(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743354
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】接点ばねを有するポケットランプ
(51)【国際特許分類】
F21L 4/00 20060101AFI20150611BHJP
【FI】
F21L4/00 410
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-517005(P2013-517005)
(86)(22)【出願日】2011年5月4日
(65)【公表番号】特表2013-530504(P2013-530504A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】DE2011001023
(87)【国際公開番号】WO2012003818
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2013年11月12日
(31)【優先権主張番号】10175175.8
(32)【優先日】2010年9月3日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】102010026160.2
(32)【優先日】2010年7月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】311009963
【氏名又は名称】ツヴァイブリューダー・オプトエレクトロニクス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】オーポルカ・ライナー
【審査官】
松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05122938(US,A)
【文献】
実開昭56−105201(JP,U)
【文献】
米国特許第02550423(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットランプであって、
このポケットランプが、この電池ケーシングの一方の端部において、導電性の接触面(8)が形成されている、1つの円筒形の電池ケーシング(3)と、1つの端キャップ(5)と、並びに、複数の接点を有する1つの接点ばね(6)とを有し、
この接点ばねが、上記電池ケーシング(3)内に収納された電池(4)の電極を、この電池ケーシング(3)の接触面(8)と結合する様式の上記ポケットランプにおいて、
これら接点が、接点ばね(6)の相対して位置している二つの端部に設けられていることと、
これら接点の中の一方の接点が、電池(4)の電極と結合されることと、
これら接点の中の他方の接点が、スイッチとして構成されており、このスイッチの接触閉鎖が、端キャップ(5)の回転による前記他方の接点と電池ケーシングの接触面(8)との間の接触に基づいて形成されることと、
端キャップ(5)は、未だに接触閉鎖されていない程度に電池ケーシングにねじって締められている場合に、ねじ山遊隙の利用のもとで端キャップ(5)の押圧により接触閉鎖され、そのため、当該のスイッチが、押しボタンスイッチとして形成されていることと、
を特徴とするポケットランプ。
【請求項2】
接点ばね(6)は、コイルばねまたは板ばねであることを特徴とする請求項1に記載のポケットランプ。
【請求項3】
端キャップ(5)は、雄ねじ(11)を、および、電池ケーシング(3)が、この雄ねじに対応する雌ねじを備えており、接点ばね(6)が、端部側で、少なくとも1つの半径方向の部分区間(9)を備えており、この半径方向の部分区間(9)が、組み立てられた状態において、この電池ケーシング(3)の接触面(8)と結合されているように、この半径方向の部分区間が、この端キャップ(5)の切欠き部(10)内に係合することを特徴とする請求項1または2に記載のポケットランプ。
【請求項4】
端キャップ(5)の雄ねじ(11)と、閉鎖部分(12)との間に、切欠き部(10)が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のポケットランプ。
【請求項5】
端キャップ(5)は、雌ねじを、および、電池ケーシング(3)が、この雌ねじに対応する雄ねじ(11)を備えており、
接点ばね(6)が、端部側で、少なくとも部分領域内において、
この部分領域が、組み込まれた状態において、電池ケーシング(3)の接触面(8)と結合されている程度に大きな半径を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のポケットランプ。
【請求項6】
接点ばね(6)は、コイルばねであり、このコイルばねが、有利には、円錐台形に形成されていることを特徴とする請求項1または5に記載のポケットランプ。
【請求項7】
