそれぞれ最も近接した位置の、すなわち最外側の折曲げ線65の位置から前記両端縁63A,63Bまでの寸法(間隔寸法)を、前記V溝のV幅の1/2よりは大きな寸法に設定し、前記最外側の折曲げ線65の内側の各折曲げ線65のピッチを、前記V溝のV幅の1/2以下のピッチ寸法に設定することも可能である。
【0054】
以上のごとき構成において、前記素材本体61Aを円筒形状に曲げ加工を行うには、次のように行うものである。
【0055】
すなわち、前記曲げ素材61における素材本体61Aを奇数の複数回の工程によって円筒形状に折曲げ加工するために、所定ピッチの折曲げ線65の折曲げ位置を複数のグループにグループ分けする。この際、先ず前記素材本体61Aの両端縁63A,63B側を約90°の範囲の円弧状に折曲げ加工するための複数の折曲げ線65を含む第1、第2のグループ75A,75Bを定める。次に、前記第1、第2グループ75A,75Bに隣接した領域を所望の角度の範囲の円弧状に折曲げ加工するための複数の折曲げ線65を含む第3、第4のグループ75C,75Dを定める。この際、第3、第4グループ75C,75Dに含まれる折曲げ線65の数は、前記第1、第2グループ75A、75Bに含まれる折曲げ線65の数より少なく設定するものである。
【0056】
同様にして、前記第3、第4に隣接した領域を所望の角度の範囲の円弧状に折曲げ加工するための複数の折曲げ線65を含む第5、第6のグループ75E,75Fを定める。この場合、第5、第6グループ75E,75Fに含まれる折曲げ線65の数は、第3、第4グループ75C,75Dに含まれる折曲げ線65の数より少なく設定する。そして、前記第5、第6グループ75E,75Fの間の複数の折曲げ線65を第7グループ75Gに定める。因みに、折曲げ線65の数を46に定めると、全体として46工程の折曲げ加工が行われる。この場合、第1〜第7グループ75A〜75Gにおける折曲げ線65の数を、12、11、5、8、4、3、3に定めることができる。
【0057】
なお、前述の場合、折曲げ線65の数を46に定め、かつ7工程でもって曲げ素材61の素材本体61Aを円筒形状に折曲げ加工する場合について説明したが、円筒形状に折曲げ加工したときの内径又は外径の大きさによって前記折曲げ線65の数は増減してもよいものである。また、工程数も7工程に限ることなく5工程や9工程であってもよいものである。
【0058】
前記曲げ素材61における素材本体61Aを円筒形状に折曲げ加工するには、先ず、素材本体61Aをダイ5上に載置し、素材本体61Aの一方の端縁63A(一端辺)をゲージ部材29L,29Rに当接する。そして、前記第1グループ75Aにおける各折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行うために、第1グループ75Aにおいて最も内側の折曲げ線65(端縁63Aから最も離れた位置の折曲げ線)の位置を、パンチ11、ダイ5による折曲げ加工位置に合わせる。
【0059】
そして、最も内側の折曲げ線65の位置での素材本体61Aの折曲げ加工を行った後、前記ゲージ部材29L,29Rを所定ピッチ毎前進して(ゲージ部材29L,29Rをダイ5に近接する方向へ移動して)、前記第1グループ75Aにおける折曲げ線65の位置を前記折曲げ加工位置へ順次位置決めする毎に、素材本体61Aの折曲げ加工を行って、約90°の範囲の円弧状の第1の曲げ曲面77Aを形成する(
図5(A)参照)。
【0060】
前記第1グループ75Aにおける複数の折曲げ線65の位置においての折曲げ加工終了後、素材本体61Aの前後を反転して、素材本体61Aにおける他方の端縁63B(他端辺)をゲージ部材29L,29Rに当接し、第1グループ75Aの場合と同様に、第2グループ75Bにおける複数の折曲げ線65の位置を内側から端縁63B側へ順次所定ピッチ毎位置決めを行って、素材本体61Aの端縁63B側に約90°の範囲の円弧状の第2の曲げ曲面77Bを形成する(
図5(B)参照)。
【0061】
