(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摺動部(18)の前記導電部(19)と前記初期導電スタッド(20a、20b)との間の接続部(22a、22b)が、切断可能な持続性電気的接合部である、請求項1または4に記載の電気スイッチ。
前記初期導電スタッド(20a、20b)と前記摺動部(18)の前記導電部(19)とが、一体部材として作製されると共に、複数の切断始動部によって互いに画定されている、請求項5に記載の電気スイッチ。
前記初期導電スタッドは、前記摺動部(18)が前記第1位置にあるとき、バネ等の弾性付勢手段によって前記導電部に接触するよう付勢されている、請求項1または4に記載の電気スイッチ。
前記下流導電スタッド(30)は、前記摺動部(18)が前記第1位置にあるとき、バネ等の弾性付勢手段によって前記キャビティ(14)の内部に向かって付勢されており、前記摺動部(18)が前記第2位置にあるとき、前記弾性付勢手段によって前記第2突出部(38)に接触するよう付勢されている、請求項1に記載の電気スイッチ。
前記キャビティ(14)の下流側終端は、前記摺動部(18)が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に前記摺動部(18)をガイドするガイド部(32)を構成している、請求項1から15のいずれか1項に記載の電気スイッチ。
前記第1スタッド対(20a、20b)および前記第2スタッド対(20c、20d)が、前記摺動部(18)の摺動方向(X)に対して直角な複数の平面内にそれぞれ位置している、請求項18に記載の電気スイッチ。
前記絶縁体(46)が前記第2スタッド対(20c、20d)よりも上流で、前記第2突出部(38)よりも下流に配置されており、それにより、前記摺動部(18)が前記第2位置にあるとき、前記第1突出部(34)および前記第2突出部(38)が、それぞれ、前記第1の初期導電スタッド(20a)の前記接合面(26a)および前記第2スタッド対(20c、20d)の第1のスタッド(20c)の接合面(26c)に押し当たるよう構成されている、請求項18または19に記載の電気スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書では、複数の実施形態について説明する。相反する記載がない限り、いずれか1つの実施形態について記載した特徴は、他の実施形態にも適用してよい。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、限定を意図しない説明として提示する、本発明の複数の実施形態についての以下の説明を読むことにより明らかになる。以下の説明では、添付の図面を参照する。
【0023】
図示したこれらの例において、本発明の電気スイッチは、円形断面のキャビティ14を内側に画定する中空体12を備え、このキャビティ14は、その底側端部14bが底壁15によって閉塞されており、その上側部分は、被覆体13によって部分的に内張りされている。当然ながら、他の実施形態では、キャビティ14は、矩形または他の適切な形状の横断面を呈することができる。
【0024】
本明細書では、相反する記載がない限り、軸方向とは、中空体12のキャビティ14の主軸Xに平行な方向とする。また、径方向とは、キャビティ14の主軸Xに対して直角でこの主軸Xと交差する方向とする。相反する記載がない限り、「軸方向(の)」、「径方向(の)」、「軸方向に」、「径方向に」という形容詞および副詞は、上記で特定した軸方向および径方向を基準として使用する。同様に、軸方向平面は、キャビティ14の主軸Xを含む平面であり、径方向平面は、この主軸Xに対して直角な平面である。また同様に、軸方向断面は、一の軸方向平面内に画定される断面であり、径方向断面は、一の径方向平面内に画定される断面である。
【0025】
さらに、相反する記載がない限り、「上側(の)」および「底側(の)」という形容詞は、図中に示した軸Xの向きを基準として使用する。
【0026】
最後に、「上流」および「下流」という語は、以下に記載するような、キャビティ14内での摺動部18の軸Xに沿った移動の方向に関連して定義される。