円錐台形のコイルばねは、端部側で、この部分領域が組み込まれた状態において電池ケーシング(3)の接触面(8)と結合されている程度に、大きな半径を有する部分領域を備えていることを特徴とする請求項6に記載のポケットランプ。
【請求項8】
接点ばね(6)は、半径方向の部分区間(9)を有しており、この半径方向の部分区間が、1つまたは2つの部材から成るように、クリップ(51)と結合されており、
その際、接触閉鎖が、端キャップ(5)の回転によって形成されることを特徴とする請求項1に記載のポケットランプ。
【請求項9】
半径方向の部分区間(9)と接触面(8)との間に、組み込まれた状態において、間隙(52)があり、従って、接触が、このクリップ(51)の旋回運動によって閉鎖されることを特徴とする請求項8に記載のポケットランプ。
【請求項10】
クリップ(51)は、長手軸線方向に、電池ケーシング(3)に沿って設けられていることを特徴とする請求項8または9に記載のポケットランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるポケットランプに関し、このポケットランプが、
この電池ケーシングの一方の端部において、導電性の接触面が形成されている、1つの円筒形の電池ケーシングと、1つの端キャップと、並びに、複数の接点を有する1つの接点ばねとを有し、
この接点ばねが、上記電池ケーシング内に収納された電池の電極を、この電池ケーシングの接触面と結合する。
【背景技術】
【0002】
この様式のポケットランプは、例えば、特許文献1内において記載されている。このポケットランプは、端キャップを備えており、この端キャップ内において、圧縮ばねが設けられており、この圧縮ばねが、唯一のばね線材から、部分的に異なる巻線直径から成っており、その際、少なくとも部分的に、多数の巻線が、半径方向に互いに並列して設けられている。換言すれば、1つの圧縮ばねが記載されており、この圧縮ばねが、2つの、同軸に支承された部分領域を有しており、これら部分領域が、それぞれに、コイルばねとして形成されている。
【0003】
部分的に半径方向に互いに並列して位置する、接点ばねのこれら端部片は、複数の接点を形成し、その際、一方の接点が、電池の電極に、および、他方の接点が、電池ケーシングの接触面と結合されている。
【0004】
既に、この特許文献1内において、多数の接触位置が、1つのポケットランプの、1つの電流回路内において、操作可能性に対して悪い影響を及ぼすことが述べられている。
【0005】
何故ならば、複数の接触位置において、これら電気的な接触が、酸化、汚染、および摩耗によって、如何なる最適な電気的な接触も形成しないからであり、従って、接触位置の数を減少させることの解決策が探究されてきた。
【0006】
特許文献2内において記載されたポケットランプは、圧縮ばねを有する端キャップを備えており、この圧縮ばねが、電気的な接触のために、単に2つの接触位置、即ち、電池の電極とばねとの間、および、ばねと電池ケーシングとの間の接触位置を有している。前記接触位置の数は、多部材より成る、且つ互いに離間するように構成可能な実施形態において、低減可能ではない。
【0007】
確かに、この提案された実施形態は、必要な圧縮ばねが、比較的に複雑に製造されるべきであることの欠点を有しており、このことは、一方では、比較的に高い費用の原因となり、他方では、精密な作業をこの圧縮ばねの製造の際に必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国実用新案第20 2007 009 202.4号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国実用新案第20 2007 009 272.4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、
端キャップを有する1つのポケットランプを提供することであり、このポケットランプが、可能な限り僅かの、接触位置の数において容易に製造され得、それによって、
一方では、製造費用が低減され、且つ他方では、比較的に安定的な、電気的な接触が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に従うポケットランプによって解決され、それに従って、本発明により、複数の接点が、接点ばね(6)の相対して位置している端部に設けられている。
【0011】
換言すれば、1つのポケットランプが提案されており、
このポケットランプが、このポケットランプの端キャップ内において、接点ばねを備えており、その際、
この接点ばねが、2つの相対して位置している端部において、接点を有しており、これら接点が、一方では、電池の電極と、および他方では、電池ケーシングの接触面と結合され得る。
【0012】
有利にはこの場合、この接点ばねは、コイルばねとして、または、板ばねとして形成されており、その際、同様に他の接点ばねも考えられ得る。
【発明の効果】
【0013】