既に理解されるように、素材本体61Aの一端縁63A側及び他端縁63B側を円弧状に折曲げ加工して、第1、第2の曲げ曲面77A,77Bを形成する場合には、一端縁63A、他端縁63Bをそれぞれゲージ部材29L,29Rに当接して、ゲージ部材29L,29Rをダイ5に近接する方向へ順次移動位置決めして、素材本体61Aの内側から端縁63A,63B側(外側)へ所定ピッチの位置決めを行って順次折曲げ加工を行うものである。このように、素材本体61Aの両端縁63A,63B側を円弧状に折曲げ加工を行うと、両端縁63A,63Bは、
図5(C)に示すように立上がった状態となる。
【0062】
そこで、第3グループ75C〜第7グループ75Gにおける各折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行う場合には、前記補助突当片69A,69Bにゲージ部材29L,29Rの先端面を当接して素材本体61Aの位置決めを行うものである。
【0063】
すなわち、前記第3〜第7グループ75C〜75G順に各グループ75C〜75Gにおける各折曲げ線65の位置を所定ピッチ毎に順次折曲げ加工する場合であって、第3、第5グループ75C〜75Eに含まれる各折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行う場合には、前記補助突当片69A,69Bにおける端縁71A側をゲージ部材29L,29Rの先端面に当接する。そして、既に折曲げ加工されているグループにおける折曲げ線65に最接近している折曲げ線65の位置から内側へ順次折曲げ加工を行うものである。
【0064】
第4、第6グループ75D,75Fに含まれる各折曲げ線65の位置の折曲げ加工を行う場合には、前記補助突当片69A,69Bにおける端縁71B側をゲージ部材29L,29Rの先端面に当接して前述同様に外側から内側へ順次折曲げ加工を行うものである(
図5(C)、
図6(A)参照)。そして、第7グループ75Gにおける各折曲げ線65の折曲げ加工を行うものである。前記第7グループ75Gにおける各折曲げ線65の折曲げ加工を行う場合には、補助突当片69A,69Bにおける端縁71A側にゲージ部材29L,29Rの先端面に当接して位置決めを行い、第5グループ75E側に近接した折曲げ線65の位置から順次折曲げ加工を行って、円弧状の曲げ曲面を形成するものである(
図6(B)参照)。
【0065】
前述のごとく、曲げ素材61における素材本体61Aを円筒形状に折曲げ加工した後、別工程でもって前記補助突当片69A,69Bを切断分離するものである。
【0066】
以上のごとき説明より理解されるように、素材本体61Aにおける両端縁63A,63B側を円弧状に折曲げ加工を行った後、第3〜第7グループ75C〜75Gの範囲の折曲げ線65の位置をパンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に位置決めするとき、素材本体61Aの両側縁67A,67Bに備えた補助突当片69A,69Bは常に水平に保持されているものである。そして、この補助突当片69A,69Bにおける両端縁71A,71Bにゲージ部材29L,29Rの先端面を当接して位置決めを行うものであるから、所定ピッチ毎の素材本体61Aの位置決めを正確に行い得るものである。
【0067】
なお、前記説明は、素材本体61Aを円筒形状に折曲げ加工する場合についての説明であるが、断面形状が例えば楕円形状や長円形状の筒体に形成する場合や、断面形状が多角形状であって各角部が例えば円弧状などの曲面である筒体に形成する場合、前記補助突当片69A,69Bを備えた曲げ素材61を用いることにより、折曲げ加工位置に対して曲げ素材61における各折曲げ線65の位置を正確に位置決めすることができるものである。また、筒状に限ることなく断面形状がC字形状や半円弧状の場合であっても、同様である。
【0068】
既に理解されるように、素材本体61Aを所定ピッチ毎又は任意のピッチ毎に、折曲げ線65の位置を折曲げ加工位置に位置決めして折曲げ加工を行うことにより、所望の曲げ曲面を備えた製品に折曲げ加工するとき、最終的に折曲げ加工を行う折曲げ線65に対応した位置に補助突当片69A,69Bを備えるものである。換言すれば、補助突当片69A,69Bに対応する折曲げ線65の位置が最終的に折曲げ加工されるものであるから、前記補助突当片69A,69Bは、素材本体61Aが常に水平に保持される位置に備えられていることになるものである。
【0069】
