(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
物品を搬送する複数のスラットを有する搬送手段と、この搬送手段のスラットに対する摺動により物品を押し出して仕分ける複数の押出体とを備える仕分装置に用いられるスラットであって、
複数の筒状部分およびこれら複数の筒状部分同士を連結する連結部分を有する本体部と、
この本体部に設けられ、物品が載置される載置部と、
前記本体部の前記複数の筒状部分の各々に突設され、前記押出体を案内する案内部とを有する
ことを特徴とするスラット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施の形態について
図1ないし
図6を参照して説明する。
【0018】
図中の1は仕分装置で、この仕分装置1は、物品Wを搬送しながらその搬送途中で仕分情報に基づいて仕分けるスライドシュー式の搬送仕分装置である。
【0019】
仕分装置1は、物品Wを上面に載せて搬送方向Aに搬送する複数のスラット2を有する搬送手段3と、この搬送手段3の搬送方向Aと交差、例えば直交する方向へのスラット2に対する摺動により物品Wをスラット2上から分岐部である分岐搬送手段4上に押し出して仕分ける複数の押出体(シュー)5とを備えている。
【0020】
そして、複数のスラット2は、互いに近接した状態で搬送方向Aに沿って並んで位置しており、また、各押出体5は、互いに隣り合う両スラット2間に挟まれた状態で、スラット2に対して左右方向(搬送方向Aと直交する方向)に摺動可能でかつ上下方向に回動可能となっている。
【0021】
搬送手段3は、互いに離間対向する回行可能な左右一対で2本の無端体であるチェーン11を有している。チェーン11は、複数の回転体であるスプロケット(図示せず)に掛け渡され、駆動手段であるモータ12からの動力に基づいて所定方向に回行する。
【0022】
チェーン11は、外リンクおよび内リンク等にて構成された無端形状のチェーン本体部13を有している。チェーン本体部13には、回行方向に互いに等間隔をおいて位置する複数の支軸部14が内側方(スラット2側)に向かって突設されている。各支軸部14の基端側の外周には、チェーン11の回行時にガイドレール(図示せず)上を回転しながら走行するコロ部15が回転可能に設けられている。なお、チェーン11は、搬送手段3のフレーム16のカバー部17にて覆われている。
【0023】
そして、搬送手段3の両チェーン11間には、チェーン11の回行に基づいて搬送方向Aに移動しながら物品Wを搬送する左右方向長手状の複数の搬送体であるスラット2が架設されている。
【0024】
ここで、
図2および
図3から明らかなように、各スラット2の長手方向(搬送方向Aと直交する方向)の各端部は、円筒状をなす合成樹脂製の複数(例えば2個)の連結体であるブッシュ21のみを介して、チェーン11に連結されている。つまり、チェーン11とスラット2とが、筒状部材であるブッシュ(1種類の部品)21のみを介して互いに連結されている。
【0025】
ブッシュ(ピンブッシュ)21は、両端面開口状の円筒状部22を有し、この円筒状部22の外周面における軸方向中間部には、位置決め用の円環状の鍔部23が一体に突設されている。また、円筒状部22の内側には嵌合孔部24が形成され、この嵌合孔部24にチェーン11の支軸部(ピン)14が回動可能に嵌合挿入されている。
【0026】
一方、押出体5は、搬送方向Aに互いに隣り合う前後のスラット2間に位置してこれら両スラット2にて挟持された被挟持部31を有している。被挟持部31の前後面には、上方側を向いた断面4分の1円状(略4分の1円状を含む)の円弧状面32が形成されている。
【0027】
また、被挟持部31の上部には、スラット2上に載った物品Wの側面に当接してこの物品Wをスラット2上から分岐搬送手段4上へ押し出す押出部33が設けられている。被挟持部31の下部には、案内手段37にて案内される被案内部34が設けられ、この被案内部34はベアリング35およびピン36等にて構成されている。
【0028】
案内手段37は、押出体5の被案内部34を搬送方向Aに沿って案内する直進案内レール38と、押出体5の被案内部34を搬送方向Aに対して傾斜する方向に沿って案内することによりその押出体5をスラット2に対して搬送方向Aと交差(直交)する方向に摺動させる分岐案内レール39とを有している(
図1参照)。
【0029】
また、分岐案内レール39の案内始端部の上流には、押出体5の被案内部34を直進案内レール38側へそのまま直進させるか、その被案内部34の移動方向を分岐案内レール39側へ切り換えるかを選択的に設定する切換手段(図示せず)が配設されている。この切換手段は、例えば被案内部34を案内する回動案内体およびこの回動案内体を仕分情報に基づいて回動させる駆動体(ロータリソレノイド)等にて構成されている。