【0027】
電気スイッチは、火薬式ガス発生器16(たとえば、このスイッチを動作させるために供給される必要のあるガスの量に応じて、火薬式点火装置を備えた超小型ガス発生器、または、火薬式点火装置単体)を有しており、このガス発生器は、キャビティ14をその上側端部14aで閉塞する働きをしている。したがって、これらの例では電気スイッチ10は単一動作スイッチである。
【0028】
図示のように、複数の導電スタッドが中空体の壁部に取り付けられ、横方向に伸びてキャビティ14に通じている。これらの導電スタッドは、それぞれ、キャビティ14の内部に面する接合面を有する。
【0029】
キャビティ14内には、火薬式ガス発生器16より下流に、導電部19を有する摺動部18が設けられている。摺動部18の導電部19は、初期状態では少なくとも2つの初期導電スタッドに接続されていて、第1電気回路を閉じている。
【0030】
摺動部18は、導電部19より上流に、少なくとも1つのセグメント24bを備える非導電部24を有し、このセグメント24bは、キャビティ14の断面に相補的な断面を呈し、被覆体13内を軸方向Xに摺動するように構成されたピストンを形成する。
【0031】
説明する例では、導電部19は非導電部24に接続されている。一変形例では、導電部19とピストン24とを互いに独立させて設けることも可能である。
【0032】
図1に示すように、火薬式ガス発生器16とピストン24との間には、ガス膨張室27が設けられている。
【0033】
また、ピストン24はその周部に、ガス膨張室27とキャビティ14のそれ以外の部分との間を封止するシールリング25を受容するように構成された少なくとも1つの溝部を備える。
【0034】
シールリング25に代えて、他の封止手段を使用することもできる。たとえば、このガス膨張室は、ピストンの作製に使用された材料よりも柔軟性の高いプラスチック材料をピストン24の環状の溝部に注入することによって封止することができる。また、ピストン24の表面に作製され、ピストン24とキャビティ14の内壁との間に存在する隙間を通過するガスの漏れ率を低減するよう機能する、一連のバフルによって封止することもできる。
【0035】
なお、ガス流出オリフィス(図示せず)を、キャビティ14の下流部分、たとえばその底壁15に設けてもよい。
【0036】
各初期導電スタッドと摺動部18の導電部19との間の通電断面が小さい場合、ガス膨張室27内のガスの圧力によって付与される、各導電スタッドと摺動部18との間の接続を切断するのに必要な力は、比較的中程度のものである。このような場合、たとえば射出法により強化ポリマーから作製された中空体12が十分な機械的強度を有する。
【0037】
必要とされる力がそれより大きい場合は、中空体12が金属製支持部材で強化されてよい。一実施形態では、この金属製支持部材は、堅固な保護殻を形成するように中空体12を取り囲んで設けられてよい。別の例では、中空体12が射出法で作製される場合に、射出成形時に、この金属製支持部材がその材料内に直接挿入されてもよい。
【0038】
このような強化用支持部材を使用する場合、一般に、火薬式ガス発生器16および各導電スタッドは、中空体に装着された絶縁被覆体を介して設置する必要がある。
【0039】
上述のように、図示の複数の実施形態では、電気スイッチが火薬式ガス発生器16を有する。しかしながら、この例は限定的なものではなく、各導電スタッドと摺動部18との間の接続を切断するのに十分な力を摺動部18の上部に付与することができる、他の装置またはアクチュエータを使用することも可能であることに留意されたい。たとえば、機械的または電気的エネルギーによって動作するアクチュエータを使用することもできる。
【0040】
上述の電気スイッチの動作の例は以下の通りである。
【0041】
たとえば第1電気回路の電気部品の異常検知部(図示せず)から送信される、電気的トリガー信号の作用を受けて、火薬式ガス発生器16が起動されると、ピストン24より上流に位置する膨張室27に燃焼ガスが放出される。
【0042】