前記曲げ素材61の形状は、次のようにして作成されるものである。すなわち、折曲げ加工される製品が円筒形状であって単純な矩形形状であるから、前記図形作成装置31における入力手段39から、円筒の内径又は外径及び長さを入力すると、展開図作成手段43によって矩形状の形状が展開される。そして、展開された矩形状の素材本体61Aの図形が表示手段41に表示される。
【0070】
なお、表示手段41に表示される図形は、前記素材本体61A、曲げ素材61、補助突当片69A,69Bと同一形状である。したがって、図形の場合には、素材本体図形、曲げ素材図形、補助突当片図形と、「図形」の文字を付加して記載するものの、理解を容易にするために、符号61A,61,69A,69Bなどは共通に使用するものとする。
【0071】
前述のごとく、円筒形状の必要な寸法データを入力手段39から入力すると共に、素材本体61Aを円筒形状に折曲げ加工するための折曲げ回数Nを入力手段39から入力すると、展開図作成手段43によって展開された矩形形状の素材本体図形61Aの両側縁67A,67Bの長さ寸法Lに基づいて、折曲げ線65のピッチが演算手段51において演算される。すなわち、素材本体図形61Aにおける両端縁63A,63Bにそれぞれ最接近した折曲げ線(最外側の折曲げ線)65は、プレスブレーキデータテーブル49に格納されているダイ5におけるV溝の幅寸法Vに基づいて、前記両端縁63A,63BからV/2以上離れた位置となる。したがって、折曲げ線65のピッチは、(L−V)/Nによって演算され、素材本体図形61Aに表示される。
【0072】
よって、表示手段41に表示されている素材本体図形61Aを見て、当該素材本体図形61Aにおける両側縁67A,67Bの長手方向の中央部に、前記折曲げ線65の位置を回避して、又は多くても中央部の2〜3の折曲げ線65に掛かるように、接続部図形73を描画手段47によって記載する。そして、表示手段41に表示されている接続部図形73の位置に、描画手段47によって補助突当片図形69A,69Bをダイ5のV溝よりも幅広く記載することにより、曲げ素材図形61が表示手段41に表示されることになる。
【0073】
なお、上記説明は、接続部図形73及び補助突当片図形69A,69Bを手動的に記載する場合について説明した。しかし、演算手段51の演算結果によって素材本体図形61A上の折曲げ線65の位置及びプレスブレーキデータテーブル49に格納されているデータによってダイ5におけるV溝の幅寸法は既知であるから、前記接続部図形73及び補助突当片図形69A,69Bを描画手段47によって自動的に記載することも可能である。
【0074】
なお、前記素材本体図形61Aに接続部図形73及び補助突当片図形69A,69Bを記載するに際し、接続部図形73は、素材本体図形61Aから補助突当片図形69A,69Bを適宜に離れた状態に保持するためのものであるから、所望の長さ又は予め設定されている長さとすることができる。そして、前記補助突当片図形69A,69Bにおける両端縁71A,71Bが折曲げ線65と平行であり、この両端縁71A,71Bの間隔寸法が、ダイ5におけるV溝の幅寸法よりも大きく記載するものである。なお、前記両端縁71A,71Bの長さ寸法(左右方向の幅寸法)は、プレスブレーキデータテーブル49に格納されている左右のゲージ部材29L,29Rの左右方向の幅寸法にほぼ等しく記載することが望ましいものである。
【0075】
前述のように、表示手段41に表示された素材本体図形61Aに接続部図形73及び補助突当片図形69A,69Bを記載した曲げ素材図形61の図形のデータは図形データメモリ45に格納されている。そして、図形データメモリ45に格納された図形データは、表示手段41に表示されている曲げ素材図形61に相当する曲げ素材61を板状のワークから切断加工するパンチプレス又はレーザ切断加工機等の板状加工機用の加工プログラムを作成する自動プログラミング装置へ、出力手段55から出力される。また、前記図形データは、前記出力手段55から、プレスブレーキ用の加工プログラムを作成する自動プログラミング装置へ出力されるものである。
【0076】