【0030】
ここで、
図3および
図4等に示されるように、スラット2は、複数、すなわち例えば互いに離間対向する前後2つの左右方向長手状で円筒状の筒状部分40を有する本体部41と、この本体部41の上部に一体に設けられ、物品Wが上面上に載置される左右方向長手状で矩形板状の載置部である載置板部42と、本体部41の各筒状部分40の外周面に外方に向かって一体に突設され、押出体5のスラット2に対する摺動時および回動時に押出体5を案内する左右方向長手状で突出状の案内部43とを有している。
【0031】
すなわち、各スラット2は、例えばアルミニウム等の金属の押出成形によって薄肉状に一体に形成された長尺物で、本体部41と載置板部42と案内部43とにて構成されている。
【0032】
載置板部42は、押出体5との係合によりこの押出体5のスラット2に対する上下回動を規制する短手方向両端側の端部分が他の部分(短手方向の両端部分を除く中間部分)よりも肉厚に形成されている。
【0033】
つまり、載置板部42は、左右方向長手状で矩形板状の載置板本体部分46と、この載置板本体部分46の短手方向両端部に連設され、その薄肉状の載置板本体部分46よりも肉厚に形成された回動規制用端部分47とにて構成されている。
【0034】
載置板本体部分46の板厚寸法は、この載置板本体部分46の全体にわたって略一定であり、回動規制用端部分47の板厚寸法よりも小さい。その一方、回動規制用端部分47の板厚寸法は、基端側から先端側に向かって徐々に減少しており、この回動規制用端部分47の先端部上面が湾曲面状に形成されている。
【0035】
また、載置板本体部分46の短手方向端部の上面と回動規制用端部分47の上面とは、段差なく滑らかに連続しているが、載置板本体部分46の短手方向端部の下面と回動規制用端部分47の下面との間には段差部48が形成されている。
【0036】
さらに、載置板本体部分46は、物品Wの下面と接触する上方膨出状で断面半円状(略半円状を含む)の2つの円弧状部46aを有し、これら両円弧状部46a同士が曲板状の連結板部46bにて連結されている。
【0037】
そして、押出体5は、スラット2に対して
図5に示す動作を行う。
図5(a)はスラット2がスプロケットに差し掛かった際(移動方向変更時)にキャリア側又はリターン側へ進行する際の状態を示し、
図5(b)はスラット2が搬送方向又はリターン側で搬送方向と逆方向に進行している際の状態を示し、
図5(c)はスラット2がリターン側のカテナリを通過する際(移動方向変更時)の状態を示す。
【0038】
図5(a)では、スラット2の載置板部42の回動規制用端部分47と押出体5の押出部33との当接係合および案内部43との接触により押出体5のスラット2に対する回動が規制される。
【0039】
図5(b)では、スラット2の載置板部42の回動規制用端部分47と押出体5の被挟持部31との当接係合並びに円弧状部46aの押出部33との当接および案内部43と被挟持部31との当接により、押出体5の位置決めがなされる。さらに、シューである押出体5が左右方向に摺動する際に案内板部分55に接触することにより、その押出体5の傾き(ガタツキ)が防止される。
【0040】
図5(c)ではスラット2の載置板部42の回動規制用端部分47と押出体5の被挟持部31の受部との当接係合並びに円弧状部46aと押出部33との当接および案内部43と被挟持部31との当接により、押出体5のスラット2に対する回動が規制される。
【0041】
基体部である本体部41は、搬送方向Aと交差する方向に軸方向を有する互いに平行な複数、例えば2つの両端面開口状の円筒状をなす筒状部分40と、これら2つの筒状部分40同士を連結する曲板状の連結部分51と、各筒状部分40の上端部に立設されて上端部が載置板部42の載置板本体部分46の円弧状部46aの下面に繋がった平板状の板状部分52とを有している。
【0042】
筒状部分40は、水平な中心軸線(軸心)Xを中心とする真円形状に形成されたもので、スラット2の長手方向一端から長手方向他端に亘って位置している。そして、筒状部分40の軸方向の各端部の内周側にはブッシュ21の円筒状部22が挿入されて嵌着され、かつ鍔部23が筒状部分40の端面に当接し、この当接によりブッシュ21が筒状部分40に対して位置決めされている。また、この位置決めされたブッシュ21の嵌合孔部24には、チェーン11の支軸部14が回動可能に嵌合挿入されている。こうして、複数枚のスラット2の各々は、複数、例えば4個のブッシュ21のみを介してチェーン11に連結されている。つまり、スラット2は、両チェーン11間にブッシュ21のみを介して架設されている。