原理的に、本発明の3つの異なる実施形態が存在し、これら実施形態は、以下で、並びに従属請求項内において説明される。
【0014】
第1の有利な実施形態に従い、
端キャップは、雄ねじを、および、電池ケーシングが、この雄ねじに対応する雌ねじを備えており、接点ばねが、端部側で、少なくとも1つの半径方向の部分区間を備えており、この半径方向の部分区間が、組み立てられた状態において、この電池ケーシングの接触面と結合されている
ように、この半径方向の部分区間が、この端キャップの切欠き部内に係合する。
【0015】
この目的のために、この部分区間は、切欠き部から、所定の寸法だけ外へ向かって突出するべきであり、従って、この外へ向かって突出された部分区間が、電池ケーシングの接触面に対して押圧され得る。
【0016】
原理的に、この接触面は、
リング形状または部分
リング形状に、電池ケーシングの端側面において設けられていることは可能である。選択的に、この目的のために、この接触面は、同様に、
リング形状または部分
リング形状の台座として、この電池ケーシングの内側に形成され得る。
【0017】
有利には、端キャップのねじと、閉鎖部分との間に、切欠き部が設けられている。この位置において、この切欠き部は、特に簡単に、穿孔によって、この端キャップ内へと形成され得る。
【0018】
本発明の選択的な実施形態に従い、
端キャップは、雌ねじを、および、電池ケーシングが、この雌ねじに対応する雄ねじを備えており、接点ばねが、端部側で、少なくとも部分領域内において、この部分領域が、組み込まれた状態において、電池ケーシングの接触面と結合されている程度に大きな半径を有している。
【0019】
有利には、この目的のために、この接点ばねはコイルばねであり、このコイルばねが、有利には、円錐台形に形成されている。この円錐台形のコイルばねは、有利には、端部側で、この部分領域が組み込まれた状態において電池ケーシングの接触面と結合されている程度に、大きな半径を有する部分領域を備えている。
【0020】
換言すれば、この接点ばねの先細りの端部が電池と、および、拡大された端部が端キャップもしくは接触面と結合されており、従って、円形状の線接触部が形成される。
【0021】
この実施形態は、特に良好に、スイッチとして構成され得る。何故ならば、接触閉鎖が、接点ばねと電池ケーシングとの間の線接触部に基づいて、端キャップの回転によって形成され得るからである。
更に、この端キャップは、接触が、まさに、従って未だに閉鎖されていない程度に、電池ケーシングにねじって締められ得、従って、接触が、ねじ山遊隙の利用のもとで閉鎖され得、それによって、この実施形態が、同様に、押しボタンスイッチとしても形成され得る。
【0022】
本発明の更に別の有利な実施形態に従い、
接点ばねは、半径方向の部分区間を有しており、この半径方向の部分区間が、1つまたは2つの部材から成るように、クリップと結合されており、その際、接触が、端キャップの回転によって形成される。
【0023】
更に、更に別の構成に従い、半径方向の部分区間と接触面との間に、組み込まれた状態において、間隙があり、従って、接触が、このクリップの旋回運動によって閉鎖される。
【0024】
これら両方の構成において、スイッチとしての形成に関して、上記した利点が与えられる。何故ならば、同様に、ここでも、端キャップは、接触閉鎖がこの端キャップの回転運動を介してか、または、ねじ山遊隙の利用のもとでの押圧によって形成され得る程度に、回転され得るからである。
【0025】
クリップは、長手軸線方向に、電池ケーシングに沿って設けられている。
上記ポケットランプは、この端キャップの回転によって、
このポケットランプが、このクリップの軽度の押圧もしくは旋回によって接触が閉鎖され、且つ、この接触が、反対方向への牽引によって再び遮断される、ように調節可能である。
【0026】
これと共に、その上、このポケットランプを、
このポケットランプがクリップにおいて、例えば胸ポケットのようなポケット内において懸吊する場合に接触が遮断されており、および、このポケットランプがこのポケットから取り出されるやいなや、電流回路が閉鎖される、ように調節することは可能である。
【0027】
本発明の具体的な構成、並びに、更に別の有利な実施形態を、以下で、図に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2a】コイルばねを有する、端キャップの図である。
【
図2b】コイルばねを有する、端キャップの図である。
【
図2c】コイルばねを有する、端キャップの図である。
【
図3】円錐台形の接点ばねを有するポケットランプの図である。
【
図4a】拡大された部分領域を備えるばねを有する、端キャップの図である。
【
図4b】拡大された部分領域を備えるばねを有する、端キャップの図である。
【
図5a】クリップを有するポケットランプの図である。
【
図5b】クリップを有するポケットランプの図である。
【