膨張室内でガス圧力が高くなるため、各初期導電スタッドと摺動部18との間の接続部は、徐々に高まる剪断力を受ける。最終的に、ガス圧力による力がこれらの接続部の剪断強度を超えると、接続部が破壊されて、摺動部18が解放され、摺動部18は、たとえばキャビティ14の底壁により形成される当接部に当接するまで下流に移動する。
【0043】
図1および
図2に、本発明の第1実施形態を構成する電気スイッチ10を示す。第1実施形態では、電気スイッチ10は、キャビティ14に向かって貫通する2つの導電スタッド20aおよび20bを連結する第1電気回路のカットアウト機能を有する。
【0044】
この例では、2つの導電スタッド20a、20bは、共通の径方向軸A−A上に配置されており、それぞれ、軸A−Aに対して直角な平面内に画定されキャビティ14の内部に面する接合面26a、26bを有する。
【0045】
この例では、摺動部18は非導電部(絶縁性材料で作製)を有し、この非導電部は、キャビティ14の断面に相補的な断面を呈しピストンを形成する第1セグメント24bと、この第1セグメント24bより下流の軸方向長さL2の第2セグメント24aとを備える。
【0046】
摺動部は、非導電部24より下流に、本例では導電スタッド20aおよび20bの接合面26aおよび26bの長さL1と実質的に等しい長さ(軸方向Xに計測した長さ)の導電部19も有する。
【0047】
図1に示すように、第1導電スタッド20aの接合面26aは、たとえば錫−銅合金を用いた溶接によって得られる接着部22aによって、導電部19の対応する接合面28aに接続されている。
【0048】
同様に、第2初期導電スタッド20bの接合面26bは、たとえば錫−銅合金を用いた溶接によって得られる接着部22bによって、導電部19の対応する接合面28bに接続されている。
【0049】
この2つの溶接部22aおよび22bによって、摺動部18の導電部19を介して互いに接続された第1初期導電スタッド20aと第2初期導電スタッド20bとの間で第1電気回路が閉じられている。
【0050】
これらの溶接部22aおよび22bは、振動、衝撃等の外部ストレスに耐えることができ、信頼性の高い電気的接触を確実にする働きをする。
【0051】
たとえば第1電気回路の電気部品の異常検知部(図示せず)から送信される、電気的トリガー信号の作用を受けて、火薬式ガス発生器16が起動されると、ピストン24より上流に位置する膨張室27に燃焼ガスが放出される。
【0052】
膨張室内でガス圧力が高くなるため、溶接部22aおよび22bは徐々に高まる剪断力を受ける。最終的に、ガス圧力による力が溶接部22aおよび22bの剪断強度を超えると、溶接部22aおよび22bが破壊されて、摺動部18が解放され、キャビティ14の底壁に当接するまで下流に移動する。第1位置と第2位置との間で移動する摺動部18のストロークは、導電部19の軸方向長さL1よりも長い。
【0053】
図2に示す摺動部18の第2位置では、接合面28aおよび28bと導電部19全体とが、初期導電スタッド20aおよび20bの接合面26aおよび26bより下流に位置している。このとき、接合面26aおよび26bは摺動部の絶縁部分24に対向して位置し、その結果、スタッド20aとスタッド20bとの間の電気的接続が切断され、第1電気回路が開いている。
【0054】
なお、別の実施形態では、導電部19は、導電スタッド20a、20bより上流に延在していてもよい。この場合、摺動部が第1位置から第2位置に移動することで電気回路を完全かつ確実に切断できるようにするために、導電部は、各導電スタッドの上流に後退部をさらに有しており、これにより、火薬式ガス発生器16が起動され摺動部18が移動すると、各初期導電スタッド20a、20bが後退部に対向配置されて、第1電気回路が開かれることになる。
【0055】
図1および
図2の例では、導電部19は、実質的に矩形のブロック状である。その矩形の軸方向断面を
図3に示す。したがって、摺動部18の導電部19の接合面28aおよび28bは平面であり、初期導電スタッド20aおよび20bの対応する接合面26aおよび26bも同様である。
【0056】
別の実施形態では、導電部19は、