【0043】
連結部分51は、断面4分の1円状(略4分の1円状を含む)の2つの円弧状部51aを有し、これら両円弧状部51a同士が平板状の平板状部51bにて連結されている。平板状部51bは、2本の中心軸線Xを結んだ水平な線Lよりも上方に位置し、この平板状部51bの短手方向の各端部から円弧状部51aが斜め上方に向かって延出し、この各円弧状部51aの上端部が筒状部分40の上部に繋がっている。
【0044】
各案内部43の複数の案内板部分55は、スラット2に対する押出体5の摺動および回動を案内するものである。つまり、押出体5のスラット2に対する摺動時には、押出体5は、案内部43と載置板部42の円弧状部46aとにて案内されながら搬送方向Aと直交する方向にスラット2に対して左右摺動する。また、押出体5のスラット2に対する回動時には、押出体5は、案内部43にて案内されながら筒状部分40の中心軸線Xを中心としてスラット2に対して回動摺動する。
【0045】
また、各案内部43は、本体部41の筒状部分40の中心軸線Xを中心とする仮想円上に間隔をおいて並んで位置して押出体5を案内する断面円弧状の複数、例えば2つの案内板部分55を有し、この各案内板部分55の円弧方向中央部(幅方向中央部)が、筒状部分40の径方向に沿った平板状の連結部分56を介して筒状部分40の外周面に連結されている。
【0046】
つまり、2つの案内板部分55のうち一方の案内板部分55は、筒状部分40の下端部から突出した連結部分56の先端部に設けられ、その筒状部分40の下方に位置している。また、2つの案内板部分55のうち他方の案内板部分55は、筒状部分40の外側端部から突出した連結部分56の先端部に設けられ、その筒状部分40の外側方に位置している。そして、これら両案内板部分55は、押出体5の被挟持部31の円弧状面32と面状に摺接している。なお、円弧状の案内板部分55の円弧中心角は、被挟持部31の円弧状面32の円弧中心角よりも小さく、例えば略60度である。
【0047】
次に、仕分装置1の作用等を説明する。
【0048】
物品Wが搬送手段3上に供給されると、その物品Wは、搬送方向Aに向かって移動中のスラット2の載置板部42上に載置されて搬送方向Aに搬送される。
【0049】
ここで、物品Wが分岐搬送手段4上に仕分けられるものでない場合には、その物品Wは、押出体5にて押し出されることなく、スラット2にてそのまま搬送方向Aに搬送される。
【0050】
一方、物品Wが分岐搬送手段4上に仕分けられるものである場合には、その物品Wは、スラット2に対してその長手方向に沿って摺動する押出体5にて搬送方向Aと交差する方向に押し出され、スラット2上から分岐搬送手段4上に仕分けられる。
【0051】
そして、仕分装置1によれば、搬送方向Aと交差する方向への押出体5のスラット2に対する摺動によって、仕分けるべき物品Wを適切に仕分けることができる。
【0052】
また、スラット2の載置板部42は、押出体5との係合によりこの押出体5のスラット2に対する中心軸線Xを中心とする回動を規制する回動規制用端部分47が載置板本体部分46よりも肉厚に形成されているため、その回動規制用端部分47にて押出体5の回動を適切に規制でき、押出体5の振動も抑制できる。
【0053】
さらに、スラット2の案内部43は、中心軸線Xを中心とする仮想円上に間隔をおいて並ぶ断面円弧状の複数の案内板部分55を有するため、押出体5をスラット2に対して中心軸線Xを中心に円滑に回動させることができる。
【0054】
また、スラット2は、その略全体(例えばスラット2のうち回動規制用端部分47以外の部分)が薄肉状、すなわち例えば板厚寸法が1.5mmの薄板状に形成されているため、各スラット2の重量が軽く、容易に軽量化を図ることができる。
【0055】
さらに、スラット2とチェーン11とが安価なブッシュ21のみを介して互いに連結された構成であるから、組立作業が容易であるばかりでなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0056】
また、スラット2の本体部41が複数の筒状部分40を有するため、スラット2は薄肉状であっても所望以上の強度を持ち、スラット2の変形等の不具合を適切に防止できる。
【0057】
さらに、スラット2の本体部41は、複数の筒状部分40同士を連結する曲板状の連結部分51を有するため、例えば平板状の連結部分にて両筒状部分40同士を連結した構成等に比べて、強度が強いばかりでなく、円筒状の筒状部分40の円の精度が良好である。
【0058】
例えば