そして、自動プログラミング装置によって作成されたプレスブレーキ用の加工プログラムがプレスブレーキ1に備えた制御装置13に入力されると、プレスブレーキ1は、ゲージ部材29L,29Rをダイ5上に位置決めされている曲げ素材61Aの端縁63A,63B及び曲げ素材61Aの両側縁61A,67Bに備えられている補助突当片69A,69Bにおける両端縁71A,71Bに前述したように当接し、前記折曲げ線65のピッチに対応して進退して、ダイ5に対して曲げ素材61Aの位置決めを行うものである。この際、前記補助突当片69A,69Bの左右方向の幅寸法は、ゲージ部材29L,29Rの左右方向の幅寸法にほぼ等しく形成してあるので、ゲージ部材29L,29Rの先端面全体が補助突当片69A,69Bに当接することとなり、素材本体61Aの前後方向の位置決めを安定して正確に行い得るものである。
【0077】
ところで、
図7に示すように、上部に4角形状の穴を備え、下部に円形状の穴を備えた例えばホッパーなどのごとく、平面部81A〜81Dと所定ピッチの角度毎に折曲げ加工を行った錐面形状の曲げ曲面83A〜83Dを備えたホッパー状製品85を製造することがある。この場合、1枚の板状のワークを折曲げ加工してホッパー状製品85を製造することは難しいので、ホッパー状製品85を複数の分割部品毎に分割し、各分割部品を個別に折曲げ加工した後、溶接によって各分割部品を接合することによってホッパー状製品85の製造が行われている。
【0078】
前記ホッパー状製品85を複数の分割部品に分割するには、平面部81Aと平面部81Cとの中央部又は平面部81Bと平面部81Dとの中央部を上下に切断した形態に分割して、2つの分割部品とすることがある。また、各平面部81A〜81Dの中央部を上下に切断した形態に4分割する場合がある。前記平面部81B,81Dの中央部を上下に切断してホッパー状製品85を2分割すると、分割された一方の分割部品85Aは
図8(A)に示すごとき形状になる。なお、
図8(A)においては上下を反転した状態でもって例示してある。
【0079】
そして、前記分割部品85Aを展開すると、
図8(B)に示すごとき形態となる。分割部品85Aの前記展開図形は、
図8(A)に示した分割部品85Aの図形データを入力手段39から図形作成装置31に入力すると、展開図作成手段43によって作成されるものである。なお、理解を容易にするために、分割部品85Aを展開した展開図形の場合も同一符号「85A」を用いて表示することとする。
【0080】
前記展開図形85Aに相当する素材本体をプレスブレーキ1によって折曲げ加工するには、前述したように、素材本体に補助突当片を備えた曲げ素材の展開図形を作成し、この展開図形に基づいて板状のワークの切断を行い、曲げ素材を得る必要がある。したがって、プレスブレーキ1において折曲げ加工される曲げ素材の展開図形87(
図9参照)を作成する方法について説明する。
【0081】
前述のごとく展開図作成手段43によって作成された展開図形85Aを表示手段41に表示する。そして、平面部81Aの直線辺89Aと平面部81Bの直線辺89Bとの交差部91A及び前記直線辺89Aと前記平面部81Dの直線辺89Dとの交差部91Bから錐面状の曲げ曲面83A,83Dを形成するために、所定ピッチの角度毎に折曲げ線(罫書線)65を記載する。この場合、平面部81Bの直線状の分割線93Bと展開曲線95との交差部95Aと、前記平面部81Dの分割線93Dと前記展開曲線95との交差部95Bとの中間位置95Cが前記曲げ曲面83A,83Dの境界位置となるものである。
【0082】
なお、前記折曲げ線65の所定ピッチの角度は、前記交差部91A(91B)と交差部95A(95B)とを結ぶ直線と、前記交差部91Aと中間位置95Cとを結ぶ直線とのなす角度θを等分割した角度である。すなわち、角度θの間で何回の折曲げ加工を行うかの折曲げ回数を入力手段39から入力すると、演算手段51によって所定ピッチの角度が演算され、この演算手段51の演算結果に基づいて、前記折曲げ線65が所定ピッチの角度毎に記入(記載)されるものである。
【0083】