図4に示すような円形の軸方向断面を有していてもよい。この場合、接合面28aおよび28bは凸面状であり、導電スタッド20aおよび20bの対応する接合面26aおよび26bは、それに合致する凹面状である。
【0057】
本発明の第2実施形態では、導電部19の各接合面と初期導電スタッド20a、20bとは、それぞれ、ろう付けにより接続されている。本発明の第1実施形態について上述した全ての特徴、記載、および変形例は、第2実施形態についても有効であるため、ここでは繰り返さない。
【0058】
図5および
図6に、本発明の第3実施形態の電気スイッチ100を示す。
【0059】
第3実施形態では、電気スイッチ100は、キャビティ14に通じる2つの導電スタッド20aおよび20bを互いに接続する第1電気回路のカットアウト機能を有する。
【0060】
上述の第1実施形態および第2実施形態と共通の要素に対する参照符号は、以下の記載でも同一のままとする。
【0061】
この例では、2つの導電スタッド20aおよび20bは、キャビティ14の内部に向かって横方向に突出している。これらのスタッドは、共通の径方向軸A−A上にあり、それぞれ、キャビティ14の内部に面する接合面26a、26bを有する。
【0062】
摺動部18は、火薬式ガス発生器16のすぐ下流に設けられている。この例では、摺動部は、キャビティ14の断面に相補的な断面で、ピストンを形成する(絶縁性材料で作製された)非導電部を有しており、このピストンは、導電スタッド20a、20bの各接合面の長さL1よりも長尺な軸方向長さL8の導電部19によって下流方向に延長されている。
【0063】
図5に示すように、摺動部18が第1位置にあるとき、2つの導電スタッド20aおよび20bは導電部19を介して互いに電気的に接続されていて、電気回路を閉じている。
【0064】
図5に示すように、導電スタッド20aおよび20bの接合面26aおよび26b、ならびに、それらに対応する摺動部18の接合面28aおよび28bは、下流に向かって広がっている。
【0065】
この例では、導電部19は、各接合面よりも上流に、軸方向長さL3に亘って延在する後退部23a、23bも備える。この長さL3は、各導電スタッドの長さL1よりも長くなるように、より一般には、火薬式ガス発生器16が起動されて摺動部18が移動すると各導電スタッド20a、20bが後退部23a、23bにそれぞれ対向配置されるように選択される。
【0066】
後退部23aおよび23bによって、また、接合面26a、26b、28a、および28bの傾斜によって、摺動部18は、キャビティ14内を移動する際に摩擦によって妨げられることなく、2つの初期導電スタッド20aおよび20bから速やかに分離する。導電スタッド間の電気的接続が極めて確実に切断され、電気回路が完全に遮断される。さらに、このような構成により、初期導電スタッド20a、20bと導電部19との間の電気的接続の切断が、摺動部18の摺動方向Xの最小限のストロークで行える。
【0067】
一変形形態では、接合面28aおよび28bより上流に位置する摺動部18の部分全体が、絶縁性材料で作製されてよい。この場合、摺動部18は、接合面28a、28bよりも上流に後退部23a、23bを備えていなくてもよい。
【0068】
別の変形形態では、接合面28a、28bより上流に位置する摺動部18の各面に、絶縁性小片部が設けられるだけでもよい(たとえば、各後退部23a、23bにより形成される空間を埋める絶縁性材料など。
図15および
図16参照)。
【0069】
図示の例では、初期導電スタッド20a、20bの接合面26a、26b、および、摺動部18の接合面28a、28bは、好ましくは、直線により構成される径方向断面を有する。しかしながら、一変形例では、これらの接合面は、全体として下流に向かって広がるように傾斜していれば、直線構成ではない断面を有することができる。
【0070】
本実施形態では、導電スタッド20a、20bと導電部19との各接合部は、いかなる種類の切断可能な持続性電気的接合部により構成されてもよいことに留意されたい。詳細には、これらの接合部は、ろう付け、半田付け、または溶接によって形成されてよい。あるいは、初期導電スタッド20aおよび20bと摺動部18の導電部19とが、切断始動部(break starters)によって互いに画定される一体部材として作製されてもよい。