図6はアルミニウム等の金属の押出成形によってスラット2を製造するための金型の断面図であり、この図中の60は金属素材が入れられる容器に対して固定された固定金型で、61は第1中子で、62は第2中子である。
【0059】
そして、円筒状の筒状部分40のうち、固定金型60と第1中子61との間の隙間(
図6中、縦線を施した部分)aで形成される部分は、その隙間aから金属素材が安定して押し出されるため、高い精度が出る。
【0060】
一方、円筒状の筒状部分40のうち、第1中子61と第2中子62との間の隙間(
図6中、横線を施した部分)bで形成される部分は、その隙間bからの金属素材の押し出しが不安定なため、高い精度が出にくい。
【0061】
よって、隙間aを長くし、隙間bを短くすることで、aとbをあわせた筒状部分40全体として円の精度を向上できる。
【0062】
このようなことから、スラット2の本体部41の連結部分51は、上方側に曲がった短手方向両端側の円弧状部51aとこれら両円弧状部51a間の平板状部51bとからなる曲板状となっており、その結果、円筒状の各筒状部分40の円の精度が良好である。
【0063】
なお、スラット2は、
図4に示す形状のものには限定されず、例えば
図7ないし
図11に示す形状のものでもよい。
【0064】
図7に示すスラット2では、本体部41の筒状部分40が多角筒状、例えば4角筒状に形成されている。なお、例えば筒状部分40を楕円形状に形成してもよい。
【0065】
図8に示すスラット2では、各案内部43が、断面円弧状の案内板部分55を有さず、断面正方形状の案内部分71にて構成されている。なお、この案内部分71の断面形状は、例えば長方形状や円形状等でもよい。
【0066】
図9に示すスラット2では、本体部41の筒状部分40が、周方向の複数個所に切欠部を有する不連続な筒形状に形成されている。そして、この各筒状部分40に突設された案内部43が、断面コ字状の案内部分72にて構成されている。なお、この案内部分72の断面形状は、例えばU字状やV字状等でもよい。また、例えば連続した筒形状の筒状部分40の外周面に案内部分72を突設してもよい。
【0067】
図10に示すスラット2では、各案内部43が、断面半円状(略半円状を含む)をなす1つの案内板部分55を有している。
【0068】
図11に示すスラット2では、各案内部43が複数、例えば2つの断面円弧状の案内板部分55を有し、この各案内板部分55の円弧方向端部が連結部分56を介して筒状部分40に連結されている。なお、連結部分56は板状でなく、断面三角形状のもの等でもよい。
【0069】
また、例えば強度向上のためにスラット2の載置板部42の全体が比較的肉厚に形成され、この肉厚状の載置板部42が本体部41の筒状部分40の上端部に一体に設けられた構成等でもよい。
【0070】
さらに、本体部41の連結部分51が線Lよりも上方に位置する構成には限定されず、例えば連結部分51の平板状部51bが線Lよりも下方に位置する構成等でもよい。
【0071】
また、例えば連結部分51の平板状部51bの短手方向端部から円弧状部51aが斜め下方に向かって延出する構成でもよく、また、例えば円弧状部51aの代わりに傾斜状部が延出して筒状部分40の上部に繋がった構成等でもよい。
【0072】
なお、
図12は、スラット2の案内部(案内体)43の形状の説明図である。
【0073】
図12(a)に示すように、原則として、スラット2の案内部43は、押出体5の円弧状面(被案内面)32における下面および側面に当接して支持しておきたい。
【0074】
図12(b)および(c)に示す斜線部分は、正逆の回動時(上下回動時)に押出体5と当接させるために必要な領域である。なお、
図12(b)中のαは例えば略23度であり、
図12(c)中のβは例えば略5度である。
【0075】
そして、これら両斜線部分を合体させて、最低、
図12(d)に示す斜線部分が必要となる。
【0076】
よって、この
図12(d)に示す斜線部分の長手方向に少し予備を持たせて、
図12(e)に示す案内部43が完成する。そして、このように案内部43が2つの所定長さの案内板部分55を有するため、押出体5の浮き上がり、落ち込みおよびガタツキを適切に防止できる。
【0077】
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【解決手段】仕分装置は、物品を搬送する複数のスラット2を有する搬送手段3を備える。搬送手段3には、スラット2に対する摺動により物品を押し出して仕分ける複数の押出体5を設ける。スラット2は、複数の筒状部分40を有する本体部41を有する。本体部41の上部には、物品を載せる載置板部42を設ける。本体部41の各筒状部分40には、押出体5を案内する案内部43を突設する。