前述のごとく、曲げ素材の展開図形87に複数本の折曲げ線65を記載した後、補助突当片図形97を記入すべき位置を検索する。上記補助突当片図形97を記載すべき位置としては、表示手段41に表示されている展開図形87を見て、当該展開図形87における直線状の辺の位置、例えば直線辺89A,89B,89D、分割線93B,93Dの位置とすることが可能である。また、前記各折曲げ線65の位置での前記展開図形87の折曲げ加工をシミュレーション手段53によってシミュレーションを行い、水平に維持(保持)される辺の部分、例えば直線辺89A、分割線93B、93Dとすることが可能である。すなわち、折曲げ加工のシミュレーションを行うと、直線辺89B,89Dは折曲げ加工に従って上方向に移動変位して傾斜することになるので、補助突当片図形97を設けるには不適切であることが分かる。
【0084】
そこで、前記直線辺89Aの位置に、前記曲げ曲面83A,83Dの折曲げ加工を行うときに、プレスブレーキ1におけるゲージ部材29L,29Rの先端面に当接する当接位置決め辺を備えた補助突当片図形97の図形を形成する場合について説明する。
【0085】
前記補助突当片図形97を形成するに先立って、先ず、前記角度θを、プレスブレーキデータテーブル49に格納されているところのガイドビーム27の前後方向への傾斜の許容角度(±α)でもって前記角度θを演算手段51において除算する。この除算の結果が、例えば2.6などとなった場合には、前記角度θの範囲の折曲げ加工を行うには、前記ガイドビーム27が左右方向に平行な状態から許容角度(±α)内において3回の角度変更が必要となる。換言すれば、前記曲げ曲面83A,83Dに含まれる複数の折曲げ線65を、許容角度±αの範囲でもって複数のグループG1,G2,G3にそれぞれ分ける必要がある。
【0086】
前記補助突当片図形97を展開図形87の直線辺89Aに記載するには、先ず補助突当片図形97の幅寸法を定める。そして、曲げ曲面83Aにおける最外側(分割線93Bに最接近側)の折曲げ線65Aを第1グループG1における基準線として、この折曲げ線65Aと平行な第1の当接位置決め辺99Aを、描画手段47によって前記幅寸法の一端側(補助突当片図形97の一側縁)に記載(描画)する。次に、第2グループG2において基準線となる例えば折曲げ線65Bと平行な第2の当接位置決め辺99Bを、第1の当接位置決め辺99Aに接続して記載する。同様に、第3グループにおいて基準線となる折曲げ線と平行な第3の当接位置決め辺99Cを、第2の当接位置決め辺99Bに接続して記載する。そして、同様にして、曲げ曲面83Dの折曲げ加工を行う場合の当接位置決め辺101A,101B,101Cを、補助突当片図形97の他側縁に記載する。なお、前記補助突当片図形97は、接続部103を介して直線辺89Aに接続した状態に記載するものである。
【0087】
前述のように、補助突当片図形97を記載した曲げ素材の展開図形87の図形データを図形データメモリ45に格納する。そして、図形データメモリ45に格納された曲げ素材の展開図形87における補助突当片図形97における各当接位置決め辺99A,99B,99Cにゲージ部材29L,29Rの図形の一方の先端面を当接する。そして、ガイドビーム27を所定ピッチの角度毎に傾斜し、かつガイドビーム27を前後方向に移動して、曲げ曲面83Aにおける各折曲げ線65においての折曲げ加工を、シミュレーション手段53においてシミュレーションするものである(
図10(A)〜(C)参照)。曲げ曲面83Dにおける各折曲げ線65においての折曲げ加工も、同様にシミュレーションするものである(
図11(A)〜(C)参照)。
【0088】
因みに、補助突当片図形97の当接位置決め辺99Aにゲージ部材の図形を当接しての折曲げ加工のシミュレーションは、曲げ曲面83Aにおいて第1グループG1に含まれる各折曲げ線65での折曲げ加工をシミュレーションするものである。そして、当接位置決め辺99B,99Cにゲージ部材の図形を当接しての折曲げ加工のシミュレーションは、曲げ曲面83Aにおける第2のグループG2、第3グループG3に含まれる各折曲げ線65での折曲げ加工のシミュレーションである。
【0089】