【0071】
図15および
図16に示す別の変形形態では、これらの初期導電スタッドが、たとえばバネ等の弾性付勢手段によって、導電部と接触するよう付勢されてもよい。この場合、摺動部18が、導電部19の各接合面28a、28bよりも上流に、絶縁部分50a、50bを備えることが有利である。摺動部18が第2位置にあるとき、初期導電スタッド20a、20bは、バネ52a、52bによって摺動部18に向かって付勢されているので、上述の絶縁部分50a、50bに接触している。このように、各スタッドはバネ52a、52bによって摺動部18に向かって付勢されているが、初期導電スタッド20aと20bとの間の電気的接続は確実に切断されている。
【0072】
図示の例では、絶縁性材料の小片部50a、50bが、単に、導電部19の各接合面28a、28bより上流で摺動部18に装着されている。詳細には、
図15および
図16において、摺動部18は、各接合面28a、28bより上流に後退部23a、23bを有しており、各後退部23a、23bは、摺動部18が第2位置にあるときに対応する導電スタッドと位置合わせされる絶縁性材料の小片部を受容する。別の実施形態では、摺動部18は、導電部19より上流に、絶縁性材料のセグメントを備えていてもよい。
【0073】
図15および
図16に示した変形例に関連する上記記載は、少なくとも1つの初期導電スタッドと摺動部の導電部との間の電気的接続が、たとえばバネ等の弾性付勢手段によって実現される、本発明の全ての実施形態に適用可能である。
【0074】
図7および
図8は、本発明の第4実施形態の電気スイッチ200を示す。
【0075】
上述の第1実施形態、第2実施形態、および第3実施形態と共通の要素に対応する参照符号は、以下の記載においても同一のままとする。
【0076】
図7に示すように、電気スイッチ200は、第1スタッド対を構成する第1初期導電スタッド20aおよび第2初期導電スタッド20bと、この第1スタッド対より下流に(すなわち、第1スタッド対の導電スタッド20aおよび20bが配置された平面より下流に位置する径方向平面内に)位置する第3導電スタッド30とを有しており、この第3導電スタッドは、以下の説明では「下流」導電スタッドと称する。
【0077】
第4実施形態では、電気スイッチ200は切換え機能を有する。この電気スイッチは、たとえば、初期導電スタッド20aおよび20bを互いに接続する第1電気回路を開きつつ、第1初期導電スタッド20aと下流導電スタッド30との間の第2電気回路(分岐回路)を閉じることで、第2初期導電スタッド20bに接続された問題のある部品を分離することを目的とする。
【0078】
図7および
図8に示すように、電気スイッチは、キャビティ14内において火薬式ガス発生器16より下流に設けられた摺動部18を有する。摺動部18は導電部19を有し、導電部19の上側端部は、キャビティ14の断面に相補的な断面を有しピストンを構成する絶縁部分24に接続されている。
【0079】
電気スイッチ200が初期位置(すなわち第1位置)にあるとき、2つの初期導電スタッド20aおよび20bは、摺動部18の導電部19を介して互いに電気的に接続されていて、第1電気回路が閉じている。
【0080】
この例では、第1導電スタッドの接合面26aは、導電部19の対応する接合面28aに、溶接部22aを介して接続されている。同様に、第2導電スタッドの接合面26bは、導電部19の対応する接合面28bに、溶接部22bによって接続されている。
【0081】
より一般には、第1初期導電スタッド20aおよび第2初期導電スタッド20bは、導電部19に、いかなる種類の切断可能な持続性電気的接合部によって接続されていてもよい。たとえば、この接合はろう付けによって実現されてもよい。あるいは、初期導電スタッド20a、20bと摺動部18の導電部19とは、切断始動部によって互いに画定される一体部材として作製されてもよい。別の変形形態では、これらの導電スタッドは、たとえばバネ等の弾性付勢手段によって導電部に接触するよう付勢されていてもよい。