図6a】板ばねと結合されているクリップを有するポケットランプの更に別の実施形態の図である。
【
図6b】板ばねと結合されているクリップを有するポケットランプの更に別の実施形態の図である。
【
図6c】板ばねと結合されているクリップを有するポケットランプの更に別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1aおよび
図1b内において、
それぞれに1つの分解図において、1つのランプヘッド2、1つの電池ケーシング3、電池4、1つの端キャップ5、および、コイルばねとして形成された1つの接点ばね6を有する、1つのポケットランプ1が図示されている。
【0030】
これら図示されたポケットランプの場合、電流回路は、通常、この電池ケーシング3を介して閉鎖され、そのために、この電流回路が、少なくとも部分的に導電性の材料から成っている。この目的のために、有利には、アルミニウムが使用され、このアルミニウムは、表面の硬化のために、アルマイト処理方法でもって処理され得る。
【0031】
このような場合、処理された表面は、確かに、電気的な接触面のために、研磨されねばならず、そのために、有利には、この電池ケーシングの端側面7が使用され、従って、この端側面が、接触面8として使用され得る。
【0032】
電池と電池ケーシングとの間の接触閉鎖(短絡)のために、接点ばね6が設けられており、この接点ばねが、端部側で、半径方向の部分区間9を備えており、この半径方向の部分区間が、切欠き部10内へと、この半径方向の部分区間が、ある程度の寸法だけ、この切欠き部10から外へ向かって突出するように挿入され得る。
【0033】
図2a〜2c内において、それぞれに、1つの切欠き部10を有する端キャップ5、および接点ばね6の詳細図が図示されており、その際、
図2cが、組み込まれた接点ばね6を有する端キャップ5を図示している。電気的な接触を閉鎖するために、この端キャップ5は、外へ向かって突出する半径方向の部分区間9と共に、この半径方向の部分区間9が、この接触面8と接触する程度まで、電池ケーシング内へとねじ込まれねばならない。
【0034】
このような構成のために、特に、雄ねじ11を有する端キャップ、並びに、この雄ねじに対応する雌ねじを有する電池ケーシング3が適している。
【0035】
図3は、1つの選択的な実施形態を示しており、この実施形態の場合、1つの接点ばね6が使用され、この接点ばねが、端部側で、拡大された半径(Radius)を備えている(矢印30)。これによって、円形状の線接触部が形成され、この線接触部が、電池ケーシングの上のリング形状の接触面8と結合され得る。
【0036】
この様式の実施形態のために、有利には、雌ねじを有する端キャップ5、および、雄ねじを有する電池ケーシング3が使用される。
【0037】
図4aおよび
図4bは、1つの接点ばね6を有する端キャップ5を詳細図において示しており、その際、この接点ばね6が、端部側で、拡大された半径(Radius)を備えている(矢印30)。
【0038】
本発明の更に具体的な実施形態に従い、半径方向の部分区間9は、クリップ51と結合されており、その際、この半径方向の部分区間9と接触面8との間に、組み込まれた状態において、間隙52があり、従って、接触が、このクリップ51の旋回運動によって閉鎖される(
図5a、5b参照)。有利には、このクリップ51は、長手軸線方向に、電池ケーシング3に沿って設けられている。
【0039】
上記ポケットランプは、この端キャップ5の回転によって、
このポケットランプが、矢印方向53内における、このクリップ51の軽度の押圧もしくは旋回によって接触が閉鎖され(
図5bを参照)、且つ、この接触が、反対方向への牽引によって再び遮断される、ように調節可能である。
【0040】
図6a、6bおよび6cは、ポケットランプの更に別の実施形態を示しており、その際、これら図内において、接点ばね6が板ばね61として形成されている。更に、同様にこの板ばね61は、1つの部材から成るようにクリップ51と結合されている。
【0041】
組み立てられた状態(
図6c)において、端部側で、この板ばね61は、電池4に対しての電気的な接点62を有している。
【0042】
更に別の電気的な接点63は、半径方向の部分区間9において設けられており、この半径方向の部分区間が、1つの部材から成るようにクリップ51へと移行する。この更に別の電気的な接点63は、端キャップ5の回転、または、軽度の押圧によって、これに続いて閉鎖され得、その際、この端キャップが、この目的のために、相応して十分にねじって締められるべきである。
【符号の説明】
【0043】
1 ポケットランプ
2 ランプヘッド
3 電池ケーシング
4 電池
5 端キャップ
6 接点ばね
7 端側面
8 接触面
9 半径方向の部分区間
10 切欠き部
11 雄ねじ
12 閉鎖部分
30 拡大された半径
51 クリップ
52 間隙
53 矢印方向
61 板ばね
62 電気的な接点
63 更に別の電気的な接点