前述のように、シミュレーション手段53によって折曲げ加工のシミュレーションを行った結果、問題があるようなときには、例えばグループG1〜G3の数をより多くして、又は少なくして、1つの当接位置決め辺にゲージ部材を当接し前後方向への傾斜角を変更して折曲げ加工を行う場合の角度範囲を小さく又は大きく変更し、補助突当片図形97の記載を訂正する。前記シミュレーションの結果、何等の問題がない場合には、前記図形データメモリ45に格納されている曲げ素材の図形と同一形状の曲げ素材を板状のワークから切断する。そして、この切断された曲げ素材を用いて、前記シミュレーションと同様に折曲げ加工を行うものである。
【0090】
なお、前記説明においては、展開図形87における直線辺89Aに、当接位置決め辺99A,99B,99C及び101A,101B,101Cを備えた補助突当片図形97を備えた場合について例示した。しかし、
図12に示すように、分割線93D,93Bの位置に、それぞれ別個の補助突当片図形105,107を備えた構成とすることも可能である。この場合、各補助突当片図形105,107のそれぞれには当接位置決め辺99A,101Aを備えた構成とし、かつ上記当接位置決め辺99A,101Aの延長線は、直線辺89Dと分割線93Dとの交差部109A及び直線辺89Bと分割線93Bとの交差部109Bと一致した構成とすることが望ましいものである。
【0091】
上記構成により、曲げ素材の実際の折曲げ加工を行うときには、各当接位置決め辺99A,101Aと交差部109A,109Bの2点にゲージ部材29L,29Rの先端面を当接して曲げ素材の位置決めを行うことができ、プレスブレーキ1に備えたパンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に対する曲げ素材の折曲げ線65の位置を安定的に、正確に位置決めすることができるものである。
【0092】
前述のごとく、補助突当片図形105,107に当接位置決め辺99A,101Aを備えた構成としたことにより、補助突当片図形97には当接位置決め辺99B,99C,101B,101Cを備えた構成となるものである。
【0093】
既に理解されるように、プレスブレーキ1におけるパンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に対して板状のワーク(曲げ素材)を所定ピッチ毎又は所望のピッチ毎或は所定のピッチ角又は所望のピッチ角毎に位置決めして折曲げ加工を行うに当り、ワークには、プレスブレーキ1におけるゲージ部材29L,29Rの先端面に当接する当接位置決め辺を備えた補助突当片が備えられているので、当該補助突当片の当接位置決め辺にゲージ部材29L,29Rを当接した状態においてワークの位置決めを行うことができるものである。
【0094】
換言すれば、例えば所定のピッチ毎又は所定ピッチの角度毎に予め位置決めしたゲージ部材29L,29Rの先端面に対して、ワークに備えた補助突当片における当接位置決め辺を当接してワークの位置決めを行えばよいものである。したがって、パンチ11、ダイ5の折曲げ加工位置に対してワークの折曲げ位置を容易に、かつ常に正確に位置決めすることができるものである。この際、ワークには、折曲げ線の位置として罫書線を罫書く必要はないものであり、折曲げ加工によって形成される曲げ曲面を含む製品に折曲げ加工するための曲げ素材(ワーク)の加工等が容易である。
【0095】
なお、本発明は、折曲げ加工によって形成した曲げ曲面を備えた製品を折曲げ加工するための曲げ素材の形状としては、前述したごとき形状に限るものではなく、製品形状、曲げ曲面の曲率や曲げ曲面を形成する範囲によって曲げ素材における素材本体の形状寸法や、当該素材本体に備えられる補助突当片の形状寸法は種々変わるものである。
【0096】
例えば、
図13に示すように、扇形状の素材本体111における角度を、角度βの範囲内において所定ピッチの角度毎の折曲げ加工を繰り返す場合、N1,N2,N3回目のそれぞれの基準となる折曲げ線65と平行な当接位置決め辺113A,113B,113Cを順次連続して備えた補助突当片113を、素材本体111の一側縁111Aに備えた構成とする。そして、N4,N5,N6,N7回目のそれぞれの基準となる折曲げ線65と平行な当接位置決め辺115A,115B,115C,115Dを順次連続して備えた補助突当片115を、素材本体111の他側縁111Bに備えた構成とするものである。
【0097】
すなわち、補助突当片113,115の形状は同一形状又は対称形状になるとは限らないものである。