【0082】
図7に示すように、導電部19は、第1初期導電スタッド20aに対向して位置する接合面28aより上流に、傾斜部34の形をとる第1突出部を有している。
【0083】
より正確には、導電部19の側面の、接合面28aのすぐ上流に位置する部分は、軸方向Xの長さL4に亘って上流に向かって広がっている。この例では、長さL4は、各初期導電スタッドの接合面の長さL1(上記同様、軸方向Xの長さ)と実質的に等しくなるように選択される。
【0084】
また、導電部19は、接合面28aおよび28bより下流に形成された傾斜部38の形をとる第2突出部を有している。
図7に示すように、摺動部18が第1位置にあるとき、第2突出部38は、下流導電スタッド30のすぐ上流にある。傾斜部38の長さL5(軸方向Xの長さ)は、下流導電スタッド30の接合面31の長さL6(軸方向Xの長さ)と実質的に等しい。
【0085】
図示の例では、導電部19はさらに、第2初期導電スタッド20bに対向して位置する接合面28bの上流に設けられた後退部36を備える。
【0086】
摺動部18が第1位置にあるとき、第1突出部34は第1初期導電スタッド20aより上流に位置し、後退部36は、第2初期導電スタッド20bより上流に位置し、第2突出部38は下流導電スタッド30より上流に位置している。摺動部18は下流導電スタッド30に接触しておらず、下流導電スタッド30は作動していない状態である。
【0087】
火薬式ガス発生器16の作用を受けて摺動部18がX方向下流に移動すると、第1突出部34および第2突出部38が、それぞれ第1初期導電スタッド20aおよび下流導電スタッド30に徐々に押し当てられる。
【0088】
同時に、後退部36が、第2導電スタッド20bの接合面26bに対向配置される。
【0089】
この位置では、導電スタッド20aおよび20bはもはや互いに電気的に接続されていないため、第1電気回路は開いている。一方、導電スタッド20aおよび30に押し当たっている突出部34および38によって、導電部19はこれら2つのスタッド20aと30とを互いに電気的に接続することができ、これにより第2電気回路(分岐回路)が閉じている。
【0090】
図7および
図8に見られるように、キャビティ14は、その下流側終端が、摺動部18の底側部分の形状に相補的な形状のガイド部32となっていることが有利である。ガイド部32は、摺動部18が第1位置から第2位置に移動する際、摺動部18をガイドするよう働く。より詳細には、ガイド部32によって、摺動部18が第1初期導電スタッド20aおよび下流導電スタッド30から離れて移動することが防止されて、摺動部18が第2位置にあるときに第2電気回路(分岐回路)でなされる各電気的接触の信頼性が増す。
【0091】
変形例として、摺動部は、その底側端部側終端が、中空体12の底壁15に設けられた、対応する円錐形キャビティに締り嵌め嵌合する円錐形部分となるように構成されてよい。
【0092】
説明した例では、導電部19の突出部34、38は、接合面28a、
31のすぐ上流に位置している。変形例として、これらの突出部を、対応する接合面よりも上流で少し距離をおいて配置することも当然可能である。この場合、摺動部が第1位置と第2位置との間で移動するストロークが長くなるだけである。しかしながら、各突出部と協働する接合面との間の距離同士が実質的に同一である状態にすることに留意することが適切である。
【0093】
上述のように、説明した例の導電部19は、摺動部18が第1位置にあるときに第2初期導電スタッド20bより上流に位置する後退部36を有している。この後退部があることで、摺動部18がそのストロークに沿ってキャビティ内を移動すると、摺動部18と第2導電スタッド20bとの間の電気的接触を切断することができる。この後退部を設ける代わりに、あるいはこれを設けることに加えて、摺動部18は、接合面28bより上流に絶縁部分を備えることができる。この絶縁部分は、摺動部18が第2位置にあるときに第2初期導電スタッド20bと位置合わせされるように構成すべきである。
【0094】
