【0027】
(2)
(2−1)ガスケット単体を嵌合構造によりシール対象部材へ装着する燃料電池用ガスケット。
(2−2)ガスケットがこれを補強するための部材に一体化されており、この一体化部材をシール対象部材へ装着する燃料電池用ガスケット。
(2−3)ガスケットがシール対象部材への取り付け部において、嵌合装着するための突起形状を有し、一方、装着部材にガスケットの突起を嵌合装着するための貫通穴あるいは断面が凹形状を有していることを特徴とする上記(2−1)または(2−2)記載の燃料電池用ガスケット。
(2−4)ガスケットがシール対象部材への取り付け部において、嵌合装着するための貫通穴あるいは断面凹形状を有し、一方、装着部材にガスケットの貫通穴あるいは断面凹形状を嵌合装着するための突起形状を有していることを特徴とする上記(2−1)または(2−2)記載の燃料電池用ガスケット。
(2−5)ガスケットがフッ素系ゴム、シリコーン、EPDMなどの燃料電池に好適な材料より形成される上記(2−1)(2−2)(2−3)または(2−4)記載の燃料電池用ガスケット。
(2−6)シール装着部材が、金属製あるいは導電性樹脂セパレータ、スタックエンドプレート、集電板、絶縁板、MEA、GDL、樹脂補強体、樹脂フィルム、その他セル内、スタック内に組み込まれる保護、補強部材、流体導入のフランジ部材、あるいはこれらの複合部材である上記(2−1)(2−2)(2−3)(2−4)または(2−5)記載の燃料電池用ガスケット。
【0030】
(5)本発明は、燃料電池用ガスケット構造に関し、ラバーオンリーガスケットあるいはフィルム一体ガスケットのプレートへの装着性向上、位置精度向上を実現するものである。燃料電池のセパレータへガスケットを形成する方法として、セパレータへガスケットを一体成形する方法が現在主流となっているが、一方でカーボンセパレータのように脆弱なプレートの場合は、成形時のプレートのダメージを考慮して別体で作製したガスケットをセパレータに装着することも行なわれている。ラバーオンリーガスケットの場合、その取り扱い性が良くないことからフィルム一体タイプとしてガスケットに剛性を持たせるなど、取り扱い性向上を狙った構造としているが、但し、燃料電池用ガスケットのように平面の面積がある程度以上大きくなると取り扱い性の問題、位置決めが困難となるなどの欠点がある。本発明はラバーオンリーガスケットあるいはフィルム一体ガスケットのセパレータへの装着性向上、位置精度向上を狙ったものとなり、具体的には、
図2のようにラバーオンリー対応のガスケットの場合、平端部の下側に凸部を所要数設けるとともに、セパレータの相対する位置に凹部あるいは貫通孔を設けて凹凸嵌合する、
図3のように上記とは逆にガスケット側に貫通孔、セパレータ側に凸部を設けて凹凸嵌合する、
図5のようにフィルム一体タイプの場合、フィルムに貫通孔を設け、セパレータ側に凸部を設けて嵌合する、の構造となる。
【実施例】
【0031】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0032】
第一実施例・・・
図1は、本発明の第一実施例に係る装着構造を備える燃料電池用構成部品の平面図であり、そのC−C線拡大断面が
図2に示されている。
【0033】
当該実施例に係る装着構造は、燃料電池用のガスケット11をガスケット装着部材21へ装着するための装着構造であって、凹凸の嵌合による嵌合構造31を有し、この嵌合構造31をもって非接着でガスケット11が装着部材21に装着されている。
図1に示すようにガスケット11は平面矩形状のエンドレス体であって、周長がかなり長いので、この周長に沿って嵌合構造31も複数(図では14箇所)が所定の間隔をあけて設けられている。
【0034】
ガスケット11は、ラバーオンリータイプのガスケットであって、すなわちフッ素系ゴム、シリコーン系ゴムまたはEPDMなどのゴム状弾性体よりなる単体成形品として成形されており、
図2に示すようにこのガスケット11に凸部15が設けられるとともに、対応する凹部22が装着部材21に設けられ、この凸部15と凹部22が所定の嵌合代をもって嵌合することにより非接着でガスケット11が装着部材21に装着されている。
【0035】
また、ガスケット11は、平板状の基部12と、この基部12の上面に一体成形された断面三角形状のシールリップ部13と、基部12からその側面方向の一方へ張り出すように一体成形された平板状の張り出し部14とを一体に有し、このうちの張り出し部14の下面に凸部15が下方へ向けて設けられている。したがって凹凸の嵌合による嵌合構造31は、ガスケット11によるシールラインSL(
図1)から平面上外れた位置に設けられている。シールラインSLは、スタック組み立て時にシールリップ部13が接触の相手方部材に接触することにより、その接触幅をもってライン状に設定される。尚、張り出し部14は、嵌合構造31の配置に合わせてガスケット11の周長に沿って複数(図では14箇所)が設けられているが、ガスケット11の全周を巡って一体成形される一枚ものであっても良い。また張り出し部14は、ガスケット11の外側(外周側)に張り出しているが、内側(内周側)に張り出すものであっても良い。
【0036】
ガスケット装着部材21としては、セパレータ、スタックエンドプレート、集電板、絶縁板、MEA、GDL、樹脂補強体、樹脂フィルム、その他セル内もしくはスタック内に組み込まれる保護部材もしくは補強部材、流体導入のフランジ部材、またはこれらの複合部材などである。
【0037】
上記構成のガスケット装着構造においては、接着剤を用いることなく、凸部15および凹部22を嵌合する嵌合構造31のみによってガスケット11が装着部材21に装着される。したがって凹凸の嵌合による嵌合構造31のみをもって非接着でガスケット11が装着部材21に装着されるために、接着剤の使用による不都合を解消することができ、すなわち接着剤の選定作業および入手作業を省略し、高価な接着剤が不要となることからコスト的にも有利な製品を提供することができる。また、接着剤の塗布工程が省略され、凹凸の嵌合はワンタッチであることから、装着作業性を向上させることができる。また、凹凸の嵌合によりガスケット11を装着部材21に対し正確に位置決めすることができる。また、嵌合構造31がガスケット11のシールラインSLから外れた位置に設けられているために、嵌合構造31がガスケット11の正常な圧縮変形を阻害することもない。
【0038】
第二実施例・・・
上記第一実施例では、ガスケット11に凸部15が設けられるとともに装着部材21に凹部22が設けられているが、凹凸の配置は反対であっても良く、すなわち
図3に示すように、ガスケット11に凹部16が設けられるとともに装着部材21に凸部23が設けられる構造であっても良い。また、凸部と凹部が周上交互に設けられるものであっても良い。
【0039】
第三実施例・・・
図4は、本発明の第三実施例に係る装着構造を備える燃料電池用構成部品の平面図であり、そのD−D線拡大断面が
図5に示されている。
【0040】
当該実施例に係る装着構造は、燃料電池用のガスケット41をガスケット装着部材21へ装着するための装着構造であって、凹凸の嵌合による嵌合構造31を有し、この嵌合構造31をもって非接着でガスケット41が装着部材21に装着されている。
図4に示すようにガスケット41は平面矩形状のエンドレス体であって、周長が長いので、この周長に沿って嵌合構造31も複数(図では4箇所)が所定の間隔をあけて設けられている。
【0041】
ガスケット41は、フィルム一体タイプのガスケットであって、すなわちフッ素系ゴム、シリコーン系ゴムまたはEPDMなどのゴム状弾性体よりなるガスケット本体42を補強用の樹脂フィルム45に一体成形したものであり、
図5に示すように樹脂フィルム45に凹部46が設けられるとともに、対応する凸部23が装着部材21に設けられ、この凹部46と凸部23が所定の嵌合代をもって嵌合することにより非接着でガスケット41が装着部材21に装着されている。
【0042】
樹脂フィルム45は、ガスケット本体42の外側に全周に亙って一枚ものが配置されており、その幅方向の一端部(内周端部)45aにガスケット本体42を一体成形するとともに、前記一端部45aを除く当該フィルム45の平面上に凹部46が設けられている。したがって凹凸の嵌合による嵌合構造31は、ガスケット本体によるシールラインSL(
図4)から平面上外れた位置に設けられている。シールラインSLは、スタック組み立て時にガスケット本体42のシールリップ部44が接触の相手方部材に接触することにより、その接触幅をもってライン状に設定される。ガスケット本体42は、平板状の基部43と、この基部43の上面に一体成形された断面三角形状のシールリップ部44とを一体に有し、基部43の幅方向の一端部(外周端部)に樹脂フィルム45が連結されている。
【0043】
装着部材21としては、セパレータ、スタックエンドプレート、集電板、絶縁板、MEA、GDL、樹脂補強体、樹脂フィルム、その他セル内もしくはスタック内に組み込まれる保護部材もしくは補強部材、流体導入のフランジ部材、またはこれらの複合部材などであるが、図では、マニホールド部25および反応部26などを備えるセパレータが描かれており、ガスケット41はマニホールド部25の開口周縁部をシールする。
【0044】
上記構成のガスケット装着構造においては、接着剤を用いることなく、凹部46および凸部23を嵌合する嵌合構造31のみによってガスケット41が装着部材21に装着される。したがって凹凸の嵌合による嵌合構造31のみをもって非接着でガスケット41が装着部材21に装着されるために、接着剤の使用による不都合を解消することができ、すなわち接着剤の選定作業および入手作業を省略し、高価な接着剤が不要となることからコスト的にも有利な製品を提供することができる。また、接着剤の塗布工程が省略され、凹凸の嵌合はワンタッチであることから、装着作業性を向上させることができる。また、凹凸の嵌合によりガスケット41を装着部材21に対し正確に位置決めすることができる。また、嵌合構造31がガスケット本体42のシールラインSLから外れた位置に設けられているために、嵌合構造31がガスケット本体42の正常な圧縮変形を阻害することもない。また、ガスケット41はゴム状弾性体よりなるガスケット本体42を補強用の樹脂フィルム45に一体成形したものであるため、柔軟に過ぎず、よって取り扱い作業性が良いものである。
【0045】
尚、上記各実施例に共通して、凹部16,22,46に嵌合した凸部15,23はその先端が凹部16,22,46の反対側へ突出する構造とされているが、突出しない構造であっても良く、この場合には凸部15,23の高さが小さめに形成される。また、凸部15,23の先端が凹部16,22,46の反対側へ突出する場合には先端を大形化する、あるいは先端側面に小突起を設ける等して抜け止め構造を付加することも考えられる。また、上記各実施例では凹部16,22,46が貫通穴として形成されているが、これに代えて有底の窪み(凹み)等であっても良い。