別の有利な例では、摺動部18の第2初期導電スタッド20bに対向する面は、導電スタッド20bの対応する接合面もまた同様に、下流に向かって広がっていてよく、これにより、摺動部18が摩擦によって妨げられることなく導電スタッド20bから即座に接合解除されることが可能になる。
【0095】
さらに別の有利な例では、下流導電スタッドは、たとえばバネ等の弾性付勢手段によってキャビティ14の内部に向かって付勢されてよい。この場合、摺動部18が第1位置から第2位置に向かって移動すると、傾斜部38が、この弾性付勢手段の力と反対の方向に下流導電スタッドを徐々に圧迫する。摺動部18が第2位置にあるとき、下流導電スタッドは、この弾性付勢手段によって導電部19に接触するよう付勢される。
【0096】
図9から
図11は、本発明の第4実施形態の変形例の電気スイッチ201を示す。
図7および
図8を参照して上述した全ての特徴は、ここでも有効であるため、繰り返し記載しない。
【0097】
図9に示すように、摺動部18の導電部19は、後退部36の近傍に位置する第3突出部40を有する。詳細には、この例では、第3突出部40は、後退部36より下流で、第2初期導電スタッド20bに接続されている導電部19の接合面28bより上流に配置されている。第3突出部40は、第1突出部34の長さL4および第2突出部38の長さL5よりも短い、軸方向長さL7を有している。
【0098】
図10は、第1位置と第2位置との間の中間位置における摺動部18を示す。
【0099】
この中間位置では、第1突出部34および第2突出部38は、それぞれ、第1導電スタッド20aおよび下流導電スタッド30に押し当たり始めている。第3突出部40は、第2導電スタッド20bに押し当てられている。また、摺動部18はガイド部32に嵌合している。
【0100】
3つ全ての導電スタッド20a、20b、および30がこのように互いに短絡しており、(導電スタッド20aおよび20bを互いに接続する)第1電気回路が切断される前に、導電スタッド20aおよび30を互いに接続する第2電気回路(分岐回路)に電流が流れ始める。
【0101】
摺動部18が第2位置に到達すると、
図11に示すように、第3突出部40は第2導電スタッド20bより下流にあり、後退部36が第2導電スタッド20bに対向配置されている。
【0102】
この位置では、スタッド20aとスタッド20bとの間の第1電気回路は開いており、スタッド20aとスタッド30との間の第2電気回路は閉じている。
【0103】
図12から
図14は、初期状態では並列接続されている複数の回路を有する、本発明の第4実施形態の別の変形例の電気スイッチ202を示す。
【0104】
この変形例では、電気スイッチ202は、第1初期導電スタッド対20aおよび20bと、この第1スタッド対20aおよび20bより下流に位置する第2初期導電スタッド対20cおよび20dとを有する。図示の例では、第1スタッド対の導電スタッドは、軸方向Xに直角な軸A−Aに沿って画定されており、第2スタッド対の導電スタッド20c、20dは、この軸A−Aに平行でこれより下流の軸B−B上に位置している。
【0105】
図12から
図14に示すように、摺動部18は、上述の第
4実施形態について記載したものと実質的に同一の第1導電部42と、第1導電部42より下流に位置する第2導電部44とを有する。2つの導電部42および44は、この例では
径方向平面に延在する絶縁体46によって互いに隔てられている。
【0106】
摺動部18が第1位置にあるとき、第1導電部42の一方の接合面28aは、第1スタッド対20a、20bの第1初期導電スタッド20aに接続されており、他方の接合面28bは、第1スタッド対20a、20bの第2初期導電スタッド20bに接続されている。この例では、第1スタッド対20a、20bの導電スタッドは、それぞれ、溶接部22a、22bによって第1導電部42に接続されている。
【0107】
摺動部18の第1導電部42は、接合面28aより上流の第1突出部34と、第2スタッド対20c、20dの第1初期導電スタッド20cより上流に位置する第2突出部38とを有する。
【0108】
これらの突出部は、
図7および
図8を参照して説明した突出部と同一の機能を有している。
【0109】
第2導電部44は、第2スタッド対の導電スタッド20cおよび20dに対向して位置している。この例では、第2導電部44は、スタッド20cの対応する接合面に溶接部22cによって接続される第1接合面28cと、スタッド20dの対応する接合面に溶接部22dよって接続される第2接合面とを有する。
【0110】
他の実施形態では、各導電スタッドと摺動部の各導電部との間の接着部は、切断可能な持続性電気的接合部を提供するいかなる種類のものでもよい。たとえば、これらの接着部は、ろう付けによって得られてよい。別の例では、これらの導電スタッドと摺動部のこれらの導電部とは、複数の切断始動部によってそれぞれ画定される一体部材として作製されてもよい。さらに別の例では、これらの初期導電スタッドは、たとえばバネ等の弾性付勢手段によって、導電部に接触するよう付勢されてよい。
【0111】
この例では、摺動部18は、第1スタッド対の第2導電スタッド20bに接続されている接合面28bより上流の第1後退部36と、第2スタッド対の第2導電スタッド20dに接続されている接合面28dより上流の第2後退部48とを有することに注目されたい。
【0112】
上述のように、摺動部18が初期位置にあるとき、第1スタッド対の初期導電スタッド20aおよび20bは、摺動部18の第1導電部42を介して互いに電気的に接続されており、第2スタッド対の初期導電スタッド20cおよび20dは、摺動部18の第2導電部44によって互いに電気的に接続されている。
【0113】
絶縁体46は、第2スタッド対の初期導電スタッド20c、20dに接続される、摺動部18の接合面28c、28dより上流で、第2突出部38および第2後退部48より下流に配置されている。
【0114】
この構成により、摺動部18が第2位置に到達したとき、第1突出部34は、第1スタッド対20a
、20bの第1初期導電スタッド20aの接合面26aに押し当たり、第2突出部38は、第2スタッド対20c、20dの第1初期導電スタッド20cの接合面26cに押し当たる。
【0115】
同時に、第1後退部36は、第1スタッド対20a、20bの第2初期導電スタッドの接合面26bに対向配置されることになる。同様に、第2後退部48は、第2スタッド対20c、20dの第2初期導電スタッド20dの接合面26dに対向配置されることになる。
【0116】
最終的に、絶縁体46は、
図14に示すように、第2スタッド対の第1初期導電スタッド20cより下流に位置することになる。
【0117】
この位置では、第1スタッド対20a、20bの導電スタッド間で摺動部18の第1導電部42を介して初期状態で成立していた電気回路は開いている。
【0118】
同様に、第2スタッド対20c、20dの導電スタッド間で摺動部18の第2導電部44を介して初期状態で成立していた電気回路も開いている。
【0119】
対照的に、第1スタッド対の第1導電スタッド20aと第2スタッド対の第1導電スタッド20cとの間の、摺動部の第1導電部42を介した分岐回路は閉じている。
【0120】
図示の例では、摺動部は、第1突出部34および第2突出部38より短尺な第3突出部40を有し、この第3突出部40は、接合面28bより上流で後退部36より下流に位置している。
【0121】
摺動部は、火薬式ガス発生器16の作用を受けて第1位置から第2位置へ移動する際に、
図13に示す中間位置を通過する。
【0122】
この中間位置では、第1突出部34および第2突出部38は、それぞれ、
第1スタッド対の第1初期導電スタッド20aおよび
第2スタッド対の第1導電スタッド20cに押し当たり始めている。第2スタッド対の第2導電スタッドは、第2導電部44に接触しなくなっている。第3突出部40は、
第1スタッド対の第2初期導電スタッド20bに押し当てられている。最終的に、摺動部18がガイド部32に嵌合される。
【0123】
このように、3つの導電スタッド20a、20b、および
20cは第3突出部40によって互いに短絡しているため、(初期導電スタッド20aおよび20bを互いに接続する)第1電気回路が切断される前に、導電スタッド20aおよび
20cを互いに接続する第2電気回路(分岐回路)に電流が流れ始める。